創作と鑑賞の談話室

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3月のスレッド(2023) - K.K

2023/03/01 (Wed) 00:00:54

 3月の雑談スレッドです。

Re: 3月のスレッド(2023) - K.K

2023/03/01 (Wed) 18:09:49

 定期感想書その3です。

●仮面ライダー龍騎 EPISODE FINAL

 本編感想の前に、前作アギトからの友情出演について少し。お好み焼き屋のシーンで、要潤さん(氷川誠/G3)と藤田瞳子さん(小沢澄子)に気が付きまして、ウィキペディアで調べると、友情出演が他にも多数。

 分かってから観なおすと、特に友井雄亮さん(チーマー風の男、葦原涼)の扱いのひどさに唖然(^^;。浅倉に理不尽に殴られてましたもんね。まあ、葦原/ギルスは不運な人だからなあ(555第1・2話の木場勇治も同じくみたいですね)。それでも、こういう遊びが入るの、嫌いじゃありません。

 そこもクスリと来るくらいなんですが、本編ドラマは暗くて怖い。しかし、最後に救いがありまして、TV本編と併せて考えて納得できる作りです。公開すぐに観たとしたら、13RIDERSより前で、浅倉/王蛇が少女に慕われるドラマの直前ですね(夏のコミカル2編の後)。

 白倉プロデューサーの見解ではその時期に観てこそ意味があるらしい。確かにこの劇場版を観て、TV本編後半を観たら、この劇場版寄りの解釈が出来て、首をかしげて目が泳ぐことのを減らせそう。自分も「もしこの映画をTV本編中盤で観たら」で、シミュレートしての再視聴想像をしてみました。あちこち「これはこういうことか」というのがちらほら出てきますね。

 しかし、自分の実際の経験「TV本編終了後にこの劇場版を観る」ケースでの印象もなかなか気に入っています。こちらはシミュレートなしの「あれはそういうことか」というもので、今までのいくつもがひっくり返るような、いわば叙述トリック的な衝撃です。

 ともかくも、このEPISODE FINALの内容はこちらで予め伺い、ネット情報で補完もした予習済のはずだったんですが、先に申した通り、自分には想定外の内容でした。混乱しまして、なかなか感想が書けず。TV本編+13RIDERSで見えたと思ったものに、この劇場版の内容がうまく組み合わさらない。

 いろいろ考えて、この劇場版も繰り返された失敗の1つだとして、歴史の繰り返しの順が、

 1. この劇場版EPISODE FINAL
 2. 13RIDERS(戦いを続ける→止める、の2回)
 3. TV本編

だと考えることにしました。積極的にそうなるはずと考えたわけではなく、自分の少ないライダー知識等の限界内で、なんとか自分が納得するにはそう思っておくしかないという、消極的なものです(^^;。

 それはともかく本編ドラマですが、序盤・中盤・終盤の3パート構成のように思えます。序盤は割と楽しく、しかしちょっと歪を入れて、後が不吉かもと思わせる流れですね。真司とこの劇場版ヒロインの霧島美穂の出会いが描かれてます。美穂に言い寄った相手が結婚詐欺師だと思ったら、美穂が詐欺働いていて、真司らは利用された。そこへミラーモンスター出現で、美穂が仮面ライダーファムであると真司が知るわけですね。

 優衣についての導入もありまして、まさかあの怪談会が伏線とは。オチがコントかよと言いたくなる神崎沙奈子の他愛もないのっぺらぼう話に続いて、真司が幼い頃に出会った少女の話をする。映像は少女の顔が隠されてまして、真司は思い出せないかららしい。公園で出会って、明日も会おうと約束したものの、雨天で真司は行かず。しかし、真司に部屋に突如、その少女が現れた、というわけですね。

 そこまでは普通の展開と思えますが、鏡の中に少女を見た優衣が倒れてから緊張度がぐっと上がっていく。神崎士郎が生き残りライダーに招集をかけ、残り3日だと急かす。しかも、招集されたのは5人なのに、ライダーは6人だと言う(これもちょっとホラー風味かな)。6人めはミラー真司/リュウガであると、後で分かるわけですね。

 そこから中盤で、ドラマ内容はヒロイン霧島美穂の成功と挫折でしょうか。美穂が金を欲しがっているのは、浅倉に殺害された姉の冷凍保存のため、ライダーバトルに勝ちたいのは、姉を生き返らせるため。しかし、バトルを止めたい真司/龍騎に加えて、ミラー真司/リュウガが入り込んで錯綜してきます。

 まず、ライダーバトルにリュウガが乱入(?)、ファムに止めを刺そうとする王蛇/浅倉を攻撃、王蛇のジェノサイダーを撃破、これで弱体化した王蛇のデッキをファムが破壊。変身が解けた浅倉はなおもファムに迫るも、粒子化して消滅。前戦ではファムは王蛇に圧倒されていたこともあり、美穂/ファムは真司/龍騎が助太刀してくれたと思ったでしょうな。

 前のデートでは真司のデッキを盗み取ろうとした美穂ですが(蹴落とし目的だったかな?)、お好み焼き屋での再デートでは、早くも世話女房的な感じになってまして、前とは気持ちが違い、ぐっと近づいた感じがあります。が、トイレに立った真司と入れ替わりに、ミラー真司が現れて美穂を連れ出してしまうわけですね。

 ミラー真司の狙いは美穂の抹殺のようで、先の助太刀も単にライダーを1人葬りたいだけだったらしい。美穂も真司が偽物と気が付く。おそらく、戦いを止めたい本物の真司なら、仇討ちを手助けしたりしないのでは、とこのとき美穂はようやく気が付いたかも。自分(美穂)が惹かれたのは、デッキを盗もうとしたのに怒らず、常に心配ばかりしている真司のほうだった、ということでしょう。

 しかし、ミラー真司の正体にも、自分(美穂)の真の気持ちにも、気が付くのが遅かったわけですね。リュウガとの戦いでファム/美穂は致命傷を受けてしまい、なんとか気丈に振舞って真司と別れるも、その場で倒れて絶命。

 そこが、真司のヒロインとなった美穂が、(13RIDERSの)真司のバディたりえた蓮と違う点でしょうか。真司に後を託せなかったという点で、ですね。リュウガとの対決後、美穂は助からない自覚はあったはず。姉を助ける願いを真司が受け入れるかどうかはともかく、託してみることはできたはずです。

 しかし、自分一人で抱えることを選んで、最大の願いを叶えずに死んでしまいました。TV本編で蓮が真司に忠告した内容が思い出されるものでして、信じ切れずに最後の詰めを誤ったようにも見えます。自分がこの劇場版に暗いものを感じる、もしかしたら最大の要因かもしれません。

 しかし、そこは蓮と真司をラストで際立たせる対照的なものになってます。優衣が誕生日に自ら死を選び、迫りくるミラーモンスターの大群を前にしての、真司と蓮の最後の会話ですね。結局は真司とも戦うしかないという蓮に、真司が1つだけ願いがあると言い、それが「死ぬな」ですか。蓮も「お前もな」と笑う。

 ここは実にカッコよく、望み半ばで死んだ美穂の絶望あってこそ、「互いに望みを託せる」と光るような気がします。同時に、13RIDERSやTV本編の最後まで、ライダーを誰一人倒せない真司と蓮をよく表している気がします。でも勝ち残って願いを叶える気持ちはあるわけですから、「自分の願いはお前が果たしてくれ」というわけですね。自分的には「これこそバディだ」と感動できる典型です。そういう感動は、おそらくTV本編半ばでこの映画を観ても生ぜず、最終回を観終わってこその感動かなと思います。

 しかし、TV本編最終回まで踏まえて、この劇場版を観ても、なお分からないのがミラーワールドです。特に住人ですね。はっきり出てきたのは、まずミラー優衣(子供時代)。それからミラー真司/リュウガ。

 ミラー真司/リュウガは真司の裏返し的な存在と割り切ることはできます。性格は真司の逆で、狙いは現実の真司を吸収して現実世界に実体を得ること。このことは、自分の正体を悟った優衣の語るミラーモンスターにも共通するわけですね。現実世界の命を貰えば、現実世界の存在となれる。そこは優衣の運命にも通じ、神崎士郎の願いでもある。

 問題は、現実の優衣をミラーワールドに誘い込んだミラー優衣です。寂しい思いをする優衣をミラーワールドに誘い、一緒に遊んで慰める。そこは成長した優衣が思い出しても笑顔になるほど楽しいものだったらしい。が、ミラー優衣は突如としてリアル優衣に「(現実に)帰れる時間が過ぎちゃった」と無邪気に告げる。

 そこは、序盤のコミカルな怪談会が、真司の曖昧な回想話で小さく揺らいでから、一気に本物の怪談となったような印象です。ミラー優衣も、優衣の命をもらい受けたくて誘ったのかと。ただし、ミラー真司/リュウガほど思い切りはよくなく、泣くリアル優衣を見て逡巡し、20歳までならと現実に帰す。もっとも、子供的な無邪気な残酷さとも言えまして、これに耐え切れず神崎士郎を暴走させてしまうわけですね。なまじ猶予を作ったから、諦めきれなくなる。

 しかし、上述しましたが、この劇場版がおそらくは神崎士郎の最初の試みでして、優衣が暴走(?)すると予見できず、死なせてしまう。神崎士郎は粒子化して消滅してますが、おそらくはミラーワールドに帰ったんでしょうな。そして捲土重来でタイムベントして13RIDERSではバトルを止めたがる異分子:真司をあれこれ動かして試し、ついにTV本編に至ると。しかし、優衣の拒絶だけは動かしがたく、あの大団円に至るわけですね。

 その神崎士郎の正体はTV本編観終えても、はっきりしない感じです。TV本編では1年前に米国で死亡となってまして、順当に考えると、そこからミラーワールドの住人になったことになります。神崎士郎はミラーワールドを研究し、失敗に終わったとはいえ、実験まで行っているし、香川教授はその研究資料を見て、ミラーワールドをかなり解明して介入しました。

 それで一応の辻褄があう気がしますが、どうもミラー真司/リュウガが気になります。なぜ真司にだけ、対応するミラーワールドの住人が発生したのか。よく考えたら、まずミラー優衣は優衣本人、真司は優衣と幼い頃会っています。優衣に関係した人物に、対応するミラーワールドの住人が発生するのかも。となると、神崎士郎にもミラー士郎が発生しておかしくありません。ミラー真司は真司を乗っ取ろうとした。となれば、神崎士郎もミラー士郎に狙われたか。

 もしかすると、TV本編でずっと見て来た神崎士郎はミラー士郎に乗っ取られた存在なのかな、と妄想を逞しくしております。妹:優衣を想う気持ちは同じながら、やり方はリアル士郎と真逆な行き方になってたのかも。それを克服しての、最終回の温和な神崎士郎なのかな、とか妄想が尽きません(^^;。

 東映公式Youtubeでこの劇場版が見られる期間内には、上述以上の感想は出て来そうにありませんが、もしまた放映してくれたら、もっと正確に理解して、さらに突っ込んだ感想が出て来るかもしれません。何年か後にまた観られることを期待したいと思います(DVD買えよって話はナシ、自分はケチですんで ^^;)。

●仮面ライダー555(第1話:旅の始まり、第2話:ベルトの力)

 ジオウ開始時の東映公式Youtubeイベントの第1・2話放映で観たはずなんですが、改めて観てみると、あのとき何を観てたんだろうなと、またもや思いました(^^;。記憶に残ってたのは、乾巧と園田真理のバッグの取り違えによる追っかけっこのドタバタのみ。

 そこが大事でないわけではありません。第1主人公の乾巧とヒロイン園田真理を観ているこちらに印象付け、2人に(質屋からのバッグ取り戻しなどで)結びつきを作り、第2話ラストで乾巧が555に変身し、戦いに巻き込まれる(踏み込むという感じじゃない)流れをちゃんと作ってます。

 が、きちんと観てみると、第2主人公の木場勇治が少なくとも自分的には最大のドラマを作ってました。平和で幸福な家庭に育ち、森下千恵と1年の付き合いで婚約し、車の免許も取得して、さあこれからというところで、両親とともに交通事故。

 2年間昏睡状態だったために、起きてみると全て変わってる。会社経営だった親の会社含めて、資産はまるごと叔父に奪われてる。どうやら自分自身(木場勇治)も失って、人非ざる者(オルフェノク)になってしまったらしい。

 絶望して死のうとするも、助かってしまう。生きていても死んでもいけない。この辺り、ジョジョSOのウェザーのエピソードが被りまして、さらに印象深くなりました。なんとか、謎の女性によく分からない場所(実はスマートブレイン社)に拾われる。多少は落ち着いて、森下千恵に会いに行くも、叔父の子(従弟)に取られている。

 木場勇治が泣きながら、過去の幻影(自転車でデートした記憶)を追って走る気持ちが分かります。しかし同時に、闇に堕ちていくわけですね。まず、千恵の現彼氏を殺害。しかし、木場勇治の殺害は相手を怪人(オルフェノク)にしてしまい、それが千恵を怯えさせる。まあ、目の前で砂となって崩れては怖くもあるでしょうな。

 その千恵の恐怖のあまりの行動が、さらに木場勇治の絶望を深めるわけですね。いったんは、すがる様子を見せ、しかし彼氏殺害の嫌疑から逃れようと木場勇治が犯人とか喚いてしまう。これがおそらく、木場勇治を闇に突き落とす、最後の一押しだったか。

 再び千恵の前に現れた木場勇治、言い訳する千恵に微笑んで、自分も変わったと言って、バッサリ。どうやらこれは、木場勇治を保護した謎の女性(スマートレディ)の思惑通りであったらしい。今観てみると、この第1・2話は木場勇治が、こちらに強く刺さるドラマでした。なんだか「うん、堕ちていいよ、木場勇治」と言いたくなってしまいます。

 それにしても盛りだくさんですね。木場勇治の転落を描き切り、乾巧が555になるまでを見せ、怪人がボディスナッチャー的でかつゾンビ的(増殖みたいな点)であることも示す。

 第3話から、こういう誰が敵なのか分からない、錯綜した世界なんだよ、と示してもらいはしましたが、これから何が起こるかは見えません。冒頭での施設襲撃とか、園田真理がファイズギアを持っていた理由とか、いろいろ次からですね。しかも、それで分かって来たと思ったら、乾巧の正体が実は、となるわけですか。

 いろいろ一気に見せて積み残しでして、この先のドラマ展開が楽しみになります。

Re: 3月のスレッド(2023) - Shiny NOVA

2023/03/02 (Thu) 01:25:15

 感想というか、ライダーレスですが。

★龍騎

 劇場版を含めての雑感。
 以下の話は、公式見解ではなく、自分の脳内補完というか解釈ですが、と前置きして。

 龍騎世界では「神崎優衣が随一の超能力者、霊能力者の類」と考えております。
 前作アギトでは、「アギトの力などの超能力」がテーマでしたが、龍騎の場合は「ミラーワールドという異世界」が異能や怪物の根源として描かれています。
 では、神崎優衣以前にはミラーワールドは存在していたのか、という問題が気がかりですね。香川教授は、「優衣を殺せばミラーワールドは閉じる」という前提で研究活動をしていましたが、すると優衣の存在がミラーワールドを生み出したことになる。
 果たして、優衣が先か、ミラーワールドが先かってことですね。

 ここで自分の解釈は、「ミラーワールドは現実世界の様々な想念を反映したエネルギー霊魂に満ちた場所として存在していた」ものの、そのエネルギーは善悪という形に分別できず、行き場を持たないチカラでしかなかった、と。
 例えるなら、人の思念やもやもやした気力みたいなものが、太陽の光や風のようなエネルギー体として、鏡面の中に渦巻いていた。

 その知られざるエネルギーに形を与えたのが、神崎優衣の秘めたる霊能力だった、と。
 この辺は、ホラー映画の『リング』の貞子が、元々は「不幸な死を遂げた超能力者」で「呪いのビデオを念写によって創造する」に至ったことが語られます。続編の『らせん』では、呪いのビデオによる貞子の増殖復活、さらに続編の『ループ』では世界の実体が「サダコというウイルスを駆除するためのワクチンを生み出すことが目的の壮大な実験装置だった」というヴァーチャルリアリティ的な仕掛けが明かされていましたが、とりあえず続編の設定は抜きにして、「一人の超能力者による呪いが念写能力によって世界にばら撒かれた」という設定に準えることにしましょう。

 ただし、優衣は自分の超能力に無自覚で、兄といっしょに自分たちを助け、守ってくれるモンスターの絵を無邪気に描いていた。
 その絵が鏡面世界のエネルギーの塊と霊的化学作用を起こして、仮初の実体を得たのがミラーモンスターであり、また鏡の世界の優衣や真司もまた、優衣の想念が生み出した代物で、本質はモンスターと同じもの。
 だから、全ては優衣の精神状態で、善悪が左右されてしまう。

 劇場版では、優衣が最後は自殺に追い込まれるほど鬱屈した気分なので、ミラーワールドの存在も恐怖の対象となった。
 TVの場合は、幾つかのループを重ねて、優衣の気分が劇場版よりも鬱屈さが晴れた(衝動的な自殺を士郎が止めた後、真司や蓮が結衣や士郎を説得して、それぞれの想いをぶつけて、優衣の方も自分の想いを見つめ直す余裕ができたというドラマ構成)おかげで、優衣が逃げずに自分の能力や運命を受け入れることができるようになった。

 方向性の持たないエネルギーに実体を与えたのが優衣の超能力であることから、香川教授は優衣を殺せばエネルギーも消失すると単純に考えたけど、優衣はエネルギーを実体化させただけで、一度、実体化したものはもう一度、創造者の優衣が制御して鎮静化させない限り、消えることはない。
 優衣が自らの力を自覚し、制御に務めてこそ、初めてモンスターの実体が元の無害なエネルギーに戻る。それでもエネルギーそのものが消失したわけではないので、その仕組みを解明した者がいれば、またミラーワールドを再起動させることもできる(ジオウにおけるライダータイムなど)。

 また、士郎の研究は、ミラーワールドで実体化した想念エネルギーを制御するためのもので、科学的に優衣の超能力を再現したり、モンスターと契約することで力を借り受けたり、
 まあ、オーディンによる時間操作はまた別の説明が必要になるでしょうけど、「ライダーバトルによって生じる新しい命」というものが何なのか、など説明しきれていないとも思いますが、

 劇場版とTV版における「ミラーワールドの住人の立ち回り方の違い」は、劇中世界における神崎優衣の心境の違いが大きな影響を与えているのだと考えます。

 また、神崎士郎がミラーワールドの士郎に乗っ取られた、という仮説はありかもしれません。
 優衣が消えれば、ミラー版士郎も消えるから、優衣を消さないためには何でもする。それはまたリュウガのミラー真司もそうかもしれないし、またTVスペシャル版のファムも、劇場版の生身ファムと違ってミラーファムかもしれない(だからリュウガと仲良しに見える)。

 なお、TVラストの優衣は、世界の外側の存在になって、世界を再生する力を発揮していると解釈しますが、これについては、後にビルドの桐生戦兎や、ジオウの常盤ソウゴ、セイバーの神山飛羽真(with石ノ森章太郎)がそれぞれ手段は違えど、同じようなことをしていますので、
 崩壊した世界の再生、再創造(=神にも近い力)の原理を考察する材料にはなるかも。
 今のギーツの「創世の女神」の原理も、つなげられそうですし。

 鏡の魔力、天才物理学者の魔力、時の王の魔力、小説家およびマンガ家の魔力に加えて、どんな原理が提示されることやら。

★ファイズ

 さて、龍騎に続く新番組(20年前の)ですが、テーマは「怪人たちの夢物語」となります。

 アギト終盤で、異形化したアギトが人類の進化であり、それは不幸であるから排除すると考えたのがアンノウン側の論理。そして、人類側も、アギトがアンノウン以上の脅威になるから、旧人類が異形の新人類たるアギトを排除するべきでは? という問題提起をうやむやにしたまま終結。
 一応、前向きな結論として、人類の進化は未来の可能性として止まらないし、止めないでくれ、という形に。

 そして、そのテーマを受け継いだのがファイズと見ることも可能。
 オルフェノクは怪人ですが、広い意味でのアギトと同じような存在。違うのは、アギトは社会的に力を持たない孤立した異形者ですが、オルフェノクは大企業スマートブレインを隠れ蓑に暗躍している。
 オルフェノクに殺された者は(心臓レントゲンが必殺シリーズ風味)、因子を持つ者はオルフェノクとなって蘇り、因子を持たない者は一時的に復活するものの、すぐに灰化して消滅してしまう。

 オルフェノクの組織としての目的は、仲間を増やして種を繁栄させることであり、そのために旧人類が滅びてもいいと考える。

 なお、これが夏の劇場版になると、オルフェノク側の勝利した未来社会になって、現人類の方が数が減って少数のレジスタンスとなって滅亡の時を遅らせるために抵抗してるという世界観。

 で、TVドラマとしてはオルフェノクに対抗するファイズ側陣営3人と、オルフェノクになってしまい葛藤する木場側陣営3人の、両グループのドラマを対等に描く構図ですね。
 それぞれの陣営が男2女1の構成で、お互いに対立する存在だとは知らずに、友情を築いたり、恋愛関係になったりするという意味では、後のキバに通じる要素も。
 まあ、本作ヒロインの真理が、キバではファンガイアクイーンになって主人公との悲恋を演じたりしますし、ファイズ→牙狼という流れもありますので、キャストにも注目。

 龍騎からは、前作のOREジャーナルのメガネっ子が、本作のスマートレディとして続投してますし(メガネを外してコスプレすると同一人物とは思えないほどの化け方だ。演技も全然違うし)、
 後に、アギトの北條刑事が、敵怪人幹部のラッキークローバーの一人としてメガネをかけたイヤミキャラとして登場。こちらは演技パターンが全く同じ。変わったのは、一応は人類の味方だったのが敵対する怪人になったこと。

 で、テーマが「夢」というのは、将来の希望という意味の夢です。
 世界を良くしたいという夢とか、夢に挫折した者の鬱屈した想いとか、それぞれのキャラの夢への向き合い方が人間ドラマの基本にあって、個人的に8話のサブタイトル「夢の守り人」というのが傑作エピソード。

 それまでは夢を持たずに、戦う理由も仕方なく、という感じで、ヒーローとしてはどうなのか? と思われた主人公の乾巧が、「他人の夢にかける熱い想いに触れて、その想いを守るために戦うのも悪くない」と決意を固める回で、当時の自分に強く刺さるものがありました。
 それまでの話は、主要キャラ6人の紹介回で土台固めな時期ですね。

 オルフェノク側のドラマは、それぞれイジメられて不幸にも死んだ彼ら彼女らが異形の力で復活してしまい、力の暴走で人を殺めて思い悩む陰鬱な筋書きなんですが、
 怪人となった者の人間性とか、その対抗軸として、陽性キャラの真理を中心とするドタバタからの人間関係構築とか、6話までが両陣営の確立を描き、その後は……互いの正体を知らないままのヒーローと怪人の交流劇とか(その要素はドンブラザーズにも受け継がれていた)、とにかく濃密な群像劇だと思います。

 あと、アクションとしては、ワイルドでスタイリッシュなファイズが格好いい。
 龍騎のへっぴり腰な真司ががむしゃらに立ち向かう姿から一転、ファイズはケンカ慣れしたワイルドな不良少年がかったるいなあ、と思いながらも、そつなく戦いをこなす姿が、中の人が同じと思えないぐらい所作振る舞いが乾巧していていいですな。

 ジオウの時にも話したかもしれませんが、ナイトシーンで赤いラインを発光させて、剣を構えるファイズの立ち姿が宇宙刑事並みに絵になるシーンで、
 改めて書いてみると、自分の中のファイズ愛はまだまだ現役のようです(笑)。

 たぶん、ファイズの話なら、喜んであれこれ語れそうなので、改めてよろしくと申し上げつつ。

Re: 3月のスレッド(2023) - K.K

2023/03/02 (Thu) 22:58:39

 定期感想書その4です。

 龍騎の解釈について拝読してみますと、、TV本編/スペシャル/劇場版で、できるだけ統一的に理解するとしたら、やはり(知らずに異能を持った)優衣が起こした現象となりそうですね。自分は「もし優衣の背後に黒幕がいるとしたら」とか考えてみたんですが、どうもアドホックな解釈が際限なく出て来てしまいそう。

 555のスマートレディが龍騎の島田奈々子(栗原瞳さん)というのは、言われるまで気が付きませんでした。しかし、そうと分かると直ちに連想するのが「風都探偵」の森口 もな子/風祭 メグだったりします。一方がコスプレ(的)、もう一方がメガネ(かつコンピュータソフトエンジニア)というのも、そのまんまですし。

●牙狼:翔編(第9話:羽)

 今話のホラー:ウォスカはリュメ様から「恐ろしい」と流牙らに告げただけの説明ですが、生身の肉体的迫力により、一目で納得できてしまいますね。演じる船木誠勝さんはプロレスラーとのことで、クウガのときも人間態のときから凄みがあるグロンギだと思ったら、本職がプロレスラーでした。

 クウガの場合ですと、やはりグロンギらしく見える必要があるのか、スーツが用意され、演じたのもスーツアクターのはずですね。牙狼だとホラーデザインは自由度が高いことを使って、ホラー時も船木誠勝さん。生身の迫力を活かしたデザインでした。

 今話はかなり覚えていた部分がありましたが、大事なポイントについては忘れてしまってました。自分の記憶力の問題はありますが、初視聴時はまだまだ牙狼に不慣れで、世界観などのフォーマットが頭に入っておらず、目が泳いでいたのが原因のようです。牙狼世界では騎士・法師が導師となって、次代の魔戒の者を教え導くんでした。そこは初視聴時には意識できてなかった気がします。

 特にこれを忘れてどうする、と思った最大は、メインゲストの檜葉セイジです。教え子をみんな、ホラー:ウォスカに捕食されてしまい、それをダイゴにも言わずに仇討ちをしたかったわけですね。

 やはり、教え導く者としては、教え子が一人前になるまでの面倒見だけでなく、その先の成長や人生も強く意識するんでしょうな。それを奪われたとなると、ホラー:ウォスカに対する強い憎悪も分かる気がしますし、ジンガらから「餌の餌」呼ばわりされての怒りも納得できます。重傷を省みずに遮二無二打ちかかって行ってましたもんね。

 そこに納得できる段取りがちょっとありまして、前作で出て来た閑岱(かんたい)ですね。莉杏が修行した場所ですけど、この翔編の時期にはなくなってしまっているらしく、莉杏は再建すると流牙に述べてます。莉杏は教わり導かれた側として、学び舎の大事さが分かっている感じでした。

 そしてセイジはダイゴも尊敬する導師であるわけですね。しかし、リュメ様の警告、一人でフラッと現れたこと、ダイゴと酒を飲んでいて「導師」と呼ばれてカッとなったこと、不気味なアイテムを所持していることなどから、自分は「あれ、このセイジがホラーだったっけ?」などと間抜けなことを考えてしまいましたorz。

 しかし、CM前に誰がどうなのか明かしてくれまして、ホラー:ウォスカの襲来ですね。セイジは手を血まみれにして必死に戦っている。不気味なアイテムはウォスカの耳で、接近を知るためのものでしたか。

 総員で戦いとなるわけですが、腕の立つ騎士3人に法師1人でかかって行っても、ホラー:ウォスカが押し気味か。これはウォスカの強さもあるんでしょうけど、流牙らがセイジに仇討ちさせたい、つまり助太刀に回ろうとしているのも理由だったみたいですね。

 その思惑通り、流牙とダイゴが鎧装着するもウォスカの抑えに回り、セイジの剣を烈火炎装させて、討ち取らせると。観ていて「よし決着」と思ったんですが、まだ放送残り時間がかなりあります。

 なんでだろうと思ったんですが、そうでした、ジンガ&アミリが登場するんでした。セイジらにも、観ているこちらにもウォスカへの憎悪を高めておいて、よし倒したと思えそうになるところで、そのカタルシスを奪う憎い運びですね。観ているこちらも不快感が一気に高まって、ジンガ&アミリに向かいます。

 さらに上述の「餌の餌」発言ですな。なるほど、こうやって観ているこちらのジンガらへのヘイトを高める作りですか。

 さらに、劇中の流牙らにも、観ているこちらにも重い追撃ありまして、牙狼MSでも大事だった、教え子らの形見となったお守りですね。牙狼MSで強い印象があったため、今話でも「あ、これは!」という気持ちになりました。もっとも、怒りを高めると同時に気持ちを鎮めもするという両面の作用があったみたい。

 これにより、ダイゴが最後に流牙に「俺が闇に堕ちたそのときは、お前が俺を斬れ」といった意味が実感できます。ダイゴも流牙も、怒りが諸刃の剣ということを意識しているんでしょうね。そして、ジンガらの狙いは騎士が怒り≒陰我でホラーに堕ちること。

 大事なエピソードでしたが、これをいろいろ忘れていたのはなんだか情けない(^^;。もう、これから初視聴のつもりで観ていこうかしらん。

●BASTARD(第8話:真祖)

 OP曲が省かれたようで、ドラマの転換点となるエピソードになるのかなと思ったんですが、そうでもなし。鬼道三人衆エピソードでは、今話のダイ=アモンが最強にして破格の強さみたいな言及があった気がするんですが、BASTARDの絵面的には見掛け倒し系の雰囲気ですね。

 一応、自ら吸血鬼となった真祖という触れ込みで、ネイらに取って代わる野心があり、体格的にはガラに近いかな。しかし、顔の隈取とか言い草・仕草がいかにも小物的な描写。今週は前哨戦ですが、確かいざ対決となると、結局は惨敗していたはず。

 ニンニクや十字架が通用しない吸血鬼設定って、自分は確かこのBASTARDが初出だったような気がします。ニンニクはともかく、十字架が弱点となるには、キリスト教の枠組みにいる前提になるけど、それがない世界などではおかしいな、と妙に納得した覚えがあります。

 しかし、それ以降のフィクションで続々と「ニンニクや十字架が無効な吸血鬼」を見るようになりますと、なんだか面白く感じなくなっていきました。たぶん、吸血鬼の弱点を突けるかどうかの駆け引きがあまり作れないからかなと思います。敵味方とも、弱点・欠点は「無いほうが凄そうなのに」という気がしても、やっぱり無いとドラマの盛り上がりが作りにくいんでしょうね。

 次回の展開次第なんですが(だいぶストーリー忘れてます ^^;)、前話でDSがルーシェ化してどうなるかと思ったら、今話ではのっけからヨーコ登場で、ちょっと「あれれ」感ありでした。ヨーコの危機でルーシェのままDS覚醒はもう描写されてますし、なによりルーシからDSを呼び出せるし。

