創作と鑑賞の談話室

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7月の雑談スレッド(2016) - K.K

2016/07/01 (Fri) 00:17:29

 7月の雑談スレッドです。

Re: 7月の雑談スレッド(2016) - White NOVA

2016/07/02 (Sat) 11:50:29

K.Kさん、どうも。
まずは、6月の忙しい書き込みにお付き合いいただき、ありがとうございました。
7月に入って、平日書き込みが厳しそうなので、週末のみのペースになるかと思いますが、今後ともよろしくお願いします。

★牙狼

昨夜の「阿修羅」は、正直見る前は、「本編と関係ない外伝かあ。まあ、話のネタ程度に見るぐらいかなあ」という気分で、あまり期待はしてなかったですね。
「烈伝」祭りが終わってから、第1期リマスター放送前の場つなぎ回ぐらいに思っていたら、

放送で最初に登場したのが、カオルじゃないですか。
「烈伝」最終話で登場しなくて、少し残念だと思っていたら、ここで登場するとは。「阿修羅」は、自分にとって「烈伝の最終回スペシャル」みたいな位置づけになりました。
母親のカオルが息子に牙狼の昔話をしている、という設定。息子は「雷牙の幼少期」かな、と思っていたら、案の定、最後に名前で呼びかけて幕。
実は、「雷牙が、鋼牙とカオルの子供」という情報は、これまで劇中では明示されていなかったんですね。雷牙のTVシリーズでは、「冴島という姓」「ゴンザが執事として変わらず仕えている」「鋼牙の親友の零が、雷牙の師匠役を務めていた」「回想シーンでは両親の姿がはっきり映し出されず、声だけが鋼牙とカオルの役の人が当てていた」など、状況証拠だけは充分そろっていたのですが、
「鋼牙がカオルと結婚して、息子の雷牙が生まれた」という決定的な証拠はこれまで示されて来なかった、と(雷牙の両親の名は語られずに来た)。それが今回、エンディングで「冴島カオル」と明記され、「息子が雷牙」という情報がしっかり補完され、雷牙編と鋼牙編のミッシングリンクがつながった瞬間でしたね。
先週の最終回で、鋼牙編と流牙編がヒロインを通じてつながり、今回の阿修羅で鋼牙編と雷牙編が母子の触れ合いを通じてつながった形で、「烈伝」がうまく締めくくられて、次回の「1stシーズン」につながるナイスなシリーズ構成だな、と。

と、本編とのリンクが嬉しくて、「阿修羅」の内容が後回しになりましたが、
母が語る昔話という設定なので、「背景が紙芝居調の絵」という演出が面白いな、と。主人公のゴウキは本業プロレスラーで、役者ではないので、演技は素朴そのもの、セリフも棒読みであまりうまくはないのですが、紙芝居感覚だったらリアルさよりも素人っぽさの方が味がある雰囲気をかもし出していて、うまく料理したな、と。
子役の演技はうまかったし、お姉ちゃんも「子供に聞かせる昔話」としてはムムムという程度の色気を演出していたり、全体的に「牙狼ソフト版」って感じ。

アクション部分の出来は、牙狼にとっての及第点かな、と思います。まあ、もう少しプロレスラーを強調した生身アクションが多いかなあ、と思っていたのですが、きちんと黄金鎧をまとった牙狼が怪物化したホラーとやり合うシーンを長く撮っていて、BGMも旧作の流用ながら、久々なので懐かしさを感じさせて、十周年記念作の名に恥じないな、と。
頭部のたてがみが翼になる、デビルマンのシレーヌみたいな飛翔態演出は初めての披露なので、これもおおっと思いました。
ジャイアントスイングとか、最後は「リングに横たわった巨体ホラー」に空中から体ごとフライングドロップする止め技とか、独特のプロレスアクションもあって、いつもの牙狼風なCG描写なんだけど、何かが違う演出が楽しめたな、と。
フライングドロップも、激突の瞬間、全身が光り輝いて剣のイメージが示されるという点で、「ホラーを剣で斬る」という牙狼の世界観を崩さなかった点もナイス。

母が子に語る昔話という流れを作ることで、次週以降、「さらなる昔話」「父と母の出会いの話」が楽しみになるという、ただの場つなぎではない、うまく「烈伝」から「旧作再放送」への橋渡しを務めた作品として、今回の『阿修羅』はシリーズの一環と受け止められるな、と。

★フラッシュ

マクロスデルタも、フラッシュも6月最終分が非常に面白くて、早くここで感想書きたかったです(笑)。
今回は、先にK.Kさんの感想を拝読できた形でしたが、今後も週末書き込みだと、こういう流れになるかなあ、と。

フラッシュは、やはり鉄男トニーの意外な漢気が格好良かったですね。これで彼が生き残っていたら、バリーときちんと和解して、いいパートナーとして活躍できたかもしれないのに、と思うと残念です。
先日の爆弾女軍人の話もそうですが、メタヒューマンが必ずしも悪人ばかりとは限らず、手に入れた力に振り回されながら暴走してしまった結果の悲劇、という視点で語ることもできそう。
この辺、ジョジョのスタンド使いとの比較なんかも面白そうですね。今回の電気人間は、先日のレッドホットチリペッパーを想起する能力でもありますし。

トニーの能力は、電撃という飛び道具使い相手には相性が悪い感じです。接近できて、強力なパンチを浴びせることができれば逆転勝利もできたかもしれませんが、金属の体だと電撃のいい的だし、近づくこともできない一方的な戦いになっていた、と思われます。
それでも、おそらく倒れても倒れても立ち上がり、挑み続けたんだなあ、と思いますね。自分の意地とか誇りにかけて。
それが、バリーの姿を見て、「強い俺でも勝てないのに、弱いお前に勝てるわけがない。逃げろ」という気持ちで、声を掛けたのかな。前回のバリーには不意打ちでパンチを喰らって倒されたけど、自信家のトニーは自分が実力で負けたとは思っていない。いつか正々堂々と正面から戦って雪辱を晴らしてやりたいぐらいには思っていたのでしょうが、それが果たせなくて残念だ。せめて、お前は逃げろ……など、想像がいろいろ膨らむシーンでした。

まあ、今回の敵役の電気男も、「自分の人生をめちゃくちゃにした博士への復讐」という一点で襲撃を掛けてきたわけだから、同情の余地はあるのですが、バリーの方にはそこまで相手の事情を思いやる余裕はない。
能力を奪われ、友人たち共々追いつめられ、さらに想い人まで遠くで事件に巻き込まれて窮地に立たされている。そこまで切羽詰まった状況での覚醒からの逆転劇は燃えました。

面白いのは、必死の想いで、窮地のアイリスを助けに急いで行くと、アイリスは自力で何とか切り抜けていたという。まあ、前回のトニー戦で、アイリスが意外と腕っぷしが強いことも分かっていたので、「か弱い女性と侮っていた犯人」を撃退できたというオチにも納得できるのですが。
この辺の「ヒーローも万能ではない」という妙なリアリティーが面白いと思ったり。

考えてみれば、日本のヒーローだと「お約束の必殺技」が大体あって、攻撃力と防御力のバランスが最初から取れている。
フラッシュの場合は、超スピードで回避力と、ダメージからの回復力はあるけど、素が学者で戦闘訓練を積んでいないので、攻撃力に欠ける。おまけに、それを補うための武器を持たず、結局、肉弾戦に頼るしかない現状。前回会得した必殺パンチも、スピードを上乗せしないとダメなので、遠くから走ってくるというタメが必要で、とっさに使える技じゃない。
そんな彼が少しずつスピード能力を高めたり、能力をいろいろ応用させながら窮地をしのぐドラマが、能力バトル物としても面白いな、と。

次回は、以前から楽しみだったアローとの共演劇。
アローの方がある意味、フラッシュと対極に当たるヒーローで、超常能力は持たないものの戦闘訓練はバッチリ積んでいて、必殺の弓矢と非情な冷静さで悪漢を影から仕留めるという。
フラッシュの方が暴走して、それをアローがどう抑えるか、という対立劇が用意されているようなので、生身の人間が超スピードをどう凌ぐかを楽しみにしつつ。
キャプテンコールドは、周囲の人間を巻き添えにして、フラッシュが人助けに奮闘している間の隙を突いて……という悪人らしい作戦を使いましたが、アローは果たしてどうするかなあ。

予想してみると、超スピードを封じるためのトラップを仕掛けることが考えられますが。ワイヤーとかネットで絡みとれば、現状のフラッシュの能力は無効化できるか、と。
フラッシュも、ナイフの一本でも持てば、ずいぶん戦闘では有利になると思うのですが、本当に武器一つ持たないので、紐で絡まれたら切ることができずに往生してしまう感じ。

アローも楽しみだけど、フェリシティの再登場も楽しみ。今回、シスコのセリフで名前だけは出ていたけど。

★マクロスデルタ

百戦百敗のアーネスト艦長の采配が面白い。
そういう戦績で、どうして名艦長なのかと考えたら、要するに「敗戦確実な戦いの後処理にばかり回される、実力はあるけど上層部からは疎んじられるタイプ」なのかなあ。
まあ、漢の劉邦の例もあって、戦では負け続けだけど、ここぞというところで勝利して天下をとった英雄というイメージもあったり。
負けまくっているのに生き残っている、というのは、兵士なら単純に逃げ上手ということなんでしょうが、将の立場だと「撤退戦で、味方の被害を最小限に抑えることに定評がある」ということにもなりますし。

ということで、結局、負け戦で惑星ラグナを放棄することになった戦いでしたが、見応えのあるバトル回でした。

何よりも大きいのは、ハヤテが自機を反応弾(いわゆるマクロス世界の核兵器)の爆発に巻き込まれて失い、亡きメッサーさんの機体に乗り換えたところでしょうか。
当初は戦いを嫌っていた主人公が、エースパイロットの先輩の機体を受け継ぐ流れは、最初のマクロスの一条輝とロイ・フォッカーの関係を彷彿とさせます。
フォッカー機は、ドクロのマークが特徴でしたが、メッサー機も死神のエムブレムが特徴で、「飛ぶのは好きだけど戦いには積極的になれずにいた主人公が、兵士として成長し、故人の想いを受け継ぐとともに愛する者を守るために決意する」象徴と言えます。
これまでは白騎士VSメッサーのエース対決の構図だったのが、白騎士VSハヤテにシフトする話でしたね。こうなると、これまでハヤテと競り合っていたボーグ君が、どんどん落ちぶれていきそうですが、彼の相手をするのはミラージュさんになるのかなあ。
あと、アラド隊長。ブリーフィングとか、日常シーンでは頼れるリーダーぶりを見せているのですが、戦闘シーンでは目立たない。もう少し隊長らしい熟練ぶりを見せて欲しいものですが、これまでは先輩パイロットとして美味しいところは全部メッサーさんに持って行かれてたからなあ。

敵の方は、国王が亡くなって眼鏡のロイドが後を継ぐ形になりましたが、今後の戦略の方はどうなるかなあ。
今回は、マクロスエリシオンが敵陣に殴り込みをかけたら、敵の方もそれを読んでいたのか、同時にフォールド(いわゆるワープ)を敢行して、うまくすれ違い、戦略目標のラグナに来襲。
マクロス側は慌てて、引き返して来ないといけなくなり、脚の速い機体から順に追撃するという、「戦力の逐次投入という一般には愚策とされている戦術」で挑まなければならなくなった、と。

まあ、作劇的には、「先に駆けつけた味方がピンチになった時に、後から援軍が来て逆転」という一進一退のドラマチックな展開ができるので、いかにそういう流れを演出できるかが脚本の腕の見せ所かな、と。

結局、ラグナを守れず、「反応弾による遺跡破壊をもくろむ統合軍政府」でしたが、遺跡の能力を解析したウィンダミア側に対応により、爆発の影響は最小限に食い止められた形(下手すると星そのものが崩壊する危険があったのに)。
これで、ウィンダミア本星にあった爆発跡が、「統合軍政府によるもの」というウィンダミア側の主張が裏付けされた形に。
まあ、統合軍側は「ウィンダミアの秘密兵器によるもの」と喧伝しているようですが、これも「秘密兵器=遺跡」であって、それを破壊しようとする統合軍側と、阻止しようとするウィンダミア側の激突の結果となるのかな。

今回の件で、第2クールは、「ラグナ駐屯部隊VSウィンダミア」から、「マクロス・エリシオン」「統合軍本部」「ウィンダミア」の三勢力の対立劇に発展しそう。
エリシオンは、統合軍に所属しながらも、その強権的なやり方に反発し、レディーMを通じて政治工作を進めつつ、ウィンダミアと前線で戦いながら、和平の道を模索するって大筋かな。

何にせよ、2クール目だとオープニングが変更になるとも思われますので、
今回の戦闘BGMとしての起用が、最後の見せ場演出かな。
次回は、一大バトル後の物語が、どのように整理されるかを期待しつつ。

Re: 7月の雑談スレッド(2016) - White NOVA

2016/07/02 (Sat) 14:04:05

いつもの感想書き込みに加え、その他のレスをば。

★ハリー・ポッター

最終章の後半部分を見ましたが、ヴォルデモートの小物っぷりが目に付きましたね。

一応、「名前を呼ぶのもはばかられる、強大な悪の帝王」という位置づけだったのですが、性格が姑息で、カリスマめいたものが感じられない。
外見は禿頭の不気味さを強調しているものの、戦術も力押しでしかなく、自分自身の分霊箱による不死の秘密が暴かれると、思いきり取り乱す、と。
一応、学生時代からすごく頭が良く、じっくり計画を推し進めて、完璧な作戦を立てた上で一気に発動するタイプには見えるんだけど、想定外のトラブルに弱く、周囲の動向の変化に即時対応する能力に欠ける感じ。
動き出すと、いろいろと大雑把な振る舞いが目立って、計画の穴には鈍感で、ミスの修復もままならない。おまけに、そういう穴に気付いてフォローできるはずの部下からの人望もないというか、力で従える以上の人心掌握術を持たないというか。

ぼくは、ハリー・ポッターのシリーズ前半は評価しますが、後半はあまり評価しないのは、この敵ボスのヴォルデモートの、あまりの魅力のなさ故ですね。
前半は復活前のヴォルデモートの「噂レベルの不気味さ、存在感」を強調して、ハリーの宿命の敵という描写でしたが、『炎のゴブレット』のラストで復活してみると、どんどんメッキが剥がれ落ちていく。
ヴォルデモート配下の死喰い人たちは恐ろしいのに、肝心の大ボスがダメで、仮にハリーに勝利したとしても、その後の魔法界を統治できる器かというと、破壊はできても建設はできないタイプの悪役ですね。

この辺、ハリーが子供から大人になって、精神的にもどんどん成長していき、ヴォルデモートの心理状態さえ理解するほどの洞察力を備えて行くのに対し、
ヴォルデモートは学生時代から精神的な成長を経ておらず、「力を得ただけの子供」ということで「他者への理解の感情が欠落」している、と。
ヴォルデモートにとってのハリーは、「自分の計算外の存在で、思いどおりに壊せない邪魔者」でしかない。ここでヴォルデモートがハリーのことをしっかり研究し、理解した上で対応策を練るような人物なら、自分的には深みがあって面白いと考えるのですが、彼はハリーのことが全く理解できない。
理由は、ダンブルドア校長が語るのですが、「ヴォルデモートは愛という感情の強さが分からないから」。
幼少期のハリーの命を救ったのは、「母親の愛による自己犠牲の結果」なんですが、それをヴォルデモートは「ハリーが何か自分のおよびもつかない凄い魔力を持っていて、その力で自分を邪魔してくる」と誤解してしまう。まあ、ハリーの力は、実はヴォルデモートの魔力に結びついていて、ハリーはヴォルデモートの分身みたいな存在になっていたので、結局、ヴォルデモートは自分自身の影に怯えていたことになるのですが。

