創作と鑑賞の談話室

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8月のスレッド(2023) - K.K

2023/08/01 (Tue) 00:01:04

 8月の雑談スレッドです。

Re: 8月のスレッド(2023) - K.K

2023/08/02 (Wed) 16:04:22

 定期感想その2です。

●劇場版キングオージャー(アドベンチャー・ヘブン)

 ご紹介とご解説、毎度の定型文になってしまいますが、いつもありがとうございます。TV本編はラクレスについてYoutubeの「ラクレス王の秘密」で少し補足されていたわけですが、そのネット放映版含めて、さらに劇場版で補完された格好のようですね。

 初代国王(ライニオール・ハスティー)から世界の破滅が予定されているなんて聞かされていたわけでしたか。しかし手をこまねいているわけにはいかない。ラクレスの選択は初代の勧め通り、己が強くあれ、そのためには弱きを切り捨て、あるいは犠牲にするもやむなし。

 それがテーゼだとすれば、アンチテーゼはギラのみんなを救うという意思なんでしょうな。TV本編で申せば、ダイゴーグとの対決において、巻き添えになりそうになった子供をまず救う行為で見せてました。劇場版ではデボニカが自ら犠牲になろうとしてもギラは救い、デボニカから冠を託されると。

 つまり王たる者として認められる。そこへ仲間の王にしてオージャー戦士が駆けつけて来るわけですか。それぞれ試練を経て、ギラ同様に王たる資格を確かにしている。ヒメノは両親の甘言、カグラギは己が弑した前王の恨みを向けら、しかし己が責任を確かにして乗り越えるようですね。

 リタの試練は裁く者としての責任ですか。裁いて罰するなら恨まれる。閻魔様って溶けた銅を毎日飲む罰を自ら受けるそうですが、裁くこともまた悪業であるかららしい。しかし法に則り公正を心がけるならば、裁かれて感謝する者もいるということで救われると。リタの表の顔(感情を見せず冷静)と裏の顔(もっふんぬいぐるみと想像で会話しての愚痴)の落差がなぜあるのかを示しているようで面白そうですな。

 ヤンマはいわば近代的合理精神を体現しているんでしょうか。古代なら孔子の怪乱神を語らず、現実に立脚する。兵法の孫子もそうですね。TV本編ではシュゴッドのソウルについて、情で感じるギラと理知で解するヤンマの論争を見たところですな。

 そういう各王が、力を結集すべしとして初代を拒んだギラと合流するわけですか。そこはいわば孤高のヒーローたるライダー(もっとも平成以降はいろいろですが)と、チームワークで勝利する戦隊との差なんでしょうね。

 自分はTV本編で、戦隊として結集はしたものの、名乗りはそれぞれが王であると宣言するのを見まして、「いつかは『我々が王/王者戦隊』と名乗るかな」と思いましたが、劇場版で実現していたんですか。「ここに集いし我らこそは、王様戦隊キングオージャー!」ですね。ギラが代表して名乗ったようですが、いずれTV本編では6人が声を一つにしてくれるのかな。

 そうなってようやく、初代ライニオール~ラクレスのテーゼ「生き残るための最強」に対するアンチテーゼ「力を合わせて最強」を具体的に突きつけた格好になってるように思えます。もしかすると、TV本編では「強いとか弱いとかって何か」~「役割分担だけの話じゃないの」みたいな止揚に辿り着くのかなとか妄想しています(^^;。

 ともかくも、お話を聞いているだけでも面白そうと思えます。東映公式Youtubeでやってくれるとしたら、どのくらい先になるかな。たぶんTV本編のネット再放映に合わせてでしょうか。自分は相変わらず映画館に行かず、映像ソフトも買わずですが、この「アドベンチャー・ヘブン」は覚えておいて、ネットで見逃さないようにしたいですね。

●仮面ライダー555(第45話:王の目覚め、第46話:新社長誕生)

 ニアミスが衝突となり、玉突きで退場していく者が出る展開ですね。普通(?)だと、退場劇は状況の整理を伴い、対立構図がはっきりして最終対決になだれ込む段取りになるわけですが、この555だとむしろ錯綜して来ますな。次週以降、残りたった4話でこの展開では、どうやって風呂敷畳むのかと不安になる流れです。

 まず前半(第45話)は前話ラストの繰り返しで結花の最期からですね。555/巧とホース/勇治が南の追跡隊に対するしんがりとなり、結花を逃がすも、冴子/ロブスターが待ち構えていて、オルフェノク態を失った結花は抗すること能わず。即死ではなかったので、なんとか啓太郎にメールを送ることはできたと。

 デートをすっぽかされた格好の啓太郎は、結花の死を確認した巧がクリーニング店に連れ帰るわけですが、その時点で結花からのメールは読んでいたようですね。啓太郎はそのメールを巧らに隠すことなく、結花にも事情があって去ったんだろうみたいなことを言う。が、やはりつらくてメールを読み返して泣きだしたりする。

 この啓太郎の様子は、メル友時代からニアミス時代(?)を経て相思相愛となった結花に去られたショックによるものと受け取ることは可能でしょう。が、やはりどこか変な感じもあります。結花のメールからして奇妙ですね。別れるとも言わず、結花自身の気持ちも説明せず、ただただ啓太郎を気遣い幸あれと祈るような内容です。

 啓太郎は結花がオルフェノク(クレイン)と知っても受け入れてまして、同時に他のオルフェノクの末路も知っている。やっぱり啓太郎、結花が立ち去ったのではなく、死亡(灰化)したと察してるんでしょうか。もしそうなら、啓太郎を気遣って結花の死を隠す巧の努力と苦悩は空回りということかもしれません。もっとも、だからこそ巧と啓太郎が光る気がします。

 しかし結花の死はもっと深刻な、救いのない方向へ事態を動かすことになってしまうわけですね。南の追跡隊から勇治/ホースらが結花を庇って逃がし、続いて巧/555が勇治を逃がす。その時間差で勇治が結花に追いつくのが、羽根となって消滅した直後になってしまう。犯人は冴子/ロブスターですが、それを見ていない勇治は、南の追跡隊の仕業だと思い込んでしまい、ついに引き返せない憎悪に囚われてしまう。激情のあまり倒れるほどですね。

 普通「ここは俺が食い止めるから行け」展開は、食い止める者がヒーローとして死亡するフラグだったりするわけですが、この555では逃がされた者に不運が積み重なる展開ですな。さらに時間差のニアミスは続きまして、倒れた勇治を何者か(実は前社長の花形)が連れ去った直後に巧が追い付いて来る。巧は舞い散る羽根から結花の死を察しますが、勇治に起こったことは知る由もない。

 後のシーンを踏まえますと、これで勇治は花形にスマートブレイン新社長としてリクルートされたみたいですね。その代価は勇治が恨みを抱いた直接の対象(南とその機関)に復讐すること。しかし当座は観ているこちらには隠されてまして、南らに対しては村上社長がラッキークローバーに壊滅を指示して差し向けてます。南がオルフェノクの細胞・遺伝子レベルで何かを発見したからですね。それも普段は慇懃無礼なほど冷静な村上が怒りをあらわにするほどの何か。

 その後、沢村刑事を問い詰めて南の研究所を知った巧が訪れると、既に破壊されてしまっている。所員らは「オルフェノクが」と説明するのがせいぜいで、次々と灰化してしまい、それ以上の情報が分からない。

 この時点では、てっきりラッキークローバーが襲撃したものと思いました。そのままシーンは車で逃走する、負傷した南に移りまして、待ち構えているのは勇治。南は勇治を視認すると「化け物め」と車で突っ込むも、ホースとなった勇治には効かず、逆に弾き飛ばされる。

 しかし南は心臓にオルフェノクの張を刺されて灰化しつつも不敵な笑いですね。村上社長にメールで送り付けた発見によほどの自信があるらしい。オルフェノクは人間に勝てない、と言い残して灰化。相当な存在感ありましたが、意外に活躍期間は短かった。

 もっともそうだからこそ、勇治をスマートブレイン新社長に送り出す役割を担えたんでしょうな。花形が現れて勇治に「気は済んだか」と言い、勇治は満足気ではないですが、一応の納得はしている模様。

 この様子から、鈍い自分もようやく「花形が勇治を説いて、南と研究機関を襲撃させたのか」と気が付きました。ラッキークローバーが到着したのはその直後のようで、破壊され無人となった研究所に茫然の様子。報告を受けた村上社長も誰の差し金か測りかねている感じです。まさか前社長の花形が仕組んだとは想像が及ばなかったみたいですね。

 その花形ですけど、村上を退けて勇治を新社長に据えるというドラマの流れを変えそうな一大事を起こしただけでなく、草加にも地味に変化をもたらしたみたい。草加/カイザは三原/デルタと組んで、北崎/ドラゴンに挑んだわけですが、どうも力の差が埋めがたい。そこを救ったのがゴートオルフェノク/花形ですね。最強を自負するドラゴンに対し、パワーもスピードも上回る実力者であるらしい。

 三原は単純に「父さん」(流星塾長)が救ってくれたと思っているようですが、流星塾襲撃事件の記憶を保っており、その後の経緯も知った草加は複雑であるらしい。真理を殺害したのは、直接的には北崎/ドラゴンであるとしても、裏で糸を引いていたのは誰か、といったところでしょうか。

 草加の回想(地下に沈んだ流星塾での遭遇/第25話)からしますと、草加はとうに花形がオルフェノク(ゴート)だと知っていたということですね。そこは第25話でも草加がゴートを見てはっきり「父さん」と呼ぶ描写で明示されたいたわけですが、その時点ではちょっと意味とか、草加の心中とか測りかねてました。

 もっとも、そのときの草加は花形/ゴートの「戦え」という声に応じてまして、今とは気持ちが違うのかもしれない。同窓会襲撃事件についても、草加は当初、断片的な自分の記憶の範囲でしか分かってなかった。しかし、真理や巧の努力により真相がかなり明かされ、草加の記憶と合わせれば、花形/父さんに対する理解も異なってきそう。

 それを表すのが、例えば真理に対する草加の態度ですね。前にも真理には(おそらく心配させまいと)巧について「そんなことあるわけない」と嘘を言ってました。今週分でも「父さん」への疑惑を否定するようなことを真理に言っています。

 さらにはっきりしているのが、ふらふらと立ち寄って絡んできた海堂に対して、一瞬漏らした台詞ですね。海堂がオルフェノクであると察し、オルフェノクは敵だと叫ぶ。そこまでは普通の草加ですが、「たとえそれが親であっても」と付け足した意味は重そうです。花形を意識した台詞であることは間違いなさそう。花形はそのように草加を動かしちゃったといえそうです。

 花形はさらに村上社長をも大きく動かしましたな。花形はどうやら(おそらく南が発見した通り)オルフェノクは滅びゆく存在と思い、受け入れる気でいるらしい。村上は反対にオルフェノクの王さえ出現すれば破滅を回避できると信じている。村上は直属らしき部下にも王のために犠牲になるべきと言い、反発されても揺るがないほどの信念ですね。

 そこは花形としては認められないところ。だから追い落とすわけですが、追いつめられた村上はむしろ必死で王を求めるようになってしまったようです。王を自分を食らう敵と見做して照夫を襲う部下を追って現れ、王を守護するライダーの力(のうちデルタ)を奪い、王を死守して奪取する構えに。そこはカイザ&555とのメカ戦になって続く。

 ラストで狙われた照夫も次第にえらいことになってますな。先週では影からオルフェノク人間態らしき誰かが見えた程度ですが、今週分ではオルフェノクを食らうべく積極的に動き出してます。もっとも照夫の意識が勝つと押さえ込まれるようで、照夫が寝ると動き出し、目を覚ますと隠れるみたいですね。しかし、そのせいで村上の部下(コーラルオルフェノク/ジャンの男)に狙われ、さらに村上/ローズも引き寄せることになってしまう。

 結花がいなくなり、海堂だけでは照夫を持て余し気味になってしまったのも災いしているみたい。依然として海堂は照夫の世話を焼こうと(海堂なりに ^^;)一生懸命ですが、照夫は意識がない間に何かをしていると気が付いて不安な模様。これを海堂が受け止めきれてない。結花がいれば、いろいろ察してくれたんでしょうけど、もういない。なんとも「ここで、このキャラクターがいてくれれば」が頻繁過ぎて、しんどいほどです(けど、こういうのは好みだなあ)。

 海堂はそもそも照夫に拘ってますけど(根は子ども好きなんだろう)、照夫は意図せず三原と里奈もがんじがらめにしてしまっているようです。2人は創才児童園で働くようになったため、(海堂のせいで ^^;)逃げた照夫を必然的に追う。しかし照夫は王(アーク)を宿しているため、三原らは知らずに問題の核へ接近することに。そこに村上らも引き寄せられるわけですから、三原も里奈もまるで絡めとられていくようです。

 誰も彼もがんじがらめという感じでいて、残り4話でどう解きほぐすのか分からない、悲劇発生を承知で快刀乱麻を断つしかないかと思える流れです。後半の予告には多数のライダーが映ってまして、自分はさらに混乱。調べてみますと、ライオトルーパーなる量産型(?)みたいですね。劇場版では軍団として登場したとのことですが、TV本編では5人の小隊ですか。それにしても、まさかこの最終盤で新ライダー登場とは。

Re: 8月のスレッド(2023) - Shiny NOVA

2023/08/03 (Thu) 02:14:28

 8月初書き込みになります。
 厳密には、前回も7月最後と言いつつ、8月にズレ込んでましたが。

 ともあれ、劇場版ギーツ感想ですが、その前に

>キングオージャー

 戦隊名乗りですが、前回の書き込みだと誤解されますよね。

 ギラ単独ではなく、ギラを中心に全員での一斉コールでした。
 ただ、今回の映画で一つの不満点は、巨大ロボのキングオージャーは登場せず、等身大戦で片付いたところです。

 例年ですと、戦隊は劇場版オリジナルメカや、オリジナル合体が作品の目玉(後にTVでも販促ゲスト的に登場する)になりがちだったんですが、去年のドンブラからロボの劇場活躍がなくなってる感じです。

 去年だと、劇場で初の戦隊名乗りが行われたことと、後に未来ハルカと判明する漫画家(ウサギ着ぐるみ)の登場が目玉で、まあ、ストーリーなんてあってなきがごとしのハチャメチャ映画だったのですが
 今年もキングオージャーは、たぶん戦隊史上初めて、本編の物語進行に密接に絡んだドラマ内容だったと思います。

 まあ、これで「初代シュゴッダム王の言った世界破滅の予言」が、TV本編の年末ごろに全く拾われなければ、何なんだって話になるんですが、脚本家はTVの人と同じなので、そういう意思疎通の齟齬はないでしょうね。

 ともあれ、劇場版ですでに「戦隊の一斉名乗りは行われていた」ということで、後は、その名乗りの中にラクレスが入れてもらえるかですね。
 ラクレスの立ち位置は、去年のソノイやムラサメみたいなものか。


★劇場版ギーツ(世界設定編)

 さて、今回の本題。

 まず、重大なネタバレは、ギーツ世界の未来像が、劇場版で敵のクロスギーツことメラのセリフでさらっと語られることです。

 劇中で、「この世界(現代)を滅亡させて、未来の歴史に影響はないのか?」と人類に見せる公開映像で自問自答してまして、
 「いやあ、大した影響はないでしょう。どうせ、未来で人類は滅んでるし、早いか遅いかの違い。誤差の範囲って奴? 人類の記憶はデータ生命体として、宇宙ステーションに保管されて、かろうじて文明の名残を維持してる。失われた過去への憧憬で、楽しむことしかできないわけ。そして、人類の天敵ジャマト。そいつらを元に改造したモンスターをゲームのコマとして遊んでいるのがDGP。自分たちを滅ぼしたジャマトを過去の人間に退治させるゲームで、未来が書き変わるわけがないのに、無駄なことしちゃって。そんな世界だったら、いっそのこと滅ぼしちゃえばいいし、滅亡ゲームを楽しまなきゃ損でしょ」
 ……ということです。

 なお、メラと相棒のメロは、危険思想の持ち主で、未来世界でも犯罪者になってます。

 ケケラやベロバみたいなDGPオーディエンスは、一応、DGPルールを守っている形なので、犯罪者扱いにはなってません(まあ、DGP終盤の展開では、エスカレートしてて犯罪者扱いされそうですが、その前に倒されるでしょうね)。

 ともあれ、未来世界のオーディエンスやDGP運営は全員、肉体を持たないデータ生命体。
 同じ脚本家のエグゼイドにおけるバグスターと同じで、プログラムされた超AI(元人格はあったのでしょうが、魂を機械に移植した形)ということで、そして人類に代わって地球を支配しているのがジャマト(厳密にはジャマトの元となったプロト・ジャマトと言うべき植物生命体)という破滅後の未来像が提示されたわけです。

 すると、祢音を未来に連れ帰ろうとしたキューンも、本当の愛を祢音に与えることはできなかったかもしれません。

 また、データ生命体だった英寿の母親ミツメが2000年前の人間との間で授かった生命(すなわち英寿)も、奇跡の産物になりますし、いろいろと考える材料が増えて、再考察が一部で盛り上がってる頃合い。
 TVの最終話までに、破滅した未来ネタが語られるかは現状謎ですな。

 一応、個人的推察として、ギーツ世界の仮面ライダーシステムは、対ジャマト対策として、人類以外の動物のデータをスーツに組み込みながらジャマト退治に特化した戦士の装備。
 ジャマトは人類の遺伝子を侵蝕して書き換えてしまうから、人類ではない動物の遺伝子でガードする必要がある。
 それで、スーツが完成すれば、ジャマトに勝てたかもしれないけど、その前に人類は敗北した(生者はみんなジャマト化した)ため、データ生命体と化した人類の意志は宇宙でライダーシステムを完成させた。

 その後、対ジャマトの実験として始められた計画がDGPの前身で、最初はゲームではなくて、真面目な軍事作戦だった。あるいは今もそうなのかもしれないけど、作戦を続けるには人々の支持や資金がいるので、そのためにリアリティ・ライブショーの形をとって、フィクションに見せかけている。

 あるいは、ギーツ世界の道長や景和たちのいる現代が、現実の地球の過去ではなくて、未来世界の実験室で再現された現実をシミュレートしたヴァーチャル世界(グリッドマンの新庄アカネが作ったようなもの)かもしれないけど、劇場版ではそこまでは言及されていない。

 とにかく、ギーツ世界の未来人が現代人と倫理感覚が大きく異なり、生命の大切さに無頓着だったり、生の感情が希薄な反面、推しに対する偏執的な情念で描かれるのも、データ生命体ゆえかも(脚本家的にバグスターやヒューマギアのイメージ)。
 そして、良心的な未来人はDGPの運営ルールを頑なに守る一方で、タガが外れた連中は「一度破滅している世界なんだから、楽しみのためには破滅するのも快楽でしょ」みたいなのもいる、と(オーディエンスにも、サポーターにも)。

 で、ジャマトが未来の人類をすでに滅ぼしている、という世界観が提示された段階で、アルキメデルや大智の意味づけも変わってくる。
 アルキメデルは、ジャマト研究の学者の1人だったのが、人類を滅ぼしたジャマトへの愛情が昂じて、ジャマト信奉者になっちゃった。
 大智もそうなりかけたのを(彼は未来の人類の真実を知ったと思われ。劇場版には出演しなかったけど、TVでは終盤のキーマンになる?)、ここで人類を救うために動き出すような動きを。
 つまり、ジャマト化した人間をジャマトから分離するための血清の作成ですね。この発明があれば、未来の人類を再生させることも可能になる?

