創作と鑑賞の談話室

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2月のスレッド(2017) - K.K

2017/02/01 (Wed) 00:04:08

 2月の雑談スレッドです。

Re: 2月のスレッド(2017) - White NOVA

2017/02/02 (Thu) 01:32:07

先月は、いろいろ書き込みましたが、今月は少し内容を絞っていきたい、と思っています。

★オルフェンズ

ラフタの思わぬ死亡で激怒状態で、次回の仇討ち合戦が否が応でも盛り上がりそうな雰囲気。

それにしても、イオクと言い、ジャスレイと言い、決して大物ではないのに、やってることは極悪というか、視聴者の怒りを掻き立てて来ますなあ。
まあ、主人公サイドがアウトロー、無頼であるなら、敵サイドにも、それ以上の悪っぷりを描いてくれないと、主人公側の過剰暴力を正当化できないですからね。

さて、次回、堪忍袋の緒が切れて、テイワズ全てを敵に回してもジャスレイぶっ殺すモードに入った鉄華団。
ただ、ここでマクマードの親父さんがどういう采配を見せるか、に期待したいところ。
マクマードさんにしても、自分の庇護下に置いている娘を殺されたとあっては、面子が立たないわけですよ。ジャスレイは証拠を残していないつもりかもしれませんが、ここでマクマードさんが何もできなければ、それこそテイワズ終わったな、となるわけで。

マクマードさんにできることは、ジャスレイに落とし前をどういう形で付けさせるか、ですが、そのために、鉄華団迎撃の最前線にジャスレイを立たせるぐらいのことはしてもらわないと。

ジャスレイ「伯父貴、鉄華団の連中が殴り込みに来ましたぜ。ここはテイワズを挙げて、返り討ちにしてやりましょう」
マクマード「ああ、そうだな。だったら、お前が最前線に立って、力を示してやるんだな」
ジャスレイ「俺が? し、しかし、連中ごときに幹部が相手するなんて、それこそテイワズの沽券に……」
マクマード「ジャスレイよ。お前が陰でコソコソ何をやったか、俺が知らないとでも思ったか? 名瀬を陥れたこと、タービンズの娘にやったこと、そうやって鉄華団を焚きつけたこと、どう落とし前をつけると言うんだ? お前がテイワズの後釜を狙うって言うんなら、それでも構わねえ。だったら、お前自身の手でテイワズの敵の始末を付けることだな。ここで力を示さなければ、お前はただテイワズに迷惑をかけただけってことになる。そんな腑抜け野郎に、俺の後釜は譲れねえな」
ジャスレイ「お、おう。ここで鉄華団を倒しゃ、俺が晴れてテイワズの跡目を継ぐってことだな。よーし、やってやろうじゃないか。鉄華団ごとき、ひねりつぶしてくれる。じゃあ、行ってくるぜ」

マクマード(ジャスレイが出陣した後で)「フッ、オルガよ。俺にできるのはここまでだ。後はお前たちの仕事だ。どこまでやるか、楽しみにしているぜ」

こんな感じで、マクマードさんがジャスレイを焚き付けて、鉄華団への生贄に捧げれば、彼の大物っぷりが強調されると思うんですけどね。
さらに、

ジャスレイ「ギャラルホルン艦隊は何をしている? ええい、肝心な時にもたもたしやがって。まあいい。こっちは時間を稼ぎながら、ギャラルホルンとの挟み撃ちで鉄華団を確実に殲滅させる。それまで保たせればいい」

しかし、怒りの鉄華団の前に、時間稼ぎなどできるはずもなく、ジャスレイ艦轟沈。

ジャスレイ「れ、連中は化け物か。う、うわー」

そして、ジャスレイが倒された後に、のこのこイオク艦隊が到着。
ジャスレイは倒したものの、テイワズの残った艦隊軍とイオク艦隊にはさまれ、ピンチのイサリビ。
しかし、オルガは艦を反転させ、名瀬の兄貴の仇を討つため、イオクを狙う。
動転したイオクは、やみくもな射撃で、イサリビだけでなく、テイワズにも攻撃を与えてしまう。

マクマード「鉄華団は針路を変えた。敵はギャラルホルンだ」

イオク「テイワズから攻撃だと? ジャスレイは何をしている? 共に鉄華団を倒すのではなかったのか? すぐに通信を送れ。イオク・クジャンが盟友ジャスレイと連携に駆けつけた。テイワズと事を構えるつもりはない、とな」

こうして、裏表のないイオク様によって、故ジャスレイとの内通が明らかになり、テイワズのジャスレイ派は完全に勢力を失い、テイワズと鉄華団の共闘により、イオク様は撤退を余儀なくされることに。

こんな感じで、次回はマクマードさんと鉄華団の和解まで展開すればいいなあ、と。

★オルモス

うーん、ここまで見てきて、結局、あまり面白くないと思ったので、見切りをつけてもいいかなあ、と。

あらすじも見てみましたが、一話完結で、物語の大筋をつなぐ縦糸もなさそうだし、ここから話がクライマックスに向けて盛り上がる、という連続ドラマとしての山場もない感じ。

ところで、先日、マーベルの映画『ドクターストレンジ』を見たのですが、その予告編で『ブレードランナー2049』という旧作の続編映画がこの秋に公開されることが分かりました。主演は、かつてと同じハリソン・フォード。
オルモスの方も、設定年代が2048年とのことで、ほぼ同じ頃合いですが、今から30年後の未来というものが、どうなってるかという解釈面で、やっぱりワクワクする超技術が見たいわけで。SFっぽいセンス・オブ・ワンダーの感覚がない以上は、ここまでかな、と。

PS.で、オルモスを切ると決めれば、明日の夜の時間が空くので、ロボット考察の続きに当てたいと思います。
ガンダム→イデオンの流れなら、次はマクロス(82年)を振り返るのがいいかな。
一応、マクロスからリアルタイプの可変物がブームになり、そこからトランスフォーマーに移る流れが、現在にも影響を与えている感じ。
一方で、ガンダムから生まれたガンプラブームの影響で、ロボット物にミリタリー要素が加わり、いろいろと先鋭化した結果、Zガンダム(85年)に至り、映画『逆襲のシャア』(88年)まで続いたものの、そこで一時的にロボット物の盛り上がりが絶たれる時期が数年続いて、90年代に入るという展開。

80年代後半になると、ファミコンからの家庭用ゲームの流行と、ジャンプアニメの台頭、OVAソフトの販売というトピックがあって、マニアックなロボットアニメはテレビ番組からビデオに移り、テレビではゲーム的なSDキャラ、ロボットと異なる生身の格闘アクションが話題になり(聖闘士星矢のような鎧装着アクションが、一時期、ロボット物の後継者となったり)、「未来の超技術の産物であるメカロボ」が時代遅れになり、もっとファンタジー寄りになっていった感じです。

まあ、次回は、衰退する前の80年代前半のリアル物全盛期について振り返ってみようか、と。

Re: 2月のスレッド(2017) - K.K

2017/02/02 (Thu) 10:57:04

 NOVAさん、どうもです。

●鉄血のオルフェンズ

 NOVAさんの次回の予測、かなりの部分が当たりそうな気がします。それに加えて、あのイオク様がどうするかなー、とさらに妄想をしていて、以下のようなイメージが浮かびました。

(鉄華団部隊とジャスレイ艦隊が激突、ジャスレイ側が優勢ながらも、三日月の鬼神のごとき戦いで一進一退。)

> ジャスレイ「ギャラルホルン艦隊は何をしている? ええい、肝心な時にもたもたしやがって。まあいい。こっちは時間を稼ぎながら、ギャラルホルンとの挟み撃ちで鉄華団を確実に殲滅させる。それまで保たせればいい」

オペレータ「所属不明艦多数接近中……識別信号受信、ギャラルホルン所属、アリアンロッド艦隊です!」
ジャスレイ「ふー、ようやく来たか。これで勝ったな、ワーハッハッハ!」

 シーンは前日に戻る。ギャラルホルン本部にて。

イオク「な、なんですと! この私が、そんなまさか」
ラスタル「まだ分からんのか。お前はジャスレイに乗せられた、一杯食わされたということだ」
イオク「そ、そうか、そうだったのか! おのれジャスレイ、テイワズごときの内紛に、こともあろうにこのイオク・クジャンを利用するとは……もはや許せん!」

 一方、マクギリスと石動。

石動「イオク・クジャンが艦隊を率いて出撃するとの情報が入りました」
マクギリス「やはりな。放っておけ。高みの見物と行こうじゃないか」

 当日の戦闘に戻る。

イオク「ようし、今こそ悪を打ち砕く正義の鉄槌をくだしてやるぞ。全艦及び全モビルスーツ、全砲門開け!」
側近「お待ちくださいイオク様、それではテイワズとの」
イオク「ええいやかましい! 雑魚には目もくれるな、目標ジャスレイ艦隊旗艦、撃て!」
(ばーんばーん、どっかんどっかん)
ジャスレイ「うわイオクの野郎、なに血迷いやがった、俺は味方だぞ!」

(ジャスレイ艦隊は大混乱に陥る。その隙をついて三日月の新バルバトスが敵MSを一気に蹴散らしてジャスレイの旗艦ブリッジに突撃。)

> ジャスレイ「れ、連中は化け物か。う、うわー」

イオク「見たか正義の一撃、思い知ったか怒りの天誅! 皆の仇は討ってやったぞ!」(イオク様らしく感極まって滂沱の感涙)

 こんな感じでイオク様は未来の天然ラスボスとして生存しちゃうんじゃないかしらん。

 マクマードがもし結構腹黒なら、ジャスレイ死亡後にこんなことを言うかも。マクマードが自室でひとり言。

マクマード「ケリがついたらしいな。これでタービンズもJPTトラストも、わしの直属になったか。ありがとうよ、名瀬、ジャスレイ、それに鉄華団もな。フ、フフフ、フフハハハ」

 いやいかん、これはあまりに救いがない。ともかく、実際にはどうなるんだろう。ああ早く日曜来てくれ(^^;。

 ロボット物のご解説、楽しみにしております。私ばかりが面白がって、NOVAさんにはお手数かけてすみません。

Re: 2月のスレッド(2017) - White NOVA

2017/02/03 (Fri) 14:04:23

夜に書こうと思ったロボ考察ですが、昨夜は久々のスパロボプレイにハマってしまって(苦笑)。
で、今月末には、新作のスパロボVが発売されるので、ロボ熱が高まる時期。よって、ここでの書き込みも、あまり手数とは思っておらず、むしろワクワクしながら書いていることを改めて表明。

さて、今回は本題のマクロスの前に、

★ゲッターエンペラー

これは、ゲッターロボの派生作品「真ゲッターロボ」に登場した、未来宇宙の究極のゲッターですね。
元々、ゲッターロボは70年代に放送されたアニメ作品。同時に石川賢原作のコミック作品が発表され、そちらは若者3人の学園青春ドラマの趣のあるアニメと比べて、バイオレンス感覚満載の代物。
その後、90年代初めにリメイク風味のアニメ作品「ゲッターロボ號(ごう)」が作られ、そちらの原作も石川賢が担当。げんさくには、アニメに出ない究極のゲッター「真ゲッターロボ」が登場し、神にも等しい「ゲッター線の大いなる意志」という設定が語られました。

このゲッター線、元々は「かつて恐竜を滅ぼした宇宙線の一種で、ゲッターロボのエネルギー源」という程度の設定だったのですが、真ゲッターの登場に際して、「生物の進化と絶滅に関わる、意志を持ったエネルギー」というまでにスケールアップ。
まあ、イデオンにおけるイデのゲッター版といったところでしょうか。

その後、90年代半ばに発売されたゲームの「第4次スパロボ」に真ゲッターが登場して以降、ゲームとコミック、アニメがメディアミックスされながら、ゲッターロボの新たな物語が展開。00年代まで、OVAで「真ゲッター」「ネオゲッター」「新ゲッター」と別個のシリーズが作られ、原作コミックの一部引用しつつ、新たな世界観を構築。
その間に、コミックの方では、石川賢氏が、自身のゲッターロボ物語を年代記順につながる一つの大きな物語として展開。アニメでは、最初のゲッターロボと続編のゲッターロボG以外は、別々の世界観、いわゆるパラレルワールド的作品群であるのに対し、コミックは全部がつながっていて、ゲッターロボ史を形成。

そして、ゲッターエンペラーは、「ゲッター線と共に宇宙進出をした地球人類の操る究極のゲッター兵器」として、断片的に語られる存在です。
未来の昆虫型宇宙人が、彼らの時代にゲッターの侵略にさらされているので、過去にタイムスリップして、ゲッターの進化の元である真ゲッターを破壊しようと攻めてきたという設定なわけで、
主人公たちも、このままゲッターが進化していくと、宇宙がヤバいことになるので迷いながらも、とりあえず侵略してきた宇宙人は倒さないとな、とゲッターの力に頼らざるを得ない。これって、宇宙人がタイムスリップして攻めて来なければ、それを迎え撃つゲッターも進化しなかったのだろうから、宇宙人側の自滅行為じゃないのかな、と思いつつ、まあ、よくある設定ですね。

ターミネーターが来なければ、ジョン・コナーが未来の英雄として成長することもなかったんだろうけど、逆にターミネーターが来たことで、現代技術の発展が促され、元凶のコンピューター、スカイネットが生まれるきっかけにもなったという奴。

で、K.Kさんの紹介された「虚無戦記」ですが、そちらは作者が同じだけで、本来のゲッターワールドとは無関係ですね。時代小説風の世界観のバラバラだった短編コミックを、一つの時間軸で編集して、一大サーガにした作品。
よって、「虚無戦記」のボスというか背景設定であるラ=グースと、ゲッターエンペラーの対決ストーリーは、パロディ物における夢の究極対決みたいなもので、公式設定ではない、と。

まあ、ロボット物における夢の対決、共闘といえば、スパロボなわけですが、そちらでのゲッターエンペラーの扱いは、真ゲッターが究極必殺技を使う際に、背景に浮かび上がる演出のみの登場ですね。
必殺技発動時に時空が歪み、未来宇宙で暴れるエンペラーの姿がカットインされる、と。
さすがに、ゲッターエンペラーが自軍のユニットとして使えると、宇宙が終わってしまうので(笑)、使えませんが、それでもイデオンとか、天元突破グレンラガンとか、インフレしたロボット作品が使えたからなあ。

イデオンが倒されたり、暴走して制御できなくなると、ゲームオーバーになってしまった時もありましたね。

★リアルロボの流れ

さて、時代を飛び越えてゲッター話をした後で、イデオンに戻ってきたので、そこから。

80年代初頭にガンダムがブームになって、その後、ポストガンダムを模索する時期がありました。
イデオンがその筆頭と見られたのですが、類似点といえば、「母艦に搭載された主人公メカの機密を狙って追撃してくる敵軍と、それから逃げ回りながら各地を転戦する主人公たち」という初期の構図くらい。
物語テーマ的に、ガンダムの方は宇宙時代に「人々の認識能力が拡大されて、相互理解のできる新人類ニュータイプへの覚醒」を語っていたのに対し、イデオンの方は「誤解し、傷つけ合い、理解し合わないまま、互いを滅ぼし合ってリセットボタンを押された人々」という末路で、対照的な描かれ方をしました。

その次に、ガンダムの後継と見なされたのが、植民惑星デロイアの独立戦争を描いた『太陽の牙ダグラム』(81年)ですが、ロボットの活躍よりも背景である政治を主体とし、ミリタリー色の濃い物語は、リアル物の可能性を提示しつつ、その後の『装甲騎兵ボトムズ』に至るマニアック路線を開拓。
一方で、ガンダムの直接の後番組は『無敵ロボ トライダーG7』『最強ロボ ダイオージャ』というスーパー系の作品に一時回帰しつつも、82年にイデオンを終えた富野監督の新作『戦闘メカ ザブングル』が開始され、そこからリアル物の主流を開拓。ファンタジー異世界にロボを持ち込んだ『聖戦士ダンバイン』、地球とは異なる異星系ペンタゴナ・ワールドでの亡国の王子の冒険遍歴を描いた『重戦機エルガイム』、そして、それらで描いた要素を踏まえた上での発展作品『Zガンダム』と『ガンダムZZ』で現代に至るガンダムのシリーズ化を進め、1stガンダムのリメイク要素のある87年の『機甲戦記ドラグナー』まで毎年ロボット物を展開。

こと、ロボット物の歴史を語る上で、この80年代こそが質量、そしてバリエーションの豊かさにおいて、一番の頂点だと考えますね。
90年代以降の作品は、旧作のリメイクやパロディ、そして懐古風味のゲームとの二人三脚といった感じで、それはそれで刺激的な作品も多いのですが、やはり二番煎じ、三番煎じと言わざるを得ません。
もちろん、CGを始めとする映像表現の技術が飛躍的に発達したり、AIなどの現実の科学技術の発展を踏襲したSF設定や、多元宇宙といった概念の定着など、いろいろ面白い要素も見られるんですけどね。
ただ、自分にとっては、90年代以降は、アニメのロボットよりも、特撮のロボ描写が飛躍的に進化していた時期なので、エヴァ以降のアニメロボを総括して語る機会はなかったなあ、と。これについても、いずれ。

★マクロス

で、ようやくポストガンダムの最頂点と言うべき、この作品の話に移ります。時代は1982年。
ダグラムの地味さや、ザブングルのコミカルさに馴染めないアニメファンの目を引いた作品がこれ。

まず、陸戦型で戦場が砂漠や荒野であるイメージの強いダグラムやザブングルに比べ、空どころか宇宙も飛び回る可変戦闘機バルキリーの派手さ、華やかさ、爽快さは特筆に値します。
それまでのロボット兵器が、ガンダムも含め、そのパワフルさや、頑強な装甲による打たれ強さを強調しがちだったのに対し、バルキリーの魅力はその機動力にある。戦場をビュンビュンと飛び回り、機銃を連射しながら一撃離脱のドッグファイトを展開し、イデオンを受け継いだ尾を引くミサイル群の軌道描写などなど。
ロボット物に高速戦闘の魅力を提示し、バルキリー以前とバルキリー以降のスピード感の違いは明確。

まあ、特撮方面でも、当時は「宇宙刑事ギャバン」というエポックメイキングな作品が生まれて、変身シーンに代表されるアクションの変革が行われておりました。
ヒーローの変身や、ロボの合体・変形なんかは、作品の見せ場でもあるので、じっくりたっぷり描写して、その間、戦闘が一時中断するのですね。
変身なら、戦闘員との生身アクションでの間をうまく見計らって、じっくり溜めて「ルァイダーーー変・身!」とゆっくりポーズをとる。
変形や合体なら、「ゴッドバード・チェーンジ」とか「レッツ・コーンバイーン」とか掛け声から入り、ゆっくり変形ギミックや合体描写が描かれ、その間に主題歌なんかも流れたりして、たっぷり1分近く費やすことも。

しかし、ギャバンの場合は、生身での戦闘中に「蒸着」と叫ぶと、光に包まれ、たちどころにコンバットスーツが装着され、戦闘を続けたまま、高速移動で(やがては光球状態のまま敵兵をなぎ倒し)崖上に降り立つ。
その上で、従来のヒーロー通り、名乗りを上げ、ナレーションの解説が入る演出。「宇宙刑事ギャバンはわずか0・05秒で蒸着を完了する。では、そのプロセスをもう一度見てみよう」ということで、見せ場の変身演出は、戦闘を邪魔しないように後から振り返る形で挿入と。
これは、当時、映像作品をビデオで後から見るという時流に合わせて、生まれた発想だったり。

一方、バルキリーも従来の変形や合体のように、時間をかけたプロセスは描かず、戦闘中に戦闘機から人型ロボットへ瞬時に変わる。変形するときに、いちいち「バトロイド・チェーンジ」なんて叫んだりはしない。
ただし、中間形態のガウォーク(戦闘機に手足が生えた形)が設定されて、変形の隙間をうまくつないでくれる。空から着地際に手足を生やし、その後、地上に転がり込みながらガンポッドを連射しつつ人型になって、敵機を撃退するOPの描写がナイス。変形と戦闘アクションを同時に描いて見せるわけで、そのスピード感は、それまでのロボット物にはなかった演出。

ということで、今回はここまで。次もマクロスという作品の革新的なアイデア、演出を続ける予定。

Re: 2月のスレッド(2017) - K.K

2017/02/04 (Sat) 21:24:10

 NOVAさん、どうもです。

 新作スパロボで興が乗っているとのことで、ちょっと安心しました。と同時に、「ゲーム界での展開も、お話を伺えるかも」などと、欲張ったことを考えたりもしております(^^;。

●ゲッターエンペラー

 まずは、この話でお礼を。先に巨大すぎる敵・ラスボスについて書いて、石川賢ワールドでついていけなくなったなんて書き散らしてしまいましたが、なるほどゲッターシリーズでまず考えれば整理がついてくるのか、という思いです。とはいえ未だ五里霧中なんですが、足元をよく見てみたら白線が引いてあって、矢印まで描いてあるよ、なるほどそっちへ進めば、みたいな気持ちです。

 石川賢氏についてちょっと寄り道しますと、最初に「この作者は石川賢氏」と思って観た漫画のイメージは「あれ、永井豪氏みたいな感じの絵だけど」というものです。タイトルは「聖魔伝」で、やたらスケールがでかい話という印象があり、調べなおしたら原作は辻真先氏でした。

 もっとも途中を少し読んで、ほぼそれっきりです。終わりかけた頃にまた読む機会があって、聖と魔双方のラスボスがなぜか老婆の目玉に寄生(?)していて、なにか話し込んでたなあと。よく考えると、これが「石川賢氏の話は風呂敷でかすぎて、かつ小さすぎて分からん」という印象のきっかけだったかも(原作者がそうしたのに ^^;)。

 ゲッターロボの開始は70年代だったんですか。かつ、メディアミックス展開の走りの一つでもあると。うーん、私はどうしてこの作品を丸ごと見逃していたのか。アニメ、コミックどちらとも接点がなかったと記憶していて、ようやく作品の存在を知ったのはアニメ版でタイトルが真ゲッターだったと思います。

 NOVAさんのご解説前に、ウィキペディアのゲッターロボアークの項にゲッターエンペラーがあるのを見つけたものの、やはりよく飲み込めず。今回のご説明を受けて、ようやく分かってきました。たぶん私にとって最も大事なのは、「ゲッターロボの作品展開が複雑で、きちんと流れをくみ取ること」だったのだと思います。直前に混乱してしまっていたのは、例えばファンの希望と公式設定、原作での描写がごっちゃになっていたことがあると思います。

 なんとか理解したことのうち、ゲッターエンペラーについては、一連の作品内でも未完の大器だということですね。エンペラーが暴れまわる作品は現存せず、ゲッターシリーズに陰りを与える未来の存在、主人公の苦悩を招くものであると。おそらくは石川賢氏らしい、視点を変えると正義も変わるという、単純な勧善懲悪を排するような存在なのだろうと推測します。