そして、「周囲からの愛情を得られたかどうか」が、ハリーとヴォルデモートの決定的な差になって、決着がつくのですが、映画だと、そういうヴォルデモートの孤立した心情の方があまり描写されていないので、ただ傲慢に力を振るうだけの小悪党にしか見えない、と。
ハリーも、愛を理解できないヴォルデモートの哀しさを理解した原作での描写が割愛された感じですし。

ヴォルデモート以外では、やはりスネイプ先生の描写が、映画では弱いかな、と。
一応、スネイプ先生の過去をハリーが幻視することで、彼の真実の想いを知って積年の恨みを解消するシーンはあるのですが、スネイプのハリーに対する愛憎入り混じった感情を理解する上では説明不足かな、と。
スネイプは、ハリーの母親のリリーのことが昔から好きで、一方、父親のジェイムズは昔からスネイプをいじめてきた不良少年。スネイプは自分の感情を人に伝えるのが苦手な内向的な少年で、ハリーに対しては「憎らしい父親と、愛している母親の息子」という二重の感情で見ていた。いろいろと鬱屈、屈折したキャラなんですが、そういうスネイプ視点の心情をハリーが追体験する章があって、ハリー自身、義理の家族からいじめられた経験持ちで、スネイプに共感してしまう。
だから、ハリーが将来、自分の息子にダンブルドアとスネイプの名前に由来する「アルバス・セブルス・ポッター」と名付け、自分の恩師の一人として尊敬するに至るわけで。

映画の方は、次から次へとアクションやらアクシデントが発生して、そちらの描写に尺を使わないといけないので、原作の内面描写が断片的になったかなあ、と思いますね。
まあ、ヴォルデモートについては、「理解不能な巨悪」程度の描写で問題なのですが(それを原作になぞらえて、人間心理が理解できない描写を入れたために、単なる自己中なだけで失態の多い小悪党にしか見えなくなったのは映像化のミスだと感じたり)、
スネイプについては、「彼自身の複雑な愛情をハリーが受け止める」描写が物語のテーマの根幹部分なのに、映画では単に「ヴォルデモートを倒すためには、ハリーが一度死んで、分霊箱化した自分の因縁を断ち切らないといけない」という情報を伝えるだけのシーンに描かれたのが残念かな、と。

「大人から子供への愛情の力がハリーを生き残らせた」というのが物語のテーマであり、それゆえに死喰い人である敵の女魔法使いベラトリクスは、娘の命を守るべく戦うロンの母親に敗れ、また、マルフォイが生き残ったのは母親の息子への愛情が「ヴォルデモートの強大な力による支配」を乗り越えた証でもあるわけで。

まあ、映画はアクションとか戦いの決着に主眼を置いたために、原作テーマの「大人から子供への愛情」描写が断片的になったと思いますが、
最後に「大人になったハリーたちが子供たちの門出を見送る後日譚」がしっかり再現されていたのは良かったな、と。

★ウルトラQ

白黒版は一通り見ましたが、カラーは一部の作品を見ただけです。
後のウルトラマンと違って、怪獣が倒されずに(事件が解決せずに)終わるナメゴンの回とか、爆発した地底特急から子供とM1号が宇宙空間に飛ばされるハッピーエンドとは言い難い回が印象的。
特に、後者は「私はカモメ」というM1号のセリフで幕を閉じるのが、放送当時の宇宙開発ネタであることも知らなかった身で、何だかいろいろと不条理に思えたり(初見は中学時代)。
普通に考えるなら、乗っている地底特急が停止できず、衝突爆発したのだから、子供は死んでいるはずなんですね。それが隠れていた金庫ともども宇宙空間に飛び出して、口の利けないはずのゴリラ型人工生命M1号が喋っているのを目撃するわけです。それまでサンダーバード調のシリアスな暴走特急からの乗員救出劇で進めていたドラマが、唐突にファンタジー調に切り替わったのだから、訳が分からない。結局、「脱出できなかった子供は死んじゃったのだけど、死の瞬間、幻を見たのだ」という解釈で、納得した、と。
でも、後年、「この話は当時の科学技術の発展への夢」をモチーフにしたもので、「夢の超特急の延長に、宇宙開発もあって、利発な少年が一足早く、次の世界へ飛び立ったことを象徴するラストだった」という解釈を聞いて、ああ、そういう見方もあるのかあ、と感心。

まあ、物語がきれいに結論づいて終わるドラマが当たり前と考えていた時期に、深夜放送で出会ったウルトラQは、白黒映像と時折あった不条理なエンディングがなかなか不気味に感じて印象的だった、と。

そして、カラー版ですが、自分が印象的に思ったのは、マンモスフラワーの回。白黒だと不気味にしか見えなかった巨大な花が、カラーだとピンク色が綺麗だな、と。
白黒時代は、ずっとひまわり風の黄色い花だと思っていただけに。
ともあれ、白黒映像はいかにも「現実離れしたアンバランスゾーン」という感じなのに対し、カラーになると、「見慣れた現実っぽさ」を覚えます。同じ怪獣でも、カラーのウルトラマンに登場した海底原人ラゴンは、たとえ巨大でもコミュニケーション可能っぽかったのに(だからこそ、巨大怪獣以上の脅威として原子爆弾を用意したのかも)、白黒のウルトラQで登場したラゴンは、コミュニケーション可能な異種族なのに、とことん不気味に感じたなあ、とか。

★指輪

前の書き込みでは、第1作の半分まで鑑賞されたとのこと。「旅の仲間」結成で切り替わるのはSEE版ですね。

もう鑑賞済みかもしれませんが、後半は「旅の仲間」の冒険行から解散劇まで、アクション物としては一番面白いところ。
『ホビット』の方が、アクション活劇としての楽しさは上だと思いますが、臨場感の点では『ロード』のアクションが上かな、と。見世物的な前者と、真剣な戦いの後者という印象。

そして『ホビット』は1作目と2作目が冒険映画で、3作目が戦争映画になるのですが、
『ロード』の場合は、冒険映画は1作目だけで、2作目以降は戦争がメインとなります。
『ホビット』の五軍の戦いは基本、野戦でしたが、『ロード』の場合は城塞での防衛戦闘。この戦争映画としての規模では、『ロード』の方が圧倒的に上で、先に『ロード』を見てから、五軍の戦いを見ると、軍勢の数が少なくなって、作り手の方で描写をセーブしているのが分かるかな、と。

もう、これは作風の違いで、『ホビット』の時は、トーリンやスランドゥイル、バルドといった英雄に焦点を当てているのに対し、『ロード』の戦争は、圧倒的多数の戦いでは英雄といえど戦場では一つの駒に過ぎない規模で繰り広げられる、と。
象徴的なのは、『ホビット』の敵の一軍は、クマ一頭と複数のワシで対処できる規模なのに対し、『ロード』の押し寄せる敵軍は『ホビット』以上に圧倒的で、この数をどう対処したらいいのか、と絶望感に駆られながら、英雄たちの決死の防戦を見守ることに。
それだけに、応援が駆けつけると、おお、っと盛り上がるんですけどね。

で、戦争とは別のドラマで、敵の本拠地付近の滅びの山に向けて絶望的な旅を続けるフロドたち。追いつめられた中での、勇気と希望と仲間の絆のドラマになるか、と。

では、今回はこれにて。

Re: 7月の雑談スレッド(2016) - K.K

2016/07/06 (Wed) 18:28:05

 NOVAさん、どうもです。6月は私も夢中になって観ている週1ドラマ、アニメや、全作を観る気になった指輪&ホビットで、いいタイミングで大事な情報を教えて頂いて、非常に助かりました。知って興が深くなることばかりでしたから。

 前月の書き込み数を改めて確認すると20にもなっていますね(^^)V。私としては、大変にありがたいことなんですが、実生活の忙しさなどもおありでしょうし、無理なく、ひまのあるときに、気が向いたらで書きこんで頂けたらと思っています。

 こちらこそ、今後ともよろしくお願いいたします。

●牙狼(コラボSP)

 相変わらず、初見では「ふーん、そういう話か」と通り一遍に受け取り、NOVAさんの解説を拝読して、「ああ、そういう仕掛け、仕込みがあったのか」と理解できると、印象がいいほうへ大きく改まっております。

 母が子に騎士の童話の絵本を読み聞かせているだけと思ったら、実は詳細が明らかになっていなかったものの、鋼牙と結ばれて雷牙を生んだ女性と劇中でも匂わされ、ファンの間でもよく知られたギャラクターだったんですか。

 そうと分かって、私のほうでも多少ネットで調べるなりしてみると、最初の牙狼TVシリーズに第1話からヒロインとして登場するということのようで、再放映に対するリンクにもなっていたようですね。

 それはさておき、今回分はNOVAさんも注目された通り、背景があからさまに絵という、ちょっと異色な演出でしたね。絵本ということでうまくマッチングしていて、さらに時代が衣装や描かれた住居などから見て、日本古代らしい感じでしたから、大昔風な、のどかな雰囲気も出せていたように感じました。

 バトルシーンでは、そういう雰囲気から一転して、牙狼らしい暗めの場所で、リアルな感じにしてあり、要所ではびしっと締まった感じにしているなと。とはいえ、プロレスラーらしく、剣より肉体を武器にしていた点は牙狼の通例とちょっと変えてありました。その点は、「古代ではまだ対ホラーの武具がまだ未発達なのかも」と、好意的に想像したりしていました。

 黄金騎士化してから見せた頭部の羽根は、NOVAさんにお聞きするまで、以前からある設定なのかどうか分からずにいましたが、初出とのことで、だとすると特撮1期の再放映の後の新作では使って来るのかなと期待したりしてします。しかしもしかすると、これも古代という大昔のこととて、乗れる飛翔体が作られるまでは、こういう翼を生やして飛んでいたのかもしれない、といろいろと想像は尽きず。

 内容の解説を聞けていなかったら、私ではほとんど面白さが分からなかったと思われる回でした。やはり分かるほどに興が深くなるものがいろいろとあり、1期のみならず、過去の特撮牙狼シリーズ、順次再放映して欲しいなあ。

●マクロスデルタ

 前回、アル・シャハルから敗退したと思い込んでいたんですが、ラグナでしたか。完全に勘違いしていました。どうも覚え違い、記憶の改変が起こっているようです。たぶん、また初回から見直すと思いますんで、他にもあるはずの勘違いをいろいろと正すことになりそう(^^;。

 今回のは、まずぼーっと見てて、「かろうじて市民を連れて脱出したものの、アイランド船に支障発生、ミラージュとハヤテで何とかするイベントにして、お約束的なギャグのオチ」と思ったんですが、よく考えたら違う。いや、お約束のお遊びはあるんですが、そこここに大事な情報を仕込んであるように思えてきました。

 ハヤテ、ミラージュ、フレイアが3人で駄弁るシーンでハヤテが己が過去をちょっと語ったのはともかく(でも後で効いて来るかも、父親が送ってきたフォールドクォーツなるものもあるし)、
・老朽化したアイランド船、
・ラグナに残った市民に配られるウィンダミア・アップルと例の水、
・瓦解しそうな球状星団連合から資金を断たれそうなケイオス(しかし「レディM」が何か手配を)、
・遺跡のせいか球状星団を覆いそうな例の歌(しかし不完全)、
・うまくいかない新統合軍側のジャミングと「7年前の計画」、
・生存ながらも重傷らしい「白騎士」、
・ハインツが間もなく戴冠らしいこと、
・前王からのハインツへの遺言(内容はまだ不詳)などなど。

 ざっと見直してみて、伏線や大事な要素になるかもしれないと思えるものが、これだけありました。もう、仕込む仕込むという感じ。お約束コントに気を取られて見逃しそうになっていまして、私がそもそもぼんやりなのはさておき、油断すると後々で使いそうな仕込みをぽいっと入れて来るなと、ちょっと驚くような気になります。

 もっとも今回限定の最大の謎は「ハヤテとフレイア、どうして上半身脱ぐ必要あるんだよ?」なんですが(^^;。

 その他、裸喰娘々の店内に避難した面々は無事、アイランド船に救助されていたものの、皆を店内に押し込んで扉を閉め、爆風に吹き飛ばされた「お姉ちゃん」の安否は分からず。名前が「マリアンヌ」と判明したのは収穫でしたが、どうも心配。大丈夫かなあ。

 オープニングは曲こそ変わりませんでしたが、前回のフレイアの歌いながら飛び降りるという活躍シーンを使うようになってましたね。前回を観ているせいか、一瞬、声が裏返る歌いぶりですが、自然に聞こえますし、あのシーンをはっと思い出します。エンディングは曲自体を変え、ちょっとシリアス寄りに。今後のシビアな展開を予想させるような、曲変更に思えます。

●ザ・フラッシュ

 NOVAさんも前回のトニーに漢気を感じ取られたとのことで、私のかなり想像に依存する感じ方は、あながち得手勝手な妄想でもなかったかと、ちょっと心強くなりました。ほんの一瞬といってもいいシーンしかなかったわけで、考えすぎと言われても仕方のない面があるものでしたので。

 あれからさらに他の点も考えて、電気男もメタヒューマンのとしての出自が極めて不幸だったという念が強くなっています。自分を助けようとした友人2人は、自分を触って感電死ということでしたから。自分がされたことより、友人を死なせてしまったことが悔しい。それが彼の動機ですから、悪党と割り切ることができない、しかしやっていることは許されることではない、と感想としてもジレンマになってしまいます。

 それはともかく、ザ・フラッシュシリーズの派生元ともいえる、アローの登場でしたね。そして今回の敵は、「見つめた相手を悪に走らせる」という、非常にやっかいな能力でした。次第に警戒心、猜疑心、敵意を高めていくフラッシュ、味方にして心強いヒーローは、敵になると厄介ということが浮き彫りにされたように思います。

 敵の能力を見ていて、だいぶ前に見た動物実験を思い出しました。仲良しで大人しい猫と犬を狭い透明ゲージに入れるんですが、猫のほうには脳の警戒心を司る部位に電極がセットされています。微弱な電流を流して猫の警戒心を高めるんですが、警戒心が高まった猫はそばにいる犬を脅し、ついには全力で攻撃を仕掛けてしまいます。今回の敵の能力、原理的にあり得ないということはなさそうです。

 序盤からアローに対して意地を張りがちなフラッシュでしたが、そこに付け込まれた格好ですね。戦闘経験的には、見るからにアローが格上な感じでしたが、異能力を持たないせいで、フラッシュに「我優れり」みたいな意識が芽生えてしまうのも無理からぬことかもしれません。戦術的に一度負けても、あるいは負けたからこそ、異能力の一点だけで強がりたくなってしまう。後で悔いるのは必然なわけですが。

 さらに、アイリスからバリーとしてあまり異性として意識されていなかったわけですが、フラッシュとしてエディに暴行に及んだため、フラッシュとして嫌われる破目に。フラッシュは、暴行中に理由を並べ立てていましたが、もしかするとアイリスと付き合っているエディへの嫉妬、目上に対する反抗心などが隠れた真の原因としてあったのかもしれません。警察で上司に無駄に反抗したりもしていましたし。

 と考えて来て、はっと「ああ、バリーが酒に酔えなくなってるのはいいことなのかも。だって、酔っぱらって理性吹っ飛んだら、今回の敵がいなくてもヤバい事しでかしてしまう恐れがある」と思いつきました。バリーはヒーローとして未熟ということがありますから、理性を下げるような影響を受けないのがよさそう。スーパーマンなんかだと、成人後は根っからの正義心を持っているようですが、いろいろ揺れ動くメンタルだと、力があるだけに危なっかしい。

 アローが出てくるということで、アローがどんなヒーローなのかをたっぷり観られるかもと期待していたんですが、どうも助演に徹していたような感じです。アローが主人公のシリーズがちゃんとあるせいなのかな。ヒーローとしての資質の高さ、歴戦らしい巧妙な戦いなどは感銘を受けるものがあったんですが、状況をどう取り回して危機をしのぐかといった点では、ちょっと本気度を見られなくて残念だったかな。
 ザ・フラッシュが好評なら(たぶん、深夜枠としては好評になるんじゃないかと予想)、アローシリーズもやってくれるかもしれないと思いますんで、気長に待ってみよう(^^;。