 アルキメデルが本来の役割として果たそうとしたこと(ジャマトに取り憑かれて果たせなかったけど)を、現代人感覚が強く残っていた(さらに人類への希望を取り戻した)大智が実現するなら、凄いドラマ展開だな、と。

 TV終盤のドラマで、破滅した未来像について、どこまで掘り下げられるかは分かりませんが、劇場版で重大な物語の考察材料のピースが提示されたことを先に報告しておいて。

★劇場版ギーツ(物語編)

 まず、この映画はTV放送終了後の時間軸と考えられます。
 TV終盤の緊迫感が一切ない平和なDGPから開始されます。そこに新たな未来人の侵略で、世界滅亡の危機が訪れる中を、DGPライダーと神ギーツが協力して迎え討つ物語。

 最初に、ジーンが画面から劇場の観客に呼びかけて来ます。

「おめでとう。この画面を見てる君たちはDGPのオーディエンスに選ばれた。推しのライダーはいるかな? ぼくはもちろんギーツだけど、他のライダーもみんな好きだ。一緒に応援しよう」

 ……ということで、かく言うNOVA自身も、正式にオーディエンスに認定されました(笑)。
 さらに入場者特典で、劇場版のギーツ最強形態のギーツ・ワンネス(全てのDGPライダーの想いと力を結集させた虹色に輝くフォーム)のIDコアももらえて、これで最強ギーツにもなれる……と思いきや、自分はデザイアドライバーを持っていないので変身できません(苦笑)。
 今さら買う気もないので、ツムリがドライバーを「おめでとうございます」と言って、送ってくれないかな。

 まあ、DGPに出場しても、あっさり敗退しそうだけど。

 ともあれ、劇場版では最初に「宝探しゲーム」なる平和な遊びが始まって、道長、景和、祢音などが普通に参加してます。

 でも、そこに英寿はいない。ええと、神さまになった英寿は運営側なので、ゲームへの参加資格はないみたいですね。

 で、景和も黒タヌキではなくて、以前のタイクーンで、道長とも仲が良さげ。屈託なく、仲間ライダーに溶け込んでおります。

 そこに異変が。
 大量のジャマトが出現し、DGPが突然の闖入者に乗っ取られる異変で、ナビ役のツムリも大慌て。

 もう、ジャマトはいないはずなのに、とか、また未来人が攻めて来たのか? というセリフから、番組終了後と推察されます。
 未来人の妨害を排除し、浮世英寿が神として運営する平和なDGPを、未来からジーンがバックアップしている様子が描かれているわけですな。

 未来からの新たな侵略者の名前は「神殺しのメラとメロ」。TVでも映画公開前の顔見せ的に登場してましたが、まだ世界が混乱しているのを見て、自分たちの出番はまだだな、と去って行った模様(あるいは状況観察を進めながら、ライダーたちの能力を分析している最中か)。

 自分の世界の危機に、神さまことギーツナインの降臨。
 「神が今さら何しに来やがった?」と憎まれ口を叩くバッファ道長に、「自分の世界を守るのが神の役目だからな」と嘯くギーツ。
 英寿の降臨に喜ぶ景和と祢音。TVの放送タイミングとは全然空気が違う和やかさです。

 鮮やかにジャマトの群れを倒していく4人ライダーですが、
 メラは「さすがにギーツは強いねえ。しかし、神ごときの力で、この神殺しのメラは倒せない」と言いながら、自分たちのアジトでゲームのコントローラーでジャマトの群れを操作しております。
 彼にとっては、ギーツたちはTVゲームみたいに画面に映し出された敵キャラなんですな。

 そして、画面の外で世界の設定をイジり、バトルフィールドを4つに分割。

1.西部劇の世界。道長が飛ばされる。
2.大正時代風の世界。祢音が飛ばされる。
3.昭和の公園風の世界。景和が飛ばされる。
4.無人島漂流の世界。ツムリが降り立つ。

 で、英寿なんですが、世界が4つに分けられた副作用で、世界を統べる神も4つに分割してしまいます。
 神の力の暴走で分裂すると、映画鑑賞前は想像していましたが、実際は敵の力で分けられたのが正解でした。

 ギーツは強いけど、4分割されてしまえば弱体化するので、各個撃破すれば勝てる、というのがメラの作戦。

 で、4分割された英寿は、道長に絡むのが「力」、祢音に絡むのが「知謀」、ツムリに絡むのが「幸運」、景和に絡むのが「?」という形で提示して、

 「力の英寿」は「身体能力は非常に高いけど、おバカ」
 「知謀の英寿」は「頭が良いけど、肉体能力が虚弱」
 「幸運の英寿」は「ラッキーだけで状況を乗り越える」
 「?の英寿」は「下手くそなオカリナ吹いてるだけで、弱い。敵からは英寿の長所の抜けた絞りカス」と揶揄されます。

 とにかく、いつもの英寿とは違う分体英寿のギャグ描写に翻弄されながら、襲いくるジャマトの群れと、コミカルアクションを繰り広げる3ライダーとツムリ。
 なお、ツムリが無人島に降り立った理由は、3人ライダーがそれぞれ別々の英寿と出会ったので、4人めの英寿も4つめの世界にいるんじゃないかと向かったら、幸運英寿と出会ったはいいものの、戦闘能力がないので(ツムリも戦えない。彼女がライダーになったりはしないのか)、ジャマトの群れ相手にピンチなところに助っ人として現れたのが、仮面ライダーロポ姉さん(我那覇冴さん)。
 で、幸運英寿は、自分が戦わない(戦えない)のに、助っ人が現れたから無邪気にラッキーと喜ぶような奴です。

 ともあれ、分割された世界で、敵の目的は英寿の持つ力を奪うこと。
 力と、知謀と、幸運の3つがメラによって奪われてしまい、その能力を取り込んで誕生したのが、黒ギツネことクロスギーツだったわけですな。

 残った絞りカスの「?英寿」は、もう放置してもいいだろう、ということで、敵からはスルーされて、物語は次の段階に。
 ここまでは分裂英寿のコミカル演技を軸としたギャグ寄りのバカ騒ぎ映画だったのですが、ここからシリアス度がアップ。

 まず、ギーツの能力を奪いとったメラが、世界に宣戦布告するんですね。前述の「どうせ、この世界は滅びるんだから、俺の楽しみ(ゲームの新記録)のために、今滅べ」ってノリです。

 なお、メラはこれまでも「その世界の神を殺すことで、数々の神話世界を滅ぼして来た未来の犯罪者」という設定で、この辺の情報を真面目に考察するなら、「ギーツの物語世界は多数の神さまが存在していて、それぞれの神話と歴史をもつ多元世界構造であり、未来人は多元世界に自由に干渉できる」という、ヴァーチャル神話として受け入れないといけないとか、
 少なくとも、メラにとっての世界や神さまってのは、ヴァーチャルゲームのトロフィーに相当する(あるいは面クリアできるステージと、面ボスになぞらえる方がいいかも)扱いで、人の文化文明の背景にある歴史や伝承の賜物とは異なる扱いっぽいですな。

 そして、非常に軽いノリでキツいことを遊び感覚で押し進める奴ですが、その力は強大で、ギーツを欠くライダーたちでは勝てない。
 ジャマトの大群を迎え撃つナーゴ、ロポ、パンクジャックと、ボス狙いで行くバッファとタイクーン。

 自分も戦いに行こうとする「?英寿」ですが、ツムリにも「今のあなたが行っても、何もできません」と言われる始末。
 そこへ、お爺ちゃんライダーのケイローンが登場し、「いや、その男を行かせてやれ」と諭します。

 お爺ちゃん曰く、「例え弱くても、その目に宿る意志、闘志は本物じゃよ。わしと同じでな」

 そして出陣する老ライダーと、未知なる可能性を秘めた?英寿。

 老ライダーはジャマトの群れに敢然と立ち向かいますが、途中でギックリ腰を発症してピンチ。
 そこに登場したのが、新番組先行顔見せのガッチャード。

 バッタのホッパー1と、主人公の変身したSL型メカが融合合体してライダーになるシステムっぽいですが、「生物+機械」の組み合わせになるのかな。
 生物は独自の意思を持って行動するみたいですが、面白いのは、SLの方。ええと、スチーム(蒸気)を発するのですが、その蒸気がWのサイクロンのように風を巻き起こして、マフラーをなびかせる。
 ライダーでSLってのは変わったモチーフだな、と思ってましたが、「風+バッタ」ということなら、思いきり原点回帰だな、と納得。

 戦闘でのイメージは、Wのサイクロンに、ゼロワンのバッタを組み合わせ、そこにウィザードの魔法みたいな特殊効果を編み出した錬金術エフェクトを組み合わせています。
 壁を変質させて、バインド蔓を生み出して、敵を拘束するとか、煙と風をまといながらのライダーキックとか、ワクワクできる戦闘演出でした。
 で、お土産にカードをお爺ちゃんに渡して去るガッチャード。

 一方、2人がかりで、タイクーンの黒ダヌキの力を駆使しても勝てないクロスギーツ。
 変身まで解除されてピンチの2人を救いに現れたのが、?英寿。

「絞りカス君が今さら何しに現れたんだ?」と煽るクロスギーツに変身する?英寿。
 その姿は初期状態の、ギーツマグナムフォームでした。

 で、やっぱり勝てない。
 勝てないけど、不屈の闘志で立ち上がる。

「力も、知謀も、幸運も持たない、絞りカスのお前がどうして立ち上がって来られるんだ?」

 ギーツ曰く、「お前は俺にとって一番大切なものを奪わなかったからな。何があっても絶対に諦めない心、想いの力、仲間との絆、それがある限り、俺は何度だって立ち上がる。力も、知謀も、幸運も後から手に入れたものだ。心が強くなければ、ここまで戦って来れなかった」

 その言葉に、道長も、景和も、祢音も、これまでの英寿とのやり取りを思い返し、英寿という男の本質を確認します。
「これこそが英寿だ!」

 弱いのに屈しない英寿に、キレたクロスギーツは世界を滅ぼす最後の大技を仕掛けます。

 その直撃をまともに受けそうになったギーツを、道長が、景和が、祢音が、そして他のライダーたちが庇おうとして動く。

 世界がブラックアウト。


 ここで、ジーンがオーディエンスに呼びかけます。

「ギーツが死んだ? みんな、彼がもう一度、戦えるように、応援して欲しい」
(プリキュア映画ではよくある演出らしい。ライダー映画では、初めてじゃないかな)


(俺は死んだのか?)何もない空間で目覚めた英寿。
「いいえ。みなさんの想いが、英寿さまの命を救ってくれました。しかし、世界の命運は風前の灯です」
 ツムリの言葉に、どうすれば世界を救えるかと思案を巡らせる英寿。
 そのとき、ガッチャードがケイローンに託したカードが、全ライダーの想いを融合させ、英寿に新たな力を注ぎます。

 虹色に輝くギーツが誕生し、クロスギーツとの決戦に赴きます。

 対等な戦いを展開する両者ですが、決定打には至らない。
 しかし、泥臭い戦いに、これまで余裕を持って圧勝して来た相棒の姿をマンセーして来た彼女のメロが、「何だか格好悪〜い」と突然、裏切り、ギーツとクロスギーツを両方爆殺しようとします。

 その暴挙はツムリに阻止されるのですが、「相棒に裏切られたお前には何が残っている?」とギーツに揶揄されたメラは、「俺は1人だって強いんだ」とキレ気味に応酬。

「1人じゃ、世界は壊せても、救うことはできない。神は殺せても、何も生み出せない。それがお前の限界だ。誰かを想い、想われる。その心が神となり、世界となる」

 ギーツが念じるとともに、散って行ったかに思われた仲間のライダーが復活し、ライダーたち総出で、クロスギーツを撃退して、バトルは終了します。

 ラスト。
 未来が破滅するという予言に対して、英寿は「俺たちの世界は破滅しないさ。みんなの諦めない心がある限りな」
 「神さまの託宣って奴か」と道長。「しかし、あんなおバカなギーツに言われたくない」
 「ひ弱な英寿にもね」と祢音。
 「今度、オカリナ吹いてみてよ」と景和。
 「……お前たち、その件は忘れろ」達観していた顔が崩れて、揶揄われて苦笑いする英寿。TV本編とは違った演技に、劇場ならではの感銘を抱きつつ、ラストでそれぞれの平和な一幕です。

 一番のサプライズは、最後に、景和と平和に暮らしている沙羅姉さんの姿ですな。TVでは劇場公開(金曜)の翌々日の放送で復活した沙羅さんですが、初日もしくは2日めに見に行ってたら、それがサプライズになっていたはず。

 以上、記憶のままに紡いだので、セリフをアレンジした箇所も多々あるかもしれませんが、おおよそ、こういう筋書き内容です。

 総じて「世界滅亡の予言に対して、みんなの想いと力で乗り越えよう」って形で、キングオージャーとギーツで重なったなあ、と思います。

PS.ところで、ギーツのTVは前回、ベロバが退場しましたが、世界滅亡を願っていたダパーンが出なかったですな。
 1話だけのゲストで、このままフェードアウトか、それとも彼の改心まで描いてくれるのか、気にしつつ。

Re: 8月のスレッド(2023) - K.K

2023/08/08 (Tue) 22:27:15

 定期感想その1です。

 劇場版キングオージャー、自分の勘違いへのご教示、ありがとうございます。そうですか、戦隊の名乗りは全員でやってくれてたんですか。そうと知った途端、もうニッコニコですね。てっきり「こうなって欲しいけど、まだ先かあ」と思っていたのが、もう実現していたわけですんで。

 勘違いはニチアサの放映中止・延期分についてもありまして、ギーツは関西だけでなく全国的に8/6(日)はお休みだったようで。となると、(延期しない放映は)13・20・27日となり、残り3話の全49話ですか。

 キングオージャーのほうは8/6(日)の放映はあり、公式サイトであらすじを知ることができますね。うっかりしてたんですが、民放のネット放映サイトのTVerで最新話の視聴は可能なようですね。しかし、(画面サイズなどの理由で)TVで観られるなら、初視聴はTVにしておこうと思います。感想はその後。
(などと言いつつ、つい我慢できずにネット視聴してしまうかも ^^;。)

●劇場版ギーツ(4人のエースと黒狐)

 詳しいご解説・ご感想、ありがとうございます。設定とドラマに分けて頂いたお陰で、未見の自分にもいろいろよく分かるものがありました。

 ドラマ運びとしては、TV本編では序盤から狐として敵味方を翻弄してきた英寿がドジっ子化するコミカルさがあるゆえ、例年に相違してライダー映画のほうがお祭り的になっているようですね。

 もっとも、おそらくは敵が分析した英寿/ギーツの強さ要素「力/智謀/幸運」を取り出したわけですから、弱体化しそうではない。が、心技体みたいなもんで統合されていてこその強さということみたいですね。たぶん(戦闘面の)敵手Xギーツはそれらを兼ね備えてるんでしょうな。

 ところが、強さ要素で分割してみたら、なんか残っちゃったと。その何か分からない「?」は強さ要素ではないはずなので「搾りカス」というわけですか。しかし、それが「絶対に諦めない心、想いの力、仲間との絆」であったというのがミソですね。

「諦めない心」はヒーローに宿る魂といったところかしらん。「仲間との絆」は劇中のヒーローを支える仲間による強さであり、「諦めない心」はそれに根ざすものといえそうな気がします。「仲間との絆」もまた、「諦めない心」に根ざすからこそ保たれる。

「想いの力」はそれら2つを支える土台であり、歴代劇場版でしばしば語られた「ライダーを忘れない限りライダーは存在する」というファン含めたものと考えてもよさそうです。そこは映画序盤と終盤でジーンが観客に語り掛けているのが、たぶんそれを示してるんでしょうな。

 そういうのは普通、メタ発言と呼ばれる手法らしい。劇中のキャラクターが物語から飛び出して、観客のほうへ行っちゃうものですね。観客は『自分は今、ドラマを観ているのだ』と自覚したり、好きなキャラクターがこっちに来て語り掛けてくれたと嬉しくなったりするものらしい。

 しかし、この映画のご説明全体から感じられるのは、ジーンが観客席まで出て来たというよりは、観客を映画内に引きずり込むようなものじゃないかということです。歴代ライダーシリーズのTV本編でもときどき、ピンチながらも奮戦するライダーの周りに群衆が集まり、応援するという燃える展開があります。それを観客席まで広げたのがジーンの観客への語り掛けみたいな感じでしょうか。

 分割されたヘッポコ(?)英寿4人のコミカル劇から、観客もなだれ込んでの応援から逆転となりますと、落差が大きくて面白そうです。

 そういう笑いから燃える流れの展開に対し、敵から語られる設定面での未来というのは暗く影を落としていそうで、そこはミスマッチの面白さになっていそうです。下手すると「とりあえず一難は逃れたが、いずれこの世界は」みたいな絶望を生じかねないような。

 なにせそう確定した未来(現生人類はほとんど滅亡し、残りはデータ化して細々)からやって来た敵だったわけで。英寿が破滅しないと言っているのが微かな希望でしょうか。もっとも劇中で描かれた根拠はあり、諦めない心というわけですね。そこを具体化したものがTV本編で描かれるのか、それとも次期ライダー:ガッチャード主役の劇場版でギーツコラボして補完されるのか。

 残り3話のギーツTV本編に何を期待するかで、1つ楽しみが増えた感じです。気になるのは、ギーツ世界シミュレーション説ですね。ギーツがリアル世界であるとすれば、滅亡の未来をひっくり返す大団円にできそう(その場合、未来人は気が付いたら自分達がデータではなくなってるとか)。シミュレーション世界であるとすると、どうオチがつけられるか、自分ではちょっと想像がつきません。想像ができないだけに、きちんと落としどころに持っていけるなら、それが最も面白くなりそうな気がします。

●仮面ライダー555(第47話:王の出現、第48話:雅人、散華)

 来週分で完結、その手前の今週分はばっさばっさと主要登場人物の退場で状況を整理してきてますね。今週分のドラマは堕ち行く勇治と草加の退場と感じます。そこに今の状況を作って来たと思しき黒幕2人が絡んでいってまして、しかしその黒幕2人も退場。そうなってみてようやく「黒幕がいなくなっても、この状況は止まらない」と分かる仕掛け。

 黒幕の1人は村上/ローズでして、オルフェノクの王を覚醒させて、オルフェノクの滅びの運命を回避しようとする側ですね。そのために今までライダーの3つのベルトを狙ったり、人間と敵対しないオルフェノクを取り込もうとし、応じなければ始末するなどしてきた。

 しかもその覚悟が壮絶というべきか、怖いというべきか、オルフェノクを王に食らわせて覚醒を促すというもの。その信念は村上自らにも適用されるもので、3ライダーと戦って敗れ、いったん撤退するも照夫に潜む王に遭遇すると、歓喜に満ちて自らを捧げてしまう。これで(人間を滅ぼそうとする)オルフェノク側の黒幕は退場と。

 これを見ていたのが、人間を救う意思を先週で匂わせ、今週はオルフェノクを滅ぼす(といっても自然消滅?)意思を明らかにした花形ですね。村上は王を覚醒に一歩近づけたに留まるといえそうですが、花形は勇治と草加を大きく突き動かしちゃった感じです。

 花形は勇治に対してはスマートブレイン社という力(主にラッキークロバーかな?)を任せたわけですね。勇治の南らへの復讐を手助けし、人間に絶望する勇治も見て来た花形ですが、勇治が心の底では人間に絶望していないと見て取ってのことらしい。それが当たっているかどうかですが、今週分の勇治は表面的には花形の意思を拒んでいく格好ですな。

 しかし勇治にはいろいろ引っかかりができる。まずは自陣営に誘った海堂ですね。スマートレディにいざなわれ、勇治と再会した海堂は大喜び。ライオトルーパーを受け取って大張り切りすらする。勇治がオルフェノクと人間の共存を願っていると、海堂は信じているからですね。しかし海堂は、その共存路線が無理であると、花形が勇治に告げたことは知らない。その辺り、観ていてヤキモキです。