 そんな存在ですから、他の系列の作品群の統合化である「虚無戦線」のラ=グースと戦うといったことはなく、石川氏の作品がもしさらに統合されていったら、そんなこともあるかもしれないというファンの願望みたいだったようですね。しかし、石川賢氏は残念ながら他界され、ゲッターシリーズだけでもその後はどうなるかは永遠の謎になってしまったということだったんですか。

 ようやく頭の中がすっきりしてきました。私が混乱しているポイントを突いたご解説、ありがとうございます。

 ゲームへの登場については、エンペラーみたいなもん、持て余すのは当然の成り行きですね。ゲームバランス整えたら、石川ファンから「こんなんゲッターエンペラーとちゃう」と怒られ、もちろんそのまま登場させたら他のキャラクター(ロボット)ではどうしようもない。イデオン持ってきて対抗しようにも、全部滅ぼすようなパワーの解放(暴走?)しかなく、それではゲームのバッドエンドしかない。うーん、遊びようがなさそうなロボットです、ゲッターエンペラーって(^^;。

●リアルロボ・マクロス

 こちらのご解説も大変参考になります。私の脳内のロボット物に関するミッシングリンクが補完されてきて、だんだんと日本フィクションロボット史がつながりつつあります。ガンダム→イデオンまでは追ってたんですが、その後が途切れてい待っていました。

 なんで途切れたかなあ、と今になって考えると、ニュータイプという概念になじめなかったことを思い出しました。最初は「凄いぞ凄いぞ」みたいな気がしていたんですが、そのうち「いや、これは何かが気持ち悪い」と思うようになりまして。ラスト近くになると、アムロに感情移入できず、シャアが出てくると安心するようにもなったり。

 当時はなぜなんだか分からず、自分の中の差別観みたいなものがあるんじゃないかと思ったんですが、どうも違うようです。作品での描写では、ご都合主義を感じた面はあります。ララァの死にアムロはショックを受けるんですが、よく考えると、それまでにアムロはニュータイプ能力を駆使して、多数の敵を瞬殺(文字通り殺している)しているわけで、そのときは何らショックを受けてない。

 しかし、それはそれで当たり前の面もあって、誰でも思い入れのある人の死はショックですが、見ず知らずの赤の他人だと、それほどショックになるわけではありません(現実の兵士での、敵兵を殺した後のトラウマ等は重要ですが割愛)。自分が生きるか死ぬかでもありますしね。

 作品にはそれほど嫌いになる要素がない。だけど、ガンダムン話をするのがだんだん嫌になったのは事実。ということで、非常に単純なことだったと気が付きました。他人とガンダムの話をするのが、嫌になっていったんですね。放映当時だと、(自分の周囲の)ファンの大勢としては、最終話以降も「ニュータイプは凄い、素晴らしい、人類の希望」みたいなものだったんですが、あまりにもニュータイプの概念のみもてはやす話についていけなくなったのでした。

 なんといいますか、スターウォーズのフォースではないですが、ニュータイプだって暗黒面あるじゃんみたいなことを感じても、そのことを言うと相手が嫌がる。こちらもニュータイプを単純に褒めちぎるのは嫌がる。となると、ガンダムの話自体をしなくなるわけですが、それを「どうも自分はガンダムが嫌いになったらしい」と勘違いしてしまった面が多々あったようです。もったいないことをしたなあ、と今では思いますが、当時は深く考えることはりませんでした。

 ガンダム視聴に復帰したのは、ガンダムSEED以降ですが、面白がるようになったのは2期のDESTINYからですね。OOは気に入りましたが、やはり1期より2期のほうがハマりました。AGE(途中脱落う)とレコンギスタ(全部観て後悔)はちょっと乗れず。鉄血は1期第1話からかなり熱心に観たものの、やはり2期から深くハマってます。どうも私は2期からハマる傾向があるようです。作品世界に慣れるのが遅いのかな。

 マクロス1stが始まったとき、再び観始めたい気持ちはあったんですが、公私とも多忙になり思うに任せず、飛ばし飛ばししか観られず。前にも申した気がしますが、緊迫した戦闘時に歌が流れるのは、どうも集中が妨げられ、なかなか集中できなかったこともあります(つい歌詞の意味を頭で追ってしまう)。歌+ドラマにうまく乗れなかったため、後続でさらに歌を打ち出されると、ちょっとついていけなくなりました。

 こちらでNOVAさんと話すようになってから、マクロスFでようやくマクロスのノリを受け入れられるようになりました。といっても、結局はほぼ最初からどんぴしゃでハマったマクロスデルタも、最初は戦闘時に歌声で慣れるまではちょっと集中して観るのに苦労しました。たぶん、次のマクロスが来たら、最初から問題なく没頭して観られるはずです。

 いかん、つまらない自分語りに。楽しめるようになったどの作品も、ここでお話させて頂いたお陰ですんで、ついここでは長々書きたくなってしまうのです。


 絶狼(今回はもしかして箸休め回だったか?)と鉄血(やっぱり明日のは波乱必至だよなあ)はまた後で感想を書こうと思います。

Re: 2月のスレッド(2017) - White NOVA

2017/02/05 (Sun) 01:36:26

書き込みペース的には、絶狼はぼくが先に感想書いて、K.Kさんが返信。オルフェンズは、その逆の流れでいいかなあ、と。

合間に、適度にロボ歴史とか考察とか。
で、今回は、絶狼と、マクロスの続き。
あ、そうそう、マクロスのTV新作は、2018年だそうです。デルタの続編か、完全新作かは不明。自分の願望は、新規主人公で始めて、デルタのキャラクターが後で合流して、ワルキューレとかウィンダミアのその後が語られるような話がいいかな、と。

とにかく、レディーMとか、デルタが語り残した謎なんかは、何らかの形でフォローして欲しいので。

★絶狼

アクション的には、まあ外れ回ですね。
アリスについて掘り下げた回なので、ヒロイン的にも外れ回(おい)。

今回、幼少期が描かれ、竜の卵の世話係に選ばれたような印象がありますね。瞳に卵の模様が映り込んでいるのは、それだけ卵に夢中になった心理描写の一環なのか、それとも何かの魔法的な刻印めいたものか。

竜騎士の方は、鎧召喚の際に、邪気が強すぎて体調を壊してしまうことが判明。強いけど、無尽蔵の強さではなく、身を削る仕様。
そして、卵を封じ込めた容器(籠イコールかご、と呼称)が、卵の成長を妨げているため、鍵となるアリスが必要。さらうためにカラクリ仕掛けの怪物を作成。
昔のヒーロー物風に言うなら、「行け、竜魔獣よ。あの娘をさらって来るのだ」って感じ? 強敵のボスが、毎回、怪人を送り出して、それをヒーローが迎え撃つというのは非常に分かりやすい作劇パターンですな。牙狼では、あまりなかったパターンかも。

竜騎士がアリスを狙ってくるのは分かっているけど、烈花は元老院への報告と、犠牲者の埋葬のために一時離脱。
零はボディガードを務めるものの、いつものホラー退治を休むわけにもいかず、目を離した隙に、アリスは「綺麗な物見たさの観光モード」で外出。

画家マルコ・ジョゼの絵に惹かれ、彼がモチーフにした街の名物の女神像に火が灯る20年に1度の祭りを見たい、とか。
もしも、この女神像が「竜に関係するもの」であれば、結構な伏線だったりもしますが、果たしてどうかな。
水に映った炎の灯る女神像が、火の鳥の翼のように見える、というのは、なかなか綺麗なイメージ映像。アクションがあまりなくても、こういう絵があると、感じ入ります。

アリス曰く、「たとえ、すぐに死ぬとしても、死ぬ前に美しい物を見ることができたなら、幸せだ」というもの。
ええと、自分はこのセリフで名作劇場の『フランダースの犬』を連想しましたよ。主人公の画家志望の少年ネロが、愛犬のパトラッシュと一緒に、念願のルーベンスの絵を見ながら、天国に召される感動の最終回。
で、名作劇場だと、マルコって画家の名前も『母をたずねて三千里』を思い出して、主題歌も口ずさんでみたり。

ともあれ、アリスを狙う竜騎士配下のカラクリを残り30秒ほどで退治した零。
その後、最後に、アリスと零の前に、カゴメ登場。アリスを狙っているかの素振りで、剣を構える零というところで続く。

次回のタイトルが「籠目」で、カゴメ主役回であると共に、卵を封印している籠にも被っているのかな、と。

旧作牙狼との比較でいうなら、今回の話は、「試練」の回。カオルが父親の遺した絵を修復しながら、その絵に隠された秘密(女神の手元が光に包まれて見えないこと)に気づくエピソードを思い出しました。
ヒロインが、絵に秘められた描き手の想いを知るようになる話。

★マクロス(つづき)

さて、前回は可変戦闘機のバルキリーがすごかった、そこから高速戦闘の時代になった、で話が終わったわけですが、
この時期の日本SFはアニメも特撮も、『スターウォーズ』の影響が非常に大きかったです。ガンダムのビームサーベルも、宇宙刑事のレーザーブレードも、スターウォーズの真似事ですし、帝国軍の歩行戦車ウォーカーをデザインモチーフにした多脚戦車はダグラムのクラブガンナーとして登場。
そして、バルキリーの高速戦闘も、スターウォーズに負けない絵作りを目指した成果とも言えます。

さらにバルキリーの凄いのは、従来の変形ロボがロボのデザインが主で、飛行形態はあくまで未来SFじみた「翼の生えた飛行物体」でしかなく、空想的なデザイン。
一方のバルキリーは、現実にある戦闘機が主で、そこから人型に変わる仕様。当然、バトロイド形態は細身で、従来のガッチリしたロボとは異なるシルエット。

そして、設定的にも、バルキリーは主人公専用ではなくて、同じ小隊に所属する隊員はみんな同じ性能の機体に乗るわけですね。隊長機だけが頭部の形が違っていたり(機銃4本のSタイプ)、主人公が機銃2本のJタイプ、一般的なのは機銃1本のAタイプで、多少のデザインの違いやカラーリングの違いはあっても、バルキリーは高性能な量産機で、主人公だけ特別に高機能というわけでもなかった。
まあ、番組名でも、母艦のマクロスがメインであって、その意味では『宇宙戦艦ヤマト』におけるコスモゼロとかの系譜。

この主人公そして、その機体がとりたてて特別扱いではない設定は、一作目では徹底していて、
たいていのロボ物では、主人公が最強の戦士、あるいは最初は未熟でも成長してそうなるように描かれていたのに対し、マクロスの主人公の一条輝は、最初は新人パイロットで、部隊隊長の先輩ロイ・フォッカーの方が優秀。まあ、輝もフォッカーが優秀な民間パイロットの後輩を軍にスカウトするぐらいは優秀だったのですが、本編では軍人としての未熟さばかりが強調されており、女友達のミンメイとの関係ばかりを気にしたり、上官の早瀬美沙からの叱責をしばしば受けたり、などなど。
やがて、フォッカーが戦死し、輝が彼の機体を受け継いで、隊長に出世するわけですが、部下のマクシミリアン・ジーナス(マックス)が天才パイロットぶりを発揮して、エースの座は部下の物に。
スパロボでマクロスが登場した際も、能力的にはフォッカーとマックスの方が優秀で、しかもフォッカーが戦死しないものだから、輝はバルキリー乗りの間でも3番手に甘んじる立場。決して弱くはないのだけど、どうにも地味な立ち位置。

だけどまあ、マクロスの最強兵器は、歌手として成長するリン・ミンメイの歌ですからね。文化を持たない敵ゼントラーディに対して、戦意を喪失させて陣営を混乱させる絶大な効果を上げ、絶体絶命の戦力差を逆転させるだけでなく、相手との講和にまで至る流れ。「戦闘ではなく、歌が勝敗を決する物語なので、主人公にも戦闘能力が求められたのではなく、歌手の女の子のモチベーションになる恋愛関係のドラマが求められた」と。
もっとも、第1作は、敵に歌が効果あることは最終決戦近くまでは知られていなかったので、序盤から中盤にかけては純粋にSF戦争ドラマ。主人公は、軍人として成長しながら、歌手としてデビューして人気アイドルになった女友達ミンメイとの関係に流されつつ、仕事と私生活を何とか両立させようと頑張ってきた。そんな展開で、まさかの歌が勝利の鍵になるなど、見ている視聴者が「デカルチャー!」と叫びそうな流れだったり。

ガンダムで難解なニュータイプ論の希望を描き、イデオンで分かり合えない人類の絶滅を描いた後で、マクロスで「歌や文化の力で、和解に至るドラマ」にまで到達。
今でこそ、ありきたりになっていますが、当時はいずれも「誰も見たことがないストーリー展開」だったわけで、時代の改革者になったと改めて振り返るに実感する、と。

なお、マクロスの革新は他にもあって、高速戦闘が魅力のバルキリーに対して、従来のパワフルなロボ像というのは、母艦のマクロス自身にありました。
全長1キロの巨大戦艦が、トランスフォームと称する形態変化を遂げ、肩に砲身を掲げた人型っぽい姿に変化。そのまま腕部に装着された戦艦ダイダロスを敵艦に突き刺し、内部に重火器を撃ち込む豪快なダイダロス・アタックを披露するなど、マクロスすげえ、と思わせたり。

変形してロボになる母艦といえば、当時ザブングルのアイアンギアーもありましたが、いかにも味方戦力の切り札という感じで、話を盛り上げたり。

そんな、いろいろと斬新なマクロスでしたが、イデオンの呪縛というのがあって、敵の猛攻で「地球滅亡」を迎えてしまうんですね。
それまでのSFロボット物が、「地球の平和を守るために人類の敵を迎え撃つ」のが基本の作風ですので、さすがに「地球が滅びる負け戦」というのは禁じ手だったのですね。一番の危機だったのが、『宇宙戦艦ヤマト』の「遊星爆弾によって、放射能に冒された地球があと一年で滅びる」展開ですが、それでも地下で生き延びた人たちはいて、ヤマトに希望を託した。
でも、ガンダムのコロニー落としで、総人口の半数を死に至らしめる悲劇があったり、イデオンと同時期の『宇宙戦士バルディオス』で敵の作戦である「極地の氷を溶かす大津波作戦」を食い止めることができず、地球全土が津波に飲み込まれて打ち切りエンドを食らった話があったり(東日本大震災の際に、懐かしロボットファンの間で話題になった。その数年前に、バルディオスがスパロボに参戦していたのもタイムリーだったわけで、ゲームでも津波を止められなければゲームオーバーになったりする)、まあ、地球を守れなかった作品もあった時期なのですが、そのいずれも「物語が始まる前の背景」であったり、「滅亡して終わり」だったりして、「滅亡してからの再生」を描く話はなかなかなかった、と。

でも、マクロスはそれを描写したわけですな。
ゼントラーディの総攻撃で地球上の人類は壊滅状態になります。残されたのは、「都市宇宙船マクロスに乗っていた人たちだけ」。
そこまで追いつめられたマクロスが、人類の種の存亡を賭けて、リン・ミンメイの歌に最後の希望を託して、ゼントラーディの主戦派の首領ボドルザーに対して、突撃を敢行するのがTV版および劇場版のクライマックスに当たります。
そして、この決戦でボドルザーを倒し、歌と文化を学んだ他のゼントラーディ人との和解を果たして、残されたマクロスの住人たちが地球再建を志す流れ。

TV版では、放送延長の機に恵まれ、終戦後の物語も描かれます。まあ、戦いを忘れられない一部のゼントラーディ兵士の暴動や、それを鎮圧する輝たち軍人、またゼントラーディの女性ミリアと結婚したマックスの子育てとか、アイドルとして下火になったミンメイの落ちぶれた生活とか、陰鬱だったり、生々しい割に、どうにも盛り上がらない蛇足展開と評する向きもあったのですが、戦いよりも軍人や民間人の日常生活を主体とした後日譚というのも斬新というか、そういうのがあったからこそ、最近のアニメも「日常回なるものが定着」するきっかけになったんじゃないかな、と。

そして、最終回は、滅びた地球の再建が軌道に乗り、さらにゼントラーディとの共生から、いろいろと新技術や宇宙の知識を獲得した地球人が、移民船団を創設して、銀河の深奥を目指す新出発で終了、と。
戦いを忘れられないゼントラーディの不満も、「宇宙開拓のための護衛部隊に参加」という形なら納得できるだろうし、まあ、その後のマクロスシリーズの作品では、「ゼントラーディとの混血」とか普通に登場しますからねえ。

PS.次は、マクロスの後を受け継いだ作品として、「トランスフォーマー」の路線と、「レイズナー」を語りたいな、と。
実は、その2作品から「喋る巨大ロボット」という系譜が復活して(70年代ではタツノコプロの系譜がいち早く描いていたのだけど、リアルじゃないとの理由で80年代頭には廃れていた)、90年代のロボの系譜を語る上では外せない作品と考えています。まあ、自分が元々、話題に挙げたかった人工知能AIにもつながって来ますしね。

もちろん、場を借りているわけだから、K.Kさんのリクエストなどあれば、それにも応じてみたいと思います。

Re: 2月のスレッド(2017) - K.K

2017/02/06 (Mon) 11:58:54

 NOVAさん、どうもです。

 マクロス新作、それもTVシリーズとの情報ありがとうございます。そわそわしてしまうほど嬉しがっております。でも来年ですか、うーんまだ先、待つのが長いなあ。私の希望としては、「デルタで解決した問題は氷山の一角、実は全体の流れでは」みたいなものです。

 前にデルタ最終回で、あれこれ未解決のまま、雰囲気だけハッピーエンドに不満を漏らしましたが、まあデルタのメンバーがハッピーなのはいいです。作品が提示したものを、もうちょっと追いかけていってほしいんですね。解決はしなくてもいいと思っています。歌を追って別の宇宙へ、なんてものだと、それこそマクロスシリーズ究極の謎みたいな感じがありますんで。そこまでは解決して欲しいわけではない。

 デルタが作品世界的にはどうも尻切れトンボが過ぎるように感じたので、もう少しはどうなってたか見せて欲しいなという気持ちです。
(ただ、その場合でも幕切れは、「もうちょっと種明かしして欲しい」という気になるものを期待したい (^^;。デルタのラストは「もうちょっと」感のバランスが悪かったのです。)

 先日の土曜プレミアムの最後のとこだけ偶然見たら、「アナと雪の女王」が3月4日(土)に放映予定とのことです。ピクサー映画は最近気になるところで、観たいなと思う映画でありがたいんですが、「ズートピア」はいつになるのかなあとも思います。アナ雪は面白いと感じたら、感想をここに書くかもしれません。NOVAさんがご覧になって、もし面白い点がおありでしたら、お伺いしてみたいですね。

●マクロス1st

 ネットの関連情報なんかで補ってもなお断片的な記憶が、NOVAさんのご解説により、だんだんとストーリーとしてつながって来た感じです。

 ゼントラーディが地球を壊滅させる話は部分的に見た記憶がありまして、ゼントラーディの地球侵攻先遣部隊が思うような戦果を挙げないことに業を煮やしたのか、ゼントラーディの大艦隊が来襲してしまう。確か「監察宇宙軍」と呼んでいたような。500万隻の宇宙艦隊だったような記憶もあります。

 この絶望的に多い監察宇宙軍に対し、地球では地下に砲身を設置した巨砲を撃ち、地球の実力を示して有利な講和に持ち込もうとする。しかし、それに反対する人の予想通り、巨砲は敵にわずかのダメージを与えたものの、500万隻の監察宇宙軍の委細構わぬ反撃を受けて地球は壊滅と。

 マクロスを中心とする地球残存部隊は、相互理解が進みつつあったゼントラーディ先遣隊と独自に講和、監察宇宙軍に対し、歌を中核とする反撃作戦を行い、という流れだったような。断片的な記憶頼りなので、いろいろ間違いがあると思います。

 当時の印象は、「マクロスって、なかなか意外で深刻な話するじゃないか。ぎりぎりで踏ん張って大逆転みたいなセオリーは使わないのか」というものでした。今になって思うと、巨砲で反撃を試みた地球の動きって、第二次大戦末期、大艦巨砲主義をついに捨てきれず、制空権も失った(必然的に制海権も)にも関わらず、「一撃して有利な講和を」と無駄に足掻いて、ついには原子爆弾の攻撃を招いた日本の歴史をモチーフにしていたのかな、などと思ったりします。

 メカ的にガンダムと比較しますと、ガンダムでは量産機が活躍するのが敵のジオン軍であるのに対し(メカ的にはジオン好きだったなあ)、マクロスでは主人公サイドが量産期ベースということがあったのですか。言われてみると、その通りですね。マクロスのビジュアルを最初に見たとき、バルキリーのカッコよさ(特に戦闘機と二足歩行ロボットの中間形態)に目が行ってて、位置づけみたいなことはあまり考えてなかった記憶があります。主人公も量産機搭乗なら、一体しかない貴重な決戦兵器的なロボットはといえば、それは超巨大なマクロス艦が変形すると。なるほど、そういうことだったのか。

 イデオンとストーリー的に比較しますと、NOVAさんのご解説を受けて考え直してみると、敵との対立の解決が、「バカは死ななきゃ治らない」のイデオンに対し、「一緒にカラオケすればいいじゃん」のマクロスということがありそうですね。

 私からのリクエストにお応えいただけるとの、ありがたいお言葉ですが、今のところはNOVAさんがご自分なりにお考えのご解説を拝読したいですね。実際のところ、私のほうは取っ掛かりからして不足の状態です。それにゲッターエンペラーなどの、私のとりとめのない余談にフォロー頂いてますし。

●絶狼

 NOVAさんのご感想通り、アクションは薄めでしたね。ヒロインをクローズアップする狙いのようですから、仕方ないのかな。これもNOVAさんのご指摘と同じことを私も思ったのですが、女神像(特に水面を鏡として鳥に見える点)や画家が、今後の伏線として出るかどうかも気になりました。

 本編ですが、冒頭、竜騎士が何か苦しそうにして、牙か爪みたいのを弾き出す感じの描写がありましたが、なんだったのかな。前回の戦闘のダメージの回復とかか? 続いて竜の卵を封じ込めた籠(←NOVAさんの呼称を頂きます)を力尽くで開けようとするも、全く籠に歯が立たない模様。そんな非力のはずがないと思ったんですが、よく考えたら全力をぶつけて卵ごと叩き壊したら意味がないわけで、当たり前なのでした。

 そうなると、開ける鍵が必要で、鍵はアリス、となりますね。籠がフェードアウトして、そこへ眠るアリスの顔がフェードインしてくる(さらに目を覚ます)のは、もう露骨にそのことを示唆しています。その頃、バーでは零が、えっとこれは酒? やけ酒? 一応、飲めるし、いらつくと酒を飲む癖もあったりするのかな、あれだけの甘党でも。

 思い出していたのは、烈花配下の竜騎士に殺された3人の魔戒法師のことなどですか。その辺り、非情に徹する朴念仁気質(^^;)の鋼牙のほうが上の感じで、人情が分かる零はおそらく情に流されやすい面もあるのでしょう。バーのマスターも、そういう零の動揺を和らげるよう配慮している模様です。

 そしてアリスが起き出して降りてきて、子どものころに竜の卵を見た回顧談ですか。NOVAさんのご指摘で、あっと思って観なおしたら、確かに子どものアリスの目に竜の卵が映り込み、まるで瞳に紋様があるかのようですね。これはきっと、なんかありますね。背景が絵本の絵のようであるのも、もしかすると何か意味があるのだろうか。そしてアリスと卵を引き離す大人のシルエットとなるわけですが、ナウシカを思い出しました。オームの幼生をかばおうとして、大人に引き離されるシーンです。

 お留守番を言い渡されたアリス、部屋で画集を見つけ、例の絵を見て「きれい」と言い、きれいと思ったら見に行ってしまう。ラストの種明かしされてからその絵を見直すと、確かに横倒しにして鏡像的に描いてあるのが分かりますね。右側に女神像を眺める人々が横倒しで描かれているし、羽根に描かれた目は確かに女神像の頭部辺りにある(金色の円は打ち上げ花火か、それとも月か?)。

 この後の老画家(マルコ)が絵を描くシーンでも、画集の表示を横倒しにして鳥を横向き(女神像的には正立)にして描いています。オチを知っていればあからさまですが、よもやそんなこととはこの時点では気が付きませんでした。監督さん、「このヒントで気が付くかな?」などと思いながら作ってたんじゃないでしょうか。

 しかし、仕掛けを施しておいて、さらにミスディレクション、老画家が両腕を広げて飛び降りるシーンになり、いかにも絵が鳥だと思わせるテクニックを使ってますね。なんだかもう、ミステリレベルの仕掛けのような気がします。ともあれ、この飛び降り自殺は、実は自分が実際の女神像が想像で描いた通りになっているか、自分の目で確かめようとした画家の狂気といったところですか。

 一方、竜騎士はガンキコンという感じで即座にロボット風使い魔を作り、アリス捕獲を命じて放つ。バーではまた画集を眺めるアリスですが、どうやら鳥の絵と女神像の関係に気が付いた模様です(ここも視聴者へのヒントとなっているんでしょうけど、私は全く気がつかずorz)。確かめに行こうとするアリスですが、おやおや、出ようとすると入っちゃう不思議な札が貼ってあるのか。便利な札だな。猫飼う人が欲しがりそうです。が、ブレーカー落とすと出られちゃうの? 電気仕掛けのお札?