●ロードオブザリング

 第1作の前半を観てから、なかなか続きが観られませんでした。観る意欲は満々なんですが、TVのHDD録画機でちょっと。それも、かなりロードオブザリングが影響してます、と書いてもなんのこっちゃかという感じですが、ちゃんと(?)理由があります。

 ホビット、ロードのDVDを観る時間はもちろん、面白がって観ているザ・フラッシュ、マクロスデルタ、牙狼などにかなり視聴時間や、観たものに考えを巡らす時間が取られます。すると、録画して観ていないものが溜まっていく。もちろん、急いで観なければと思うものは少ないんですが、録画機のHDD容量が限界に達しそうで(;_;。

 録画は画質を下げて、HDDの容量をあまり食わないようにしてるんですが、同じ時間帯でぶつかる2番組だと、一方は裏録画しないといけない。持っている録画機、裏番組録画はなぜか通常画質でしか録画できず、えらくHDD容量を食ってしまう(画質下げたほうより10倍くらい食う)。

 すると、録画機で予約入れるときに「予約は受け付けるけど、HDD容量足りないよ、何か消してね」と言ってきます。録画を観ずに消すのもなんですから、とりあえず容量食ってる裏録画のを観ることになる。すると、観たいものに費やしたい時間が足りなくなってくると。

 そんなこんなでしたが、なんとか指輪視聴を再開。第1作のDVD2枚目に突入しました。地下でオークやモンスターの襲撃をかわして、なんとか逃れおおせたものの、皆を逃がすためにガンダルフは谷底へ、というところまで来ました。

 印象に特に残ったのは、ビルボがフロドが首から下げた「一つの指輪」を見たときに、異常をきたしてしまう場面です。指輪を触りたくて仕方なくなり、ついには異様な顔になって異常な声で吠えてしまう。あのビルボですらこうなのか、と指輪の恐ろしさを実感できるシーンでした。

 ホビットとの映像的な比較では、オークやトロルの見た目の違いですね。指輪第1作は、恐ろしさを強調してありますが、表情などは乏しく、ホビットで見たような、まさにそういう生き物が本当にいる感じはやや薄かったですね。撮影年代の違いなどによる、技術的な差なのかもしれません。

 スターウォーズでいえば、EP4ではなく、EP1から観始めたようなものですから、話はつながりやすい代りに、映像的には制作年代の違いでちょっとぎくしゃくする面もある感じです。

 エピソード的に印象深いのは、指輪第1作で出てきたゴラムですね(吹き替えで「ゴクリ」ではなく「ゴラム」だった)。ゴラムはちょびっと見えただけですが、ホビットに出てきたのよりは、おどろおどろしい感じでした。しかし、そこが気になったのではなく、ガンダルフがゴラムにつて言ったことが気持ちに響きました。

 ビルボがゴラムを殺さなかったのは情ゆえだと。そう聞いてようやく、ホビットでのゴラムとビルボが出会ったシーンが、実感としてどういう状況だったのか分かるような気がしました。「そうかビルボって、そういう奴だったんだ」という、好意的な思いがしたんですね。

 ガンダルフのさらなる生と死についての解説も、もちろんホビットでのあのシーンの理解を深めるのに役立ちました。生と死を軽々しく扱うな、生きている者には何か未知の役割がある、といったことです。そして、聞き知った範囲では、その言葉通り、ゴラムは今後、重要な役割を果たすことになると。この辺り、ロードオブザリングを最後まで観て、また思い起こして考えることになりそうです。

 ファンタジーつながりでハリー・ポッターに言及しますと、NOVAさんのヴァルデモート観に、ちょっと感銘を受けたりしています。今回、TVで4週連続で放映された後半シリーズから観たもんですから、私のヴァルデモートの印象は、「いかにも悪そうだが、賢くないし、スケールも小さい」なんですが、前半の実体としては未登場の時点では怖そうなキャラクターであったわけでしたか。

 映画に関していえば、後半でのヴァルデモートの迫力不足な点、カタルシスや物語の説得力を下げてしまっていたような気がします。あの世とこの世の境での駅らしきシーンでも、弱々しくて死にかけたヴァルデモートの哀れさも、そこまでは強く、恐ろしくなければ引き立たないような感じもします。これらも、後半4作をいずれ観なおして、また考えてみようかと思っています。

Re: 7月の雑談スレッド(2016) - White NOVA

2016/07/09 (Sat) 14:49:07

週末書き込みということで。

★牙狼

第1シーズン再放送ということで、こちらはあまりネタバレにならないよう気を付けながら、久々視聴での感想を書きたいと思います。

まず1話は最初とあって、比較的シンプルな話です。
人間に憑依するホラーという存在を最初に見せて、ホラー化した人間は人を喰う魔物と化して暗躍する。
そして、それを狩る魔戒騎士が番犬所の指令を受けて、ホラー退治の活動を行う、と。
今回はまだ番犬所の存在は明らかにされておりませんが、この番犬所と魔戒騎士の関係が時に友好的だったり、ギスギスしたり、で一つのドラマの焦点になる、と。

流牙とリュメ様の関係は良好でしたが、アニメだと「世界の秩序を守るためには多少の犠牲はいとわない、非情な判断をする組織」だという傾向がありました。
それと、アニメの黄金騎士は割と軽く見られているかんじです。冴島家の物語だと、黄金騎士は数ある魔戒騎士の中でも名門として知られ、敬意をもって遇されるのですけどね。

鋼牙の一作目の場合は、「ホラーの返り血を浴びた人間は斬るべし」という掟があって、その件で「言い訳しながらカオルを守ろうとする鋼牙」と番犬所の関係がギクシャクする流れもあり、その後の物語の経緯もあって「番犬所などの指令組織がいまいち信用できない」という印象がついてきます。

ともあれ、当面はカオルの周辺に現れるようになったホラーを、鋼牙が退治しながら、だんだん関わりを深める流れが続く、と。
鋼牙のキャラは、人懐っこい傾向のある流牙と比べた場合、ぶっきらぼうで人間社会でのコミュニケーション能力に欠ける嫌いがあります。幼い頃から戦闘技術ばかり訓練してきたので、ホラー退治以外の関心が薄いわけで、それが世間への目を向けるようになったきっかけがカオルとの出会いなんですね。
で、ぶっきらぼうな演技というか、セリフも棒読み的で役者としては未成熟な初期鋼牙ですが、演技力よりもアクションを買われて主役に抜擢されたわけで、これがだんだん演技がこなれていく過程が、カオルとの関わりで感情面が成長していく過程と重なり合って、役者としての成長が改めて楽しみ、と思えます。

そして、初期の牙狼の鎧の魅力は、実際の鎧が作られたこと。後の作品だと、CG技術の発展に伴い、現実の鎧スーツが作られずCGのみになっていくのですが、第一作は全身が光輝くアップ用の(あまり動けない)黄金鎧が作られて、その質感、重量感が魅力だと言えます。
鎧には99.9秒という装着時間の制限があるので(それを越えると鎧の魔力に精神が侵されて『心滅』という暴走状態になる)、制限時間内に相手を倒すという縛りも、第一作では強調されています。

とりあえず初期話で自分が楽しみなのは、3話だったと記憶する『時計』のエピソード。牙狼のアクション凄い、と最初に感じたのがこの話。1、2話はキャラ紹介とか背景描写といった説明に追われるので、アクションの売りを全開させたのが、この回ということで。

★マクロスデルタ

エリシオンを中心とする民間軍事会社「ケイオス」の設定が強調された回だったかな、と。
これまでの話では、何となく「統合軍の下請け」みたいに考えていたんですが、実際は「地方星団の政府に雇われていて、軍とは距離を置いた部隊」だったと。
そして、民間企業なので、スポンサー不在だと行動が困難になる。
レディーMも、てっきり軍のお偉方だと思っていたんですが、実際は「軍にも顔の利く企業主、あるいは企業幹部」の立ち位置だった、と。

K.Kさんの書かれたように、いろいろと仕込みの回になるわけですが、「市民を乗せた都市宇宙船を保護しながら、宇宙航行する物語」という意味では、ようやくマクロスシリーズらしくなったと思います。
ただ、都市船の動力源としてエリシオンを接続したため、今後しばらくはエリシオンを戦闘で活用することは難しそう。
TV旧作を振り返ると、第1作はマクロスそのものが都市宇宙船になっていて、戦闘のたびに市民がシェルターに避難する形。
マクロス7になると、都市部のシティ7と、戦闘区画のバトル7に分離して、戦闘行動を行いやすくなりました。今回の話も、応急処置的ですが、都市と戦艦の連結という要素で通じるものがあります。ただ、都市側の動力を修復するまでは、エリシオンの分離戦闘は困難でしょうが。
マクロスFでは、戦闘では小型サイズのマクロスクォーターが活躍。マクロス級は全長1キロ程の(地球人視点では)超大型艦なのですが、クォーターは名称どおり4分の1サイズの250メートル級。それでも破壊力は維持され、機動性も向上。「小さくともマクロスだということを敵に教えてやれ」というのが艦長の名セリフ。
デルタのエリシオンは、半分サイズの500メートル級みたいですが、クール終わりのクライマックス戦闘まで次の活躍はお預けかな。

>ハヤテの上着脱ぎ

まあ、彼の場合はまだ納得です。「肉体労働するのに、暑い軍服なんて着てられるか」って感覚ですね。
バイト時代にも軽装で作業していたでしょうし。

問題は、それに付き合うように服を脱いだミラージュさん。サービス精神といえば、それまでですが、基本的に「マニュアル人間」である彼女のこと、未知の作業に際して、経験者の振る舞いをそのままマネしてしまう傾向があるのかな、と。
ハヤテが作業のために上着を脱いだのを見て、自分も条件反射的に上着を脱いだ。ハヤテの手伝いをするにしても、具体的に何をしていいのか分からないので、それでもまずは形から入るということで、必要があるかどうかは考えずに従っただけ、と。

それにしても、最近はミラージュさんのスキンシップの機会が増えていて、フレイアがやきもきする流れが定着してきた感じ。

★フラッシュ

アローとの共演は、フラッシュが助けられるだけで終わり、暴走時の失態でアイリスにも避けられるという苦い終わり方。
エディがフラッシュを危険視するのは、単なる嫉妬だけでなく、次回、黄色いフラッシュが本格的に現れる前置きにもなっているのかなあ、と。
まあ、メタヒューマンの存在を彼は知らないので、自分が知った唯一のメタヒューマンを危険視することは分からなくもないわけですが。

アローについては、同じヒーローにしても作風が大きく違いますからね。フラッシュが「仮面ライダー」ならアローは「ハングマン」、まあ時代劇的に「変身忍者嵐」と「必殺仕事人」と例える方が、自分的にはしっくり来るんですけど。
そもそも、アローの世界には、フラッシュと共演する前は超常能力者は登場しなかったようなので、第1シーズンは復讐者アローが悪の犯罪組織と暗闘する地味なドラマ(これは日本でも深夜放送されたようですが自分は未見)。
そこから第2シーズンで、超常能力を得る前のバリー(科学知識での支援役)のゲスト出演を経て、フラッシュ放送時期は第3シーズン。なお、本国ではフラッシュ放送の翌日がアロー放送となっていて、フラッシュ8話の次の日にアロー8話で連続共演。そちらでは、アローが追うブーメラン使いをフラッシュの協力で、共に撃退する話とのこと。
フラッシュとの共闘を経た後のアロー第4シーズンでようやく、彼は本来の原作ヒーロー名である「グリーンアロー」を名乗り、いわゆるヒーローらしさにまで上り詰めたようですが。

そして、今回のアローは先輩ヒーローとして、フラッシュの弱点をいろいろ指摘しておりました。曰く「戦場の下調べや、敵の能力を確認しないまま、行き当たりばったりで戦いに突入し、しかも自分のスピードを過信して油断しやすい」などなど、まとめるとこんな感じか。
前しか見えておらず、背後からの弓矢トラップの的になったり、実戦で背後の罠を見抜いたと思ったら、今度は正面の敵への警戒がおろそかになり隙だらけ、と素人っぷりが続出。
まあ、こちらの予想では「ワイヤーで絡められたら無力となる」だったのですが、それは実際にアローも試みたものの上半身だけで、脚までは絡まっておらず、アローを引きずったまま高速で走ることで切り抜けたり。もっとも、それを見て、アローが「フラッシュの弱点は脚」ということで脚を矢で射抜くことで無力化に成功、と。
他に面白い戦闘描写は、途中フラッシュが優勢になって、持ち前のスピードでアローにパンチを連打するのですが、ここでも素人パンチの哀しさで、連打している割に威力がなく、結局、肉体鍛練を怠らないアロー倒すことはできなかったというオチ。

最後に、アローの凄さを示すエピソードとして、ハリソン・ウエルズ博士と和解したような振りを見せながらも、博士の挙動に何となく怪しさを感じている、と。
たった一回対面しただけで、相手の怪しさを看破するなんて、さすがは百戦錬磨の人だな、と。

ただ、そんなアローも第2シーズンのラストで母親の死を防げなかったり、フラッシュとの共演直前に仲間のブラックカナリー(メインヒロインの妹で、行方不明だったのが悪の結社で戦闘訓練を受けた後、組織から脱走を果たしていた)を殺されたり、で、女性関係には非常にナイーブになっていたりも。
アローの物語は、どんなに自分を鍛えても、全ての人間を救えるわけではないし、仲間を失うことだってあるという諦観が支配しているのに対し、フラッシュの物語は、どんなに絶望的な状況でも希望は残されている的な明るさが基本スタンスだと考えます。

そして、今回のラストに登場した炎使いことファイヤーストームが、この後の物語の鍵になっていきそう。これはただの敵ではなく、その正体が分かった後は共闘するパートナーにもなっていくわけで。

★指輪

地下のモリア探索が、1作目の一番面白いところだと思いますね。
SEE版では、そこで採掘される鉱石ミスリルの薀蓄が語られ(劇場公開版ではなし)、「ドワーフの王トーリンがビルボにミスリル製の鎖かたびらを贈ったこと」が明かされます。これは原作小説の通りですが、映画『ホビット』が公開されて、ようやく伏線としてつながった形。実はトーリンがビルボに贈った鎖かたびらって、ビルボ本人には役に立っていないんですね。頭部に打撃を受けて気絶しただけで、体には攻撃を受けなかったのだから。
でも、そのトーリンからビルボ、ビルボからフロドに贈られた防具が結果として、フロドの命を救うという、世代を越えた支援の連鎖が、シリーズを続けて見ると楽しめる、と。

ゴラムについては、ロード第一作のゴラムは試作段階で、第二作からのが完成バージョンとのこと。「二つの人格の間で会話しながら、内面の葛藤を描くシーン」が二作目で堪能できる、と。
まあ、『ホビット』で出てきたときは、その二重人格会話が円熟の域に達していて、特有のギャグにもなっていましたが。

あと、このゴラムのモーションキャプチャー元を演じていたアンディ・サーキスという役者が、今ではアメリカの非人間役の代表みたいにもなっていて、同じPJ監督のキングコングを演じた後、ハリウッド版ゴジラを演じた挙句、とうとうスターウォーズエピソード7にも登場、ダークジェダイのボス役を演じていたり。
この「ゴラム→キングコング→ゴジラ→ダークジェダイ」という出世ぶりはちょっと凄いなあ、と。

Re: 7月の雑談スレッド(2016) - K.K

2016/07/14 (Thu) 20:32:01

 NOVAさん、どうもです。

●牙狼

 私としては待ちかねるくらいの、特撮のみならず牙狼としての初作でした。一応、こちらでNOVAさんにあれこれ伺っていたお蔭でスムーズに入れましたが、さすがに牙狼としての最初の最初だけに、予備知識なしでも大丈夫なものになっていましたね。