 海堂、勇治の(表層的な)真意を知らぬまま突っ走るも、ターゲットが照夫と真理なわけですね。照夫は海堂が守ろうと躍起になってる子どもですし、真理は海堂がご執心の相手(もう脈がないと分かっていても ^^;)。この襲撃は巧/555、続いて駆けつけた草加/カイザと三原/デルタによりかろうじて回避するものの、海堂は当然憤激。

 社長室に戻って悠然と構える勇治に、海堂は激しく食って掛かるわけですね。内心では勇治の志と行為(人間との共存)に憬れていたと打ち明け、それを捨てるのは許せないと、絶交を宣言。するんですが、捨て台詞に海堂の諦めきれなさが表れてますな。「これからは俺(海堂)がお前(勇治)の代わりになる」ですもんね。

 その直前の台詞「お前(勇治)のようになりたかったんだよ」の気持ちは捨てきれない。つまり勇治を諦めきれないわけですね。たとえそれが海堂の中で理想化された勇治であったとしても。むしろそうだからこそ、ボディブローのように勇治に効いてくるんじゃなかろうか。ある意味、今までの勇治を最大限に評価・肯定しているわけですから。

 その後、勇治は花形からオルフェノクの運命について聞くわけですね。花形の体は灰化が始まっており、以前には澤田もそれで己が命運を悟ってましたな。花形の選択は「それでいい」というもの。ただし村上のプラン「王の復活」が成ると、花形のプランはひっくり返るんで、そこは勇治に任せたいわけですな。

 それを草加が聞いていたため、事態が急転していきますな。その時点までで、既に草加はいろいろ追いつめられてます。仲間に対して画策したり、利用したり、憎々し気な態度を隠さなくなったりと、いろいろ積み重なって、今や草加は味方からも浮いた存在になってしまいました。

 経緯が同情できないかもしれませんが、孤高のヒーロー寄りになってますね。理解されなくても人間を守ろうとしているわけですんで。そこへ花形からカイザであり続けるなら滅ぶと告げられる。カイザになれたのは死亡・復活時に埋め込まれたオルフェノクの印のお蔭ながら、それも長くはもたない。印を使い切れば死ぬ。

 それでも己が正義を貫くのか、と突きつけられたわけですね。まさに孤高のヒーローにふさわしい究極の選択です。そこへさらに、いったんはオルフェノクの王を滅して共存するとして勇治から誘いがあったものの、その真意は逆だったと当の勇治から明かされる。

 もはや四面楚歌ですな、草加(それでも巧なら助けようとするかもしれないけど)。しかし草加は迷わず、己が命を省みずに覚醒前のオルフェノクの王(照夫)を滅ぼす決意をする。ここもいかにも孤高のヒーローです。照夫に王が潜んでいるなんて、真理らは知りませんから、王を倒せば「罪もない子供、照夫を殺した」として恨まれる。

 それでいい、という覚悟が草加にはありそう。前に言った「たとえ、それが親でも」の覚悟ですね。その親(花形)をも滅する覚悟はしかし、当の花形により回避される。再び真理らに会わせずに倒す覚悟で、草加は花形に立ちふさがるわけですが、花形は死期を悟ってましたか。

 花形は草加に「生きろ」と言い残して灰化。これには草加も感じるものがあったらしい。花形の灰に「生きる」と応じてましたから。しかし、草加の中の花形が再び立派なものになりますと、以前に地下の流星塾跡地で聞いた花形の言葉も蘇っちゃったようですね。「戦え」ですな。だもんで草加の決意は「生きて戦う」になっちゃった。

 もっとも、しつこいようですが孤高のヒーローとして、草加は王道を突き進んでいるように思えます。ただし、今までの筋立てと演出による草加の印象で「よし、そうだ!」と燃えるものがこみ上げてこない。これだけヒーローとして条件を満たしながら、この印象って、実にうまいドラマ作りしているようです。

 さらにヒーローを試す試練が来まして、勇治による真理誘拐ですね。スタジアムで実は来るはずがない花形を里奈と待っていた真理、里奈が外へ様子を見に出た隙に拉致される。誘拐は勇治の仕業ですが、その隙を作った待ちぼうけの理由を草加は知っている。なにせ花形が目の前で灰化し(そうでないなら倒すつもりだった)、それを真理らに伝えていない。

 そうでなくとも真理は草加の最愛(というより執着?)の相手ですね。真理を助けるべきか、覚醒してしまえば人間がオルフェノクに太刀打ちできなくなる王を倒すべきか。王は草加にとって、自分や真理を(いったん)殺害した仇の親玉であり、根本原因ともいえる。おそらくカイザへの変身できるのは次が最後かもしれない。周囲の助けも(自業自得ですけど ^^;)もはや得にくい状況(と、たぶん草加は思ってる)。

 ジレンマであるはずですが、草加は迷わず真理救出を選択。自分への感情より、真理への気持ちが上回ったということなんでしょう。あるいは世界より身近な仲間。それはそれでヒーロー類型の1つ足りえます。そこは勇治が以前の草加の策謀ぶりを横取りするかのような悪役っぽさで引き立ててもいます。

 草加が勇治が指定する海岸に行ってみると、待ち構えているのは北崎/ドラゴンらラッキークロバー。北崎/ドラゴン単独でも、カイザ&デルタで歯が立たなかったんですから、カイザ/草加単独で勝てる見込みはない。が、草加はたじろぐこともなく立ち向かっていきますな。そういえば、今までも草加は不利でも迷わず敵に立ち向かってたんでした。そこもヒーロー性高いですな。

 もし草加が真にヒーローであるなら、ここで奇跡が起こるはずですね。逆転勝利とか、崩れ行く身体の回復とか、助っ人登場とか。しかしいずれも起こらず、草加はかろうじてカイザに変身はできたものの、ラッキークローバーに歯が立たず袋叩き状態、さらに吹っ飛ばされて変身解除。その間、気が付いた真理が巧に救援要請の電話入れますが、間に合いそうもない。

 草加は変身解除されると手が灰化し始め、波打ち際まで逃げて倒れた頃には手が完全に黒ずんでまして、消滅間近の兆候が表れる。草加は花形が灰化消滅したのを目撃していますから、よく分かっているはず。それでも「死んでたまるか」と呟き、「生きて戦う」に執着。巧に連絡していて草加を見失ったらしい真理が必死に名前を呼んで探してもいる。

 しかし、こともあろうにカイザが引導渡しに来るわけですな。カイザギアを拾った人物は顔が映らず、この時点では誰かはっきりしない。カイザ、自分の姿を見せつけつつ、草加の首をゴキリ。草加の絶命を見届けたカイザが変身を解きますと、やはりお前かという感じで勇治ですね。勇治の力ならカイザにならずともやれたはずですが、草加を絶望させるためにカイザ使ったのか、それとも自分(勇治)の顔を見せての殺害をためらったのか。

 草加はオルフェノクの死と同じく、全身が灰化。たぶん満ちて来る潮の波に洗い流されてしまうんでしょうね。皮肉なことに、そのころ巧と三原は真理の急報を受け、草加を救うべく駆けつけつつあったわけですね。自分は上述の通り「孤高」と繰り返し申し、草加も今週のみならず、序盤からずっと他人を信頼せずに独力で事を為してきました。

 が、実は巧らはずっと、いつでも草加が危うければ助けようとしていたと示された格好です。直近では、例えば照夫に王が潜んでいると草加が知ったとき、あるいは真理が勇治に拉致されたと知ったとき、真理ら仲間に相談していれば、この結末に至らなかったはず、となりそうです。しかし、花形が己の死を見せて導こうとしても果たせなかったわけですから、この結果は不可避だったかもしれません。

 自分はなんだか草加にずいぶんと感情移入が生じたんですが(中盤くらいから特に、かな)、それでも草加の死を心底惜しいとは思えませんでした。性格が悪いとはいえ、ヒーローたるべき者が為すべきことを為して死したのに立派と思えない。しかし、もどかしくはある。ずいぶん巧妙なドラマ運びだったようですし、自分はまんまと作り手に乗せられたんでしょうな。

 勇治と草加に感動しつつ観終えてから、はたと気が付いたのがライオトルーパーです。花形が切り札的な匂わせで紹介し、海堂含む6人で揃い踏み登場した時点では、「すごいな、これがどう局面を動かすか」と期待しました。が、海堂が反旗翻してベルト突っ返してからがあっけなかった。たった1人のライオトルーパーに海堂/スネーク&三原/デルタが苦戦したもんで、ライオトルーパーもなかなかやるように思えました。

 が、海堂らが巧に救援を求め、555がアクセルフォーム使って一掃されたらしい。実は視聴していてもそうとは気づかず、後でウィキペディアなどを読んで知った次第。もはやライオトルーパー如きでは事態を動かしようもないということなのか、それとも勇治が花形の期待するような運用をしなかったからということなのか。ライダー小隊みたいな感じで見栄えありましたんで、もうちょっと活躍して欲しかったかな、ライオトルーパー。

 劇場版だとライオトルーパーは凄いみたいですね。数からして万余、もはや軍隊レベルらしいし、搭乗マシンなど装備も凄いらしい。劇場版を観た人なら、TV本編のライオトルーパーは数も装備も足りず、敗れて当然と思ったりしたのかしらん。

 ともかくも、黒幕は2人とも退場、巧陣営をかき乱して来た草加も退場し、ずいぶんとキャラクターが絞られました。そこへオルフェノクの王登場となるはずですし、ラッキークローバー3名も健在、勇治の闇もまだ底がはっきりとは見えない。それらの決着まで行くわけですから(さらに後日談エピローグも見せるだろうし)、次週2話分はずいぶんと一気呵成なドラマになりそう。しかし、たぶんきちんと風呂敷畳むだろうという予感はあります。

Re: 8月のスレッド(2023) - Shiny NOVA

2023/08/10 (Thu) 01:13:40

 定例じゃない感想です。

 555については、もう終盤ですので、こちらがあれこれ書くのも興醒めになる可能性があるので、控えておいて。
 ギーツやキングオージャーについても、劇場版話に多少、TVの動向を差し込む形で、自分的な感想としては十分。

 で、定例じゃないネタをば。

 以前、ダイの大冒険の原作者、三条陸さんのインタビュー記事を紹介しましたが、今回はドラクエ関連で「堀井雄二さんと、ウィザードリィというゲームを作ったロバート・ウッドヘッドさんの対談記事」が挙がっていたので紹介を。

https://news.denfaminicogamer.jp/interview/230803d

 RPG業界では、まず74年に「世界初のRPGであるD&D」が生まれて、それをコンピューターで再現しようとした『ウィザードリィ』(81年)が初期のコンピューターRPG(3Dダンジョン物)として人気を博し、
 『ウィザードリィ』と、もう1作『ウルティマ』の要素を折衷させて、日本のRPGの裾野を一気に広げたのが『ドラクエ』(86年)となります。

 言わば、D&D→ウィザードリィ→ドラクエという系譜がつながっているんですね。

 ゲーム業界的に、この対談は凄いなあ、と思いつつ。

 K.Kさんがウィザードリィに興味をお持ちかは分かりませんが、ドラクエ話とD&D話は既出ですので、その間をつなぐ内容ということで、楽しめるんじゃないかなあ、と。

 ある意味、ギーツはゲームというテーマで、キングオージャーはファンタジーというテーマで、D&Dなんかにもつながっておりますし、いろいろ旬な分野なんですよ。
 何だか来年がD&D50周年ってことで、関連業界が良い意味でざわついていたりもするタイミング。

 なお、ウィザードリィは、バスタードが元ネタにしているゲームでもありますな。とりわけ、ニンジャマスター・ガラ関係で。

>三条陸さん

 で、ダイの大冒険インタビューの掲載されている書籍『Hero Works』を最近、読んだりもしたのですが(メインの目的は、仮面ライダーWなどのメイキング裏話)、

 元々は、「玩具のアイデア手伝い」という形で会議に参加していたんですね。それ以前に、「魔法戦隊マジレンジャー」で魔法の呪文を考える設定協力をしていた縁があったりして、その後、アイデア出しに夢中になって、「2人で1人の探偵」というアイデアを出したら、プロデューサー氏から「だったら、あなたが脚本書いてくださいよ」ってことになってしまったそうです。

 プロデューサー氏は、仮面ライダーでハードボイルド探偵ものをやりたかったんだけど、「子どもにハードボイルドって分かるのか?」という社内意見との調整で苦戦していた。
 一方、玩具の方では、2つの能力を組み合わせる玩具ギミックが考案されたけど、元々は1人で変身する設定だったそうです。

 そこから、未熟な2人組の探偵コンビというアイデアが膨らみ、三条さんが「ハーフボイルド」という言葉を発案したときに、ハードボイルドに反対していた人たちも「半人前のハーフならOK」と意見がまとまったらしいです。

 で、三条さんが脚本を書きながら感じていたのは、翔太郎がポップの立ち位置で、「運命の子」であるフィリップがダイの立ち位置にあることに、自分で気づくと一気に書きやすくなった、と。

 言われてみれば、そうだな、と。
 照井竜がヒュンケルだというのはファンサイドでよく言われていましたが、そうか、ポップと翔太郎が作者の中ではイメージがつながっていたのかあ、と。

 あとはフォーゼ、キョウリュウジャー、ドライブなどで、面白いネタを読みましたが、フォーゼやキョウリュウジャー絡みで坂本監督とよく打ち合わせ話をしたり、
 脚本家仲間の飲み会で、井上敏樹氏に可愛がられ、実写版キューティーハニーのドラマにゲスト脚本家として呼ばれたり(2007年、最初の実写脚本経験)、
 80年代に「宇宙刑事シャリバン」の同人誌を作っていて、インタビューに脚本の上原正三氏のご自宅に行って、「お弟子さんは取らないんですか?」と質問したら、「師匠が弟子を利用し、弟子が師匠を利用する関係が嫌いだから、弟子は取らないんだ」と断られつつ、その後、食事に連れて行ってもらって、いろいろ話す中で、「人を頼らずに、自分で一人前になれ」という趣旨のメッセージをいただいた気になって、
 以降、「上原正三氏を勝手に師匠と思っている」とか、

 原点が小学生になった年に見た『帰ってきたウルトラマン』とか、個人的にも興味深い話題がいろいろ。

 でも、三条さん、ウルトラマンの脚本はまだ書いていないんですね。
 ウルトラマン関連のコミック作品の原作は別名義で書いたことがあるのに。

>長谷川圭一さん

 で、三条さんが急遽、Wのメインライターを頼まれた際、一人じゃ大変だから、と途中で応援役として来たサブライターが長谷川さん。
 この辺の人間関係が面白いなあ、と思います。

 長谷川さんは、プロデューサーが呼んで来たわけですが、脚本家が知り合いを助っ人に呼んで来て、プロデューサーの承認を得たり、そういう人間関係を三条さんは割と開けっ広げに書いていて、
 ライター同士の横のつながり、縦のつながりが想像できて、なかなか面白いというか、三条さん、人脈が広すぎるなあ、と。

 今度は長谷川さんがガッチャードのメインライターになりますが、もしかすると、作風的に三条さんがサブに呼ばれる可能性もあるかな。

 あるいは、噂によると、キングオージャーにキョウリュウジャーがゲスト出演するかも、という話があるので、そちらで三条さんが書く可能性もあるかもしれません。

 ともあれ、長谷川さんだと、執筆スピードは井上敏樹氏や三条陸氏みたいに1年50本を書き通す量は難しいと思うので(そういう実績はない)、たぶん、ガッチャードでも半分の20話ぐらいで、あと1人か2人の応援は必要だろうと思いつつ。

 去年は三条さんもダイ大や風都探偵の脚本監修で忙しかったと思うので、今年は多少、余裕があるかもと思いつつ(それでも風都探偵や勇者アバンのマンガ原作は続けてるけど)、長谷川さんの助っ人ということなら、行けるかも、と期待してます。

PS.そう言えば、ガッチャードの制作発表YouTube配信も見ないと、と思いつつ。

Re: 8月のスレッド(2023) - K.K

2023/08/11 (Fri) 09:00:47

 自分も非定期感想です。ご紹介頂いたものがなかなかに興味深く、555最終回を待たずに反応したくなりまして。

●ウイザードリィ&ドラクエ(対談)

 両ゲーム開発者の対談記事のご紹介、ありがとうございます。自分がウィザードリィに興味があるか否か、ご心配を頂いて恐縮です。が、ご懸念には及びませんで、なぜなら初めてプレイしたコンピュータRPGがウィザードリィなもので。

 当時、自分はハードウェアメーカのPCソフトやっておりました。新機種が出るとき、予めソフトをある程度揃えておくのが通例。なぜなら当時の各社のPCは独自仕様。A社のPC用ソフトはB社のでは動かない。そこで新機種PC発売前に、ソフトメーカーに依頼して移植しておいてもらってました。

 その中にウィザードリィがあったんです。自分ら開発者向けに、テスト用として配布されました。ウィザードリィをよく知る同僚は狂喜して、休み時間はそればっかプレイしておりました。クリアして大騒ぎもしておりました。自分はよく知らないもんで「何がそんなに面白いんだろう?」と。

 そしたらその同僚が異様なくらい熱く語り初めまして、「とにかくやってみろ」と、セーブデータ入ったままのフロップーディスク渡してくれまして。さらに同僚が方眼紙に作成したダンジョンマップも。自分は最後のセーブ、つまりラスボス;ワードナ討伐直前から始め、さっさと辿り着いて「ティルトウエイト」唱えてみますと、それでクリア。

 同僚に「なんかすぐ終わった」と告げたら、えらい怒られまして(^^;。最初からプレイしてこそ面白さが分かる、ということですな。そうしようとしたんですが、いかんせん新機種開発途中。開発終了すれば開発・テスト用の試作PCは取り上げられます。クリアには辿り着きませんでした。

 その後、ファミコンを購入。シューティングやアクション系は苦手なもんで、RPG系をプレイしておりました。プレイ順に並べてみますと、

 ドラクエ2(牢屋の鍵で挫折)→女神転生1(クリア/リピート)→ドラクエ1(クリア/リピート)→再びドラクエ2(クリア/リピート)→ウィザードリィ(クリア/1回のみ)→さらにDQやFFなど……

という感じです。ドラクエや女神転生ですと、ストーリーがあるんでクリア後も再プレイしたくなってました(攻略ルートやイベント選択とか多少の幅もあるし)。ウィザードリィは1回クリアしたのみです。

 たぶん、ウィザードリィが「ワードナ討伐」というミッション重視だと感じたからだろうと思います。そこが達成できると、もう一度最初からやろうという意欲が湧きにくかった気がします。もっとも、ゲームシステム上の差でミッション達成後もプレイし続けられるのがウィザードリィだけでしたな。

 ご多聞に漏れず、バタフライナイフなどのアイテム収集で、もうワードナがいないダンジョンを結構長くウロウロしておりました。などと書いていて気が付きましたが、いろいろ語ってしまってますな。やっぱり、それなりにハマっていたゆえかも。ただし「これがドラクエとかに影響与えた作品なのか」という興味部分も大きかったと思います。ダンジョンものとして後発の女神転生とも類似ですね。

 しかし、ドラクエに影響を与えたウィザードリィもTRPG(特にD&D)に影響されて世に出て来たことは、当時全く知りませんでした。つながりをはっきり意識したのは、こちらでTRPGについて伺うようになってからですね。分かってみますと、ネット検索でさらに知ることも増え、その知識から興味が深まりもします。

