創作と鑑賞の談話室

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10月のスレッド(2023) - K.K

2023/10/01 (Sun) 00:01:11

 10月の雑談スレッドです。

Re: 10月のスレッド(2023) - K.K

2023/10/03 (Tue) 11:13:44

 定期感想です。

●仮面ライダーガッチャード(第5話:燃えよ!斗え!レスラーG!」)

 プロレス回でして、多少はケミーなどの設定紹介を深めつつも、メインは燃える闘魂といったところ。ケミー(ゴリラセンセイ)に憑依されてマルガム(ゴリラマグナム)になる敵役:剛力は本職のプロレスラー納谷幸男さん。身長2m超、体重130kgだけあった生身でなかなかの迫力でした。

 剛力と対立するプロレスジムオーナー旭光一郎がケミー(レスラーG)で変身する覆面レスラー:サンシャインマスクを演じたのが竹内康博さんでスーツアクター歴が長い方ですね。調べ直すと高岩成二さんと同期の方で、戦隊とライダーだけでも出演リストが膨大です。スーツアクターとしてレギュラーになったのはダイレンジャー辺りからみたいです。

 プロレスのほうは現在は観ておりませんが、80年代はかなり熱心に観てました。アントニオ猪木もジャイアント馬場も健在な頃ですね。自分的には猪木の新日本プロレスのほうを面白がっておりまして、今話のプロレス演出に当時の新日っぽさを少し感じました。いや新日というより、もっとピンポイントに「タイガーマスク」というべきか。

 タイガーマスクはアニメとのタイアップでリアルのプロレスに登場した、いわば際物、色物といったところだったようですが、動きが派手で意外と人気でまして長続きすることに。今話で腕を掴まれたり、関節を極めらようとしたときに、くるくる回るように逃れて反撃とか、タイガーマスクを思い出すものがありました。
(そういう動きは自分よりゴツイ、デカい相手と戦うことを売りにしていた猪木が見せていたと思いますが、ハッキリ見栄えするようにしたのはタイガーマスクだったように記憶しています。)

 当時のプロレス放映は金曜8時でして、引き続いてハングマン、仕事人。3時間も好きなものが続くということで、今にして思えば奇跡的だったなと。最後の5分番組「味の招待席」がありまして、食うシーンは一切なくて、調理過程だけ見せるもの。それでも美味しそうに感じたのは、ナレーションの米朝師匠の喋りの上手さのお蔭だったようです。

 などと道草が過ぎました。ともかく本編ですが、冥黒の三姉妹の暗躍はほとんど描かれず。武闘派クロトーが剛力をスカウトしたときはちょっと期待したんですが(タッグあるわけだし)、クロトーはバトル参戦はせず。長女アトロポスが名前だけ口にした上位存在らしき「グリオン様」が気になりますが、詳細は語られず。

 カードの数字を足して10ならベストマッチという設定もちょこっと紹介され、主人公:一ノ瀬とヒロイン:九堂で足して10という匂わせも。しかしこれも今話ではそこまで止まり。10がベストというのは、りんねによれば常識らしい。仮面ライダーWEBでは単体で10のカードがあるが詳細は内緒みたいな記載もありました。なんでしょうね、ガッチャード世界の10。

 そこから今話のメインドラマに移りまして、潰れかけのプロレスジムですな。80年代に多く、現在もやり口変えて存在する地上げ屋に狙われてる。が、地上げ屋は前座で、ケミー:レスラーG登場、続いてメイン敵役の剛力/ゴリラマルガム。さらにスパナ参戦ですが、そこはスパナとりんねの間に溝があることを描いておくためかな。りんねが宝太郎側につくと宣言したとき、スパナはもう(営業用の)笑顔見せてませんでしたから。

 剛力にジムのトップレスラーを潰され、弟子が逃げてたった一人になった旭光一郎(現役時は覆面レスラー:サンシャインマスクだったらしい)ですが、そのプロレス魂にケミー:レスラーGが引き寄せられたらしい。ケミーが惹かれるのは憎悪だけではない、ということみたいですね。もっと広く、強い感情、さらには魂ということか。