 もっとも、敵ダイ=アモンもコミカルながらDSより弱いと自覚していて(この点は他の鬼道三人衆より謙虚?)、ルーシェ/DSを一応の隔離はしてますな。しかし次回タイトルが「青爪」(呪いの儀式を意味するはず)でして、アモンとは早々に決着ついて、ネイ編に移りそう。

Re: 3月のスレッド(2023) - Shiny NOVA

2023/03/04 (Sat) 12:56:57

 3月に入って、そろそろ仕事が忙しい時期に入って来たので、感想を少し絞って行こうかな、と思います。
 現在も感想が追いついて来ないので、整理が必要だな、と。今回は整理用の書き込み。

★どうする家康

 現状、一番面白くならない作品になってますね。

 理由は主人公の家康にちっとも魅力を感じないことと、バディ物になるかと期待していた本多忠勝が意外と活躍が少ないこと、そして作風的にシリアスとコミカルの見せ方が自分の好みとズレていることです。

 面白い点は、信長関連と、忍者の服部関連。
 当初からの期待の木村昴は、三河一向一揆では敵側に就き、事件解決後に改めて許されて、正式に味方化予定。現状では、その役者の魅力がフルに発揮されたとは言えません。

 番組構成的には、3話で1エピソードとして見ると、良さそうです。1話完結ではなく、よくある前後編の感覚で見ても終わらずに、3の倍数回でキリよく事件解決になる流れで来ました。
 少し珍しい番組構成ですが、そういうものだと思ってみると、評価が変わるかな。

・1話め:問題勃発。どうする? で続く。
・2話め:問題解決に動くも、事態が収束せずに悪化。未熟な家康が動いたことで、余計に悪化したりもして、どうしたらいいんじゃあ? で続く。
・3話め:家康本人ではなく、神の助けとか、歴史の運命とか、助力者の奮闘で問題解決。家康、何もしてないのに、良かったと喜ぶ。

 ここまでの話は、大体こんな感じですね。家康の決断は、問題収拾の役には立たず、周囲の力と助言に頼って、初めて解決に向かうパターン。

 3話構成だと考えると、次の回で一向一揆編も終了しそうですが、事件解決のキーパーソンになるのは、伯父の水野信元みたいですね。

 大河のこの3年の主人公像を振り返ると、渋沢栄一は幼少期からの商売の才覚と「青天を目指す」という大望が当初から描かれていた。そして、失敗だらけで右往左往している主人公像は、本作の家康と同じですが、その都度、栄一を導く師匠格との交流が描かれた末に、終生のバディとなる徳川慶喜との関わりにつながる道が想定されて、失敗からしっかり学んで自分の道を模索しつつも一貫した生き様はさほどブレずにドラマ化されていた。
 前作の義時については、兄から託された「平家打倒と、鎌倉武士の世の中」をゴールに、当初は源頼朝や父の時政をサポートしつつ、実務面で忙しく動いて(便利にこき使われながら)、多くの御家人との交流と運命の悲劇に関わり、目的は達成しながらも闇堕ちしての最期を惨たらしくも印象的に映し出した。

 で、今年の家康ですな。将来の天下人であることは歴史から分かっていますが、そのための才覚が今は見えず、単に「お坊ちゃま的な身内への狭い優しさ」だけが目立つ感じですな。
 信念とか決断力とか機転・英断というものに欠け、感情的な行き当たりばったりで、目前の出来事にバタバタするばかり。「何とかせい」と家臣に命ずる様は、前作の頼朝さまの方向性? まあ、初代将軍さまですから関連づけはあるのでしょうが、頼朝さまに見られた世知に欠け、「戦は弱いけど、人間心理には聡い」とか、コミカルながら後白河さんとの謀略にも何とか渡り合えるほどの機知を示し得た。
 実際、頼朝は人の器量を見切って適切に配置して組織運営することには長けていて、彼の死後は、謀略の嵐で鎌倉が酷いことになっていたのを見ると、頼朝の権威確立手腕は秀でたものがあったのだろう、と。

 で、今の家康は、本当に視野が狭くて、未熟なだけでなく、愚かで行き当たりばったりにしか見えません。
 「どうする?」というタイトルで、最初に想像したのは、「ピンチに際して、家康自身の才覚を基盤に問題解決するドラマ」でした。自分の持ってる家康像は、「幼少期から苦労して、忍耐力を養い、負け戦でも簡単には狼狽えない、足腰の座った大器」でしたが、今作では「幼少期から甘やかされて、すぐに逃げ腰になるくせに、大事なことは部下任せで、しかも部下の手柄を自分の功績のように錯覚しているダメ上司」にしか見えない。

 これで部下を厳しく鍛えて、鋼の統制力を持ってそうな信長に対して、家族としての和の絆、家臣が伸びやかに力量を発揮できるように……ということなら、今風の主人公で納得なんですが、
 部下の名前を間違えたり、半蔵に「忍者らしくない」と無体な言いがかりをつけるようなギャグが、家康のキャラ性としてはどうなのか。
 いや、脚本家さんは面白いギャグだと思って書いているのでしょうが、シリアスな場面でそういう外したギャグを繰り返すのはどうもなあ、と。

 「忍者ではなくて、侍として認められたい」と言ってる半蔵に対して、「忍者だったら云々」を言うのは、家康が半蔵の気持ちを全く分かってない。
 この家康の部下に寄り添っていない機微のズレ(脚本のせいですが)とか、時代背景を全く無視した現代感覚の続出とか、感情移入とは程遠い主人公になってます。
 家臣が「忍者をバカにして陰口を叩いている」のを聞き咎めて、「現場で働いている人間の悪口を言うな」と言い放ったときは、これがこのキャラの長所かな? と感じたのですが、あれは単に「自分が賭けた馬の悪口を言うな」程度のことかもしれない。部下を大事にしたのではなくて、自分の選んだ作戦をバカにするのが許せないぐらいの感覚か。

 そんなわけで、家臣の心情を察して把握することもできず、庶民の気持ちも理解できず、上から目線で事に当たりながら、自分より強い信長にはビビって何も言えず、部下にそれを突かれると威厳も見せずに、子供のように無理と泣き言を言う。
 ナレーションは「神の君」と煽てていますが、今のところは「え? これが?」としか思えない。

 一番、カチンと来たのは、「わしはこんなに一生懸命にやってるのに、どうして家臣が離反するのじゃ?」ってセリフ。
 いや、今川氏真と同じセリフを、今度は主人公の家康が口にしただけで、これは脚本家の人の定番なのかな? 「一生懸命なのに認められない若者の鬱屈した心情」を描写してるってこと?
 で、本当に一生懸命って演出をしっかり見せていたら、共感もできるんだろうけど、「一生懸命」って言葉だけで、何かを頑張ってる姿を映していない。
 勉強している姿を見せてない生徒が、「一生懸命頑張ったつもり」なのに結果を見せていない場合、「君は何をどう一生懸命したのか? それが上手く行かないなら、やり方を間違えているのだろう?」と説教したくなりますね(苦笑)。

 本作で、一番一生懸命してたのが現状、服部半蔵率いる忍者だと思ってますので、家康が忍者の苦労に報いる言動を口にしたらOKで、それを理不尽に貶める言辞をギャグでも口にしたら、好感度はますます下がるってことで、

 今回、裏切った本多正信を応援したいと思います(おい)。いや、マジで本多さん、どうして服部党も一緒に連れて行かなかったんだよ。
 みんなで裏切って、甘やかされたダメ君主の家康を滅ぼすIFストーリーの主人公になれば、少しは話も面白くなりそうになあ、なんて感じています。

 いや、まあ、このダメ家康が今回の事件で、しっかり反省して、将来の北大路家康に向けて、急成長を遂げたなら拍手ですが。

 成長著しい家康が、翌週から北大路さんになって出るとか。
 物語のナレーションとして、「若いときは、私もバカなことをいっぱいしたものです」云々と自伝的に解説するとか、ともあれ、次回は「どうする信元」を期待したく。

PS.整理用と思ったら、書いてから全く整理できずに、家康への愚痴三昧になってしまいました。頭冷やして、出直して参ります(m0m)
 

Re: 3月のスレッド(2023) - Shiny NOVA

2023/03/04 (Sat) 20:13:40

 改めて追跡作品の整理ですが、その前に、家康感想で少々、誤解されるミス表現を直します。

 頼朝と家康の比較ですが、

>頼朝さまに見られた世知に欠け、「戦は弱いけど、人間心理には聡い」とか、コミカルながら後白河さんとの謀略にも何とか渡り合えるほどの機知を示し得た。

 正しくは、
 頼朝さまに見られた世知、「戦は弱いけど、人間心理には聡い」とか、後白河さんの謀略にも渡り合えるほどの機知……が今の家康には欠けている。
 ……ということですね。

 良くも悪くも人心掌握に長けた頼朝に比べて、今の家康には上に立つ者の器量が見えないってことですね。
 良く言えば純真無垢な子どもで、将器の片鱗すら感じられない。

 果たしてどうなるか?

 なんですが、この大河、次回の一向一揆解決編が面白くなければ、ここでの定例感想を切ろうかな、と思っております。
 番組視聴は続けますが、当たり回になったら触れる程度にして、感想での優先順位からは下げる所存。

 次に、「うる星」はギャグアニメとして楽しいですが、考察するほどではないので、ゆとりがある時に不定期感想に留めておきます。

 自分の中の優先は、ライダーを除けば、ジョジョ、REVENGER、バスタード、牙狼の順ってことで。

★ジョジョSO

 ウェザーの討ち死に回(小林靖子脚本)は、龍騎最終話との感情が入り混じるほどの傑作回。
 城戸真司の死と、ウェザーの死が何だかつながった感じで、考察よりも情緒が先行して、上手く記事書きできませんでした。

 一言で言えば、「ウェザーが神父に無惨な殺され方をして、能力のディスクだけをエンポリオに託した(結果的に、それが彼の勝利の切り札となるらしい)」
 無理やりにつなげるなら、エンポリオが秋山蓮の役どころで、ウェザーのDISCは「風のサバイブカード」になるのかな、とか。
 すると、ウェザーは真司じゃなくて、手塚になるのか?
 無理やりキャラの関係をつなげると、余計に混乱してしまいますので、これぐらいにして。

 そして昨晩見た次のエピソードは、神父の新たなスタンド能力が発動して、重力の嵐が発生。
 世界レベルの大惨事になっていくのが確定で、元凶の神父を徐倫たちがどう倒すかというクライマックスへ。

 とりあえず、承太郎の復帰に期待しつつ、まあ、結末を知ってると、その回で泣きそうだなあ、と。
 すでに泣いたのは、「アナスイの結婚指輪」が徐倫に投げ捨てられたこと(涙)。これほど味方にイジメられたキャラが、ジョジョシリーズにあったろうか。
 まあ、そのアナスイの想いは来世で報われるさ、きっと。

 指輪を渡して死亡フラグというのはよくありますが、指輪も渡せずに……というのはひどいねえ(でも笑った)。

★バスタード

 ダイ・アモンの声が、DIO様の声と同じで、さらにダイ大のミストバーン(真バーン)とも同じってことで、今の自分の中ではこの3作品がリンクしております。
 まあ、全部、90年代前後ジャンプマンガなんですが(ストーンオーシャンは21世紀だけど、DIO様メインの承太郎編は割と同時期)。

 で、たった1話で敗れた前2人と比べて、さすがはラスボス経験ありな声の主。勝ち誇ったまま、次回に続いたぞ、と。
 ただし、次の話の半ばにあっさり倒されそうですな。

 もっとも、ダイ・アモンはそこからのコミカル転落が楽しい。先日訃報が入って来た飯塚昭三さんのハカイダー→転落してのギルハカイダーに匹敵するほどの「クールで威厳のあるラスボス声が一転ギャグキャラに」という声優芸を期待しております。
 実際、子安武人さんのコミカル演技は、レアな物だと思っておりますので(最近は、いろいろと新境地を開拓したらしいですが、自分はまだ聞いたことがない)。
 ええと、今回のダイ・アモンは、ターンAガンダムのギム・ギンガナムのオーバーハイテンション芸の延長ですが、そこからどう三下に転げ落ちて行くかですな。

 ストーリーよりも演出を楽しみにして見る所存。

★REVENGER

 で、ストーリーが盛り上がって楽しみなのは、この作品です。

 前回ラストで、敵の暗殺組織に狙撃された唐人拳士の劉さん。
 かろうじて命は取り留めて、雷蔵さんと利便事屋にかくまわれて、事情を確認することになります。
 結果、やはり阿片の取り締まりに動いていて、最愛の妹が阿片の犠牲者になっていたことが(視聴者向けの回想で)発覚。

 これで晴れて共闘……とはならずに、敵の動きの方が早く、劉さんの仲間の唐人グループが襲撃され、壊滅状態に。
 劉さんも恨みを残して力尽きて死亡。

 ライバルと思いきや、頼み人役になろうとは。こういうどんでん返しは、仕事人でも時々見られましたね。
 花屋の政の村上弘明さんがレギュラーになる前の仕事人4でゲスト出演して、かんざしの秀に頼み料を渡すシーンとか思い出しました。

 一方、阿片を隠していたのは宍戸さんとも判明。劉さんには(視聴者にも)阿片の行方を探していると嘘をついていたわけですが、ほぼラスボスの黒幕なんでしょうな。
 彼を始末するのは、同心のお仕事になるのかな。

 そして、礼拝堂の裏切りも今回、シスターが明確に発言しましたね。
 まあ、シスターの単独犯で、神父だっけ牧師だっけも裏切っているかどうかは、まだ明白ではありませんが、次回、それが発覚して、過酷な裏稼業抗争に展開するんだろうな。

 ジョジョもそうですが、キャラの討ち死にを覚悟して終盤を見ることにしましょう。

★牙狼

 翔編もさることながら、You Tubeで烈伝の配信も始まっていたので、そちらも気になっております。

 どうも時間がバタバタして、全部を追っかける余裕がない時期に入ったので、再視聴の作品は上手く返信できていませんが、とりあえず、ライダーを優先しているのが現在の視聴状況ってことで報告です。

 では、取り急ぎになりますが、今週分はこれにて。

Re: 3月のスレッド(2023) - K.K

2023/03/06 (Mon) 00:51:20

 定期感想書その1です。

「RIDER TIME 仮面ライダー龍騎」が東映公式Youtubeで公開ですが、感想がなかなか難しそう。今週分の感想の最後になるかもです。ジオウの龍騎編の裏でこういうことが起こっていたというもののようで、まずそこのリンクは意識したいところです。加えて、もしかしてと思うのが、こちらで内容を伺ったギーツ劇場版と関連付けがあるのかもということです。

 RIDER TIME版で描かれたライダーバトル復活を踏まえて、ギーツ劇場版の龍騎勢になってるのかなあとか。浅倉/王蛇つながりでは「仮面ライダーアウトサイダーズ ep.1」もあり、対象年齢層も近そうですが、ちょっと自分では関連付けての感想・考察とかはできそうもありません。

「どうする家康」は、「現状、一番面白くならない作品」と仰る点に同意で、今週の三河一向一揆解決編でも残念ながら改善の兆しなし。例えば冒頭から、「爺」(鳥居忠吉/イッセー尾形さん)が「家臣を信じる」と言葉で提示してしまう(一応、疑わしきは皆殺しとの二択ですが)。

 自分はそこを登場人物の行動から読み取りたいんであって、「こうです」という結論を聞きたいわけじゃない。その後もずっと大事な点は言葉で語ってまして、自分の面白がれる作りにはなりませんでした。

「魔戒烈伝」はTV視聴時は牙狼各シリーズの知識がなくてよく分からなかったんですが、今になって観てみると、いろいろ「あっ!」と思う点がありますね。今週分ですと、布道レオが口にした「あの人」とか。引き続き観て、特に感銘新たなエピソードがあったら、感想書くかもです。

●うる星やつら(第20話:失われたモノを求めて)

 観る前は「スケ番って死語だろうから言い換えるかな」と思ってたんですが、そのままストレートに原作通りの用語再現でした。時代設定が80年頃そのままという点を尊重したのかな。

 七色のしゅがあ/仏のじんじゃあ/毒蛇のぺっぱあのスケ番3人組ですが、中学生設定でラムらとは3歳差と考えてよさそう。ですが、言動・行動・思考は小学生くらいの感じがしますね。改めて調べますと、原作コミックでは、あたるも相手にしないほどの幼い感じらしい。この22年版アニメでは、あたるの反応は描かれませんでしたな。

 1話分まるごとスケ番3人組エピソードに当てるには、ちょっと尺が短かくて余裕なかったか。そう思うくらい、コミカルシーンてんこ盛りでテンポが良い。ラムが弁天にあたるを取られると妄想して食って掛かるという変化球もあったりする。しかし乱れない作りなのが感心するところ。

 飽きない工夫もあって、自分的に大きいのはゲストのスケ番3人組が冒頭からラストに向かって、次第に情けなくなっていくところかなと思います(子供的な可愛さが増す、と言い換えても可)。特に能力ですね。3人それぞれ、能力使っていくわけですが、まずしゅがあが保護色。次にじんじゃあが死んだふり。ぺっぱあが脱皮。

 3人組が先代スケ番と誤解するラムらの能力と比べて極めて攻撃性を欠いてます。というより、逃走のための能力としか思えませんな。

 少し分からない点もあることはありまして、どれが本物の弁天の鎖だったのかという点。途中では、ラムが鎖をいったん破壊してしまいまして、その後がちょっと「あれれ?」という感じ。もっとも、最後に3人組が「これが本物」と鎖を示してましたんで、最初から偽鎖で追っかけっこやってたと分かりはします。

 しかし、そうなると弁天の家を開けた(ドアの鍵である)鎖は偽物ということに。「なんで開いた?」と怪訝に思いはするんですが、似た鎖ならなんでも良かったのかな。「まさか鎖が鍵だとは思うまい」みたいな設計思想のセキュリティということで。

 そういう点がありはするんですが、テンポの良さで押し切ってくれてますんで、観ている間はさして気になりません。やはり、原作/アニメの作り手が上手いということなんでしょうな。

●REVENGER(第9話:Mutual Understanding)

「こういうどんでん返しは、仕事人でも時々」とのご感想通り、自分も「ああ、繰馬雷蔵と劉大人の関係性・気持ちの変化は必殺的だ」と思いました。しかし、それにしても自分は今週で劉大人の妹(雪梅)のこととか突然明かされても、劉の悔しさ・無念がすぐにしっくり来まして、最初はちょっと不思議に思いました。

 先週ラストで狙撃され、死亡したかと思った劉大人はかろうじて生存と明かされ、幽烟の利便事屋に担ぎ込まれるわけですね。そこでおそらくは眠り薬を盛られ(まあ重傷なのに動こうとするからなあ)、眠り込んで過去の回想シーンとなるわけですね。

 そこで短く、妹(雪梅)が阿片漬けになってしまったことが示される。その時点で、自分は劉大人の悔しさが実感として分かってしまい、かつ繰馬雷蔵といいコンビ~バディになるとまで思ってしまったんです。

 その後に描かれたことは、そこを確認するような気持でした。劉大人が重傷だからとてじっとしているわけもなく、繰馬雷蔵も(死ぬリスクが高いのを承知で)手助けしてやる。そこからようやく、互いに過去を語るわけですね。

 しかし劉、遭遇した敵とロクに戦えず、討ち死に。唐人街の拠点も部下も船も、全て失い、繰馬雷蔵に促されて恨噛み小判を託すと。もし劉が生きながらえたら、あるいは雷蔵が利便事屋より先に唐人街と接触していたら、2人はバディになったと思えまいます。しかし、今話で一気にそこまで来まして、そうなりそうな描写は具体的には挙げられません。

 ですんで自分で自分の納得が不思議だったんですが、考えてみると繰馬雷蔵への感情移入が劉大人に拡張(?)されたせいだったようです。例えば繰馬雷蔵は己の過ちで許嫁を失ってまして、そこが劉大人の妹(雪梅)と被る(阿片取締官なのに、妹すら守れなかった)。

 そういう2人の重なる点がいくつかあるため、劉大人に生じたことが繰馬雷蔵への感情移入を刺激し、劉大人への感情移入となったようです。見方によっては誤認、勘違いといえそうですが、たぶん作り手が意図して観ているこちらを動かしたような気もします(必殺シリーズでのパターン踏襲もその1つかも)。

 人物ドラマとしては繰馬雷蔵と劉大人のドラマをクローズアップしておいて、事態のドラマは敵の動きを次第に明らかにしていってますね。その2つでストーリー運びが揺れるせいか、緊張感が持続してくれます。

 礼拝堂が遍路の貞グループに乗り換え、幽烟グループを裏切って始末にかかったのだけは確かなようです。指示を出しているのが今話ではシスターでして、見た通りの伝令役だとすると、黒幕はジェラルド嘉納となりそう(自分としてはシスターが黒幕の可能性も一応考慮したい)。

 もっとも、頼み人(?)側の宍戸斎門のほうが不気味でして、大量の阿片で利益を得るのではなく、世間を混乱させたい愉快犯(?)ということですか。遍路の貞も相当な奴でして、宍戸斎門の目論見を聞いてもさして動じない。

 しかし、遍路の貞グループにも弱点はあるようですね。今話で劉大人を襲撃して、仕損じた「旋棍の捨」です。気弱なようで、繰馬雷蔵の気迫にたじろいでました。これが本当に気弱なせいか(暗殺者としては奇妙かも)、それとも利便事に迷いがあるのか。ともかくも、遍路の貞グループが崩れるとしたら、旋棍の捨からかなという気がします。

Re: 3月のスレッド(2023) - K.K

2023/03/06 (Mon) 22:08:59

 定期感想書その2です。

●ジョジョ:ストーンオーシャン(第33話:新月の重力)

 いよいよラスボス:プッチ神父との対決が始まるわけですが、冒頭は嵐の前の静けさの代わりにコメディリリーフでしょうか。「こんなアナスイ初めて見たよ」みたいな感じですね。

 一行は(盗難)車でケネディ宇宙センターに行ったプッチ神父を追うわけですが、徐倫がさすがに疲れてうたた寝。不安がおそらく強まってもいる徐倫は夢で最も安心できる相手、即ち父親の承太郎の夢を見てますね。アナスイにもたれかかって見ている夢、というのは暗示的なのかも。徐倫も意識しないうちにアナスイに気持ちが寄って行ってるかもしれません。

 そこはたぶん、ウェザーを通じて、かな。ウェザーは当初、ラング・ラングラー戦では命に代えてでも徐倫を守ろうとしたわけで、(承太郎の次に現れた)頼れる存在。そのウェザーは前話で死んでしまいました(しかも徐倫らが駆けつけたときのアクシデントで)。そのウェザーがいなくなってみると、直接的に戦える仲間としてはエルメェスとアナスイ。

 承太郎とイメージ重ねるとしたら、アナスイになるわけですね。そこを意識したかどうかは分かりませんが、戦いの合間でちょっと緩んだアナスイが徐倫に反応すると。刑務所での態度とはちょっと変わって来てる感じです。前だとFFに示した態度は「あれ(徐倫)が欲しい」みたいな感じ。今は「頼って欲しい」という感じですね。

 ただし大変にコミカルでして、目を覚ました徐倫がワニに気が付き、寝てる間にアナスイから贈られた指輪を投げつけてしまう。これにアナスイ、大騒ぎして、涙流して泣く。これが以前は交際相手を浮気相手諸共に「分解」した「殺人鬼」なのかと呆れるほどです。

 この冒頭のシーンは前話の悲劇と、今話後半の決戦開始の間の気分調整のコメディーリリーフのようですが(確かにその効果はある)、アナスイと徐倫の関係性を暗示しておく狙いもありそうな気がします。予習してみますと、ウェザーに続いてアナスイも徐倫を先に進ませるために戦死のはず。さらに「天国」が成らなかった来世(?)では、徐倫似の女性に選ばれたボーイフレンドはアナスイ似らしい。最終回観終えてから、今話冒頭を思い出したりするかも。

 それはともかく、プッチ神父は亡きDio(の運命?)に導かれるまま、ケネディ宇宙センターに到着ですが、体調悪そう。と思ったら、スタンドが次の「C-MOON」に進化する前兆だったようです。スタンド:C-MOONは重力変化をもたらすらしい。視聴後にウィキペディアで確認したら、プッチ神父を上とする方向の重力ですか。効果範囲は3km。

 そうと分かってみても、劇中描写はちょっと分かりにくいかも。C-MOON発動がいきなりフルパワーでなく、徐々に強まるようですが、効果がまだらと言いますか。カップ内のコーラには作用して、カップを持つ男には効かない。プッチ神父に小さな親切・大きなお世話した男は体ごと吹っ飛んでる(落っこちてる)。

 センターに向かう車中の徐倫らについても、ちょっと不可思議に作用してる感じです。まず車が進まなくなる。これは重力が変化しだして、いわば上り坂になっていくということなんでしょうけど、車中の徐倫らが気が付かない。車だけに変調来てる感じですね。しかし、外では宇宙センター方向から車や人が水平に落下してくる。エルメェスも後ろに落ちそうで車にしがみつく。目では見えても身体で感じてないらしい徐倫らの三半規管はどうなってるのか。

 まあ、作用を及ぼすスタンドの使い手のプッチ神父も自分の能力を理解できてないらしいんで、わけのわからなさは受け入れておこうと思います。ウェザーのヘビー・ウェザーとて、サブリミナルで実際に身体をカタツムリに作り替えちゃうわけだし(^^;。そのウェザーのスタンドDiscは徐倫に渡されてまして、予習してみると最後の決め手となるようですね。

 しかし今は宇宙センターのプッチ神父。既にそこを上に水平が垂直に変わってまして、徐倫らは文字通り、よじ登ってたどり着くと。エルメェスは途中で落っこちてしまい、消息は分からない。それでも、人数的には2対1で優位ですが、プッチ神父のC-MOONには、重力以外にも不気味な能力がある模様ですね。

 C-MOONが出現しますと、まず徐倫近くのランプが壊れる。続いて徐倫の手に異変起こりまして、骨がむき出しになる理解しがたい現象が起きてます。後で調べると「中と外を裏返す」ものらしい。というところで続くのか。こうなると頼れるのは承太郎と感じますが、次で駆けつけてくれるかなあ。

 余談ですが、宇宙センターで重力の解説ありまして、両極より赤道のほうが遠心力で重力が弱いと言ってますね。以前に計算したことがありまして、両極より赤道では4~7%ほど重力が弱いとなりました。スポーツ競技だと走り高跳びなどに影響しそうです。

 しかし、解説の後半では場所により重力が違うとも言ってます。上述の計算の後、理科年表で調べますと、遠心力による重力差より、地域差のほうがデカかったんで驚きました。たぶん地中に何があるかの差でして、例えば金属鉱脈があると重力が強くなるんでしょうね。

 それにしても今話の解説が事実なら(確かめる気がない ^^;)、海面で換算数十メートル分違うのはザラにあることになりまして、例えばオリンピックの開催地って、重力考えて選定しないと、新記録とか信用できない気がしてしまいました。記録がmm~cmとか、1/100の差の世界になってますから。

●仮面ライダーギーツ(25話:慟哭Ⅰ:ジャマトグランプリ♡)

 3月ですから、ここから後半と考えていいんでしょうね。ギーツ世界の時間含めた構造が明かされ、デザイアグランプリからジャマトグランプリとちゃぶ台返しとなりましたし。ただし、敵味方の勝利条件は未だはっきりしません。もっとも、今話でジーンが語った未来世界の様子からしますと、全ては暇つぶしなのかもしれない。

 ジーンがいた/生まれた未来は科学技術が超高度に発達しているようで、作中にせよ現実にせよ、現代感覚からは想像しにくい、ある意味、歪んだものになっているようですね。なにせ望めば即座に何でも手に入るという「高度に発達した科学は魔法と見分けがつかない」世界になっているようですので。人の死亡すら予定通りであって、何の感情も起こらないものらしい。

 そういう世界の住人ならば、DGPにおける一般人の阿鼻叫喚も気にならないのかもしれません。「元に戻して、記憶にも残らないからいいでしょ」という感じですね。それがジャマトグランプリに変わるとどうなるかは、これから見せてくれるんでしょう。DGPは個人の願いを叶えるものでしたが、ジャマトグランプリは「理想の世界」という曖昧なものですね。しかも今話ラストの解説では「不幸な世界」ということらしい。

 英寿/ギーツのライバルであった道長は、今はジャマト側にバッファジャマトとしているわけですが、今話でジャマトが化けた(?)親友の今井透が登場。以前の豪徳寺武もどきとは違い、見た目も態度も人間らしくて自然ですね。しかも、おそらくは時間経過とともに、コピー元の本物の今井透に近くなっていっているらしい。その辺りは、道長の戸惑いぶりなどから窺える気がします。

 そうなりますと、観ているこちらとしてはちょっと戸惑うものがあります。なぜなら、DGP側が出した死亡者(敗退ライダー)をジャマト側が(できるだけ)復活させていることになりますから。既にジーンなどから、DGPが刺激を求めた遊びであることが明かされています。仮にジャマト側も遊びだったとしても、死者を出す側は悪役的で、復活させる側は正義の味方的です。

 ジャマト側の唯一のDGP公認(?)ライダーの道長/バッファジャマトの願いは依然として「全てのライダーをぶっ潰す力」ですね。DGP時代ですと、これが叶えばいくらDGPを繰り返しても道長優勝で確定してしまいます(道長が繰り返し同じ願いで出場すれば、ですが)。

 道長がDGPを飛び出した今ですと、DGPを成立させなくする力となりえそうです。となると、少し敷衍して考えると「未来人は出て行け」ともなりそうで、むごい遊びとも言えるDGP/ジャマトグランプリを止める役割を道長は担えそう。と考えてみますと、道長が正義のヒーローみたいになるのかも。

 もっとも、その辺りはもうちょっとジャマトグランプリが進んで、第1回優勝者が出ないと分からない感じです。新たな不安定要素はDGPのほうでも今話で示されまして、祢音と父:光聖ですね。プロデューサー:ニラムの台詞と光聖の反応からしますと、祢音は「創世の女神」から生み出されたらしい。そして光聖は祢音、特にその願い(本当の愛が欲しい)を叶える必要があるらしい。しかし、光聖自身ではその願いを叶えることはできないという、何か複雑な事情を抱えている模様。

 光聖が祢音の実の父親でなさそうという点は、光聖がDGPのスポンサー/オーディエンス=未来人ということと符合しそうですが、祢音の母:伊瑠美はそうではない感じがします。光聖が鞍馬財閥の総帥だとすると、長くこの時代にいることになりそう。光聖はどうも、すっきりと解釈できない人物になってきた感じです。

 何がどうなっているかが明かされて、かえってドラマを揺らす要因がいろいろ出て来た印象ですが、とりあえずはジャマトグランプリが始まったばかり。ジャマト側にも本能や命令ではなく、自らの意思と知能で戦う、DGPライダーと対等なライダーが出てきて、さあゲームはこれから、といったところ。