 そうなってご紹介頂いたのが、堀井さんとロバートさんの対談でして。これは自分の2つの面(ゲームプレイヤーとソフト開発者)でいろいろ分かること、感じるものがあり、大変面白い記事でした。対談が面白いのは、堀井さんとロバートさんが互いにリスペクトしていることも大きそうです。それも、たぶんライバルと認識しつつ力量を認めてるんでしょうね。

 自分のゲームプレイヤー面では、例えばウィザードリィとドラクエの雰囲気の違いの理由の一端が見えたのは収穫です。堀井さんが漫画家志望だったから、ウィザードリィに心酔しつつもストーリーあるドラクエを作ったわけでしたか。もっとも漫画から発想しただけでドラクエはできず、キャラクターの能力分類と数値化とかで「この主人公が今できるのは、これだけである」とはっきりさせることで、進められるストーリーを具体化するとか思いつけるんでしょうな、

 自分のソフト開発者面では、例えばメモリ容量による制限で苦労するというのはよく分かります。自分でも「こういう機能を入れたいけどメモリが」というのはしばしば発生したことで、泣く泣く諦めることもあれば、なんとか工夫して実装できて大喜びとかありました。

 ドラクエ2でパーティバトルはできたが背景画面はカットとか、ドラクエ3のOPを地味で物静かにするしかなかったとか、当時から聞こえて来た噂はたいてい納得するものがありました。ファミコンがディスクシステムをやり始めたのも「メモリ足りないもんなあ、ディスクなら何枚も使えば」と納得。もっともカセットのほうの技術が進展して(さらにメモリ価格も下落し)、ディスクシステムが下火になるとは予想してませんでした。

 ドラクエもウィザードリィもメモリ容量制限でゲーム仕様も制限があったわけですね。開発者がやりたいことが出来なかったという側面はしかし、ときとして(要素などを)精選するという方向に働きもするはずです。言い換えれば(強制的に)面白さを濃縮する、みたいな。

 ドラクエ3でも、ぱっと見で思わずプレイしたくなるOPなどを削る苦渋の選択がありながら、しかし笑える台詞とかは残したわけですね。ロバートさんもそこを評価しているのは意外でもあり納得でもあり。なにせあげてくれた例が「お風呂場のスペシャルサービス」の「ぱふぱふ」なわけで。自分もドラクエ3先行プレイ組から面白いと聞き、自分もそこへたどり着いて確かに面白かった覚えがあります(女性キャラに「ぱふぱふ」するバグ技思いついて試したりした ^^;)。

 当時はそのシーンが(未見の)贅沢なOPより大事とまでは認識しなかったんですが、記事を読んでみて、「そういうのこそ面白さにつながるわけか」と今さらながらの理解に至りました。

 ちょっとだけ言及するつもりだったのが、どうも長々と(^^;。まだまだ感じるもの、思い出すもの多々ですが、このくらいにしておこうと思います。それくらい、自分には面白い対談記事でした。繰り返しになりますが、ご紹介に感謝です。

●三条陸さん

 脚本が誰かというのも大事、というのはこちらで教わりまして、そこを気にしてみると確かに前よりいろいろ見えるという実感があります。と申しましても、まだまだ自分は浅く、例えば長谷川圭一さんの作風がどうなのか、まだよく飲み込めてない。例えばアニメ版GRIDMANやDYNAZENON等、あれだけ面白がって観て、こちらで毎回感想書いたにも拘らず、です。

 その一方、井上敏樹さんですと何となく一端が分かって来た気がします。作品数で考えると長谷川圭一さんとそんなに変わらない気がしますが、話数で考えれば圧倒的に多いからなんでしょう。それでも(ネット放映での)アギトではまだよく分かっておらず、今視聴中の555のこの終盤でようやく、「井上さんってこういう作風、ドラマが得意なのか」と思い始めた次第。
(ネットで見つけた555の感想で「おのれ井上〇樹め」と罵るようでいて好意的な反応が少なからずあるの、意味が分かるようになってきた ^^;。)

 そして三条陸さん。仮面ライダーですと自分が初めて通しでしっかり観て感動したドライブのメインライターですね。とはいえ49話中29本。Wですと49話中25本ですが、コミック/アニメ続編の風都探偵は全て三条さんの脚本。

 しかし何と言っても話数的に自分が最も多く観たのがダイの大冒険になります。なにせ2年間毎週ですから(8クール分)。(風都探偵と同じく)原作コミックをもとにするアニメしか観てないんですけど、断片的に読んでみたコミックとほぼ重なるようですから、三条さんがどう感動作りしてくるかの一端はなんとか分かった、と思う(^^;。

「ダイの大冒険インタビューの掲載されている書籍『Hero Works』」というのは先月ご紹介頂いたものですね。Hero Worksサイトのほうでもそのインタビュー記事の掲載がありますが、冒頭部分のみ。電ファミニコゲーマーがあれだけの分量を、ダイ大部分だけでも抜粋転載してくれたのは、とてもありがたいことだったと再認識です。

 しかしWに関する部分にも興味深いものがあったわけですか。ご解説頂いた中で特に気になったのが「翔太郎がポップの立ち位置」「フィリップがダイの立ち位置」という部分です。自分は以前は「ヒロインとは男性主人公に対する恋愛対象の女性キャラクターである」と単純に考えてたんですが、W~風都探偵で見方が変わりました。

 フィリップは翔太郎に対するヒロインの立ち位置も併せ持つ、というものですね。もちろんバディの立ち位置もあります。単純化してみると、ヒロインとは主人公が命に代えても守りたい存在で、バディは主人公が生死を共にする覚悟と信頼の相手といったところでしょうか。

 そういう自分勝手・独自の理解の上ではありますが、翔太郎がポップと言われてみますと、ポップがダイに対してどうしたかが思い出され、改めて理解が深まる気がします。例えば、ダイが記憶を奪われて無力となったとき、ポップは他の仲間すら騙して、一人で決死の戦いに出たんでした。あるいは、ダイの力や出自を他人が恐れたとき、自分(ポップ)はダイを信じると言ったこともありましたな(考えてみると「たとえ世界を敵に回しても君を」みたいな決め台詞に通じるものあるかも)。

 もっとも、最後の最後で黒の核晶をダイと共に処理しようとして、ダイがポップだけは助かれと蹴落としたんでしたな。そこまでの「ダイ=ヒロイン(フィリップ)」から「ダイ=バディ」となり、大詰めで「ポップ=ヒロイン(フィリップ)」と急転したということだったかもしれません。

 前にご紹介の抜粋転載ネット記事に、元記事のWなどの話を加えて解説して頂いたお陰で、理解が深まった気がします。Wとダイ大のキャラクター類似性を踏まえて読み直すと、新たな意味が含まれているように感じて面白いですな。

 三条陸さん、井上敏樹さんは理解が深まりつつありますが、長谷川さんはこれから。幸い、ガッチャードを1年に渡ってメインライターしてくださるんで、たぶん来年の今頃にはだいたい分かるかなあと期待してます。

 ガッチャードの制作発表は一応見たんですが、よく分かったとは言えません。以前ですと、だいたい分かった気になったと思うんです。が、いろんな制作発表→本編視聴で「ダメだ、分かってなかった」経験を繰り返してますんで、「いつもの通り、分かった気になって分かってない」と踏んでます(^^;。

 たぶん制作発表って、面白さの核心部分は伏せるからなんでしょうね。本編のネタバレも避けたいんでしょう。だから自分ですと、何が伏せられているかはまだまだ分からない。そこを察せるようになりたいんですが、まだまだ道は遠そうです(^^;。

Re: 8月のスレッド(2023) - Shiny NOVA

2023/08/11 (Fri) 10:48:36

 休みになりましたので、レス返します。

 ウィザードリィ&ドラクエ対談記事がそちらのツボを突けたようで幸いです。

 自分的にはこれって(もし実現していれば)円谷英二と石ノ森章太郎のヒーロー製作者対談とか、藤田まことと里見浩太朗の共演とかに近い「夢のコラボ」ですからね。
 外国人で言うなら、スピルバーグ監督が坂本監督と対談したらどうなるか……って作風が違うから、どんな話になるか想像できませんな。

 スピルバーグと宮崎駿とか、そっち系の方が話が膨らむかも。
 どちらも「空を飛ぶ映像にこだわりを持っていた時期がある」とかいった感じで。

 ともあれ、堀井さんにしてみれば、ウィザードリィの制作者にリスペクトを持たずにいられないわけで、そういう人から自分の作品の面白さをリスペクトしてもらえるとは、クリエイター冥利に尽きるというものですな。

 で、堀井さんと鳥山明をジャンプの編集の鳥嶋氏が裏でフィクサー的に関係を紡ぎ、また三条さんと堀井さんの縁結びもしていたことが分かって、
 堀井さんと三条さんがどちらもマンガ家志望で、ライター仕事なんかもしながら、ジャンプ編集部で記事書きなんかもしていた無名時代があって……とか、クリエイターの来歴にワクワクしたりもします。

 さて、長谷川さんのガッチャードですが、制作発表で一番驚いたのは、南野陽子さんですね。

 ええと、彼女はスケバン刑事2でメジャーなんですが、自分的には「必殺始末人」の殺し屋の1人という印象もあります。

 始末人は劇場映画(1作め)と映像ソフトのみで3本作られたシリーズなんですが、TVの必殺シリーズが90年代に一度終わった後に、中村主水以外で復活を目指そうと動いていた企画。
 主演が田原俊彦の剣客で、元締めが樹木希林、そして南野陽子はかんざしの秀みたいなポジション。華麗なアクションで、相手の首筋にプスッてキャラですね。
 隠れた名作で、マニアの話ネタとして、この作品を挙げると、通ぶれます(笑)。

 そうかあ、南野陽子が主人公の母親役かあ。すると、高校生の家庭での日常シーンがあるんだろうなあ、と思ったり、
 この感覚はドンブラザーズで榊原郁恵が出て来たり、往年のアイドル女優が主人公をメンタル的に支える役どころとしてプッシュされると、懐かしさを喚起されて、番組が楽しみになります。

 で、長谷川さんですが、やはり1人で1年間は無理ということで、サブライターとして内田裕基さんが就きました。
 ライダーでは、セイバーで5本書いていて、長谷川さんとの連携あり。セイバーは、メインライターが福田卓郎さんでしたが、ご自身の運営する舞台がコロナ禍のせいで経営圧迫したなどの事情で執筆がままならず、実質的なメインライターを長谷川さんが務める形になっていました。
 最終決戦4話分も、長谷川さんが飾り、あとtwitterで長谷川さんが自発的に宣伝活動をしていて、作品の宣揚を頑張ってらしたな、と。

 メインライターが動きにくいところを、コミカル担当の毛利さんと、シリアス担当の長谷川さんと、新人の内田さんがローテーション的に回して、それぞれの作風を比べるテキストとしては、ヴァリエーション豊かな作品になったと思います >セイバー

 コロナ期の混迷状態で、メインが誰かはっきりしないため、迷走したとも言われていますが、逆に、制作側としては誰が病に倒れるか分からない状況下で、リスク分散という思惑もあったのかな、と。

 結果的に、この時の活躍が功を奏して、ガッチャードは長谷川・内田タッグで行こうか、という流れですな。
 これまでは三条陸&長谷川圭一の平成ライダー2期のタッグがあって(W、ドライブ)、非常に面白かったので、今回はそこからベテラン長谷川さんがまだ新人の内田さんを令和のシリーズを支える中堅どころに育成するような布陣を、プロデューサーサイドは狙っているのかな、と推測します。

 これで数年後に、内田裕基メインの令和ライダーが作られたら、東映の脚本家育成計画は成功ってところですね。
 なお、長谷川さんがこれまでメインにならなかったのは、ウルトラ関連の仕事がメインだったから、ですね。

 作風としては、アニメのグリッドマンで分かるように、少年少女の微妙な心情(繊細な心の動き)とそこから生じる不安を描くのが上手い。あと、「光と闇の対比」というテーマが割と明確で、闇堕ちと光サイドからの救済というストーリーラインになりますか。
 闇堕ちについては、結構、過激にグサッと来るインパクトを与えて来ますが、そこからの昇華がクライマックスの燃え萌えポイントかと思ってます。

 ガッチャードのメンバー構成については、少年少女の裏部活的なところで、フォーゼのライダー部をイメージする人も多いですが、他にもグリッドマン同盟とかかな。
 長谷川さんがメインの器を作り、内田さんがコミカルな(あるいは意外と熱い)サブキャラ主役回などで話を膨らませると面白そう、と思ってます。

 また、この作品を通じて、長谷川インタビューが増えて、また、これからの注目株になりそうな内田さんがどういう人柄なのか、露出の機会が増えると、シリーズの未来を楽しむ材料になりそうですね。

 なお、長谷川・三条タッグだと、アニメの『ゲゲゲの鬼太郎(5期)』(2007〜2009)がよく話題に挙がるのですが、自分は見ていないので(ネコ娘が今風に萌えキャラ化したという話題は耳にした)、ちょっと興味をそそられている最中。
 まあ、こういうのはリアルタイム視聴時には見えなかった部分が、後年の関係者の回顧録なんかで判明したり、作品の歴史的な意義付けが変わったり(過小評価されていたところに光が当てられる)して、シリーズがつながって面白くなるので、
 リアルタイムで見られなくても、再評価の機会に見る楽しみがあるか、と。

 ともあれ、グリッドマン→ダイナゼノン(総決算としてのグリッドマンユニバース)からの流れで、ガッチャードを追う形だと、鑑賞もいろいろつなげて楽しめそうでしょうね。

 まあ、後はギーツからのバトンタッチがどう描写されるかを期待しつつ。

PS.話が変わりますが、『ゴブリンスレイヤー2』が10月から、という情報が公開されました。詳細が出たら、また話題に挙げたく。
 

Re: 8月のスレッド(2023) - K.K

2023/08/14 (Mon) 22:23:27

 定期感想です。

 取り急ぎ、ゴブリンスレイヤー2期の情報、ありがとうございます。1期の再放送がなかったんで、どこかで急ぎストーリー情報とか仕入れておかねば。10月なんてすぐですから。

 ガッチャードにつきまして、本編観てからでしょうか。事前特番の南野陽子さんについては「鉄仮面」ネタが今でも通用するのは、ちょっとした驚きだったの、今さら思い出しました(言い換えますと、その程度にしか理解できてないorz)。

●仮面ライダー555(第49話:滅びゆく種、第50話/最終回:俺の夢)

 ようやく最終回に辿り着きました。大団円ではなく、ミニマムな解決で終わり(それも描き切らない)、いろいろ積み残しありな感じもしますが、なんだか納得が深い。ドラマ作りのコツとして聞いたことがあるのが「最後が開きっぱなしではいけない」というもので、しかし「物語が閉じるのは観客/読者の想像の中」なのだそうで。

 コツですから「そういうパターンもある」ということなんでしょうけど、この555はどうやらそのパターンの成功例ということになりそう。「リアリティは細部に宿る」とも聞いてまして、リアリティだけでなく最重要の感動自体もちょっとした演出で大きく左右されるようです。

 それを実感したのがこの最終週での、ネットを使った演出です。何のネットなのか分かりませんが、かなり目が細かいものでした。そのネット越しの映像は、なんだかちょっと粗く(画素数が少ないみたいな)、色合いも薄くなる。人物だと、555で頻出のオルフェノク態から伸びる人間態の影に近いですね。

 それが、ホース/勇治 vs 555/巧の変身しての拳の戦いの後の舌戦(?)で効果的に用いられてます。人間かオルフェノクかで言い争うわけですが、ネット越しに映る場合はオルフェノク的に見えます。しかしネットには大きく裂けた個所があり、その切れ目から映るときは人間寄りになっている印象。

 まず巧が勇治の必死の問いかけに乗らず、ネットの裂け目から歩み出て去るわけですね。なんとなく「巧は人間であることを選んだ」と感じ取れます。しかし勇治はネット越しに物凄い形相で叫んでる。「オルフェノクであろうとしている」という印象ですね。そこはさらに第2話の「警察から逃げようと走り、目の前に現れた幸せな頃の幻想に手を伸ばして泣く勇治」を思い出すものがあります。

 なんだか勇治、一周回って元に戻ったのかという気がしますが、そうではないという気もすぐしてくる。九死に一生を得たと思ったのに(実は死んでたんですが)裏切られて絶望し、最愛だった人まで殺め、そこにも絶望して死を選ぼうとして許されず、それでも人間らしくあろうとするも、また大事な人を奪われ、と翻弄されつつも次第に足取りを確かにしてきた勇治が何も得てないはずがない。

 それはすぐ印象的に証明されまして、またもネット越しに映る、一人で物思いにふける勇治のシーンですね。今度はネット越しからネットの切れ目へのカメラ移動での勇治が映り、ついに勇治は立ち上がってネットの切れ目から踏み出してくる。勇治は何も語りませんが、人間であろうとすることを再び選んだように思えます。

 その後、巧に追い付いて「(何が正しいか)その答を君(巧)が俺(勇治)に教えてくれ」と勇治は言うわけですが、自分の印象としては、もう勇治は自分の中で答を出していたように思えます。
(と偉そうなこと言ってますが、自分は勇治が出した答が何かは分からずorz。もしかすると、「死ぬまで求め続ける」という覚悟だったかもしれない。)

 ニクイことにラストでもネット演出が使われてまして、ネットの裂け目から寝そべる真理、巧、啓太郎が映ってますね。啓太郎は人間、真理は一度死ぬもオルフェノクにならずに蘇った者、巧は死してオルフェノクとなった者。その3人が仲良く川の字。勇治が最終盤以前には叶えたいと思っていた願い(共存)が、こじんまりとですが理想的に達成されていたと暗示するかのようです。それがネットの裂け目から映るわけですから、巧の願い「(心は)人間であろうとする(者を救う)」も実現されたような印象を生じます。

 もしネットを使う演出がなくてもドラマは成立したと思いますが、印象は大きく変わったと思います。そしてたぶん、自分はここまで感動しない。ネットだけでこうも納得し、感動するものかと驚いてます。このネット演出、脚本にあったのか、それとも脚本から演出家が思いついたのか。前にオルフェノクのカラーリングについて、流星塾襲撃の記憶シーンとの絡みで感心したことがありますが、このネットもそうですね。実に周到だなと思います。

 ともかく本編。想像以上に一気呵成でした。しかし駆け足でもなければ手を抜いたと感じる部分もありません。前半(第49話)冒頭は前話の続きで草加の死から。自分は灰化した草加が波に洗い流されそうと思ったんですが、巧と三原の発見だけは間に合う(ついでという感じで海堂も ^^;)。灰の中に草加が大事にしていた幼少時の真理の写真がある。何があったかは明らかですね。

 前話で真理の急報を受けた巧らが必死に駆けつけようとするシーンで感じた「草加の想像に反して草加は大切に思われている」が、今話ではよりはっきりして「草加とはこんなに皆に重みがある人物だったのか」と。三原は戦い続けた草加の死で戦士としての覚悟ができたらしい。巧のほうはオルフェノクを倒し切る覚悟ですね。

 それでも巧、念のため勇治に草加を殺害したことを確認する。そこで勇治が動機を語りまして、花形から伝えられていたオルフェノク短命説ですね。同行していた海堂は大きく動揺ですが、王覚醒で助かると聞いて縋るような態度に。しかし王が人間を滅ぼすとも聞かされると。海堂は再び勇治から離れる気持ちに。巧は終始揺るがない感じで、これがこの後、勇治が「君(巧)は死ぬのが怖くないのか!」と動揺し迷う原因に。