 私としては鋼牙は烈伝最終話の印象になっているわけで、1期初作の鋼牙は若いという印象が強かったです。リアルでの年代を考えてみると、約10年前ですから、当たり前の印象といえましょうか。不愛想な感じが顕わで、烈伝最終話でちょっと見せた「危機には駆けつける正義の威厳ある」ヒーローっぽさもあまりない。ちょっとダークな感じですね。

 話としては、まずホラーなる化物がいることを提示、しかも絵の中にいたりとどこに潜んでいるか分からない不気味さを出しています。狙いは人間で、人間に憑りついて、他の人間を狙っていくということも提示。そのホラーに対して謎の騎士がいて、ホラーを狩っている。

 と、手際よく物語のベース、世界の要点をうまくまとめているなという印象です。最後に、ホラーの血を浴びた者は斬らねばならぬと。何の害もないはずの一般人ですから、何らかの理由があるんだろうと思わせるに留めていましたね。しかし、少なくとも他のホラーは呼び寄せてしまうという理由は明らかにしていました。

 で、鋼牙はそのことを理由に血を浴びた女性を斬らない、となると、「いや、嘘の理由だろう、本当は斬りたくないからじゃないの」と視聴者は勘ぐるわけで、「じゃあこの女性がヒロインだよね」と察するところ。いわゆる、フラグが立った状態でしょうか。

 まあ今回の再放映は、コラボSPを観た直後になったわけですから、その辺りは確定要素、ちょっと安心して観ていられます。次回が「陰我」ということで、さらに設定面を掘り下げるのかな、と期待しています。その後の3話から、話が流れとして動き出すようですね。

 見どころの一つとしては、鋼牙の人間的な成長、特に感情、情緒面というものがあるわけでしたか。そう言われてみると、第1話で鋼牙がカオルと対するとき、なんとなく「どうしていいかよく分からない」といった印象もあります。ホラーの血を浴びたんだから斬る、と思い切れなくて、家まで送り届けちゃうんだけど(しかも勝手に上がり込む)、明確に助けるという意思も持てず、ホラーが寄ってくるからという言い訳めいたことを言う。

 なんかこういうのどっかで見たような、と記憶を探っていて思い出しました。アニメのみしか知らないのですが、「灼眼のシャナ」です。あれも、主人公シャナが戦いのみの教育を受けたため情緒面が未発達で、劇中で次第に感情面での成長があるものでした。作風からして全く違う作品ですから、似ているとしてもその一点だけですね。なんと申しますか、強さの成長でないなら、人格面の成長と、キャラクターの成長というのは、面白くなる要素の一つだと思います。

●ザ・フラッシュ

 話がややこしくなってきた回でした。黄色い閃光が現われ、追うバリー。追いついて戦闘となったが、歯が立たないバリー。黄色い閃光はバリーを知っている模様。黄色い閃光の言からすると、バリーの母親の死はやはり彼かなと思えます。バリーが彼に負けることについても、自信があるらしい。

 それと並行するように、死んだと思われていたロニーが炎男ファイアストームとして現われるが、自分はロニーではないという。

 黄色い閃光をタキオン装置でおびき出そうとする博士だけど、黄色い閃光は博士なんじゃないの、と思っていたら、博士の前に黄色い閃光が現われるし、黄色い閃光が博士をボコボコにしてしまうし、タキオン装置を強奪するし。バリーが黄色い閃光を追って再戦するも、やはり敵わず。ロニーと思しきファイアストームが乱入して、ようやく黄色い閃光は逃走と。

 そういうイベントの合間に、エディがアイリスに鍵を渡して同棲を始めることになったかと思えば、最初はとぼけていたバリーがアイリスに告白したり(でも前回、アローに釘を刺されていたよね、女性を幸せにできないって)、ケイトリンもロニーが生きていたと思って泣くし、なんかいろいろ起こって忙しい回でした。

 ラストは博士が黄色いスーツに何か取り付けると、黄色いスーツが黄色い閃光として暴れたときの声で喋る。もしかして、暴れていた黄色い閃光は博士が操っていたのか、と思わせたところで終わり。早く次回を見せろ、という気になるうまいエンディングだな(^^;。

 確か前回、バリーが怒りに囚われたとき、高速運動中は黄色い光を残していたような。ザ・フラッシュでは、悪が黄色、正義が赤となっているのかな、とふと思いました。まあ、そうであっても、特に意味はないんでしょうけど、区別として。

(追記:本当にそうだったかなと、もう一度観てみたら、バリーの光が黄色で黄色い閃光のが赤とか真逆だったりもして、全くそうなってなかったorz。「黄色い閃光」という言葉でイメージ記憶を勝手に歪めてしまったらしい。)

 赤と黄の光、実はバリーの母親が襲われていたときに、両方あったと。ということは、バリーも母親殺害現場にいた? 母親が最後に幼いバリーに叫んでいた台詞も、それを踏まえると意味が変わる? さらに黄色い閃光がジョーから奪ったのが、母親に関する資料だったとのことで、いろいろと謎を提示してますね。面白くなってきました。

 なんといいますか、うまい話運びです。ある程度はネットのネタバレ記事なんかも見て、この先どうなるかの概要は分かるんですけど、そんなこと分かってても観たくなるような印象です。見せ方が上手い、好みといったところ。

●マクロスデルタ

 OP曲が変わりましたね。先週の、出だしでフレイアの声が裏返るバージョンは1回のみでした。曲変更は2クール目でのお約束かもしれませんが、ストーリーに大きな変化もありそうですので、イメージに合わせてくれているとも思えます。

 ストーリーのほうは、ウィンダミア視点で7年前の戦いを思い起こし、敗戦はともかく、白い翼を黒く染めたとか、ヴァールを使ってしまったとか、ややこしいことがあったとうかがわせます。家族に言及したりして、いわゆるフラグ的には不吉な流れか(^^;。

 そして、ハインツが戴冠式を行ったらしく、そのお目見えの式典(?)で、統合軍がウィンダミア攻撃で次元兵器を使用したとロイドが暴露、民衆を煽ろうとしてましたが、ざわつくものの、簡単には乗せられてませんでしたね。事情が飲み込めないのか、賢明なためなのか。将兵ですら、若手のみが乗り気なものの、古参らしき将兵は懐疑的な模様。

 ハインツと白騎士キースが兄弟(ただし腹違い?)としての縁と決別、君臣の間柄としたのは、やはり王位の重みでしょうか。王位を継ぐハインツとしても、見守るキースとしても、ですね。兄弟が魂胆相照らし、互いに決別したように見えました。

 一方、ハインツの歌によるものか、銀河全域に生体フォールド波が広がり、TVでは電波が乗っ取られたのか遺跡が中継されてしまう。統合軍の強襲偵察艦隊が向かうものの、白騎士らに逆襲されて全滅と。生き残りがハヤテに救われたものの、その生き残りがハヤテを見て、父親について不吉な言及、で今回終了。うーん、ハヤテの父親、何をやったんだ?

 今回もなかなか仕込んできた感じです。前回と合わせて、これだけ伏線みたいなの置いて、大丈夫なのかと思えてくるほど。最初から観なおしたときによく考えてあるな、話運びと見せ方がうまいなと思えましたから、これらもきちんと回収してくれるだろうと感じます。

●ロードオブザリング

 ぼちぼちと視聴が進んで「旅の仲間」のDVD2枚目、さらに「二つの塔」の最後まで視聴しました。残るは「王の帰還」。

「旅の仲間」では、NOVAさんが見どころとして仰る、地下のモリアルートはなかなかのものでした。個人的にキャラクターに感銘を受けたシーンがありまして、ボロミアですね。ボロミアは、一時は指輪に魅せられ(魅入られ?)てしまい、フロドから指輪を奪おうとまでしてしまうんですが、はっと我に返って激しく後悔する。

 それだけなら普通のドラマ、演出といったところですが、オークの大群が襲ってきたときに、ボロミアの後悔がはっきりとした形になって現われましたね。多勢に無勢を顧みず、決死の覚悟で奮戦、致命傷を受けても引かない。指輪に心を奪われたことが、ずっと心に刺さっていたことがはっきり示されたシーンでした。

 個人的にこういうのに弱いです。仮に「あー、ミエミエな演出しやがって」などと思っていたとしても、思わずジーンと来てしまいます。アラルゴンは指輪に屈せず、自分は指輪に触れず、フロドにしっかり握りしめさせました。こういうの、「ああ、立派な男だ」と素直に尊敬の念が起こりますが、強い感動にはなかなか至りません。

 ボロミアのように、いったんは屈してから立ち直ったようで、後悔に苛まれていたりして立ち直りきれてはおらず、そのために歯を食いしばって、というものだと、ぐっと心臓を掴まれたような気持になります。なんと申しますか、英雄の活躍より凡人の奮戦の方が好き、みたいな感じで。

 といった、感銘を受けたところがあれこれあり、ストーリー、映像としても気に入って来ているんですが、いかんせん長いし、話が単純でもない。3回ぐらい観たら、ようやく分かって来るかなあというところです。

 映像面では、オーク(やウルク=ハイ)が「二つの塔」では、表情なども伝わってくるような出来栄えになっていて、そういう種族がいるという実感がし、満足度が上がりました。終盤の砦をめぐる攻防も、意思を持った種族が統率のとれた大軍で、殺すつもりで来ているという怖さが強くなり、迫力を増したと思います。

 そして、ゴラム(スメアゴル)ですね。NOVAさんが、

> ロード第一作のゴラムは試作段階で、第二作からのが完成バージョン

と紹介してくださったのを、しっかりと確認できました。確かに生きていて、感情も豊か、しかも善と悪とで揺れ動いているのがはっきり分かります。「旅の仲間」では、ちらっと見せた顔が単に怖いだけでしたが、「二つの塔」では、ゴラム(スメアゴル)が二つの人格で喋り合いし出すと、もう彼の独擅場みたいなもんで。「ホビット」で、ビルボがなぜゴラムを殺せなかったか、さらに実感として分かってきた感じです。

 残るは「王の帰還」、わくわくしてきます。

Re: 7月の雑談スレッド(2016) - White NOVA

2016/07/16 (Sat) 12:49:17

夏の暑さと、湿気と、雨天時の思わぬ涼しさで体調を崩さないようにしないとな、と感じる今日この頃。

★牙狼

ITバブル云々が、10年前の時代を感じさせてくれる2話目。
ホラーが人の欲につけ込むということで、1話目は女性への邪心、2話目は金銭欲というテーマ。さらに、「絵」と「鎖」というモチーフを活かしたデザインや攻撃描写など、初期は各ホラーが個性的に描かれています。

世界観的には、今回、番犬所の登場と、鋼牙の父親の死の話などに触れつつ、まだ仕込み段階。
そして、ホラーの血を浴びたヒロインがホラーを引き寄せるということを実際に提示しつつ、それを守ることで関わりを深めるドラマ。「カオルの位置を知るための指輪」というアイテムも出て、鋼牙自身にはまだその気がないにせよ、恋愛劇につながる流れも。
基本的には、まだキャラも少なく、ホラー、カオル、鋼牙の順に情報を提示。主人公視点よりもホラー視点のシーンが多いため、後の作品に比べても「ホラーを狩る謎の男」という雰囲気が濃厚。

アクションについては、1話目は画廊という屋内のみでしたが、2話目は屋外やビル内という3次元移動を可とする舞台。そして自動車の上に飛び乗るとか、戦いの道具として投げつけたり、破壊したりする、ちょっとしたダイナミックさを強調。
まあ、生身アクションがメインで、鎧召喚後はあっさりホラー撃退できるので、変身ヒーローものとしては呆気なく感じていたのが視聴初期の感想ですが(99.9秒という時間制限も視聴初期は分かっていなかったわけだし)、今の視点だと「鎧召喚自体が必殺技そのものという演出」なんですね。

3話目の「時計」が文字どおり時間がテーマとなって、制限時間内にホラーを倒せるかというタイムサスペンスや、戦場が異世界風の大時計内部(ルパン3世の劇場映画のクライマックスを連想)になっていたりとか、バトルギミック満載のアクション回。
初視聴時は、2話までのアクションが「質は高いけど時間的に短い」ことにやや不満だったのですが、それが一気に払拭されたと記憶。まあ、昔の記憶なので美化されているかもしれないけれど、当時の感動というか衝撃を追体験できるかどうかに期待しつつ。

★フラッシュ

アロー祭りを経て、フラッシュ本来の物語を進める回に突入、と。季節的にはクリスマスシーズンということで、5ヶ月のタイムラグがあるわけですが、ええと、2014年の12月には自分は何をしていたかなあ。

あ、ホビットの完結編を楽しんでいたや。
それと、鎧武とか。
何だか、ここでの話題が、自分的には2年遡っている気分だったり。まあ、牙狼は10年前だし、ロードオブザリングだともう15年も前になるんだなあ。時間の経つのは早いもの。
でも、こうやって振り返る時間が楽しかったり。

ともあれ、フラッシュも今後「時間移動」というテーマが浮上してくるので、タキオンというSFキーワードが出てきて、一気に踏み込んできたなあ、という感想になります。
ロニーことファイヤーストームについては、今後のテーマの一つ。彼の存在も、「時間移動」という大仕掛けにつながってきます。

黄色い閃光ことリバースフラッシュ(吹き替えだとシスコがとりあえず逆フラッシュと呼称してましたが)、
今までは普通にウエルズ博士本人だと思っていましたが、今回の話はかなりトリッキーでした。博士がいるのに、リバースもいて、一人二役を演じるにしてもどういう仕掛けなんだ? と。
コピーロボット的な要素はあるのか?
それとも、シスコたちが映像で見ていたリバースは、博士の仕組んだ合成画像なのか? (だとすると、現場にいた刑事さんたちの方は別の説明がいるけど)
あるいは、博士自身が超スピードで分身的な存在を作ることができたとか?