 ともかくも剛力/ゴリラマルガムを倒すには得意の風車式バックブリーカーを破るしかないという、伝統的な技対決ドラマに。しかし旭光一郎は老いてしまい、プロレス技を伝えることができない。その悔しさにケミー:レスラーGが呼応して憑依、全盛時のサンシャインマスクに(これもマルガム?)、という自分好みの燃える展開です。しかもサインシャインマスクがタイガーマスクよろしく、コーナートップに飛び上がってから、くるりと飛び降りる演出まである。

 さらに倒れても立ち上がる特訓という、宝太郎のスポ根展開ですね。これはスパナと距離を取ったりんねが、宝太郎を思わず応援してさらに気持ちが近づく演出にもなってますな。しかし剛力が再び来襲。ですが、やっぱりレスラー、リングの上で勝負ですか。特訓の成果があったようで、ガッチャード/宝太郎は風車式バックブリーカー半ばで体をくるりと回転させて逃れる(まさに往時のタイガーマスクを思わせるものあり)。

 さらにサンシャインマスク(旭+レスラーG)も参戦して2人ラリアットからの止め。剛力は駆けつけたミナトにより記憶を消去され、後は警察のご厄介かな。しかし旭光一郎も記憶を奪われるだけでなく、レスラーGと別れなければならない。この別離もテンプレート的なベタではありますが、自分にはツボとなる熱いものがあります。カッコいいですねえ、笑って背中を向けて涙を隠し、それでも慕って来る友を強い言葉で突き放すのって。

 今話は自分的には以前に好んで観ていたプロレス要素もあったお陰で面白く観られました。プロレスはもうとっくに飽きていたと思い込んでたんですが、どうやら一度好きになったものは消えるわけではなく、根を生やす感じで残り続けるものらしい。

 などと感動して最初は気づかなかったんですが、上手い見せ方しているのを観なおして気が付きました。特に巧妙なのは身長です。剛力は演じる納谷さんが2m超。チンピラなぎ倒すときはそのままでいいですが、宝太郎/ガッチャードと戦うときはちょっと困る。

 そこで宝太郎/ガッチャードとやり合うときは剛力はゴリラマルガムに変身する。これならスーツアクターさんの身長になるわけで、対等感が出ます。剛力の変身時の身長差をうまく隠す演出になっているようです(たぶんゴリラマルガムの造形も)。旭光一郎が若返った(?)サンシャインマスクも同程度の身長ですね。これでプロレス対決がぴったり決まる見栄えになっているようです。

 さらに最後に旭と宝太郎らが並ぶシーンでようやく気が付きましたが、旭光一郎が一番背が低い。これは見た目の加齢による衰えだけでなく、宝太郎より体も小さいことで全盛時ではない印象を演出してあるんでしょう。これによりレスラーGによりサンシャインマスクとなると往時の力が復活する感じが出る。旭光一郎役を選ぶに、身長も考慮したじゃないかと思います(素人の自分が配役したら、剛力かスーツアクター程度の身長とガタイで考えてしまったと思う)。

 ともかくシンプルに楽しめました。次回「超A級☆ネジれスター」では「打倒スパナに執念を燃やす男」(公式サイトより)が出て来るとのことで、スパナ回と考えてよさそう。

●王様戦隊キングオージャー(第31話:二千年の愛 )

 チキューから地球にうまく舞台を移してまして、こちらで伺っていたあれこれをようやく理解・納得できました。まずキョウリュウジャー参戦ですね。てっきりキョウリュウジャーが駆けつけて、みたいなことだと思い込んでまして、となると「キョウリュウジャーがチキューに来る段取りは?」となりますが具体的に想像ができず。

 王様戦隊が地球に行くなら、歴代戦隊と共演できることになりますね。宇蟲王ダグデドがオージャー戦士に手こずって、それならと本拠地から切り離す策に出た結果ですから、不自然なところがない段取りです。

 それだけでなく、「CG満載の巨大戦は予算の都合で毎回は無理」~「そのうち我々の地球にやって来る」という話とも符合します。単に王様戦隊が地球に来るだけでなく、キョウリュウジャー共演というボーナスがある。たぶんキョウリュウジャーで使ったメカ等が残ってれば、制作予算削減もできるはず。

 こちらで、チキューが小さそうだという話を伺ったときは、そうかもしれないなあ程度に思ったんですが、舞台が地球に移るとなってみて、わけが少しは分かった気がします。CG背景を多数は用意できないでしょうし、リアルの撮影場所も地球でなさそうな場所がたくさんあるわけではないはず。東映特撮が多用するロケ場所は地球らしいところが多い(まあ地球だからですが ^^;)。セイバーだとファンタジー世界演出としてシャボン玉飛ばすとかしてましたな。