 しかしとりあえず勇治は王覚醒まっしぐらでして、巧にも照夫に王が潜むことを告げる。子どもの照夫を倒せるか、というわけですね(勇治の読みとしては「巧が子どもを手にかけられるわけがない」でしょうか)。海堂なぞはお気楽にヒーロー願望から王を倒すとはしゃいでますが、巧はマジですな。勇治情報ですぐに動かないところが本気。この目で見てみるまでは、ということなんでしょう。

 一方、ラッキークローバーも勇治がもたらした情報で動揺する。物を考えない性分の北崎は王を倒して王になるとはしゃいでますが、琢麿は死に怯え、冴子は覚悟するものがありますな。この時点で冴子と琢麿に暗黙の協定が成立したらしい。北崎/ドラゴンを葬って、王に賭けるというわけですね。

 しかし、依然として北崎/ドラゴンは2人には強力過ぎる。そこで(再結束を図るべく)流星塾跡地を真理らが訪れたチャンスを利用するわけですね。王が潜む照夫を連れて来てくれるから北崎は乗り気になる。冴子&琢麿としては巧と三原、つまり555とデルタが来ているのが好都合。

 王に襲い掛かろうとするドラゴン/北崎に、背後からロブスター/冴子とセンチビート/琢麿が襲い掛かる。これだけだと冴子側劣勢ですが、555とデルタが座視するわけなく参戦。それでもドラゴン、まずスピードを生かしてロブスターとセンチビートを退け、パワーを生かして555とデルタを締め上げる。

 自分は一瞬「ブラスターフォーム使えば勝てるのに」と思ったんですが、はたと「持ってきてない?」と気が付きました。オルフェノクは依然として死から蘇った謎の存在ですが、ライダーはマシンなのでした。序盤からライダーに突きつけられている命題ですね。持ってないと変身できず、(一応の制限はあるものの)誰でも使い手になれる。

 最強形態を欠く555では大ピンチなわけですが、ここで草加から覚悟を受け取った三原/デルタが根性を見せてくれまして、ゼロ距離射撃でドラゴンをたじろがせる。大ダメージ与えたらしく、ドラゴンは逃走。そこからは北崎の最期ですね。追いついた琢麿/センチビートに鞭で乱打され、さらに照夫/王が現れて捕食される。見ていた琢麿は恐れおののいて逃走、事情を知らぬ冴子に笑われると。

 しかし巧は見ていなかった。だからまだ確信を持てず行動に移らない。さらに啓太郎がクリーニング店開業百周年記念と言い出し、バーベキューとなりまして和む展開にすらなる。けれど、照夫の王化は進み続け(北崎/ドラゴンは滋養豊富だったらしい ^^;)、もう意識は八割がた王のものになってるみたいですね。近くにオルフェノクを感じ取ると、ふらふらと引き寄せられ、迷わず捕食してしまう。

 これをついに巧が目撃するわけですな。こうなると巧は相手が子どもの照夫だろうと迷わず、555に変身して襲い掛かる。のですけど、やっぱり拳止まりますか。再び意を決する555/巧ですが、まず(照夫が王と知らない)海堂、続いてカイザギアを手にした(照夫が王と知る)勇治が追い付いて来る。真理らも来る。絵面的には「子どもに襲い掛かる巧と、守ろうとする勇治」ですね。

 結局、巧は照夫に手出しできずに逃げ去るわけですが、真理らの態度に感じ入るものがありました。中盤までですとたぶん「何やってんの、巧!」と責めたと思うんですが、もうそういうことにならない。むしろ真理らは巧を気遣ってますね。何か事情がある、と思ってるんでしょう。巧すらよく覚えていなかった流星塾襲撃事件などを乗り越えてきて、そういう信頼関係が確立していたわけですな。

 しかし、巧が走り去った原因は手の灰化。死の前兆であるわけですね。このことは最終回ラストに至るも、巧は隠し通してますな。さらに勇治が巧を捕らえ、実験材料として自社の研究機関に引き渡す。南や村上前社長の知るオルフェノクの「死の運命」の理由・技術情報を勇治は知らず、花形からも詳しく聞かされていないらしい。そらならと、照夫を手にかけようとして仲間から孤立したはずの巧で調べちゃえと。

 ところがどっこい、真理らは巧を見放す気は毛頭なく、俄然として救出に乗り込んで来るわけですね。アイロンが武器なのがなかなかご愛敬ですが(^^;、勇治が読み違いして油断していたからこそ、あれだけ容易に突破できたんでしょう。まあ海堂もいますから、いざとなれば突破はできたと思いますが。

 海堂が真理らに同道したのも、勇治の慢心なんでしょうね。地下施設の王のもとまで海堂がたどり着いたとき、勇治は冷たくあしらうべきではなかった。力の差と覚醒寸前の王で勇治は驕っちゃったんでしょうな。それで海堂が照夫を心配する気持ちを軽んじたため、海堂は真理らに巧の居場所を急報し、同行することになりました。

 ただし巧に崩壊因子なるものが投与されるのは防げなかったわけですね。それがラストまでで明らかな作用を起こす様子はありませんでしたが、ラストの描写及びその後に多大な不安を残すことになってしまいました。

 それは後のことでして、救出直後の巧は少しよろよろするものの、勇治と再び相対すると気合が入ったのか、元通りの感じに。この時点で勇治と巧の考え方は完全に相容れないものとなっており、自分の命を軽んじるかのような巧を勇治は理解できないらしい。勇治は「命が惜しくないのか」旨、巧に迫ってますが、もともと死に場所を求めていた巧には通じない。なぜ話が通じないかを勇治が理解できないからこそ、話が通じないんでしょうな。

 それならと力尽くのバトルになるわけですが、勇治/ホースが形態変化してますね。調べると激情態なる強化形態らしい。それでいったん555を圧倒しますが、555にも最強形態ブラスターフォームがある。それで555の勝ちとなりますが、止めは刺さず。そこから上述しました、ネット演出のシーンがありまして、自分的には最終回での描写の白眉です。

 そんなことをしている間も王の覚醒は進み、三原がデルタとなって阻止&照夫救出を試みますが届かず、王に縋りたい冴子と琢麿もやって来る。冴子は覚醒した王に選ばれ、不死となったようですね。琢麿はビビッて逃げちゃいますが、エピローグを見る限り、琢麿は結局、自分の選択に満足しているみたい。

 しかし諦めず奮戦するデルタ/三原のもとへまず555/巧が駆けつけ加勢。さらに(迷い続けていいと)迷いを吹っ切った勇治もカイザを手に駆けつける。いったんは冴子/ロブスターらも加勢して各個撃破されますが、オートバジンが我が身を犠牲にファイズブラスターを届け、呼応した巧が三原、勇治に「見つけようぜ、俺たちの答を」と活を入れ、3ライダー揃い踏み変身。

 ですが、それでも敵いませんか。またも各個撃破されますが、致命の一撃を食らって変身解除の勇治が王を羽交い締め。何も言いませんが「俺ごと撃ち抜け!」ですね。勇治は人間態とホースと姿を行き来しつつも、死の寸前に現れる青い炎を吹き出してます。555/巧も意を決して覚悟を受け取り、奥義を以て王を倒す。

 その結果は描写されず、すぐエピローグですね。三原と里奈は創才児童園に戻り、オルフェノクって何だったんだろう、人間の弱さが問題なのかなとか話してますね。海堂も門の外から見てます。

 警察の添野錠二と沢村刑事も平穏な生活に戻り、添野の娘で仕事に悩んでいたひかるも落ち着いたらしい。添野と沢村は序盤からオルフェノクとしばしばニアミスし、沢村に至っては南麾下になりすらしましたが、なんとか生き延びてくれたわけですね。前週でおでんの屋台で飲んでた時点で、無事にオルフェノクの脅威から離脱できてたみたい。添野の言う「小さな幸せ」でいいと見切ったお陰かもしれない。

 琢麿は冴子に別れの手紙を送って、余生を目立たず、しかし真面目に生きていくことにしたみたいですね。工事現場で働いてまして、未だ(人間態時も発揮できる)オルフェノクの力を有するはずですが、へっぴり腰でして現場監督に叱られてます。この現場監督、脚本の井上敏樹さんなんですか。迫力ある風貌とネットなどで書かれてますが、確かにそういう感じでですな(^^;。

 スマートブレイン社は解体されるらしい。少なくとも本社ビルは撤退ですね。業者を入れて片づけされてまして、スマートレディが眺めてます。落胆はしてますが、それ以上ではない。この先が不安そうでもない。このスマートレディ、序盤から謎の存在でしたが、ついに正体が分からずじまいでした。

 ちょっと描写順前後しますが、巧ら。真理や啓太郎と共に丘陵(?)でのんびりですか。もっとも不安になる描写がありまして、巧が自分の掌を見つめてます。手の甲は異常ないですが、掌には灰化があるのかどうか。カメラはわざと空に焦点合わせて手はピンボケなんで分からない。

 巧は序盤で啓太郎の夢に憬れるみたいなこと告白してましたが、このラストで真理に夢を問われて「世界中の洗濯物が真っ白になるみたいに、みんなが幸せになりますように」と。啓太郎が深く巧に刺さっていたことを物語ってるみたいです。その後、3人揃って寝転がって目を閉じ、それをネットの裂け目越しのカメラが捉える。上述しましたが、ネットの裂け目は人間であることを意味していそうです。

 しかし少し不安もありまして、「もしかして、巧はこのまま目を開かないのではないか」と。巧を見ているとどうも「全てやり終えたな」という納得があります。それだけに、直前の灰化とか序盤からの巧の態度とか考えますと、気張って保っていた命が尽きてしまうんじゃないか、という気がしてしまうんです(まあ、ジオウでそういうことは否定されたと考えていいんだろう)。

 冴子はもう人間態に戻らず、地下の流星塾跡施設で微かに動く王を見守ってますな。いずれ復活すると信じているらしい。これはこれで納得なんですが、南のやったことと併せて考えると、なかなか複雑な事情があるんじゃないかと妄想を逞しくしたくなります。

 冴子/ロブスターが王に認められたとき、ロブスターの影の冴子が急速に遠ざかってました。人間部分を切り離した感じですね。ウィキペディア等を調べてみますと、この時点で冴子は人間態に戻れなくなったらしい。

 つまりオルフェノクが「死の運命」を克服するとは、人間を捨てることらしい。澤田が終始求めていたのも人間を捨てることで、勇治も一時はそうしようとしていたわけですね。本能的に「元の人間部分を捨てないと死ぬ」と感じ取っていたんじゃないかしらん。ただし曖昧な感覚なんで「とにかく人間を退けさえすれば」と、しばしば無関係の人間を殺害することも(同族を増やす欲求もあって)あったんじゃなかろうか。

 南の研究もそうですね。オルフェノクを人間に戻すことと、人間態に戻れなくすることの両方を研究してました。もしかすると、オルフェノクを人間に戻すことは短時日で死に至らしめることに通じ、人間態に戻れなくするほうは不死の命を与えることに通じるかもしれません。そこを南は(知ってか知らずか)村上に伝えたんで、あの村上社長(当時 ^^;)の焦りと怒りになったんじゃないか。「王の秘密に辿り着きやがった!」みたいな感じでしょうか。

 そんなことを延々と妄想するほど、自分的に555は面白かった。これはおそらく555単独ではないかもしれません。まずクウガで人間・ライダー側置いてけぼりの、敵対意識すら持ってなさそうなグロンギ、それに仮面の下で泣いて抗うクウガが面白かった。続くアギトでは、むしろG3が主役ライダーかと思うほど、人間の努力重視な点が面白かった。龍騎では叶えたい願いために、あえてラスボスの掌の上で踊っても見せようと、敵味方や正義・悪、あるいは好意・悪意すら超越の努力が面白かった。

 そしてこの555ですね。自分もようやく放映時系列通りでたどり着きました。人間とオルフェノクという対立軸はありますが、では敵味方はとなると、それとは別の軸になってました。縦軸が人間-オルフェノク(どちら寄りか)、横軸が敵味方の平面座標取れば、少し整理できそう。真・女神転生のLaw-Chaos軸とLight-Dark軸の平面座標みたいな感じですね。

 真・女神転生と同じく、555でも第1~第4象限のどこにいれば良し、といったものではないとなりそう。それでも原点近くが最も安定しそうで、たぶん勇治が求めた共存もその辺りにあったのかもしれません。「何が良いか/正義か/悪か」ではなく「自分(各キャラクター)は何をどうすれば納得するのか」というのが555のドラマだったのかも。

 それにしても妄想が尽きない。555が最終回を終えてもいろいろ積み残しあるからなんでしょう。王に飲み込まれた照夫はどうなったのか、王ごと撃ち抜かれた勇治は本当に死んだのか、死の運命を受け入れたオルフェノクの巧や海堂は、オルフェノクの刻印を持つ真理や三原、里奈は、さらにそもそもオルフェノクって何だ、その王とは等々。

 それらは「放りっぱなし」と見ることもできますが、自分的には「それでいい」と、なんだか納得してます。現時点では「各キャラクターが納得を求めていたんだから、自分もそう納得する」ということかなと思っていますが、555の内容が自分の中で熟成してきたら、もうちょっとはっきりした感覚になるかもしれません。


 NOVAさんにおかれましては、既にご覧になったドラマであるにもかかわらず、初視聴の自分の感想にお付き合いいただき、いろいろご教示も賜りましてありがとうございました。他の番組(平成ライダーが多いわけですね)でもそうですが、観たものを自分だけで考えて理解し、感じ取っていたら、ここまで感動できなかったと思います。この555でまた楽しみが深くなりました。重ねてお礼申し上げる次第です。

(そして555の次が剣/ブレイドだと思い出すと、今さらあれこれ申しませんが、ブレイド前半の不満について、なるほどこれかと思うものありです。まさか不満について納得が深まってしまうとは(^^;。普通は解消するものなのに。)

Re: 8月のスレッド(2023) - K.K

2023/08/16 (Wed) 18:01:02

 ニチアサ放映日の再変更など、ちょこっとだけ。

●ニチアサ(次の日曜は放映)

 夏の高校野球の雨天順延で日曜(8/20)が休養日となり、ニチアサが無事放映されるようです。なんか奇跡的かも(^^;。

8/20(日):8:30~10:00(いつも通りの時間)
8/23(水):9:55~11:25
8/24(木):10:55~11:25(キングオージャーのみ)
8/30(日):いつも通り?

となるようですね。これでも週遅れとはなりますが、少しでも早まるのはありがたい次第。

・朝日放送(高校野球による変更関連)
https://www.asahi.co.jp/koshien/index.html#program

●境界戦機 極鋼ノ装鬼

 境界戦機の第3部がネットで開始してました。5日前からやってたようですが、気が付いたのが今日でして。木曜配信ということになりますが、何時からなのかは確認できず。

 ただ10分もの/前6話でして、分量的には少ない。玩具と連動ですから、その販売の維持もあるでしょうし、もしかしたら30分枠の第4部もあるかもということかな。

 ただ、第2部でちょっと興味が失速しまして、あと後がどうなるかが非常に気になるというわけでもなし(状況的には外国の支配を跳ねのけられるか否かという重大局面ですけれど)。とりあえずチェックするくらいのつもりで観ておこうと思います。

・放映(BANDAI SPIRITS
 https://www.youtube.com/@BANDAISPIRITS/videos
  →第1話:https://www.youtube.com/watch?v=SGT14xRjSYo

・公式サイト
 https://www.kyoukai-senki.net/kyokko-no-souki/

Re: 8月のスレッド(2023) - Shiny NOVA

2023/08/18 (Fri) 19:09:59

 定例じゃないけど、顔見せ書き込みです。
 来週から、定例を再開できるかな、と。

★ギーツ

 一応、20日のニチアサを見られるわけですが、自分はTVerで、先週分を視聴済みです。まあ、もう一度、見てもいいかな、と思いつつ。

 キングオージャーだけは、お城ロボの回を見逃したので、改めて、次の日曜を楽しみにしてます。

 で、感想というほどじゃないですけど、ケケラと景和の決着を見届けて、五十鈴大智がサポーターとしてナイスな活躍をしたので、その辺が見どころかな、と。

 そして、ケケラですけど、続編ガッチャードの南野陽子さんとは「必殺始末人」で共演していたんだなあ、というのがネタになります。

 役柄としては、南野さんの弟分の若手殺し屋リュウ。
 ケケラ退場回を記念して、役者の関連作紹介でした。

★555

 最終回を迎えたので、明日の土曜日は何に切り替わるかなあ、と気にしつつ。

 最終的な感想としては、巧が最後に生きているのか死んでいるのかという解釈で、1つだけ「死んだけれど、改変された世界で復活した」という作品があって(仮面ライダー4号)、他は曖昧なまま、しっかり生き続けている形。
 つまり、いろいろなパラレルワールド展開で、たまに登場してるわけですな、乾さん。

 ただ、真理や啓太郎と共演した作品がなく、来年の20周年映画で、ようやく真理と共演になるのかな。

 仮面ライダー4号では、巧が死んだ世界で、ただ1人残されたオルフェノクである海堂が、巧の死を改変するために、ショッカーの「時空改変装置」を使ったら、世界が混乱してしまったので、それを修復するために、巧が自らの死を受け入れるビターエンドになってしまった、と。

 元々、映画『仮面ライダー3号』のスピンオフだったのが、4号というタイトルに「平成ライダー4作めのファイズ」も絡めていた、ということで、ジオウでまた改変劇が行われる前は、「乾巧は死んでしまった」というのが公式見解だったわけですな。
 まあ、現在は3号も4号も黒歴史に近い映画となっていますが(元々、ショッカーの歴史改変が元になっている作品で、整合性に難がある内容だったし)。

 何にせよ、555が提示したテーマ(人間と怪人の異種族共存の夢)は、平成ライダーシリーズだと、次は剣を経て、カブトに引き継がれます。
 その間の響鬼は、作風が大きく変化して、「鍛えた鬼が浄めの音で妖怪を退治する退魔戦士もの」で、平成ライダー1の異色作とも言えますし。
 前期と後期ではプロデューサー交代して、作風が大きく変わったりもしたので、いろいろと物議をかもしたな、と。

 ともあれ、自分の希望は、次に響鬼かカブトが来て欲しいな、と。

 何にせよ、555の完走おめでとう、と申し上げつつ、夏の劇場版も遠からず来てくれたらいいでしょうな。
 オルフェノクが勝利したパラレル未来で、いろいろと衝撃的な作品でしたから。

Re: 8月のスレッド(2023) - K.K

2023/08/21 (Mon) 15:56:20

 定期感想その1です。

 東映公式Youtubeでは555の後に剣/ブレイドが来ましたな。自分が観たいのは剣の次なんですが(響鬼)、555を見終えての剣の印象を確認するのも悪くないかも。別の面で申せば、これで平成ライダーのTV放映順にネット放映してくれるのは確定と見てよさそうなので、いずれカブトから電王なども観られそうなのはありがたいことです。

●仮面ライダーギーツ(第47話:創世Ⅸ:ホンモノの仮面ライダー)

「五十鈴大智がサポーターとしてナイスな活躍」と伺い、ちょっと想像できないでいましたら、観てみればこういうことかと。決定打を放ったくらいの重みがありますが、しかし「ケケラと景和の決着」というドラマの軸はブレさせない。まさに「サポーター」でしたな。

 メインドラマは、ケケラが徹底して景和/タイクーンを追いつめようとしたら、それを跳ねのけて景和がヒーローたるゆえんを示し、それがケケラの想像以上だったといったところですね。悪役こそがヒーローを引き立てる者であることを如実に示したといえましょうか。

 自分はしばしば悪役に魅力を感じることがあります。ただし最後に負ける者としての魅力ですね。悪が勝つとあまり面白くない。あと一歩のところで悪役がヒーロー/主人公に負け、その散り際に惹かれること多々です。