 これがDGPの裏返し的なものになるかどうか、次回「慟哭Ⅱ:真紅のブースト!」次第の気がします。とりあえず、今まで余裕を見せていた英寿/ギーツが初めて追い込まれるみたいですね。

Re: 3月のスレッド(2023) - K.K

2023/03/08 (Wed) 14:21:39

 定期感想書その3です。

●仮面ライダー555(第3話:王の眠り、第4話:おれの名前)

 続々と新キャラクター登場でして、少なくとも序盤のドラマを進める駒組が出来つつある感じです。主人公:乾巧も動きを見せまして、巻き込まれ型から一歩踏み出し、積極的に関わる姿勢に転じるわけですね。

 その合間に暗示的で断片的なシーンが入ってまして、ジオウ視聴時以来の多少の予習で一部は分かります。例えば地下鉄工事で発見された学校らしきものが示されてました。ジオウで見覚えがあるものでして、流星塾ですな。ジオウ視聴時では、これが確かフォーゼの朔田流星とかけてあるのかとかの話も出て、何にも知らない自分は混乱していた覚えがあります(^^;。

 他にも暗示的なものでは、予習してあるとドキリとするのが、園田真理の乾巧への台詞「まだ人間の心が残ってるみたいね」です。真理は嘘の手の怪我がラーメンで巧にバレたのが原因ですから、次に本当に怪我しても疑われたのは自業自得ではある。しかし毒づく気持ちも分かるんで、その台詞単独でも不自然さはありません。

 初放映時にリアルタイム視聴していたら何とも思わず、しかし巧の正体(オルフェノク)が分かった途端、たぶんこのシーン・台詞を思い出すんじゃないかと思います。

 その他、先週分も含めてですが、真理や新登場の菊池啓太郎が555に変身しようとして果たせず、襲撃してきたオルフェノクがあっさり変身成功するのも暗示的ですね。オルフェノクは「誰でも変身できるわけではない」旨言ってまして、予習なしだと自分は「まあ、相性とかあるんだろうな」くらいに思ったはずです。

 555側のドラマとしては、園田真理と乾巧の反りがぎりぎり合わずに膠着状態となっているところへ、考えない善意(?)の持ち主:菊池啓太郎が登場して関わっていくことで、また進みだす感じですね。まず園田真理が啓太郎に泣きつかれ、巧に逃げられるも、仕方なく啓太郎の面倒見てやる格好に(真理の性分の紹介にもなっている)。

 そこへ巧が戻って来まして、啓太郎とひと悶着になり、啓太郎の世話を焼いていた真理と再び合流。しかし、啓太郎に善意ながら無鉄砲な面があったからたまらない。オルフェノクとのバトルを見た啓太郎、ファイズギアを盗んで、自分が悪を倒す善行をと張り切っちゃうわけですね。

 しかし、ファイズギアは(スマートブレインの)オルフェノクも狙ってる。変身できない啓太郎からあっさりギアを奪いまして、555が敵側に。変身したのは下っ端扱いされていたオルフェノクでしたが、555の力を得ると態度豹変し、仲間であり兄貴分らしきオルフェノクを葬ってしまう。その辺り、オルフェノクの価値観が垣間見えるような気がしますし、今話でオルフェノク化した長田結花と一部被り、かつ対照的な気もします。

 バトルは555となったオルフェノクの一方的優位と思ったら、バイクが変形して人型ロボットとなり、ギアを奪い返して逆転。このバイクが「オートバジン」ということですか。確かディケイドの予告代わりの垂れ幕で観て、自分が混乱したやつだ(^^;。実機を改めて見てみまして、パッと連想したのが「バブルガムクライシス」(OVA、80年代)です。それにもバイクが変形するロボット出て来てまして、デザインがなんか似ている気がします。

 それはともかく、菊池啓太郎が巧らの知らないところで騒動の種を。今週の敵側ヒロイン(予定?)の長田結花と関わっている点は重要みたいですね。ウィキペディアでできるだけ予習しとこうと、登場人物の項を読もうとしているんですが、人間関係がややこしくて。本編を観てからでないと、どうもきちんと理解できる気がしません(^^;。

 菊池啓太郎は長田結花とメル友ではあるものの、互いに自分の理想的な面を虚飾交えて伝えあっているようですね(啓太郎は割と正直なのかも)。しかし、面識は一切ない。啓太郎が結花を立派な少女と思い込んでいる。確かに結花は養父母と義妹から虐待されても耐える健気な子であります。

 が、先週の木場勇治と同様、オルフェノク化してもしばらく耐えたものの、ついに怒りが上回り、体育館で凶行に及ぶと。観ていて、先週の木場勇治の気持ちが理解できたのと同様、結花/クレインオルフェノクの凶行も「やったことは間違いだが、気持ちは分かる」という実感が生じました。リアルでは駄目ですが、フィクションでは自分的に「そう思えたら、描写は大成功」というものになります。必殺シリーズに通じるものでもあります。

 しかし啓太郎はそんなこと知る由もないわけですね。しかも、オルフェノクと戦う同志として、巧と行動を共にしていく決意を固めてしまってます。つまり、園田真理の今の正体(クレインオルフェノク)に敵対するポジションに、知らずになっちゃってるし、互いに未だ面識なくてメール内容だけの理想像信じちゃってるし。

 しかし、乾巧が翻意してとりあえずの3人チームは成立したみたい。ファイズギアを預かる、バイク(オートバジン)をくれ、は不愛想に行ってますが、フルの戦力で戦う決意あってこそでしょう。真理もバイクについては「考えとく」ですが、関西の「考えときまっさ」とは逆の意味なんでしょうね。そこに至る鍵となった啓太郎はムードメーカーっぽいですが、波乱要因でもありそう(特に結花絡み)。

 一方、長田結花は木場勇治に声をかけられ、おそらくはスマートブレイン側でしょうか。これで敵側の布陣のうち、木場勇治周りが整ってきた感じです。

 今週分では長田結花の変化について、初見ではかなり勘違いしました。前半(第3話)ラストで雪の歩道橋で足を滑らせ、倒れたまま目が灰色に。オルフェノク覚醒で間違いないのはわかりますが、死ぬような状況ではないし、オルフェノクが襲った形跡もない。てっきり、以前からオルフェノクなんだと思い込んでしまいました。

 そのオルフェノクを抑え込んで、人間の生活を続けていると思ったんですが、後半(第4話)では気づかずにオルフェノクの能力(聴力)を使ってます。ようやく、歩道橋で死亡してオルフェノク化と気が付きましたが、自分は初見時には「オルフェノクに襲われるとオルフェノクになる」と思い込んでました。

 そこは後で調べて、死亡時に自力でなるオルフェノクもいると知って納得(吸血鬼なら真祖に相当するかな、とBASTARDを連想したり ^^;)。しかし、結花に(少なくとも当初は)オルフェノクの自覚がなさそうなのが腑に落ちないでいました。

 しかし、もう一度観なおして納得しました。ガソリンスタンドのシーンですね。所員がオルフェノクのバイク乗りに殺害され、オルフェノクとしてよみがえる。が、スタンド所員の行動しかせず、襲ったオルフェノクを見送りつつ「ありがとうございました」。

 鈍い自分も、スタンド所員だけでなく、オルフェノク化した直後の人間はオルフェノクになったという意識がないということに思い至りました。

 次回(第5回)予告からしますと、人間 vs オルフェノクという対立構造の世界観が明示されるみたいですね。ドラマ本格開始だと思いますが、まだまだ未登場の主要人物が多いはず。しかも関係性がややこしそうだし。どうにも自分では先の予想がつかない感じです。

●RIDER TIME 仮面ライダー龍騎

 何度か観なおしてみましたが、やはり自分には消化しきれない点が多々です。ジオウ世界とリンクしていることも、自分では解釈しきれないのも原因の1つかと。それでも感動できるところも多々ですので、感想は残しておきたいと思います。

 が、その前にネタ的な点を先に(^^;。第3話でゲイツを見た真司が思わず「蓮!?」と呼びかけてまして、思わずニヤリとなりました。ジオウ放映当初、こちらで「龍騎の蓮と似ている」と伺い、ネット検索で画像を確認して「確かに」と思ったものです。しかし当時は龍騎をよく知らず、似ている人もいるもんだ以上の感想はありませんでした。

 しかし龍騎を観終えてみますと、蓮とゲイツの立ち位置、性分、行動・言動で似ていると実感。ジオウ開始時、龍騎を知るファンの気持ちが少しは分かった気がします。そして、このRT龍騎で制作・公式も似ていると言ってくれた気がしまして、ついに公認の似た者同士になったんだなあと。しかし、ついに対面はなりませんでした。そこは悲しいような安心するような複雑な気持ちです。

 もう1つ書いておきたいのは、このRT龍騎でも木村/仮面ライダーベルデです。観ている最中、「この人、どこかで見た、絶対見た」と思ってました。通しで2回目に観たとき、第3話でようやく思い出しました。ゼロワンの宇宙野郎:雷電でしたか。演じているのが山口大地さんですね。雷電は期待させておいて失望させたり、印象のアップダウンが激しく、最後は期待通りとなってくれましたんで、印象が強い。

 それなのになかなか思い出せないのが情けない。と思って、ディケイドの555編でも似たようなことがあったのを思い出しました。ディケイドはオーズより前ですけど、自分の視聴順序は(途中からながら)オーズが先で、アンクには大変感動しておりました。が、ディケイドで敵の百瀬役が見覚えがあると思いつつ、オーズのアンクの方(三浦涼介さん)となかなか思い出せませんでした。

 これは役柄が違えば別人なんだから仕方ないと思えばいいのか(役者さんもそのつもりだろうし)、自分の人の見分けや記憶が情けないということなのか。たぶん両方なんだろう。

 それはともかく本編感想。自分は初見では勘違いしてまして、リアル世界で暴れているのが、ジオウTV本編で登場したアナザーリュウガだと思ってしまいました。そのせいで、うまくこのドラマと設定が理解できず。よく見たら、リアル世界でフードの男(神崎士郎を思わせる)に操られていたのはアナザー龍騎でしたか。ちゃんと「RYUKI」と書いてあり、鏡文字でもないですね。

 そこが分かりますと、第3話でソウゴが真司を見るなり、名前で呼びかけたシーンも理解できます。ジオウTV本編の龍騎編でソウゴが真司に遭遇した後、このRT龍騎の事件となっているわけですね。ジオウは録画も残してないし、細部を忘れてしまってるんですが、真司はジオウTV本編ではゲイツを見てないようですね。なにせ蓮と見間違えたわけですから。

 そういうジオウとのリンクと分かりますと、気になるのはジオウ本編では最後にリセット&改変されて1年前から歴史がやり直しになっていること。ジオウのやり直した世界でこのRT龍騎の影響はどうなったんだろう。その辺り、こちらで伺ったギーツ劇場版の内容などで考えてみるのは、今の自分ではちょっと無理のようです。
(そこまで考えるなら、ビルドでの世界リセットがビルド以前の龍騎世界をどうしたかとかもあり、解釈はもう自分の手に負えませんorz。)

 ともかくも「ジオウでの世界リセット以前」の範囲で、このRT龍騎を考えてみようと思います。それなら龍騎勢とジオウ勢の接点も少なく、なんとか自分でも理解できそうです。ただし、神崎士郎を思わせるフードの男(最期の言葉が「優衣」)の正体は明かされず、謎のままですね。

 アナザー龍騎を操っているということはタイムジャッカーと考えるべきなんでしょう。しかし、スウォルツらではなさそう。ジオウの龍騎編後だとすると、ソウゴはジオウIIで時間巻き戻し~歴史改変能力があるはずですが、まさか仕掛け人のはずもなし。黒ウォズ/白ウォズも同様。ジオウ本編からフードの男は出なさそうで、もしかするとミラーワールドから発生したタイムジャッカーなのかしらん。

 だとすると、龍騎本編でもミラーワールドは謎のままでして手がかりがないかも。こちらで伺った「全ては優衣の(無自覚な)能力かもしれない」という有力な推測を敷衍すると、RT龍騎ではサラの能力と考えておくのがいいかもしれません。フードの男はミラーワールドの神崎士郎を模して作られた傀儡みたいなものかも(サラが作ったが自覚がなく、制御もできないミラーモンスターとかで)。

 そういう前提で考えると、なんとかRT龍騎のドラマが理解できる気がします。それでもびっくりするような展開が多くて、ライダーバトルからして記憶を奪われたライダーの強制参加ですか。最後の1人に与えられる恩恵は元通りの生活に戻れるだけらしい。

 極めて不当な条件ですが、以前にライダーだった影響なのか、それともこの物語開始以前の経緯のせいか(既に何人も敗退済の模様)、参加ライダーは受け入れてますね。しかも乱戦にならずに、手塚グループと芝浦グループの対立になってる。ただし、蓮は孤高を保ち、浅倉は相変わらず一人で好きに暴れてる感じですね。

 その浅倉に意外なサポーター出て来まして、ゾルダとなったゴロちゃんですか。どうも記憶が混乱しているのか、浅倉を「先生」と呼び、縋りつくくらいに慕い、浅倉にいくら殴られても離れない。以降、TV本編で北岡に対したのと同様、ゴロちゃんは浅倉に尽くすわけですね。

 浅倉は最初、「気持ち悪い」とすら言ってまして、観ているこちらも同じ感覚が生じました。しかし、第3話で明かされた内容を見て、第1話から何が起こっていたか理解しました。しかし、それにしては納得感が深い。そこはどうやら、手塚と芝浦の同性愛設定・演出がいい作用をもたらしたみたいです。

 手塚が真司らのリーダーと目されながら、実は裏切って芝浦側のために動いていた、というのは中盤の緊張感を盛り上げる展開になってるんですが、手塚が裏切るには強い動機がなければ不自然です。そこで「手塚と芝浦が深い仲」ということに(制作は)したんでしょうけど、それはそれで唐突です。2人ともミラーワールド召喚以前は覚えてないですしね(召喚後に発生した関係性のはず)。

 しかし不自然であっても手塚と芝浦の仲をそうしたからこそ、ゴロちゃんの復讐劇が光るものになりました。観ているこちらの注意と関心が手塚と芝浦に向きますんで、浅倉に縋りつくゴロちゃんが相対的にですが、自然に見える。「まあ記憶の混乱なら仕方ない」くらいの気分になります。

 が、ゴロちゃんの周到な計画であったわけですね。記憶が混乱している演技で浅倉に近づき、北岡の仇討ち及び最後の願い(浅倉との決戦)を叶えるべく、機会を窺っていたと。観ていて「もしかして」と思ったのは、ゴロちゃんが事務所で浅倉に餃子を出したシーンです。TV本編で浅倉が気に入っており、レシピは真司から習ったものですね。ゴロちゃんが記憶をしっかり保っているという強い暗示です。

 となりますと、浅倉が記憶を保っていると称するのも、ゴロちゃんについてのいいミスディレクションとなりそうです。ドラマ的にも各ライダーが「自分は何者なんだ」と浅倉を軸に回る仕掛けとなってます。が、浅倉が真司らに語る、このRT龍騎の(サラの)ミラーワールド召喚以前についての話は曖昧です。

 そして第3話で突如としてゴロちゃん/ゾルダが浅倉/王蛇に牙を剥くわけですね。それも北岡のためだと明言してます。となると、浅倉が記憶を保ってるというのは戦いための嘘に近く(蓮に対する言い草もなんか変だったし)、召喚されたライダーの中で、唯一記憶をはっきり保ち、目的意識も持ち続けていたのがゴロちゃんとなりそうです。

 TV本編でのゴロちゃんはゾルダとなって死んだ北岡の代役を務めようとしましたが敗退。このRT龍騎では時間差はありましたが、事実上の相討ちに持ち込みまして、命に代えてゴロちゃんと北岡の悲願を達成したと言えそうです。この点は、観ていて(悲しくもありますが)非常に嬉しくなっちゃった次第。

 しかし、やっぱりですが最大の印象が生じるのは真司と蓮ですな。このサラのミラーワールドでは、王蛇/浅倉に追い込まれた龍騎/真司のピンチを救うのはナイト/蓮、ということで関わり合い再スタート。助け出された真司、おぼろげな記憶で蓮に「秋山ロンか?」でクスリと来ました。TV本編序盤で、バイクで去る蓮を追う真司は「ロン、おーいロン」と連呼して嫌がられてました。間違え方までなんとなく覚えてるわけですね(^^;。

 観ていて「ああ、やっぱりこの2人は」となります。真司はシルエットしか思い出せない男を探し、蓮はTV本編の真司のように「戦いを止める」決意がある。ある意味、見え見えの暗示的な演出ともいえまして、しかも結果は予定調和と言えそうなほど、期待通りに納まる。

 しかしそういうの、自分は嫌いじゃないですね。少なくとも、このRT龍騎で見せてくれたものは。真司はミラー真司/リュウガにまたも乗っ取られるも、思い出せた蓮に対する気持ちだけは消えない。同じく真司を思い出せた蓮も、リュウガの止めの一撃を留めたのが真司と気が付く。

 直後、再びミラー真司がリアル真司を飲み込んだかに見えますが、蓮には「いや、こいつは真司」とお見通しでしたか。真司の意図は、蓮が自分(真司)を倒し、最終勝利者になってもらうこと。そうだと分かるからこそ、浅倉の真司への最後/最期の一撃を自分(蓮)が身代わりになって受け、真司に「前の戦いではお前が先に死んだ、今度はお前が生きろ」と言い残して消滅。

「前の戦い」はTV本編のことなんでしょうけど、蓮はその前に13RIDERSで真司を助けて死んでます。その前は劇場版で共闘して結果は不明。しかし劇場版で言った「死ぬな」「お前も」から察せられる、互いに「お前は俺を倒して、俺たちの願いを叶えてくれ」の気持ちはRT龍騎でも健在でした。

 最後に残った真司はサラから命を託され、(神崎士郎の残滓と思しき)フードの男/オーディンを倒し、龍騎とナイトをウォッチとしてソウゴ&ゲイツに譲る。リアルでのアナザー龍騎は託されたウォッチでジオウ&ゲイツが撃破。両方の世界の事件はなんとか落着ですね。

 最後、一人になった真司がドラグレッダーとダークウイングのカードを空に返し、龍騎のライダーがいなくなったことを暗示して終わる。ミラーワールドに引き込まれて戦う運命からの解放と感じますが、しかしジオウは最後で1年前に時間戻しちゃうわけで。龍騎も時間と戦いを繰り返す世界。終わらないんだろうなと思ったら、ギーツ劇場版となる、みたいな感じなのかなと思います。

Re: 3月のスレッド(2023) - K.K

2023/03/09 (Thu) 17:03:04

 定期感想書その4です。

●牙狼:翔編(第10話:雷)

 前半が終わりに近づきまして、後半に備えて状況整理のためのリュメ様の説明とかが入ってるんでしょうね。かつ、流牙らに接近する過程で幼さと憎悪を垣間見せてくれていたガルドが慢心ゆえのしくじりがあり、「さあどうする?」とドラマ開始要素もあり。

 ゲスト敵ホラー:ゼラーザは見覚えがあると思ったら、未唯mieさんですか。元ピンクレディーのミーさんでして、自分にはなじみ深いような感じがあります。ファンとまでは言えませんが、ピンクレディーの歌とダンスは面白がってまして、真似して遊んで「いや、これは簡単そうで簡単じゃない」と思ったりしました。

 それはともかく、ゼラーザは単にバトルを見せるために出てきたわけではなく、ラスボス:ジンガらの目的の一端を明かす役割もありますね。アミリがちらっと嫉妬を見せるほど、ゼラーザはジンガにまとわりつきますが、果たして欲しい約束とは「ラダンに乗せること」。つまり、ラダンはホラーとかではなく乗り物だというわけですな。

 このことは番犬所のリュメ様も述べてまして、ラダン「城」だとしている。ある種の巨大ロボットでもあるらしく、城中の玉座の王に従うものらしい。自分はずいぶんとあれこれ忘れてしまってるんですが、そういやジンガがラダンを中から動かしてたな、とか少しずつ思い出すものありです。

 なぜゼラーザがラダンに乗りたがったいたのかは不明ですが、もしかしてジンガからラダンを横取りして自らが王となる野望でもあったのかしらん。しかしジンガのほうが一枚上手でして、ゼラーザは陽動に使われただけみたいですね。ゼラーザは電気だけに(最初、雷神みたいなホラーかと思った)導電性さえあればどこでも高速移動できる。

「ジョジョ:ダイヤモンドは砕けない」でも似たようなスタンド使いがいましたな(音石明/レッド・ホット・チリ・ペッパー)。隠れて動き回るが如きですし、電気の通り道さえあれば襲い掛かって来るし、難敵です。ゼラーザも己が能力には自信ありげ。

 しかしだだっ広くて電気的に隔離された場所に誘い出せば戦える。幸いにも、ゼラーザは放電できるが、電気に耐性があるわけではなかったようで、自らの雷撃(?)を相手(流牙)に溜められてしまい、まとめて返されて敗退。追いかけっこから撃破まで、割とトリッキーで面白い敵でした。

 しかし、流牙らがゼラーザ追跡&撃破に躍起になっている隙に、前に法剣を強奪したガルドが、ジンガらの真の狙いであったらしい。ゼラーザとは別に動いたジンガ、ガルドをうまく拠点におびき寄せる。偽の封印ラダンまで置いてあるわけですね。ただし、ガルドが見てみれば一目で偽物と分かるチープなものらしい。

 が、ジンガとしてはガルドをおびき出せれば充分。マズいことにガルドは自分の瞬間移動能力と体術を過信してしまっており、少なくともこの場をしのぎ切れると思ってたみたいですね。もしガルドが封印ラダンを偽物と判断してすぐ、あるいは遅くともジンガが声をかけてきたとき、迷わず脱出・逃走に徹していれば、何とかなったかもしれない。

 しかしガルド、ジンガの腕前を試し、あわよくば討ち取ろうとばかりにかかって行っては敵の思う壺。最初はガルド、瞬間移動を駆使して翻弄しているつもりだったんでしょうけど、ジンガに動きを先読みされてカウンター食らい、あえなくダウン。そのまま捕まってしまいました。遅れて駆けつけた流牙らが見つけたのは、ガルドの喋るマスコット魔道具(しかし実はハルナとの通信機)。

 このガルドの瞬間移動できるゆえの驕り、今話のホラー:ゼラーザと被るような印象があります。どちらも「自分の動きに相手が付いて来られるはずがない」と思ったら、逆に読み切られて破れてしまいました。

 確か、次の「罠」でガルドの妹ハルナ登場ですね。その因縁でガルドもようやく流牙と共闘するようになったはず。

●BASTARD(第9話:青爪)

 おおむね、前話ラスト時点で今話がだいたいどうなるか分かり、おそらく原作通りだろうとも思いつつも、観たら結構面白かったです。笑えるという意味でして、ダイ=アモンとジョド―の漫才でした(^^;。

 このジョドーって、「カリオストロの城」のジョドーとの類似性はありそうです。カリ城のジョドーを無能にしたら、BASTARDのこのジョドーになるのかも。連載当時はそれくらいしか印象なかったんですが、このアニメ版を観てみますと、アモンと対照的ながら相性がよく、しかもなかなか濃いキャラクターですな。

 ダイ=アモンは「世界一ィィィィ」みたいなシャベルの部分は、ジョジョ:戦闘潮流のシュトロハイムのパロディでしょうね。BASTARD連載当時は生々しかったかも。壁が壊れて陽光が射しこむ最期は、同じくジョジョ:スターダストクルセイダースのヴァニラ・アイス(スタンド:クリーム)を意識したものかもしれません。

 あれこれきわどいパロディがある気がしますが、連載当時は気にしてなかったかも。あちこち、版権的には突っつかれたら危うそうです。そうしたことは、こちらでビホルダー改変についてのD&D絡みについて伺ってなかったら、今話を観終えても気にしなかったかもしれません。

 なにせ他作品からのパロディ以外に、もっと目を引く点があり、上述しました前話から引き続きのアモン&ジョドーのコントですね。ジョドーさん、前話は血を吸う吸わないでぎゃあぎゃあ騒ぎ、今話はダイ=アモンの必殺と称するもおバカ系としか思えない技を誤射される。

 それでも主従は実は関係性いいらしく、(死なないと分かっているようですが)身体バラバラになっちゃったジョドーを見たアモン、大変な動揺見せまして「ジョドーー!」。他の配下を巻き添えで撃ちまくってるときは気にしてないわけですから、やっぱりアモンさんはジョドーさんがいないと駄目な人らしい(^^;。

 しかしアモン(と配下)のおバカぶりは続きまして、陽光で灰と化したアモンがコウモリとなって蘇ったのは明らかなのに(アモンの声で喋ってますしね)、「アモン様どこ?」と本気で探し回ってます。

 このシーンがコントとして成立するのは、配下が大人化したDSを見て騒ぐ、お間抜けなシーンが前段としてあるからでしょうな。かつ、そのシーンが成り立っているのは、おそらく「北斗の拳」のザコ敵に模したキャラクターデザイン、つまりパロディだからでしょう。

 終始コミカルで一貫してまして、当然、バトルは緊張感とかあるわけもなし。しかし、そこは次からネイ編で盛り上げる算段があるんでしょうな。なにせ、今話ラストでネイが受け入れた、アモンが受けたのと同じ呪いを解くため、DSが自ら心臓をえぐり出す結末につながっていくわけですんで。
(もっとも、連載当時でもDSがすぐに復活するはずと誰しも当然のように思ってまして、強く盛り上がったとはいえない山場だったかもしれません。)

Re: 3月のスレッド(2023) - Shiny NOVA

2023/03/11 (Sat) 12:30:14

 1週間が早く、今は脳内処理能力が落ちてるなあ、って感じですね。

 普段ならできる程度の番組感想の並行処理が、フワフワしていて、まとまりにくいなあ、と思いながら、印象的な部分だけを順不同で挙げておきます。

★REVENGER

 礼拝堂のシスターが、あんなにアクティブに動けるキャラだったとは。

 ええと、ただの連絡役だと思っていたら、実はバトルもできる?
 キツネ面を被って、惣二を翻弄し、裏切り誘惑に誘い込むなど、まるでギーツにつままれたような思いです。

 考えてみれば、OPで謎キャラ連中の一番正面に立っていて、目立つポジションであるにも関わらず、公式サイトで名前すら明かされず、今、調べてもキャストが判明しない伏兵。
 ええと、彼女がラスボスって線すら浮かび上がって参りました。

 終盤が近づくと、誰と誰が因縁を紡いで戦うのかも気になりますが、ライバル利便事屋だと、

・雷蔵VS遍路の貞
・徹破先生VS鷹目の一八(狙撃手対決)
・惣二VS手裏剣の与太郎(手投げ武器)
・鳰VS旋棍の捨(少女風の外見)

 という組み合わせが、対を為しているような気もしますが、すると幽烟さんの的が、宍戸さんなのか、それとも神父のジェラルドとも決着をつけるのか、
 今回は仕事のない仕込み回でしたが、終盤に向けての緊張感は抜群で、追いつめられる主人公チームの崩壊の予感がひしひしと感じ、そこからの逆転に転じる流れがどうなっていくかが注目ポイントかな、と。

 なお、本作の脚本家は、監修役の虚淵玄さんがメインで目立っていましたが、実はサブの大樹蓮司(別名義・前島賢)という人が下支えをして(全話書いてる)ようです。
 で、この人、キリスト教系の大学を出ていて、礼拝堂が元締めという部分はこの人のアイデアなのかなあ、とか、これまであまり注目していない作家だったのですが、『GODZILLA 怪獣黙示録』という小説の作者で、自分は読んで面白いと思っていたことが発覚。何だか、点と点がつながったことを意識した瞬間です。

 ええと、その小説は、未来SFアニメの『GODZILLA 怪獣惑星』の前日譚なんですが、
 アニメ本編では、「未来の地球がゴジラを始めとする怪獣に占拠された魔境と化しており、人類は宇宙に避難。しかし、怪獣を駆逐して地球への帰還を悲願とする若者たちの反撃が描かれる内容」で、
 前日譚は、地球がいかに怪獣たちに蹂躙され、人類が絶望的な戦いを強いられるようになったか、という歴史をドキュメンタリー形式でつづって行った短編集。

 歴代東宝怪獣が現代風にブラッシュアップされた設定で甦り、非常にマニアックなSF怪獣小説で、アニメ本編よりも面白かった。全編が怪獣愛に満ちていて、で、その作者がREVENGERの脚本家だったことで、いろいろと納得を感じております。

 別に作家を追いかけていたわけでもないのに、たまたま縁して、好きな作品を調べてみると、前に好きだった作品とつながって、おおって感じるのは、インターネット検索さまさまだなあ、と思います。

★ジョジョSO

 プッチ神父との最終決戦に突入。

 で、敵キャラがどんどん進化して、主人公陣営を徹底的に追いつめる様が描かれていきますね。

 ホワイトスネイクが進化して、重力を操るCムーンに、そして究極のメイド・イン・ヘブンに育っていく展開。

 で、エンポリオ以外が全滅という歴代JOJOシリーズ究極の悪夢が押し寄せて来る、と。

 とりあえず、今回は徐倫が致命傷を受けた……と思わせて、実はまだ生きている? どうやって? って展開です。
 触れるだけで、重力異変を起こして、体が裏返っていくという脅威の能力を、心臓を裏返された徐倫がどうやって切り抜けたのか。
 原作を読んでいないので、次回の種明かしをワクワクしながら最終決戦を楽しみたく。
 涙の準備は十分できていますし(花粉症)。

★BASTARD

 ダイ=アモン編終了。
 この人の声の話は前回もしていましたが、REVENGERの漁澤さんの声もやっていたんですな。
 気づいていなかった。

 で、ものすごくハイテンションで、こんな演技もできたんだ、と感じ入りました。
 ずっと、スパロボのクールなライバルキャラの印象が強かったもので。

 なお、アメコミヒーロー系だと、バットマンのライバルのジョーカーの吹き替え声をやってて、迫真のハイテンション演技でぶち切れていたそうです。
 ダイ=アモンとジョーカーだったら、イメージがつながるなあ、と思ったり。

 こういうクールイメージを持ってた声優さんの、いつもと違う怪(快)演技ってだけで、爆笑できた回です。
 もう、今回の感想はこれだけで自分には十分です。

 で、次回、ようやく一推しのネイ様との対決に至るわけで。

PS.ライダー関連はまた来週の課題に。

Re: 3月のスレッド(2023) - K.K

2023/03/12 (Sun) 23:47:05

 定期感想書その1です。

●うる星やつら(第21話:惑星教師CAO-2/あな恐ろしや、ワラ人形)

 前半は幼少時(数年前とされてますが10年くらい前?)の回想の形で、ラムら4人の基本的な性格や立ち位置及び人間関係を見せてくれる趣向のようでした。うる星の基本がコメディですから、教師に対して悪さをするドラマで、しかし悪逆な感じがしないよう、教師は頑健なロボットにしてありますね。