 アリスがのこのこ20年に一度の女神像の祭りに現れ、女神像を真横から見るポジションでカメラを構えると、竜騎士の使い魔ロボットが現れ、アリスを自分の中に捕らえる。竜の卵は籠に封印されてるし、アリスは使い魔に閉じ込められてるし。しかし、しょせんは雑魚ロボ、あっさりやられましたな。むう、この後の飛び降りるアリスと絡めたりすると、もうちょっと見せ場になるバトルになると思うんだけどな。

 そしてアリスも飛び降りてみて、老画家マルコの絵の謎を解いて、自分なりの哲学を語る。個人的には全く賛成できないですね、見たい景色を見て死ぬのは幸せ、見られずに生きるのは不幸という見解。しかし、これは老画家とアリスに、何らかの共通性があるということなんでしょう。画家と写真家ですしね。

 もちろん、もしかするとあの女神像だから、ということも伏線の可能性として考えておくべきなんでしょう。女神像が鳥に見えるというのは、竜の卵に関する何らかのカギ(封印とか封印解除とか)になっているかもしれないということですね。

 アリスと零が連れ立って歩くシーンで、アリスが零の髪を「それって天パなの?」と聞いたことで、はっとしました。「ああ、零のイメージががらりと変わって見えるのは、10年経っただけじゃなく、ヘアスタイルのせいもあるかもしれないな」ということです。

 そして、カゴメ登場。アリスを籠の鍵であることを見つけ、零と対峙するところで次回へ。来週は冒頭から波乱になりそうです。予告編の画面もちょっと派手めか? NOVAさんも気にされたように、タイトル「籠目」からして、カゴメを軸にする話になりそうな気がします。

 余談。

> アリスを狙っているかの素振りで、剣を構える零というところで続く。

 どうも誤読しがちで、最初「素振り(すぶり)で」と読んでしまい、「いや、スブリなんてしてなかったような」と思って混乱し(イメージ:カゴメが零らを無視し、あさっての方向を向いて剣をビュンビュン振ることを繰り返す)、しばらく考えて「あ、ソブリか!」と気が付きました。あの文脈でどうして「スブリ」なんて読めるのか、馬鹿者!>自分orz

●鉄血のオルフェンズ

 NOVAさんの予想がほとんど当たってましたね。観ていて既視感が来るほど、というと大袈裟かもしれませんが、それに近い感覚を覚えたのは事実です。イオクがジャスレイの応援に駆けつけない、マクマードが鉄華団の肩を持ってジャスレイを見放す、怒りの鉄華団(特にオルガ&三日月)の前にジャスレイはに抗しきれずに倒される、といった点、まさにどんぴしゃでした。

 マクマードさん、変に疑った予想(悪の黒幕的妄想)なんかしてしまい、すんませんでした。采配全て、見事に漢でした。でも、イオク様には謝らんぞ(^^;。

 本編は冒頭から、鉄華団がアドモス商会(クーデリア)と手を切るとの交渉、いや通知で始まり、鉄華団の復讐戦への力の入れようが半端ではないことが窺えます。ただ、このシーンでの地球圏での交信傍受の模様からすると、復讐戦後のタイミングのようですね。カタが付いたので、迷惑がかからないように手配しているのか。

 OP後はいきなりジャスレイ対鉄華団の宇宙での戦闘、しかも既に戦力15%低下とか、ジャスレイ側が押されている模様です。いきなりかなりすっ飛ばしてきましたね。双方、戦力的には母艦数隻にMS多数といったところですか。なるほど、だからギャラルホルンの戦艦部隊が頼り、決め手になるのか。

 マクギリスは一連の動きは把握しており、鉄華団の勝利まで予測しているようですね。数で劣っても戦意が物を言うということなんでしょう。飛び道具主体の遠距離戦では数、火力が物を言うはずですが、MSの接近~白兵戦だと、死ぬ気でかかってくる兵と生き残りたい兵の戦意や勇猛さの差があらわになり、傭兵かき集めて、兵数で多少上回ってもダメということなんでしょうね。
(字幕を出すと、ジャスレイ側のパイロットが「傭兵」と出て来ますし、ジャスレイの「どんだけ金払ったと」の台詞もある)。

 ジャスレイの頼みの綱、イオクは来ない。イオク艦隊で鉄華団を一掃し、マクマードを逮捕させて、自分がテイワズを乗っ取るつもりが、どうも当てが外れた。ざまあみろ。


 焦ったジャスレイはお決まりの奥の手(^^;、阿頼耶識部隊を投入と。前に海賊も使った手で、視聴者としては「そのくらいでは勝てん勝てん」と分かっている戦術です。むしろ、鉄華団員の中に心配する者がいましたね。阿頼耶識兵同士で戦うのは抵抗があるんじゃないかとか。この点、個人的には先に申したニュータイプへの私の疑問を突いている感じがして、おやと思いました。しかし、鉄華団の阿頼耶識部隊はそんなことは意に介さず、敵なら倒すのみという気持ちだけのようです。

 CM後、ジュリエッタとヤマジンの会話。ヤマジンはさらに強くなりたいなら、「ヤツ」みたいな人間ならざる者になるしかないみたいな話をする。「ヤツ」って、やっぱり仮面のあの男のこと?

 さて、ジャスレイ vs 鉄華団の戦いにシーンは戻り、敗勢のジャスレイはマクマードにすがってとりなしてもらおうとする。マクマードははねつけ、とどめとばかりイオクが来援しないと教え、ジャスレイが自分にとって代わろうとした野心を指摘、突き放して通信を切る。通信後、マクマードの独白で鉄華団と名瀬に対する心情を語っています。相当に買っていたようですね。(マクマードさん、ホント疑ってすんませんでした。)

 敗色濃厚、孤立無援のジャスレイはそれでも諦めず、オルガと通信回線を開いて懐柔にかかる。もちろん、そんな手が通用するわけがない。それでも這いつくばって許しを乞えば、部下くらいは助かったかもしれませんが、あくまでも上の立場を誇示したがったもんだから、問答無用とばかりに三日月によりグシャっと。はいお疲れさんでした、小者のジャスレイさん、テイワズNo.2は身に過ぎた地位だったみたいでしたな。

 そんな鉄華団母船やクーデリアへ、地球圏の通信が。この放送はオルガは承知していたみたいですね。そろそろ時間だ、なんて言ってたし。ライザなる人物(調べるとマクギリスの部下なのか)の演説で、ギャラルホルン上層部に対して公然と反旗を翻しましたな。反乱勃発です。鉄華団がテイワズを離れるタイミングを狙ってたんでしょうね。Aパートでのマクギリスが我々も動くみたいなことと言っていたのは、このことだったのか。てっきり、ジャスレイと戦闘中の鉄華団の救援なのかと思ってました。

 ラスト近くのオルガと三日月の会話、オルガの「兄貴はどう思うかな?」(兄貴は名瀬ですよね)に対し、三日月が「怒るんじゃない」と当たり前のように言ったのが印象的です。三日月(とオルガ)は名瀬が鉄華団を安全圏に置こうとしたことを理解してたみたいですね。それを知った上での、やむにやまれぬ今回の戦いだったということですか。

 ラストはクーデリアの独白。

「こうして鉄華団は進み始めたのでした。あの日への道を」

 うわあ、回想モードで思い切り不気味なこと言っちゃったよ。こういう演出(回顧的ナレーション)するということは、「もうこの先は一本道」と制作が伝えてきているに等しいような気がします。この流れでハッピーエンドを予想するのは難しい。だとすると、とどうも気が重い感じです。ただし、悲劇なら悲劇できちんと観たいからこその気の重さですね。観てるこちらも腹くくりますよということで。

 次回「たどりついた真意」とのことですが、誰のどんな真意なんだろう。あれこれあり過ぎて分からない感じです。

Re: 2月のスレッド(2017) - White NOVA

2017/02/08 (Wed) 01:58:47

★オルフェンズ

ジャスレイとの決着については、大筋は予想どおりの展開でしたが、違った点を挙げておきますと、

1.イオク様が結局、戦場に来なかった。

これは、マクマードの親父さんが自分の想像以上に有能で、「裏でラスタルと話をつけて、イオクが出張って来ないようにした」というのが大きいですね。

自分の予想では、イオクが遅れた原因が、マクギリスの策にはまって、と考えておりましたが、まさかマクマードさんがギャラルホルンのトップと直接、連絡を取れるほどの関係を持っていたとは思いも及ばず。
逆に、イオクごときと連絡とりあって喜んでいたジャスレイが、いかに小物だったかが浮き彫りに。

2.ジャスレイがさっさと戦場に出てきた。

てっきり、自分は奥に引っ込んで、テイワズの主力と鉄華団をぶつける計画だと思っていたのですが(だからこそ、マクマードがジャスレイを前線に送る段取りが必要、と予想)、自分から勝手に前線に立つとは思わなかったなあ。
しかも、それだけ自信があるのだったら、さぞかし強力な配下を従えているのかと思いきや、戦力は「金で雇った傭兵」任せで、切り札が「ギャラルホルンのイオク」頼り。自分の手持ちの戦力はないのかよ。

前に戦った宇宙海賊みたいな武闘派かと思ってみたのですが、金で話をつけようという悪徳商人みたいな奴で、用心棒の旦那がいなければ戦場では何もできないような奴だった。
しかも、時代劇の商人なら、用心棒の旦那にはそれなりの敬意を持って接するのに、ジャスレイは「優秀な武術の腕前を評価する」ような身の処し方とは無縁で、何だか周りの全てを見下す小者だったことで、いろいろがっかり。曲がりなりにも、テイワズのナンバー2なのに、ここまでバカだったとは。

鉄華団に対しては、宇宙ネズミの雑兵どもと侮っていて、その戦力がどれほどの物か、真面目に情報を集めていたわけでもなさそう。優秀な商人なら、競争相手にしても、同盟相手にしても、きちんと調べた上で次の手を考えるものなのでしょうが、相手を侮って、他人任せの挟撃作戦でねじ伏せようと思ったら、イオクが来なくてプラン崩壊。
マクマードの親父に泣きつくも(たぶん、これまでもそうやって尻ぬぐいをしてもらったことがあったに違いない)、今度は見捨てられた。

たぶん、マクマードの親父さんから見たら、ジャスレイは「バカだけど可愛い子飼いの部下」だったんだろうなあ。だから、それなりに大きな仕事も任せてやったし、権力さえ与えて、お膳立てさえ整えてやれば、ある程度、無難に組織を回すことぐらいはやってのけた。
ラスタルさんにとってのイオクさんみたいなもので、余計な慢心を起こさず、組織の一員として部下の掌握と威光の維持に務めていれば、優秀な能吏として多少の失態は尻拭いしてやれた。
だけど、ジャスレイは、尻拭いしてもらったことも恩に着ず(あるいは尻拭いしてもらったことにも気付かず)、自分が優秀だから組織で重要なポジションを務めている、自分はテイワズでは欠かせない人材だ、親父にも見込まれている、と慢心肥大化していったのでしょう。

しかし、そこに名瀬が出てきた。
マクマードさんは、既存の組織を回す人間としてジャスレイを扱いつつ(そういう運営手腕ぐらいは持っていた)、新規開拓のできる有能な新人として名瀬さんを、組織に必要な戦力として重用した。
保守派のジャスレイと、組織に新しい風をもたらす名瀬ならバランスが取れると、マクマード視点では考えたのかもしれません。

ここで、ジャスレイが、新人の名瀬が自分のライバルにはならないと割り切って、もっと大らかに振る舞っていれば安泰だったのでしょうが、それができるほど寛容ではなく、また、マクマードの関心が名瀬に移ったと誤解。
名瀬をつぶさなければ、自分の立ち位置が脅かされるとまで考えたのか。

こういうジャスレイの鬱屈した気持ちを、マクマードが察して、「名瀬に期待するもの」と「ジャスレイに期待するもの」は違うのだから、ジャスレイはジャスレイのやり方で今までどおりやればいい、と立場を保証してやれば良かったのかもしれませんが、
普通は組織で長年一緒にやって来たのだから、「そんなことはわざわざ言わなくても分かっているだろう。ケツの青いガキじゃあるまいし」と考えそうなもの。まあ、ジャスレイは組織でぬくぬくと育って甘やかされてきたから(この点、イオクと共通)、マクマードの想像以上にケツの青いガキだったのでしょうな。

名瀬については、新人だから、よけいにマクマードさんは親身に面倒見てやったのでしょうな。ジャスレイにない漢気を見込みつつ、その漢気から、ジャスレイが何かを学ぶことができたら、ジャスレイの方も一皮むけて、組織の後釜を託すに足る男に成長するかも、と内心、考えていたのかも。
ジャスレイが、名瀬の兄貴分として、酒でも飲みかわして本音で語り合う機会でもあれば良かったのでしょうが(そうすれば、名瀬がテイワズのトップを狙うような野心を持っていないことが分かるはず)、その辺は馬が合わないというか、少なくともジャスレイが新人の名瀬と語り合うような度量の深さは持っていなかった(組織のトップになるには必要な素養なのだろうけど)。

結局のところ、マクマードは時代の変革の風を感じて、名瀬や鉄華団のような熱気ある若者を迎え入れようとしたのだけど、ジャスレイはそこまで柔軟かつ寛大な振る舞い方ができず(時流の変化にも鈍感で保守的)、自己の権益の維持だけしか頭になく、そして恩あるマクマードの方がそれを脅かすようになったと見るや、相手を老いたと断定(自分よりも新人に目を掛けている理由を思い当てられず、自分を蔑ろにされたと一方的な僻み根性を露呈)、下克上を企てようとして失敗した。

こんなところでしょうか。

まあ、話を考えている人が、そこまでジャスレイの内心を作っているかどうかは分かりませんし(ただの小悪党以上の設定はなしという可能性も大)、自分の単なる脳内補完かもしれませんが、ジャスレイがあまりにもバカだと、テイワズという組織の沽券にも関わるので、
「平時では、それなりに有能だったジャスレイが、時代の変革期に、保守的な気質や狭量さが災いして、新しい風を受け付けられずに滅びへの道をたどった」と解釈しておきます。

3.ギャラルホルンの革命勃発

テイワズの紛争が前座でしかなくなるほど、一気に世界の情勢がきな臭くなって来ましたな。
こういう時流の急変は、今回の話が一段落して、それから後日譚を描いてから次週の終わりに、ぐらいに思っていたら、一気に加速した感です。

考えてみれば、「名瀬の死」「ラフタの死」に続いて「仇討ちから引き続き、革命への参戦決意」と3週かけて、鉄華団の孤立化に話が進んでいますな。

第2期では、地球での国家の後ろ盾を得た企業経営から始まり、それを脅かす海賊退治までは上げ調子だったのですが、ギャラルホルンが裏で手を引いた国家間紛争に巻き込まれて地上からの撤退を余儀なくされ、その後、火星の王という餌をちらつかされて、MA退治などで共闘しながら、マクギリスと結託せざるを得なくなる。
後は、マクギリスが鉄華団に対して、内心ではどういう思惑を持っているかが、物語の鍵になりそう。

鉄華団としては、これまで降りかかる火の粉を払うだけのストーリー展開で、陰謀企んでいるのはあくまでギャラルホルンとか、ジャスレイとかぐらい。でも、ここからは鉄華団の方がアクティブに動く流れか、あるいはマクギリスの敷いたレールをひたすら走らされる展開になるのか(かつてのタカキたちが先の見えないまま、戦場で戦わされたように)。

あと、今回の話で気になったのは、ミカヅキさんに認められて、嬉しそうなハッシュ君ですね。彼が生き残ってくれれば、他の鉄華団の面々が犠牲になっても救いがあると思いますが、何だかミカヅキの楯になって散りそうな予感。

それと、ジュリエッタもどうなるか。
声優さんは、来週からの新戦隊のピンク(非人間の着ぐるみキャラ)の声を担当するとのことですが、こっちでも人間やめそうな気配が濃厚で。
まあ、改造されてメカジュリエッタになっても、それはそれで、自分のツボだったりして。

もっとも、ジュリエッタのライバルになりそうなキャラは、アミダ姉さんもラフタも逝っちゃったので、競い合うとしたら昭弘ぐらいか。
ミカヅキ相手だと、何の感慨もなく斬殺されそうなので、戦果を挙げるとしたら、昭弘と相打ちぐらいが許されるかなあ。
いや、まあ、暴走してイオク様をやっつけて、そのまま自爆というオチも、余計なヘイトを撒かなくてもいいかなあ、と思いますがね。
イオクが自分を見限ったラスタルに逆ギレして、下剋上を実行するも、それでジュリエッタの怒りを招いて、だったら、自分は納得しますね。

一番嫌な展開は、名瀬さんとアミダ姉さんの遺体を回収したイオク様が、二人の肉体をMAに組み込んで戦場に投入することですが、そこまでエゲツない話を作るかなあ。でも、わざわざ遺体を回収ってセリフを語るなら、何かに利用されそうな気もするしなあ。
かろうじて意識を残した名瀬MAが、操られるままに鉄華団に襲いかかって、泣く泣く兄貴を倒さなければならないオルガの姿を描くなら、まあ、イオク様も悪役としての面目躍如ってことで。
そこまでやらないと、イオクもジャスレイのやったこと(ラフタ殺し)には及ばないと思いますし。

いろいろ妄想をたぎらせつつ。

PS.ロボ話は、今週はお休みにします。
AIロボット話をしようと思ったら、80年代からではなく、それ以前の60年代から70年代にかけての流れも振り返ってみたい気になって。
その辺の作品だと、たぶんK.Kさんも普通に懐かしがれるネタがあるんじゃないかなあ、と思いますし。
ヤマトのアナライザーとか、「機械の体を手に入れるために旅に出る銀河鉄道999」とか、松本零士作品にも触れられるし。

Re: 2月のスレッド(2017) - K.K

2017/02/08 (Wed) 15:22:49

 NOVAさん、どうもです。

 鉄血のオルフェンズの一連の事件についてのNOVAさんのご感想、ご推察を拝読して、自分でもいろいろ思うところが出て来ました。まあ妄想レベルではありますが、メモ的に残してみようと思います。

●テイワズの膨張

 名瀬がテイワズに参加する前は、おそらくジャスレイのJPTトラスト(商業部門)が運輸も担っていたと思うんですね。しかし、テイワズが規模・勢力拡大してくる、あるいはしていくためには運輸部門が力不足になってきた。運輸はあの世界のことですから、海賊対策のための自衛力が必要でしょうし、世界情勢も危うくなってくる。4大勢力がギャラルホルンに頼れなくなったと思って武装強化したことは、テイワズ(のマクマード)とて、同じことを考えたはずです。

 そこで、まず武闘派の運輸業の名瀬のタービンズに目を付け、テイワズに迎え入れる。さらに、名瀬を介して武装組織である鉄華団も抱き込んで、武力強化を図った。タービンズは武闘派ながら女性中心で、海賊的な艦内突入での白兵戦などで弱みがあったのは、鉄華団との衝突で明らかになっていたと思います。だからタービンズ+鉄華団で一応は商業部門+運輸部門+自衛力で万全の備えとなる。

 ところが、おそらくですが、そういう吸収合併的なことを繰り返して膨張したテイワズが、大ボスのマクマードの管理限界を超えてしまったんじゃないでしょうか。ただし、そのことはマクマード本人が理解していて、ジャスレイと名瀬辺りに分権し、部門ごとでまとめようとしたのではないか。一種の事業部制みたいなもんですね。

 前回のジャスレイ vs 鉄華団の戦闘では、ジャスレイの戦力は傭兵でした。鉄華団は自前の軍事力ですね。名瀬も自前の戦闘部隊を持っている。ジャスレイだけロクに持ってない。ジャスレイの「テイワズNo.2」の自負と合わせて考えると、権限は大きいものの、武闘的な実力を持つことを、マクマードによって制限されていたんじゃないでしょうか(彼の野心のことも考慮したかもしれない)。

 一方、名瀬は兵力を持ち、さらに鉄華団を事実上の傘下に収めている。単なるあてずっぽうですが、武闘的実力と引き換えに、テイワズ内での権限は低かったのではないかと思います。マクマードは、ジャスレイの権限と名瀬の実力をバランスさせて、テイワズでの安定を図ったのではないか。