この辺の種明かしを期待しつつ、「何のために、こんなややこしい仕掛けをしたか」ということなら、博士への疑念を招かないまま、タキオン装置をゲットすることですね。
どうも、リバースフラッシュは未来から来たことは確定しているみたいですが、間抜けにも帰れなくなってしまったようです。
よって、未来に帰るためにいろいろ画策しているわけですが、その一環として「バリーの育成、フラッシュの高速移動を成長させて光速の域まで高めて、時間の壁を突破する手段に利用する」と。

まあ、フラッシュの第2シーズンだと、時間遡行SFの「レジェンド・オブ・トゥモロー」が同一世界の背景にあるので、もはや秘密でも何でもなくなるのですが、
フラッシュ第1シーズンは、この時間移動の謎を追うのが物語全体のテーマに結実しそうですね。その中で、博士の暗躍とか謎とかが縦軸かな。

一方で、アイリスとの関係もテーマになるのですが、今回、一応、自分の秘めた想いを告白しつつもエディとの関係を祝福する方向で、恋心の幕引きを図った形です。
自分としては、エディの方に重点を置いて見ているので、彼が決して鈍感ではなく、「バリーの秘めたる恋心」を察して、「アイリスとバリーの関係に気を遣った点」がなかなかいいキャラだなあ、と思いました。
フラッシュの危険を警戒して、いろいろ妨害するキャラになるかなあ、と思いきや、その件もリバースの登場に際して、あっさり理解。メタヒューマンの件をジョー刑事から明かされ、今後は協力者の立場に。
まあ、ジョー刑事としても、リバース出現が明らかになった以上、「娘のアイリスを守るため」に、アイリスに近いところにいるエディには事情を知ってもらった方がいいと判断したのでしょうし、

ともかく、今回の話はいろいろな要素が有機的につながって、物語が一気に加速した感があります。それだけ、一話見逃すと分からなくなった回だった、と。

次回は、以前に敗北したキャプテンコールドが戻ってきて、再戦する話。

★マクロスデルタ

前回が味方視点の仕込み回だったとするなら、今回は敵側メインの仕込み回。

物語と戦争の規模が辺境の宙域から、一気に全銀河を巻き込むように膨れ上がる流れ。
もっとも、ウィンダミア人の寿命は短いので、今回即位したハインツ王が亡くなれば、風の歌い手の魔力も使えなくなって、30年単位であっさり瓦解しそうな欠陥戦略に思えるのですが。

マクロスFとのつながりを考えるなら、風の歌い手の歌はバジュラに対しては有効なのか、とか、仮にバジュラとは波長が合わずに怒らせてしまうなら、ウィンダミアはあっさり崩壊しそうだし、
さらにFの世界観では、サイボーグ技術が発達している船団もあって、生体部品の少ない連中なら歌の効果も少ないだろうし、(まあ、その分、ハッキングの危険はあるだろうけど)、
歌と遺跡の力で銀河の覇権を握ろうとするロイドの戦略は甚だ危なっかしいな、と思います。

まあ、ウィンダミアは銀河規模ではど田舎なので、そこまで状況が分かっての戦略ではないのだろうと思いつつ、
アニメ1クール程度の短期間なら、十分世界を荒らしまくるほどの脅威となることは確実。

その中で、「ハヤテの父親」というのが主人公側のドラマの焦点になってきた様子。
これまで自由人だった主人公が、物語の中核に位置付けられる背景を与えられそう。これまでは「父子のドラマ」ってマクロスシリーズではあまりなかったと思うので、どう転がるかを楽しみにしつつ。

★ジョジョ

マクロス同様、こちらも2クール目で主題歌が変わったので、軽く触れておこう、と。

マンガ家エピソードが終わって、人気キャラ露判との対決を経て、次はネズミ退治エピソード。
動物のスタンド使い、というのは人間相手とはまた違った緊迫感があって、期待です。

★ロードオブザリング

第2部『二つの塔』まで鑑賞された、とのこと。

この話は、原作では「ローハンを舞台にした対サルマン戦」と「モルドールを目指すフロドたちの旅」が別構成になっていまして、それをシーン構成からまとめ直して、一本のストーリーにしたもの。
で、第一部『旅の仲間』で分断された仲間が再合流することなく、「アラゴルン組」「メリーとピピン」「フロドとサム」とそれぞれの旅を継続する、と。

まずは、前作でバルログと共に地底に落下したガンダルフのその後の戦いが描かれ、「白のガンダルフ復活」への伏線張り、と。
指輪世界での魔法使いは、西方の神々の世界から「冥王サウロンの中つ国侵略」を止めるために派遣された半神的な精霊と設定されています。
ただし、中つ国の問題は中つ国の住人が解決すべし、という神様の意向により、「かりそめの人間の肉体をまとい、知識や能力も制限された状況で、人間たちを力ではなく、言葉や知恵で間接的に導き協力させながら目的を達成すべし」という制約があって、自身はあくまでサポーターの立ち位置で対応してきた、と。
魔法使いの長はサルマンでしたが、彼は制限された力をストレスに感じ、自分本来の力に慢心した結果、サウロンを力で屈服させようという誘惑に飲み込まれ、サウロンとの同盟を装いつつ、最後は指輪を手に入れ、サウロンさえ倒して中つ国を支配しようと画策します。
そのサルマンの裏切りが発覚したため、バルログとの戦いで全ての力を使い果たしたガンダルフが、西方の神に新たな力を与えられ、魔法使いの長として覚醒したのが「白のガンダルフ」。
サルマンとガンダルフの違いは、力を信奉するサルマンに対して、ホビットたち小さき者との日常的な交流を大事にして弱者への労わりを忘れなかったガンダルフ、という描写で明示されています。

「小さい者が危地に際して振るい起こす勇気が、仲間の絆を強め、世界をも救う」というのが物語全体のテーマになっているのかな、と考えつつ。

さて、このサルマン、映画の第3部の冒頭で、罵っていた手下のグリマの怒りを買って、背後から短刀で刺されて塔の屋上から落下、ドラキュラのように心臓を杭で串刺しになって死亡という末路を辿るのですが、
劇場版ではそのシーンがカットされて、サルマンの末路は語られず仕舞い、と。
まあ、本筋としては、サルマンとの決着は、第2部のエント大暴れで解決しているので、対サウロン最終決戦がメインの第3部では蛇足と判断されたのでしょうが、この件でサルマンを演じたクリストファー・リーと監督の仲がこじれたという話もあって、いろいろ物議をかもしたりも。
結局、SEE版でのサルマンの死のシーン復活を経て、その後、ホビットの方で(後の裏切りの伏線を張りつつも)サウロンの手下相手に大奮闘という活躍シーンを描いたことで完全に和解。その後、間も無くクリストファーが亡くなって、ホビット3部作が遺作となったこともあって、いろいろ感慨深いものが。
このクリストファー・リーはロードの公開時期にスターウォーズのエピソード2や3にも出ていて、同じような役どころの「裏切りのジェダイ、ドゥークー伯爵」役としてオビワンたちやヨーダ相手に暴れ回ったりもして、往年のドラキュラ役者としての威厳を振りまいたり。
また、本人は「本当はガンダルフをやりたかったんだけど、ガンダルフに嫉妬しながら力を求めるサルマンの複雑な内面は、自分の性に合っていた」的な発言もあって、原作愛をにじませた発言がファンの間でも賞賛されていたり。

K.Kさんが感じ入ったというボロミア。
自分も彼の最後の戦いは好きですね。メリーとピピンを守りながら奮戦する姿を見た後で、もう一度、メリーたちに剣術の訓練をしているシーンとか、雪山で彼らを雪崩から守っているシーンとか見ると、ボロミアの男意気を強く感じます。
フロドから指輪を奪おうとする出来事は、アラゴルンの胸の内に秘めた失態なので、メリーたちにとってはボロミアは自分たちを守るために討ち死にした英雄扱いで、とりわけ第3部では、ピピンがボロミアの弟ファラミアや父デネソールとの絡みで、しみじみと心情が語られる、と。

このボロミア、第1部で出番が終わり、その後はファラミアやデネソールによって、セリフが語られるのみ。
ただ、SEE版では追加映像によって、第2部では「祖国ゴンドールを旅立つ前のファラミアとの交流シーン」が回想で描かれたり、第3部では「亡き息子の幻を見て、沈みかけた狂気から一時的に正気を取り戻すデネソール」のシーンがあったり、わずかながらもボロミアが出演してたり。

このボロミアのキャラをより膨らませたのが、ホビットにおけるトーリンかなあ、と。
アラゴルン的な立ち位置がバルドとするなら、誇り高さと、一時的な欲望に自分を見失いながらも、そこから奮起して戦いの中で名誉を守って討ち死にする悲劇の勇者の要素が、トーリンとボロミアの共通項。

あとは、サムがどんどん素朴な主人公として、単なる従者キャラから成長していくのがいいなあ、と。
第一部のフロドの後を追って、泳げないのに川に飛び込むほどの忠誠心。
真面目なフロドが指輪の重荷にどこか弱気になるのを、持ち前の素朴な明るさで前向きに支えるシーン。
もう、物語がクライマックスになるにつれ、どんどん指輪の影響で壊れていくフロドに対して、サムが奮闘するシーンは、まさに「サム、お前がいて本当に良かったよ」というセリフを引き立たせます。

まあ、第一部のモリアでの戦いで、剣ではなくフライパンでオークをポーンと殴り倒して、「俺って強いかも」とコミカルに自信を高めるシーンも好きですけどね。

最後に、第3部で一番好きなキャラは、ローハンのエオウィン姫です。彼女とメリーの共闘場面が良い物に仕上がっていて、劇場版での初鑑賞時にも大拍手。
まあ、彼女については、第3部の鑑賞後にも話すネタがありそうなので、今はまだ保留しておきます。

Re: 7月の雑談スレッド(2016) - K.K

2016/07/21 (Thu) 19:22:29

 NOVAさん、どうもです。

●牙狼

 ストーリーや見どころはほぼNOVAさんに、ご紹介、まとめて頂いた通りですが、私が今回見入った点の一つは、ホラーの物理的な強さでしたね。乗っ取った女性の姿そのままのときでも、高所から飛び降りて着地したときに地面(床)が割れるとか、強力さが目立っていたように感じました。車を軽々と放り投げたりもするし。第1話で「ホラーは不気味」を見せてくれて、第2話で「ホラーは強い」と見せてもらった感じかな。

 惜しむらくは、スカートであったために、蹴り技などが窮屈そうだった点など、アクションの派手さが抑え目になってしまったことでしょうか。かなり動けそうな女優さんのようでしたから、ちょっと残念だったかも。

 下積み経験がある女優さんだと、かなり体を鍛えて動けるようにしている人が多いらしいです。このことは、ランニング指導で知られた金哲彦氏が言っていて、響鬼に出演した蒲生麻由さんの指導をした際、ランニングフォームが非常に決まっていて、感心したとのことです(もっとも彼女は中学のときからスポーツしていたようですが)。

 翔編の莉杏役、南里美希さんはモデル上がりで、牙狼のアクションがこなせるよう、体重を5kg増やして臨んだんだそうです。主に筋肉量でしょう。3kgが筋肉だとして、結構大変です。特に女性は筋肉が増えにくいですから(筋肉増やすには、男性ホルモンのテストステロンが大事なため)。

 今回のアクションも、ちょっともどかしそうな感じでした。もっとも、それだからこそホラーの正体を現してからは豪快さが際立ったといえるかもしれません(同じ人が演じたのかな?)。しかも、2段階変身でしたし。最初は顔を出していて、さらに顔が覆われるという、「おお、本気出したの?」と思えるものでした。もっとも、すぐに黄金騎士の一撃で撃破されてしまうわけですが。NOVAさんが物足りなかったのも分かるような。

 ラストの対決に至るまでのストーリーでは、ITバブルなんて使ってて、「ああ、そんなのあったなあ」と。そこは普通のドラマですが、鋼牙がカオルに無雑作に指輪をはめてしまうシーンはちょっと可笑しかったりしました。ぶっきらぼうの朴念仁っぽい鋼牙ですから、カオルの左手の薬指に指輪はめたりすると面白かったかも、などと思いながら観ていました。

 次は「時計」で、アクションがしっかり、しかも鎧装着時間99.9秒を意識して観られるということですか。翔編との比較などもできそうで、なかなかに楽しみです。

●ザ・フラッシュ

 キャプテン・コールドが、相棒のヒート・ウェーブを引き連れて再び襲来と。序盤のシスコの台詞で、ようやくフラッシュ(赤い閃光)と黄色い閃光(リバース・フラッシュ)の違いが分かってきました。フラッシュがスーツが赤で発する光が黄、リバース・フラッシュがスーツが黄で光が赤だったようですね……で、合ってるのかなあ、まあいいや。

 キャプテン・コールド、何やら全て計算ずくの策士のように振る舞ってますね。うまく行かない場合にも備えている。相手に冷凍銃を遮る盾でガードされても、捕まって冷凍銃を奪われても、慌てず騒がず、護送途中で妹が救出に来たようですし。その妹、今後は悪役として出て来るのかな。

 相方(?)のヒート・ウェーブのほうは、かなり単純思考の直情径行型といった感じですが、キャプテン・コールドは、いろいろ言いくるめたり、うまく扱っていいコンビになっている。生半可に賢いより、そういうタイプのほうが組みやすいんだろうか。

 継続的な物語の流れの点では、ケイトリンによるファイヤーストーム、ことロニー探索がありました。シュタイン教授について共同研究者に聞きに行くんだけど、何か言いたくないことがある模様。分子レベルで物質を作り変える研究で砂粒までは実験成功ながら、行方不明になったと。そこまで分かったけど、今回の悪役2人組にさらわれてしまい、そこで中断してしまいましたな。この伏線、今後どう展開されるのか。

 アイリスは同棲のため家を出て行っちゃった。自分の荷物まとめるために、家を散らかしほうだいにして(^^;。まあ、バリーが常人にとっての一瞬で片づけるわけですが、本人としては面倒臭いだろうな。それでもジョー父ちゃん、寂しがりながらも歓迎の様子。結婚前提ということなんだろう。とはいえ、やはり寂しいもんだから、バリーに帰ってくるよう促してみたり。

 エディはいったんは疑いが確信にまで高まったフラッシュに対して、その後の情報、状況の変化により疑念を解いて、一転して共闘のスタンスになりました。その辺り、小気味いいいほどの思い直しぶりです。感情を抑えてまず筋を通すといった感じですね。

 今回の目玉たる、悪役2人組に対する戦術はいまいち理解できず。冷線と熱線をぶつける、というのはまだ何となく理解できるけれど、そうするためにはフラッシュが遅く動くという作戦はどうもよく分かりませんでした。要は両方から撃たれればいいのか? でもそれじゃ……まあ、そういうもんなんだろう(^^;。

●マクロスデルタ

 今回はヒロインの一人、フレイアの誕生日祝いイベントで、ハヤテとの仲が急に進む回、ではあるんですが、前回のハヤテの父について気になる台詞にちょっと補足もあったり。

 アラド隊長がハヤテに対して話をそらしてはいましたが、ハヤテのいない病室では、ウィンダミア側が流した次元兵器使用のシーンを見ながら、何やら意味深な会話。ハヤテには知らせたくないが、いつまでも隠し通せはしない「あの事実」とは何か。次元兵器使用に関することと思わせぶりですが、どうなんだろうなと。

 ウィンダミア側でも、今後の方針で意見が分かれている模様だったり、白騎士について、飛行訓練後にリンゴジュースを飲むのが好きなのが、「ま、そういうことだ」とのことでしたが、どういうことだ? 統合軍側の分析では全銀河に風の歌を流していて、ハインツは全銀河を束ねるために、寿命を削ってでもやっているらしい。一応、平和の実現が目的らしいけど、こういう流れだと誰かに利用されているということもありそう。

 その合間合間に出てくる、美雲が意味ありげで意味不明なことを言うし(^^;。存在も持っている情報も、全く以て謎です。もしかして、現状は謎の人物、レディーMのMは美雲のMではないかと、変な勘繰りしてしまいそうなほど。まあ、バースデーソングはなかなかよかった(^^)V。

 ラストはハヤテがフレイアに雪をプレゼントして、大喜びのフレイアがルンを触るのを許し、と恋愛ドラマは今週はフレイアのほうに振れてますな。途中のプレゼントショッピングはミラージュのほうにに振れるイベントなだけに、最後にミラージュが思わず涙を流すとか、どうも大揺れの感じです(^^;。その合間に、カナメがアラドを微妙な表情で見てたりして、いろいろややこしそう。

●ジョジョ

 今回はスタンド持ちのネズミでした。河原では同族のネズミ、民家の冷蔵庫に被害者二人がぐちゃぐちゃで、とかなり怖いです。しかも生きてるし。仗助、ちゃんと助けたんだろうか。

 ネズミにしては、というより、人間レベルの策を講じるなど、例の矢で射られるとスタンド能力以外に、スタンド運用のための知恵も授かるのかしらん。劇中でも「ネズミでは発見されていない」というバックトラックを用いて、承太郎、仗助を追い詰めるし。

 例の弓矢によるスタンド発現は恐ろしい結果を招くことをよく示した回でした。

●ロードオブザリング

 第3作「王の帰還」に突入。約1時間のところまで観ました。ゴラムの過去がかなり衝撃的ですね。一つの指輪を拾ったスメアゴルとデアゴルが、指輪で揉めた挙句、スメアゴルがデアゴルを殺害、スメアゴルは追放され、次第に容貌が変わっていったと。単純に同情はできませんが、さりとて嫌悪すべきという感じも起こらず。なんとも難しいキャラクターです。

 しかし、指輪に対する執念が優り、善のスメアゴルは悪のスメアゴルに負け、姑息な手段でサムとフロドを仲たがいさせてしまうわけですか。こんな手にころりと騙されるフロド、普段なら大丈夫だったかもしれませんが、指輪に抗するために疲れ切り、ストレスも溜まっていたせいで、怒りの感情が優ってしまったようですね。

 不思議な石を拾って、ガンダルフの警告にも関わらず、つい覗いてしまうピピン。不思議な情景を垣間見てしまい、それがサウロンの侵攻を意味していると察知したガンダルフは、ゴンドールに向い、と。ゴンドールでは執政デネソールがボロミアの弟であり、我が子であるファラミアに冷たく当たり、と「敵の動きが急なのに、何をしているんだ」とやきもきする展開です。