 先頭で突っ走りがちな弁天、好奇心で遅れずついて行くラム、しり込みしがちなラン、先を見越して立ち回りの巧妙なおユキ、といったところでしょうか。そのうち、現在のランだけは性格が一変してしまってまして、その辺りはラムとの関係性によるものらしいのは、以前のエピソードで分かる仕掛けですね。

 4人それぞれ性格は違えど、うまくいっている友達関係なのがよく分かるわけですが、何かしでかしたら「あとは野となれ山となれ」なところは一致しているわけですね。惑星教師CAO-2への反抗・意地悪が全て失敗して追われ、しかしウニみたいな星のトゲ(?)でCAO-2が身動きできなくなると、そのまま見捨ててしまうと。

 ただし(勤続200年とかいう)ロボットなだけに数年~十数年の放置を深く恨むでもなく、学校で描かれたお仕置き程度で済まして「スッキリした」と笑ってお終い。その軽さのお陰で、ラムらの仕打ちの悪印象も薄れまして、後味は悪くなし(やはり作者のさじ加減は絶妙かも)。

 後半は了子登場で、ターゲットは終太郎ですね。アイテムは呪いの藁人形。了子はおユキと立ち位置が似ているともいえる地球の策士でして、兄(終太郎)が自分(了子)に本気で手出しできないことをよく知っている。というか、そこがまず描かれるわけですね。藁人形の張本人が了子と分かり、終太郎は刀は抜いても斬りかかることはできない。力尽くで藁人形を取り上げることもできない。

 終太郎がそうできる相手となると、あたるなわけでして、藁人形もあたるの手にこっそり渡る。が、偶然にして必然的なドタバタで露見してからの終太郎の行動が「ああ、やっぱり」という感じ。あたるを呪う藁人形作っちゃうわけですね。同じくらいひどい目にあい、そもそもの原因である了子に対して、終太郎はやろうと思えばできたはずですが決してやらなかった。

 しかしあたるに対しては何の迷いもなく(思考がなく、と言うべきか?)、目には目の藁人形で仕返し。しかしあたる・終太郎双方に同じ攻撃力があるわけですから、情けない相互確証破壊の泥沼でオチと。了子がここまで読み切っての悪辣な悪戯だったように思えますが、終太郎ってそういう性分だから、というのが最も強い印象として残ります。

●REVENGER(第10話:Nowhere to Run)

 派手な動きはありませんが、水面下の動きをいろいろ暗示しまして、緊張感は高い回でした。NOVAさんのご感想がまず例のシスターからなのは、自分も納得。口数少なく補佐や伝令していると思ったら、惣二を手玉に取りかねないレベルの手練れのようですね。

 その惣二が今話で見せた心情がなかなか興味深い。叢上徹破から碓水幽烟が「礼拝堂に行っている」と聞くと、心配してそわそわ。落ち着くことが出来ず、飯も食わずに賭場に行っちゃうわけですね。そこを例のシスターが壺振りに扮して突いてくる格好。どうやら惣二は幽烟グループにおける弱点と敵に見做されているらしい。
(自分は前に鳰が不安定キャラで波乱要因と思ったんですが、惣二のほうだったみたい。)

 しかし惣二が情にもろいのは、情を通す性分だからでしょう。そういうタイプって、仲間の誰かを救って身代わりに、なんてなりやすい気がします。が、どうなるかは次回以降ですね。今話は幽烟がこれまでの事態について、点をつないで線を引いていく動きが主なドラマのようです。

 まず幽烟、漁澤陣九郎に当たってみる。聞けた話のポイントは宍戸斎門の動きですね。表向きには「繰馬雷蔵らが横取りした阿片を守ろうと、清の密偵:劉らを殺害」としたらしい。漁澤陣九郎は長崎会所目附の立場を利用した宍戸斎門の独自の動きであること、目的が利ではないことなどを掴んでいるらしい。危ないと見た漁澤陣九郎は幽烟らを直接の配下として保護することを提案しますが、幽烟は拒否。

 幽烟としては真相を突き止める意思を固めてるわけですね。そこで次に水面下ながら直接的な首魁といえる宍戸斎門に当たってみる。宍戸斎門は茶会を開いてまして、阿片で死んだ天山なる陶芸家の遺作(ただし失敗作らしい)の茶碗を見せ、幽烟に茶入れの仕立てを所望。そこから芸術談義なわけですが、どうも宍戸斎門は暗に幽烟に『自分の側につけ』と持ち掛けているような気がします。

 そのためか、わざわざ繰馬雷蔵の絵師:碓心としての許嫁:唯の絵の掛け軸まで用意してますね。宍戸斎門は描いた者(碓心)の苦痛を見抜いたうえで、それでいいじゃないかと。阿片で死んだ天山の茶碗から絵へと点を追い、宍戸斎門のやりたいことを線で描いているような気がします。

 しかし幽烟はやんわり、しかし揺るがずに否定、拒絶するわけですね。後のシーンで理由が示されてまして、碓心=雷蔵が許嫁:唯の笑顔を描きたいと知っているから。

 宍戸斎門がどうしようもないと判断したらしい幽烟、今度はもう敵対してしまった礼拝堂のジェラルド嘉納に会いに行く。意外なことにジェラルド嘉納は劉大人暗殺失敗を不問に付すと言う。おそらく「今回の件はもう手を引け」ということでしょうか。ただし詳しい説明も説得もなく、ひたすら「詮索無用」「神の思し召し」と言うのみですね。

 しかし幽烟は劉が残した恨噛み小判を示して決裂。それでもジェラルド嘉納、「すべては神の御心のままに」ということらしい。これは惣二を引き込みにかかったシスターの行動とは齟齬がありまして、どうなってるのか。ジェラルド嘉納が幽烟を宥めておいて、実は切り崩しにかかっているのか、それともシスターが独自行動を起こしているのか(実は宍戸斎門配下だったりして)。

 1クールものだとすると、残り2~3話ですね。事態が急に錯綜してきて、しかし幽烟は妥協の誘いをすべて断って退路なし。これでどう風呂敷畳むんだろう。

●ジョジョ:ストーンオーシャン(第34話:C-MOON その①)

 リアルタイム視聴の初見では、頭が働かない夜中ということもあって、かなり混乱して理解し損ねてました。特にプッチ神父の新スタンド:C-MOONについての、エンポリオ解説に変に固執してしまいまして。

 リンゴと地球では形を保つための仕組みが違います。地球は重力だけど、リンゴは違う。遠隔作用の力は重力と電磁気力でして、それで分けるならリンゴは電磁気力。とか考えてたんですけど、そういう物理学定義の「重力」に固執して、ハードSF的に読み解こうとするのが、どうやら間違いでした。

 スタンドなんて全くハードSFではない設定でして、実際、不可思議現象は今までも数多と起こしてます(その元となりそうな波紋からしてそうだし)。エンポリオ解説で大事な点は、C-MOONが「プッチを上とするような向きの重力」「殴った物体を裏返す」と2つの能力があるようでいて、1つの原理の派生だということでしょう。言い換えれば、次から次へと新たな能力を出してくるわけではない。

 そう思い直して、録画を再視聴しましたら、今度は目が泳がずに楽しめました。C-MOONが重力の作用ではべらぼうに強い力を出しはしても、スタンド本体の力は低いため、バトルの駆け引きが成立しています。加えて、半自律スタンドのため、使い手のプッチ神父が必ず近くで見ているはずというのもミソ。

 C-MOONが2回殴ると、裏返しの裏返しで元に戻る点も、今話で1回限りですが逆転要素だったりした点もなかなか。ただし、1回目の裏返しで裂けてしまった部分は元通りではないのか。FFがいないのは、やっぱり不利ですね。スタンドの糸の縫合では限界ありそう。

 これらの強み弱みがあって、バトルは一進一退で手に汗ですが、前話で指輪投げ捨てられてベソかいたアナスイが、今話では熱い。徐倫のスタンドの糸を伝わる、C-MOONの裏返し攻撃を自らのスタンドで受けて、アナスイ自ら裏返ってでも徐倫を守る覚悟を見せてくれました。いや、勝つために腹括るカッコよさですね。前話のヘタレぶりがあるからこそ、そこの盛り上がりに落差が出ます。

 が、プッチ神父が出張って陣頭指揮を執り出すと、やはり徐倫らは形勢不利。というより、心臓に裏返しの一撃叩きこまれて絶体絶命。と思ったら、エンポリオの携帯にメール来まして、アニメですから読み上げる声が流れ、間違いなく承太郎。
(文面を読めば"my daughter"で分かる仕掛けですね。原作コミックではどう表現してるんだろう?)

 承太郎が復活して近くまで駆けつけているのみならず、徐倫生存も知らされると。これはエンポリオらには絶望から希望へ戻る力を与えるものですが、スタンド使いはスタンド使いを感知するため、プッチ神父にも気づかれ、行動を起こされてしまう。アナスイは徐倫救出よりも、思い切った策「神父をブッ殺すんだぜ!」に出て、というところで続く。

 次は承太郎登場してくれそうですね。水平に落っこちたままのエルメェスはどうなったんだろう。2人とも戦いに加われば、少なくともこの場では形勢逆転できそう。

Re: 3月のスレッド(2023) - K.K

2023/03/14 (Tue) 22:55:13

 定期感想書その2です。

 東映公式Youtubeでは、仮面ライダーオーズ/OOOが最終回でした。ようやく第1話からのコンプリートしてみると、自分が最初に観たライダー1000回記念回からが激動だったことが実感として分かりました。

 あそこからドラマがアクセル踏みっぱなしといっていいくらいのテンポアップだったようです。自分が途中からの初視聴で感じたものは、まだまだでした。こうなりますと、オーズと同時期に、やはり途中から観たキバも第1話から観なおしたくなります。

●仮面ライダーギーツ(第26話:慟哭Ⅱ:真紅のブースト!)

 ちょっと不満がないでもないです。もう後半に入っているはずですが、今話ではまたもや隠された真実/事実が出てまいりまして、直接的にはギーツの強化形態:ブーストフォームマークIIですね。

 それには過去のDGP優勝者4人が絡むものらしく、ニラムが示した「DONE(済)」のスタンプの押されたカードによると、
「生まれ変わった俺がいつか世界を守る覚悟を決めた時、それを実現する力」(A、Ace Garfield、八雲栄守、エース・リー)
なる同じ願いらしい。これで「創世の女神」に何らかの発動がかかるらしいことも示されてましたな(場所は宇宙らしい)。

 もちろん、いろいろ明かされるたびに「なるほど」とか「そういうことか」みたいな感覚が生じるのは悪くないし、ここまでの理解が進み、この先も予想・期待しやすくなるメリットはあります。が、同時に「何が争点なの?」という、見入るために必要なポイントはぼやけてしまいます。常に「まだ何かある、真相が見えてこない」感じがしてしまいますんで。

 もっとも序盤から「ギーツは狐である(から化かす)」コンセプトは強調されてたわけだし、実際に最も近い仲間ポジションの景和も欺いたりはしてますんで、そういう作風であり狙いであると受け取っておくしかありません。しかし、自分的な好みから申せば、テンション上がってきたと思ったら保留になるみたいな繰り返しになってまして、もっと継続して燃える展開来ないかなあと、ときどき思ってしまう次第(^^;。

 それでも今話はメインゲストキャラクターのショウタがサブストーリーで踏ん張ってくれまして、そこは感動できました。ショウタの願いであり信じるものは「すずなり鬼祭り」で鬼から鈴を奪い取れば、入院している母親が元気に帰ってくるはず、というもの。

 しかし「すずなり鬼祭り」は「かみなりジャマト祭り」(JGP)の影響で中止になりそうになる。そこを英寿らが支えるわけですな。景和、祢音も今話冒頭の戦いで負傷して戦闘不能だけれど、祭りなら手伝える。それでもショウタは不安なわけですが、英寿が励ますと。

 そうする英寿の意図・意志はサポータ:ジーンとのちょっとした行き違いから窺える気がします。あくまでもイベントとして楽しみ、そのためなら(遊びの一貫として)手を貸すと言うジーンに、英寿はこの世界が自分の現実だと言い切る。

 前に英寿がこの世界で高校生の頃、見いだされたエピソードがありましたから、やっぱり英寿は自分が生まれ育った世界だから守りたいのかなという気がします。が、今話の英寿/ギーツの動きを見て、ラストでニラムがたどり着いた結論は「君(英寿)は世界の理を変えた。存在するはずのない男だ」というもの。

 となりますと、いったんバッファ/道長&ナイト/透に変身解除に追い込まれた英寿が口にした「覚悟」が気になります。英寿が「存在するはずのない男」なら、この世界の住人ではなさそう。4人の先人の願いには「生まれ変わった俺」とあります。

 いろいろ妄想はできますが、やっぱり「うーん、実際のところ、何だろ?」になってしまいます。そこが上述の愚痴の一端だったりします(^^;。英寿(エース)という名前は記号であって、あるたった1人が転生を繰り返してでもいるんだろうか。

 しかしその辺り、次回「慟哭Ⅲ:たのしい戦国ゲーム♡」で多少は明かしてくれそうではありますね。ジーンの「君の正体が分かったよ」という台詞が聞こえました。それが当たっているかどうかはさておき、上述しました争点/勝利条件が(当面でもいいので)見えてくれないかなと思っています。

 ジャマト側、というより道長と友人のドラマは進展せずにポッキリ折れちゃった感じです。姿かたちが亡き友人そっくりで、その記憶や行動も故人に限りなく近づいて行っても、ジャマトが化けているに過ぎない、と道長は思うわけですか。

 もしまだそこに何らかのドラマを期待するとしたら、例えば道長に「ジャマトが亡き友人に似て来るのが怖かった」みたいな気持ちがあったとかかなあ。怖さの要は、自分(道長)がそちら(ジャマト)に引き込まれる気持ちですね。道長自身、身体的にはジャマトになりかかっているわけでもあるし。

●仮面ライダー555(第5話:オリジナル、第6話:3人×3人)

 今週分では主要キャラクターの掘り下げが感じられて興味深いものがありました。もっとも予習あってのことで、初放映リアルタイム視聴だと内容を追っかけて行くのが精いっぱいで、後で「あの時のあれはそういうことか」と気が付いたんだろうと思います。

 キャラクターだけでなく、555というライダーシステムがどういうものかと打ち出してくる内容も興味津々なものがありました。前作龍騎ですと、一応は「カードとデッキがなければならない」とはなってまして、北岡が(劇場版で)デッキを事務所に置いていくのが、ライダーたることを放棄した暗示となってたり。しかし「不可解な世界からもたらされた不思議なもの」というわけで、「ぱっとどこかから現れる」印象が強かった。

 この555ですと、ファイズギア(ファイズフォンとファイズドライバー)は技術的産物の機械であることが強く匂わされ、先週分では敵が奪って使いこなしたりする。鉄人28号みたいに「あるときは正義の味方、あるときは悪魔の手先♪」であるようです。今週分では、預かると言っておきながら持ち運んでなかった巧が啓太郎に届けてもらったり、変身しようとして攻撃され、ファイズフォンを取り落として一時的ながら危機に陥ったり。555というライダー(システム)も争奪の対象であり、勝利条件の1つであると示してもらった気がします。

 そういう前提で主要登場人物像が掘り下げられるわけですが、今週で最も地味なようでいて深いのが(第1)主人公:乾巧でしょうか。以前からのなじみだったらしい喫茶店に現れ、不愛想に金を渡す。なんだろうと思ったら、以前に店の金を盗んだことにされていたわけですか。

 ただしマスターは巧を疑っておらず、他の者の仕業を巧が黙って被ってやったと見抜いている。そう言われて、なぜか巧は意固地になってしまうわけですね。どうやら恐れる気持ちがあるらしい。その一端は、巧が真理に打ち明けてまして、他人あるいは人間というよりは、自分自身が信じられないからと言う。

 これは「巧が(自覚してないが)オルフェノクである」という予習があると、ギクリとする告白です。そこを踏まえてみますと、今週分の巧の行動のブレは興味深くもあれば、ちょっと不気味でもあります。

 マスターには(真犯人でもないのに)律義に金を返す。しかし、真理を養父(スマートブレイン社社長:花形、しかしこのときは既に引退・失踪?)に面会させるため、入門・通行用IDカードを盗もうとして躊躇いがない。むしろ嬉々としてやってる感じかな。しかも、ターゲットが木場勇治。

 ただしオルフェノクとは全く気づいておらず、弱そうだから狙ったわけですか。強盗も辞さないつもりでしょう。盗んでもない金を返す巧と嬉々としてIDカードを狙う巧は、同じキャラクターでありながら齟齬している感じ。これももしかして「人間とオルフェノクで揺れる」という暗示演出なのかしらん。

 しかし、IDカードの盗みは巧の利ではなく、真理を養父/社長に会わせたいがため。もしかすると、そこが喫茶店の盗難の件と被ってるのかもしれない。店の金を盗んだのが誰かはともかく、金が必要な友人・仲間のために、巧は手を貸したか、見逃してやったかして、自分(巧)が罪を被ってやったのかも。IDカード狙いの車盗難未遂でも、真理が巧に全面的になすりつけ、巧はロクに抗弁も弁解もしませんでした。

 一方、二枚舌ながら態度が一貫している真理、ズレているけど善人の啓太郎はブレないわけですね。この2人の共通点は「555に変身できなかった」こと(もっとも予習してみると真理は既に一度死亡しているらしい)。巧はなぜか真理に反発しつつも見捨てられず、啓太郎に対しては侮るようでいて、真っ直ぐさには憧れているらしい。ここも「どういうことだろう?」と興味を掻き立てられるポイントです。

 一方、オルフェノク側。重要ゲストとして登場の戸田英一/スクィッドオルフェノクはたった1話の暗躍でしたが、大事な役割を果たしてくれました。1つは勇治らへのオルフェノク解説で、観ているこちらにもいい説明になってます。敗れたオルフェノクがどうなるか、身を以て示しもしてくれましたな。しかし、もっと大事なのは次から大きく動くらしい海堂直也をスネークオルフェノクとし、勇治らの側に引き込んだことですね。

 海堂直也が、勇治&結花にオルフェノクとして接触~参加したことで、勇治と結花それぞれが動き出して、人物像が見え始めたのも面白いところです。海堂直也が(少なくとも表面上は)あっけらかんとオルフェノクであることを受け入れ、喜びさえしたことで、接した勇治と結花の態度から見える心情が窺えそうな気がしました。

 結花はもう人間ではないことを強く意識してますね。これはどうやら罪の意識から来ているように思えます。学校でのバスケ部員殺害ですね。警察が結果だけ掴んでまして、体育館で何かあったらしいけど、被害者の死亡場所・時刻はさまざま。観ているこちらには何が起こったかは分かり、もちろん結花も自覚はあるでしょう。

 怒って暴走して人を殺してしまった。その罪の意識から逃れるため「もう自分は人間ではない、同族を殺害したわけじゃない」と、結花は思いたいんじゃないかと思います。その部分は前話の勇治の態度から察するに、勇治も認めて受け入れてくれているようです。

 しかし勇治自身は、結花と同じく近しい人を殺害(オルフェノクにし損ね)しながらも、人間であろうとしてますね。オルフェノクとなった海堂直也と合流する前から予兆はありまして、戸田英一/スクィッドオルフェノクに連れられての喫茶店襲撃では、人間を(一か八かの)オルフェノク化することに耐えられず、結花を連れて店外へ逃れ出てます。勇治のほうは、以前に(迷いもせず)殺害してしまったからこそ、それが耐えがたいことだと実感しているような感じです。

 勇治も結花も光と闇の間でブレている感じですね。しかも、どうも光≒善・正義ではなく、闇≒悪でもないような印象があります。いずれも、一生懸命生きようとして、結果的にそう見える行動になってるだけという感じがある。あるいは、ゲーム「真・女神転生」のLaw-Chaos&Light-Darkみたいに、善悪というより属性みたいな感じといってもいいかも。

 そこは、今は水面下ではですが、巧も同じくあっちこっちとブレ続けているようにも見えます。その巧側と勇治側を細くつないでいるのが、啓太郎と結花ですね。ただし依然として面識はないメル友。今週分では「メール送受信してる携帯を拾い、追いかけて届ける」イベントがありながら、互いに気付かずにすれ違う流れでしたな。

 勇治と巧&真理も互いの正体を知らずに遭遇したわけですね。車上荒らしがバレたという、ある意味、最悪な出会いですが。上述した、勇治の「人間であろう」とする気持ちは、そこでも現れていた気がします。真理が騙しておきながら、感動するほどの優しさ・寛大さを勇治が示したわけですから。啓太郎レベルのお人好しといえそうですが、勇治は既に裏切った婚約者を始末しているわけで。

 その罪の意識の重圧があるからこそ、他人が感動するほどの優しさを見せなければ、という気持ちがあっての、勇治のあの寛大さなのかなという気がします。しかし、これが無理をしてのことなら反動もありそう。特にオルフェノク絡みですね。スネークオルフェノク/海堂直也を襲う555に対し、やめろと叫んで襲い掛かるラストでした。やはり(新たな)同族に惹かれる気持ちが生じてしまうのかな、というのは不安ポイントになりそうです。

 ラストで勇治の引き金にもなった、新登場の海堂直也は未知数な感じで、次で人物像が描かれるみたいですね。今週分では不遇ながらも軽い感じ。巻き込まれてオルフェノク化するものの、当初は自覚なし。オルフェノクだと教えられても、大してショックも受けず。自覚がないから感覚の鋭敏化に気付かず、面接に行った先でかぎ取った血の匂いについて話してしまう。ところが、面接官が妻を保険金狙いで殺害していたから大変。

 面接官に狙われてしまうけど、オルフェノクの本性なのか、返り討ちで殺害してしまうわけですね。しかも、はしゃいでやってしまった感じです。ウィキペディアで予習した限りでは。この海堂直也もふらふら揺れるようですが、どうも字面では理解しきれません。来週分に期待することにします。

Re: 3月のスレッド(2023) - K.K

2023/03/15 (Wed) 17:46:57

 定期感想書その3です。

●牙狼:翔編(第11話:罠)

 今話で流牙らが囚われたガルドに辿り着くと勘違いしてまして、観終わってみると妹のハルナまででしたか。もっとも、ガルドは慢心ゆえにジンガらに囚われても、慢心を意地に変えて屈しない様子ながら、妹のハルナだけが気持ちの弱点になっているらしい。ジンガも察して、そこを突いて「ホラーを差し向けた」旨言うなど、ガルドの動揺を誘ってますね。

 そのハルナを(ガルドはまだ知りませんが)流牙らが図らずも救出する格好でして、ガルドの弱点であるだけに琴線でもあるわけで、合流するための鍵となると期待できますな。当初は流牙らは法剣を求めてハルナに会いに行くわけですね。そこへ、同じく法剣を奪いたいジンガが遣わしたホラー:ヘデラが襲って来る。

 このヘデラ、人間態のときは非常に変わったホラーですね。山中の洞穴からスーツに革靴というビジネススタイルで現れる。ジンガと取引しているらしく、アミリの伝令:青い蝶と商談風に会話する。流牙に一礼しての名乗りは名刺で、攻撃アイテムでもあるのか。全体的にテンプレートな営業のイメージでしょうか。もっとも、ジンガとの取引は法剣と人間100人という、いかにもなホラーの内容。

 今回も流牙は生身バトルでは苦戦しまして、鎧装着してから若干手こずるものの、きっちり撃破。やはり力の差はあるという感じではあるものの、烈火炎装も駆使してのこと。序盤から烈火炎装を使うケースは多かったはずで、ジンガの指令で動くホラーは半端ではない感じもあります。

 これでハルナは番犬所で保護されることになるはずですね。つまり安全ですが、そこがガルドに伝わるのは次回か。今話のもう1つのドラマ要素は、ハルナがどうして精霊の森に隠れ住み、ガルドは騎士嫌いなのか、過去回想で語られる点ですね。

 以前に2人の住む村を襲って滅ぼした魔戒騎士がいて、まだ幼かったガルドとハルナは法師モユルが命に代えての爆発攻撃で守ってくれた。かろうじて火群の里に辿り着き、ガルドは騎士になるか法師かの2択を、法師ヒカゲから迫られる。そこで村を滅ぼした騎士への、ガルドの憎悪が描かれまして、ここまでのガルドの行動・言動の理由が分かる。

 一度視聴しており、予習・復習も踏まえますと、今話のガルドはなかなか含みがあるように思えます。村を襲撃した騎士は映像で顔がうまく隠されてますが、いずれジンガだと分かるはずですね。かつ、村を滅ぼした理由は、ジンガ&アミリの一人息子ユウトを村人が殺害したから。

 そのどんでん返し(?)があるはずですが、どういう印象を生じたか、どうもよく覚えておりません(^^;。古い録画で復習しようと思えばできるんですけど、せっかくですからいい画質のリアルタイム視聴で確認できるのを待つことにしようと思います。

 とりあえず、今話ラストは外で何が起こっているか知らない囚われのガルドの背後から、ホラーらしき男が近づいて、というところで続く。これもガルドがどうしたか覚えてないorz。

●BASTARD(第10話:雷神)

 ネイ編開始ですね。原作連載を追っていた当時ですと、第1話(読み切り単発)から相当に画力が上がって、各コマを見ているだけで感心していた覚えがあります。しかしドラマ的には先が読みやすくなって、実際に読んでいくと想像通りの展開なのでワクワクしにくくなっていたような気もします。

 前に絵で描かずに言葉で語りがち云々の愚痴を申した覚えがありますが、今話ではそれに類する不満がありました。原作連載時からあるもので、BASTARDの作風と言ってしまえばそれまでですが、戦術・技を説明してから、実際に行使するというもの。

 何となく感じていたものであり、後で創作のコツとして聞いたんですが、「インパクトを出すには、行動を先に、言葉を後に」だそうで。「ドアを指さして「出て行け」と言う」ほうが、「「出て行け」と言って、ドアを指さす」より迫力が出やすいんだとか。

 今話ですと、忍者軍団も加わっての解説役となって、「ネイの雷神剣は山をも」云々と言い、続いてネイが剣を振るうと石の橋が崩壊する。もっとも、ここはちょっとミスディレクション要素でもありまして、本番(?)は雷神剣の刀身が折れてからですね。

 そのネイに対して、まずは前哨戦ということでガラが出張るんですが、本気の一撃の「真・魔人/神剣」も(忍者軍団が)解説してから。一応、防ぎきられる伏線とは思えるんですが、せっかく「パワーある正統剣術 vs トリッキーな忍者戦法」なわけですから、せめてガラのほうは何か起こしてからの説明にして欲しかったかな。

 もっとも、連載当時を考えますとスーパーファミコンでRPGとかやってた時期でして、何かする前から何が起こるか分かることに慣れてはいたと思います。そこを考慮するとBASTARDの作風もまずいわけではないし、自分的には無知であるけどBASTARDに強い影響あるD&Dについてはどうなんだろうと思ったりもします。

 しかし、気になるのはこれから起こるネイの呪いを巡る葛藤ですね。原作については、先に少し申した気がしますが、DSが心臓を与えるのも、すんなり(?)復活するのも、なんだか当たり前のような気がしていました。言い換えれば、盛り上がりについては少し期待外れ。

 無敵の俺様主人公ですから、そうなるもんだということは分かりまして、それも作風として受け入れるべきなんでしょう。が、DS以外で考えますと、ネイの選択肢もいろいろあったんじゃないかなという気はします。例えば、

・呪いを甘受しようとする(ヒキガエル化)
・呪い発動前に自ら死のうとする
・わざとDSに止めを刺させる隙がある攻撃を仕掛ける

みたいな選択肢もあるはずで、ネイが悩んだり、DSがそこを察して動いたりするって、他のフィクションならありそう。それでもDSが自ら心臓を引き抜く選択をするんでしょうけど、復活できるか否かが争点・勝利条件化にはならなかったはず(放置してたら、アンスラサクスの影響増大で復活したんだっけ?)。

 記憶頼りですが、その辺りのドラマはなく、連載当時はストーリーにはあまり関心を抱いてなかった気がします。絵のち密さで読み進めてたような。

 と文句ばかり言っていますが、視聴し続けて感想も書くわけでして。「あの絵がこう動かされた」みたいなところばかりではなく、何かが自分を惹きつけているのは確かなようです。

 うる星で少し申しましたが、80年代版アニメ再放送では飽きた感じがし、しかし22年版は興味を持って観ています。その理由は多少分かりかけて来てまして、第1期が終わるときに感想で少し書いてみようと思っています。

 BASTARDも何かありそうです。しかし今のところ見当はついておらず、もう少し観続けないと具体的に何かは分かりそうにありません。そのためにも感想も残しておきたいと思っています。

Re: 3月のスレッド(2023) - Shiny NOVA

2023/03/16 (Thu) 00:16:59

 ライダー感想です。

★ギーツ

 今回は英寿が、過去のDGPから転生した経緯を持つことが判明した重要回かな、と思っています。

 DGPの運営やオーディエンス、スポンサーが未来からこの時代を見せ物として扱っていることが判明した結果、
 昔からの継続性というものは欠落していることが明かされています。

 例えば、仮にDGPが西暦0年から始まった場合、現在まで2023年間の継続期間を持っていることになりますが、
 そうではなく、未来から特定の時代にピンポイントで競技開催しているのであれば、例えば、「令和の5年間だけ開催」、それ以前は「1925〜1929年まで開催」それ以前は「戦国時代の5年だけ開催」とか、歴史の影で飛び飛びで、面白そうな時代と場所限定で暗躍していたのだと考えられます。

 当初、想像していた、英寿が西暦元年生まれだったら、それに絡んだDGPも2000年以上の歴史があるのか? という疑問に「いや、そうではない。オーディエンスの人気の高い時代限定で、何年かのみ歴史の裏面に介入している。全体としては、50年にも満たないのではないか?」などと考えたりします。
 それこそ、「今回のDGPは日本の令和編だ」とか、それが視聴率が低下した際に、「次のDGPは三国志の時代で行います」とか「大航海時代のスペインって良くない?」とか、時代と場所を変更しながら、期間限定で続けられてきた、と推測します。

 一方で、初代英寿はやはり西暦元年の時点でDGPに参加したと見なすと、「DGPが開催されるたびに後を追うように、あるいは先回りするように英寿の転生体がタイミングよく生まれ、記憶を回復しながらデザ神であり続けたものの、その事実に運営も気づいていなかった」
 あれ? またエースって名前かよ。もしかして、運営側のやらせかな? まあ、DGPのレギュラーとして、いつの時代もエースってキャラが用意されているのか? 面白ければ、それでいいけど……とジーンが思っているとか?