 じゃあマクマードは何なのかと言えば、権威ですね。もっとも物語の現時点では、マクマードは権限・実力・権威の全てでテイワズNo.1であるわけですが、権限と実力を部下に移譲していって、マクマード・ジャスレイ・名瀬の三頭制にする。その狙いは、マクマード自身が年齢による衰えでの引退を見越しての、緩やかな引継ぎをもくろんでいたんじゃないかと。

 ちょっと前になりますが、アーブラウの蒔苗東護ノ介も、寄る年波を意識してか、クーデリアに後を継いでほしいみたいなことを言っていたと記憶します。マクマードだって、いつまでも元気にテイワズを率いることは無理でしょうし、組織も一人では治めきれないほど拡大してきた。誰かに後を任せる算段をしても、おかしくはないと思います。

 しかし、引き継いで欲しい候補の一人、ジャスレイがあまりにも小者だった。NOVAさんの推測通り、マクマードにおんぶにだっこでありながら、自分の力で全てやり切れるなどと根拠のない過信、慢心に陥っており、のし上って来る名瀬に怯えて(嫉妬より恐怖ではなかったかと推測)、罠を設けてイオクに殺害させ、次に自分が施した策が自分への罠となって自滅。

 もしマクマードが後進に道を譲るつもりだったらですが、実にがっかりしたんじゃないでしょうか。名瀬は買っていたものの、あまりに義侠心が強すぎて、部下と鉄華団をかばって死んだのは残念だったと思います。今回のジャスレイに対する手配を見ると、そういうときこそ自分(マクマード)を頼って欲しかったと思っていたかもしれません。

●後継者

 ギャラルホルンでのラスタルも、もしかしたら自分の志の後継者を求めているかもしれないと考えてみました。一人は(コイツの名前を出すのが憤懣やるかたないですが ^^;)イオクですね。前にNOVAさんも注目されたラスタルの台詞がありましよね。イオクのまっすぐで部下を引き付けるところは、どうやら本気で買っている模様。しかし、能力的には期待していない。

 そう考えると、マクギリスも意外にラスタルは期待しているかもしれません。たぶん、マクギリスの野心は承知していて、挑戦はきちんと受けきるつもりでしょう。ラスタルがどういう結果を望んでいるかは分かりませんが、マクギリスの反逆もラスタルのプランの一環という気がします。

 ラスタルの初期プランとしては、人心掌握にイオク、実務権限にマクギリスという配置にしていくつもりなんじゃないかと思います。そういう分掌ができれば、ラスタル自身は隠居して、権威を保つみたいなことにするのかな。
(しかし、イオク様は想像以上の疫病神で、マクギリスも想定外の策謀家で、えーっと……。)

 とまあ、そんなことをあれこれ考えていて(妄想が過ぎてちょっと結論にたどり着けない ^^;)、ふとジュリエッタのことが気になりました。そもそもジュリエッタはなぜラスタルのそばにいたのか。平民出身の孤児で、「髭のおじ様」ことガランに拾われ、ラスタル付きになった。確かにMSでの戦闘能力は高いんでしょうけど、高性能機を駆っても、アミダに押されてたし、そこまで抜擢される人材のようには思えません。

 となると、別の理由があるんじゃないかと思えてきました。例えばですが、実はガランの実の娘だったとか。ガランがどこかで一時的にねんごろになった女性が身ごもって、出産したものの、その頃にはガランは別の任務につくべく別れていて、後になって実子の存在を知ったとか。それがジュリエッタ。母ちゃんは戦渦に巻き込まれて死んじゃった。

 で、父親であることを隠してジュリエッタを引き取り、自分は危険な任務続きで死ぬ可能性が高いから、ラスタルに預けたと。ラスタルは、汚れ仕事を極めてうまくこなし続けてくれるガランに感謝しているので、手元に置き、かつあまりに危険な任務は避けさせるようにしたと。要は我が子みたいに可愛いということですね。

 でも、イオク様のお守りをさせた頃から、ジュリエッタの戦闘バカに火が付き、高性能機に搭乗して戦闘に赴きたがるようになった。ラスタルとしては本意ではないので釘を刺したものの、やりたいようにやらせたくもある。みたいな感じになってるんじゃないかと。ジュリエッタがラスタルの実子であるとしても(どっかで浮気した ^^;)、ほぼ似たようなストーリーは成立しそうです。

 ……いや、ないない、これはないわ (^^;。どうも最近、ロクな妄想をしません。こないだの、マクマードへのあり得ない疑い(腹黒な黒幕説)で懲りたはずなんだけど、どうも頭が勝手に妄想を進めてしまいます。はよ本編進めてくれ。全25話だとすると、あと8話ですよね。もう大詰め、次々と隠されていた事実が明るみになり、物語の決着に向けて動き出すはずですね。

Re: 2月のスレッド(2017) - White NOVA

2017/02/12 (Sun) 01:15:36

K.Kさん、どうも。

オルフェンズは、お互い、いろいろと予想や妄想を掻き立てられているみたいですね。こういうのをあれこれ考えられる作品は、ハマっている証拠というか、この場であれこれ意見を出せている状況が楽しいというか。

さて、本日は絶狼と、まあ、ロボット話をば。

★絶狼

カゴメとの対峙と和解、彼女の事情説明、そしてトラブルと、一気にいろいろと話が進んだ感じです。
でも、アクションは少なめで、序盤に零とカゴメがやり合った程度。まあ、零は適度に手を抜いたらしいですが。

前情報だと、カゴメは「結界をまとう独自の術」を使うとのことでしたが、今回が初披露。
一時的に自分の能力をドーピング的に向上させるのかなあ、と予想していたのですが、どちらかというと「防御重視の術」みたいですね。
騎士が鎧を召喚するように、バリアーを張っての攻撃。ただし、あまり法力が強くなく、法師としては格が低いとのこと。
それでも、烈花がアリスに渡した護符の力を無効化するぐらいのことはできるようで、竜騎士の居場所を突き止めるために、彼女を餌に使おうとするなど、小ズルいところも見せたわけで。

アリスが天然な少女って感じなら、カゴメは少々おバカで行き当たりばったりで、おだてに弱くて純情にも思えましたが、どうもわざとらしい演技のようにも見えています。
過去の回想シーンは事実でしょうが、零や烈花に対しては、下手に出て持ち上げるような振る舞いをしながら、まんまと利用してやろう、って感じの姑息さが見え隠れして、一筋縄ではいかない感じに思えます。
ここぞというところで、力に惹かれて、零たちを裏切ったりするんじゃないかなあ。

一応、零はまだ彼女を信用していませんが、烈花の方が同じ魔戒法師の縁からか、両者の間を取り成している立場。その姿勢が吉と出るか凶と出るか。
零のライバルが竜騎士ということは確定ですが、烈花の方は、カゴメと師弟関係になるのか、それともカゴメが裏切って敵対関係になるのか、現状ではどちらも考えられます。

次回は、拉致されたアリスを助けるために、また竜騎士との対峙に流れるわけで、アクションに期待できそうです。

★60年代の人工知能ロボット

日本のTVアニメのロボットの元祖が63年の「鉄腕アトム」「鉄人28号」「エイトマン」と前に書きましたが、その後のロボットアニメは、ロボットが主役ではなく、「主役の少年ヒーローをサポートするキャラクター」としてロボットが扱われることが普通ですね。

65年が「宇宙エース」などの宇宙を舞台にしたSFアニメがブームになった年で、彼をサポートするロボット犬などのキャラも登場しましたが、
本格的にロボをメインキャラに昇格させた作品が、66年の『レインボー戦隊ロビン』ですね。
レインボー戦隊は、主人公のロビンと、6体のサポートロボットのチームの呼称。ロボットがバリエーション豊かな面々で、女性型の看護ロボット・リリ、怪力鉄巨人のベンケイ、ロケットに変形するペガサス、変身能力を備えたクールな戦士ウルフ、知恵袋の教授と、探知能力を備えた猫型マスコットロボのベルと、役割分担を備えたグループヒーローアニメの走り、ということになります。

チームヒーローと言えば、今では特撮の戦隊ヒーロー物が定番で、新番組の『宇宙戦隊キュウレンジャー』にも期待を寄せているのですが、そちらも宇宙を舞台に、人間だけでなくロボットなんかも参入した構成で、『レインボー戦隊ロビン』が原点というか、遠いご先祖様みたいな感じに思えています。
事実、戦隊シリーズの元祖のゴレンジャーの原作者が石ノ森章太郎氏で、彼はレインボー戦隊のキャラデザインにも関与していますから(主人公のロビンや、ヒロインのリリ、そして教授)。
また、グループヒーローの走りと言えば、同じ石ノ森原作の『サイボーグ009』が挙げられますが、そちらのアニメは当時劇場版が先行的に公開され、テレビの方は少し後。

人工知能やAIというキーワードは、当時から専門家の間では使われていたようですが、フィクションの方で一般的になるのは、パソコンやゲーム機が一般家庭に流通した80年代になってからで、それまでのフィクションロボットは「電子頭脳」という用語が定番。
「電子頭脳」とか「何ちゃら回路」は近年のフィクションでは死後になっているようなタームですが(「何ちゃら装置」はまだ現役だと思う)、60年代から80年代初頭まではロボット物の定番でしたな。

ともあれ、『レインボー戦隊ロビン』がSFロボットキャラの大枠を固めた画期的な作品でしたが、後継作品が作られず、その後、宇宙ものやロボット物が70年代に入るまでアニメでは作られなかったのは、当時を生きていない身には少し謎に思えます。
同じ年では、特撮物では『ウルトラマン』が放送され、また、ペガサス同様のロケットに変形するヒーロー『マグマ大使』など、宇宙ものとか、ロケット、ロボットなどのメカSFが流行した時期なのに、その流れが67年で中断し、以降はスポ根アニメや、『ゲゲゲの鬼太郎』に端を発する妖怪ブームに移ったのが60年代末、と。

次にメカSFに注目が集まるのは、72年の『科学忍者隊ガッチャマン』と『マジンガーZ』からとなります。

まあ、人工知能ロボをテーマにするなら、操縦型の『マジンガーZ』は割愛して、次は73年の『新造人間キャシャーン』に移ることになりますね。では、今回はこれぐらいで。

Re: 2月のスレッド(2017) - K.K

2017/02/14 (Tue) 18:33:42

 NOVAさん、どうもです。

 鉄血のオルフェンズは、ハマっていることに加えて1、2期合わせての大詰めですから、自分の気分的にも盛り上がってまして、ついあれこれ考えてしまいます。それだけのものが盛り込まれてあり、見せ方も上手い作品だということなんでしょう。

●絶狼

 しかし、放映日時順にまずはこれですね。NOVAさんのご感想と被りますが、先週の予告からは派手めの内容だと思ったら、意外にもバトル薄目、その代りなのかストーリー的には大きく進んだ感じでした。

 冒頭、先週の続きで零と籠目が対峙。戦闘に入りますが、零は変身もせず、あしらっている感じで、単にカゴメがアリスに手を出すのを阻止しているだけのようですね。が、カゴメの戦闘能力の結界を身にまとう術が披露され、これがどの程度の上限の力なのか、気になります。おそらく、今後のシリーズで魔戒法師の戦闘能力として使われそうな感じがしますから。術の性質としては、NOVAさんのご観察通り、防御用で、騎士の鎧に相当する術なんでしょうね。

 しかし、カゴメが必死になる前に烈花が介入、無事にとりなしましたか。零が手加減はしたものの、あまりにカゴメが弱かったのか、どこか悪いのかと問うと、おやおや、お腹がペコペコで力が出なかったのか。バーで飯をかっ食らうカゴメですが、お顔が汚れたままです。この前、竜騎士に軽くあしらわれてから、1回も顔洗ってないんじゃないかしらん。飯を食い終わるとなぜか烈花の匂いを嗅ぎ、懐くわけですか。

 風呂には入らず、ご飯につられ、美味しいものをあげると途端に懐いて、ふんふんと相手の臭いを嗅ぎ、安心して落ち着く。カゴメはまるで猫のようですな。

 カゴメの身の上話となるわけですが、なるほど家柄も能力も下位の魔戒関係者で、兄は努力して強くなろうとしていたわけでしたか。で、強くなりたい、妹を強くしてやりたいと思ったもんで、つい竜に飛びついてしまった。がしかし、その竜、竜騎士はヤバいものだったらしいと。案の定、復活した竜騎士は兄を瞬殺、カゴメは竜騎士に対抗する力がないので、せめて竜の復活は阻止しようとした。と、ここまでの復習をかねた身の上話でした。

 今回も竜騎士側の動きは、籠に封印された卵を解き放つため、メカ的な使い魔を作って放つというものですか。ホラーが全く関わらなくなってきた感じです。もしかすると、牙狼シリーズとしては異例の展開じゃないかしらん。と思いかけたんですが、牙狼1stはラスボスが元はホラーの敵であり人類を守護する騎士が魔に堕ちた暗黒騎士で、今回は最初はホラーを狩っていた竜騎士が人間に敵対するようになったという設定。むしろ王道的展開部分を取り出して1クールにまとめたのかもしれないとも思います。

 メカ使い魔を放った竜騎士が今回も苦しそうですが、もしかすると竜が封印されたままだと、苦痛なのかな。あるいは、竜無しではいずれ死んでしまうとか。

 一方、零側では烈花が邪気除けのお守りの数珠みたいなものを即席で作ってアリスに着けさせる。邪気のある者は使づけないとのことですが、どの程度の力があるものなのか。せいぜい使い魔程度を退けるくらいの感じがします。こんなもので、例えばホラーが近寄ってこれなくなるなら、守りし者たる騎士も法師も苦労はないわけで。それはそれとして、CM直前にカゴメがなにやら悪だくみ(^^;)する顔になってることが気になります。

 CM後、吉例を尊んでアリスがお出かけ。見とがめられそうになるも、お守りがあるからとのことでマスターに許可され、それをカゴメも後を追って出かける。カゴメは謝るふりをして握手を求め、なるほど手首の数珠に触ってお守りの機能を解除したのか。NOVAさんも感じられた通り、小ズルい感じですね。こういう悪い小技は、弱い者はえてして身に着けがちです。それくらいしないと、しばしば世渡りも難しいですから。カゴメが去り際に「あたしはそんな綺麗な女じゃないよ」と言っていたのは、外見のことなのか、内面なのか。

 とはいえ、籠の鍵となったアリスを危険にさらしての竜騎士の誘い出しですから、当然、後で烈花にも零にもきつく咎められるのは仕方ありません。案の定、竜騎士の使い魔に発見されてしまってるし。いかにカゴメが自分の使い魔をアリスのポケットに潜入させ、なんらかの結界を施したとしても危ない。と思ったら、烈花もバーで広範囲の索敵術を行ってましたか。

 その場でかわされた会話で、アリスのお守りの数珠が烈花がアリスを守りたいと思う気持ちだといった話を聞いた途端、カゴメはショックを受けて、さっきの小ズルい仕掛けを白状、叱られて素直に改心してしまう。割と思考が単純なようですが、人情面についてはよく分かるみたいですね。まあ、悪辣なことができるタイプではないが、あまり考えずに行動して危機を招くタイプといいますか。でも、イオク様ほどではないだろう(^^;。

 一方、アリスの元には使い魔、続いて竜騎士が現れる。バーでは零らが事態を把握して、アリス救出作戦を発動、というところで次回へ。こんだけ溜めたんだから、次回はかなり派手に暴れてくれそうですね。次回「双剣」の予告ではバトル満載な感じです。

 ストーリー上での焦点としては、竜が目覚めるか否か、目覚めた竜の力はどれほどか、竜騎士とはどういう騎士か、アリスの正体は、といったところでしょうか。カゴメの運命も気になります。兄の仇は討てるのか、逆に返り討ちに合うかなどなど。

●鉄血のオルフェンズ

 冒頭、今回の話が先週の鉄華団がジャスレイをくだしてから3日後であるとキャプションに出ましたね。一瞬ですので、初見では見逃し、録画を見直して確認しました。なにせマクギリスがギャラルホルンに公然と反旗を翻してからですから、この短期間に何があったのか。

 そこからヴィダールとラスタルの会話ですが、ラスタルがテイワズと話を付けてあると言っていたのは、マクマードがイオクを下がらせるなどの、ギャラルホルン手出し無用の話をつけた件のことでしょうね。そのこともあってか、ラスタルはマクギリスの動きなどに対しても依然として硬軟両様の構えを見せるようですが(この後のシーンで、マクギリス掃討戦を急いでなかったりする)、ヴィダールは動き出す模様です。タイトルの「真意」とはヴィダールから見た、マクギリスの意図のことでしたか。

 続いて、石動と話したマクギリスですが、別室に移るとなぜかガルス・ボードウィンが暴れとる。マクギリスが「義父上」(←字幕より)と呼んでいて、なんでと思ったんですが、よく考えたら結婚予定のアルミリアの父ちゃんでしたな。ガエリアの父でもあり、もしヴィダールがガエリアであれば(というか、であった)、かなり人間関係がドロドロです(^^;。マクギリスは反乱の劣勢を承知しつつも、何か重要なアイテムで形勢逆転を狙えると自信を見せています。うーむ、ガルスも顔色を変える「あれ」って?

 シーンはマクギリスの回顧に移り、子どものころに虐待された経験が語られる。男娼までさせられていたんですか(これ、夕方の番組だよね?)。ギャラルホルンの、アグニカ・カイエルの伝記で何かを悟ったの? うーん、よう分からん。

 一方、ラスタルのところへはイオク様の部下が請願にやってくる。イオクの謹慎を解いて、任務復帰させてほしいと。もう40人も来たんですか。あれだけやらかしておいて、なおこの人望か。ラスタルもその点だけは一目置くわけだわ。で、そのイオク様はというと、なんか和室で正座して写経しとる(^^;。

 シーン変わって、鉄華団と反乱の表向きの首謀者ライザですが、ライザの喋りようからすると、どうも第二のイオク様が現れた感じがしてしまいます。オルガもなんか持て余し気味な表情に見えます。敵は倍する数ながら、時間稼ぎさえできればいいみたいですね。ということは、さっきマクギリスが匂わしていたアイテムか。

 と思ったら、マクギリスにシーンは移って、アイテムの正体が明らかに。バエルなるガンダムで、アグニカ・カイエルの乗機だったみたいですね。そこへヴィダールが強行突入してきて、仮面を取ると、やっぱりガエリオだったのかー、というところでCMへ。このとき、かなり没頭して観ていたようで、CMが始まった瞬間、何が起こったのか分からなくて混乱してしまいました(^^;。

 CM後、前回もあったヤマジンとジュリエッタの短い会話シーン。ヤマジンがどうも不安になることを言っています。ヴィダールは1人(で出撃したん)じゃない。このシーンで前にNOVAさんが仰っていた予想(MAに人の脳が組み込まれる)を思い出しました。MAを倒す人ならざる者って何だろうと思って、阿頼耶識の延長上でのサイボーグ的なことを考えたんですが、どうも違う感じですね。

 さて、対峙するマクギリスとガエリオですが、ガエリオの回顧へシーンは移る。主にかなり長じてからのようですが、この中にガエリオとマクギリスの行き違い、ないしはガエリオの勘違い、マクギリスの嘘などが入っているんでしょうね。そして、ガエリオはマクギリスの心中を見抜いたような台詞を言い、バエルに乗れと言い渡し、全否定してやる(倒すのとはまた違う意味?)とも言う。

 というところへ、いきなりの乱入で今度は三日月。三日月の行動原理は相変わらずシンプルで、敵なら倒すのみ。機体や阿頼耶識と合わせての総合力では三日月が優るようですが、ここでガエリオが「アイン」と呼ぶと、何かが起こったみたい。さらに操縦を明け渡してもいる。

 えーっと、アインってと考えて、ようやく思い出しました。アイン・ダルトンですね。前期でMSに組み込まれる形となったパイロット。私がサイボーグを意識したのは、どうも彼のことが頭にあったと思うんですが、今度は生体パーツとして脳が使われちゃうわけですか。もしかして意識を保っているのか、とか思うと、生半可ではない壮絶さ、悲惨さを感じます。この後のシーンからすると、阿頼耶識的な戦闘を可能にしつつ、負荷からパイロットを守るためのシステムのようで、だとするとアインの脳が不可を引き受けているのか、使われるまま抵抗しようがなくて酷過ぎるのでは、などとも(それが戦争というもの、などいう気休めは言うつもりはありません)。

 もっとも、アインが望んでこうなったようではあるんですが。ともかく、これで三日月と互角に渡り合えるようになったガエリオで、さすがの三日月も「こいつ、ヤバいな」と実力の高さを認識する。とはいえ、まだマクギリスがいたのでした、マクギリスとアグニカ・カイエルの乗機、バエルですね。さしものガエリオ+アインもこれには不利と見たのか、三日月にいつぞやの非礼を詫びて去る。

 バエルって、何らかの理由で選ばれし者でないと乗れないみたいですね。マクギリスがバエルに乗ったことを誇示して、ギャラルホルンの頂点に立ったような物言いです。これに対して、ガエリオが通信回線を分捕り、逆賊マクギリスを討つと宣言。

 あれれ、鉄血ってマクギリスとガエリオの相克の物語だっけと勘違いしそうになりました。それくらい二人の印象が強烈で、オルガや三日月がかすんでしまいそうになるほどです。その前はオルガの成長物語のような気がしたりもして、主人公であるはずの三日月がどうも脇役的な動きしかしてないなあ。

 で、予告もなく終わっちゃった。あれれと思って調べたら、予告はネット配信のみみたいですね。本編に詰め込む量がありすぎて、予告の時間が取れなかったのかしらん。

・MBSの番組サイト
http://www.mbs.jp/g-tekketsu/

 ここで観てみると、次回は「魂を手にした男」。予告編映像から考えて、どうもさらなるバトルで決着へ向かうのではなく、ひとまず人間関係などの整理みたいな印象です。

 予告も観終えてからふと思ったのは、「モビルアーマー、どうなったん?」ということです。物凄く恐ろしい兵器という感じで登場したのに、火星でのあの一件だけ? うーん、まあ三日月に単騎で倒されちゃったし、もっとすごそうなMS出てきたし、あれで物語的にはお役御免だったのかな。

●80年代の人工知能

 ロボットものとAIのお話、大変に興味深く拝読しております。AIは学生時代のテーマだったり(といってもしょせん学部生レベル)、その後にコンピュータ関係の仕事に進んでからも、ときたまホットなキーワードでありました。そのせいもあって、今回のご解説により引き付けられた感じがします。

 NOVAさんもお見通しのように、AIだ人工知能だなどと言い出したのは80年代からですね。それまでだと、もうコンピュータなら電子頭脳でしょ、うん頭脳なんです、ということで、(このまま単純に発展さえすれば)人間より賢くて当然、なんでもできる万能みたいな雰囲気がありました。実際にコンピュータに関わる人間にはとても迷惑な話であったようです。