 というところまで観て、ちょっと力尽きてしまいました。密度が濃くて、なかなか観つづけられませんが、さてどうなるのか、というところですので、わくわくしています。私が観てもよく分かっていなかったところを、うまく解説して頂いて、分かって来るとさらに興味が募る感じです。全編観た後で、また最初の方から拝読し直したいなと思っております。

●鎧武

 ちょっと名前が出ましたんで。オーバーロードの王まで出てきて、緊迫感が増してきているんですが、コラボ回がありまして。キカイダーとハカイダーが出てくる話です。唐突に出てきて、1話限りと。一応、キカイダー本編における敵組織ダークの関与をうかがわせる台詞があったり、仮面ライダーもキカイダーも石ノ森作品ですけれど、かなり違和感がありました。

 なんといいますか、「無理矢理出してきたやろ」というような感じです。鎧武本編は、いろいろ動きが急になって、世界の命運はいかに、という流れが見えてみたんですが、そこへキカイダーとハカイダー。しかも、ハカイダーはダークのものだとされている。ということは、ユグドラシルによって危うくなっている世界で、ダークが世界制覇を目指しているということ?みたいになってしまい、世界観的にどうなのかと。

 まあ、シャレのノイズ回と思って忘れてしまえばいいんですが。キカイダー&ハカイダー回をなかったと思ってしまえば、なかなか面白い展開になってますんで。

Re: 7月の雑談スレッド(2016) - White NOVA

2016/07/23 (Sat) 12:53:23

週末書き込みタイム。

★牙狼

先に記憶違いを謝罪&報告修正。

鎧の制限時間云々の話は、記憶の捏造が起こっていたようです。まあ、2話までよりもアクションが充実した回だったのは事実で、満足感の高い一話だったのは確かですが。

時計に擬態して、次々と依代を換えながら犠牲者を増やしていくホラーを追って、街を駆け回る冴島鋼牙の話。
物語的にも全編「時間」という要素にこだわった展開で、「ヒロインのカオルには時間がない」という独白が、夢を果たすための貴重な青春の一時、という本人の意図とは別に、「ホラーの血を浴びたために100日で命が尽きる、という設定」が語られます。
また、宅配のバイトでの時間厳守とか、女子陸上部のタイムとか、「時は金なり」とか、脚本のいたるところに時間というキーワードが散りばめられていて、アクション以外でも面白い回だったと思いますね。
まあ、そういう面白さは、自分は初見では気づかなかったか、完全に忘れていたので、思った以上に楽しめた3話だったという感想。

そして、次回予告は「月光」……って5話じゃないですか。
ミスでなければ、4話目の「晩餐」を飛ばすってこと? どうして? ホラー役の俳優が「加勢大周」ってことで、彼と事務所のトラブルとか覚醒剤問題で放送禁止処分を受けてるとか?

ええと、物語のつながりを良くするために、4話の今後に通じるポイントに触れておきますと、3点。

•カオルが家賃を払えず、アパートを追い出される。
ホラー絡みの騒動でバイトがうまくいかなかった結果です。その結果、友人の家に転がり込むのですが、家賃の代わりに振る舞った夕食が激マズで、食中毒になった友人が急遽入院。
その入院先の病院が、ホラー病院でピンチに。

・鋼牙と父親のエピソード
ホラーの調査で病院に行き当たった鋼牙。入院患者が行方不明になっていることを知り、父親がホラーの犠牲になった少年を知り、自分に重ね合わせて、頭を撫でながら「強くなれ」との激励を送る。
その後、ホラーに「父親の死」を揶揄されて激怒。苦戦の末、強化モードの烈火炎装(緑の炎をまとう姿)を発動させてパワーアップ。何とか撃退。

・カオルとの信頼関係
これまでのクールな戦いから、「命を軽視する者への怒りをむき出しに戦う」鋼牙の姿を見て、命を守る鋼牙の姿勢に共感するカオル。これまでは単なる不審者を見る目だったのが、一定の信用を得ることに。

……とまあ、物語における重要な回と考えるのですが、これを飛ばすと一番の問題は、やはりカオル関係ですね。何せ、5話では突然、「カオルが鋼牙の屋敷に転がり込む」ことになるわけですから。
4話で自分の住んでいたアパートを追い出された事情、そして鋼牙への信頼を経ていないと、そういう流れにはならないでしょうし。まあ、3話で初めて「屋敷に来て、俺の近くから離れるな、と鋼牙に言われた」ことが伏線にもなってるわけですが、いきなり5話で同棲だと唐突感あり。
しかも、3話だとまだ鋼牙に対しては「訳の分からない男」という認識で終わってましたし。

以上、放送が1話飛ばされることを懸念しての事前補完でした。これで、予告がただのミスで「晩餐」の話を普通にするなら、ネタバレスマン、となるわけですが。
なお、今回ミスした鎧の制限時間ギリギリまで戦う最初の話は何話かなあ、と思って改めて調べたら、7話のVS絶狼戦でした。6話で第2の魔戒騎士の零が初登場して、そこからカオルをめぐって、さらに話が加速する予定。

5話の方は、ゲスト主体で(カオルが鋼牙の屋敷に住み込むという大きな変化はあるけど)物語全体ではやや地味な回という印象(画質の悪い無料動画で確認済み)。まあ、一般人視点の話でサスペンスホラー色が強く、さらにゲスト俳優が当時の特撮界ではそこそこ大物たちなので、役者目当ての演技を楽しむ回かな、と。

★フラッシュ

コールド回ですが、前回のリバースフラッシュ回の後日譚の要素もあって、新たな仕切り直しにも見えます。
というのも、本国での放送時期の問題で、前話が2014年のクリスマス時期の放送。そして、今回が2015年の年明け最初の放送だから、昨年の流れを受けて、次から新展開となる形。

アイリスが父親から自立して、エディと同棲、そして次回から新聞社に就職が決まり、一方でバリーはアイリスのことを振り切るために、新たにガールフレンドを作ろうとする流れです。
その前に、以前に取り逃がしたコールドとひとまず決着を付けようとする新年スペシャル回だったわけで。

感想としては、フラッシュへの警戒心、敵視を改めて、共闘仲間として(正体は知らないものの)フォローしてくれるエディ刑事がいいキャラになったなあ、と。
自分が襲われた次の回で、リバースフラッシュの事件に遭遇したものだから、彼の中では自分を痛い目に合わせたのは本物のフラッシュではなく、リバースの仕業として処理されたのかな、と推測しつつ。

そして、コールドの計略で、フラッシュの存在が世間一般に知られるようにもなったり。
これまで謎のヒーローとして暗躍していたのが、一気に人々の注目を集めるようになる流れは、物語を加速させる感じで、ますます面白くなってきたな、と。

コールドとの対決での戦術面ですが、キーアイテムは「冷凍銃対策のヒートシールド」ですね。これはシスコが開発したもので、冷凍銃は防げるのですが、相棒の火炎放射が弱点となります。
フラッシュは当初、スピードで二つの銃の攻撃を避けようとしていたのだけど、さすがに二本同時攻撃は避けられないし、博士の助言どおりに二本の射線を同時に集めることも避けていては困難ということに気づく。
ここで発想の転換が「避けるのではなく、わざと受け止める」。受け止めるために「スピードを遅くして的になる」という意味合いの発言をした、と。
もちろん、無防備に攻撃を受けたらアウトなので、まずはエディの渡してくれたヒートシールドで冷凍攻撃を受け止める。すると、相手は当然、火炎銃を当ててくる。ヒートシールドは火炎銃には無力なので、そのタイミングでシールドを捨てる。これによって、冷凍攻撃と火炎攻撃を一身に集めることに成功。
この辺のバトルの駆け引きは見事な作劇でしたし、さらに凄いのは、捕まったコールドの脱走という最後のどんでん返し。コールド回は、「ラストが博士の暗躍」というオチではなく、「コールドの次の計画」を匂わせる終わり方が特徴かな。
まあ、今回、シスコ製の銃は回収されたけど、コールドは修理のために銃の構造は学習した、ということですから、次から自作できるのかも、と。

★マクロスデルタ

フレイアの誕生日祝いという日常回。

ううん、7月に入って仕込み回とか日常回ばかりで、見たいものが見れていないという不満が募って来ています。
マクロスという作品で何よりも見たいのは、バルキリーでの空中戦とか、マクロスのダイナミックなアタックであって、毎回ではなくても、せめて2話に1度はそういうバトル展開を見ないと、何かすっきりしないというか。

バトルの最中の恋愛模様に興味があるのであって、恋愛オンリーで話を進められると、「肉を食べたいのに、前菜とかデザートだけでお茶を濁されている」気分になります。この場合、デザートが美味しいかどうかは別問題。

さて、肝心のデザートの味ですが、ミラージュ風味が好みの自分としては、フレイア味濃厚の回を見て、素直に美味しいと言いたくない気分になりますな。
前半のミラージュさんと一緒のショッピング場面はそれなりに楽しみつつ、結局、ハヤテの方はそういう恋愛感情が一切なく、しかもショッピングの最中に、「フレイアへの良いプレゼント」を思いついたら、ミラージュさんを置き去りにして、どこかへ行ってしまう。ひどい男だ。

ここで、ハヤテが自分の思いつきをミラージュに打ち明けて、いっしょに雪をプレゼントするために動いていたら、ミラージュとの共同プレゼントという形で報われるのに、
まあ、それだと、2話前の共同作業回と同じ展開になって、フレイア推しのムードじゃなくなるから、ハヤテがミラージュを置き去りにして、その後のミラージュやきもきタイムになるのだろうけど、
ハヤテの奔放ぶりに感情移入できなくなった自分としては、その分、ミラージュさんへの思い入れが余計に強くなって、最後の涙まで見て、「このデザート、何だか苦いよ」という食後感に。

まあ、でもミラージュさんにとっては、「ハヤテの父親」問題が、「優秀なパイロット家族の自分」とかぶる部分があって、恋愛よりも職場の相談相手としての立ち位置で冷静に、かつ親身に振る舞う役どころで振る舞うことを期待してみる。

★ジョジョ

ネズミ回は、ここまで(殺し合いには至らない)比較的平和解決に至ることの多かった第4部で、恐ろしさが抜きん出た回。
これ以外は、ラスボスの吉良ぐらいですからね、ガチの殺し合い展開になるのは。

そして、次回は、露伴と吉良の過去が交錯する、今後の伏線回になります。
オープニングに出てくる幽霊少女の可愛さにも期待してみる。

★鎧武

キカイダー回は、完全に寄り道回ですね。
この時期、映画の方で『キカイダー リブート』という作品が公開されて、その宣伝に一話使った、と。

3月にトッキュウジャーコラボ、5月にキカイダーコラボ、7月に夏映画コラボのサッカー回、と、ここまで本編の盛り上がったストーリーに水をさす展開がやたらと多かったのが鎧武という作品。

まあ、コラボ回だからこそ、本編の「運命に翻弄されて、行き当たりばったり気味の主人公」ではなく、典型的なヒーローとしての主体性を持った熱血主人公としての鎧武が見られたという意見も。

本編だと、強い意志を持って覇道を目指すバロンこと戒斗さんと、嫉妬心から闇堕ちして暗躍するミッチが物語を動かし、コウタさんは訳の分からないまま目の前に出て来た怪人を倒すだけのお仕事だからなあ。
ナックルとか、周囲の脇キャラの方がどんどん魅力的になっていく時期、と。

★ロードオブザリング

もうすぐクライマックスといったところですね。

第2部は、アラゴルンたちが砦の防戦に頑張っていたら、最後にガンダルフが夜明けとともに駆け付けて来るという展開でしたが、
第3部は、逆の展開になります。ガンダルフが防戦の戦いで大暴れ。ゴンドール首都ミナスティリスの包囲戦、そして夜明けのペレンノール野の合戦は、ホビットから見ても、シリーズ最大規模の戦場で圧巻そのもの。

その他のトピックとしては、「ピピンの歌」というのが、話題に上がりました。父親に蔑ろにされたファラミアが敵に奪われた砦に向かって絶望的な突撃を仕掛ける場面で、「ふ〜るさと、遠く離れて」の歌詞で始まる寂しい歌。
これが『ホビット』3作目の映画の予告編で流れて、五軍の戦いを楽しみに待つファンが、『王の帰還』を思い出し、いろいろと予想する時期がありました。
しかも、『ホビット』最終作のエンディングを歌うのが、ピピン役の俳優だったりと、シリーズをつなぐ抜擢。

スメアゴルについては、実は「ホビットの成れの果て」なんですね。だから、指輪を長く持っていたにも関わらず、魂を食い破られた幽鬼にはならず、サウロンの闇に抵抗して自我を保ち続けることができた、と。
ビルボがあのまま指輪を所持し続けたらゴラムのようになってしまうだろうし、フロドも指輪の影響で、ゴラムに親和性を抱くようになったために、あっさり騙されてしまう、と。

他には、ピピンの見た「パランティアの石」。
これは「遠見の水晶球」とも呼ぶべきもので、元々はゴンドールの王が所持する魔法の石。7つあって、それが中つ国の要所に据え付けられ、統治のための情報収集や緊急連絡のために用いられました。
現在で言うところの「テレビ電話とか、監視衛星からの映像とか」の機能があります。
指輪劇中では3つの石の存在が語られ、1つはサルマンが本拠地のオルサンクの塔(かつてはゴンドールの管理下にあったが、サルマンが言葉巧みに借り受けた)にあったのを見つけ、自分の魔力で活用。
2つめはデネソールが持っていて、ミナスティリスの地にいながら中つ国各地の動向を知るのに使っています。映画では、デネソールがパランティアを所持していることは語られず仕舞い。
そして問題の3つめは、サウロンがゲットしていて、その力でサルマンやデネソールの精神状態にも影響を与えています。二人とも、かつては優秀な賢人でしたが、パランティアを使っていた際、図らずもサウロンのパランティアと交信状態になってしまい、抵抗しつつも、次第に暗黒の呪縛を断ち切れなくなり、サルマンは己の野心をサウロンと共有するに至り、一方のデネソールは破滅のビジョンに絶望心が募る一方に。

つまり、デネソールの狂気の原因も、実はサウロンの精神攻撃だったと。
映画の方では、それは明示されず、むしろ「息子のボロミアを失ったことが狂気の原因」と強調されています。
この辺、原作と映画ではボロミアの立ち位置が少し改変され、原作では「指輪絡みの夢を見たファラミアが裂け谷に旅立とうとしたら、危険な旅に弟が出るのを心配したボロミアが、さらに指輪を手に入れるという功名心にも駆られて、代わりに裂け谷に向かった」という形。これが映画の第2部SEE版では、ボロミアがそこまで野心家ではなく、「ファラミアが旅立とうとしたら、父のデネソールの方が止めて、ボロミアに指輪の存在を確認して、もし本当なら手に入れて来いと命じる」形に。
つまり、ボロミアの野心家設定が、父親の方に移されて、ボロミア自身はどこまでも高潔な人格だったことに昇華されたわけで。

映画のボロミアは、「私はそんな遠隔の地へ行きたくはありません。ゴンドールの地を守り、兵とともに戦うことが望みです」と素朴な戦士の人柄を披露。
原作では、高潔かつ謙虚なファラミアと、野心家で傲岸不遜なボロミアという構図で、父のデネソールは「統治者としては、ファラミアよりもボロミアの方に、己と通じる素養を感じていた」ようです。
一方の映画では、ボロミアの野心は描かれず、「どこまでも父親の言葉には逆らえず、誠意を持って従おうとする生真面目なボロミア」を父親が愛し、一方でファラミアの方は「戦士としてはボロミアほどではないが、リーダーとしての知恵や才覚はボロミア以上」で、その小賢しいところが父親には疎ましく映ったようです。