 過去のエースたちも同じ姿形なら、おかしいと思うかもしれませんが、ちょっとエースの過去世の姿とか、今後、もう少し詳しい話が掘り下げられることを気にしつつ、
 DGPは未来から歴史の各時代を転々として、開催されてきた。
 一方の英寿は過去から歴史の各時代を転生しながら、DGPの追っかけプレイヤーを(運営にはっきり気取られないように)続けてきた。

 それが運営にバレたことで、果たしてどんな展開になるのか、面白いと思ってます。

 以前にギロリが「英寿はこの時代の人間ではない」と訴えつつ、だけど最近の放送では「だけどこの時代でもしっかり生きてきた(高校生時代があった)」という矛盾を、まあ、転生を繰り返しているなら、上手くつながったような感じです。
 もちろん、今の英寿が過去の記憶をどこまで保持しているのか、また転生という特殊能力はDGPの優勝特典で得たのか、母親のミツメの創造の力に関わる本人の特殊能力なのか、いろいろ関連する謎が提示されて、面白いタイミングです。

 3月がちょうど折り返し地点のどんでん返しが示され、そろそろ年末劇場版の設定との絡み合いも種明かしされそうですし、
 一通りの謎がおおよそ開示されるのは、例年ゴールデンウィーク辺りだと考えていますので、今は、隠された謎が次々と開示されて、世界観の全貌がようやく見え始めたタイミングかな、と。

 例えば、ビルドで言えば、敵だったローグ幻徳が改心し、万丈が覚醒し、全てはエボルトの仕業という背景が語られ始めるタイミングですし、
 去年のリバイスでも、ようやく花が味方になりそうなドラマ展開が行われた時期(代わりに大二が不安定になり始めるけど)、他にヒロミさんがいつ復活するのかなあ、と気になってたタイミングじゃないか。

 あと、これから重要な秘密が語られそうなのは、景和かもしれません。
 実は彼、年末劇場版ではカゲロウに「こいつは俺より恐ろしい闇を抱えている」とビビられているシーンがありまして、TV本編ではちっとも触れられて来なかったのですが、そろそろその伏線が発動してもおかしくない頃合いかな、と。

 とりあえず、平成および令和ライダーのこの時期のローテーションだと、番組後半の新展開を迎えて、新たな秘密や人間関係の大転換が行われて、起承転結の転に入った時期だと考えます。
 これからゴールデンウィーク頃まで、次々と新情報が明かされて、展開が加速し、ゴールデンウィーク明けでようやく収束点が見え始めるのだろう、と考えますね。
(でも、まあ、その辺で夏の劇場版とTV終盤の関連付けがどうなるのか、と情報がチラホラ出るタイミング)。

 よって、争点云々について言うなら、この時期に改めて覆った土台から再構築されていく時期か、と考えますね。

★ファイズ

 オルフェノク側が、馬と鶴と蛇の3人が出揃い、ひとまず役者が揃ったと言えるタイミングです。

 もちろん、これから当面の敵ボスと思しき村上社長や、幹部のラッキークローバー、そして王蛇に続く問題児ライダーのカイザが順次出てきて、ドラマも錯綜混迷していく流れですが。

 で、今回、登場した海堂さんですが、彼、何だかんだ言って、人は殺していないんですね。
 殺されかけたから殴ってはいるものの、まだ殺害には及んでない。

 そして、オルフェノクの3人の中で、一番ハッピーな結末を迎えます(TV本編では)。一番悪そうな態度をとっていたのに。
 まあ、夏映画では死んでしまったし、気まぐれにふらふらしてはいるのですが、役者の雰囲気が飄々としていて、実は芸術家肌だったりもします。

 で、彼の役者さんはK.Kさんもご存知のはずで、セイバーの賢人くん(エスパーダ)の父親、隼人で、初代カリバーをやっていた人です。
 また、特撮界では、シンケンジャーの主役のライバルをやったり、ウルトラ大怪獣バトルでもライバル宇宙人をやったり、何気なくライダー、戦隊、ウルトラの出演3冠を果たしている有名俳優だったりします(唐橋充で検索してみることをお勧め)。

 ファイズ放送中では、ここまで化けるとは思いも寄りませんでしたが。
 変身するのがスネイクだったので、王蛇・浅倉の後継者キャラかな? なんて思ってたら、そこまで凶暴ではない。
 真面目に夢を追っていたのが、挫折してチャランポランになりつつ、いろいろ燻りながらも時々熱さを見せることもある……という複雑な役どころ。

 あと、この番組では、オルフェノクが白で、ファイズが黒という、善悪のイメージカラーを逆にしていたり、
 ファイズ側の登場人物がアクが強くて、オルフェノク側の人物が真面目に良い人らしく振る舞う。でも、海堂はそういう真面目さにも染まらずにフラフラしていて、一番中間的な存在になっていく。

 木場や長田結花の評価は、自分の中では固まっていますが、海堂だけはリアルタイム視聴時にキャラをつかめなかった記憶があります(自分の中のキャラ類別に収まりにくいキャラ像)。
 改めて、海堂に注目すると、当時は分からなかったキャラがつかめるかもしれないな、と思いつつ。
 木場も結花も、現在進行形で悲劇を味わっている中で、深刻に考えがちなキャラなんだけど、海堂は過去に挫折した経験から、生き方を見出せなくなっていて、実はその点で乾巧と似ている要素もあったり。

 それと乾巧は、自分がオルフェノクであることを自覚しています。ただし、悪夢みたいな経験として封印しているので、関わりたくないと思っていたのに、運命のイタズラで向かい合うことになってしまったので、仕方ないかな、と戦う理由を見出す過程にある、と。
 そして、ファイズとして戦っている間は、自分の中のオルフェノクの闇を振り払うような心境で殴っていたのが、まあ、いろいろと戦う動機に悩む局面が増えてきて、ワイルドに振る舞っているのに妙にデリケートな人物像ですね。

 とりあえず、感想補足と、次回、自分の記憶に強く残ってる7話と8話をしっかり味わい直そうと思いつつ。
 

Re: 3月のスレッド(2023) - Shiny NOVA

2023/03/18 (Sat) 20:44:09

 今週分のファイズを楽しみに待ちつつ、思い込みミスの修正をば。

>海堂さんの殺人行為

 工場長さんは前回で殺されていたようですね。
 ただ、普通に殴り殺されたので、心臓を貫かれてのオルフェノク化には至ってない模様。
 木場さんや長田さんと違って、オリジナルじゃないので、使徒再生の能力が本能的に使えるわけではないのかな、

 ともあれ、工場長は前回のみのキャラなので、単に正当防衛で殺されただけで、その死についてもさほど掘り下げられない模様。
 いや、また記憶違いの可能性もありますので、今夜の放送を見てから見解を述べた方がいいのかもしれませんが、間違いに気付いたときは早急に訂正したい気持ちに駆られまして。

 で、今回は今週のストーリーアニメ感想を。

★ジョジョSO

 待ってましたの承太郎登場と、おまけのように付いてきたエルメェス。

 一応、キッスの吸引結合能力で、重力の障害を突破して、素早く合流できたようなことを申していましたが、バトルではあまり美味しい見せ場がないエルメェスです。
 アナスイのダイバーダウンは、いろいろと活用されていましたが、決め手の攻撃力に欠けるというか。どちらかと言えば、搦め手で使うスタンドなので、破壊力はない模様。

 で、破壊力と言えば、スタープラチナなんですが、静止した時間の世界にDIOの加護なのか入門してきた神父がギリギリのところで攻撃を回避。

 順番は前後しましたが、徐倫が生きていたのは「ストーンフリーの糸で自分の体をメビウスの輪のように裏も表もない状態に保持したから」という理屈というか、口相撲的な屁理屈で、かろうじて死は免れた、と。
 ただ、そういう不安定な状態のために、自由に身動きすることはできず。

 ともあれ、今回は神父の視点で物語が進みましたので、徐倫の幽霊のような奇襲攻撃にビビる神父とか、メビウスの輪の仕掛けに気づいて得心して急に勝ち誇る神父とか、承太郎出現で追い詰められて焦る神父とか、だけど最後に自分の能力の進化をジョースターの血統が後押ししてくれたことに調子づく神父とか、
 神父の心のアップダウンぶりが堪能できました。

 ジョジョのラスボス戦って、最後は敵キャラ視点で進むことが多く、今回も神父の心理状態がメインで面白いな、と思ってます。

 で、次回は神父の最終覚醒か。メインキャラの次々討ち死にする展開に、涙の準備をしておきます。

★REVENGER

 今回のメインキャラは惣二になりますか。

 前回、シスターに脅された件で、幽烟さんの心づもり(どうして雷蔵に肩入れするのか)を確認することに。

 そこで、雷蔵さんには知らされていない衝撃の事実(許嫁の唯が、父親の死の下手人が雷蔵だと聞かされて、怨噛み小判を託していたこと)が打ち明けられます。
 利便事屋としては、雷蔵にどのような背景事情があろうと、仕事は仕事として雷蔵を殺さなければいけません。
 しかし、雷蔵が騙されて、悪事に加担させられていたことや、すでに深い心の傷を負っていて自罰的な所作でいたことなどなど、情が移ったために幽烟さんの中でも迷いが生じていることが示されます。

 まあ、唯が雷蔵殺しを依頼したのも、誤解によるものですし、その誤解の原因を作ったのも幽烟さん自身が悪意なく漏らした一言ですから、ものすごく皮肉な展開だったりするのですが。

 もしかすると、第一話で、幽烟さんが雷蔵に接触したのも、殺しの的として相手を見極めるため、だったのかもしれません。

 この回で、雷蔵の周辺の人間関係の印象がいろいろと変わった目で見えるようになって、もう一度、幽烟の雷蔵に対する振る舞い方を復習したくなりましたが、要は「雷蔵が死ぬべき人間なのか否か」ってことですね。
 一方、雷蔵自身が死を望んでいるのだけれど、その前に阿片事件の顛末のけりは付けておきたい。

 そして、利便事屋としてのドライな仕事と割り切って、自ら雷蔵殺しを行おうとした惣二ですが、敵襲から自分を庇った雷蔵に絆されて、迷ってしまう。
 この雷蔵が、「惣二が自分を殺そうとしていたこと」に気付いていて、それでも彼を庇ってやる漢気を見せていたことが分かり、視聴者としては雷蔵いい奴、そして可哀想な奴って感情を誘発されました。

 で、黒幕に見える礼拝堂ですが、

・シスター:アンゲリアの密偵みたいな立場で、清国で取り締られた阿片が、日本で流行すれば、それはそれで本国の利益になると考えている。
・ジェラルド:島原の恨みで、日本が阿片で地獄のような状態になることを望んでいるが、それを回避することも神の思し召しと考えて、基本は放任主義で様子見状態。

 積極的に、阿片で社会を混乱させようとしているのは宍戸さんで、シスターもそれが本国のためなら、と手を貸す形。
 ジェラルドは、そういう事情を知りながら、幽烟の動きを制止しようとしつつ、ニヤニヤしながら放任様子見状態かな。

 それぞれの思惑が別々なので、どこまで始末すべきなのかが分かりにくいものの、
 とりあえずは次回、利便事屋同士の対決劇。

 今回ラストの出陣シーンが見ていて、内心盛り上がりました。
 本家必殺の出陣や殺しのBGMとは曲調が異なりますが、バラード調の覚悟完了的なメロディーは、仕業人が近いかな、とか。
 アップテンポの仕置人や仕事人とは異なる、皮肉な運命とギスギスした仲間関係ながらも、悲壮な頼み人の想いと、自分の運試し的な覚悟を乗せた感じのドライな音曲。

 これも涙の準備をしておきます。

★バスタード

 この作品は、涙の必要がないですね。
 主人公が殺しても死なないって分かりきっていますから。

 とりあえず、今回はガラVSネイの大一番で、丁々発止のバトルの末にガラが負けた形。

 それにしても、ガラ配下のモブ忍者の解説が、作劇としては鬱陶しいですな。
 いや、解説役とか驚き役による戦いの実況は、少年コミックの定番演出なんですが、バスタードではそれが全くこなれていません。

 と言うのも、モブだけあって彼らの見る目が全くなっちゃいませんから。
 元々は、プロレスやスポーツ試合などの「実況役と解説役のやり取り」がモデルなんでしょうが、
 驚き役のキャラと、より本質を見ることのできる達人キャラのやり取りが噛み合ってこそ、解説芸が成り立つもの。

 例えば、このシーンで、ヨーコの父親の大神官辺りがメイン解説役を担当すればいいのですが、
 見る目のないモブキャラがザワザワしているだけだと、バトル展開がただのサプライズなだけで、読者は誰の意見に乗ればいいのか、土台を見失うわけで。

 そこは、やはり「知っているのか雷電」とか、解説好きなヒュンケルさんみたいな、「このキャラの言っていることなら安心して拝聴できる」的なポジションを用意しないといけないなあ、と感じるわけですわ。

 モブの解説や驚きはギャグにしかならず、名ありキャラの格下コミカルが驚いて、格上博学キャラが信憑性の高い蘊蓄や観察眼を披露して……という様式美が欲しいところですな。

 バスタードの時期は、まだそういう解説劇が確立されていなかったのか、それとも、これまではずっとDSが解説役も兼任していたので、作品的にそういう作劇が確立していなかったのか。
 やはり、「フッ、やはりな」とか知ったか余裕の笑みを浮かべるキャラが、本作にはまだ登場していない問題もありますね。

 なお、これ(モブキャラによる実況解説)を小説で再現しようとした創作志望者がいましたが、本当にダメですね。
 小説は地の文が使えるので、説明セリフで状況を解説する必要が全くない上、キャラの視点がブレブレになって、物語への感情移入が絶たれるというもの。
 まあ、彼がバスタードの影響を受けているのは公言していましたが、コミックと小説の描写の違いにあまりにも無頓着すぎて、そこの演出研究を怠っていたのだな、と今さらながら思いつつ。

 もちろん、ラノベはコミック寄りのセリフ重視な文体なのですが、状況解説を名もないモブキャラに担当させるのは、情報の信憑性の欠如も含めて、望ましくない手法なわけで。

 同じコミックでも、ジョジョは「視点キャラによるモノローグ」と、「ナレーションによる補足」と、「場にいる一般人の驚き交じりの感想」が上手く混ざっていて、飽きさせないですね。
 ジョナサン時代は、スピードワゴンが解説キャラとして優秀でしたし、
 ジョセフ時代は、お喋りのジョセフが自分で解説してくれる。
 スタンド編に入ると、スタンド使いしかスタンド戦は見えないので、モブキャラが解説に回ることはなくなります。

 バスタードの時期だと、ファンタジーというジャンルが新しい頃だったので、試行錯誤を重ねていたのでしょうね。
 TRPG的には、魔法使いが解説の定番なんですが、まあ、バスタードは魔法使いの立ち位置が革新的な作品だったし、いろいろ解説キャラについて考えた回だったということで。

 ガラにも、側近的な上忍キャラがいて、驚くザコ忍と、鋭い視点の解説役が設定されていれば良かったのかな、とか。

Re: 3月のスレッド(2023) - K.K

2023/03/19 (Sun) 14:49:36

 定期感想書その1です。

●REVENGER(第11話:The Die is Cast)

 NOVAさんのBASTARDに関するご感想について、REVENGER今話で感心したものと関係付けられそうなので少しこちらで。まずBASTARDのネイ vs ガラ戦での配下忍者の解説が浅く、鬱陶しくすら感じるのは自分も同じですね。ただ一応は、そうする理由もありそうな気がします。

 それは特にネイの奥の手(刀身が折れてからの雷神剣)の披露のためであり、仲間だったはずのガラですら驚く、という演出のためではないかと。もし戦いを正確に解説するのなら、ネイ側からDS側に寝返った鬼道三人衆(特にカイ・ハーン)も観戦(?)させるんじゃないかと思います(下忍がガラ優勢にぬか喜びするとカイがツッコミ入れるとか)。

 そうしなかったのは、ガラも知らないネイの奥深さを描きたかったからじゃないかと。その狙いだとして、成功しているかどうかは読者/視聴者次第ではありますね(で、仰る件の人物の事例では、狙いも何もない何となくの模倣で、失敗確定のやり方ですな)。その点、ジョジョはやはり上手いですね。計算されてます。他のキャラクターに伝わらない独白、聞いたキャラクターには伝わる台詞、読者/視聴者だけに伝わるナレーションと、「誰に何を聞いて欲しいか」ではっきり使い分けてます。

 計算された演出の妙といったところですが、REVENGER今話で第1話と絡めて「ああ、なるほど」となるところも計算尽くのようでして、大いに感心した次第です。繰馬雷蔵と許嫁の唯、そしてその2人に関わって来た碓水幽烟ですね。第1話で今話と関連する流れを復習しますと、

 1. 繰馬雷蔵が嘘を吹き込まれて(許嫁:唯の父)比良田を暗殺。
 2. 比良田、死に際に恨噛み小判を残す(この時点では雷蔵への復讐を示唆)
 3. 碓水幽烟が比良田の恨噛み小判とかんざしを回収
 4. 葬儀の準備をする唯がやつれていると近所が噂
 5. 利便事に向かう雷蔵に幽烟が「比良田の葬儀に立ち寄るな」と釘を刺す
 6. 雷蔵に嘘を吹き込んだ松峰丞之進を雷蔵が利便事屋として始末
 7. 雷蔵、全てを告白しようと比良田邸に戻るも、唯は既に自害
 8. 雷蔵、唯の亡骸を抱きしめ、告白できなかったと嘆く

 2での暗示された恨噛み小判のターゲットは、すぐ後で阿片密売の頭目:松峰丞之進だと判明します。しかし、それより前に幽烟が雷蔵に接触するわけですんで、不自然さは感じず、しかしターゲットがすぐ入れ替わって、観ているこちらは忘れてしまう(ドラマのテンポ速いですしね)。

 そこは第1話内に納まるドラマですが、問題は雷蔵と唯のほうです。4で唯がやつれているとの近所の情報は今話での、唯の恨噛み小判に関わる内容だったというわけですね。かつ、噂だけの描写にしてある理由は、今話でアップで描かれた、比良田暗殺犯が雷蔵と聞かされた唯の表情を第1話では見せないため。

 5では何となく、しかし利便事に向かうからには寄り道している場合ではないし、雷蔵も仇討ちするまでは生存を隠しておきたいですから、幽烟の「比良田邸に立ち寄るな」のアドバイスは自然でした。しかし今話で明かされた裏事情があったと分かると、観ていて「あ、そうだったか」となります。しかも、3のかんざしで「幽烟→唯→雷蔵」とつながってきたのにはビックリです。

 幽烟は、自分がうっかり口を滑らせたために(犯人の名は繰馬雷蔵)、唯に間違った恨みを持たせ、小判を噛ませ、しかも死なれてしまったと知っていて、今まで黙って雷蔵と接してきたことになります。また、雷蔵は唯が恨噛み小判を残して死んでしまったことを知らない。武士でなければ絵師かと迷ってきた雷蔵ですけど、絵師になるためにはと描いて来た「絵の唯」は「本物の唯」と実はかけ離れていたとなります。

 そういうことが今話で噴き出すように出てきて強い印象を与えるよう、第1話は工夫を凝らしてあったようです。しかも、伏線だと分からないようにさりげなく演出してあったわけですな。やっぱり自分はクリエイターにはなれないなと改めて思います。見せてもらったものにどんな巧妙な計算があるかは考えてみることはできても、それを無から作り出せと言われたら途方にくれます(いわんや何の計算も無しではねえ)。

 そういう第1話に遡る計算のドラマがある一方、分かりやすいのは惣二ですな。前話でシスターからの揺さぶりは何とか耐えたようですが、今話では唯の恨噛み小判を知ると利便事は為さねばならぬと言い出す。しかし、観ていて「惣二にできるわけない」という気が強くしてしまいます。

 案の定、背後から花札で狙ってみるものの、雷蔵に狙撃から庇われると、吹っ切れちゃった感じ。内心ずっと「雷蔵を討たない理由が欲しい」と思っていた感じです。最後の利便事屋出撃での合流からも、そう察せられます。

 もっとも、自分は惣二が利便事屋(幽烟グループ)の弱点と前話では思っていた次第で、なんで今話では惣二が揺るがなくて当然と思えたのかは分かりません。どうやって制作に乗せられたのか不思議ですが、今の自分の力では分析できずにいます。

 ともかくも、まずは敵対する利便事屋(遍路の貞グループ)との対決に、揃い踏みで出撃の幽烟グループ。ただし、率いる幽烟が雷蔵と死んだ唯の間にある秘密・齟齬を抱え込んだままなのが不安点でしょうか。遍路の貞らを倒せたとしても、その先には宍戸斎門がいる。さらに礼拝堂のシスターがアンゲリア(イギリス)の密偵にして、ジェラルド嘉納への依頼人らしい。ジェラルド嘉納も下手すると宍戸斎門なみに壊れてまして、島原の乱の恨みだけで動いているらしい。

 大変に込み入った状況になってますが、録画機で確認すると次が最終回になってます。どう風呂敷畳むんだろう。最低限のカタ(阿片の処理)だけつけて2期に続くのかな。それとも、雷蔵・唯・幽烟の決着をオチとするんだろうか(残りは「かいまき与力」がもみ消しとかで処理する?)。

●うる星やつら(第22話:大ビン小ビン/愛がふれあうとき)

 前半はラムに対するあたるの根っこの心情を語るエピソード群の1つでした。今話含めて、この22年版で描かれたもので印象に残っているのは、

 1. 呪いのボクシンググローブから身を挺してラムを守るあたる
 2. ラムが母星に帰ったと勘違いして、ラムのマスコット人形を抱きしめて泣くあたる
 3. 小さくなったラムを元に戻そうと必死になるあたる

でしょうか。今話の3は最初は事態を軽く見ていたあたるが、夕刻までに何とかしないと永久にラムが小さいままと知って必死になって行く変化が見どころですね。その途中、あたるがラムを鳥籠に閉じ込めたせいで猫に襲われて、というシーンを入れてあるのが上手い段取り。

 そのシーンのオチは「小さくなっても猫を返り討ちにするラム」ですが、あたる(と観ているこちら)が「まずい!」と心配してしまう運びにしてから、ギリギリで大ビンに間に合うまでのテンションの上げ下げが感動につながります。そうしておいて、エピソードのオチは鳥籠で仕返しされるあたる。ラムが終始、事態の深刻さを知らず、あたるだけが心配していたというポイントが際立つ仕掛けですね。

 自分的にはですが、上記の2が今話(3)の後のほうが、あたるがラムに惹かれていく過程がよく見えるような気がします。今話でも元に戻ったラムを見るあたるの目に涙があるわけですが、気持ち的には(ラムが事情を知らないため)行き違い気味。2ですと、盗聴器(?)でしっかりラムにあたるの隠された気持ちが伝わってるわけで、こちらが今期ラストの「あたるとラム」描写はしっくりきそうな気がします。

 後半は「純情ギツネ」登場ですか。てっきり第2期に回されるエピソードかと思ってました。しかし原作の人気ゲストキャラクターは早目の登場がいいという判断なんでしょう。それと共に、次回の「決戦!! 友1クイーンコンテスト」に対する準備にもなってるかな。しのぶの膂力をちょっと見せたりしてまして(丸太を振り回す)、ED曲後のCパートで始る予選の握力計描写に自然につながります。

 しかし次の最終回に、「決戦!! 友1クイーンコンテスト」を持ってくるとは予想外でした。話の流れとかじゃなくて、自分が80年代版アニメで大変面白がったエピソードで締めというのがびっくりなんです。

 原作での原題が「ミス友引コンテスト」(予備選~結果発表まで数エピソード)、80年代アニメ版だと「ドキュメント ミス友引は誰だ!?」ですね(30分1話分)。「ミスコン」は割と最近では揉めやすいワードになってるみたいで、この22年版では「クイーンコンテスト」にしたのかなと思います。

 題名はさておき、80年代版では押井カラーが強く出ていました。なんとなれば、目立つのがメガネと竜之介の父でしたから。メガネはミス友引コンテストの裏工作で暗躍し、竜之介の父は話の流れをぶった切るような、若い頃のデタラメ回想を語る。自分は後者が特に印象が強く、竜之介の父が語ったデタラメ(ナレーションは錯乱坊)を一度で覚えてしまったほどです。

 この22年版では原作≒高橋留美子さん尊重のはずで、80年代版とどう変わるかが楽しみです。前にも80年代版アニメで印象深かった買い食いエピソードについて、22年版の作りにも納得しました。ですんで、この22年版のミスコンエピソードも期待できるはず。

●ジョジョ:ストーンオーシャン(第35話:C-MOON その②)

 正直申しますと、プッチ神父のC-MOONの裏返し攻撃を、どうやって徐倫がしのいだか、考えても分かりませんでした。ただし、それは観終わってからのことで、観ている最中はあまり気にせず、むしろ感心しながら夢中になってました。

 そこもなぜだろうと思ったんですが、どうやらちょっと強引な点を気にさせない工夫があるみたいです。1つには、ジョジョシリーズがずっと上手く使ってきたジョジョ立ちですね。ちょっと奇妙で、しかしなぜだかカッコいいポーズを取られると、そっちが気になって、たとえ台詞が多少強引でも気にならなくなってしまいます。

 しかし、それだけでは今回の強引(裏返しをメビウスの輪でしのいだ)は誤魔化し切れないでしょう。今話前半の最大の工夫は、おそらく徐倫の再登場の仕方にありそうな気がします。まずアナスイが偽のアナスイでプッチ神父に仕掛け、本物のアナスイがプッチ神父を射程に入れ、というのはジョジョ伝統の攻防。

 そこに突如、徐倫の手が伸びてくるわけですね。プッチ神父にも観ているこちらにも手しか見えず、徐倫本人は描写されない。これはなんだかホラー風味の演出です。一応ですが「徐倫が生きているはずがない」状況でもあります。となりますと、徐倫が怖がらせる側ですね。

 通常のジョジョバトルだと、敵がそういう立ち位置になっているところですが、今話では立場が逆になってます。プッチ神父が動揺しながらも、徐倫を倒すべく立ち向かう感じですね。徐倫がいると思しき場所にアルコールでボヤを起こし、炙り出そうとする。しかし「徐倫の手」は死角からプッチ神父を追って来る。

 なんとかC-MOONの裏返りパンチを決めた、と思ったら、徐倫の手に何かが起こり、裏返り攻撃が効かない。そして物陰にいる徐倫が効果音と共に視界に入って来る。今までの難敵の登場で、こういう感じのパターンがよくあった気がします。得体のしれない恐るべき敵という印象が徐倫に生じたんで、C-MOONの裏返り攻撃に対するメビウスの輪防御という強引な設定が、気にならなくなったようです。

 CM挟んで後半、ナレーションによるメビウスの輪説明+プッチ神父の独白で一応の説明が為されますと、徐倫は普通にヒーローの立ち位置に戻るのも上手いところ。もともとの状況「己より強大な敵に立ち向かうヒーロー」にさっさと戻してくれるわけですね。事情が飲み込めたプッチ神父は尊大で自信ある態度に戻り、この状況での決定打:拳銃を手に入れる。アナスイはエンポリオ救助に手を取られ、とっさには間に合わない。

 プッチ神父が狙いを定めて拳銃を連射で「もう駄目だ」となるんですが、突如として聞き覚えのある「ブウン」で画面が止まる。ここは一瞬で何が起きたか分かりまして、爆発的にテンション上がりました。もちろん承太郎到着ということですな。前に道路を「落っこちて」行ったエルメェスも無事で、キッスの能力で駆けつけたわけですか。

 こうなりますと瞬時に形勢逆転でして、なにせ時すら止める最強スタンドを持つ承太郎を始め、徐倫側スタンド使い4名ですから。が、プッチ神父には何か算段があるらしい。そこは戦い慣れた承太郎の判断が速く、先手を打ってエルメェスにおとりの銃撃をさせ、その隙を突いて時間を止めて銛を打ち込むと。

 普通ならこれで勝負あったとなるはずですが、時間が止まっているはずのプッチ神父の目が銛を見るわけですね。ここ、Dio vs 承太郎最終決戦の緒戦を思い出しました。ザ・ワールドで時を止めて勝ち誇るDioに対し、承太郎が反応してましたな。あれについて自分は最初勘違いしてしまいまして、自分もDioと一緒に承太郎に引っ掛けられてしまってました(^^;。

 最初は時の止まった世界で承太郎は動けず、しかし磁石などを使って、いかにも動けるように見える仕掛けを予め施していたと(花京院の遺してくれた情報のお蔭でしたな)。しかし、承太郎のトリックと思っていたら、次第に承太郎も時間停止を操れるようになって、今はプッチ神父を止められるようにすらなっているわけですね。

 しかし、Dioの遺志を受け継ぐプッチ神父が今度は承太郎の時間停止に抗するようになったわけか。今のところは銛をギリギリでかわす程度ですが、C-MOONを即座に進化させる方法にプッチ神父が気づいたところで続く。

 次からはプッチ神父のスタンド最終形態「メイド・イン・ヘブン」との対決ですか。それが2話分。原作完結済ですんで「この宇宙」での勝者は判明してますし、徐倫らが次々討ち死にの鬱展開も予習できてしまいます。しかし「次の宇宙」での最終勝者も分かるわけでして、最終回で希望を持てる締めにしてくれるのを期待しようと思います。

Re: 3月のスレッド(2023) - K.K

2023/03/21 (Tue) 11:08:41

 定期感想書その3です。

●仮面ライダーギーツ(第27話:慟哭Ⅲ:たのしい戦国ゲーム♡)

 坂本浩一監督回でして、仮面ライダーWEBを見てみますと次回もそうだとのこと。やはり好みのアクションが多くて、それだけでも楽しめますな。他の監督回でも使われる、アクション時にカメラを傾ける演出ですが、今話で少し気が付いたことがありました。

 背景は確かに斜めなんですが、前景で(上半身)大写しの人物(主に英寿)は(画面に対し)真っ直ぐ垂直になってることがあります。印象としては「場面は不安定なんだけど人物はしっかり立っている」ようになり、頼もしいキャラクターという感じが出ているようです。この手法は他の監督も使ってたかしらん。

 今話の趣向は戦国(時代)ゲームとのことで、東映太秦村ロケあるかなと思ったんですが、残念ながら今回はなし。冒頭で現れたジャマーエリアは昔風の街並みだと思ったんだけどなあ。もっとも、次回予告を見ますと時代劇風セットと思しきシーンがありますんで、戦国ゲーム後編の山場に東映太秦村を取ってあるのかな。

 ともかく本編。やはりDGPを中止に追い込んでのJDP開催だけあって、ジャマト側が押している感じですね。アルキメデルに代わって首魁となったベロバは前話でチラミのヴィジョンドライバーを奪い、今話ではセキュリティ解除してグレアII変身権限も得てしまう。