 映画エイリアン(1979)ですと、リプリーが宇宙船のコンピュータにキーボードで質問文を普通の英語で打ち込むと、コンピュータが英語で答えるシーンがありました。一般には「なんや、宇宙船のコンピュータ言うわりにはショボいな」みたいな評判だったようですが、コンピュータ関係の従事者は「うわ、このコンピュータすげえ、自然言語で処理してやがるよ!」みたいなことを言っていた模様です。

 電子頭脳で○○回路というと、キカイダーでは良心回路なんてありましたが、もしかするとアナログコンピュータから連想された用語かもしません。アナログコンピュータは、要は電流や電圧が計算結果なんですが、微分回路やら積分回路やらで構成されています。まさに回路自体が計算機になっているわけで、どんな回路を組み込むかでどんな計算ができるかが決まります。ふるーいデジタルコンピュータに比べれば安くて速いものだったんですが、デジタルの発展に押されて消えてしまいました。フィクションでも、多少遅れて○○回路が消え去るのも当然の成り行きだったのかもしれません。

 80年代になって「万能の電子頭脳」みたいなイメージが持てなくなって、代わりの用語が使われるようになった大きな要因の一つとしては、民生用にコンピュータそのものが降りてきたことがあるように思います。70年代終盤にまずマイコンなる用語でワンボードコンピュータが学生、好事家に使われるようになり、その人気を見た電機メーカがパソコンを出してきたわけですね。

 80年代だと8ビットPCでもまだまだ高価でしたが、「コンピュータが個人やオフィスで使えるなんて!」ということで、普及していきました。そうなると、コンピュータの現実に直面することになるわけですね。「プログラムされた通りにしか動かない」「1文字間違えるだけでもデタラメなことをする」等々。通勤・通学電車でBASICの本を読みふける人が多かったのも、80年代前半ではなかったかと思います。ファミコンなんてのも出て来まして、「これでも月に行ったアポロ宇宙船搭載のコンピュータと同等以上なんだよ」なんてことも言われたり。

 となると、コンピュータ=電子頭脳=すごく賢い、なんて図式はもろくも崩れてきます。「コンピュータは速いだけのバカ」みたいなことにも。そこで代わりに言われるようになったのが、AI、人工知能ということになるわけですね。「コンピュータに賢いソフトを入れれば凄いんだよ」となるわけです。

 当時の最新技術で実現された人工知能というのが(使うコンピュータも非常に高価な代物)、

質問「機長が心配した」
解答「乗客が死ぬ」

というものです。開発者などが誇らしげに自慢しているのを聞いたりしましたが、個人的には「これが知能と呼べるのか、ひどくくだらない」と思いました。その他、音声認識や手書き認識などもありました。手書き認識は小さな機器ではまあまあ使えなくもない技術でしたが、後の携帯電話の走りみたいな入力方法が既に電子手帳なる電卓に毛が生えた程度の機会でもできてましたんで、やはりあまり凄いと思えず。

 音声認識に至ってはうるさいだけです。今のスマホのなんかだと使えそうですが、当時のものだと大きな機械(PCとかワープロ専用機とか)の前に置いた大きなマイクに向かって、はきはきと大声で喋らねばならない代物でした。しかも5文字に1文字くらい間違う。それもオペレータ一人の声で徹底的に調整した上での認識率なもんですから、ひどいもんです。仮に使えるようになっても、オフィスでそんなもんがずらずら並んだらうるさくてしょうがないことは目に見えてました(オフィスで数十人が一斉に叫んだらどうなるか)。

 ですが、それでも必死で宣伝する必要がありました。まだ実用化できそうにないと思っても、研究資金を得ることは必要です。今にも凄いものが出て来るという雰囲気で紹介せねばなりませんでした(私もメーカーの一員として加担してしまって、やはり悔いがある)。

 今のAIブームも似たようなものですね。持て囃し過ぎです。まあ将棋のような情報が限定的で、勝利条件が数学的に厳密で明快なものなら、まあまあいけます。コンピュータが自分で試行錯誤できますから。けど、だからといって将棋高段者レベルと同じく、他の分野でもとなると、ほぼ絶望的です。

 2045年にコンピュータが人間の知性を超えるとか云々の現実での与太話は、フィクションの中だけの話でしょう。どうもあの手の話を真に受けすぎて、若い人なんかだと将来自分のなりたい職業が消え去るなどと真剣に絶望したりするのを見ることがあり(特に作家AI、作曲AI等々)、非常にいかんなあと以前の関係者としては思っとります。

Re: 2月のスレッド(2017) - White NOVA

2017/02/16 (Thu) 02:39:24

今回は、オルフェンズと、ロボット史について。

オルフェンズも、ヴィダールが正体を明かして、ガエリオとアインの脳の複合システムという、あの世界での新たなロボット操縦方法を示してくれました。それについての考察も試みつつ。

★オルフェンズ

マクギリスのギャラルホルン革命タイム、ということで、いまいち鉄華団が脇に置かれた感ですな。

鉄華団の活躍を期待している向きには、来たる白熱したクライマックス戦闘に向けての仕込み回でしかなかったわけですが、
マクギリスの野心の背景と、ようやくスポットが当たったガエリオさんの見せ場ということで、ここからどう盛り上がるか、と期待してもいいのかな。

でも、何だか、これが終盤なら、マクロスデルタのラストを想起します。ええと、最後は主人公たちの活躍よりも、メガネと白騎士の因縁の対決に持って行かれたというか、ね。理想のクライマックスは、主人公とメインのライバルキャラの対決、あるいは共闘による巨悪の撃破(しかも、巨悪を倒す中心は主人公であるべきで、ライバルはあくまで主人公をフォローする以上に出しゃばっちゃダメ)と。
ミカヅキは、あまりライバルとの因縁とかを抱え込まないキャラなので、余計に、うまく話を作らないと、ドラマの中心にはならず、単に背景で暴れているだけの立ち位置になっちゃいそう。

まあ、マクロスデルタの時よりは、余裕を持ったストーリー運びをしているようなので(残り6話という状況で物語が加速した)、ある程度の風呂敷はたたんでくれるだろうとは思いますが、そのたたみ方がどこまで凄惨なものになるかをドキドキしつつ、視聴を続ける次第。

さて、改めて今回の操縦システムについての考察ですが、阿頼耶識システムは、機体の操縦を直接神経につないで、運動性を向上させるシステムということですね。
人機一体というか、既存のガンダムだと「サイコミュ」が脳波を介して機体の追従性を高めるシステムであるのに対し、「阿頼耶識」は脊髄を機械と接続することで、より生々しいというか直接、神経とつなぐ形。
人機一体型のガンダムだと、Gガンダムの「モビルトレースシステム」もありますが、そちらはパイロットスーツに仕込まれた装置が、操縦者の肉体の動きを機体に反映させる仕掛けで、格闘家パイロットの技を機体が発動させる、まさに武闘家ガンダムならではのシステム。

サイコミュの欠点は、脳波を送信する際に逆流して、頭痛の原因になったり、敵パイロットと精神感応しすぎて機体の操縦に困難をきたす危険があること。
モビルトレースシステムの欠点は、 ダイレクトに機体を動かせる反面、機体の受けた衝撃やダメージも直接パイロットに返ってくるので、肉体的に頑健な武闘家でなければ乗りこなせないこと。

そして、阿頼耶識システムの欠点は、機体との同調が高まると、パイロットの神経に負荷が掛かり過ぎて、神経が損傷したり、機体との同調状態が切り離せなくなって、常時接続状態でない限り、肉体に障害が生じる副作用が生まれることが、第一部ラストで判明。
まあ、同調が高まり過ぎないように抑えるリミッターもあるようですが、限界を超えた動きをするためにリミッターを解除することで、主人公がどんどんボロボロになっていく悲劇も生んでいるわけで。

一方、アインのシステムは、パイロットの脳を直接機体に埋め込むことで、文字通りの人機一体と化すわけですが、阿頼耶識以上に禁断の技術扱いされていますね。アインはもう完全に人間を捨てていて、機械のパーツの一部と化しているわけですが、このシステムの最大の欠点は、「人としての自我の消失→暴走の懸念」となるわけですな。一期のラストは、まさに暴走したアインを止めて街を守るミカヅキたちの戦いの側面もあったわけで(昨年末のMA戦も、大筋としてはそういう暴走機械を止める話だった)。

そして、今回のヴィダールのシステムは、そのアインの暴走を防ぐために、ガエリオが騎手として上手く手綱を引く役どころを担う形でもあるわけですね。
ガエリオもある程度の肉体改造を施されて、アイン脳と同調できるようにはなっているのでしょうが、阿頼耶識で生じる神経への負荷は、アイン脳が引き受けているとの説明もあり、「機体制御のアイン」と「周囲の環境認識や戦術目的の選定を担うガエリオ」の役割分担で、暴走の危険なく強力な兵器と化している、と。
つまり、アインが運動を司る「小脳」役で、ガエリオが思考を司る「大脳」役と考えればいいのかな。

これらは、人工知能の発展とは対象的な、人間の脳を機械に接続するサイバー系の技術なんですけど、TVのガンダムで描かれるのは初めてですね。
まあ、コミックのクロスボーンガンダムシリーズだと、地球から離れた木星圏の技術で、「クローン脳の培養」とか、「機械に接続されたパイロット」とか、「機械と同調しすぎて、人としての感性を消失してしまいそうになる危機」とか描かれているわけですが、ある意味、オルフェンズの原形なのかもしれない、と思いつつ。

★人工知能レス

うちは機械を専門的に勉強したことはないので、技術面の考察フォローをしていただけると助かりますね。こちらも勉強になりますし。

うちにできるのは、フィクションにおける人工知能とかロボットの描写とか演出の移り変わり薀蓄になりますね。

一応、大学での専門は歴史なので、年代別の考察や変遷なんかをまとめるのは、性に合っているということで、昔、自サイトで作った日本アニメ年表とか、手元にある書籍資料(『スーパーロボット画報』など)を確認しながら、続けていきたいなあ、と。

あと、昔はよく見られた「回路」というタームが近年のフィクションであまり使われなくなった理由は、なるほどと思いました。
「回路」は外付けのハード面のパーツであって、近年はそれよりもソフト面のOSとかプログラムとか、そっちに描写の比重が移っているということですね。

そう言えば、先日のベイマックスの良心を規定していたのも、兄さんの作った緑色の介護ロボ用プログラムディスクでしたな。アナログな良心回路じゃなくて。
赤い戦闘用プログラムディスクとか、機械の性能もディスクに収められたデータによって変わるのが、今風の仕様ということで。

★70年代頭の自律型ロボ

さて、70年代のテレビアニメ作品で初めてロボットが登場したのは、72年の『科学忍者隊ガッチャマン』です。ただし、敵側のギャラクターの操る鉄獣メカなんですが。
当時は、まず71年の『帰ってきたウルトラマン』から始まる第2次怪獣ブーム、そして同年の『仮面ライダー』から始まる変身ヒーローブームの流れがありました。
ガッチャマンは、敵が巨大な怪獣型ロボットを操る組織ということでウルトラ怪獣の影響を、そして味方がコスチューム姿に変身して、マシンを操縦したり、肉弾戦で敵組織の戦闘員をなぎ払う仮面ライダーの影響を受けているとも考えられます。

また、集団ヒーロー物としては、TVアニメでは『レインボー戦隊ロビン』→『サイボーグ009』の後でガッチャマンに流れる、と。ガッチャマンの5人のメンバー構成(生真面目な熱血リーダー、ライバル格のクールでニヒルな2枚め、ヒロイン、年少な素早い若者、怪力な巨漢)は、その後の戦隊ヒーローを始めとするグループヒーローの定型パターンにもなっていきます。
さらに、ガッチャマンからアニメの絵柄が劇画調に変わったのも大きいですね。それまでは、SFアニメのキャラって、子供マンガって感じの、どこか可愛い絵柄が普通でしたから。まあ、梶原一騎の『巨人の星』などの絵柄の影響もあって、劇画調が流行のスタイルにもなっていたのでしょう。

ガッチャマンの鉄獣メカは、ロボットといっても、移動要塞みたいなもので、科学忍者隊の戦闘機ゴッドフェニックスと比べてもサイズ的に結構大きいです。正面から挑んでも、まずは勝てないほどの戦力差がある。
だから、科学忍者隊の仕事は、戦闘メカで相手の巨大メカを打ち倒すことではなく、敵メカ内部に侵入して、中にいる多くのギャラクター隊員と乱戦して、中から敵の要塞メカを破壊して脱出する形。
ゴッドフェニックスの大技「科学忍法火の鳥」も、初期は攻撃のための技ではなくて、敵要塞の爆発や追撃から脱出するための技だった、と。
後に、ゴッドフェニックスや搭載機の戦闘力も強化されて、メカ戦で相手を力技で粉砕するようにもなっていきますが、それは後から始まった『マジンガーZ』の影響も大きいんじゃないか、と思いますね。

そして72年末から『マジンガーZ』が始まります。人が操縦する巨大ロボットが、怪獣型の敵ロボット・機械獣と毎週バトルを繰り広げる王道ストーリー。
人の頭脳を加えた科学の魔神が、古代ミケーネの遺産である遠隔操縦メカと戦う構図で、「未来科学VSオカルト古代文明」の要素もあったり。
「巨大ヒーローVS怪獣」「等身大に変身ヒーローVS妖怪風味の怪人」の流れに、「人が操縦するロボットVS妖怪風味の怪人が命令する機械怪獣」を付け加えたわけで。

翌73年初めには、鉄人やジャイアントロボを生み出した横山光輝原作の『バビル2世』が始まります。
これは、操縦型ではありませんが、超能力少年バビル2世が命令する三つのしもべが、古代の宇宙人が遺したロボットという設定。
怪鳥ロプロスは、一見生物風ですが、赤い生身の皮の下に金色のメカボディが収納されており、
黒豹型のロデムは、変幻自在で会話もできる従者。バイオボーグに分類されるのかな。
そして海戦用のポセイドンが分かりやすいロボットですね。
さらに、本拠地のバビルの塔を管理するコンピューターも、移動はできませんが、しもべその4みたいな物と見なすことも可能ですね。自分が見たのは70年代後半の再放送の時だったので、ピコピコ光って、しゃべるコンピューターは割と当たり前だったんですが、73年時点では他に例のないキャラ描写だったのかもしれません。
何しろ、主題歌に「コンピューターに守られた」と歌われるほどで、バビルの塔の防衛システムを管理したり、敵軍の進行状況を分析したり、バビル2世がたった一人で敵の大軍を相手にするのに的確なサポートをくれる存在。
音声による入出力システムとか、非常に高性能なわけですが、まあ、文明の進んだ宇宙人の遺したものだから、当たり前ですね。古代文明とか、宇宙人とか、便利なタームです。

しかし、宇宙人とか古代文明とは関係ない、純粋に人類が自らの手で作ったロボットが、『新造人間キャシャーン』のブライキングボスです。
まあ、フランケンシュタインの怪物よろしく、自我を持って人類に反逆して、アンドロ軍団を組織して、各地の人類の街を征服、奴隷のように支配するわけですが。
アトムとか、ウルトラセブンのロボット長官とか、あるエピソードで人工知能ロボットが人類に反逆する話はあったのですが、一つの連続物語の大ボスとして、ロボットの反乱と、それに対抗する人類側のレジスタンスが描かれたのは、テレビアニメではこれが初めて。

一方のキャシャーンは、アンドロ軍団に立ち向かうために設計されたネオロイドという特殊なバイオボーグ。人を模した義体に、人の人格をインプットしたわけで、この時期のサイバー技術は「人の人格を機械のボディに写し取ることは割と簡単にやってくれている」感じですな。コピーではなくて人格転送技術。
また、キャシャーンの母親の意識が、白鳥型ロボットのスワニーに宿されたり、アンドロ軍団に殺された飼い犬を改造してロボット犬フレンダーにしたり、キャシャーンの父親の東博士は、いろいろやりたい放題。

このフレンダーが凄くて、キャシャーンの相棒として高い戦闘力を持つ他、後のゲッターロボに相当するようなモーフィング変形をして、飛行機のフレンダージェットや、潜水艦のマリン、地底戦車のタンク、地上走行車のカーの4種のマシンに変形。
ええと、この可変できるフレンダーの玩具って発売されませんかね。ゲッターロボの完全変形玩具はあるのだから、完全変形フレンダーなんて出たら、と永遠の夢を抱いたり。
ともあれ、このフレンダーは、バビル2世のロデムがよりメカニカルになった存在です。キャシャーンが指笛をピーッと吹いたら、たちまち走ってきてアンドロボットを瞬殺してくれる頼もしい存在。もう、通常サイズのロボット犬としては、最強クラスじゃないでしょうかね。

まあ、この時期のロボットとか人工知能とかは、現実に実現できるかを考えるとキリがないので、フィクションにおける進化の系譜の中で考えるのが楽しいと思いますが。

とりあえず、今回はこれぐらいで。
次は70年代半ば。『宇宙戦艦ヤマト』のアナライザーがポイント大きいですね。スターウォーズのR2D2よりも早い分析型ロボットとして。

Re: 2月のスレッド(2017) - K.K

2017/02/16 (Thu) 14:53:53

 NOVAさん、どうもです。

●レインボー戦隊ロビン&サイボーグ009

 興味を持って拝読したものの、ちょっとレスが遅くなってすみません。調べなおして記憶を探ったりと、もたもたしていました(^^;。

 まずレインボー戦隊のほうなんですが、「これはまた懐かしいアニメを」と言いたいところですが、実は視聴できておりません。ずっと後になって、そういう作品があり、面白かったんだという話を聞きました。聞いてようやく、ほんの少しだけ観た断片的な記憶と合致した覚えがあります(パルタ星の寿命が後1年に迫った、みたいな台詞部分のみ)。

 どうして観なかったんだろうと思って、今さらながらに調べると、第1話~36話までは放送が8時だったようですね。8時以降だと、いわゆる当時の「チャンネル権争い」ということで、私の周囲では大人の時間とされていた8時以降だと、アニメ視聴が許されていませんでした。ずっと後になり、特撮のキカイダーが8時、8時半からアニメのデビルマンが放映されたときは、8時以降もなんとか視聴することができました。

 レインボー戦隊は主人公ロビンのイメージから石ノ森章太郎氏の作品かと思っていたんですが、藤子不二雄氏なども参加した、当時の気鋭の漫画家の共同作業によるものだったみたいですね。看護ロボットのリリは今でいうアンドロイド少女への萌えみたいな感じで持て囃す向きもあったんでしょうか。うーん、観られなかったのが残念です。

 サイボーグ009(アニメ)も、TVシリーズは再放送で断片的、劇場版もTV放映で観た記憶がおぼろげにある程度。印象としては、「悪い奴が出てきて、009が倒しかけるんだけど、悪い奴が改心して終わる」みたいなものでした。

 ずっと後になって、文庫本サイズの再版009コミックをたまたま読んでみると、かなり面白く、全巻買って何度も読み返しました。天使編が未完に終わり、中断したままの時期ですね。その後、ヤマトによるアニメブームからコミックも盛り上がり、新たに発行されたマンガ少年(調べると、漫画少年の復刻を意識したらしい)で009の新連載が始まったので、期待して読んでみました。

 これは前に申したような気がしますが、あまり気にせずまた書いてみます。しかし期待外れでした。なんか面白くない。アニメも新規エピソードで制作されたりしましたが、やはり面白くない。石ノ森章太郎氏はスランプか、もしかするともう面白い漫画が描けないのかと疑いました。もちろん、そんなことは誤解、思い過ごしで、石ノ森氏が青年誌に移って描き始めた「ホテル」は少し読んでみただけですが、きちんと面白かった。どうやら石ノ森氏が少年誌では収まらなくなっていたようです。無理にターゲット年齢を合わせたもんだから、あまり面白くできなかったのでしょう。

 しかし、それはそれで天使編がどういうストーリー構想だったのか気になって仕方ありません。今調べなおして見ると、「神々との闘い編」として改めて取り組んだようですが、それも中断してしまってますね。少年誌で003と009のベッドシーン描いちゃったとか、問題を起こした模様(^^;。この辺りなのかな、石ノ森氏が少年誌では収まらなくなった、描き切れなくなった時期は。そしてついに天使編を完結させることなく他界されてしまいました。

 石ノ森氏の遺稿などから、他の作家によって009が完結されたようですが、今となってはちょっと興味が起きないというのが本音ですね。作品内に石ノ森氏が登場したりすると聞いては、なおさらです(そういう演出はどうも現実に引き戻されてしまい、作品に没頭できなくなる)。

 そうではあっても、009となると気になるものでして、知り合いのつてで劇場版「009 RE:CYBORG」を観ました。観ましたが、正直なところ、観なきゃよかった、観ずに期待だけしてればよかったという感じです。
(後略。ネタバレまで書いてしまってから、こんなこと書いてもと思い、削除。)

 それでも、009が長く作品化されたのは、NOVAさんが「レインボー戦隊ロビン」に見出された、チームワークの絶妙さなんでしょうね。009では、能力や強さが9人のサイボーグにうまく役割を分担してあります。最近、私も見るようになった戦隊ものですと、能力的にはあまり差異を与えていない感じですが、009では得意分野がはっきり色分けしている感じです(レインボー戦隊もきっとそうなんだろう、とNOVAさんのご解説などから思える)。

 そういうチームだと、「全員そろえばすごく強い」反面、「1人欠けても致命的」みたいになりますね。物語づくりが大変にタイトになりそうです。全員きっちり活躍させて、1人も脱落してはいけませんから。そのせいなんでしょうか、後年のチームヒーローは、例えばすぐ後くらいと言ってよさそうなガッチャマンでも、各々に一応の特徴付けや性格分けはあるとはいえ、能力はおおむね全員がそこそこ万能みたいな感じになっていったのではないかと思います。

●阿頼耶識システム

 こちらのご考察も大変に興味深いですね。阿頼耶識システムを過去の類似システムの歴史的経緯で眺めるという視点が、私にはありませんでした。なんとなれば、ガンダムはZ以降はよく見てなくて、言われてみて「あ、そうか、サイコミュってあったな」と。

 ご考察を受けて妄想をめぐらせてみると、仮に過去のガンダム技術が歴史的に鉄血以前の技術史としてあると考えてもうまくつながりそうな気がしました。

 ガンダム1stでは、単にニュータイプなる能力を得た人間がうまくMSを使いこなすだけだったのが、メカ的なサポートとしてサイコミュなる脳波利用のシステムでより効率的に駆動できるようになったと。

 これは現代で実用化目指して研究しているBMI(ブレイン・マシン・インターフェース)と同様だとみることができそうですね。見ただけ、思っただけで操縦を含む機械操作ができるというものです。逆にカメラ映像などを目を介さずに知覚することも目指していたりします。究極的には人間側は脳だけであらゆることができるようになるというもの。

 ガンダム世界で「脳」というキーワードで思い出すのは、OOの脳量子波ですが、あれは機械が人同士のコミュニケーションを脳レベルで実現するものの感じですね。脳同士で直接情報交換できてしまう。これはちょっとBMIや阿頼耶識システムとは違う方向性の技術であるように思えます。

 Gガンダムの操縦って、「モビルトレースシステム」というものだったんですか。断片的に見た範囲では、古くはジャンボーグA(こないだ日曜にやってたウルトラマンではジャンボット)で採用されていたのと似たシステムだと思います。モビルトレースシステムだと、動こうと思って実際に体を動かすと、MSが動きについてくる感じですね。仮にサイコミュ後の技術だとすると、脳と直接のやり取りでは負担がかかるから、脳から離して四肢まで神経伝達(による動き)がきたのをMSへ伝える感じでしょうか。

 しかし、それでは反応性が悪い。かといって脳に直接だとパイロットがもたない(ないしは耐えられるパイロットがいない)ということになる。そこで阿頼耶識システム。見た感じでは背骨とつないでいるようですから、脳と四肢の中間で神経接続して、機械制御信号を取り出す、機械からのフィードバックを受けるシステムのようです。

 脳と直接のサイコミュだと脳に負担がかかり過ぎる、四肢からの制御だとパイロットの身体機能に依存しすぎる、ということでその中間地点の背骨に接続する阿頼耶識システムが新たに開発された、とか妄想の技術史を考えてみました(^^;。それでも全開で使うと三日月が受けたようなダメージが来てしまうわけですね。

 となると、ガンダム・ヴィダールに組み込まれたアインは脳だけですから、サイコミュレベルの機能を発揮しつつ、大きなダメージも受けているのではないかと思います(←勝手な妄想をさらに敷衍している ^^;)。

 脳だけになって酷い扱いを受けているというのが、なんかの作品であったなと思っていて、ようやく記憶が蘇りました。「新世界より」です。アニメしか観ていないんですが、ラストがなかなかにひどい。敵方のボスが捕まり、刑罰を受けるんですが、脳だけにされて永遠の苦しみを与えられるというもの(死を選ぶ自由すらない)。せめてもの救いが、ヒロインによって死を与えられるというものですから、かなり陰鬱でした。

Re: 2月のスレッド(2017) - White NOVA

2017/02/19 (Sun) 02:20:37

絶狼と、ロボ話の続き。

★絶狼

予想どおりアクションが非常に充実した回でしたが、予想外の結果として、カゴメが竜騎士と相討ちを狙って術を暴走させて自爆。
竜騎士は崖から落下して行方不明(まさか死んではいないよね)。カゴメは力尽きて死んだ、って感じに描かれましたが、これで出番が終了なのか、それとも妖精パワーとか何かの奇跡で復活するのか、気になるところ。

感想としては、もうカゴメの自爆が衝撃的で、それ以前の筋立てとか全部吹っ飛んでしまった感じなので、早く続きを見たい、というところですね。

次回は「写真」というタイトルで、アリスメインのエピソード? 何だか予告を見ると、アリスが零と剣を交えているような感じですが果たして?