 負けを認められず醜いまでに抗ってもいいし、潔く「よくぞ私を倒した」と言っておいて、「だが」と今際の捨て台詞でもいい。いろんなパターンがあります。今話のケケラだと自分(ケケラ)の当初の期待、さらにこの最終決着直前までの想像以上の景和/タイクーンを見て「天晴」と感服して消え去る。それもツボですね。
(もちろん、そうしたパターンを踏襲すればいいわけではなく、そこまでの段取り、さらに細かい演出が大事なことは、例えば555最終話の感想で申した通りです。)

 ケケラ最後の戦いは「仮面ライダーはタイクーンしか存在しない世界」を叶えておいて、おそらくは「悲しき顔を仮面で隠す戦士」の悲しき最期を見るためだったんでしょうね。たぶん「致命傷を受けたライダーの仮面が剥がれると泣いている」みたいな。

 そのためには景和を奮起させねばならず、ケケラは悪役に徹することとなる。景和一人をライダーとして残すため、祢音、ウィン、道長はフリーズさせられる。ただしぬいぐるみとかになっちゃったこともあり、景和を驚かせはしても深刻に怒らせることにはつながらない。

 なお、沙羅は既にライダーを辞めており、大智はライダーからジャマトに乗り換えた(?)んで、影響を受けなかったみたいですね。英寿は神化しつつあり、現時点ではライダー扱いではないらしい(それゆえ復活にインパクトがある)。ケケラの願いはある意味、誰がライダーかを確かめるリトマス試験紙みたいな作用になってるみたい。

 ライダーでない者はもはや脅威ではない、とケケラは思ってるんでしょうね。しかし大智については、うっかりしたようです。直接的な戦力としては、ジャマト化してもケケラには敵わなかった。が、ライダーであってもジャマトであっても大智の策士面は健在。

 かつ、大智がどっちを向いているかも大事ですね。せっかく救った沙羅に手を出すなと、誰に頼まれもしてないのに現れ、ケケラに向かって行ったわけで。沙羅はこの場合、救済されるべき者の判定役・基準となっているようです。

 冒頭では、沙羅と知らずに倒してしまった道長が頭を下げると、優しく励ましてます。これで道長の贖罪は果たされた感じです。沙羅を救おうとした大智も同様ですが、序盤ではまだ贖罪半ばかな。
(大智は沙羅以外も多数、ジャマトの実にしてしまっているわけですが、たぶん全員復活させたと勝手に解釈してます。沙羅だけに効く薬(?)なんて作れないでしょうから。)

 大智がどう罪をあがなうのかと思ったら、沙羅の弟:景和を助けることで為されそう。これにはまず景和から大智に接近する流れが作られまして、大智が沙羅を守ろうとしたからですね。2人が沙羅を救うも、ケケラに捕まったことで会話のチャンスが生まれる。そこで語ったのが、以前は景和の怒りを買った「(沙羅の)つまらない人生」ですね。

 今度は真意を語りまして、555での添野刑事が語った「小さな幸せ」と同じようなもののようです。大智の言う「つまらない」は大智視点でありまして、波乱万丈でもなければ天才的な何かとかもないということ。

 しかし大事なのは、納得しているか否かなんでしょうな。大智が沙羅の記憶を奪ってみたところ、納得や満足があったんでしょうな。そこは大智が持ちえなかったものなんでしょう。おそらく憧れる気持ちが大智に生じたんでしょうけど、今話で景和に語った通り、大智はもうジャマトとして悪事を為してしまった。

 もう元には戻らない、というわけですが、大智を許す役割が沙羅から景和に託された理由が分かりました。景和とて闇堕ちしたからこそ、同じ境遇の人間として大智に刺さることができるわけですね。「それでもやり直せる。人の心が残ってればね」がいい具合に大智に刺さりそうです。

 しかしケケラが景和を決闘の場へ引きずり出す。一緒にいる大智を、おそらくケケラはいないも同然の無力と見做しているんでしょうな。ケケラは景和にのみ、突っかかっていきますから。それも悪逆なものでして、3人(家族かしらん?)を台上に拘束して、ジャマトをけしかけるというもの。

 阻止して見せろ、無理だけどな、というわけですね。3人を救えず、しかも現代のオーディエンスに見られ、絶望する景和/タイクーンをケケラは見届けたいし、未来のオーディエンスに披露もしたい。そういう算段ですが、ダークホース大智を見過ごしたために、逆転敗北すると。

 前の世界に作り直されたせいで、ジャマトの創造主が大智に戻ってたわけですね。もしかすると、冒頭で大智が単騎でケケラに立ち向かったのも、そこをケケラに思い出させないためだったかもしれません。大智は景和に段取りを充分言い含めもしたでしょうな。「ケケラがジャマトを檻から出すまでは、不利を装おえ」とか。

 そうしてケケラの思慮不足の油断を突き、3人の人質を襲おうとしたジャマトの群れを、3人を守るよう動かし、ケケラの目論見は破綻。ですが、ケケラの目論見は半ば成功しているともいえますか。景和の絶望にはいったん失敗してますが、要はケケラが「景和/タイクーン一人では何もできない」と思い知らせられれば充分。

 ケケラにとって幸いなことに、景和/タイクーンのケケラへの戦意は高まってます。ケケラが差し出した(誰かの幸せを犠牲にして成り立つ)願いのカード、以前の景和は縋ったわけですが、今回は断固拒否したほどです。かくして一騎打ちが成立。

 そこまではケケラの悪役ぶりが光るほどだったんですが(ヒーロー景和/タイクーンとバディ大智を引き立てている)、景和が「力をどう使うかは自分で決める」と言い放ってブジンソードを行使すると、ケケラは「『推し』とやり合うのも悪くねえな」と正面から受ける格好に。

 ケケラ、悪役時はライダー人形ごっこしてたんですが、生身のヒーローとして眼前に立ちふさがられてみると、ファン心を動かされた感じですね。一応、バブルみたいのを出してタイクーンのキックを邪魔はするものの、突破されると避けずにまともに食らってみせる。

 それでも悪役の最期を飾るべく「仮面ライダーは生半可なもんじゃない、その運命を覚悟しろ」と捨て台詞吐くも、景和から「あんたに1つだけ礼を言っとくよ。俺を仮面ライダーにしてくれたことを。これで俺は世界の平和を守れる」と返される。キックではケケラを倒せませんでしたが、この言葉がモロに撃ち抜いたみたいですね。ケケラ、笑って涙を流し「天晴だ、桜井景和!」と叫んで消滅。

 よっぽど嬉しかったんでしょうね、自分の想像を超える景和を見せられて、ようやく『こういうのが見たかったんだよ』と、まるで前から望んでいたことが実現したような気持ちでしょう。立派な悪役にしてファンの死にざまでした。自分はライダーシリーズの観客ですから死にはしませんが、ライダーシリーズではしばしば、最終回を観終えると「想像以上の見たかったもの」という、矛盾するような満足感を覚えます。

 それはともかく、ケケラ退場で願いはリセットされ、各ライダーは元に戻る。ドラマは英寿に戻ってきますね。英寿は意思なき神にされる寸前でしたが、景和らの奮戦で気力を得て、戒めの蔦(?)を引きちぎって復活。OP映像の蔓(?)に囚われ、しかし引きちぎるカットが本編で回収されましたか。

 しかしジットが黙っているはずはなく、リガドに変身して阻止を試みる。激戦となりますが、ギーツⅨが現最強らしい。リガドは撃破されますが、変身解除のジットは自分に意味はないと意味不明なことを言い出したと思ったら、スエルが己が腕で作った分身/人形でしたか。

 ラスボス:スエルが再び来襲となり、変身したのはリガドですか。前はゲイザーだったはずですから、それを使わないとなると、敵側の最強がリガドということになりそうですね。それもオーディエンスを吸収したリガドであるらしい。敵側の(ツムリの涙から複製された)黒ツムリはこの期に及んで新ライダーリクルートしてますな。総帥スエル/リガド率いるライダー軍団で決着を図るということかしらん。

●王様戦隊キングオージャー(第23話:シュゴッダムの動く城)

 今話と劇場版との前後関係ですが、どうやら今話で戴冠式を執り行えたギラが劇場版で事件に巻き込まれるというつながりみたいですね。続く第24話が劇場版の話の後となりそうですが、映画内容を知っているか否かで印象に違いがどの程度生じるのか、ちょっと気になります。

 ともかく本編ですが、ヤンマが表に出ずに、しかし中核となって事態を動かしてますな。エンジニアですから経年劣化で動作不良の城を修復する仕事は当然ヤンマの担当だとしても、焦るギラを抑えたり、逆に腹を括らせて国民に呼びかけさせたり。王たる者の務めをヤンマがギラに叩きこんだ感じです。

 冒頭は前話の続きで城が動きそうで動かないところからですね。ヤンマはまずギラ以外の王/オージャー戦士に城が動かねばどうしようもないと覚悟を促す。そうしておいてドゥーガを問い詰め、ラクレスが隠していたと思われる技術陣のもとへ案内させると。実にテキパキです。

 そこからちょっと面白いパロディシーンありまして、ネットで今話が「北斗神拳」と語られていた理由が分かりました。城を動かすためにエンジニアが空腹と過労(だと思う)で倒れているところ、秘孔を突いて活を入れると。予備動作に北斗七星が表れまして、あれは「天破の構え」ですね。しかし突いた秘孔は「心霊台」らしく、一時的に生気を帯びるものの、後で祟るやつですね。実際、最後にこのエンジニア、倒れてましたな。いずれも、効果音が北斗神拳のものという凝りよう。

 それはともかく、復活したエンジニアの説明にリタがキレるところ、それっぽさありますな。一応は作中用語使ってるんですが(オージャクラウン/ランス等)、早口でジャーゴン多用の印象の演出でして、現実のエンジニアがついやりがちなこと。ともかく城が古すぎて動かず、修復もできないわけですね。

 が、叩き上げのエンジニアのヤンマはあわてず騒がず、まず城と同時期に作られたシュゴッドの流用を考え付くと、かなりうまく行きそう。何を流用するんだろうと不思議に思ったんですが(まさかシュゴッドを解体してパーツ取りではないだろうし)、シュゴッドの自己修復機能の流用でしたか。

 が、起動かけるとまず小さい歯車がぱらり、大きな歯車がガッシャンガラガラでして、老朽化して作動に耐えられませんでしたか。しかしやはりヤンマは慌てず、こんな歯車何万個も作ったと豪語して、ギラに国中からかき集めろと指示。ただし、やりよう次第でパニックになると警告。

 そこは「邪悪の王」演技続けて来たギラだけあって、うまくクリアですね。ただし、これで調子に乗って(?)、危機を乗り越えた告知するときに大誤解受けるのはちょっと予想できませんでした。それにしても児童養護園以来のつきあいのブーンには理解されているというか、演技がバレてるのはご愛敬(^^;。

 そうして歯車集めが始まるわけですが、バグナラク側も阻止に動く。カメジムがサナギム率いてかき乱しに襲来、これをオージャー戦士が迎え撃つと。城中のギラも出撃しなければと焦りますが、ヤンマが一喝して鎮める。修理が済んだ城を動かすのがギラの役目、というわけですね。

 城を修復できるとヤンマには予測できてるゆえでしょうな(自信とはちょっと違うもの)。ヤンマの落ち着きを見て、ギラも腹を括る。ギラも迷いを断ち切ったわけではなく、迷いを抱えたまま動かない覚悟を決めた、という感じですね。

 それにしても壊れた歯車の取り換えはどうするんだろう(ほとんどがデカいし)と思ったんですが、ジェラミーが糸の職人でしたか。まあシュゴッドすら絡めとって自在に動かすほどの糸ですから、デカい歯車程度は軽いもんなんだろう。

 そして最後の小さい歯車はブーンが見つけて城へと走る。他の国民は半ばパニックのせいか、目につきやすい、大きいものに注意がいっているようですが、ギラの真意を悟っているブーンは細かいところにも注意できたようですな。ブーンをまずドゥーガらが敵から守り、続いてジェラミーもカメジムからブーンを守りつつ歯車を受け取りヤンマのもとへ。

 これで超巨大ロボ:キングコーカサスカブト起動となり(最初は「助けて」とうろたえ、すぐに高笑いのギラ、なかなかに可笑しい)、カメジムも巨大ダイゴーグに最後の一撃の指令。一騎打ちとなりますが、力の差は歴然でしたな。ダイゴーグの一撃を易々と受け止めると、ヘラクレスアックス(そんなことできるんだ)を召喚して一刀両断。

 これでさらに高揚したらしいギラ、大喜びで慕って来る国民への演説間違えちゃうわけですな。「貴様らは歯車だ」と、まるで専制独裁で力を求めることを隠さなくなったラクレスと同じ。当然、国民は怒り狂う。ですが真意は違いまして、キングコーカサスカブトを降りて生身で走って来たギラは「歯車が1つでも欠けたら動かない」「みんなの力だ、ありがとう」と感謝し、ようやく誤解が解ける。

 ともかくもシュゴッダムの危機は救われ、ギラは戴冠式ですね。その後が映画のエピソードとなるのか。

Re: 8月のスレッド(2023) - Shiny NOVA

2023/08/21 (Mon) 23:40:53

 20日放送分の感想が本題ですが、その前に2点ばかり。

>ファイズの後

 剣(ブレイド)ですな。
 割と最近、公開してたのに、と思いながら確認すると、2020年のセイバー放送時期でしたな。

 ある意味、カード使いにして、カードにモンスターを封印するガッチャードとリンクしていると思わなくもないですが、割と記憶が新しいので、自分は今回、視聴をパスする所存。

>ゴブリンスレイヤー1期

 一応、公式ではありませんが、英語字幕入りがYouTubeで見ることができます。
 「ゴブリンスレイヤー アニメ」で検索すると、見つかるはず。

 視聴上の注意としては、バイオレンス的なグロ注意となります。1話と2話がなかなかハードで、3話からがチーム結成で物語の本筋に入る流れ。
 全12話なので、おさらいはしやすいと思います。

 では改めて、ギーツ&キングオージャーを。

★ギーツ

 景和VSケケラ、五十鈴大智の意外な活躍、そしてジットの退場が目玉となりました。

 そして、最終1話前の目玉は、ようやく初代GMのギロリさんが再登場して、英寿をラスボスのスエルとの戦いに導いてくれます。
 しかし、その戦いの中で英寿が絶体絶命? で最終回に続いた形。

 果たして英寿の運命は? ってところですが、劇場版につながるなら、「神として世界と一体化」して、表舞台からは姿を消す形で終了かな。

 それよりも、最終回でガッチャードとの交代劇が見られるかどうかが気になるところ。

★キングオージャー

 コーカサスカブト城起動までのドラマをじっくり見せてくれました。
 シュゴッダムを守るために、王さまと民が力を合わせる流れを経て、ギラ戴冠ですな。

 この流れだと、ギラが「強い王さまが民を犠牲にするやり方じゃ世界は救えない」と初代国王を否定するのも納得というもの。

 そして、次は戴冠後の骨休めお祭り回と思いきや、デズナラクの最終作戦が発動し、チキュウの危機に。
 人類とバグナラクの不和を根深いものにした原因が自分にもあることを認識したジェラミーにもスポットが当たり、
 前回放送分のチキュウの危機解決編では、コーカサスカブト城も含めた20体合体ゴッドキングオージャー起動に際して、5王国全ての側近や民の協力が必要な盛り上がりドラマを披露。

 そして、ギーツ最終話の直後の27日(日)では、キングオージャーも第1部最終回になることが発表されました。

 ギラが国王になった後、最後にジェラミーがデズナラクを倒し、自らバグナラクの王になる決意を固める流れ。
 ジェラミーがバグナラクを統べる王となり、そして人類の5王国同盟と和平を結んで、6王国同盟を結べば、両種族の因縁も解消できるのでは? という話が、今週の放送補完分で描かれて、うまく大団円に漕ぎつけるはず。

 そして、9月からは新展開の第2部が始まり、ギラが即位して2年後の話。
 王さまとして相応の経験を積んだギラたちが、今度は宇宙に進出する流れ? と噂が流れていますが、果たしてどうなるか。

 とにかく、20体合体はお城起動回を凌駕する燃えるドラマで、クライマックスを飾ることになりました、とさ。

 このみんなの力を合わせて、チキュウを救うという展開が熱くて、でも「初代国王が予言したチキュウの破滅の危機」ってのは、今回のエピソードなのか、それともさらに大きい危機が宇宙からやって来るのかは気にしつつ、物語のスケールが秋以降は膨れ上がるのかな、と。

 別の宇宙から、キングと名乗る恐竜戦士が飛来するとか、キュウレンジャーの世界につながるとか、ドンブラの世界につながる……のは来年だとして、とにかく、新展開への流れをワクワク期待したいと思います。

Re: 8月のスレッド(2023) - K.K

2023/08/23 (Wed) 17:21:01

 定期感想その2です。

●ゴブリンスレイヤー

 この作品に限らず、英語字幕入りは以前からほとんどのアニメにありますね。最速では深夜帯でも放映翌日にはネットで見つかる状況だったと記憶しています。自分は当初、公式から明示的な認可はないけど、二次創作同様に黙認されていると思ってました。いくつか観たりもしました。

 が、実際はそうではないと知り、原則として観なくなりました。仕事でPCソフトやってましてご多分に漏れず違法コピーに悩まされてましたから、アニメ制作・公式の悩みが身近に感じられます。

 しかし「原則として」と申すのは、英語字幕入りは英語、特に英会話学習に有効でして。なにせ口語の日本語を口語の英語に翻訳してくれてます。アニメ観ていて「この台詞、英語ではどう言うんだろう?」と疑問に思うことがあれば、英語字幕入りを探して観てみるとたいていは疑問解決です。英語タイトル(ウィキペディアで調べられる)で探すと、まず間違いなく見つかりますな。

 しかし疑問にすら思ってなかった台詞の英訳でショックを受けるほどのことがありまして、予告最後の「お楽しみに!」です。英語字幕では「Join us!」となってまして「これは絶対自分では思いつけない、この先10年、20年勉強しても無理」と思いました。直訳的には全く違うのに、意味、ニュアンス、雰囲気がぴったりですから。

 しかしゴブリンスレイヤー1期は未視聴ですので、やはり英語字幕入り等は自分にはハードルが高い。アップロードやダウンロードは違法でも、視聴だけなら合法と思ってみても、やはり気が引けます。

 それでも「ゴブリンスレイヤー アニメ」で探してみると面白いものが。ABEMAですと、1期の一部が期間限定で無料視聴可能になっておりますな。今だと第1話と8話、さらに大盤振る舞いなんでしょうか、劇場版GOBLIN'S CROWNも観られます。TV本編のほうは8話以降も無料公開するようなら最終話まで押さえられそうです。観られない回は以前に見た画像付き感想サイトで分かった範囲がありますから、まあ2期の準備は何とかなりそうです。

「バイオレンス的なグロ注意」については、第1話を画像付き感想サイトで観たものと、上述のサイトで観たものが感覚的にだいたい同じレベルでしたんで、たぶん第2話以降も自分の理解・感覚は大きくずれてはないと思います。

 前に申した気がしますが、第1話時点では「目を引く刺激だけで見せたいのかな」と疑ったんですが、第2話以降で世界観含む作風なのだと理解。それならきちんと「バイオレンス的なグロ」してもらわないと、むしろ不満材料になってしまいます。

 しかし真にゴブスレが厳しい点は「(ゴブリン相手では)死んだ方がましと思うほどの挫折から立ち直られなければ生き残れない」みたいなところにありそうです(しかし心が死ぬことは避けられず、そこからどう立ち直るかは未だ描かれてない感じ)。2期でもそこをきちんと維持してくれることを期待したいですね。

●仮面ライダーギーツ(第48話:創世Ⅹ:ツムリの鎮魂歌)