 それにしてもチラミさんがチョロい(^^;。ペロパにちょっとカマかけられると、対抗心なのか「指紋認証だからできませんよーだ」旨言ってしまう。パスワード漏らしたに等しいですね。不幸中の幸いでチラミは指自体を取られることはなく、指紋をコピーされるに留まりました。

(映画の題名忘れましたが、虹彩認証突破と思ったら、殺害されてえぐり出された目だったという怖いシーンを思い出しました。星新一のショートショートではセキュリティ気にして指紋認証にしたものの、手を怪我して指紋が変わって、ロック解除できなくなるなんて話も。偶然ですが、今週の555では手を車に踏まれてギタリスト生命断たれる話でしたな。)

 しかし、今話で突出した動きを見せ、なんだか怪しくもあるのがジーンでしょうか。英寿/ギースの単なるサポーターではなさそうです。サポーターそれぞれ思惑があるらしく、景和のサポーター:ケケラはジーンがどうしたいか分からないと言うものの、自分(ケケラ)については、少し口ごもってから「(景和を)笑えりゃそれでいい」と。何か隠してる感じです。

 祢音のサポーター:キューンはもっと露骨にジーンを経過してまして、祢音への手紙では「ジーンのことは用心するに越したことはない」と警告してます。祢音と会おうとしないキューンですが、1人でいるときの様子からしますと、本気で心配して言っているような感じです。

 ジーンの行動・言動は確かにちょっと不審ではありまして、執拗なまでに英寿の出自等を知りたがってますね。プロデューサー:ニラムに臆面もなく尋ねたりもする。理由は「楽しみたい」としていますが、同時に「生きざま、あるいは死にざま」とも言ってまして、今話で匂わされた英寿輪廻転生説を意識したものかも。

 ジーンが今話でたどり着いた結論は、前話で願いのカードで示された「A、Ace Garfield、八雲栄守、エース・リー」が全て英寿の前世であり、他にもDGP不参戦の英寿(前世)がいるというもの。2千年前に母親(おそらくミツメ)と生き別れ、記憶を保って転生を繰り返して母親を探しているというストーリーですな。

 これをジーンは英寿にも面と向かって尋ねるわけですが、英寿の答はいつものはぐらかすような「そうだと言ったら、俺の言葉を信じるか?」ですね。かつ、ジーンの「感動したい」に対しては「俺の人生は、お前の娯楽じゃない」ですか。こちらは英寿の本心から出た台詞のような気がします。

 それにしても、面白がるためだけにジーンがここまでするのか、ということが気になります。今話ラストで、「真っ赤なキツネ」=ブーストマークⅡの副作用で倒れた英寿が止めを刺されようとするときのジーンの反応は異様です。そこまででも、オーディエンス(観客)が、いかにサポーター(ファン)とはいえ、「ここまでするか?」と首をかしげるくらいの奮戦を見せてました。

 もしかしてジーンは本当の思惑を隠しているのか、という気がします。その点はケケラも同じく怪しいんですが、ジーンが最も目立った動きをしているようですんで、次回「慟哭Ⅳ:絆のレーザーブースト!」では、ジーンからオーディエンス/サポーター/スポンサーの謎が解かれ始めるのかなと思えます。ただの娯楽にしちゃ、このリアリティショーはちょっと大げさすぎる気がします。

 もう1つ、次回で気にしているのは前話でブーストマークⅡに変身した英寿です。変身直前に「覚悟」と言ってまして、前話では何の覚悟か分かりませんでした。今話では副作用と思しき、眠気からの人事不省。ジーン解説ではスピードについていけず体に負担云々ですが、もしかして寿命縮めるほどの何かなのかという気もします。

 予告後のキャプションでは「ジーンとの“絆”」とありまして、英寿&ジーンで今話の疑問点の答が出るかもと期待です。

●仮面ライダー555(第7話:夢の力、第8話:夢の守り人)

 こちらで「記憶に強く残ってる7話と8話」と伺い、どんな話かと期待していたら、海堂直也が急展開するドラマでしたか。自分の好みである「これ以上は落ちることができない、自分の底に行き当たって、反転上昇」する感じですね。海堂直也がメインですし、目だってもいますが、無関係にドラマが進みつつも、海堂直也に引っ張られるかのように並行してドラマが進む巧(と真理)も印象深いものがあります。

 今週分をそのように楽しめたのは、こちらで「乾巧は、自分がオルフェノクであることを自覚」とご教示頂いていたことが大きいです。自分はてっきり「巧がいつか自分がオルフェノクと知ってショックを受けて」みたいな展開になると思い込んでました。ですんで、序盤では「巧は自分の中の違和感にモヤモヤしていて」みたいな解釈で見ていた次第。

 そこを「巧は自分がオルフェノクと知っている」と切り替えてみますと、いろいろ見えてくる気がします。最も大きいのは「ふらふらしているように見えるのは、実はブレていないから」という点でしょうか。迷子になっているのではなく、どこへ行くべきか自体を探しているようですね。今週分で少し答えが出まして「夢を追う人間の夢をかなえるのが夢」となりましょうか(ゼロワンの亡を思い出したりします)。

 ともかく本編。前半(第7話)冒頭は前話の続きで、スネークオルフェノク/海堂直也を倒そうとする555に割って入るホースオルフェノク/木場勇治ですね。勇治はホース/海堂を思わず「仲間」と言ってまして、オルフェノクを同族と感じていることが窺えます。

 しかし勇治は海堂を重傷を負いつつも助け出したものの、海堂の対応が軽い。棒読みな「傷は浅いぞ」も冷たいですが、「やっぱ、やーめた」で放り出してしまう。この後も勇治は必死でして、海堂を見捨てておけずに奔走し、結花と協力して海堂の仇討ちまでしてやることに。しかし勇治の奔走は(少なくとも今週は)海堂は知らないようで、まあ勇治は縁の下の力持ちで終始しましたな。

 やはりメインは海堂でして、555/巧から逃れてアパート自室に帰り着く。室内は相当散らかってまして、海堂の気分から来る生活態度が窺えます。しかし、放り出してあるが同然のギターを手に取り、荒く扱おうとしてできず、むしろ縋って泣く。何か強い未練が感じられます。ここは後半(第8話)ラストにつながるシーンですね。

 なぜギターに固執なのかと思ったら、どうやら海堂直也は(元?)音大生で、ギターの腕は一流だったらしい。しかし、バイクで転倒したところを他の車に手をひき逃げされ、ギタリスト生命を断たれたらしい。それで望みを失って、あるときは軽く、別のときは荒れていたわけですか。後輩らが練習する教室に乱入して、バケツの太鼓で妨害したりする。後輩らも先輩の海堂に対する敬意を失っているらしく、連れ出してぶん殴ったり。

 そこを止めたのが「教授」ですね。海堂も「教授」を未だ敬う気持ちがあり、その言には素直に従う。海堂にとっては余程によい教官だったと思わせるシーンですが、まさかこの「教授」が、という展開になろうとは。

 海堂はいったん「教授」に言われて引き下がったものの、治まる気配はない。が、変事が起こっちゃうわけですね。海堂がからかい半分で声をかけた、ギター練習中の学生が突如、砂と化して崩れる。海堂はやってない。そこへ結花も現れるが、もちろん結花でもない。

 大学に別のオルフェノクがいるわけですが、いったん怪しいと思わせるのが黒田和彦ですね。母親が啓太郎のクリーニング店で素行が悪いようなことを言い、説得を頼まれた相手です。巧もなんだかんだ言いながら、啓太郎と共に黒田和彦に会いに大学に来る。が、(以前の喫茶店襲撃時と同様)海堂とはすれ違い。先週の啓太郎と結花もでしたが、もうちょっとというところで会えないのが555の作風なのかな。なんだかじりじりしますが、だからこそいい感じですね。

 巧らが黒田和彦の夢(ギタリスト)に納得して引き下がりますと、今度は海堂が偶然に黒田和彦と接触。海堂はスネークオルフェノクとなって、下手すると無差別殺戮に走りかねないところだったんですが、黒田和彦が練習するギターの音に何か惹かれるものを感じる。教室に入ってみると、黒田和彦は一目で海堂を認識し、海堂に憬れてギタリストになるべく音大に入ったのだと言う。

 ここが海堂の分かれ道だったようですね。海道を追ってきた結花は海堂が未だ人を愛している、なぜなら音楽を愛しているからと見抜いてました。しかし、音楽を愛しているからこそ、その実現手段=ギタリストの夢を断たれた海堂は苦しいわけですね。

 しかし、黒田和彦が向ける素直な尊敬で海堂が変わり始めるわけですな。自分が直接できなくても、自分の技を伝える道がある。しかも黒田和彦が海堂の指導を受け止めるだけの実力があった(おそらく、あと一押しで一気に伸びる溜めができるほど修練していた)。ここで、少し前に海堂が「教授」に対して見せた態度が思い出されます。海道も「教授」から同じような薫陶を受けたんだろうなと。

 その後も海堂は(結花と共に)黒田和彦を指導したらしく、音楽室での演奏ではモニタールームで聴いていた「教授」が感心するほどに。「教授」は黒田和彦らに声をかけに現れまして、激賞するんですが「『今の』海堂君と同じになれるでしょう」とちょっと不思議な台詞。結花も『あれ?』という表情になってますな。

 実は初見ではこの大事なシーンを理解し損ねてまして、「今の」を多少は不審に思ったんですが、「黒田和彦を短時日でここまで指導できるんだから、手さえ動けば凄いと言いたいのかも」と流してしまいました。が、闇の深い「教授」の本音が漏れてしまったということでしたか。

 おかしいと気づいた結花が「教授」をつけますと、「教授」はバイクに何か細工をしている。海堂もバイク事故の原因がバイクへの細工ということまでは気が付いてましたな。犯人は「教授」だったわけか。結花の後は勇治が「教授」を待ち構え、「教授」は「自分を超える者は殺さずに「夢」を断つ」と言い放つ。

 己で果たせぬ夢があるなら、夢を叶える誰かに伝える喜びがあると気づいた海堂と好対照です。最高のギタリストになれないなら、最高のギタリストを育てればいい。しかし「教授」は最高のギタリスト足らんとして、己を超えそうな後進を潰してきたわけですな。それも挫折した後進の嘆きで安心したいというむごさ。

 そのことを海堂はついに知ることはなく、「教授」/オウルオルフェノクは勇治/ホースオルフェノクに倒される。その直前、スマートブレイン社の拠点に戻って来た海堂に結花がギター演奏をお願いするのがいい演出ですね。普段なら勇壮なBGMでのバトルですが、今回はしっとりとしたギターソロが流れてます。

 バトルは(真理を守る555/巧のも含め)決着しますが、ギターソロは途中で終わる。海堂の指は短時間しか弾けない症状のようですね。しかし、己の技を引き継いでくれる後進を見出した海堂にもはや悔いはないわけか。前半冒頭のギターに縋る海堂が一変、窓からギターを投げ捨てると。結花はショックを受けた風でしたが、しかし海堂が悟りを開いた瞬間に見えました。

 一方、巧ら。真理が前々から言っていた美容師になる願いが叶いそうになってますね。美容室に就職を申し込んだらしく、髪のセットを20分でできることが条件らしい。最初は20分を超え、しかも仕上がりが粗く、就職どころか店長から「向いてない」とまで言われる始末。

 巧からもぞんざいな言われようでして、激怒した真理は巧に鍋焼きうどんで仕返しし、啓太郎のクリーニング店を飛び出してしまう。ここで巧も怒り出すかと思ったんですが、前に啓太郎の夢に感化されていたのと同じく、真理の夢にも実は惹かれていたらしい。鍋焼きうどんを完食してから追いかけ、真理を優しく連れ戻すわけですね。

 この巧の行動は真理を心配してですが、夢を守るためばかりではなく、現実にオルフェノク(眼鏡の男/スカラベオルフェノク)に狙われているからですね。スマートレディから555奪取が禁じられていても、スカラベオルフェノクは諦めた風ではない。

 しかしこちらも、巧が真理に知らせることなく、スカラベオルフェノクを倒して守り切るわけですね。巧によれば、自分(巧)は夢を持てないけれど、夢を持つ人の夢は叶えたいと。そこは今話の海堂に被りますし、勇治がこっそりと「教授」を倒して、海堂の仇を討ったことにも通じます。

 みんなバラバラに動いていながら、みんな同じに収束していったわけで、視聴後の感慨は深かったですね。面白いのは、極めて不安定な感じで、後から入って来た海堂が、真っ先にキャラが安定した感じになったことでしょうか。「オルフェノクでありながら、人間を害さない/守る」気持ちを、しっかりと最初に得たのが海堂のように見えます。

 オルフェノクの自覚があると伺った巧は揺れながらも、次第に人を守る方向に行きつつある感じ。勇治はむしろオルフェノク(ただし仲間限定)への親和性に傾きつつある。結花はスマートレディに指摘されてましたが、自分の中の憎悪に決着つけられずにいる印象です。

 巧と真理で膠着状態のところへ、異分子(?)の啓太郎が飛び込んできて、巧らの状況が動きだせた感じがあります。勇治側も、もしかすると今話で変わった海堂が身動きとれなさそうな勇治らを動かす要因になっていくのかしらん。

 観終わってからもいろいろ考えてしまいます。自分は平成ライダーは話数2桁(ないしは2クールめ)から盛り上がると思い込んでましたが、555の今週分はその思い込みを破る名作回でした。

Re: 3月のスレッド(2023) - K.K

2023/03/22 (Wed) 23:20:35

 定期感想書その4です。

●牙狼:翔編(第12話:絆)

 ようやくガルド合流ですか。それが今話のメインのドラマですが、またもジンガの嫌らしさを強調している点が大事だったのかも。

 冒頭は前話からの続きで、囚われのガルドの背後からホラーが忍び寄る。ガルド、さすがに魔戒法師でして、接近に気が付くと同時に正体がホラーと察知もしてますね。それなら戦うのか、と思ったらホラー(ゲリル)が「助けて」と言い、しかし誤魔化せないと見ると、「ダメだったよ~」と気抜けするような態度に変わる。

 どうやらジンガに言い含められて、牢内でガルドを試す役割だったみたいですね。ジンガがホラー:ゲリルに「食っていい」と指示するも、本気だったのかどうか。ガルドの持ち物に、前に莉杏が言っていた「大事な人に贈る」アクセサリーがあるのに気が付いたジンガ、ホラー:ゲリルに「食うな」と再指示。

 そこからもジンガはガルドの気持ちを揺らしに揺らすわけですね。狙いは法剣のありかなんでしょうけど、あわよくばガルドの闇堕ちも期待してるんだろうか。ガルドの心の弱点が妹:ハルナと判断したらしいジンガ、妹を捕らえたと嘘を言う。牢から出る術も、通信手段もないガルドは外で何が起こってるか知らない。有効な方法といえそうです。

 さらにジンガ、思い切って嘘で踏み込んで来まして、ガルドが法剣についていったん黙秘しただけで、ハルナを殺害したと言い出す。臆する様子がなければ怒らせるわけか。最終的には絶望させたいのかな。泣こうが喚こうがどうしようもない、と観念させれば何とかなるという算段なんでしょう。

 一方、流牙ら。ハルナを番犬所で保護してもらい、ガルド救助に乗り出すわけですが、やはり通信手段がないので位置割り出しどころか、ハルナの無事すら知らせてやれない。そのせいで行き違いが生じ、ガルドが自爆技を行使してしまうことになるわけですね。

 ジンガも流牙らが迫って来ることは予想しているでしょうし、ハルナを保護した流牙らがガルドに会ってしまえば、目論見(法剣の情報)が潰れてしまう。流牙&莉杏の実力は前の対戦で把握しているでしょうから、素体ホラーはもとより、実力あるホラーを放っても突破されることは分かっている。

 そこで今話のホラー:ゲリルなんでしょうな。最初、ゲリルはガルドと共に牢に閉じ込められたんだと思ったんですが、自在に水になれるんですか。牢の抜け出しはもとより、どこへでも神出鬼没なホラーであるわけですな。しかも、水になっている間は斬撃も銃撃も無効らしい。それなら流牙らを倒せはしなくても、足止めには役立つ。

 しかし、流牙&莉杏のチームプレイが優りまして、ゲリルは莉杏が引き受け、流牙はジンガへ。このバトルの趣向(?)がちょっと面白かった。鞘も攻防に使う、トリッキーなものですね。

 もしこの第12話だけ観たら「なんで剣を再び鞘に納めたりする?」と思ったかもしれませんが、序盤から少なくとも流牙のは鞘も凶器と描いてもらってますし、第9話では檜葉セイジへの止めにジンガの鞘が使われてます。鞘に納まっていても一撃必殺と分かっているため、終始スリリングです。

 それはともかく、まずゲリルは水なら駄目なら凍らせてしまえということで撃破。ジンガのほうは救出されたガルドが、ハルナが無事と知らずに自爆技を使おうとするわけですね。その技は見覚えありまして、ジンガの襲撃からガルドとハルナだけは守り切った法師モユルが使ったもの。

 そこも行き違いでして、もしガルドが「村を襲ったのがジンガ」と知っていれば、自爆技でも相討ちに持ち込めないと分かったはず。普通ならガルド犬死となるところでしたが、流牙らがすんでで間に合って回避。ジンガは至近距離の爆発を受けましたが全くの無傷。ガルドの村の襲撃時も同じだったんでしょうね。しかし、依然としてガルドは「村の襲撃もジンガ」とは気づかないままみたい。

 ジンガは去り、流牙らはガルドを救出し、番犬所に戻る。そこでようやくハルナの生存がガルドに知らされるわけですな。ここだけはちょっと疑問に思わなくもないです。自爆技までの間は激しいバトルでしたし、告げる余裕がなかったとしても、ジンガが去った直後には教えといてもよかったんじゃなかろうか。

 もっとも、ハルナは現時点で法剣所在についての最重要人物ですから、ハルナの居場所はもとより、生存についてすら緘口令が敷かれていたのかもしれません。ジンガが去った後も、アミリの青い蝶で流牙らの様子を探ったかもしれないし。それでも番犬所で会わせてもらうまでハルナ生存を教えてもらえなかったガルド、ちょっと気の毒(^^;。

 ともかくも、ガルドは言葉では依然として頑なですが、流牙らと共闘する気持ちになったらしい。後半となる次から一致協力して敵に迫る展開、で合ってるかな。闇照編でも前半は味方内でゴタゴタしてましたが、翔編でもチームワークがよくなるのは後半かららしい。

●BASTARD(第11話:予言)

 ネイ vs ガラが事実上の決着ついて、DS vs ネイになるわけですが、原作の連載追っている当時、非常に緊張感が下がった印象があったのだけは覚えてました。たぶんそのせいで、詳細を忘れてしまったんだと思いますが、アニメで観なおして思い出しました。

 ガラが止めを刺される寸前でDSが(未完成の最大攻撃魔法ハーロ・イーンで)割って入るまではいいんですが、そこから突如、DSとネイの絡みシーンになっちゃうわけですね。転生前(100~15年前)の両者の関係を語るには必要かもしれませんが、なにせ無防備で密着。

 どちらか、あるいは双方に少しでも相手を倒す気があれば、できてしまう状況です(少なくとも仕掛けられる)。しかし、両者ともそうしない。DSについては多少ガラ解説があり(15年前のDSとは違う)、オババ様の水晶球占いでも追認されてはいます。とりあえずDSにネイを倒す気は少しもないと受け取って納得できなくはない。DSとしては、いざとなればネイに勝つ、というより制圧してしまう自信もあるんでしょうし。

 問題はネイの側ですね。今話序盤の態度からすると、何度襲来しても無駄という印象になってしまいます。そのための爪の呪いというのは分かるんですが、前にも申しましたが、ネイの取り得る選択肢がいろいろあって、ちょっと弱い。むしろ、「そもそもあんな自信を見せて呪いを許容しておいて、今話の態度はなんやねん」という気がしなくもない(^^;。

 もっとも、この先の展開を考えますと、DSが迷うことなく己が心臓をえぐり出して解呪してやるわけですから、その伏線・暗示と思えなくもない。しかし、解呪条件は既に明示されてますし、「主人公は死なない」原則(?)を度外視しても、DSが心臓を捨てて死んで、しかし蘇ることは見え見えと申しますか。

 ネイ(とガラ)がいったん死んだDSを蘇らせようと、その勝利条件明示の上で踏ん張ったりすると、手に汗握ったと思うんですが。記憶頼りですが、DS復活は「破壊神アンスラサクスの影響の増大」と説明されていたような。その他の「奇跡」も全てそれで説明されていたような。

 まあ、最強主人公のベタなドラマということなんでしょうな。それでも毎回欠かさず読んでいたのは、やはり絵のち密さだったかなあと思います。このアニメ版もなんだかんだ言いながら観ているのは、原作の絵を現代技術的に上手くアニメ化しているからのような気がします(もう曖昧な記憶ながら、90年代OVA版より納得できる感じ)。

 この第1期が原作のどこまでやるか、アニメ公式サイトで確認してみると、ネイ戦~DS復活を経て、アビゲイル戦までみたいですね。第2期制作決定とのことですが、2期では破壊神復活まで行くのかしらん。

 原作を追っていた当時の印象としては、破壊神 vs DSの決戦でまさかのDS敗退、までは良かったんだけど、そこから天使 vs 悪魔の対立構図となってからはグダグダだった気がします。たぶん、こちらで伺ったD&D版権問題の影響ですね。ゲームの下敷きを、D&Dから真・女神転生に乗り換えようとしたのかしらん。このアニメ版が原作のどこまでやるのか、どうまとめ直すのかは気にしています。

Re: 3月のスレッド(2023) - Shiny NOVA

2023/03/24 (Fri) 09:16:22

 実写感想です。

 シン仮面ライダーを先日、見て参りましたが、この場で紹介、ネタバレありの感想を書いてよろしいでしょうか、と先に確認しておきたいと思います。
 全体的な感想として、ハッピーエンドだったシン・ウルトラと違って、ビターエンドと言える作品なので、賛否両論だと思いますね。自分的にも手放しで傑作とは言い難い内容だな、という話でしたが、面白かったとは思います。
 その上で、見ようによってはファイズとつなげて語ることも可能だな、と(主人公の不器用な性格なんかが近い)。

★ファイズ

 「夢とは呪い」「夢とは熱い想い」の言葉が刺さった回。
 これは夢を果たせずに、モヤモヤを抱えたまま中途半端な大人を生きてる者に、スッと入って来るような話だったな、と。

 まあ、海堂の場合は、自分の代わりに夢をかなえてくれそうな若者との出会いで、自分の夢からは卒業できましたが、
 こちらは彼ほどすぱっと割り切れず、モヤモヤを抱え続けるのも人生さ、と思い至って、今なわけですな。

 20年前とは違って、距離を置いて見ることができましたが、それでも傑作でした。
 最後の戦いのシーンが、木場の復讐代行(仕事人っぽくて格好いい)と、巧のヒロイン護衛と守り人たる覚悟の同時並行で、スタンスの違うWヒーローっぽいところが、上手い話の持っていきようだな、とか。

 別々のドラマなのに、上手くリンクしている、物理的距離を超越した共闘なのに対比にもなっているというドラマ的仕掛けが面白かった回でした。

>すれ違い

 これは555だけでなく、井上敏樹という脚本家が好きなシチュエーションですね。アギトでも、ドンブラザーズでも、見事に発揮されて、メインキャラが出会いそうで通り過ぎて、いつ出会うのかとモヤモヤワクワクさせる。

 アギトでは、津上翔一、氷川誠、葦原涼の3人がニアミスしまくり、その後、互いの正体を知らないまま、ぶつかったり、変身前は仲良くなったり、
 アギトはヒーローとして尊敬している氷川さんが、素顔の翔一に対しては「ふざけないで下さい」と困惑しながらも張り合う(決して尊敬はしてない)というドラマ的ズレが面白く、互いに正体を知ったら、どう受け止めるんだろうって部分も含めて、期待を持たせてくれる。

 今回のファイズ側と、木場たちオルフェノク側のドラマも、今はまだニアミスで、しかも変身後に出会ったら衝突まちがいなしの敵対関係になっているのが、今後どんな接点を紡ぎ上げていくのかがドキドキワクワクできそうな流れ。

 ドンブラでは、タロウとソノイの関係とか、犬塚と雉野の関係とか、どうなるねんとドキドキしながら、導火線に火がついて爆発するような関係性の深化をジワジワ見てたのも最近の思い出。

 で、脚本家氏曰く、「出会うまでの過程がドラマでは面白いと思うので、あっさり出会って仲間になってしまう戦隊で、どこまで話を引っ張れるかに挑戦してみた」とか。

>次回以降

 村上社長は、キャラ的には前作の北岡先生みたいに、「上から目線で気取ったイヤな奴」という井上敏樹定番キャラの一人ですね。いわゆる慇懃無礼が服を着て歩いたようなキャラというか。

 で、彼の登場で「ファイズ陣営VS秘密結社スマートブレインの組織戦」という構図が明確化。
 そして、社長登場の次のエピソードから、幹部連中のラッキークローバー(いわゆる四天王)が登場し、ファイズ陣営にも、木場陣営にも脅威となっていく流れ。

 で、敵が強化されるのに対抗して、味方側にも強力な助っ人が、という形で登場する本作2号ライダーのカイザですが、敵以上に厄介な味方として暴れてくれます。
 カイザもまた役者の名前が村上幸平なので、本作で村上というと、社長なのかカイザなのか分からなくなるという「感想を書く上でのトラブル」がありました。

 2話1で追いかけると、毎回が重要な新キャラ登場で、通常回がないというほどの勢いだと思います。

★ギーツ

 ジーンの英寿追っかけは、あくまで現在の浮世英寿だけに限られ、転生前の過去エースのことは把握していなかったことが判明。

 ということで、今回はジーンをメインに据えて、前回のパワーアップで暗示されていた英寿の謎を追及するドラマに。

 本来こういうのって、景和の役どころなのかな、と思いますが(謎のヒーローの正体を追っかける一般人)、謎だったサポーターが推しのヒーローのより深い謎を追っかける妙な展開。
 ただし、演じている鈴木福氏が、年季の入ったライダーファンなので、役者視点では、さもあろう、という展開。

 鈴木福さんのエピソードとして、前にセイバーの映画で共演した藤岡弘、さんに、「ぼく、将来は仮面ライダーになりたいんですよ。一体どうすればライダーになれますか?」と尋ねて、藤岡さんが「純粋な夢を持ってるんだね。それは素晴らしい。その夢を諦めずに、貫いて行けば、いつかつかめるだろう。頑張って精進したまえ」的に返したことがあって、
 それから2年後が今です。

 ライダーに変身して、主役ライダーを文字どおりサポートして、ピンチを救おうとして……果たしてどうなるか。
 とりあえず、自分の力をヒーローに託すまでは確定していますが、まさか死んで退場したりはしないでしょうね。

「ぼくの力を君に託すよ。君の中でぼくは生きる。何てドラマチックなんだろう。感動をありがとう」と言い残して、ジーン消滅ってことにならないよう願いつつ。
 いや、それはそれで美味しいとは思いますけどね。果たして、どうなるか。

★牙狼翔

 12話で1クール終了。

 次回からOP主題歌が「砕け散る黒いダイヤ♪」と歌つきになりますね。

 歴代牙狼の主題歌でも、好きな曲の一つ。

 劇場版の牙狼翔のエンディングBGMに歌詞を付けたものだと後から知って、感じ入ったりもしました。

 OPやEDが変更されると、ストーリーも大きく進展した気になるのがいいなあ、と概観しながら。

Re: 3月のスレッド(2023) - K.K

2023/03/24 (Fri) 20:38:13

 定期感想書その1です。

 シン仮面ライダー、NOVAさんはもう映画館で楽しまれたんですね。「手放しで傑作とは言い難い」けれと「面白かった」ということは、どうやら複雑な作風であるようですね。「新はっぴぃトーク 雑談室」のほうを少し拝読してみましても、そのように感じられます。

 ネタバレありのご感想・ご解説につきましては大歓迎です。そこは常々、いろんな作品について申し上げております通りです。

●団時朗さん

 ツイッターのトレンドに「団時朗さん」と出ていたので、ウルトラマンシリーズでまた何かあるのかなと見てみたら、訃報で驚きました。確かついこの間も、TVやネット放映で帰ってきたウルトラマン/ウルトラマンジャック、あるいは光の国の長老として元気な演技をお見せだった気がしていただけに、しばらく混乱するほどでした。

 団時朗さんはウルトラマンシリーズ以外でもご活躍ですね。特撮もので割と最近なのが騎士竜戦隊リュウソウジャーの「長老」でして、はっきり覚えています。車のケバブ店をやるなど、見た目は長老っぽいのに、やることが長老っぽくなかったり。

 しかし、やはり自分に強いイメージがあるのが「帰ってきたウルトラマン」の主人公:郷秀樹になります。特に、こちらでも何度か言及した「怪獣使いと少年」回ですね。郷秀樹は、それまでのハヤタやモロボシ・ダンと異なり、発展途上のヒーローでして、ウルトラマンの力に溺れて傲慢になったり。

 そして「怪獣使いと少年」では、非道な行いをした人々を守りたくない気持ちを見せてしまう(観ていた自分も同調してしまう)。が、隊長に一喝されて思い直し、ウルトラマンとしての責務を果たすと。ヒーローって厳しいなあと感じました。

 そういう、迷ったりヘタレたりを見せるのは、今まではヒーロー周辺の人物でして、例えばウルトラマン(初代)ですと、「射つなアラシ」回のアラシ隊員だったりする。
(もっとも、そうだからこそアラシ隊員は当時の自分に強い印象を残しました。)

 それがウルトラマンに変身するヒーローがやったわけですから、びっくりもしますし、強い共感を覚えたりもしました。しかしずっと後年に自分が再びウルトラマンシリーズを観るようになってみると、大先輩の帰マン/ジャックは、とても頼れる長老格に。見た感じお元気そうだし、ここから先が長いと思っていたんですが、2017年に肺がんが見つかっていたのを知りませんでした。

 そこからは闘病しつつも普段と変わらぬ様子で皆を安心させつつの、近年のご活躍だったとのこと。最後までヒーロー魂を見せて頂いていたことになります。感謝してご冥福をお祈りしたいと思います。

●REVENGER(第12話/最終回:The Sun Always Rises)

 最終回を観終えての感想は、NOVAさんのシン仮面ライダーの評言をお借りすることになりますが「手放しで傑作とは言い難い内容だが面白くはあった」となります。

 終わってみますと、第1話で利便事屋に図らずも参入した繰馬雷蔵は最終回で退場し、利便事屋・幽烟グループはそのまま残った。知らないままにコンフリクト抱えていた雷蔵はコンフリクトを知らぬまま世を去り、幽烟も特に何も語らず何もしない。いったん敵対した礼拝堂(ジェラルド嘉納)との関係も何も変わらない。