★レスその他

前回、書いた『バビル2世』ですが、3つのしもべのうち、ロデムをロボットに分類するのは果たしてどうか? と思い直しました。
原作では、ゲル状の不定形生物で、黒ヒョウ状態も仮の姿なんですね。あれは、宇宙生物か、良くて人造生物であって、ロボットと定義はできないだろう、という意見もあるわけで。
アニメの方では、黒ヒョウ姿が常態のようですが、結局、正体不明。

まあ、ああいう風に軟体で変幻自在なのはロボットじゃないだろう、と考えることもできますが、サイボーグの007だって自由に姿を変えられるし、ゲッターロボとかフレンダーみたいに「明らかに機械なのに、モーフィング変形しちゃう」ものを見ると、「ロデムがロボットというのは有り得ない」とは断言できない。
3つのしもべで、ロプロスがメカ怪鳥で、ポセイドンが人型ロボットであるなら、ロデムだけが普通の生物(宇宙生まれであったにせよ)の方が違和感を持ちます。何らかの改造が施された人工物と見なすのが、自分的には適切じゃなかろうか、と。

さて、009についてのレスですが、自分がこの作品を初めて知ったのは、70年代末のリメイク版(主題歌が「誰がために」)のアニメですね。一方、原作コミックを読んだのは、21世紀になってから3度めのアニメ化の折り。
全体的な感想としては、やはりブラックゴーストという分かりやすい敵組織がいる時期の方が面白いと思います。
天使編とか、神々との戦いに関しては、風呂敷を広げすぎて、サイボーグ戦士がそれぞれの能力を駆使して戦う醍醐味が感じられないなあ、と思ったり。メカバトルが見たいのに、神秘的な超能力アクションとか神の奇跡なんて用語を頻発されてもなあ、と白けた感じ。
「神にちなんだ名前や能力を与えられたロボットやサイボーグ」は許容できますが、「神そのもの」が出てきて、霊的な能力を駆使したバトルって展開を示されると、メカのギミックを楽しみたい向きには嬉しくないなあ、と。
「神とか悪魔とかが出てくる話」なら、最初からそういうテーマで描いて欲しい人なので。

例えば、「ガンダム」や「マクロス」で、人類間の戦争や、異種族との衝突劇をやっている話に、突然、神が出てきて、MSや可変戦闘機の武器が通用せず、人類滅亡の危機を迎える中で、「ニュータイプに覚醒した主人公が超能力で神と対峙する」とか「歌パワーで愛と文化を司る神を召喚して、破壊神を調伏する」なんて展開になったら、おいおい、と思うようなもの。
009の神々との戦いは、それまでのサイボーグの機械的な能力が通用しないピンチの中、001の超能力でサイボーグ戦士が新たな能力を覚醒させて、人や機械の限界を超えた力で立ち向かうという展開。

つまり、メカニカルなサイボーグの話から、幻魔大戦風味のオカルトバトルに切り替わった点で、何それ? と感じたりした次第。自分が009に求めているのは、そうじゃないんだ、と。

★70年代半ばのロボットと、ヤマトの影響

73年は、『ガッチャマン』と『マジンガーZ』の人気継続を背景に(どちらも番組終了は74年)、ロボット物その他のメカSFが発展した時期になります。
実写では、72年の『人造人間キカイダー』や続編の『キカイダー01』、73年の『ジャンボーグA』や『ロボット刑事』、『スーパーロボット レッドバロン』など、ロボットヒーローも目白押し。
66年の『マグマ大使』や67年の『ジャイアントロボ』以降は、あまり後継作品が続かなかった時期と比べると、70年代前半のロボットブームは正に華開いた感です。

続く74年ですが、特撮ヒーローでは『仮面ライダーX』が純粋にメカニックを前面に出しており、一方で敵組織はギリシャ神話モチーフで、マジンガーZの影響がストレートに出た作風(物語の後半では、巨大な敵ロボット・キングダークの起動装置の設計図を巡る争奪戦展開で、正にロボの時代。まあ、この設定自体は、同じ原作者のキカイダー01のジャイアントデビル編の焼き直しでもあるのですが)。
他に、74年の特撮では、バイクが変形する『電人ザボーガー』や、集団ロボットコメディの傑作『ロボコン』といった作品が作られる一方、ゴジラ映画の方でも72年にはサイボーグ怪獣ガイガンが生まれ、73年にはスーパーロボット・ジェットジャガーがゴジラとタッグを組み、ついには74年、宇宙人がメカゴジラを製造するなど、メカロボ人気が沸騰中。

そんな中で、アニメの方も、73年の秋からアンドロイド少女を主人公にした『キューティーハニー』が始まり、永井豪の時代に突入。
74年初めには『ゲッターロボ』が、そして夏の劇場映画を経て、マジンガーZの最終話に至り、秋から後継ロボの『グレートマジンガー』が始まり、その一月後に、日本のSFアニメ史に革命的な影響を成し遂げた作品が始まる、と。

それが『宇宙戦艦ヤマト』ですね。
ロボット物としては、アナライザーしか語るところはありませんが、このアナライザーが実写物のロボコンと同じ74年の10月登場で、「赤くて丸い、ちょっとドジで人間らしい感情を持ったマスコットロボ」という共通項を持ち、以降のアニメや特撮作品に多くの後継者を生んだ名キャラクターとなる次第。
人工知能云々はさておいて、これまでは『ロボタン』とか73年版の『ドラえもん』とか、子供の友達としてのロボットが描かれた作品はないわけではなかったですが、彼らは世界の中では変わった存在なんですね(ロボタンも、ドラえもんもその世界には唯一無二のキャラで、彼らの存在する空間がすでに非日常)。
一方、ヤマトのアナライザーは、宇宙戦艦の中にいる分析ロボットということで、劇中では描かれていませんが、作品世界では他にも同類のロボットが何体も製造されているであろうことは容易に推測できます。つまり、ヤマトの世界では、アナライザーの存在が普通の日常として認知されているぐらいの世界観。アナライザーの存在よりも、超空間航法を備えたヤマトの方が、あの世界の地球の技術を凌駕したメカという立ち位置。
また、ロボコンについては、ロボット学校の生徒ということで、あの世界にはロボコン同様のお手伝いロボットが複数存在して、町で普通に生活している設定。ロボコンという個体は唯一無二ですが、ロボコンの仲間のロボットは他にもいろいろいて、町の人々から普通に認知されている。ある意味、『鉄腕アトム』がかつて先駆的に描いた「敵キャラでもなく、世界にとっての異物でもなく、ロボットが普通にいる日常」が74年の秋になって、ようやく描かれるようになったわけですね。
それだけ、ロボットというキャラクターが日常性を帯びるようになった時期と言えるでしょう。

ヤマトに話を戻すと、「戦艦みたいな宇宙船の形状を定着させた点」も大きいですね。海外の宇宙船は、スタートレックのエンタープライズ号などを見ても、海上の艦船とは異なる独特のデザインですし、そもそも海の船がそのままのスタイルで宇宙を飛んでいることがおかしい。
なお、ヤマト以前の日本のアニメだと、宇宙船はロケット型か戦闘機型が普通で、逆にヤマト以降になってから艦船型の宇宙船が標準になった、と。
船のデザインもさることながら、「母艦と艦載機によるSF活劇」を定着させたのも大きい。これは後に、艦載機がロボになることによって、「ロボには、それを支援する母艦が付きもの」というセオリーに発展します。それ以前のロボは、固定された研究所なり基地なりから発進して、わざわざ戦場まで駆けつける(当然、活動範囲にも制限があるはず)形ですが、やがて最終盤の敵陣に乗り込む時期になってから、それまで固定されていた基地が移動要塞として起動するようになり、そこから移動司令部が常態になっていく流れ。

他には、超光速航法である「ワープ」という概念を日本のSF界に浸透させ、また「波動砲」という巨大な砲撃必殺兵器を定着させるなど、ヤマトの影響は数々挙げられるのですが、作品そのものの人気が定着するのは、ガンダム同様、再放送から劇場版(77年)のヒットに至り、続編が作られるようになってから、と。

75年以降は、UFOブームが始まり、フィクション界でも新たな宇宙時代の始まり、となるわけですが、ロボット物も、「現代に復活した古代文明の末裔」から「宇宙からの侵略者」に敵キャラがシフトしていく時期ですね。
そこに松本零士ブームや、タイムボカンなどの時間移動SF、009やアトム、鉄人のリメイクが重なって、そこにスターウォーズの影響なども絡み合いながら、80年代に至る、と。

今回はここまで。

PS.来週発売のスパロボで、ヤマトを使うのを楽しみにしつつ。

Re: 2月のスレッド(2017) - K.K

2017/02/20 (Mon) 13:46:34

 NOVAさん、どうもです。

●絶狼

 どうも大変なことになりましたね。まさかの(一見したところは)カゴメと竜騎士の相打ち、死亡です。問題の焦点となる二人が退場でもしてしまったら、この後はどうなるんだろう。もし竜騎士がいなくなれば、一応は平和ということなりはするんだけど。NOVAさんのご推察通り、少なくとも竜騎士は死んではいないんでしょうね。

 冒頭、今までのいきさつをシルヴァが紹介するもんですから、「今回は回想回? 1クールしかないのに?」と心配になりましたが、無事に話が進み始めて安心しました。第1~2話はホラー絡み、そこから急に竜騎士メインに移ったので、一応の整理をしたのかな。

 アリスをさらった竜騎士ですが、カゴメが目が覚めるまで待ってたみたいですね。竜騎士はアリスが竜の誕生を望んでいるように見えるらしいけど、一応は鍵だから大切に扱ったのかと思いましたが、籠が開いて鍵が不要になってからも、卵を抱えるカゴメに斬りつけたりはしない点、もしかするとアリスが竜騎士にとって、なんらかの意味を持つのかなと思いました。

 一方、零一行は竜騎士が放ったと思しき多数の飛行魔物と戦闘、烈花とカゴメにより零が先に行かされ、魔物は合体して巨大化。攻撃においてはカゴメより烈花が上のようですが、カゴメの防御術もなかなかのもののようですね。しかしとどめの攻撃は二人の合わせ技で、初めての共同戦線の割には息が合っているらしい。二人がかりとはいえ、大物を撃破できてカゴメが嬉しそうです。感激してカゴメは烈花に弟子入りを志願、烈花が断ったのでちょっと冷たいかと思ったんですが、「いい盟友になれそう」などと言い、がっかりさせておいてから思い切り褒めるという、心憎いことをしますな、烈花は。

 竜騎士に剣を突き付けられたアリスの元には例が到着(ピンチにどんぴしゃで現れるという今シリーズの吉例 ^^;)、竜騎士と零が戦闘に入る。生身(鎧装着前)の1対1ではやはり竜騎士が優勢の模様です。零が前に鎧からワイヤー出してましたが、竜騎士は生身状態でチェーンが出せるようですね。鎖鎌とは違いますが、二刀流をもってしても対処が難しそう。これに対して、零はいつぞや繰り出した、ジャンプして回転しつつ飛び込んでの大技を繰り出し、と丁々発止のバトルがなかなかの見ものです。そこへアリスが卵を抱えて現れ、というところでCMへ。

 CM後、竜騎士がメカ使い魔を瞬時に作成し、バトルを続ける。使い魔はアリスを急襲しようとし、零が阻止、とさらにややこしくバトルが続く。先週は静かだっただけに、今回はなかなか派手な暴れっぷりを見せてくれて、なかなか満足感高いです。そこへ、烈花とカゴメが到着、1対3ですが竜騎士は少しもひるまず、かつアリスも執拗に狙う。うーん、やっぱり強いですね、竜騎士は。

 戦いが膠着状態になりかけたと見た竜騎士が鎧召喚、同時に零も。馬も呼び出しており、いきなりの全開ですな。竜騎士の馬は四本の足からジェットを吹き出しているように見えます。なんか竜騎士って、いろいろメカっぽいですね。もしかして、竜関係って古代の先進文明とか、大昔に来訪した異星人の技術みたいな気がしてしまいます。

 残り2.4秒で双方鎧を解除、生身の戦いに戻りますが、息を切らし、BGMも相まって何か悲壮な感じです。背後の建物に逃げたアリスを追う竜騎士、零を建物から叩き落とし、アリスに卵を返せと迫って剣を突きつけますが、それ以上のことはしない。このシーンで、「あれ、竜騎士はアリスを殺せない理由、何かあるのかも」と思いました。

 その隙をついて、烈花とカゴメが竜騎士の背後から二人がかりの渾身の一撃、しかし竜騎士は倒れず、カゴメが執念の追撃で……と思ったらなんか様子がおかしい、どうも相打ち覚悟の攻撃という雰囲気です。竜騎士対策として覚悟して用意していた技なんでしょうね。

 最期の一撃で竜騎士の左胸にはでかい風穴があき、カゴメは爆風で吹き飛ばされて地上に落ちる。一目見て、カゴメはもう駄目だと分かるシーンでした。目が開いたまま落ちて倒れてましたから。即死だったはずです。烈花も蘇生を試みず、目を閉じてやるだけだったことも、即死だったことを物語っていると思います。

 牙狼を見慣れて熟知されたNOVAさんでも、さすがにこの流れに驚かれたわけですから、私が非常に驚いた、というよりショックを受けたというほうが正確なのは、お分かりいただけるような気がします。それほど予想外で、衝撃の展開でした。

 観てしばらくして、ようやく頭が落ち着いてきて、いったん「これでカゴメは兄の仇を討ったことになるのかな」と思いかけましたが、よく考えると、カゴメはどうも復讐を思い込むタイプには見えなかった。となると、カゴメは自分の短慮な策でアリスを竜騎士にさらわせたことを後悔し、その責任を取るため、捨て身で竜騎士を倒しにいったのかもしれません。そう思うと、なんだか哀れな気がします。他のメンバーは誰もそんなことは思ってないでしょうから。カゴメは一人で悩んでたんだ、たぶん。

 次回「写真」の予告は、私にもアリスが剣で零に打ちかかっているように見えました。でも衣装の雰囲気が全然違う。それに今回のラストからどうつながるかも、ちょっと想像できません。うーん、どうなるんだろ。竜騎士は私もたぶん死んでないと思うし、気になるし。ただ予告のラストが「アリスが零の写真を抱きしめて、ナレーションが『さよなら、私の大切な人』」ですから、あからさまに不吉な感じですね。たぶんそういう勘違いをするようなミスディレクションでしょうけど(^^;。

●鉄血のオルフェンズ

 先週のラストから続いて、ラスタルもマクギリスとガエリオの対決を盛り上げるがごとき通信を不特定多数に流してますね。鉄華団ではこれを聞いて動揺が走り、ギャラルホルンの他の実力者が味方に回らないと知った反乱の首謀者ライザは逃げ腰になってしまう。うーん、いかにもヘタレだなあ。

 続いて三日月とマクギリスの会話ですが、阿頼耶識システムの歴史的経緯や本来の目的のネタバラシですね。なるほど、阿頼耶識システムは実は子どもでないと適合しないという今の代物ではなく、オリジナルの阿頼耶識は大人が受けるようなものだったのであり、マクギリスはバエルに乗るために、アインですら実験台として利用していたということだったのか。冷徹というか、冷酷というか、かなり暗い話です。

 OP後、マクギリスがラスタルやイオクを除くセブンシスターズとやらを説得にかかりますが、せいぜい中立を保つまでが交渉の限界。これはマクギリスにも想定外だったようですね。これでマクギリス+鉄華団は、倍する敵と戦わねばならなくなった。バエルに乗れさえすれば、というマクギリスの慢心、油断だったんでしょうか。

 ガエリオの帰還を出迎えたラスタルは、続いてイオク様にお小言。いちいちもっともなんだけど、イオク様は言葉は通じても話が通じない人(ネットでの評判)なのになあ。お小言から分かったのは、イオクの父親は立派な人物だったということ、部下がイオクに向ける忠誠心は父が部下に慕われたゆえであること、などですね。もしかしてラスタルは、遠回しにイオクが全方位的にダメって言ってない?

 続いてお小言のはずがマクギリス批判に。なるほど、ラスタルはマクギリスがギャラルホルンの祖のご威光頼りの行動に失望しているのか。同じ親父の威光でも、いい面を体現している、少なくともしようとしてるイオクのほうが、ラスタル的には上であるということなのかな。

 シーン変わって幼いアルミリアとマクギリス。こんなに小さくても、愛する家族と愛する未来の夫との間で深刻な葛藤があるみたいですね。しかし死のうとまでするとは。マクギリスがあえて手に刃を受けて止めてくれて、ほっとしました。貴族的大家の常とはいえ、子どもにまで生きるか死ぬかの悩みは背負わせてはいけません。ただ、アルミリアの苦しみは、この後、誰が死んでも生き残っても、減りそうにありません。なんだか、誰もかれも不幸になって行く。

 一方、マクギリスと鉄華団。マクギリスからは、他のセブンシスターズからの支援はなし、マクギリス+鉄華団 vs ラスタル+イオクの戦いになると通告。すると敵勢は2倍のままで、不利な戦いになりますね。ジャスレイ戦のときと違って、傭兵ではなく正規兵、しかも艦隊を持っている。

 マクギリスは最後の戦いだと言い、鉄華団でも後1回勝てばいいと言い、ですが仮にこの一戦に勝てたとしても、そんなにうまくいくものなのか。
 事務方のデクスターとメリビットがこの状況を憂いているようですが、メリビットは前期ラスト辺りで鉄華団を押しとどめ損ねてから、やり過ぎを止めるのを諦めてる感じですし、デクスターもあまり元気がなく、鉄華団の覇気に抗しがたい感じです。

 メリビットに「あの人」と呼ばれたのは、親父さん、こと雪之丞でしょうね。雪之丞はてきぱきと出撃準備を進めるのみ。そんな中、おそらくただ一人、この戦いを危惧しているのが、ザックでしたね。2倍の戦力相手に勝てるわけないと。その通りなんですが、そういう常識的な判断がもう鉄華団内部では通じない。しかし雪之丞がそれを聞いて言ったことが印象的でした。

「お前みてえのが鉄華団にもっといたら、きっとオルガも楽だったろうな」

 おそらく、やり過ぎを止める人間がいたら、オルガもリーダーとして合理的な方向に団を持っていくことも可能だったという悔いではないかと思います。意見まで一枚岩で、思い込んだ方向に突き進むのみでしたからね。

 メリビットも止められず、雪之丞も止められずだったことも思い出しているはず。大人として不甲斐ないと思っているかもしれませんし、一緒にやってきた大人でも信用してくれないことへの不満もあるのかもしれません。そんな雪之丞からの、おそらくは最後のアドバイスは、

「考えることをやめんじゃねえぞ」

ですか。曖昧ですが、もうそれくらいしか言えることがないのが、今までを踏まえたこの状況ということなんでしょうね。

 シーン変わって、ガエリオとジュリエッタ。さらにまた鉄華団へと場面は戻って来る。雪之丞のアドバイスが無駄だったことが暗示されてた気がします。さらにマクギリスとオルガの会話。マクギリスは戦争の将らしく、損害を数で考えていますが、オルガとしては家族が何人死ぬかの問題で、二人は作戦的には同意できても、感情的には手を組めてない感じですね。

 そんな中、アトラはまた一人で悩んだ挙句なのか、クーデリアと通信でですが、また二人して話し込んでいる。三日月に寄り添えとクーデリアに示唆されたアトラは、三日月と話に行く。で、アトラが感情が高ぶって思わずの告白ですが、三日月が三日月なりに不器用ながら、きちんと気持ちを返した模様です。ふむふむ、どんどん感情を失っていくだけに見えてましたが、ポーカーフェイスの心中では何らかの成長をしていたのかな。

 と思ったところで次回へ。今回も予告編がTVではカットされていて、ネットで確認しました。次回は「これが最後なら」で、かなりのバトルが展開される模様です。でも「最後『なら』」って? if的な曖昧さが不安を掻き立てます。

●ヤマト(アナライザー)