 大変なサプライズありまして、ギロリ復帰ですね。こちらでも以前はギロリの復活を期待する話が出ていたわけですが、最終話に近づいて行くに従い諦めムードでした。が、まさか最終回前の土壇場で再登場とは。

 スエルが未来からVIPオーディエンスと仮面のスタッフ多数(みんなGMらしい)を呼び寄せた際、顎が赤い仮面が大写しになりまして、それが「実はこの人がギロリだよ」という匂わせだったみたいですね。対比されるように出て来る青い顎の仮面は誰なんだろう、サマスかニラムなのかしらん。

 今話のギロリはしかし、スエルに面と向かって抗議はしたものの、さしてドラマを動かしたわけではなさそうです。せいぜい、いいタイミングで英寿をスエルの前まで連れて行ったことくらいかな。次話/最終回で鍵となる動きを見せて欲しいところですが、不安もあります。直近では墨田奏斗/ダパーンですね。人類滅亡の願いを引っ提げて復活しましたが、たった1話で再退場(のはず)。ギロリもTV本編では「最後に懐かしい顔ぶれとして」くらいの扱いで終わってしまう恐れもありそう。

 そうはならないと期待するとしまして、サプライズはまだありますね。OP映像と本編のリンクです。前は英寿が蔦(?)に囚われて引きちぎるシーンでしたが、今話ではツムリが英寿に銃を向けるところがリンク。OPはそこで終わってますので「本編ではこの後が真のお楽しみ」といったところでしょうか。

 前話で変身したスエルについても勘違いしてまして、まず変身したライダー。ジットと同じの単なるリガドだと思ったんですが、リガドΩなる上位バージョンらしい。たぶん呼び寄せたVIPオーディエンスの力を借りることによる強化なんでしょうな。VIPが裏切ると動作不良起こすようなんで。未来人はデータ人間のようですから、データ量が増えることによる強化かな(そう考えると、ここでの推測「このギーツ世界はシミュレーション」説が有力になって来る気がします)。

 スエルについてはまだありまして、今話の描写を見る限り、この現代世界(ほぼDGPと同義になって来てる)において管理の全権を持っているものの、未来世界含めたラスボスではないらしい。未来人オーディエンスに支持されないと力を失うようですから。VIPだとリガドΩの力について、その他のオーディエンスもスエルがDGPをどうするかについて影響力がある感じです。

 もしかすると、スエルは未来世界では単なる興行主くらいのポジションなのかも。それがリアルの現代における国際オリンピック委員会の会長ほどのものであっても、(未来)世界を牛耳るラスボスには到底なり得ません。もしそうならですが、スエルを潰しても問題は解決しそうにないですね。

 問題と単純に申しましたが、もはや「DGPの是非」どころではないですね。今話で顎の青い仮面GMが言ってましたが、100年後には既に現生人類は滅びていなくなってるらしい。そうなってしまえば、DGPありきのデータ人間の未来人しかいないことになり、序盤での世界観はもとより、後になって示された「転生を続けてでも抗う英寿」の物語はバッドエンドとなるしかなさそう。

 その辺り、残りたった1話でどう落としどころを作るのか。ちょっとだけ希望が見えなくもなくて、例えば祢音と光聖です。鞍馬財閥は壊滅しているのにどうドラマを動かすんだろうと思ったんですが、またしても自分の勘違いでした。世界がリセットされて前にに戻ってるから、鞍馬財閥は健在みたいですね。

 鞍馬財閥は未来人に協力してGDP運営に関わってるんで、今話で呼び寄せられたVIPオーディエンスに影響力を及ぼせる。「未来に帰れなくなるぞ」(以前の情報では消滅を意味するはず)と脅せるほどの力があるらしい。それでVIPの一部を動かし、スエルのリガドΩを(いったん)弱体化させることもできる。となりますと、未来人の現代への干渉についても影響力を及ぼせそう。

 さらに人類滅亡の原因とされるジャマトですね。こちらは大智がコントロールしていることが前話で示され、今話では対未来GMへの戦力にすらなっています。滅亡原因が制御可能であり、制御しているのが改心した大智となりますと、何か手を打てそうな感じがあります。大智は策士ですしね。

 TV本編内で可能かどうか分かりませんが、人類滅亡をひっくり返しに行くとして、まずは今のDGPゲームが当面の鍵になるはず。ですが、このゲームがよく分からない。一見すると「多数のライダーをリクルートして争わせる」という、エグゼイドで見たゲーム(クロニクル)と似ている気がします。エグゼイドでは実はプレイヤー(勝てない設定のゲームでありましたが、このギーツでは1人しか生き残れないゲームですね。

 ただし勝ち残ったらどうできるわけでもなく、単に死なないで済むだけらしい。しかし総量が一定の幸福は奪い合うものらしい。黒ツムリに幸福パワー渡して女神化するものなのかしらん。スエルらはフルに力が宿った神を未来に持ち帰れさえすればいいらしいので、ミニマムな勝利条件をとりあえず満たそうということかな(新女神を得ればしたい放題なんだし)。

 が、ここに至って創世の力とは別らしき、卑怯なくらい強力な技が出てきましたな。ギロリのサポートでスエルの前に辿り着いた英寿、ギーツでリガドΩと互角に戦い、さらに祢音&光聖の裏工作でVIPを離反させてリガドΩを弱体化、勝利寸前にこぎつける。が、リガドΩ/スエルに隠し技ありまして、時間巻き戻せるんですか。しかも対象を英寿1人のみにするという便利技ですね。

 これで英寿はギーツ(少なくとも最強のIX)への変身能力を失ったようですね。つまりスエルへの対抗手段がない。しかしスエルが止めを刺すのではなく、ツムリが銃を突きつけるんですか(たぶん黒ツムリではない)。英寿は一瞬驚いてますが、予想外でもないらしい。銃声がしまして、続く。

 ディケイドTV本編最終回を思い出してしまいますが、次回/最終話「黎明Ⅰ:ここからがハイライトだ!」は、いかにも劇場版とかに続きそうなタイトルで不安です(^^;。予告映像には倒れた英寿、それと例の転生に絡むコインが映ってます。英寿が死亡して、また転生するということかしらん。


 キングオージャーは2話分が23~24日連続ですんで、観終えてから感想書こうと思います。

Re: 8月のスレッド(2023) - K.K

2023/08/24 (Thu) 18:11:29

 定期感想その3です。

●王様戦隊キングオージャー

「9月からは新展開の第2部」と伺い、ネット検索してみると「スーパーせんたいフレンズ」というサイトにも情報ありまし。画像付きでして、(その解説で言ってる通り)オージャー戦士それぞれ、少しイメージチェンジしてくるみたいですね。やっぱり2年の経過を実感させるのは絵面を変えるのが効果的なのかも。

 新章では敵は宇宙から来るわけですか。スケールは大きくなりますが、それだけにラクレスが帰ってきにくくなりそうなのは不安。崖から落ちて行方不明はいずれ戻って来るフラグだと思うんですが、フラグ折っちゃうのかな。

・第24話:狭間の王VS奈落の王

 地下と地上が相絡みながら、齟齬といっていいほど対照的な動きを見せてますね。地下のバグナラクではデズナラク8世が身に覚えのないことで悪と責められる無念に怒り、その復讐開始により猛暑となった地上では夏祭りを楽しむ。そしてついにデズナラク8世が地上に現れて復讐を開始、みんな滅びろという覚悟ですね。

 ジェラミーは当初、デズナラク8世の怒りを一時の癇癪と捉え、駄々っ子を抑え、宥めればよいと考えていたようですが、そんな浅いものではなかった。しかも、2千年に渡るバグナラク=悪という人間の理解は、ジェラミーがそう歴史として伝えてしまったから。そこが他のオージャー戦士/王にきちんと伝わってない、ジェラミーが自責の念のあまり伝えないのが観ていてもどかしいところ。

 ともかく本編。上述しましたが、まずデズナラク8世がザリガジームに命じて、地下の溶岩地帯(マントル層とかかな?)に至る穴を掘らせる。そこからマグマが噴出し、地上は猛暑日になってしまうわけですね。

 しかし事情を知らないギラらは、お気楽な要求を各王から受けた挙句、結局は夏祭りすることに。これはギラが王たるべしと気張るあまり、ブーンにすげなく応対してガッカリさせてしまったこともあり、一応は仕方ない面もある。

 とりあえずデズナラク8世には、上述の通りの態度でジェラミーが対応を図ってますしね。この時点では自分はまだ、大したことにはならず、ドラマは夏祭りイベントに収束するんではないかと高を括っておりました。もしかすると、序盤(祭り前)でリタがギラに「もっふんと一緒」の一気放送を要求したせいかもしれません(^^;。

 ともかくもヤンマの発案で夏祭りとなる。地下ではジェラミーが奮戦しつつ、「チキュー破壊計画」の真相を知っているぞと、デズナラク8世を抑え込もうとしてます。結構怖い計画でして、ザリガジームが掘った穴からデズナラク8世がチキューの核まで降り、惑星ごと吹っ飛ばすというもの。デズナラク8世、そんなパワーあるんなら普通に戦えばと思ったんですが、後で命と引き換えの大技だったと分かるわけですな。

 しかしそれは後のことでして、この時点ではジェラミーが計画までよく知った上で対応しているのは、むしろ安心材料です。もっとも、ゲロウジームはジェラミーに退避を促されても踏ん張っておりまして、もしかして計画の真の恐ろしさを知っていたのかな。しかしジェラミーは変身を解いて「話し合おう」と言い、流れ的には平和ムードへ向かいそうと感じました。

 ところがデズナラク8世が語る内容が重く苦しい。まず「バグナラクは悪か?」と問い、ジェラミーが「2千年前、バグナラクが人類を侵略してからだ」と答えると、デズナラク8世が今まで抑えて来た感情が一気に噴出するかのようです。

 自分なりに言い換えてみますと、「会ったこともない先祖のことで苦しめ、こっちの話を聞きすらしないのは人類じゃないか。もういい、みんな滅べ」というわけですね。もしかすると今までの小競り合いでデズナラク8世はガス抜きできていたのかもしれませんが、ダイゴーグを破られてはもうそれも叶いそうもない。それでこの先に絶望しちゃったのかも。

 ただ観なおしてみますと、そのシーンに救いが暗示されているようでもありまして、地上で王の心得を述べるギラをジェラミーに被せてます。ジェラミーは相変わらず全てを統べる王として事を納めようとし、ギラは「邪悪の王じゃなくてもいいのかな?」と行き方/生き方を変えてもいいと気が付く。

 ジェラミーは結局、過去の己が行い(バグナラクを悪とする歴史を語ったこと)を悔いるも、デズナラク8世を抑えきれないわけですが、違う王を目指し始めたギラならどうか、という期待が生じますね。そういえば冒頭で「奈落の王の物語、そしてこれから王になるもう1人の王の物語である」と語られてまして、どうやらあれはデズナラク8世とギラを暗示しているらしい。

 太古にバグナラクと人類の間に生まれ、双方の橋渡しになろうとしたジェラミーが、未来を象徴するといえる子ども:ブーンの純真さで過ちに気が付くところも面白いですな。純真と言っても、ジェラミーが知らずに与えた、間違った歴史印象ですね。「英雄が人類を救った」と書いたから、敵対したバグナラクは悪。2千年間、そう語り継がれたんでもうそれを疑う人もバグナラクもはいなくなった。しかしたった1人、デズナラク8世だけが「なぜだ!」と異議を唱えた格好ですね。

 しかし、まずはチキューの崩壊を阻止しなければならない。まず地中のザリガジームをザリガニ釣りの要領で引きずり出し、撃破。これは夏祭りで風船釣り楽しんだブーンがこっそりゴッドクワガタに入り込んだお陰ですね。しかし、どうやら手遅れで穴は完成した模様。ザリガジーム敗退を気にする様子もなく、デズナラク8世が現れ、穴へ向かう。

 これはオージャー戦士がほぼ相討ちで阻止したかに見えましたが、無傷で残ったジェラミーが力尽くを躊躇。あくまでも言葉でデズナラク8世を止めるつもりらしい。本名「ジェラミー・イドモナラク・ネ・ブラシエリ」を明かしまして、どうやらデズナラク8世とナラクつながりの血縁らしい。

 それでも押しとどめることはできず、デズナラク8世は何か(後で調べるとシュゴッドソウル)を飲み込み、穴へ。デズナラク8世の台詞「わが命と引き換えに」、それを見ていたジェラミーの様子からしますと、飲み込んだ時点で後戻りできない、決死の行為みたいですね。

 デズナラク8世は結局、チキューの核のマグマに飲み込まれますが、その直前の台詞から何を望んでいたかが窺える気がします。「チキューの光を絶つ」という台詞からは地上に光があることに怒りがあった模様。しかしマグマに飲まれる直前「明るい」と、これは少し嬉しげか。

 これは「ダイの大冒険」の大魔王バーンを自然と思い出すものがあります。バーンも地下の魔界に光がないことを嘆き、ずっと地上の光、つまり太陽を欲してたんでした。そのために地上を吹き飛ばしてでも、魔界に陽光が差し込むようにしたかった。デズナラク8世も同じなのかもしれません。自分の命と引き換えでも良しとするところ、覚悟は上かも(そこは555の村上を思い出すものありだったり)。

・第25話:王と民の戦い

「20体合体はお城起動回を凌駕する燃えるドラマ」と伺って期待してましたら、その通りでした。なにがどう凌駕するほどなのか、自分なりに感じ入るところがありました。

 簡潔に申すなら「ジェラミー最大の過ちを正した」となります。前話までで既に、ジェラミーの語ってきた歴史こそがバグナラクを悪と為し、地下に閉じ込めたとジェラミーは悔いています。バグナラクを預かり統べるデズナラク8世も(身に覚えがなくて)無念に思ってます。しかしジェラミーがその責任を取ろうとして行ったのは、デズナラク8世を宥めること。

 それではデズナラク8世の無念は晴れないわけですね。宥めるならば「そんなことは大したことではないよ」と言うも同然、と少なくともデズナラク8世は感じるでしょう。そうじゃないんだ、と言いたいでしょうね。なにせ己が命と引き換えに全て滅ぼそうとするほどの覚悟を見せてるわけですから。なぜそれを認めないんだと。

 今話冒頭では依然として『みんな仲良く、誰も死なないように』と甘いジェラミーを、バグナラク出自でジェラミーに従うゲロウジームが諫める。それもジェラミーの目の前で裏切る芝居を打つという、我が身を犠牲にしてでも主の迷いを断とうとするもの。全てを無傷で救うことなんかできない、ということですね。

 特に命を捨ててチキューを吹き飛ばす覚悟を決めたデズナラク8世。その行為は悪役そのものではありますが、武人らしい決着のつけ方ともいえます。「怒りを鎮めよ」と言えば覚悟を侮っており、「共に死んでやろう」と言えば共有もしてない無念を理解していないことになります(デズナラク8世視点では、ですが)。

 となると「その無念と覚悟、真正面から受け止めてやる」ということになりそうです。つまり全力で倒しに行ってこそ、デズナラク8世の気持ちに応えたことになる。それがシュゴッド20体ということになりそうです。それもシュゴッドそれぞれに、握れば王剣の宝石が光るという、選ばれた戦士が必要というわけですね。

 そこまでキングオージャー側が準備できれば、地下の溶岩地帯にも突入は可能。1人でも不足なら成功はおぼつきそうになく、全員揃っても五分五分。とはいえ、選ばれた戦士は割合サクサク見つかるみたいですね。選ばれた全員、そもそも覚悟があることが既に示されてました。エンジニアですと、倒れるまでどころか、倒れてもなお頑張ってたわけですし。

 しかし案の定と言うべきか、1人足りない。が、ギラは心当たりありますか。そこで前話の夏祭りシーンが効いて来るわけですな。ブーンがギラの剣に触れたとき、宝石が光っちゃった。その時点では意味が分からなかったけれど、こうなってみると分かる。でも、まだ子供のブーンが決死の戦いを共にしていいのか。しかしブーンも対等の覚悟を示し、なお迷うギラにコガネも同行を申し出る。コガネの「大丈夫なんでしょ」がギラの背中を押したようですね。

 かくして20体合体のゴッドキングオージャーとなるわけですが、コーカサスカブト城も含むということから、キングコーカサスカブト級のデカさだと思ったんです。が、出てきてみるとそれほどの大きさはない。設定身長調べてみますと、エクストリームキングオージャーよりはかなり大きいものの、キングコーカサスカブトよりははるかに小さいみたいですね。

 その設定身長の理由はすぐに分かりまして、地下突入作戦成功でデズナラク8世を地上に引きずり出しておいての決戦です。通例は敵(デズナラク側)の強さを見せるべく、オージャー戦士側よりデカいか、少なくとも対等のサイズ。ですが、今回は巨大デズナラク8世が相対的に明らかに小さい。

 そのため「優勢な敵に打ち勝ってのカタルシス」があまり感じられません。オージャー側が打倒して当然、言い換えれば必死に抗うデズナラク8世の必死の抵抗という気がし、彼のの無念が未だ晴れずという印象となります。

 そういうサイズ演出なのは、決着が次回へ持ち越しだからなんでしょうな。巨大戦では撃破されても、等身大のデズナラク8世は未だ健在。そうなってこそ、今話序盤でゲロウジームが腹を括らせたジェラミーの「デズナラク8世を倒し、バグナラクの王に」が活きてこようというもの。

 それでも両種族の和解という願いは持ち続けるジェラミー、次回「新王国の誕生」ではどうケリをつけるんでしょうな。なにせ2千年分の落とし前といったところですから、相当な離れ業とか必要になってきそうです。

 観終えてみますと、前話でサブタイトルとナレーションで感じた印象が変わってきました。前話では「奈落の王の物語、そしてこれから王になるもう1人の王の物語である」がデズナラク8世とギラだと思ったんですが、今話ではデズナラク8世と(これから奈落の王になる)ジェラミーなのかなと。

Re: 8月のスレッド(2023) - K.K

2023/08/28 (Mon) 21:56:13

 定期感想です。

 東映公式Youtubeで「侍戦隊シンケンジャー」が始まりました。これの米国向け翻案(?)の「POWER RANGER SAMURAI」(吹き替え版)が先行しまして、オリジナルのシンケンジャーはやらなのかと思っていただけに余計に嬉しい。

 シンケンジャーはこちらで何度も話題に出てましたわけで。まずディケイドでの「シンケンジャーの世界」編のときですね。殿(当主)と思われていたレッドが実は影武者で、といった仕掛けとか面白そうな話がいろいろ。

 そしてセイバーのときの役者つながりで、シンケンジャーでは梅盛源太/シンケンゴールドを演じた相馬圭祐さんが、セイバーでは一時はラスボスかと思われたマスターロゴス/仮面ライダーソロモンを演じるということで、またも話題に出ました。

 ゴーカイジャー完走以降は戦隊に興味が高まっている自分としましては「何度も話題に出たシンケンジャーはどんなだろう」と観たくなります。これは話題に出して頂いたときの説明等に熱を感じたことも影響してます。こういう感じで話されているときは、自分も面白がるポイントとかあるはず、という直感ですね。

 先行で放映の「POWER RANGER SAMURAI」と雰囲気とか比べながらということもあり、さらに面白く観られそうです。

●仮面ライダーギーツ(第49話/最終回:黎明Ⅰ:ここからがハイライトだ!)