 悪役及び舞台的には、阿片で長崎~日本をカオスと化そうとした宍戸斎門は、あっさり倒れて何も残さず。阿片も焼却処理され、一応は清の劉の任務/念願は果たされ、アンゲリアの諜報/工作員らしきシスターは次のターゲット(?)漁澤陣九郎へ鞍替えしたのみ。要は大事件を未然に防いで、世の中(舞台)はそのまま変わらずといったところですね。

 なんと申しますか、いろいろ積み残しているんだけど、綺麗に風呂敷畳んだという印象でしょうか。島原の乱の恨みがどうとか(幽烟にもあるらしい)、アンゲリアや清の影響・干渉とか、そこに付け込む実力者とか(今シリーズでは宍戸斎門)、いろいろ問題要素はある。けれど、よく考えたら、そんなことに関わっての世直しとか、利便事屋のやることではない。そこは必殺シリーズでもしばしば描かれるところですね(老中とか超大物暗殺が皆無とは言いませんが)。

 そこは理解(しようと思えば)できるんですが、繰馬雷蔵は自分的には困っちゃったかなあ。たった1話で繰馬雷蔵のドラマを「綺麗に」片付けようと思えば、今話で描かれたように何も知らずに死亡退場させるしかなさそうです。しかし、それは何も解決しないことでもあります。文字通りの知らぬが仏、無念ですらないわけですね。

 だいぶ以前、そういうドラマ仕立てを好んでいたこともあります。「世にも奇妙な物語」などでも多かったかな。主人公が滅茶苦茶なことをして(あるいは巻き込まれて)、どうしようもない状況に陥ってどうするのかと思ったら、単純に破滅(たいていは死亡)して終わる。

 ドラマの経過がハチャメチャですんで、主人公の死亡退場で事を納めるしかないオチというのは分かります。結果より途中を楽しむ、となりましょうか。ただ、自分的にはちょっと食傷気味。自分が感じるようになった不満を短く申せば「葛藤を解消じゃなく、解決して欲しいんだけど」となりましょうか。それが悲劇的結末であっても構いません。「主人公、どうすんだよ?」の期待を満たして欲しい。

 とはいえ、利便事/バトルは見応えありでして、特に最終回は凄かった。主人公:雷蔵以外も最終回にふさわしい見せ場でしたな。技の派手さだけでなく、戦術的にも驚いたり納得したり。鷹目の一八の遠距離狙撃に対しては、叢上徹破が銃撃を受けつつも、むしろそれを利用したミスディレクションで矢を上方へ放ち、外したと敵手に油断させておいて、落ちてきた矢を当てて仕留める。

 惣二もなかなかのものでして、手裏剣の与太郎のブーメラン的な重量級手裏剣に対し、軽い花札では対抗できないと思いきや、手裏剣の軌道をわずかに変えることに使い、敵の得物で敵を仕留める。幽烟と鳰は「こんなコンビネーション使えるのか」といったところ。

 雷蔵も残像によるスピード感演出が迫力出してます。しかし緒戦では敵手の遍路の貞の手数と正確さが上回っているのがいい感じですね。そこへ覚悟が決まって揺るがない雷蔵の反撃の一打が出て、余裕を見せていた遍路の貞が動揺、伏兵の旋棍の捨が背後から急襲。

 そこが後につながるドラマの伏線となっている点、上ではあれこれ申しましたが、そこは高評価ポイントです。雷蔵からの一撃を受けて倒れた捨、すごい形相で睨んでいるわけですね。ぱっと見で「あ、雷蔵はわざと急所外したな」と思いました。そして止めは刺さない。言い換えれば、捨の存命は確実(貞は死亡と思い込んだようですが)。

 貞との勝負は、雷蔵の強化された跳躍力を知らなかった貞が油断して敗北。貞が逃げ込んだのが阿片集積拠点でしたから、当面の争奪対象だった阿片も処分されると。一方、宍戸斎門もあっさりと幽烟らに討たれる。なんだか歪みすぎて、正常な判断力の欠片も残ってなかったため、あっけない最期を遂げたような印象がありました。

 とりあえず阿片とそれを利用しようとした首魁は何とかなった。となると、雷蔵はどうなるんだろうと思いました。死んだ許嫁:唯と、その真意・誤解を知る幽烟とでどう決着するか。必ず旋棍の捨が関わって来るだろうと思いました。そこについては、最後の戦いにおいて、(急所をよけて)刺された捨が睨みつけたのが、雷蔵だったか、遍路の貞だったかにより結末が違うだろうと思いました。

 ふたを開けてみれば、捨が雷蔵を背後から刺しました。刺した位置は腎臓辺りでして、聞くところによると致命の急所であり、痛くて声も出ずに倒れるので、暗殺向きらしい。しかし雷蔵、声が出ないのではなく、意図的に静かに振り返って笑顔を見せる。『ああ、生きてたんだね。よかった』という感じですね。

 しかし雷蔵、そのまま絶命したようで、いろいろ未回収のままドラマは終わりましたな。許嫁:唯についても、鳰評では絵師:堆心の絵は最後まで代り映えなしとのことで、雷蔵の中でも進展はなかったようですし。第1話と同じように、幽烟が後から現れますが、かんざしを回収して去るのみ。幽烟は礼拝堂とも従前通りに戻ったらしく、何も変わらず何もなかったかのようなリセットですね。

 人物としては雷蔵、事件としては阿片が入って来て、それらが何もなかったようになりました。そういう点では綺麗に風呂敷畳めてるんですが、しかし解消であって解決ではなく、スパイラル(やメビウスの輪)ではない、本当に元に戻る一周しただけとも言えます。

 もっとも、そうだからこそ、例えば2期はやりやすいかな。フォーマットはこの第1期でできたといえそうです。「太陽にほえろ」みたいに、新人が入って来ては退場する作りですね。2期があるとしたら、参入しそうなのは今期の旋棍の捨でしょうか。

 もし今期限りだとすると、思わせぶりな演出しておいて掘り下げがなかったのが、利便事屋メンバーについてです。過去や経歴に何か事情があるんだけど、はっきりしない。そこを不足と見るか、必要な匂わせと見るか、どちらとも言い難いものがあります。

 結構前の作品ですが、TVアニメ「タクティカルロア」(2006年)を思い出しました。近未来的ですが海賊が跋扈する世界観で、主人公グループは民間の武装警備会社の駆逐艦乗りです。仕事上、死亡率が高いわけですが、なぜか半ば以上が10代女性(最年少は13歳)、残りも20代前半女性。

 危険な任務に就く理由付けでしょうか、過去に複雑な事情があることが匂わされていました。しかし1クールものということもあって、掘り下げず。ネット評を見てみましたら、伏線を回収していないとして不評も多かった。しかし自分的には納得して観ていた覚えがあります。「メンバーの過去が大事な作品じゃないだろう」ということで。

 このREVENGERではどうなのかは、まだ印象が定まりません。2期があるか否かでも違いますしね。この作品の感想、時間経過したら変わって来るかも。そのときはここに書いてみようと思います。

●うる星やつら(第23話:決戦!!友1クイーンコンテスト)

 第1期無事終了ですね。本当に「無事」という感じですし、そこは非常に技巧的に優れていたように思います。なんとなれば、40年以上前の原作を、(当時に原作を読み、アニメ版も観たとはいえ)飽きさせずに2クールやり、2期も観たいと思わせる作りを制作がしてくれたわけですんで。

 この最終回ですと、80年代版アニメでは自分が最も気に入ったエピソードの1つです。アニメ版が気に入り過ぎて、原作でのエピソードがどうだったか、かなり記憶があいまいになるほど。しかし、この22年版アニメでは原作通りか、少なくとも原作尊重の作りにしてくれたようですね。

 80年代版アニメでは、予選通過者がリングに上がったところで終わっています。入場者多数を集めたあたるが、入場料を持ち逃げしたため、コンテスト続行が不可能になったというオチ。先に申しましたが、自分的にはそれでもよく、そこまでの権謀術数(主にメガネ)、竜之介の父のデタラメぶり(主に過去回想)で充分に楽しめました。

 しかし、そういう作りはいかにも押井カラーです。この22年版アニメでは「高橋留美子さんならこうする」というものが打ち出されていたように思います。最後はなぜかリング上の決戦なわけですが、各キャラクターの特徴を用いたコミカル展開で、しかもいったんは特徴を抑える演出(ランによる若さ吸収)がなされたお陰で強調されるというもの。

 余談ですが、ラムがリングに上がる際、「いちばーん」と叫ぶ演出がありました。原作、80年代版アニメにもあるものですが、この演出が22年版でも為されたのは予想外でした。なんとなれば、80年頃の人気プロレスラー:ハルク・ホーガンの入場時の決めポーズですから。

 ハルク・ホーガンのは「右手を高々と上げ、人差し指で天をさして「イチバーン!」と叫ぶ」というもの。原作や80年代アニメでもそうしていたと記憶しています。当時はプロレスをあまり見ない人でも、たいていは一目でその元ネタが分かるものでした。ボディビルダー的に鍛えた体のハルク・ホーガンとラムちゃんの対比・ミスマッチも面白いところ。

 ですが、いかんせん約40年前。この22年版ではリングロープ上で跳ね、両手を挙げて「いちばーん!」とポーズ変えたこともあって、そのネタ使う意味があったかどうか。もっとも自分的にはやってくれて嬉しかったりします。

 80年代アニメ版では、そこであたるの入場料持ち逃げ(新幹線で大阪へ向かう)が発覚して急転直下で終了ですが、今話ではコンテストは最後までやってくれましたな。コンテスト運営も商店街がスポンサーですか。「なぜ商店街が?」という疑問点は劇中でも台詞で述べられてましたが、狙いは最後の「たい焼き」だったようですね。

 第1期の締めくくりとして、登場したメインゲストキャラも登場してのお祭り的なラストシーンになるわけですが、レイだけはやって来る理由付けがやや難しそうです。しかし、たい焼きがあふれているとなれば、現れるのも自然に思えます。そうしてみんな登場させておいて、BGMは80年代アニメ版の最初のOP曲「ラムのラブソング」ですな。

 80年代アニメ版での押井色の強い「ミス友引コンテスト」が当時は大変に好きでしたが、この「友1クイーンコンテスト」も今観てみると面白い。いかにも高橋留美子さんの「うる星やつら」らしいという感じですね。この22年版はどの話も総じて高橋留美子カラー重視だと思えます。

 80年代版アニメ放映当時ですと、劇場版も含めて、原作者の高橋留美子さんが納得していないらしいといううわさを再三聞きました。さもありなんという気もしましたが、あまり気にしてませんでした。しかし、この22年版を観てみますと、仮に高橋留美子さんが80年代版アニメにご不満だったとして、その理由が自分なりに少し分かる気がします。

 クリエイターとして「これは自分の原作をアニメ化したものじゃない」「自分のキャラクターはそんなことしない」と感じるものがあったんじゃないかと。たぶんですけど、この22年版だと「いろいろ改変はあっても、自分の原作の骨格がきちんと入っている」と高橋さんはお思い、だったらいいなあ(^^;。かつ、制作がそのような「うる星アニメ」を観てみたかったからこそ、そうしたのかなと思います。

 言い換えますと、原作通りでないかもしれないが原作リスペクトということになりましょうか。それにしても、高橋留美子さんが80年代版アニメに、当時も、今に至るもはっきりと不満を表明されないのは、ずっと疑問でありました。

 が、もしかするとクリエイターの矜持なのかなと思います。押井守さんもクリエイターです。同じクリエイターのやることだと、高橋留美子さんは不満でも許容したのかなと思います。当たっているかどうかは分かりませんが、そういう妄想が出てきたのも、この22年版アニメを観てみたお陰のようです。

 第2期は1年後ですね。第1期がこれだけの出来栄えですから、期待して大丈夫と思えます。

Re: 3月のスレッド(2023) - Shiny NOVA

2023/03/25 (Sat) 21:31:56

 ドラマ上のキャラの死で、涙の準備はいろいろとしていましたが、思いがけず、俳優の団時朗さんの逝去の報で、涙腺崩壊状態です。

 人生初ウルトラが『帰ってきたウルトラマン』ですし、自分にとってはダメージが大きいです。

 まさにダイ大の旧アニメエンディングにおける『出会いと別れを繰り返しながら♪』の歌が心に染みます(念のため、旧ダイ大のOPとEDの歌手が団時朗さんだったり)。

 ウルトラマンシリーズの主演俳優では、初の他界ということになりますので、今後の関係者の健康と長寿をお祈りしながら、度重なる訃報続きにはならないで欲しいなあ、と感じております。
 何だか、戦々恐々となっている気分ですので。

★ジョジョSO

 今週で誰かが死ぬのかな、と覚悟していたら(特にエルメェス)、次回にいろいろと持ち越しになって、何だかホッとしたり。
 死ぬと分かってはいても、タイミングというものがありますからね。

 すると、次回にエンポリオ以外の面々がまとめて散って行くことになるのか。
 雑誌連載だったら、毎週一人ずつ散って行って、読者が動揺する流れなんでしょうが(特に承太郎)、アニメだと1話で一気に流れるように散って、翌週には世界ごと転生って分かってるから、哀しみを後に引きずらないで済みそうです。

 ともあれ、今週は、神父の能力の進化がいかなるものか、「時間を止めるスタープラチナ」に対して、「時間を加速させるメイド・イン・ヘブン」という現象を示す。
 もはや、こうなると徐倫ではなく、承太郎(というかジョースターの血統)が主人公の立ち位置になり、そこからエンポリオに最後の希望が託される展開をどう受け止めるか、という心の構えを整えておこうって話ですね。

 まあ、エンポリオがダイ君の声で、神父がハドラーの声ですから、最後はそういう目と耳で視聴することになるでしょうが。

★バスタード

 前回にさっそうと登場したDSですが、今回はセクハラ攻撃に怯んだネイがあっさり撤退して、バトルの盛り上がりが雲散霧消しました。
 まあ、そういう作品だと分かっているので、がっかりとかはしない。

 バトル漫画としては、丁々発止のやり取りがあまりなくて、敵が凄い技を出しても、DSがもっと凄いチート技を伏線もなしに出して、サプライズだけで構成されていますからね。

 駆け引き云々はほぼなしの、力と力のガチバトル。
 まあ、序盤は封じられたDSの力をいかに解放するかがポイントで、本気を出せば負けようがないDSの能力を縛るのが、ストーリーのポイント。

 その意味で、決して頭の良い作品でもないですし、ジャンプが売りにしている友情と努力を否定して、勝利だけを描いた異色作ということにもなります。
 ある意味、元祖なろう系とも言えるのかな。

 ともあれ、決戦かと思いきや、一度箸納めをして、仕込み回に転じた流れ。伏線だけは、しっかり示しましたよ、と。

 決着は次回にお預け。
 まあ、先に結果だけは仄めかしているのですけどね。心臓を抉られたDSが倒れる姿で。

 あと、前回、モブ忍者の戦況解説が鬱陶しいという意見を出しましたが、これが連載マンガのペースだったら問題ないのかな、とは思いました。
 連載マンガのコツとして、「1話に1回は必ず分かりやすいサプライズを仕込むべき」という話を聞いたことがあり、本作のサプライズのポイントは、派手な必殺技(剣技だったり魔法だったり)と、少年マンガの限界を試すようなエロシーンだったと思います。

 ガラの必殺技で驚いてくれ、それが不発だったことに驚いてくれ、ネイの反撃に驚いてくれ……というモブのリアクションは、週を挟んで小分けにされたなら、強豪ガラの印象を強め、さらなる強豪ネイの強さを示し、ガラ敗北までの段取りを構築する流れ。
 問題は、それをたった一週のアニメで一気に流されると、驚きばかりで、視聴者の感情を置き去りにしている形。

 本来なら、溜めが必要な話だったにも関わらず、主人公が絡まないバトルだから、溜めずに一気に流したのがアニメだったのだと思いますね。

 それにしても、「山をも砕く」と表現だけは大袈裟だけど、映像演出がそこまで凄くないのは、やはり先の展開を考えると描写をセーブせざるを得ないのかなあ、とか考えます。
 基本的に力のインフレで、どんどん進めて行く作品ですから。

★REVENGER

 最終話です。

 雷蔵さんの死で話を締めくくり、利便事屋の組織としては何も変化なく、最初から最後まで「雷蔵さんという異分子にまつわる事件の発端と顛末」を描いた章だったな、と。

 『REVENGER』第1部、繰馬雷蔵編の完結と言ったところ。

 そして、雷蔵さんに感情移入した身としては、死を望んだ雷蔵さんがそれを受け入れたことで納得の終わり方です。
 むしろ、これ以上、生き長らえる方が辛いだろう、と。

 とりわけ、前回の許嫁に恨まれたという事実を提示された以上は、本人がその事実を知らないにしても、察する可能性があることを考えれば、知らぬが仏ということかもしれない。
 いや、もしかしたら、勘のいい雷蔵さんだから、幽烟さんが隠していた真相を薄々察していたのかもしれない。

 で、絵師としても、利便事屋としても徹しきれず、バカな侍として本懐を果たした後は速やかに死ぬことを受け入れた。
 最後に、捨に殺されたシーン、事件解決後に通り魔に刺されるマカロニ刑事を連想しつつ、穿った目線では、「雷蔵さんには捨の恨みの形相が、許嫁にも見えていた」のかも。
 父親を殺された彼女に殺されるなら、罪滅ぼしとして、それも本望と受け入れる覚悟が雷蔵にはあって、

 また、捨から見れば、遍路の貞は(扱いが悪くても)育ての父親みたいなものですから、父親の仇討ちをする娘(に似た中性的な美貌の主)という絵面は被るものがあります。

 そういう末路の意味を考えると、雷蔵で描くべきドラマは描ききったので、一巻の終わりとして納得できる。
 で、未消化の伏線だけはいろいろありますので、二巻の展開を気にしたりはするのですが、まあ、それは企画主としては、作品への反響とか映像ソフトの売れ行きで判断するのでしょうな。

 ともあれ、雷蔵さんという異物は取り除いても、利便事屋それぞれのキャラクターは魅力的ですし、時代劇アクションとしても面白かったな、と。

 決戦での予想としては、捨だけが自分の予想とは違っていましたが、
 弓と銃の狙撃対決とか、花札と大手裏剣の対決とか、なるほどなあ、と納得できる決着描写ですし、
 アクション目的で見ていた向きとしても、大いに堪能できました。

 雷蔵さんのキャラ描写としては、最終的に、暗闇仕留人の糸井貢(石坂浩二)とかぶりました。
 ええと、脱藩した蘭学者で、三味線弾きから絵描きに転職したりもしつつ、物語途中で愛妻を殺されてから、虚無的になり、最終話で「殺しの不毛さ」を語りながら、自分の夢である開国を訴える役人を殺せずに返り討ちにあう悩める学者キャラ。

 必殺シリーズで、自分の生き方に悩み始めたキャラは遠からず死ぬというジンクスがありますし、脱藩浪人キャラは高い確率で最終話に死ぬか、不幸な目にあう(例外は最初の仕掛人の西村左内のみ)ので、納得度が高いな、と。

 良かった点は、やはりきちんと利便事屋としての仕事(恨みを晴らす)と、侍としての生き様は果たした上での死だったことで、
 ドラマとして納得度が高いエンディングだったことですね。

 個人的に役割を果たし終えたキャラが、惰性的に出続けるのを良しとしないので(まあ、新たな役割を見出せれば別ですが)。
 続編はあったら嬉しいですし、これで終わっても不満はないかな、と。

PS.まあ、シスターの最後の扱いは期待外れですが、今後の暗躍を期待したくもありますし(彼女が捨を拾う可能性もあるでしょうし)。
 総じて、今の必殺よりも必殺らしい作品を見れた、と好評価です。

Re: 3月のスレッド(2023) - K.K

2023/03/26 (Sun) 16:05:29

 定期感想書その2です。

 団時朗さんがダイ大旧アニメのOP/EDを歌っていらっしゃったというのは、今回お伺いするまで気が付いてませんでした。20年版リメイク感想書く準備で、旧作の情報も多少は押さえたつもりだったんですし、ネット動画で旧作OP/ED曲を聴いたりもしたんですが、歌い手までは注意が行かず。

 改めてその曲を聴き直したりして、NOVAさんが「涙腺崩壊状態」と仰るのが少しは分かったような気がしました。旧ダイ大アニメだけでも、毎週聴いていらっしゃったわけで、当然、その曲でドラマ内容なども思い出され、感動などの気分も蘇るはず。

 そうなりますと「団時朗さん」で響くものが大きいことになります。自分ですと「帰ってきたウルトラマン」しか響くものがない。喜びが深ければ、失ったときの悲しみが深いのも当然なんだろうなと思います。

 響くものが大きいという点では、「REVENGER」についても、うらやましく思ったりします。自分だと事実上、「REVENGER」で共鳴するものといえば、主水さんの必殺シリーズしかない。仕掛け人など含めた全必殺シリーズを追い、好んでもいれば、雷蔵で「暗闇仕留人の糸井貢(石坂浩二)」が響いてくれたりするんでしょうね。

 それで雷蔵の印象と感動が深まって、逆に糸井貢も再び掘り下げられたりしてるのかなとも思えます(似た経験が自分にもないわけではない)。経験の量と質は財産だなと、改めて感じる次第。

 前置き長くなっちゃったんで開き直り、次のBASTARD感想を待たずに「モブ忍者の戦況解説」にも反応(^^;。「連載マンガのペース」だと印象が違うかもという点に納得するものがあります。BASTARDではない、ある連載ネット小説(アマチュアのもの)の感想を思い出したもので。

 その連載小説を1つにまとめて公開したところ、盛り上がりがないという感想が寄せられていました。自分も斜め読みしてみて確かにそうだと思えました。感想では「さざ波」と評してまして、妙に納得した覚えがあります。連載時は各話ごとに目を引く点を入れ、最後は次が読みたくような引きが入れてある。各話、それで精いっぱい頑張ってる。

 連載形式だと次話まで待ったり、少なくとも次話のページを開く操作があります。気分的にそこでリセット入るわけですが、1つの長編小説にまとめ直すとそういうものがなくなる。結果、ちょっと目を引くものが延々と続く感じに。それが「さざ波」。

 言い換えますと、全体構成を考えての山場とかの作りが弱くなっていたようです。それが各話に全力投球した結果というのが裏目にして皮肉な感じです。BASTARDですと、自分は連載時は熱心に観てましたが、90年代OVA、そしてこの22年版アニメでぶつぶつ不服を言いがちなのは、もしかすると「各話一生懸命、そのせいで全体がおざなり」という面があるのかもしれません。ご感想を拝読して、そんなことを考えました。

●ジョジョ:ストーンオーシャン(第36話:メイド・イン・ヘブン その①)

 プッチ神父のスタンドが最終形態:メイド・イン・ヘブンとなりまして、時間加速が発動したわけですが、何がどうなってるのかサッパリ分かりません(^^;。なんと申しますか、あらゆる解釈を許さないようにすら感じます。

 最初、人間(あるいは生物)だけが時間の流れが速くなっていくのを感じず、取り残される感じなのかなと思いました。それでは説明できない現象が起こっています。例えば単純なところで、時間が30倍速いとしますと、太陽の光も30倍のはずです。つまり、日中は明るいし暑いはず。

 しかし、そんなことはない。あるいは、物体の落下も速くなるわけですから、重力が強くなったと感じるはずですが、徐倫らはもとより、時間加速に巻き込まれた世界中の人々もそんなことは感じていない。

 その他の解釈をいろいろ考えてみても、今話の描写を説明できるようなものは思いつきません。前には「ハードSF的な理屈は、ジョジョの作風と合わない」と思ったりしましたが、どうもそんなレベルではない不可思議現象が起こっているように思えます。

 もしかすると「SFと思おうがファンタジーと思おうが、どんな解釈もできない」というのが狙いなのかもと思い始めました。少し予習しますと「メイド・イン・ヘブン」は人類を次の宇宙に連れて行くことが狙いのようです。そこで時間が一周したら歴史全てが確定した世界になる(おそらく時間がループしたゲーデル宇宙にして決定論の世界)。

 ただしプッチ神父のみが歴史に干渉できる(たぶんプッチ神父が理想とする歴史に作り替える)。プッチ神父だけがループした時間の宇宙の外にいるわけですから、神と称してもあながちハズレいていないでしょう。神の御業を人間が理解できなくても仕方ありません。

 しかし今話では神が如き力を得たプッチ神父に、Dioに心酔した人間の執念が見られたのが面白いところ。ジョースターの血統を断ちたいわけですな。ただし、プッチ神父はそのジョースターの血統が成功に導いてくれたとも考えている。それだけの力を持つだけにプッチ神父はジョースターと決着をつけなければとも思う(と徐倫は推測してますね)。

 心酔したDioは首から下が初代ジョジョですが、もう灰と化していなくなった。その息子らもリタイア。残るは承太郎と徐倫(もっとも日本に仗助もいれば、イタリアにジョルノもいますが、プッチ神父の眼中にないのか、単に知らないだけなのか)。

 そこで、次の宇宙に手っ取り早く(?)たどり着くためのスタンド能力の副産物ながら、(相対的な)高速移動で徐倫及び承太郎を始末しにかかるわけですね。サイボーグ009の加速装置、あるいはフラッシュの走力を敵手が持っちゃった状況みたいなものだと割り切れば、今話のバトルは分かりやすく、緊迫感もあります。

 なにより承太郎によって際立つように作ってありますな。まず前話ラストで承太郎登場しての押せ押せが、プッチ神父の「メイド・イン・ヘブン」発現で一気に再逆転する流れが絶望的です。テンションの上下が凄い。

 加えて、スタープラチナ・ザ・ワールドで時間停止中に見せる承太郎の焦りが緊張感を盛り上げます。こんなに焦る承太郎は見た覚えがなく、もしかしてシリーズ最大のピンチなのかと感じてしまいます。

 もっとも、承太郎の焦りの原因は1つではなさそう。そこを浮き上がらせるのが、アナスイの再びの素っ頓狂(^^;)にして、同時にカッコいい告白ですね。アナスイ、何を思ったのか、突如として承太郎に徐倫との交際~結婚を承諾してくれと迫り出す。

 しかし、アナスイの話を聞いてみると、じわじわと刺さって来るものがあります。どうやらアナスイが刑務所で徐倫に一目ぼれしたのは本物だったらしい。その気持ちに飽きることなく、むしろじわじわ強まり「俺の心の闇を光で照らして」くれるまでになっているわけですね。

 それでも、この告白(?)シーンがいきなり出てきたら唐突な感じは否めなかったと思いますが、準備がありました。ここへ向かう途中に、寝ている徐倫に指輪をはめてのコミカルシーンですね。あれで「唐突に、しかし同時に用意周到で、変なことをする」というイメージがアナスイに自然に生じてますんで、今話のこのシーンも受け入れられる気がします。

 それはともかく、注目したのは承太郎の反応ですね。超高速の敵手に追い込まれているところですから、「言ってることが分からない」と返すのはもっともな反応。しかし、何かを察したのか、徐倫はアナスイに寄り添い、しかし承太郎が引きはがすように徐倫を庇いにかかると。

 まるで「お嬢さんをください」「ええい、お前なんかにやらん」の彼氏さんと父ちゃんの争いみたいで、ちょっとクスリと来ました。が、それでハッとしまして「承太郎の守りたいものが、世界と娘(徐倫)で分裂している」→「ヒーローと父親の間で揺れている」と思いました。

 思い出しますと、承太郎初登場の「スターダストクルセイダース」でも、承太郎は母親ホリィを救いたいという気持ちが見え隠れしていました。続く「ダイヤモンドは砕けない」では「じじい」ことジョセフをこっそり気遣ってますね。血縁上は叔父ながらも年下の仗助にも。

 意外なくらい家族思いなわけで、今回は愛娘の徐倫。徐倫に当初、嫌われる原因となった疎遠も、戦いに巻き込まないため。しかし今回はどうしようもなく巻き込まれてます。そこは1クールめ最終盤でも描かれた通りの心情でして、要は心配で仕方ない、つまり徐倫が可愛くて仕方ない。

 それが今話でアナスイの告白に対する仏頂面で淡白な台詞と、思わずの仕草に現れているような気がします。これは今の戦いにおいて弱点となるか、それとも根性と気合が増す要素かは、次回を観ないと分からない感じですが、ジョジョSOはもちろん、それ以前からのいろいろも、この一瞬にぶち込んでくれた作者の手際には感じ入る次第です。

 作者の手際の良さは今話内だけにもよく表れてまして、BASTARDでのモブ忍者解説に対しての、エンポリオ解説の違いと申しましょうか。周囲の時間の速さが30倍と承太郎と言うと、エンポリオがいろんなものの速さがどれくらいになるか、いろいろ挙げるわけですね。

 時速1800kmだのマッハ2.4だの。まあ、刑務所でのバトルでは2進数で敵手ミューミューを2進数で描く数式なんてひねり出してたエンポリオですから、その程度の計算はできるでしょう。が、そこまで速さの具体例挙げるのはちょっとうるさいような気がしないでもなかったです。

 が、最後のプッチ神父の攻撃に、そのエンポリオ解説が効いて来るとは。承太郎の時間停止が切れる直前、ヤシの木をバネにしてこちらに飛ぼうとするプッチ神父を目視するわけですね。既に「60km/hでも1800km/h」というのはエンポリオから聞いています。プッチ神父の襲撃がとんでもない速度になることだけは一瞬で実感できます。

 突進してくるプッチ神父に対し、神速のスタープラチナで迎撃できなくても当然と思えてしまうわけですね。喉を斬られて万事休すと思えますが、そこにアナスイが絡んでいたのが、やはり作者の上手いところ。上述の唐突な告白の続きがあったとは。徐倫を巡って争奪(?)していながらも、アナスイが承太郎を守る仕掛けを施してたわけですね。しかも、自分のスタンドを盾とする、自分(アナスイ)が代わってダメージを受けるもの。

 このアナスイの覚悟がどう承太郎に伝わったんだろうか。徐倫は時間停止中のこととて経過は分からないはずですが、察しはしたかな? ともかくも、承太郎の再度の時間停止も徐倫らをかろうじて守るくらいで、プッチ神父には届かず、で続く。

 この宇宙での戦いはプッチ神父のほぼ完勝で、エンポリオしか次の宇宙へは生き残らないのは予習で分かりますが、次回でそこをどう描いてくれるかは気にしています。いったん完全に絶望するような敗北なのか。それとも一縷の希望を暗示するのか。暗示するとして、観ている最中に分かるのか、それとも後から分かる仕掛けなのか。

 できれば、後から分かる希望を残して最終回へつないでくれないかなと思います。ジョジョシリーズ全体を通して、絵では嘘をつかないところは自分的に評価高いポイントです。それも途中までは見ていても気づかず、後で「ああ、あれか」と気が付くのが好み。

 今話でも、録画を観なおしてみると、最初から雲が異様に速く流れているのに気が付きました。徐倫らが時間の異常に気が付くよりずっと前ですね。注意深く見ていれば、観ているこちらが先に気が付くことができるようになってました。残る2話も、そのようにして欲しいなあと思っています。

Re: 3月のスレッド(2023) - K.K

2023/03/27 (Mon) 22:56:32

 定期感想書その3です。

●仮面ライダーギーツ(第28話:慟哭Ⅳ:絆のレーザーブースト!)