 ロボット&AIのご解説、周辺の作品や関連性などを含め、引き続き興味深く拝読しております。ガッチャマンとマジンガーが同時期で影響し合っているとの視点は、私は今まで持てておらず、まったく別個の作品としか考えてませんでした。言われてみると、共通点あるがゆえの相違点とか、いろいろ面白い見方が出て来ますね。

 余談的にピンポイントですが、ヤマトはアニメ視聴に大きく傾く要因となった作品です。御多分に漏れず再放送から観始めたクチで、危機的状況から起死回生の作戦を実行、大宇宙で派手なドンパチやって、見事に逆転、しかし敵にも事情があって、ヤマト側も悔いるところがある、とかいろいろツボにはまる要素が満載でした。

 ヤマトでアニメに再注目するようになり、さらに火をつけたのが未来少年コナンです。面白さの点ではヤマトを凌駕していると感じましたが、もちろん個人の好みにおいてではあります。アニメはやはり、よく動き、その動きがきちんと制御されているといった、ヤマトとは別のツボを突かれたんですね。これがさらに、カリオストロの城でも同じことを強く感じました(珍しく劇場へ足を運んだせいもあるかも)。

 ヤマトのほうでは、アナライザーは気になるロボットでした。味方側の分析などを行うロボットとしては、もっと古くはキャプテンウルトラの「ハック」ですね。今から思うと「ハッキング」の動詞ハック(hack)なんでしょうけど、この当時にハッカーがいたとしたら、まだコンピュータではなく電話だったはず(ある音程で交換機を操作できるといった話)。

 それはともかく、キャプテンウルトラのハックのイメージが記憶にあったため、アナライザーは割とスムーズに受け入れることができました。ただギャグ的にスカートめくりはまだしも(ロボット工学3原則的な不安はあるけど)、森雪に恋愛感情を抱いたような回もあって、それはちょっとやりすぎかなという違和感があったのを覚えています。

 デザイン的にはアナライザーは当時の松本零士メカデザインに則り、円形の光るアナログメータが多数あるものでした(当時はそういうデザインがカッコいいなあと真剣に思った)。これに対し、ハックは両目が多数の角型ランプが長方形に並んだもので、当時のコンピュータというと、そういうランプがあるイメージでした。

 後になって、そのランプの意味を知りました。コンピュータは01の2進数で処理するマシンで、ずらっと並んだランプは2進数を表示する装置だったんですね。ハックは目と思える部分で、実は他人に無言で話しかけていたわけです、しかも2進数で。

 実体験では、大学で昔のコンピュータのプログラミングをやってみたことが。スイッチが8個あり、それぞれのスイッチの上にはランプがあるコンピュータでした。8個スイッチのオン/オフ切り替えで8bit=1バイトの数字を作って入力していくというもので、おそろしく手間です。1バイトで1分くらいかかりますので、60バイト(半角60字、全角30字相当)に1時間かかるわけで、昔の人はようこんなもんでプログラムしてたもんだと実感する演習でした。

 なんと言いますか、その時期の実際のコンピュータがフィクションの電子頭脳のデザインに色濃く影響はするんだけど、私ら視聴者はなんでそういうデザインなのかは知らないことが多いようです。まあ、「電子頭脳がこう言っている」と感じ取れれればそれでいいからなあ、フィクション視聴者としては(^^;。

Re: 2月のスレッド(2017) - White NOVA

2017/02/23 (Thu) 01:33:54

★絶狼

「絶狼」の前回の展開は、カゴメと竜騎士のここまで積み上げて来たエピソードを全て崩壊させるほどの展開ですからねえ。
この後の流れをあれこれ予想しようとしても、考える材料とか方向性とかを見失ってしまうので、とりあえず思考停止して様子をドキドキしながら見守るという判断になりますな。

気になるのは、竜の卵をゲットしたアリスが、おとなしく零や烈花に卵を差し出すのかな、という点。
竜騎士のセリフにあったように、アリスは竜の孵化を望むだろうし、零たちはそれを止めようとするだろうし、そこから関係が決裂することは考えられますね。

で、竜が孵化すると、その影響で竜騎士が力を取り戻すことにもなるだろうし、その点は何の心配もしていないんだけど。

やはり、気になるのは、カゴメをどうするの? と。
カゴメの兄は、「竜騎士の力を利用して、カゴメを強くさせる」と言っていましたが、ここで気になるのは「二人で強くなるのではなく、カゴメを強くする」と発言したこと。
つまり、カゴメに竜の力と関わる何かの呪力を仕込んでいる可能性を考えてみます。その仕込みが、竜の卵の孵化によって発動すれば復活も有り得るかな、と。

それと、竜騎士と一緒に自爆したカゴメですが、いくら死を覚悟したからと言って、未熟なカゴメが竜騎士を倒すほどの魔力を発動させるのは困難だと思いますので、実は「カゴメに仕込まれた竜に関わる力」が本人も知らないほどの魔力の暴走をもたらしたのではないか、と推測してみます。

とにかく言いたいのは、何でもいいから理屈づけてカゴメを復活させてくれたら、絶狼のここまでの話は無駄じゃなかったと思えるし、さもなければカゴメというキャラは何だったの? で終わってしまうわけで。

PS.ところで、竜騎士の俳優さんですが、K.Kさんは平成ライダーで鎧武は視聴済みでしたよね。主人公たちがたむろしていたフルーツパーラーの店長さんだということは、お気付きでしょうか。一応、念のための薀蓄披露ってことで。

★オルフェンズ

マクギリスが思いの他に小物というか、もう少し用意周到だと思っていたのに、蓋を開けてみれば行き当たりばったりなことに泣けてきました。
仮に戦いに勝ったとしても、この人が治める世界というもののイメージがちっとも見えて来ません。

腐敗したギャラルホルンを改革したいのは分かる。そのために、クーデターに走ったことも分かる。
だけど、人間関係の根回しができていないというか、「水戸黄門の印籠をゲットしたら、みんな自分に付いて来てくれる、と夢想していた貧乏旗本の三男坊」みたいなものじゃないか、と。
あるいは「伝国の玉璽」か何か。

もちろん、権威は大切だけど、行動を起こすには、大義名分だけでなく、それを裏付けるだけの武力も必要。それを十分に確保できないままで動き出したのは、勇み足過ぎるというか、それまで周到に見えた彼がクライマックスの段取り作りのために、一気にバカになってジャスレイやイオク様レベルに落ち込んだように思えます。

実際、セブンスターズの他の頭首の軍を当てにして対ラスタル戦を考えていたのが失敗した姿は、イオク様の軍勢を当てにして鉄華団を挑発したジャスレイにかぶるわけで。この辺が、独り善がりで物事を進めがちな驕りなのかな、と。

「人の気持を考えない」とか「まだまだ子供だ」とか、大人たちからの評価は散々ですな。

さて、そんなメッキが剥がれたマクギリスに引きずられて、予想外の大戦(おおいくさ)に参加することになった鉄華団ですが、正直、「2倍の戦力差」がどれぐらいキツイかよく分かりません。
というのも、ラスタル軍で名前があるのが、ラスタル以外にイオク様とジュリエッタ、ガエリオしか登場していないですからね。
ガエリオは確かに強敵ですが、彼の狙いはもっぱらマクギリスでしょうから、鉄華団が相手をするのは、イオクとジュリエッタぐらいでしょう。何だか、イオク様がそこにいるだけで、負ける気がしないというか、彼の影響で2倍の優位があっさり覆りそうな雰囲気。

味方側の最大の懸念は、マクギリスのバエルの戦力が未知数である点。
マクギリスが討たれたら、大義的には負けですから、バエルは温存されるのか、それとも自ら先陣に立って無双するのか、そしてガエリオと一騎討ちみたいになるのか。

一方、鉄華団は、数の不利を覆すために得意の突撃戦法を選択するでしょうな。ラスタル艦隊の旗艦を狙って突撃を敢行し、その前に立ち塞がるのがイオク様。
まあ、イオク様でどこまで鉄華団の突撃を抑えられるか、が問題ですが、多分お邪魔虫のイオク様のせいで、鉄華団の出鼻がくじかれて、勢いが削がれた状態で、周囲を敵艦隊に包囲されて、数の暴力には抗えず……となるのかな。

絶体絶命の鉄華団というところで、テイワズから派遣されたアジーさんとか、増援のテイワズ艦隊……となれば、拍手なんですけどね。

とりあえず、ガエリオがマクギリスを倒して、鉄華団がイオクを倒して、で、適当なところで講和して、ハッピーエンドになってくれれば幸いかも。

最悪なのは、鉄華団が全滅して、イオク様が生き残りました、というもの。
ラスタルさんは戦後の安定のためにしなないで欲しいですし、この戦いでギャラルホルンの戦力は瓦解しそうなので、そこから地球圏のギャラルホルンからの独立、クーデリアの穏健的な改革で明るい未来になって、鉄華団の生き残りが享受した幸せが描かれれば、自分的には良し。

PS.雪之丞さんがザックに言ったセリフですが、これって「ビスケットが生きていれば」って感じにも聞こえました。オルガに唯一ブレーキをかけられる存在がビスケットと、多分クーデリアで、他の面々は脳筋ばかりですからね。頭の良いメンバーがもっといれば、マクギリスのクーデターにも巻き込まれずに済んだろうとか。
マクギリスの場合は、頭はいいのだろうけど、家族の情愛なんかは知らなくて、人を操作できるコマのように扱ってしまうため、理屈よりも「組織のしがらみとか、恩義で動いたり、日和見に走る人間心理に疎かった」というのが今回の政略の敗因になったのかな。
あと、頭がいい割に、自分の大義を語る理論武装とか、そういうのができていないな、とも。民衆を味方にする理想的な社会の構築とか、革命劇に必要なバックボーンの思想が描写されていなくて、個人の情念だけで社会を力づくで変革させようとするのは、いろいろと残念。

その点は、秩序を守り、空想的な伝説よりも、長年培われてきた歴史に基づく時代観を語ったラスタルの方が、格好良く見えるな、とも。
イオクに対しても、「個人の力ではなく、組織の歯車としての自分を意識して、父祖から受け継がれたものの重みを守って行動しろ」という趣旨のアドバイス。

「子供の情念と、破壊を伴う改革」VS「大人の理性と、安定を第一とする秩序」というテーマの最終決戦なら、そこにどういう答えを見出だすかが気になるところですな。
まあ、子供が叩き潰されて終わるのも嫌ですが、大人が守ったものをある程度、尊重したまま少しずつ変わる何か、ってのが理想。それはクーデリアが選ぶ道なんだろうけど。

今回はこれにて。

Re: 2月のスレッド(2017) - K.K

2017/02/23 (Thu) 23:36:17

 NOVAさん、どうもです。

 一点だけですが、「あ、そうなんだ!」という部分へのレスだけでも。

●鎧武

> 竜騎士の俳優さんですが(略)主人公たちがたむろしていたフルーツパーラーの店長さん

 この点、全く気がついていませんでした。こんなところにも特撮つながりがあったのかと、まずはお決まりのウィキペディア調べで弓削智久氏の出演作に鎧武(フルーツパーラーの阪東清治郎役)と絶狼(竜騎士エデル役)があるのを確認。

 続いて、「鎧武 フルーツパーラー」で画像検索してみると、おお、言われてから見てみると同じ役者さんだ、となりました。役柄が違うから当たり前ではあるんですが、雰囲気が全然違いますね。

 鎧武ではラストが近くなって切羽詰まったときは別ですが、基本は機嫌いい感じで演じていて、絶狼では逆に基本が怒っている演技ですから、見せ方が真逆です。そのせいなんでしょう、言われて確認してみるまでは、全くの別人だと思ってました。

 この辺り、もし有名俳優さんだったら、俳優さんのイメージが先にあって、役柄のほうを合わせるなんてことも多いので、別作品もすんなりイメージが重なることが多いように思います。まあ、役者さんのイメージを崩さないために、役柄のほうで不満になったりするデメリットが生じることもあります。

 その点、弓削智久氏は役柄にきちんと合わせにいってくれているようですね。中堅どころはこういう点がいいですね。己を出さずに役柄に全て合わせに行ける役者さんとしては、コメディアンなんかもそうだと思います。故藤田まこと氏なんかはそうでした。必殺での、とぼけと極めの落差が凄かった。

 ともあれ、「ああ、そんなところで共通点が」ということで、ちょっと楽しくなりました。ご教示、ありがとうございました。

Re: 2月のスレッド(2017) - White NOVA

2017/02/27 (Mon) 00:54:11

遅ればせながらの書き込み。

新作のスパロボVを購入して、序盤の宇宙戦艦ヤマトを堪能。さらに、オリジナル主人公の機体ヴァングレイの制御OSがロボ娘のボディを持っていて、「心あるAIロボ」のドラマをいろいろ構築する展開になるようで、ここでの話題にもつなげられそうだな、と期待しています。

さて、本題。

★絶狼

前回の次回予告でアリスと勘違いした黒服娘は、ただのホラー少女だったようで別人。

一応、この回は竜騎士絡みの事件が終結した扱いで、アリスも「もう家に帰れ。竜の卵の後始末は、こっちでやっておくから」と零にあしらわれた形。
これ以上、一般人のアリスを事件に深入りさせたくない(カゴメの死という悲劇を経た後だから、なおさら)との心情ゆえなんですが、アリスとしてはまだ未練が残っているので、思い出作りのために零の写真を撮ったりしながら、最後のデート(みたいなもん)。

正直、自分はアリスというヒロインに魅力を感じないので、この回はひたすら退屈に思っていたのですが、
ホラーとの戦いは普通にクリアして、いよいよアリスがたびだつ。あ、卵をちゃっかりくすねて来やがった。相変わらず手癖が悪いというか、周りの迷惑を考えない娘ですな。
で、アリスの前で卵が孵化。ドラゴンの幼体が登場して続く、と。物語の流れとして、卵の孵化は必然だとしても、要らんことしい、のアリスの行動だけはいろいろと苛立ったりしています。

一方、今回、墓まで作られて、烈花の笛で送られた形のカゴメなんですが……ええと演じる娘は、妖精の花罪と一人二役だったんですね。つまり、俳役が完全に退場したわけではない、と。今後は、主人のカゴメの後を継いで、妖精大活躍になっていくのか。

なお、24日時点での公式ブログに、役者のファンへのメッセージが載せてあるのですが、「今後ともカゴメと花罪の活躍をお楽しみに」だそうで。
え、その前の回で、カゴメが散ったことは触れず?
役者の人がメッセージを送った段階では、カゴメの死が放送される前の時期だったのか、それとも、やはり復活して終盤に活躍するのか。いろいろ、もやもやしています。

自分がカゴメの復活の可能性にこだわるのは、彼女の前歴の「仮面ライダー555のヒロイン」が一度死んで、その後、復活しているからですね。
さらに、その後の「仮面ライダーキバ」で、気弱な主人公に惚れた気弱なドジっ子ヒロインとして物語の途中に登場してから、やがて秘められた力が目覚めて敵の女王になった挙句、まあ、最後は悲劇的な死を迎えたり、
この人の役柄って、今までは「死んで復活」「死からの覚醒」ってのが当たり前だった、と。だから、今回もそういう路線になるのかなあ、と感じる次第。

★キャプテンウルトラ

K.Kさんには、ハックを紹介してもらいました。番組名やキャラ名は当然知っていましたが、番組そのものは未見なので、動いているハックを見たことがありません。スチール写真とか、人形のイメージですね。

このキャプテンウルトラ。
ウルトラQや、ウルトラマンの後に続くウルトラシリーズ第3弾ではあるのですが、ウルトラマンのような巨大変身ヒーロー路線とは異なるスペースオペラ路線だからか、東映制作のために円谷と特撮の出来が劣ると見なされたのか、視聴率が下がってしまい、結局、円谷プロのウルトラセブンが始まるまでの場つなぎとしか評価されなかった形。

このキャプテンウルトラと、前年のレインボー戦隊ロビンは、古典的SF小説の『キャプテンフューチャー』(後の78年にNHKがアニメ化した=未来少年コナンの後番組)シリーズを元にしており、宇宙を旅するヒーローにはサポート役のロボットが付きものというスペースオペラの類型を踏襲した形なのですが、
60年代は、この路線が後に続かなかったので、ハックの後継者もすぐに生まれず、東映特撮としては、巨大ロボのジャイアントロボに流れた、と。

改めて、60年代のアニメや特撮が、先駆的なアイデアを生み出しながらも、それに続く流れができずに割とブームも短命に終わる傾向があったのは何でだろう、と思っていたのですが、一応の答えは以下の通り。

1.70年代ほど製作会社のノウハウも出来上がっておらず、黎明期らしい試行錯誤の連続だったから。

円谷にしても、東映にしても、一つの作品で成功したから、それをシリーズ化するという安定路線をとらず、作品ごとに実験を繰り返しながら、どんどん新しいアイデアを試していった時期なのか、と考えますね。
あと、70年代だと、一つの作品が売れると、それを真似する他社が似たような作品で追いかける傾向がありましたが、60年代はまだ、アニメ制作会社も特撮制作スタジオもそれほど数がたくさんなかった草創期だったのかな、と。

逆に、60年代にいろいろ試した結果、会社の方にも、人間の方にも経験値が蓄積されていき、70年代にそれが実って行ったと考えるべきなんでしょうね。
自分は70年代生まれなので、その時の環境が当たり前に感じていましたから、どうして60年代の作品は、これだけ先駆的なアイデアを出しながら、それをすぐに発展継承させずに、時間を要したのかを気にしていましたが、それができる環境がまだ構築されていなかったから、と考えると答えが出たな、と。

2.マーチャンタイジングの問題

71年の仮面ライダーと翌年のマジンガーZは、玩具業界にも大きな影響を与えました。
それが「変身ベルト」であり、「超合金」「ジャンボマシンダー」といった目玉商品です。
それ以前のウルトラマンなどは、怪獣人形やソノシートぐらいしか売るものがなくて、「番組制作費を関連商品の売り上げでまかなう」という商業体制が未成熟でした。
ウルトラマンのスポンサーは、番組内容とは関係ないタケダ薬品であり、スポンサーが求めるのは、自社のCMを見てくれる土台の視聴率一本でした。

だけど、番組でヒーローやロボットが活躍しても、それでタケダが儲かるわけではない。よって、スポンサーと番組製作スタッフの視点が全く異なる結果となって、製作環境が安定しない。

それがライダーとマジンガーの実績で、玩具とヒーロー・ロボット番組の連鎖的な発展が保証されるようになると、同じ種類の商品を売り続けるためのシリーズ化、作品の方向性の長期的安定化が求められるようになる、と。

3.海外作品の影響

60年代のTV番組は、国内だけでは放送枠をまかなえず、しばしば海外産の作品を輸入する形を採っていました。
その最たるものが、SF的には『サンダーバード』であり、60年代のメカ特撮のバイブルみたいにも扱われるほど。
また、レインボー戦隊ロビンの後番組も、しばらくハンナ・バーベラのアニメ作品が続いており、それから時を置いて、映画で実績のあった『サイボーグ009』のテレビ版に受け継がれる、と。

日本の制作番組だけを追っていると気付かなかったミッシングリンクですが、後番組に海外作品があったということなら、そりゃ、番組構成にもバリエーションがあってしかるべきだなあ、と。

なお、これが70年代になると、日本国内の作品制作環境が発展して行ったのと、それまで作った作品の再放送ストックがだんだん溜まっていくのとで、海外作品に頼らなくても放送枠を埋めることは可能になったんでしょうね。
そして、再放送が繰り返されることで、シリーズ物への愛着とか、以前に作られた良作が再評価される機会が増え、そのことも70年代後半にアニメブームが盛り上がる土台になっていったのだと考えます。

★70年代後半への布石

まず、1975年(昭和50年)という年は、特撮ものにとって大きな転機となった年です。
ゴジラ映画が15作目の『メカゴジラの逆襲』で長い眠りに入り(次に復活するのは84年)、
ウルトラシリーズも『ウルトラマンレオ』で一時終結。
仮面ライダーもまた『仮面ライダーストロンガー』で一時終結。
要するに、それまで毎年作られて来た作品群が次々と終わってしまう状況でした。

まあ、円谷とか東宝のゴジラの場合は、オイルショックの影響で怪獣の着ぐるみのためのゴムの値段が高騰し、制作困難になった状況があります。
一方、もっと制作費の安い東映特撮では、ライダーの代わりの目玉として企画されたのが『秘密戦隊ゴレンジャー』。ここから新たな時代が始まるという流れにもなります。

一方、本題のロボット番組については、75年に始まったのが『勇者ライディーン』『ゲッターロボG』『鋼鉄ジーグ』『UFOロボ グレンダイザー』と活況を呈しております。
この中で、『勇者ライディーン』が特徴的。これまではマジンガーにしても、ゲッターにしても、現代科学の産物だったのですが、ライディーンは古代ムー大陸の遺産であり、後のイデオンにも通じる発掘ロボの起源に当たります。これまで、こういう古代文明からの遺産とかは敵の設定であったのが(バビル2世からの発展形と考えることも可能だけど)、敵が悪魔で、味方が神というネーミング的にオカルト路線が濃厚な作品。

一方、『鋼鉄ジーグ』はまた癖のある作品で、主人公は磁石の力で戦うサイボーグ。ジーグの頭部に変形し、換装可能な腕や脚を支援機ビッグシューターに射出されながら戦う。ジーグの戦闘で面白いのは、頭部以外のパーツは予備があるので、敵の攻撃で度々破壊されながらも、戦闘中に修復しながら戦うという描写。
敵は、「邪魔大王国の女王ヒミカ」で、まあ和風テイストがロボ物に初採用。
なお、デザイン的には、鉄人とマジンガーが西洋甲冑モチーフで、ライディーンがエジプトのスフィンクスモチーフ。和のモチーフが主役ロボに採用されるのは、後のザンボット3からガンダムの路線ですが。

さらに、ジーグのポイントとしてチェックしたいのは、主人公の父親の博士の記憶をコンピューターに移植した「マシンファーザー」の存在。
キャシャーンの時もそうでしたが、「人間の記憶や人格を完全に機械の中に取り込む技術」が、この時期のフィクションでは普通に受け入れられていたわけですね。オルフェンズの世界では禁忌な技術なんですが。
で、主人公も邪魔大王国の侵攻を危惧する父親の手で「勝手にサイボーグに改造されて、戦いを強要されている」わけですから、この父子関係、非常に険悪なんですな。コンピューターになった父親と、サイボーグの息子がしょっちゅう口論しながら、敵が攻めてくるので仕方なく戦っている物語。まあ、主人公の声が巨人の星の星飛雄馬なので、厳しい父親に無理矢理鍛えられる息子のドラマという路線も狙っていたのでしょうが。

あとは、いわゆるロボット物ではありませんが、宇宙メカSFとして挙げられるのが『宇宙の騎士テッカマン』。
登場するロボは、騎士のテッカマンの乗馬的な役割を果たす人工知能ロボのペガス。主人公はぺガスの体内に収納され、強靭な肉体を要するパワードスーツをまとい、テッカマンとして宇宙で暴れ回る。騎士というからか、牙狼との共通点も見られます(鎧の装着時間に限界があることとか)。