なお、原作ではファラミアはかなり美味しい役どころ(アラゴルンに次ぐほどの人間の英雄)だったのですが、映画だといろいろ重要なシーンがカットされて、目立たなくなった不遇のキャラだったりします。
第2部では、指輪の誘惑に耐えてフロドをサポートする役割だったはずなのが、ギリギリまでフロドの妨害をして、(父親の命に従って)指輪を奪ってゴンドールに持ち帰ろうとする役どころになるし。まあ、最終的には「父親に認められること」よりも「サムという忠義の士に認められること」の方が価値高いと認められるわけですが、
その高潔な心意気が、第3部の映画では描かれず仕舞い。ただの、父親に嫌われて、あわや殺されそうになるだけのキャラまでしか描かれず、その後、アラゴルンに救われ、主君に従う忠義の士として、いろいろと報われるハッピーな展開は尺の都合でカットされたり。原作ではその展開が好きだったんだけどなあ。

とまあ、今回はこれぐらいで。

PS. ファラミア以上に、映画で貶められたのはデネソールですね。原作ではもっと有能さが描かれているのに、映画では何もしないのに、うろたえたり暴走した行動でガンダルフに杖で殴り倒されるだけのお間抜けキャラでしかない。
気難しいけど、ピピンに対しては良いお爺さんのように振る舞うデネソールのシーンとか、映画のようには単純化されていないのが原作での魅力。

Re: 7月の雑談スレッド(2016) - K.K

2016/07/28 (Thu) 13:38:46

 NOVAさん、どうもです。

●牙狼

 訂正情報、ありがとうございます。観ていて、99.9秒の制限は特になかったなと思っていたんですが、別の話で出て来るのでしたか。その点は視聴して楽しむ分には特に影響はなく、むしろ時間ネタがもうふんだんと言えるほどあって、加えて制限時間まで見所に組み込まれていたら、ちょっと消化不良になったかもしれないと思うほどでした。

「時計」という副題は、騎士ではなく、人間が時間に縛られている点を焦点にした話だなと。秒単位まで正確に分かるようになったからこその、近代的な煩悩=陰我ともいえそう。だから時計と。最近でこそ、携帯~スマホの時刻表示で充分と(アラームもありますし)、腕時計を持たない人もいるわけですが、それ以前だと腕時計は必須アイテムでしたね。バンドにセットする金属製カレンダーなんかもあったり。

 そんなですから、時計に頼らない人は事実上いないわけで、その時計にホラーがいたら、ほとんどどうしようもない。さらに作中で、今回は特異なホラーだといっていたのも印象的でした。普通は何かを介して人に憑りつくんだけど(第1回が絵、第2回はお金?)、時計に巣食って人を喰らうと。しかも、近くに別の時計があれば乗り移れてしまうので、捕捉、殲滅が極めて難しい。

 このホラーの設定、今回限りにしてしまうのは、なんだか惜しいなあという気さえします。前にもこの掲示板でちょっと触れた気がするんですが、ある映画の悪魔の設定を思い出しました。人に憑りつく悪魔で、憑りついた人が死ぬと悪魔も滅びるんですが、50メートル以内に見えた人なら容易く乗り移れてしまう。そのため死にそうになると別の人に逃げてしまい、倒すのが極めて困難、というもの。悪魔自体の怖さはあるんですが、むしろ「この難敵をどう倒すか?」という点がなかなか面白かったです(ラストは残念ながら悪魔の勝ち、続編出したかったのかな)。

 牙狼に戻りまして、時計の追跡と破壊もバトルに含んでよさそうな作りで、長丁場の戦いを堪能できた感じです。腕時計にのみ巣食うのかと思ったら、ストップウォッチでもよい。ホラーが巣食った時計を手に入れた人間は、いったんは嬉しい状態になるが(いい時計だ、とか走るのが速いとか)、砂と化して消えてしまう。

 拾われるのを待つだけでなく、時計状態でも足が出て走れて、ホラーから人に憑りつくこともできる。と、どう対処していいか分からないほど厄介。単に強いのではなく、対処の難しさが強調されてましたね。しかしラストはでかい固定時計に憑依して騎士と対決と。そうなると、そんなに強くなかったですね。やはり特殊能力に特化した敵でありました。

 次回は「月光」、これは第5話で、1話飛んじゃうんですか。教えて頂くまで全く気が付きませんでした。改めてネットでもタイトルリストを見てみたら、確かに第4話「晩餐」が飛んでいる。HDD録画機の予約機能で調べても、次回は「月光」ですね。やはり、1話飛ばす模様です。

 原因はなるほど、「加勢大周」出演回ということでしたか。まだ事件が尾を引いて異端ですね。深夜だし再放送だし、そこまでやらんでもいいのに、という気がします。しかも、鋼牙のまだ見せていない一面や、カオルとの関係性が変わる重要回ということで、見られないのは残念。とはいえ、NOVAさんのご解説でだいたいは飲み込めました。それでも、コミックやアニメでよくある「ヒロインの事故級の料理下手」は観てみたかった気もします(^^;。

●ザ・フラッシュ

 前回、フラッシュが冷凍銃と熱線銃の同時攻撃をわざと受けた点を不可解としていたんですが、屁理屈を思いつきました(^^;。フラッシュは傷を受けても超高速で自然治癒してしまうわけですが、それなら細胞分裂などのために酸素や栄養を運ぶ血流は度外れて速いはずです。

 ということは、熱線を受けたとしても、当たった部分の熱は血流で急速に冷やされるはず。しかし、そのまま受け続けると体全体の温度が上昇してしまう。そこで、別の場所で冷線を受ければ、その部分は同様に速い血流ですぐには冷えすぎず、かつ熱線で受けた熱と相殺し、体全体では体温は上がりも下がりもしないと。要は、血流の速さによりフラッシュの熱伝導度は極めて良いのです。う、うん、そういうことのはずだ!(^^;

 今回の話ですが、なんだか傲慢レベルの自信家のラサウェイが敵役でしたね。以前は博士の共同研究者でしたか。シスコとも因縁がある模様(一方的にバカにされてた程度かもしれませんが)。

 がしかし、ラサウェイもメタヒューマン化して、常に耐え難い耳鳴りに襲われるようになったという、やはり不幸を背負った敵でした。しかも、粒子加速器の事故リスクを博士に警告していたのに聞かれず、むしろ恫喝まがいのことまでされていたと。

 それなら深く恨むのも当然のような気がします。しかし、感情に任せて暴れることはなく、フラッシュの弱点(共鳴振動数?)を探るために、わざと捕まったりと天才性を活かした知能犯でした。キャプテン・コールドとはちょっと違った策士ですね。

 ラストでは本当に倒されて捕まり、例の監獄に放り込まれるわけですが、この流れだとまた後で出て来そうな予感が強くします。脱獄して宿敵の一人になったりするのかな。あと、「カミングアウト」で勘当されたという点が不可解。跡継ぎのことかと思いますが、もしかしてという気もしています。とりあえずおいておこう(^^;。

 アイリスの不遇も今後の展開を含め、見どころの一つでしたね。新聞社に記者として採用されたものの、フラッシュの情報を取りたいがためのものだった。フラッシュとは縁が切れたと分かるや、極めて冷たい態度を取られる。この点、明示的に台詞では言われていませんが、黒人だからということを暗示している気もします。それを跳ね返しそうなアイリスをちょっと見せてくれました。

 それと、ラサウェイの警告を仲間にも伏せていた博士と仲間の不和も。一応、和解した感じはありますが、下手するとぶり返しそうでもあり、今後どうなるか気になります。

●マクロスデルタ

 一応、ワルキューレが前面に立ってのコンピュータウイルスによる通信奪還作戦はあるものの、今回も仕込みの要素が濃く、派手な戦闘は次回以降に持ち越されてしまいましたね。

 マクロスシリーズは初作で、板野サーカスでしたか、敵味方が縦横無尽に飛び回り、それを弾幕といっていいレベルのミサイルが迎撃、追尾するアクションが話題となり、売りの一つでもあったようですね。マクロス第1作はあまり見てないんですが、加速度を感じるほどのバトルは見た覚えがあります。その後も、各種作品で盛んに用いられてもいますね。

 そのことをはっきり意識したのはずっと後で、アニメ作品そのものではなく、アニメに関する解説番組で手法を紹介していたときでした。単に多数が高速で飛び回るだけでなく、例えば多数のミサイルが敵・味方機を追うとして、軌跡を3種類に分けて臨場感、迫力を出していたという種明かしに感心した覚えがあります。なるほどなー、単に多いだけじゃだめなんだ、と。バトルアクションでは、その他にもいろいろ凝っているらしい。

 マクロスを観るときには、マクロスの売りの曲芸レベルのバトルも観たいわけで、NOVAさんが2回に1回は、と仰るのも分かる気がします。このままだと、前菜を延々と食い続けて、メインディッシュ前にお腹いっぱいとなる恐れもなきにしもあらず。いや既にそうなってるかもしれませんが大丈夫、別腹がある(それってデザート用なのでは、みたいなツッコミは無しで(^^;)。しかしもう7月末で、来月いっぱいで終わるはずですから、別腹をちゃんと満たしてくれるかなあと。

 今回明らかになったことで特に気になるのは、ハヤテの父、ライト・インメルマンが例の映像で次元兵器を使用していた本人だったことですね。一応、伏線が一つ回収ですが、ライトの意図までは明らかにならず。人柄からすると、大量殺りくをしそうな人ではなさそうとのことですが。いったい何があったのか?

 そういう話をフレイアの前でしたわけで、その直前まで進行していたフレイアとハヤテの仲の進展がストップした印象です。いくらハヤテがあずかり知らぬこととはいえ、父親がウィンダミア人多数を殺してしまったとあっては、フレイアとしてもハヤテとして、互いにどうしていいか戸惑うのは当然かと。

 その直前での、ハヤテとフレイアが二人っきりになって盛り上がりそうになったところで、老夫婦から声をかけられたシーンも、二人の間に越えがたい溝があることが示されていました。ハヤテにとって1、2年は大したことなくても、フレイアには違う。なんといっても寿命30年、しかも15歳ですから半ばまで来ている。残り15年。ハヤテは戦死しなければですが、まだ何十年もあり、人生が始まったばかりともいえます。二人は今後に対する人生観からして、全く違う感覚でしょうね。

 さらにいえば、そのシーンから少し遡って、ワルキューレのステージでフレイアが歌い始めたときのハヤテの反応も、ですね。好意が高まって夢中で見たというのとは何か異なる、呆然としてしまった表情。しかも、空中に投げ出されたかのような感覚を覚えていたようですし。神秘体験のような感じです。ハヤテはフレイアに惹かれてはいるけれど、友情や恋愛といったこととは別の何かがあるような印象でした。

 とまあ、ストーリーは仕込みと伏線の回収やらで進んでいるわけですが、バトルがない代りなのか、映像特典(?)としては、ワルキューレのステージ。ビキニアーマーらしきものがアップになったときは、「何じゃこりゃ?」になってしまいました。まさか路線変更でもしたのか、とか。まあ、作中の男性ファンに必死で見させてクリックさせて、という作戦であり、計画通りにうまくいったというわけでしたか。

 でも、あれじゃあアイドルオタク男性にしか通用しないんじゃないかしらん。しかも、連続クリック(有料)はマキマキ限定のようだし。最初のビキニアーマーどアップはカナメで間違いないはずですが、特典はマキマキとはこれいかに。カナメさんバージョン出せよ、カナメさんを(※個人の趣味です)。

 ラストシーンは出撃直前のようで、次回はバトルアクションが観られるのかな? ハヤテも気を取り直していたようだし。でも「ヴォルドールへ『潜入』する」って言ってたしなあ。どうなるんだろ。

●ジョジョ

 殺人鬼の影が見えてきた回でした。地図にない路地に入り込んだら、見知らぬ少女(鈴美)がいて、スタンド使いでもないしと思ったら、すぐ近くにいた犬は喉をばっさり切られて、しかし生きている。なんだこれは、と思ったら、鈴美も犬も幽霊で、まだ捕まっていない殺人犯に殺害され、鈴美は誰かに殺人鬼がいることを知らせようとして成仏できないでいたと。

 そして、今シリーズの敵本命、吉良吉影が登場。誰かから切り取った腕をまるで人のように扱って連れて、親しげに話しているなど、常人では推し量りがたい不気味さを演出していました。ここまでやってくれると、むしろケレン味があるといってよさそうなほど。こいつの末路は原作などで既に判明はしているものの、このアニメ版でどう描いてくれるか、楽しみになります。

●ロードオブザリング

 ようやく視聴完了。とはいえ、まだホビット入れて、通しで1回見ただけ、あまりまとまった感想はまだ持てず。それでも、「凄いな、これは。観て損はなかったし、繰り返し観そうだ」という印象が強くあります。

 とりあえず一通り見た感じでは、キャラクターとしては、ロードはスメアゴル、ホビットはビルボが印象に残りました。ロードのフロドは立派でかっこいいんですけれど、常に付き従って健気に仕えたサムのほうが印象に残ったかな。

 そのサムと立ち位置が似ていると感じるのがビルボでした。トーリンらに極めて忠実な友情を持ち続け、出しゃばらないけれど、必要なときは覚悟を決めて事に当たる点、サムと通じるものがありました。

 ロード第3作「王の帰還」では、集団戦闘のシーンがなかなかの圧巻でしたね。ホビットの五軍の激突も、整然から乱戦への変化など、なかなか凄かった。ロードのほうでは、歩兵らの動きは統率が取れていましたが、まるでロボット軍団がごときのシンクロした動きのホビットでの戦いほどではない点、ちょっと残念なようでいて、しかし、だからこそリアリティがあるという印象です。

 そして、ロードのほうでは、背の高い象みたいな軍団の乱入後は、スターウォーズ2(EP5)での、帝国軍の巨大4足歩行戦車との戦いを彷彿とさせるような作りでした。4本足の間を巧みにすり抜けつつ、弱点を突いたりとかですね。

 NOVAさんの解説を拝読すると、映画でのキャラクターの印象と、原作での描かれ方で、かなり違いがあるようですね。確かに執政デネソールは、「なんだと、この情けない御仁は」と思うようなものでしたが、原作では有能な面、心優しき側面も描かれていたんですが。そう言われてみると、言い付けに背くピピンに激怒しても、単に役目を解いて追い出すだけとか、単なる愚鈍な執政ではなかったような。死んだと思い込んでしまったファラミアに対する強い悲哀、さらには狂気に至ったと思われるような言行、デネソールの良き面の裏返しのようにも思えてきます。

 ともかく面白かったし、解説を拝読してさらにテンションが上がり、すぐにでもホビットからまた観なおす気満々になってきているのですが、迷うのは「また吹き替えで観るか、それとも字幕で観るか」です。経験上、字幕だと台詞内容は覚えやすいのですが、画面に対する注意力が落ち、映像的なものを見落としやすいということがあります。

 極端な話、ほとんど字幕を読んでいるだけにになったり。このことを最初に気が付いたのは、ダイ・ハード(1)で、字幕で観てから吹き替えで観たら、吹き替えが異様なくらい面白かったという経験です(前に話したような)。

 しかし、逆に字幕は文字になっているだけに、発せられた瞬間に消える音声より記銘しやすく、話の流れは掴みやすくなります。2回目の通しは吹き替え、字幕、どっちにするか、どうでもいいことで結構悩んでいたりします(^^;。

Re: 7月の雑談スレッド(2016) - White NOVA

2016/07/30 (Sat) 10:35:23

夏場は体力勝負なので、普段よりも週末でホッとする感じです。あと10日ほど頑張れば、お盆休みなので、それを目標に気張ろうと思いつつ。

★ロードオブザリング

まずはここから。
ホビット合わせて6部作の鑑賞、おつかれ&おめでとうございます。

『王の帰還』とホビット完結編の『決戦のゆくえ』を比べると、後者はトーリンという一人の英雄の運命にスポットを当てて、前者は完全に群像劇というか、誰か一人が主人公とは言いがたい作り。