 ちょっと奇妙なサブタイトルでして予告のときは少し不安もありました。「ここからがハイライト」というのは、ドラマの解決とか大事なものが先送り(劇場版とか)しそうな雰囲気ありです。

 それが「黎明Ⅰ」という出だしを表す1であるわけで。「黎明」は第1話「黎明F」にもあります。第1話時点では気が付きませんでしたが、「F」は章の終わりに使われることが多かった。となりますと「もしかして、最終回ラストが第1話につながる作り?」~「時間ループ世界ということ?」みたいに思えてきます。

 時間操作できるジオウでは世界を変えて1年前に戻してまして、ギーツのラスボス:スエル/リガドΩは時間を巻き戻せる。元の木阿弥エンドもあり得なくはない。しかし観てますと、きちんと終えてくれましたな。最小限の解決だけしているようにも思えまして、そこは555の最終回と似た印象かもです。

 555に限らず、途中でもいろいろ歴代ライダーもの思い出すシーンありまして、例えばリガドΩがタイクーンとナーゴを停止させて撃破するのはエグゼイドでのクロノス/檀正宗のポーズを連想するものありです。

 主人公の英寿/ギーツは神になっちゃうわけですね。そこは鎧武を思い出すものがありました。神となってから帰還するまでのタイミングに差はありますが、仲間のピンチには駆けつけるところとかですね。

 そしてやはりラスボスであったスエル/リガドΩとの決着はちょっとジョジョを思い出すような頭脳戦要素がありまして、よく考えたらそれこそ序盤から狐だと嘯く英寿が見せていたものですね。スエルも英寿を出し抜く戦術を使って来る。

 まず冒頭は前話ラストからの続きで変身が解けた英寿をツムリが銃撃して倒してしまうところから。この2人が何らかの策を講じたのかと思ったんですが、そうではなくツムリは黒ツムリに憑依され操られていたわけですか。そうなるとスエルの準備が功を奏しての完勝となりそうです。英寿の転生もスエルは計算済みでして、その頃には世界が変わっていて手遅れと(前話で仮面GMが言った、100年もせずに人間が滅ぶ、というものですね)。

 初見では気が付かなかったんですが、そうではないことを暗示する伏線描写があったようですね。直前まで、英寿はツムリを「姉さん」と呼んで嫌がられていたわけですが、撃たれるシーンでは英寿は一度も「姉さん」と呼ばない。『英寿は目の前のツムリが黒ツムリと知っていた』と匂わせる演出じゃないかと思います。

 しかし観なおすまでは気が付きませんでした。そのため、冒頭から描かれている平和そうで、ツムリもジーンも穏やかな表情の世界も「もしかして惨敗の結果のディストピア?」と疑ってしまいました。最後の決戦以降と以前を行き来するドラマを観ていくと、そうでなく本当に平和が帰って来たと分かってくる仕掛けですな。

 それはともかく、英寿/ギーツ死亡で主戦力を欠き、残るライダーがスエル/リガドΩ相手に奮戦するも時間巻き戻しでギーツ同様に力を奪われて万事休す。スエル/リガドΩのこの能力は敵の強さ無効の万能技ですね。歯向かう者が強さを得る前に戻せるわけですんで。

 しかし死んだと思われたギーツ/英寿が帰還する。自分はすっかり忘れていたんですが、英寿の2千年前の母ミツメに再会したとき、「神になる」と願ったからでしたか。ミツメはその時点でも創世の女神ですんで、その願いが叶えられたということでしょうか。ただし死なないと/肉体を捨てないと神になれないらしい。

 だからなんでしょうね、実は黒ツムリであるツムリが銃を向けたとき、覚悟はできていると言ったのは。言い換えれば「全て計画通り!」でしょうか。これで形勢逆転(ただし実質的には黒ツムリが銃撃した時点で勝負はついていた)。離反したオーディエンスを処分して万全のはずのリガドΩ/スエルでも、さすがに神の如きギーツの敵ではない。景和らもライダーの力を取り戻してますしね。

 それでもリガドΩ/スエルは時間操作で抵抗を試みる。タイクーンらには依然として有効ですが、神の如きギーツには無効。必殺技の撃ち合いとなり、いったんはリガドの変身が解けたスエルが現れますが、ハラハラさせる演出「先に立ち上がったほうが実は負けている」ですな(もうこういうのはフラグなのかも)。

 このスエルにはスエル自身も気づかないまま、英寿が憑依してましたか。スエルを依り代にして英寿が受肉したといったところでしょうか(それならこれ以降も英寿は登場できそうです)。言い換えれば、最後の撃ち合いはバトルではなく顕現の儀式だった、みたいな。

 これで冒頭の平和なシーンが本当に平和と分かりまして、世界は作り直され、犠牲者は蘇る。未来DGP運営陣もギロリが捕らえて離さずのお蔭で未来に帰れず消滅。各主要キャラクターのエピローグも安心して観ていられます。祠にまつられた狐も英寿の死亡・退場を意味していなかったわけですね。そこを確認するかのように、最後に英寿が現れて大団円。

 なんですけども、やっぱり未解決事項いろいろでしょうか。ギロリは「この世界はこの時代の人間に託される」と言ってるんですが、ギロリらの未来とは別の未来がある歴史に変わったのかしらん。それにしてはキューンやジーンがこの時代に来てます。100年を経ずしてというタイムリミットが変わったのかしらん。

 そこは大智が作り替えた(?)ジャマトがどうなるか次第でもあるはずですね。最終回のジャマトは大智に従い、基本は温和になり、(人を取り込まずとも)知性も持ち始めた模様。このまま進化するなら、アルキメデルが持ち込んだジャマトとは異なる種族になり、スエルの未来世界には辿り着かないのかも。

 今までは願いを叶えるための幸せはゼロサムゲームだったわけですが、作り替えた世界ではノンゼロサムゲームになったわけですね。これもスエルの未来世界とは齟齬するわけでして、やはり違う未来になるということか。

 その辺りははっきりしないわけですが、最終回で描かれたものの全体としては「この世界は何とかなりそうだ、生きて行けそうだ」という雰囲気を強く感じます。そこは555最終回視聴後と似た感じがします。どちらも「もう大丈夫」ではないんだけど「何とかできる」みたいな感覚です。

 これでギーツ視聴&感想は完了。いろいろ当てずっぽう言ったりしましたが、感想に一年間お付き合いいただき、ありがとうございました。9月からは最終回ラストでちょこっと登場した仮面ライダーガッチャードですね(変身前の姿のみでしたな)。これも面白からんことを願いつつ。

●王様戦隊キングオージャー(第26話:新王国の誕生)

 前半終了ですね。次からは宇宙からの敵ということで、ここまではチキュー編といったところでしょうか。

 今話を観終えての印象は「デズナラク8世とかいかなる人物であったか」です。今話だけでなく、ここまでずっと描かれてきたデズナラク8世についての印象ですね。最初は地上征服を目論む敵の親玉。敵味方が戦うドラマではよくいる野心家といったところでしょうか。

 しかしなんだか武人的だなとも思えてきます。そういうキャラクターかと思っていたら、身に覚えのないことで憎まれることに怒り、全てを滅ぼしてでも恨みに報いる執念の人だったとなってきました。やっていることは間違ってますが(同族のバグナラク巻き添えですし)、気持ちが伝わって来るだけに、こちらの感情移入が深くなります。

 そうか、せめて怒りと恨みを理解してほしかったのか、それは受け止めねば止まるに止まれまい、と思っていたら、またも今話でひっくり返ります。ジェラミーが今まで調べてきたことに、ギラが補完してようやく判明したものですね。

 まずバグナラクが遺伝子的には人間に極めて近いながら(だから両種族の両親からジェラミーが生まれることが可能だった)、見た目も能力も全く異なるのはシュゴッドを食らって力を取り込んだ結果と。実際、地下の地帝国バグナラクには食われたシュゴッドの死骸が累々。

 しかし長い間、地帝国バグナラクにいながら食われていない小さいクモ型シュゴッドがいる。ジ食われるから逃げろとジェラミーが諭しても動こうとしない。しかしジェラミーはそのシュゴッドの声を聞くことができず、なぜ逃げないのか分からない。

 しかしギラはシュゴッドの声が聞けるわけですね。聞いてみると「デズナラク8世が守ってくれているから」。これでジェラミーは深く腑に落ちるものがあり、デズナラク8世は根っこでは優しい人物であったか、ということですか。デズナラク8世はジェラミーとの対決前、その小さいシュゴッドに手を伸ばしかけて引っ込めてました。力を欲する気持ちと守りたい気持ちで揺れているのが分かります。前にシュゴッド食らったのは相当な覚悟だった、とその様子から察せられます。

 そういうデズナラク8世について、ついにジェラミーは詳しく語りませんでしたが、自分は自分なりに納得するものがありました。おそらくデズナラク8世は野心はある。武人として戦うことに誇りもある。己が仕業でないことで罪を背負わされてきたことに恨みもある。ですが、最も深い苦悩は「誰も殺しも傷つけもしたくないのに、そうするしかない宿命」だったようです。その内面の苦しみで、今まで暴れていたわけですね。

 そうだと感じてみますと、またもやデズナラク8世の印象はもとより、これまでの行動の意味もガラリと変わるのが感じられます。意味が全て、それも一瞬で変わるわけですから、爆発的な印象が生じたと申しましょうか。

 そこは今までの全ての敵バグナラクにも言えまして、巨大化するとは即ち間もなく命尽きるという、新たに明かされた事実ですな。全力が振るえるとノリノリで巨大化してたんではなく、これが最後の戦いという覚悟でのものでしたか。そして、おそらくは生まれて初めてシュゴッドを取り込んだデズナラク8世も、ですね。

 そのデズナラク8世に一心に向かって行くジェラミーとギラも、またよいですな。ジェラミーはちょっと前まではデズナラク8世を駄々っ子扱いで宥めようとし、しかし(聞いてみれば正義とも思える)深い恨みを知ってまず運命を共にしようと、続いて真っ向から倒そうとしました。さらにその奥(根は優しい)を知って、新たなバグナラクの王となってデズナラク8世の苦悩を解こうとする。

 それもいつ命が尽きるか分からなくなったデズナラク8世を民としたいという覚悟ですね。見届けてくれ、ということでしょう。そこまでよく分からず迷っていたギラの思い切りもいい感じですね。邪悪の王を名乗りつつも根は優しいギラですから(いや邪悪は薄皮一枚かな ^^;)、共感するものがあったんでしょうか。

 しかし名文句は吐けないギラですから、「本当に大切なのは、どっちが先に謝れるかだ」→「ごめんなさい」と不器用ですね。しかし、不器用なだけにこちらには刺さります。が、デズナラク8世にはまだ届かない。そこはジェラミーが怒るデズナラク8世を抑えて、ギラに最後まで説明させると。

 最後まで聞き、再びギラに頭を下げられても、すぐにはデズナラク8世が納得しないのもいい運びですね。ここで簡単にデズナラク8世が折れちゃいますと、今までの恨み、苦悩が軽い印象になっちゃいます。そこまで言うならしばし猶予をやろう、という程度でしょうか。しかしその判断も軽いものではなく、ジェラミーに譲位する、というわけですね。

 ここからまだまだ長い、と思えたときにカメジム襲来ですね。戦いから手を引こうとするデズナラク8世を許せず、杖で串刺し。おそらく致命傷でしょうか。せっかく解決しそうなときに、と観ていて無念に思いましたが、逆にこれでようやくデズナラク8世は納得することができたみたい。そう感じてみてようやく、「こういう最期もありかも」と思えました。

 杖による串刺しは致命傷であったかもしれませんが、カメジムは確実に止めを刺すべく隕石のようなもので一撃を加えるわけですね。ここが死に場所と覚悟したデズナラク8世、後をジェラミーに託すべく突き飛ばして助け、隕石をモロに食らって消滅。この行動こそが最大の遺言でしょう。

 結局、デズナラク8世の無念は、すぐ近くで仕えていたカメジムが仕掛けたものでしたか。そうと知ったデズナラク8世の決断と行動は迅速でしたな。ギラの「ごめんなさい」には「こんなことで終わるのか」と思いきれない様子を見せていましたが、何かモヤモヤするものが残ってたんでしょうね。

 たぶん人間から恨まれ憎まれることについて延々と考えていたんでしょう。根は優しいわけですから和平が成るならということも考え抜いたはず。何か欠けたものがあって納得に辿り着けなかったのかも。それがカメジムの自慢げな告白で最後のピースがハマり、はっと悟るものがあったんじゃないかと。

 そうでないなら「騙しおったな!」とばかりに動けぬながらもカメジムに怒りを向け、せめて一矢報いようとしたはず。しかし瞬時で全てを理解できたからこそ、カメジムは放置してでも、最後の僅かな時間を使ってジェラミーに後を託したように見えました。

 為すべきことを終えたデズナラク8世が消滅しまして、残るはカメジムのみ。恐るべき策謀家ながら、戦闘力はさほどでもないらしく、勝負はあっさりつきましたな。もっとも、いつもなら「お決まりの巨大化」ですが、命と引き換えと分かってみると、カメジムもカメジムなりにやり終えた感はあるんでしょう。人類の完全勝利と宣言して退場するのも、なんだか納得感あります。

 ともかくも真の黒幕を倒し、ジェラミーはバグナラクの新たな王と認められ、一応の大団円。ですが、ジェラミーの悲願達成はまだまだ遠いわけですか。考えてみれば当然か。みんながみんな、他人の気持ちを察するに敏なギラのようではなく、あるいは義を見れば即座に憎悪を捨てられるデズナラク8世のようでもあるはずがない。2千年前の戦い以前のようになるには時間を要するわけですね。幸いなことにジェラミーにはその覚悟も根気もありそう。

 しかし話数的にはすぐ次の「宇蟲王の到来」では新たな敵襲来らしい。ただし作中時間では2年経過ということですね。チキューだからウチューと思ったら、宇蟲ですか(虫ではなく難しい漢字の蟲なのが気になる ^^;)。

 観終えてから、なんかモヤモヤしてまして、考えてみるとゲロウジームが原因でした。前から「どこにもいるし、どこにもいない」とか不明瞭なこと言ってましたが、今話で命と引き換えのはずの巨大化しても平気なことをヒメノから指摘されてます。

 が、相変わらず韜晦してまして、どうにも正体不明。もしかしてカメジム以上に曲者なのかという気もしてきます。「神の怒り」とか「消えた天秤事件」と同様、解決したように見えて未解明なものの1つにゲロウジームがあるのかもしれません。

Re: 8月のスレッド(2023) - Shiny NOVA

2023/08/31 (Thu) 22:43:06

 定例……と言っていいのか分かりませんが、番組改編期感想です。

 まずは、ギーツ最終回の完走おめでとうございます、と互いの栄誉をお祝いしつつ♪

★仮面ライダーギーツ

 きれいに終わった感ですな。

 自分が一番気にしていたのは、夏の劇場版に上手く世界観がつながるか否かです。
 ここまで来て、実は劇場版はパラレルでした、となってしまえば、何だかがっかりになりかねない。

 と言うのも、劇場版がライダーには珍しいぐらい、ハッピーなお祭り映画で終わったから。

 普通は、ライダー映画って深刻な問題提起をしたりして、これどうするの? って要素をTVの最終話で解決したり、しなかったり、冬映画にネタ引き継ぎしたり、いろいろ引きずる感じだったのが、
 今年はすっきりし過ぎるぐらいすっきり感(いや、未来で人類は滅びるという重さはありましたが)だったので、

 TVでその滅びる前提が描かれたらどうしようか、とか若干の心配を抱えていたら、五十鈴大智が綺麗に終わらせてくれました。

 もう、終盤は「劇場映画に出演しなかった不確定要素の五十鈴大智」の動向以外は、大体が予定調和に収まるので、そこが一番、想定外の注目要素になっていたり。

 で、まさかジャマトが人類と和解する未来が描かれるとは、凄いな、と。

 あとは、未来のことはギロリさんがまとめて仕切り役としてケリをつけてくれましたな。
 まあ、DGPの理念に対して、一番、真っ直ぐに、公正に裁定していた御仁ですから。
 昨年末の「チートプレイヤーのギーツをゲームから排除しようとしていた悪役ムーブ」も、実際、一人勝ちを続けるギーツを野放しにしてるとゲームが成立しないという義侠心ゆえ、ですからね。

 で、世界を滅ぼすためのゲームなんてやり始めたら、そりゃあ、公正なGMとしては見てられないでしょう。
 さらに言えば、過去の人間を見下す未来のプロデューサーとか、ギロリ視点でおいおいおいおい、とならない方がおかしい、と思っていたら、そこのところはギーツと協力してのデウス・エクス・マキナ役をきちんと務めてくれました。

 本作にはいなかった「おやっさん役」をきれいに引き受けてくれて、その点もすっきりです。

★キングオージャー

 で、こちらも同じく(第1部の)最終回を迎えた王様戦隊ですが、最後はデズナラク8世がドラマの中心人物として、敵役のバグナラクを悲哀の種族として、上手くまとめ上げてくれました。

 五十鈴大智とジェラミーが同じ立ち位置として、敵種族と人類の和解をうながし、そうなるとデズナラクさんの立ち位置はアルキメデルになるのか。

 いや、よく知らんけど、考察ネタとして「五十鈴大智は、実はアルキメデルのご先祖だったのでは?」とか、
 まあ、「ジェラミーはデズナラクの親族」というつながりもありますし、
 何だかギーツとキングオージャーのつながりを思いつつ、そして、次回から宇蟲人かあ。

 それと、ここで話題になりつつあるゲロウジームと、声優の関智一さんですが、宇蟲の敵幹部のミノンガン・モウズというキャラの声も担当するそうで。
 ええと、ゲロウジームが仮の姿で、正体がミノンガンなのか、それとも全くの別キャラを一人二役で担当するのか、あるいは、ゲロウジームはもう退場なのか。

 とにかく、新キャラがどんな役柄なのかも気にしつつ、新展開を楽しみにしてる今日この頃。

★シンケンジャー

 この作品の注目ポイントを、K.Kさんなりに情報を集めてらっしゃるので、自分は補足的に。

 まず小林靖子さんの脚本なので、ちょうどタイムレンジャーともつながって来る要素があるかな、と。
 具体的には、レッドだけが他と違う立場で、そこから生まれるリーダーとしてのレッドをメインとしたチーム関係。

 まあ、近年はそういうレッドも当たり前というか、キングオージャーも、前作ドンブラザーズも、レッドだけが特別という印象ですが、90年代からゼロ年代の戦隊は基本的にレッドはチームリーダーだけど、あくまでメンバーの中心であって、レッド一人が他と違う特別なドラマを持っているケースは少ない。あくまで、チームのドラマとして、各人同格のキャラ付けが為されていたわけですな。

 だけど、小林靖子さんは「特別に過酷な運命を持つようになった主人公レッドと、他の4人、そして孤立してしまうレッドとそれを支える6人めとか、とにかくチームのメンバー枠から外れてしまうレッド」を描くのが定番で、
 それがまあ、10年代から20年代には主流になって行ったというか、そんな流れの礎を作った感じです。

 で、シンケンジャーの放送タイミングは、TVシリーズ「必殺仕事人2009」と同じとか、
 水戸黄門の格さんであり、最初の仕事人でおでん屋さんを演じた伊吹吾郎さんが爺役で出てきて、時代劇ファンとしても注目だったし、
 仕事人でからくり屋の源太というキャラが殉職したら、シンケンの方で寿司屋の源太というキャラが6人めで出て来たり、本編外でもネタつながりが非常に面白かったという記憶。

 一方で、ファイズの直後にシンケンジャーというのもいいですな。
 海堂役の唐橋さんが、主人公のライバル剣士の腑破十臓役で登場しますので、同じ役者のイメージのつながりと演じ分けの上手さを楽しめます。

 ともあれ、夏が過ぎて、時間の余裕もできたことで、新番組を非常にワクワクできる頃合いになったので、
 また楽しんでいきたいと思っています。改めて、よろしくお願いします。

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