『ヤマト』から始まった宇宙SF路線の最初の後継者が、テッカマンとなるわけで、その次がグレンダイザーと。
その後、宇宙人がどんどん地球に攻めてくるのが76年以降ということで。

また、テッカマンと同様のタツノコ路線として、『タイムボカン』がスタートしたのも75年ですね。ここでの登場ロボは、ゼンマイ仕掛けで動くマスコットロボのチョロ坊と、敵メカぐらいですが、「タイムマシンで過去と未来を飛び回る大冒険」というスタイルをアニメで見せた初の作品ということで、記念碑となる作品です。
「タイムマシンと言えば、ドラえもん」という向きもありますが、73年の最初のアニメ版はSF要素は少なく、あくまで下町日常ファンタジー路線だったそうですから。ドラえもんがSF冒険ファンタジーの方向性で発展して行ったのは、79年からの大山のぶ代声の2作目からで、その背景に70年代後半のSFブームがあるのは常識と考えます。

PS.76年からガンダムに至る79年まで、ロボット物および宇宙もので語るネタはそれこそ山ほどあるのですが、作品を全部挙げていくと話が進まないので、どう大雑把にまとめるか模索中。

Re: 2月のスレッド(2017) - K.K

2017/02/27 (Mon) 10:50:17

 NOVAさん、どうもです。

●絶狼

 話がまたホラー絡みに戻ってきましたね。とはいえ、竜騎士はともかく、竜については依然として現在進行形、どう決着をつけるのか気になります。

 冒頭、夜のシーンから。どうやら妻と幼い息子を亡くし、ホームレスになったらしい男が質素な建付けの鐘を鳴らす。そこへ突如、ちょっと妖艶っぽさのある女性が現れ、「その願い、かなえてあげようか」と言う。この女が実はホラーで、先週の予告に出ていた今回の敵ということですね。先週の予告の時点では、私もこれがアリスだと勘違いしていました。うーん、髪形とか化粧とかのせいか、ぱっと見には騙されるもんだなあ(^^;。

 それはさておき、男がはっと気がつくと、スーツを着て、時刻は日中になっている。そして、死んだはずの家族が現れる。流れからすると、そういう幻想をホラーが見せているんでしょうね。妻が幸せかと聞くと、男は幸せだと言い、妻が死んでもいいくらいと聞くと、男は死んでもいいくらいと答える。で、観ているこちらが「ああ、禁句言っちゃった」と思う間もなく、「じゃあ死んで」の声がして、男は食われてしまう。

 今回のホラーの好みは、幸せを感じた人間を食らうことらしい。おそらくは、幸福の絶頂から突き落とされた瞬間の人間ということでしょう。そうでなければ、夢を見せたまま食らっていると思いますんで。

 シーン変わって、零、烈花、アリス。杭と板のお墓の前で見送りしているらしい。もちろん、カゴメの墓でしょうね。ということは、遺体を埋葬したのか。これでもしカゴメが復活するとしても、相当特別なきっかけなどがないと無理そうな感じになってしまいました。うーん、今のところ、そういうものを示唆するようなものは出ていなかったように思います。やはり、まだ明かされていない竜の秘密とかあるんでしょうか。

 お弔いが済むと、竜の卵をどうするかの相談。烈花の判断で元老院の指示を仰ぐことになったものの、それまでは零が預かるということで、バーへ持ち込まれる。卵を気にするアリスですが、零が追いだしてしまう。アリスが出て行った後、零がアリスを普通の生活に戻すためだと言ってますが、まあ言い争いの時点で視聴者も気がつきますわな。

 単に追い出すのは気の毒と思ったマスターの計らいなのか、アリスを零と送り出した模様で、アリスは零の写真を撮り(修行はアリスに見せるためにやってた?)、願いがかなうとかいう(祈りの)鐘の話になる。毎度毎度、アリスはホラー絡みに引き寄せられてますね。これじゃ、普通の生活に戻すといっても、危なくてしょうがないんじゃないだろうか。今までよく生きてたな、くらいの感じすらします。その間も、件の鐘では被害者が続出と。

 二人が鐘にたどり着くと、ホラー出現。手っ取り早いな。ホラーが鐘を鳴らすと、またもや夜から一瞬で昼に変わる。今回のホラーは舌戦で心理的な揺さぶりをかけるタイプのようですね。しかし零がそんな手に乗るはずもなく。物理闘争になると、もう実力の差は歴然の感じです。ホラーがグロテスクながらも、どこか可愛げのある姿を現すも、鎧を装着した零に残り53秒(鎧解除は残り45.5秒)で撃破されてしまう。たちは悪いものの、戦いとなるとかなり弱かったみたいですね。

(歯の浮くような会話やキザな台詞については、意地でも感想を述べず ^^;。零はともかく、アリスのあの演技ではシーンの狙いが成立しとらんのじゃなかろうか?)

 竜の卵については、元老院で処分することが決定。しかし、零はアリスに竜の卵は殺さないことになったと伝え、安心させようとする。がしかし、アリスはいつもの通り、想定外のキャラクターでした。いろいろ納得しておとなしく出て行った風を装い、竜の卵、こっそり持ち出しちゃってたよ。バーに戻った零が愕然、言葉も出ず(^^;。竜の卵が自然に孵り、出てきたのは可愛らしい竜の赤ん坊。このまま可愛いままなのかどうか、ちょっと不安な感じです。

 NOVAさん先のご感想での「カゴメに仕込まれた竜に関わる力」説ですが、最初は「そこまではなかろう」という気がしたんですが、じわじわと「いや、あるかもしれない」という気がしてきました。
 話が飛ぶようですが、ナルトで思い出したことがあったんです。サスケの兄のイタチが、サスケが強敵に狙われたときに大技が自動発動するよう術を仕込んでおいたという類似例があるんですね。
 それを思い出して、「零ですら手に負えない竜騎士を一撃で倒すなんて、確かにカゴメだけの力でできそうにない。もしかすると」と思えてきたのです。それに、邪美が復活したという話もここで聞いてますし。同じように兄が「相打ちの大技の後、魔界樹に託すような術を施していたとしたら」とか、いろいろ想像が膨らみます。

 今回のご感想では、アリスには苛立ちすら感じるのに対し、カゴメにはもう思い入れが生じている感じですね。これは私も同様です。アリスとカゴメは余計な事をする面では似ています。カゴメだと、直近ではアリスを故意に危機に陥れたことがあり、零らもピンチになりました。迷惑度でいえば、アリスの悪行(^^;)より大きかったかもしれません。

 ですが、カゴメは常に必死で、しくじると反省し、挽回しようとし、他人によくされると素直に喜んで感謝する。一言で言えば健気でいいんでしょうか。いずれも美質です。しかしアリスはどれも持っていない(まあ、役者さんがそういう演技をやろうとしてもできないのがごにょごにょ)。迷惑のかけ捨て、恥のかき捨てみたいな感じですね。もし今後、アリスに悲劇的な属性、ストーリーが与えられずだと、二度と出てきてほしくないヒロインになってしまうかもしれません。(アクションもしてくれんしなあ、武道黒帯ってあったから期待してたのに。)

 次回は「母性」、予告映像からすると、今回同様、ホラー絡みの事件を交えつつ話を進めるみたいですね。カゴメや竜騎士については、なんの痕跡も見いだせず。うーん、あの二人、どうなるんだろう。まさか、このまま本当に退場扱い?

●鉄血のオルフェンズ

 今頃になってですが、名前を完全に勘違いしていたことに気がつきました。ギャラルホルンの最上層部は「セブン『スターズ』」であって、「セブン『シスターズ』」ではない。
 ……ギャラルホルンは石油で儲けてるとでも思ってたのかあっ!>自分orz

 気を取り直して今回ですが、非常に嫌な流れになっています。冒頭、もう鉄華団がラスタル軍と激突しており、ジャスレイのときとは違い、兵や火力の質では近く、数では差があるため、鉄華団はどうにも劣勢の模様です。敵の戦術が巧妙なのか、うまくかく乱されているようでもあります。これは率いる将がラスタルだからで、ジャスレイとは雲泥の差なんでしょうね。

 マクギリス軍も奮戦はしているようですが、ラスタル側がバエルの威光を意に介さない以上、普通に戦力差が出ているらしい。この後、マクギリスがバエルで出撃するも、単騎で万余を押し返すなんてことはできてないようです。しょせんはMSというところですか。MAのような補助ユニット含めた部隊規模の戦力は望むべくもなさそうです。

 マクギリス軍の主力は、どうやら地球外縁艦隊のようですね。ウィキペディアで調べなおすと、マクギリスが今回ぼやいたように、実戦経験が乏しく、今回のような混戦模様では戦力としてあまりあてにならなさそう(これが遠距離の艦砲射撃だったら、普通に役立つんでしょうね)。

 ラスタルはMSの運用においても、疫病神のイオクは出撃させずにそばに置き(彼に対する教育でもあるんだろう)、ジュリエッタをうまく運用して戦果を挙げているようです。この後、三日月に対する押さえとしてもジュリエッタを向かわせていますね。前に変な妄想(隠し子説 ^^;)しましたが、どうやら普通にパイロットとして期待していたみたいです。でもそうすると、じゃじゃ馬の高性能機への搭乗を渋ったのはなぜなんだろう?

 今回はほぼ全編がMSや艦隊の戦闘で、バトル的には堪能できる回でした。非常に目まぐるしいので、実況的な感想を言い出すとキリがなさそう。敵味方の雰囲気には違いがあり、敵のラスタル側は余裕、冷静、計画的な兵力運用になっていて、対する鉄華団は必死、興奮、その場しのぎの頑張りのような感じがあります。

 鉄華団の焦りにも似た動きの最たるものが、シノの違法兵器(ダインスレイヴ)による突撃攻撃、ラスタル搭乗の旗艦のブリッジ狙い戦術ですね。ある意味、「この一戦に勝ちさえすれば」以外が見えなくなって、起死回生の大逆転という奇跡を、奇跡と思わずに実行に移した感じです。

 シノの出撃については、いろいろと感動的なシーン、エピソードが盛り込まれていますが、見ていて「これが成功するのは万に一つなのではないか」と思いました。もっとも、鉄華団を正義と見立てるフィクション的には、こういう作戦が途中で困難に遭遇しつつも、成功して勝利となることが多いわけですが、鉄血はストーリーが泥臭い感じがありますからね。鉄華団がこの作戦に賭ければ賭けるほど、観ているこちらは不安のほうが強くなっていきました。

 観ている最中に考えたのは、例えばラスタルがマクギリス側に味方兵を潜入させ、違法兵器を1発だけ使用させ、報復の口実を得て、ラスタル側から多数の同種兵器を使用するといった、狡猾な周到さですね。既に戦う前から勝つための仕掛けを施す用心深さですから、単騎の突撃が通用するとは思えない。

 仮にラスタルがいるブリッジへの攻撃が成功し、ラスタルが戦死したとして、それでラスタル側が瓦解するかどうか。鉄華団はラスボスさえ倒せば勝てる、みたいなコンピュータRPG的な発想みたいですが、そんな中世的な軍隊とは思えません。非常時の指揮権委譲はきちんと行われるでしょう。

 それにイオク様(^^;。ラスタルのそばにいましたから、ブリッジがやられればラスタルもろとも戦死でしょうけど、そうなったらイオク麾下のアリアンロッドが黙ってない。もともと、無能な将を優秀な部下が補佐しているわけですから、もう復讐の意気に燃えて、猛烈な反撃があるはずです。しかもイオク様が邪魔しないわけだし(^^;。

 一方、ラスタルもマクギリス麾下の地球外縁艦隊には猛攻はせず、実はもっぱらマクギリスと鉄華団に狙いを絞っている。これは見た感じでは鉄華団の戦法と似ているようで異なっており、正しい戦術の感じがします。なにせ、マクギリスはバエルに象徴される、一つのシンボル=錦の御旗に頼り切りですからね。

 マクギリスが倒されれば大義名分も消え、戦意は消失する可能性が高いでしょう(石動が引き継げれば、もしかするとという気がしないでもないですが)。でも鉄華団は破れかぶれで全滅するまで奮戦しそう。だから鉄華団はまるごと潰さねばならない。そうなると、地球外縁艦隊は自然と降伏してくる、はず。と、ラスタルが考えているわけで、おそらくは確率的にですが、正しい判断でしょう。

 そんなことを考えているうちに、いよいよシノ出撃、というより鉄華団員が艦2つまで使い、シノをラスタルの旗艦近くまで身を挺してかばいつつ接近、いい頃合いまで近づくと、満を持してシノが飛び出す、と無謀なら無謀で皆で突破しようとするのは、鉄華団伝統の長所というべきでしょう。

 今回も、ただ一人ザックだけが不服ですが、描写的にはいかにもヘタレな感じにしてるんでしょうか。オルガとか、意思決定をする団員に申し立てず、作戦を聞かされたその場で罵ってるだけの感じだし。でも、判断自体は正しい。

 雪之丞がそういうザックを評価していたわけですが、NOVAさんはビスケットに重なるものをご覧になったわけでしたね。ビスケットはオルガに対してかなり直截に、駄目なものは駄目と言っていた。その点、私も「確かにビスケットが」と思って、さらに考えてみたんですが、相違もあるなと思いました。ビスケットはオルガに対して意見具申したり反対したりですね。ザックは団員らに呼びかけている。

 雪之丞の期待も、ザックに頑張ってくれではなく、ザックみたいな団員がもっといてくれればというものでした。団員レベルでもっと考えろというものですね。思えばここまで、三日月含めた団員は「こういうものが欲しい、どうすればいい?」とオルガに求めるばかりだったような気がします。そのため、オルガは皆の希望を代弁しているだけの言動、行動になってしまった。

 ビスケットや大人キャラ(メリビットなど)は、そのオルガを止めようとしていた面が強かったようです。よく考えたら止められるわけがない。オルガとしては、団員多数に押されているわけで、オルガ一人の力では止められない。かといって降りるわけにもいかない。オルガは団員の希望通りに動き(もしかするとその自覚はない)、団員はオルガが決めたことだと思い込んでいる。鉄華団が今回のようになるまで暴走が止まらないのは、そういう鉄華団の構図が災いしているような気もします。

 一方、じゃあマクギリスはどうなんだということも思いました。マクギリスには極めて有能な副官、石動がいますね。今回はガエリオの急襲に対してマクギリスを守って立ちはだかり、マクギリスがしたいことのためなら死も厭わない旨の発言をしていました。今までも、マクギリスの方針(したいこと)が立つと、おそらく手配りは全て石動がやっていた感じでした。

 だもんで、マクギリスには面倒くさい仕事が生じず、希望通りにスムーズに進み過ぎる。そのためでしょうか、マクギリスはやろうと思ったことはなんでもできてしまうという感覚に陥っているように見えます。NOVAさんがさすがに今回の動きに疑問を呈されたのも頷ける話で、見通しも詰めも甘くなっちゃってますね。一応はのし上るまでは苦労したのに、ある時点以降は苦労知らずになり、いわゆる「いいとこのボンボン」みたいになっちゃったのかもしれません。

 いかん、脱線が長々と。鉄華団のおそらく最後の一撃はラスタルの肝を冷やすも、ブリッジを外れてしまう。どうやらジュリエッタの妨害で狙いが外れたらしい。前は指揮官席の後ろに隠れようとしたイオクが、今回はラスタルを庇って前に出たのには、ちょっと驚きました(^^;。失敗に激高したシノはそのまま突っこんで行き、集中砲火の餌食に。

 次回はやはりネットにだけ予告があり「誰が為」だそうで。ナレーションはラスタルで、袋のイタチ、いやネズミだ、とか勝ち誇るみたいに言ってます。うーん、予告のナレーションは声優さんのアドリブなんだそうですが、次回の内容を反映したものだとすると、ちょっと希望がない感じです(イタチは、イタチの最後っ屁で、今回の一撃を揶揄したのか?)。

●60~70年代くらいの海外アニメ

 ロボット物から実写特撮まで、幅広い話題展開でとても楽しめております。70年代に花が咲いたがごとくのロボット物は、未見のものも多く、ネット検索などでも内容を確かめてレスしたいなと思っています。

 ご解説の中でも洋物アニメについて少しだけ先行レス的に。「ハンナ・バーベラ」で調べてみると、「ああ、あの一群のアニメはそういう制作会社だったのか」と、今になってようやくに知りました。邦題やOP曲などは、日本向けに独自のものにしたようですね。このキーワードのご教示だけとっても、大感謝です。バラバラの記憶が1本の線にまとまった感じです。

 60年代~70年代初頭ですと、そういう30分物が毎日のようにTVで流されており、短編の主にギャグものなんかも多かった印象があります。バックス・バニーとかロードランナーとかの当時の有名どころ以外に、おそらくは単発と思われる無名キャラのものなども。

 そういう海外アニメでは、今なら分かるけど当時は理解できなかったのが、翻訳の問題ですね。タイトルは忘れたんですが(おそらくは輸出元でもマイナーな感じの連続アニメ)の初回、劇中の主人公二人の会話で、

A「もし~するなら、帽子を食ってみせるぜ」
B「帽子はしょっぱいよ」

というのがあったのを、なぜか今でも覚えています。印象に残った理由がおそらく、リアルタイムで観たとき、意味が分からなかったのが一つ、「帽子はしょっぱいよ」の返しが何らかのウィットなのかと思ったのが一つ。

 もう一つが、その次の週も観てみたら、Bがどうも純粋に、単純に間抜けで(^^;、機知に富んだことを言いそうにないキャラクターだと分かり、どうも上記のやり取りは単純にBのおまぬけギャグだったらしいと、がっかりしたことがあります。

 今さらながらに辞書に当たると、"I'll eat my hat if …"=「…なんてことは絶対ない」という慣用句で、Bは慣用句を知らず、本当にAが帽子を食べるかもしれないと思った、ということだったようです。

 そういった、「直訳のせいで、翻訳前の言語表現を知らない、分からないと理解できない」といったことがちょくちょくあったようで、当時は「どうも洋物は難しいことがある」といった感想を抱きがちでした。

 対して日本産アニメだと台詞回しで意味不明な点がなく、絵がよく動くこともあって、次第に洋物アニメが相対的につまらなく感じるようになり、観なくなっていきました。もっとも、アニメの見方とかは、個人的には洋物で鍛えてもらった面は多々あり、今でも感謝の念はあります。

Re: 2月のスレッド(2017) - K.K

2017/02/28 (Tue) 13:04:19

 引き続き、ご解説のほうへの感想をば。ただ、やはり作品面では私は楽しみながら勉強させてもらっている状態ですので、古い時代の実際の状況について少しだけです。

●60年代の状況

 NOVAさんの60年代と70年代を比較してのご考察、お見事だと思いました。私も補足的に考えてみたいと思います。あまり下調べしない、個人の経験、感覚、偏った知識によるものですので、ご愛敬程度に受け取って頂ければ幸いです。

 NOVAさんも見抜かれたように、70年代からはおおむね「スポンサーが番組のキャラ商品で儲ける→制作へ還元→後継・類似新規番組→スポンサーが儲かる→制作…」という好循環が成立していましたね。

 60年代でこれが成立したかというと、かなり難しかった面があります。高度経済成長期ではありますが、企業の設備投資に大半の富が回されまだまだ家計が潤うほどではなく、したがって子どもの小遣いやおもちゃに回せる余裕が少なかったのです。

 となると、玩具メーカーなども大きな売り上げは難しくなります。例えばですが、当時の高額商品は、今だと大きめのガンプラ程度なんですが、まだまだ高嶺の花、子供が手にするのはクリスマスプレゼントか、お年玉をかき集めて買うかくらいでした。怪獣のソフビだって、金回りのいい家庭の子しか持っていませんでした。玩具。キャラ商品が、そういう程度の経済規模では、関連企業はなかなか安定して番組スポンサーになることはできなかったはずです。

 加えて、TV視聴環境の問題があります。これは家計状況が貧しいことも関連するのですが、TVは一家に1台、画面サイズの小さなモノクロでした。

 ウルトラマン(初代)なんかですと、一応はカラー放送なんですが、観ている側はちっちゃい白黒画面だったわけですね。ですので、ウルトラマンが毎回のピンチ(^^;)になるとき、ナレーションで「カラータイマーが青から赤に変わり」と言わないと、視聴者には分からなかったわけです。明るさが同じ青と赤だと同じにしか見えないですから。だから、さらに点滅もさせ、音も入れたわけですね。

 こういう視聴環境だと、どうしても想像に頼って楽しむ部分が大きくなります。実際に見ているものより、脳内のイメージのほうが何倍も凄いものになってくるわけですね。そうなると、動きもしないプラモやソフビを手にしても、それがなかなか感情移入とか、イメージの増幅にはつながってこないわけです。
(この状況を「昔はよかった」的に語るつもりは毛頭ありません。むしろ逆。こんな状況では想像力が貧困になってしまう。いいおもちゃがあれば、どれだけよかったか計り知れない。コンピュータゲームも小さい頃からやれていたらと思う。)

 となると、番組関連のキャラ商品はさらに不人気となってしまいます。当時だと、キャラ商品に競合する玩具系としては、現実のもののミニチュアがありました。自動車の模型なんかだと、モーターやゼンマイ、さらにははずみ車(^^;なんかで実際に走るわけで、怪獣ソフビと自動車プラモどちらか一つと言われたら、やはり自動車プラモが選ばれやすくなります。

 スポンサーに安定してなれないどころか、商品開発にも響くような状況ですね。メーカーは投資が回収できる売れる商品を作りたいわけですから、なかなか巨大・等身ヒーロー系への商品開発、設備投資には結び付きにくかっただろうと思います。掛けられる費用自体、もともと少なかったわけですし。

 とはいえ、高度経済成長が長く続いてくると、だんだん余裕も出て来ます。大きく後押しするような契機もありました。70年の大阪万博ですね。このとき、多数の大企業がこぞって参加、目を引く展示物をたくさん開発しています。これは当然ですが、下請けも費用をもらって展示物開発にいそしむことになります。

 前にもここで話したと思いますが、70年万博の確か日立館でコンピュータ制御のマイクロカメラ搭載のミニチュア飛行機での飛行シミュレーションなんて出し物がありました。特撮にはすぐには結び付かなかったようですが、ある意味、先進的なゲームということができるように思います。類似の面白いおもちゃはいっぱいあったはずです。

 70年万博というイベントで、技術開発、それも面白がるためのものが、中小メーカーにも浸透していったのは見逃せない現象なのではないかと思います。おもちゃ、ゲーム等々にも技術革新が起こり、売れるおもちゃが作れるようになり、そうなると商品宣伝のための番組スポンサーになれるようにもなってくる、という好循環が始められるようになったと思います。

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