 前話まででジーンが英寿の正体に執拗に迫ったり、キューンが祢音にジーンについて警告するなどありましたんで、いったん自分はジーンが別の目的を持つ黒幕か何かかと勘繰りました。

 しかしこちらで「鈴木福氏が、年季の入ったライダーファン」であり、藤岡弘、さんにアドバイス・激励された通りに、「2年後が今」のライダーになれたと知ってみますと、「もしや」という気がしました。

 そして今話を観てみると、「もしや」のほうの気持ちいいジーンの結末となりまして納得度が高いですね。ある意味、ジーンはライダーファンの2つのタイプを表しつつ、ファンの夢を代表して叶えてくれたように思えます。

 前話までのジーンが表していたのは、仮面ライダーへの憧れですね。ずっと活躍を見ていたいというわけで、推しのライダーは「憧憬型ヒーロー」といえそうです。ファンとしては自分がライダーになってみる空想ではなく「もし身の回りに本当にこのヒーローがいたら」ですね。ヒーローを尊敬しているけど、「さっさと悪者ぶっ飛ばしちゃえ」みたいな無茶振り応援やっちゃったりもする。

 しかし、前話ラストでジーンは生きるか死ぬかを、推しのライダー(ギーツ)についても、自らも経験したわけですね。ギーツ/英寿から再三言われていた厳しさであるんですが、ジーンがのめり込むことが深くなり、ついに「命を賭して戦うヒーロー」の立ち位置に辿り着いた。

 こちらは「感情移入型ヒーロー」でして、ファンは「自分がライダーになった」という空想での感情移入。「自分ならどうするか/何がやれるか?」という思考も働きますんで、ときに苦しくなったりも。しかし、それだけにヒーローが達成したものを経過込みで実感して理解したりもするわけですな。

 ジーンは「ヒーローを見て憧れて、なってみて苦労もして、ライダーの何たるかを掴んだ」といえましょうか。まさに我々がライダーに目が留まってから、ファン~サポーターに至る過程を劇中で模してなぞってくれたような印象があります。なるほど、鈴木福さんを起用してくれたのは、これを見せてくれるためだったかという気が強くします。

 鈴木福さんは「セイバー+ゼンカイジャー スーパーヒーロー戦記」ではライダーシリーズ原作の石ノ森章太郎役で出演されてるわけで、作り手も(疑似)経験されてますね。そして今回は仮面ライダーを経験できたわけか。なんだかうらやましいです(^^;。

 それはともかく、ジーンは最後にライダーに変身するための「レーザーレイズライザー」をギーツ/英寿に譲る。ファンとしては「応援」となりましょうか。その応援を受けて、ギーツ/英寿は「覚悟」を見せるためのあと一歩(使用後の睡魔)を進め、見事に勝利。

 その直後、ジーンは英寿/ギーツと出会って得たものを大事にして生きていくと言って去ってしまうわけですね。以前の自分ですと、最後のジーンの行動(別離)は理解しがたかったかもしれません。が、こちらでご教示頂いて、いろいろライダー(平成以降)を観るようになると、ジーンが去ることを選択する気持ちが分かる気がしました(それ以上は、どうもうまく説明できません。納得は深いんだけど)。

 それにしても、ジーンがこのように、いわばヒーローとファンのエール交換して、しかし去ってしまいますと、ケケラの不審やキューンの警戒が何だったか、ちょっと分かりにくい。「ジーンを放置すると常勝ギーツを強化してしまい、自分たちの推しライダーの勝ち目が」ということだったんだろうか。

 前回に続いて坂本浩一監督回でして、アクション的にも見どころいろいろでしたな。自分的に特に印象に残ったのは、一点を捉えつつの急速なカメラ移動でしょうか。アクションがいったん静止して、カメラがその周りをぐるぐる移動するのは、何度か見た覚えがあります。牙狼劇場版でも使われてました。

 が、動いているアクションでそうするのは、実写(特撮)では初めて見た気がします。アニメならありまして(牙狼VL等)、アニメなら実現可能な技術でしょう。CGがコンピュータ含めて向上し、ようやく実写でも違和感なくやれるようになったのかなと思います(それでも費用的にはまだお高いのかも ^^;)。これからも見せて欲しい演出です。

 今話で次への伏線があるとすれば、DGP側では英寿が転生しても手にする古代コインかな。DGPリタイアすると記憶が失われますが、IDコアに触れると記憶が戻るわけですね。もしかしてあのコイン、触れると転生前の記憶が蘇るものなんだろうか。

 どうかしますと、嫌な想像ですが「2千年さまよってるのはコインであって、コインに触れた者は強制的に『えーす』の記憶を付与される、触れる者は誰であってもいい」なんてこともあり得なくはない気がしてしまいます。

 あのコインなんだろうというのは気になりますが、今話ラストで道長/バッファがヴィジョンドライバーを奪取、次回「慟哭Ⅴ:サプライズ!闘牛ゲーム♡」では自ら考案した「闘牛ゲーム」開催するらしい。ジャマト側ながら道長が浮上してくる感じです。DGP側はいったん祢音に焦点が移るらしい。コインの種明かしはお預けのようです。

●仮面ライダー555(第9話:社長登場、第10話:謎のライダー)

 今週分は聖書(福音書)の一節を思い出すようなものがありました。「自分の家に悪党が居座っていれば追い出さねばならない。しかしそれだけではもっとひどい悪党がやってきてしまう。だから悪党を追い出したら善き友を招きなさい」みたいな教えです。迷いや悩みを打ち消すだけでは駄目で、その心の穴を埋める良い教えを、という寓意らしい。

 今週分の555ですと、先週分で音楽(ギター)で起こった海堂の悩みは解消されましたが、オルフェノクになったゆえにギターの師であり続けるわけにもいかず、この先の希望を見いだせずに綱渡りするドラマが発生してますね。

 海堂はスマートブレイン社長:村上峡児より555ギアを託されたこともあって、人間と敵対し、「役立たず」のオルフェノクを始末する役割を担おうとする。この役割を引き受けたこと自体、海堂の抱える矛盾を表していそうな気がします。結花が部分的に指摘していますが、海堂は心の底では勇治寄りであり、人間が好きなはずということですね。

 海堂も(音楽を通じて)人間が好きであると気が付いてしまっているので、人間を始末する、あるいは低確率でオルフェノクにするリクルーターになることはできない。それなら、というわけで(スマートブレインが良しとする)オルフェノクの邪魔になるオルフェノクを処分する役割を担おうとする。

 それが、これからの生き方・存在意義となると海堂は考えようとしたようですが、オルフェノク化したことでオルフェノクに同族・仲間意識を抱くようになっていることに目をそらしてしまってますな。具体的には、結花が指摘した通り、勇治に敵対意識を抱けない。スマートブレインの意思に逆らう邪魔者として処分するかも、なんて言い、555という優位な戦力を持ちながら、無防備に等しい勇治/ホースオルフェノクに止めを刺せず、(手加減した)返り討ちに遭ってしまう。

 その途中で、海堂が巧に絡みに行ったのも、上述の「人間もオルフェノクも害せないのにどっちにも敵対する」矛盾ゆえのいら立ちのせいでしょうか。巧はまだ海堂がオルフェノクと気が付いてない様子がありますが、海堂のほうは巧が555だと知っている。もっとも、巧も海堂が555になったことは知ってるわけですね。ただし、555になれるのはオルフェノクということは、まだどちらも知らないらしい。

 しかし結局、海堂はギターを弾くこと、教えることに代わる生き方として見出した555を失い(判定役が啓太郎なのが面白いところ)、また迷走しそうです。そのほうがいいかもしれないのは、勇治が海堂に言った「君(海堂)に倒されるわけにはいかない、きっと君は立ち直れなくなるから」で示されていそうです。

 少なくとも仲間を、それが人であれオルフェノクであれ、殺害するという一線を超えたら、もう戻れないということでしょう。それをよく表しているのが、今週分のゲストオルフェノクの「覆面の男」/スネイルオルフェノクです。登場時点で既にオルフェノクのようですが、空き巣を働く程度。しかも、飢えを満たす食い物だけ盗み、せめてもの罪滅ぼしでしょうか、掃除とか家事を念入りにやって立ち去るというもの。

 根は気の小さい善人で、何らかの事情で働けなくて、そんなことしているという感じですね。海堂が始末人としての555となり、スマートレディが恫喝しても、人を害する自信がないと言う。が、飢えは強烈らしい。忍び込んだ家で食料をむさぼるさまはちょっと異様なほど。その飢えが手伝ってなのか、ついに人を殺めてしまうわけですな(オルフェノク化しようとして失敗したのか、単純に殺害したのか不明)。

 その1人の殺害で「覆面の男」の気持ちのハードルはグッと下がってしまうわけですね。やってみれば簡単だったといい、そこからは蛮行を蛮行とも思わなくなり、海堂から奪った555ギアを持ち去る啓太郎にもためらわず襲い掛かると。これは駆けつけた巧が555ギアを受け取って倒し、何とかなるわけですが、オルフェノクで心の穴を埋めた場合を強く暗示する事例だったと申せましょうか。

 その方向に行きつつある感じなのが結花ですね。高校での凶行を悔い、勇治に助け出されても、未だ以前の家庭・学校での虐待への恨みは心の底にくすぶり、解決していないらしい。同時に(虐める義理の妹ですら心配したような)優しさも保ち続けてまして、悩める海堂を心配したり、啓太郎が足に紅茶をこぼしても慌てたり。

 しかし、不良らしきグループが絡んで来ますと、憎悪を持つ一面が暴走してしまうわけですね。金をせびられると人けのないところへ誘い、クレインオルフェノクとなって皆殺しにした模様(遺体が見えず、殺害かオルフェノク化失敗か、これも不明)。しかも、嬉しげ、満足気なのが怖いところ。

 このシーン、最初は結花単独での気持ちの揺れかと思ったんですが、もしかすると啓太郎が知らずにちょっとだけ背中を押してしまった結果かもしれません。クリーニング店に来た結花に、啓太郎は上述の奇妙な泥棒について注意を促してます。かつ、結花は啓太郎を信頼する様子がある(前に携帯返してもらってるからかな)。その啓太郎が注意を促したんで、結花の警戒レベルが上がっていたことが凶行に影響したのかも。

 海堂や結花に比べ、比較的安定しているのが勇治ですね。現時点では人間(の心)であろうとし、スマートブレイン新社長の村上峡児の誘いをきっぱり断り、海堂を闇に堕ちることから救い出してます。またしても巧&真理と(互いに正体を知らずに)接触があるわけですが、温和さを崩さずに親切に振舞う。ただ、自分的には未だ無理してそうしているような気もしまして、なんだか危うい気がしています。例えが悪いかもしれませんが、前作:龍騎で吹っ切ったふりをする真司みたいと申しましょうか。

 巧サイドも揺れてまして、巧本人ですね。真理の念願かなって、スマートブレイン社長に面会となるわけですが、真理の父親(養父の花形)でないし、555ギアはスマートブレインのものだからと返却になるし。この555ギアの返却で巧が動揺するわけですね。いや、動揺というより虚ろという感じか。

 要はいわゆる「心にぽっかり穴が開いた」ということですな。今週の判定役(?)の啓太郎が指摘してまして、その穴とは「正義の味方」ということらしい。真理に出会って、555ギアを託されてからは、「人間を守る」べく戦ってきたわけですが、どうやらそれが巧の気持ちの支えになるものらしい。むしろ、もっと強くて「気持ちを実現する力」でしょうか。

 555ギアを失ってみるとオルフェノクに対抗する術がなく、もう人間を守りたくても守れない。その心の穴に何が忍び込んで来るかが問題で、今週のゲストオルフェノク/覆面の男や、結花の凶行が示す通りの危険性があるわけですね。幸い、事情をよく知らないながらに勘がいい啓太郎が555ギアを奪還して巧に返しまして、とりあえずは事なきを得た感じです。

 巧も自分にとっての555ギア≒ライダーが何であるか、多少なりとも実感するものがあったんじゃなかろうか。前にも555ギアを持ち歩いてなくてピンチとかありまして、ギアが技術的産物の機械で、失いもすれば得もすることがまたも明示された感じです。

 そして、巧にとっての555ギアは海堂にとってのギターを弾ける手であるようですね。巧は555ギアが戻って心の穴を埋めることができましたが、海堂は(オルフェノクの体を得ても)それができない。巧が今週前半で受けた喪失は、後半で早々に救済されたのはホッとしますが、それだけに海堂が未だ危ういのが浮き彫りになった印象があります。

 最後に謎のライダーが現れまして続く。このライダーがカイザみたいですね。作業員2名が取り残された謎の教室(実は流星塾)に現れた人物が変身しているのかしらん。カイザのメイン変身者は草加雅人だそうですが、登場は第13話かららしい。次週分(第11~12話)ではまだ謎の存在とされそう。

 そこへの伏線なんでしょうか、真理に怪しげな動きが起こってますね。スマートブレイン社に行ってはみたものの、養父は行方不明とだけ言われる。作業員2名が取り残された謎の教室に飾られた絵には「園田真理」の名前がある。携帯に小学校時代と思しき、しかし不鮮明な写真付きのメールが届く。

 これらは予習を踏まえてみると、草加雅人登場の伏線であり、巧らが何のために戦っているかを明かしていく予兆みたいな感じです。

 そうなると、ただでさえ(主に人物関係で)ややこしい物語がさらにややこしくなりそう。しかし、こちらで「ラッキークローバーが登場し、ファイズ陣営にも、木場陣営にも脅威」と伺ったことで、ちょっと整理もできてきています。とりあえず、スマートブレイン・巧ら・勇治らの陣営の三つ巴と解してみると、今週分の動きが分かりやすい。

 さらに各キャラクターの立ち位置も整理できないかなと思っています。とりあえず似た感じとして連想するのは「真・女神転生」の「ロウ-カオス」軸と「ライド-ダーク」軸の2次元平面です。これを「人間-オルフェノク」軸と「善意-悪意」軸で考えれば、多少は整理つくかなと。

 ただ、真・女神転生のように「中立がベスト」とはならなさそう。また人間とオルフェノクは身体的にはどちらかしかない。気持ちがどっち寄りで考えるしかなさそうですが、オルフェノクになるとオルフェノクに惹かれるというのは既に劇中で描かれた通り。どうもすっきりとは行きそうにありません。

 それでも何とか工夫しないと、どうも各人物の動きや気持ちの理解が混沌としてきがちです。まあ、そのややこしさをむしろ歯応えとして楽しんではいるんですが(^^;。

Re: 3月のスレッド(2023) - K.K

2023/03/29 (Wed) 15:53:21

 定期感想書その4です。

●牙狼:翔編(第13話:沼)

 こちらで伺った通り、後半からOP曲が変わって歌入りですね。牙狼恒例になってる気もします。OPで歌が入ると「ここから牙狼側が巻き返し」という、ちょっとテンション上がる気分にもなります。ED曲も変わってますが、こちらはOP曲と対照的にしっとり静かな感じに少し変わったかな。

 それはともかく本編。法剣は未だ流牙側にあるはずですが、ラダンの復活はもはや止まらないらしい。次の満月とガルドは予測してますね。しかも邪気が影響すれば早まる恐れもあり、間の悪いことに邪気の強いホラーが出現してしまうと。

 流牙側は2方面から敵に迫る戦術をとり、1つは邪気を放つホラー討伐ですね。これは流牙、莉杏、ガルドが向かうんですが、ガルドがどうも危ういですな。例の自爆による相討ちアイテム携えてます。

 ガルドの印象って、最初は言い方悪いですが「自信過剰で生意気なガキ」といったところ。しかし、思いを寄せる法師がいると判明し、それが妹ハルナと分かりますと「守るために必死だから」(しかも経緯から他人を信用できない、特に騎士)と思えてきます。

 しかし必死過ぎて自分(ガルド)の命すら軽んじるのが危うい。たぶん、ジンガの村襲撃から我が身を犠牲に守ってくれた法師(モユル)に感動し、いざとなれば自分もそのようにすると思い定めちゃったんでしょうね。

 一方、ラダン追跡はハルナに託される。ガルドが囚われの身になったとき、探知アイテムをアミリに仕込んでましたか。発動条件がやっかいで、(封印された)ラダンにアミリが触れたとき、ですか。しかも、その発動を察知するためには、広範囲の情報を探り続けねばならず、負担が大きい。下手すると死ぬかもしれない。

 ハルナは顔色一つ変えず、しかも病弱なのに任務を引き受けてまして、兄ガルド同様、危ういくらいの覚悟。ただし、D・リンゴのサポートが必要とのことで、まあD・リンゴがついていれば何とかなりそうな雰囲気はあります。この翔編外の事情ですが、こないだのネット放映の「烈伝」で若き日のD・リンゴのエピソードを観たことも、「まあ、こっち(ハルナ)は大丈夫だろう」と思える理由だったりします(^^;。

 流牙らのホラー討伐のほうは、途中からどんなホラーだったか思い出しました。最初に「妖艶な女」が出てきたときは、「あ、これが半身ホラー化したら、好みのデザインのが出て来るかな」と思ったんですが、「いや、確か沼の話ではデカいやつ出てきたんだっけ」と思い出しました。

 この「妖艶な女」は改めてウィキペディアを確認すると「疑似餌」のようなものらしい。冒頭の釣りシーン、自分が詳しくなくて確かなことは言えませんが、疑似餌使うルアーフィッシングだったのかな。釣り師が疑似餌使ったら、獲物のほうが疑似餌使って食われちゃったみたいな。

 しかし、このホラー:ベグルの「妖艶な女」って、疑似餌というよりは、獲物を絡めとったり、脅威度の低い外敵を退ける触手みたいな感じに見えます。この「妖艶な女」で対処できない敵/獲物が現れたら、でかい本体が出て来るわけですね。

 本体のほうは、改めてよく見直してみまして、巨大ロボットという感じですな。皮膚(外骨格?)は甲殻類的ですが、頭部の横に伸びる目がいかにもメインカメラっぽい。それにしてもデカい。巨体に見合ったパワーもある。

 そのうえ、硬いわけですね。鎧召喚しての渾身の突きも、剣が半ばまでしか刺さらない。ホラー:ベグルの退路を断つべく沼を封印したガルド、戦況を見て勝てないと思い、撤退を促すほど。ただ、この時点のガルドは自爆アイテムを行使して、流牙と莉杏を逃がすつもりだったっぽい。

 が、ザルバのアドバイスから莉杏が勝ち目を見出す。さっき刺した剣で外骨格にひびが入ったのを見て取り、ホラーの反対側から鎧召喚して突き破り、鎧装備してもう一度剣で突き抜けるわけか。

 流牙&莉杏コンビネーションによる逆転の快勝ではあるんですけど、ちょっと不安も覚えました。勝ち方として、檜葉セイジにジンガ&アミリが止めを刺したやり方(刺したままの剣に鞘を納める)に似ている気がしたもんで。悪役のパターンとして「主人公が一歩間違えばなっていたかもしれない」というのがあるそうですが、もしかして流牙&莉杏もそうなのかと。

 しかし、守る、あるいは一矢報いるには命を捨てかねないガルドに、流牙&莉杏が生きて勝つ覚悟を説き、ガルドも受け入れました。やはり流牙らとジンガらとの間には決して超えられない壁がありそう。

 ハルナの探索のほうも、代わったものの完遂出来なかったD・リンゴを引き継いで、ハルナがやり通す。これで一応はラスボスの現時点の所在を突き止めたことになりますね。ジンガがアミリに言った「お前は俺の月」という台詞はハルナに聞こえていたかしらん。聞こえていたとして、単なるノロケではないと気が付いたかしらん。

●BASTARD(第12話:死生)

 下忍解説がガラ解説に代わりましたが、どうもうるさい感じがしてしまうのは変わりなかったみたいです(^^;。もっとも、DSとネイが一撃必殺の激突する直前のガラ解説は、ある種のミスディレクションにはなっているようです。DS敗北/相討ち必至等の手詰まりを提示しておいて、実際のバトルの流れは違う方向で進む。

 しかし、一撃ごとの結果解説のほうはどうも好みじゃない。魔法決戦に戻っての撃ち合い(エグ・ゾーダス)でのDSの敗北、DSの動揺のせいと見れば分かるように描写されてました。が、ガラが解説してしまう。さらにネイも勝利宣言代わりに解説してまして、「そこまで言わんでも分かるよ」みたいな気分に(^^;。

 もっとも、バトルの流れ自体は一撃必殺のようでいて丁々発止でして、悪くない。まず雷神剣のネイが有利になるよう、戦場での魔法を封印。これに対してイフリートが駆けつけ、炎の剣としてDSをサポート。それでもネイ有利ながら、炎の剣/イフリートが相手の剣(雷神剣/ヌエ)だけを道連れに封印に飛び込み、魔法対戦に戻す。

 その際、イフリートがDSに言った「世界はあなたを必要としている」は、このずっと後にDSが実は巻き込まれ主人公(旧世界の生物兵器:竜戦士の操縦者等)であることの伏線になってるかも。作者がこの時点でそこまで構想していたかどうかは分かりませんが。

 そこはともかく、ネイについても、強さを示すと同時にDSをずっと慕っていたという匂わせがありますな。DSの魔法を使えるようになっていた(一部、先に行きすらする)ということで、DSの背中を追いかけていたことが分かります。
(まあ、そんな匂わせしなくても、例えばボディタッチでへなへなになるから分かることではありますが(^^;。)

 そこは、この戦いの決着についての伏線といえるかもしれません。確か、今話で吹き飛ばされたDSは空元気で立ち上がり、本当の最後の激突となるはずですが、ネイが(一応は ^^;)爪の呪いとDSへの思慕で揺れるはず。そこは今話の描写があれば説得力を持ちそうです。

 DSの今話の迷いのほうも、ネイにかかった呪いに気付いて心臓をえぐり出しての解呪の決断に説得力を与えそうです(そこでルーシェが実は大物と暗示されるんだっけ?)。一応、いろいろ無駄ではないはずですね。魔法封印の異空間へ消えた2本の剣も、この先のDSとネイのピンチを救う鍵になるはずだし。

 1クールめはこのペースですと、DSが己が心臓と引き換えにネイを救うところまでかな。公式サイトで予習しますと(Netflixでは放映完了なんで予告が1期最終話まである ^^;)、2クールめからはDS死亡を機にカル=ス側が攻勢に出るようで、DSらへはアビゲイル出撃。それの決着でこの第1期終了みたい。

 第2期制作決定とのことですが、どこまでやるんだろう。アンスラサクス復活は直ちにDS逆転敗北から天使降臨になっちゃうはずで、いったん終えるにキリのいいところが思い当たりません。アンスラサクスを倒しました、と見せるところで終え、人気が維持できていれば第3期を天使降臨から始めるのかな。

 原作が完結していないのが制作としてつらいところでしょうね。原作未完でアニメ化したのといえば、ダイの大冒険(初作)がありますね。こちらは未見で内容がよく分かりませんが、こちらで伺った感じなどからすると、ダイの出自の鍵であるバランで、先がまだあると示しつつ、うまく締めくくったようですね。

 そして原作完結後に、ここで毎週感想書いた、きっちり完結までやってくれたダイの大冒険(20年版)。同様のものとして「鋼の錬金術師」を思い出します。こちらは原作未完時期の初作では結末を大きく変えて(現実世界とリンクさせる)、それなりに納得する締めくくりでした。そして原作完結後のリメイク(?)では原作通りに完結でして、そちらも(当然ですけど ^^;)納得度が高い。

 ゲッターロボですと、ここで感想書いたアニメ版は原作者がゲッター世界構想を広げつつも他界されたことをリスペクトする作りだった気がします。視聴直後はモヤモヤするものがないでもなかったですが、今となっては「あれはあれできっちり作り終えたといえそう」という気がします。

 このBASTARDはどうするのかなと思います。アニメでオリジナルな結末用意したら、原作者がコミック描き進める気を起こしたとき困るかもしれない(例えば「アニメのほうがよかった」みたいな不評とか心配)。原作者がこの機にBASTARDを完結させる気を起こしてくれたらいいんでしょうけど、どうも原作者はBASTARDで一生遊んでいたいような雰囲気も感じます(^^;。原作未完を正直にアニメも未完で描くのが無難なのかなあ。

Re: 3月のスレッド(2023) - Shiny NOVA

2023/03/30 (Thu) 00:43:43

 ライダー感想です。

★ギーツ

 鈴木福氏演じるジーンの退場編。
 まあ、死んで退場ではなく、サポーターとして引っ込んでおきます宣言だから、再登場の可能性は十分にありますね。

 とりあえず、ギーツのパワーアップに寄与して、3月は終了。

 次はサブライダーの方にスポットが移る流れですな。

★ファイズ

 ファイズドライバーの持ち主がいろいろ変わるのが、他のライダーにはない面白ポイントですな。

 で、次に登場したカイザドライバーは、ファイズ以上に厄介なベルトです。

 ファイズドライバーは、不適合者は変身できないのですが、
 カイザドライバーは、不適合者が変身解除後に死ぬ、ですから。

 このベルトに適合するしないが、今後のドラマのポイントになっていくわけで。

 今回、登場した村上社長ですが、牙狼ではヒロインのカオルの父親であり、牙狼の絵本の作者だったりしますね。
 当面は、敵ボスとして、君臨する形。

 次回は、ラッキークローバーと流星塾がキーワードになる、と。

★シン仮面ライダー

 先に結論というかネタバレをすると、ヒロインの緑川ルリ子が後半で死に、主人公の本郷猛も最後に死んでしまうという点で、賛否両論になる作品です。

 ただ、この作品では「生命はプラーナというエネルギー体に変換される」という設定で、
 肉体が崩壊したルリ子の思念が、本郷猛の仮面にプラーナとして残留し、ラスボス(ルリ子の兄)を倒し、改心させるための切り札となった挙句、
 本郷とラスボスが相討ちのように消滅する流れ。

 そして、本郷のプラーナを宿した仮面を2号ライダーの一文字が引き継ぐことで、2人で1つのWライダーになって、物語が終了する形です。

 一応、原作コミックの仮面ライダーが、本郷ライダーを一文字隼人含む12人のショッカーライダーが急襲(龍騎の13人ライダーの元ネタはここ)。
 本郷は一文字を倒して、脳改造洗脳から解放することに成功しますが、他のショッカーライダーとの死闘で死んでしまいます。
 ただ、本郷の頭脳だけはライダー基地のコンピューターに接続されて、肉体を失っても、後継の一文字と通信によって支援する形になるのが原作コミック版。

 TV版では、藤岡弘、さんの事故による足の負傷で、仮面ライダーは1クールが過ぎた後に一文字隼人の2号ライダー編になるわけですが、その際に本郷猛を殺そうという意見も出たのを、プロデューサーが反対して、「ショッカーの作戦を追ってヨーロッパに行った」という設定で主人公交代の理由にしました。
 その後、3クールを過ぎた40話で、外国で戦っていた本郷が帰国して、一文字と共闘する初のWライダー編が実現。
 そして、2年めの53話から、今度は一文字が南米に向かって旅立ち、本郷が主役に返り咲くという形に。

 TVシリーズの流れを話数でまとめると、以下の通りです。

・1話〜13話:旧1号編
・14〜52話:2号編
・53〜98話:新1号編
・99〜100話:V3の1、2話。Wライダーの退場編

 で、原作コミックでは死んでしまった本郷猛ですが、脳だけが生きていて一文字ライダーを支援しつつ、共に戦う形に。
 その要素が、仮面ライダーWに受け継がれたりもしていますね。翔太郎の肉体にフィリップの思念が宿って、2人で1人のライダーになる点。

 なお、原作コミックはその後、一文字ライダーの活躍を中心に展開されますが、終盤で「本郷猛が完全に機械の肉体に脳を移植したロボットライダーとして復活」して、TVに準じたWライダーを実現します。

 そんなわけで、今回のシン仮面ライダーは、原作版の「本郷の死と、一文字と思念で会話」までを描いて、物語が終了。
 TV版における旧1号編を原作に、今風にブラッシュアップした作品ということになります。

 これまでのライダー映像化作品で、本郷および緑川ルリ子の死を描いた物語はなかったので(生死不明からの復活は何度もあったけど)、確かに原作コミックに準じた「真のライダー」と言えるわけですが、
 原作を知らない人の視点では、主人公とヒロインの死という後味悪い作品にも映るか、と。

 個人的には、この続きの2号ライダー編も見たいわけですが、1号ライダーの物語としては、いろいろと斬新な格好いい映像と、意外な展開のドラマと、独自解釈の本郷およびルリ子のキャラ像が印象的な作品。

 あと、SHOCKERが従来の「世界征服を企てる悪の秘密結社」ではなく、「人類の幸せを実現させようと狂ったAIが立ち上げた秘密結社」という設定。
 そして、「人類の幸せ」の定義が、「最大多数の最大幸福」ではなく、「最も幸せから遠い、社会から阻害された不適合者を救済するために怪人の力を与えて、彼らの望みを叶えるための協力をする。かつ、その人間の業を観察して学ぶ」という形。

 よって、オーグと呼称される怪人たちの個性がいろいろ面白く、クモオーグは組織に忠誠を誓いつつサディスティックに人を傷つけるのが大好きで、
 コウモリオーグは「ウィルスこそが世界の支配者」という思想に染まり、
 それぞれのエゴを強化された連中で、

 一方、本郷猛のバッタオーグも、改造前はコミュ障と指摘されていたり、
 緑川ルリ子も、ショッカーによって生体計算機として生み出された試験管ベビーで、元々は感情を持たないクールビューティーだったり(それが本郷との関係を経て人としての感情を学ぶ大筋もある)、

 まあ、このキャラ設定が、エヴァ的だったり、どこか555的だったりするのが、庵野さんっぽい点かも。
 阻害された特別チームの葛藤を描くのが、庵野風だったりもしますし、感情を持たない知性体が愛に目覚める展開は、シン・ウルトラでもあったりします。

 なお、シン・ウルトラの主人公役者が今回、瀧和也を演じて本郷たちをバックアップしていたり、ヒロイン役の人が今回、サソリオーグ(女性怪人)を演じて暴れていたり、役者ネタも面白し。

 とりあえず、結末はビターエンドですが、石ノ森さんの原作ネタが濃厚で、途中のアクションは斬新で見栄えもしますし、全体としては楽しく見られた作品です。
 ただ、旧1号編だけなので、その後の2号編とかがないと、中途半端で終わった気がして、続きはもうないのかな、と気になる作品でした。

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