例えばホビットという種族にしても、ビルボは一人だったのに対し、ロードの方は4人も用意され、ビルボの担った役割が個々に分担されています。

指輪所持者として、闇への誘惑に苛まれながらも慈悲と気高さを受け継いだフロド、
主君への忠誠心にあふれ、従者としての本分を全うし、素朴さと「往きて還りし物語(ホビットの副題)」を受け継いだサム、

ピピンとメリーは当初こそ脇役でしたが、ロード第3部では、それぞれ重要な立ち位置を占めるようになりました。
ピピンは、軽薄でいたずら好きなホビットでしたが、ゴンドール編の主人公として、ガンダルフに付き従い、デネソールやファラミアのドラマを見届ける役どころ。実は、「狂気に陥る君主」という意味でデネソールはトーリンの暗黒面に位置づけられるのですが、そうなるとピピンの立ち位置は、ホビット3作目のビルボに相当するわけで。

一方のメリーは、ローハン軍に随行し、セオデン王やエオウィン姫の活躍を見届ける役どころ。彼は、映画ではピピンの兄貴分として共にイタズラ仲間として登場しましたが、原作ではもっと真面目で、フロド以上に賢明なしっかり者として描かれています。物語序盤のホビット4人旅の頃は、計画立案とかフロドの相談役として振る舞っており、サムが「メリーの旦那」と呼んで、フロドに次ぐ敬意を示すほど。
ホビットの世話役として振る舞ってきたのが、勝手の知らない人間の国で、足手まといのように扱われることを不満にも感じ、「友を救うために戦場に向かう」という意味で、ビルボの戦場での勇気を一番受け継いだキャラということになりますか。

なお、原作ではサウロンとの決戦とアラゴルンの戴冠の後も、もう一つの大きなエピソードが存在します。
仲間と別れ、ホビット4人が故郷のホビット庄に帰ってくるのですが、そこはすでにサルマンに占拠され、荒らされていたんですね。フロドたち4人は、とりわけ戦場での戦いを経験したメリーとピピンはホビットのレジスタンスを率いて、村を取り戻すための戦いを行う。
最終的に追い詰められたサルマンに対して、フロドは慈悲を示して許そうとするのですが、サルマンは部下のグリマの怒りを買って刺殺されるという結末。

映画では、この「ホビット庄の掃蕩」という章を丸ごとカット。ホビット庄はサルマンに荒らされることなく、平和なままで終了。
おかげで、サルマンの運命も劇場版では曖昧なまま終わったのですが、まあ、SEE版で前述のとおり、「グリマに刺される」という原作同様の末路を追加。まあ、サルマンの死がゴンドールでの決戦前になったので、ホビット庄が平和なままというのは変わらない、と。
この最後のホビット庄編で、冒険を経て成長したホビットたちの姿が描かれて、アラゴルンやガンダルフたちがいなくても、村を守るために戦うことができることが証明された、と。
その後、サムが「ガラドリエル様からもらった植物の種」を使って、庭師としての技能もフル活用して、荒れ果てたホビット庄の自然を蘇らせたりするシーンもあって、
サムやメリー、ピピンはホビット庄のリーダー的な立場になっていくのに対し、フロドだけは表舞台に立つことはなく、古傷と指輪の喪失感に苛まれながら、隠遁生活を送ることになり、そういう経緯の後で、映画のラストの「灰色港から西方世界へ旅立つシーン」につながる大団円、と。

西方世界は、物語の主舞台ではないのですが、「エルフ族の魂の故郷でもある、神々の世界」であり、定命の者には入ることができない土地です。まあ、西方極楽浄土とかキリスト教のエデンの園に相当するわけで、フロドの西方への旅立ちを「死」と解釈することもできるのですが、この辺の中つ国の宗教設定を語り出すとどんどん深みにハマりそう。

とりあえず、物語の表に出て来ない形而上の話はさておき、人間ドラマで補足しておくと、
ファラミアとエオウィンの恋愛物語が挙げられますね。映画では、アラゴルンに思慕を寄せながらも失恋したエオウィンですが、その彼女の傷ついた心を癒したのがファラミアなんですね。映画では死にかけたファラミアが、同様にアングマールの魔王を倒した代償の呪いで死にかけたエオウィンと共に、アラゴルンの「癒しの力」に命を救われます。
そして、モルドールとの決戦に向かうアラゴルンたちを、ファラミアとエオウィンは療病院で見送るしかないのですが、取り残されることに不満を持つエオウィンに対し、ファラミアがゴンドール執政の後継者として、主君の帰る場所を守る仕事を務める姿勢を見せ、二人が共に想いを語り合う中で理解を深めて恋を育むエピソードがあるのですが、
劇場版では完全にカットされ、その名残が「アラゴルンの戴冠」を祝うファラミアとエオウィンの同時カットのみ。SEE版では、その二人の恋愛過程が追加されるのですが、ほぼ象徴的なイメージシーンでしかなく、まあ、おまけ程度かな、と。
それでも、エオウィンは「男では倒せないアングマールの魔王」を女の手で倒す原作の名シーンが描かれ、優遇されているのですが、ファラミアはなかなか辛い。

アラゴルンの戴冠式を仕切るのは、当然、執政のファラミアなのですが、映画ではガンダルフが仕切ってますしね。
原作の戴冠シーンは、本来、ファラミアがアラゴルンの頭に冠を載せるはずだったのが、アラゴルンの要望で「私が今日、王になれたのはフロドとガンダルフのおかげだから、ファラミアがフロドに冠を託し、フロドがガンダルフに渡して、ガンダルフの手でお願いしたい」との形式を踏まえる形になります。

その後のファラミアは、自分がずっと戦士として守ってきたモルドールとの国境にあるイシリエンの地の領主として封土を託され、エオウィンとも結婚し、ゴンドールの重鎮としてアラゴルン改めエレサール王を支える役どころに。

また、エオウィンの兄のエオメルは、故セオデン王の後を継いでローハンの王になり、アラゴルンやギムリと友情を続けていくことに。
そう、エオメルとギムリの友情も映画でカットされた部分。ギムリはロスロリエン訪問以後、ガラドリエルの奥方の熱烈な崇拝者となっていて、「奥方の悪口を言うものは誰であろうと、斧で叩き切る」と宣言しております。そして、エオメルが口を滑らせて、「森の魔女は呪いで人の心を惑わせると聞く」と言ってしまったために、ギムリの逆鱗に触れてしまうわけですね。
ギムリ曰く、「おぬしはガラドリエル様を見たことがないから、そのように言うのだ。もしも、ガラドリエル様を一目見て、彼女が世界一美しいことを認めないなら、斧で教えこんでやるから覚悟しろ」

そしてアラゴルンの戴冠式で、ガラドリエルの姿を見たエオメルは、
「確かに、今日、ガラドリエル様のお姿を見たが、残念ながらドワーフ殿には同意できないようだ」と明言。
「だったら、斧を用意しないと」と言うギムリ。
「いや、少し待って欲しい。他の機会なら、私もギムリ殿に同意したであろう。だが、私は今、ガラドリエル様以上に美しい方を見たのだ。それはゴンドールのアルウェン妃。私は彼女こそが世界一だと考えるし、それを認めないなら、私も剣で教えることを辞さないがいかに?」
それを受けてギムリは、「なるほど、それなら認めよう。ガラドリエル様が太陽なら、アルウェン妃は夕星に例えられるお方。それに間もなく、太陽は西の彼方に消えゆくと思われるからな。しかし、サウロンが散った今、夜の闇も星明かりに満たされ、必ずしも悪いものとは言えなくなった。夕星を尊ぶ気持ちには同意しよう」

その後のギムリは、はなれ山からドワーフの一族を呼び寄せて、ゴンドールやローハンの城塞の修復に貢献した、との記述もあって、南方のドワーフたちの重鎮になっていくわけで。

まあ、映画のギムリは、コメディーメーカー風に脚色され、「ドワーフを一体何だと思っているんだ?」という愚痴も、ドワーフファンの心理を的確に言い表しているわけですが、『ホビット』の映画でドワーフファンの永年の不満も解消された形ですね。
『ロード』はエルフと人間の映画で、『ホビット』はドワーフの映画、という位置付け。もちろん、ホビット族の魅力は、言うまでもないわけですが。

PS.以上、原作も含めた、一通りの補完でした。映画の再視聴であれば、ロード一作目のSEE版の場合、「日本語吹き替えと、オーディオコメンタリー字幕」というのが一つのお勧め。
また、再鑑賞で気付かれたこととか、話題があれば、喜んで話に乗ることを明言しつつ、ひとまずは一段落ということで。
自分も6月から、同作を再鑑賞して、いろいろ話す機会が持てて、楽しかったです。

Re: 7月の雑談スレッド(2016) - White NOVA

2016/07/30 (Sat) 12:08:59

指輪以外の話題。

★牙狼

「月光」の回。
カオルの料理エピソードの後日譚というか、ゴンザと鋼牙が口にして、アウトというオチ。
まあ、その後、カオルはゴンザから料理を教わって、ちゃんとした物を作られるようになったと思いますが。

本筋としては、貞子風味のホラー描写が特徴の回と言えますか。画質も、わざと古めかしい、荒れたものになっていて、おどろおどろしさを演出していたような。
よって、鋼牙が乗り込んできたら、途端に画質が綺麗なものになって、怪奇色を払拭していたのも印象的、というか露骨すぎて笑ってしまいました。

3話までは不審者を見る目だったカオルが、鋼牙をモデルにした絵を描いたり、ゴンザから鋼牙のことをあれこれ情報収集したり、好意を示している点が、これも露骨。
一方の鋼牙は、女心にちっとも関心がないキャラであることを強調。
また、カオルも鋼牙も、どちらも両親を幼い頃に亡くし、孤独に生きていたことが示されます。鋼牙を育てたのは執事のゴンザですが、カオルの方は、「京本政樹の演じる心理カウンセラー」が幼少期から見守ってきた存在として少しずつスポットが当たります。

次回は、第2の魔戒騎士、零が登場する回。
無骨な鋼牙に比べると、軽薄なお調子者だけど陰があるという二面性が特徴。オープニングで影絵で戦っている、もう一人でもあるわけで、二刀流の剣士。
次回作の主人公でもあるけど、そのため烈伝で登場しなかったわけで。
鋼牙の息子の雷牙の師匠でもある超重要人物ということで、当時はここまで成長するとは思っていませんでした。
当時の印象は、「仮面ライダー555」のドラゴンオルフェノクという怪人だったわけで、無邪気な表情で残酷な性格を持った強敵。
ともあれ、零が登場することで、対比として鋼牙の魅力も引き立つことになると思ったり。

★フラッシュ

この回は、博士が主人公というぐらい、いろいろと掘り下げられました。

リバース・フラッシュということで、暗躍する強敵という感じだったのですが、その能力も万全ではなく、ここぞというところで不調に陥ることも初めて描かれたり。
また、スターラボの事故の秘密なんかも暴かれて、博士に対するチームの信頼が危機に。もっとも、一番重要と思われる「黄色い閃光」の秘密を、まだ隠し通しているわけで、この点も博士の巧妙さの表れだな、と。

刑事さんは、もう一度、博士を疑い始めたようだし、この辺のバカし合いというか、探り合いというのが連続ドラマとして面白いです。

敵の能力は、固有振動数を見切った音波攻撃という科学設定が印象的。
天才だけど、性格に難ありで、「博士との共同研究者である自分」に誇りを持っていて、いろいろ尽くしていたんだけど、博士から切り捨てられたことへの逆恨みとか、シスコやフラッシュに対する嫉妬心みたいな感情があって、いろいろ複雑なキャラだなあ、と。

でも、博士の方も、シスコを研究者として採用した理由が、持ち前の能力もさることながら、「その明るさ、無邪気さ、コミュニケーション能力の高さが、孤立しがちな天才君にとって良い刺激をもたらすことを期待していた」との告白もあって、不器用な親心みたいな一面も感じられたり、これはこれで複雑ながら面白い。

次回は、ファイヤーストームの謎に、さらに踏み込むことになるのか、と。

★マクロスデルタ

軍事的な戦闘ではなく、サイバーテロというか、アイドルグループの楽曲配信にウィルスを仕込んで、さらに課金、とソフト路線で、サイバーウォーを見せちゃうのが面白かった回。

マクロスの魅力の一つが、戦闘機の空中戦というのは前回語ったとおりですが、もう一つの魅力は「歌が勝利の鍵」ということで、「歌で相手の戦意喪失」「歌で味方の士気高揚」「歌で異生物と交信」など、これまでもいろいろとドラマの中心に位置付けられました。
まあ、今回のフラッシュの敵のような、物理的破壊を伴う音波攻撃はなかったのですが、そちらは「ガオガイガー」や「ベターマン」という作品で、描写されていたり。

で、今回の歌は、敵の歌が「神経細胞に働きかけて、暴走状態や洗脳を引き起こす」という設定で、一方、味方側は基本、「暴走状態の解除」という防御的、受身的な扱い。
まあ、歌の力がハヤテのような一部パイロットの能力を高める作用も描かれていますが、味方側が歌を攻撃的に用いることは今作ではこれまでなかったな、と。

そして、今回のエピソードは、敵味方の立ち位置の逆転も興味深いです。
これまでは、惑星を防衛するのが任務の味方側に対して、宣戦布告前の敵勢力がゲリラ的、奇襲的に攻めて来たので、それを迎え撃つ戦いだったわけで。
ヴァール化現象も、当初は原因不明の病気みたいなもので、それを癒すための歌がワルキューレの役割だったわけだけど、そのヴァール化がウィンダミアの仕掛けた攻撃だと判明し、そこから防衛戦争に移って行った。
さらに話が進んで、敵の攻勢に前に、味方が惑星からの撤退を余儀なくされ、守るべき拠点がなくなった。言わば、根無し草の放浪状態なのが今。

すると、今回の話は、味方側がゲリラ的、奇襲的な攻撃を仕掛け、敵の方が防戦に転じる形になったわけで、ドラマの構造の転換期に当たるな、と。

あ、それと放送終了は、8月ではなく9月だと思われますね。だから、8月は攻勢に転じたマクロス側の勢いが描かれ、9月に終盤のクライマックス、できれば和解に至るかな、と。

話は変わりますが、以前、マクロスのサイズを話題にしましたが、細かい数字でミスがありました。
最初のマクロスを1キロと考え、クォーターがその4分の1の250メートルと書いてしまったのですが、改めて設定を確かめると、最初のマクロスは1.2キロ。まあ、それだけなら誤差の範囲と割り切るのですが、その後のバトル7が1.6キロにサイズアップして、クォーターはその4分の1で、400メートルサイズというのが正確なところ。
自分のSF艦船のイメージでは、250メートルというのがガンダムのホワイトベースで一般的な船という感覚。そして400メートルは割と大型艦のイメージなので、大きな誤差ということになります。
そして、今回のエリシオンは、クォーターの倍で、800メートル級というのが正解。当初の計算だと、初代マクロスの半分の500メートルだと思っていたわけですが、実際は3分の2で、思ったよりも大きかったんだなあ、ということで。

★ジョジョ

ラスボスとの因縁が、本来の主人公の仗助ではなく、露伴先生の方に結びつけられるという奇妙な回。

そして、そういう重要なイベントにしっかり参加している康一君、という美味しい立ち位置。

次回は、日常回というか、主人公の目的が「小銭集めのためにスタンド能力を活用する」って、何それ、な回。金銭トラブルでケンカになって、相手をなだめるだけの話なんですが、それが意外と、ラスボス吉良との因縁を主人公に結びつけるきっかけになるとは、なかなか気付かず。
まあ、日常の影に隠れた悪に気付くまでのサスペンス、というのが4部の特徴というのも後から知ったテーマで、連載当時は3部の「次々と現れる敵スタンド使いとの攻防」というノリに慣れていたから、相手を叩きのめして終わり、という展開の少ない4部は、面白さがよく分かっていなかった感あり。

今回のアニメ版で、魅力を再確認している最中、と。

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