 限られたCGと地球っぽくない少数のロケ地で撮影するため、いろんな場所があることを見せることができず。結果的にチキューがこじんまりした世界という印象になったんではないかと。もっとも、明示的に描かれた各国の行き来が短時間である点が大きいかも(歩きで往復とかできてましたな)。

 ともかく本編ですが、ガッチャード同様、燃える展開でした。が、ガッチャードがシンプルに楽しめたのと違い、テンション上がりつつも、ずっと胸に刃が突き刺さってる感じです。そして最後に引き抜く痛みがある。こういうのって、ライダーもので感じたことがある盛り上がり方ですが、戦隊ものではもしかすると初めてだったかも。

 その刃がジェラミーの母ネフィラであるわけですね。今話終盤で、グローディに操られていた亡骸と種明かしされるわけですが、真っ先にジェラミーが気づいていた模様。ネフィラを看取ったのがジェラミーですから、前話ラストでネフィラが乱入してきたとき、すぐにおかしいと思ったんでしょうね。

 さらにネフィラがジェラミーに抱き着いたのが決定的だったらしい。終盤の種明かしで今話、さらに過去のエピソードがたくさん走馬灯のように流れてましたが、その中にジェラミーの台詞「母様は暖かかった」があります。抱き着いたネフィラは冷たかったんでしょうね、全盛時の動きを見せていても亡骸ですから。前話のゴッカン前国王カーラスもそうだったんでした。

 しかしそこが分からずに観てましたんで、自分は(たぶんギラ含む仲間戦士も)突然現れた母ネフィラにジェラミーが驚いて茫然としたように見える。さらに宇蟲王ダグデドが現れ、ネフィラを人質に取ったようなことを言う。ネフィラも「母様を助けて」と言っている点がダグデドの言を裏打ちしてます。

 ギラらはいったん城に戻って善後策を協議ですが、ジェラミーは母ネフィラとは戦えないと言う。しかしネフィラの強さも語りまして、古のバグナラクの大戦で一撃将軍ダイゴーグを倒したと。そのせいでバラバラだった全バグナラクがネフィラを憎み、一丸となって立ち向かうという結果になり、それを見ていたジェラミーが前話で踏襲した格好ですね。
(ジェラミーの語るネフィラからすると、「母様を助けて」と言わなさそうですが、自分は気づかずでしたorz。)

 どうでもいい余談ですが、ネフィラの造形を見てますと、映画のプレデターを思い出します。プレデターが普段は仮面をつけているせいもあるでしょうし、髪が長い点も同じだからかな。プレデター vs エイリアンではプレデターが多数のエイリアンを倒す強さでして、そこもダイゴーグさらに多数のバグナラクと戦っているシーンと被るかも。

 それはともかく(^^;、既に事態を察して策を練っていたジェラミーの喋る内容が巧妙ですな。「お袋(ネフィラ)は俺(ジェラミー)を逃がしてくれて、それきりさ」ですもんね。最期を看取ったとは言わない。むしろ「お袋は暖かった」と言い、真相から考えると嘘とも取れるし、生きていた頃はという回想とも取れる。しかしこの時点ではつい、さっき抱き着いたネフィラのことだと思ってしまう仕掛け。これですっかりギラは騙され、自分も同じくです(^^;。

 しかし他の戦士は気が付き始めた模様。まずヤンマがカマかけにくるわけですね。ダイゴーグ倒したほどとなるとゴッドキングオージャーが必要、となるとジェラミーが戦力として欠かせない。そう言うヤンマにジェラミーは直接は答えず、「こうしている姿を見て宇蟲王たちは笑っている」と。

 おそらくヤンマ以外もピンと来るものがあったんでしょうが、さらにジェラミーは畳みかけるように「俺(ジェラミー)は道化になる」と宣言。真意は「ダグデドを騙すぞ」ですけど、この時点ではギラも自分も「ジェラミーが諦めちゃった」と思い込んでしまう。

 ギラについてはジェラミーらは計算尽くなんでしょうね。邪悪の王演技が見え見えで上達しないのはギラがどうにも嘘が下手な証拠でして、それなら当面はギラごと騙しておこうと。敵を欺くには味方からなわけでして、ダグデドらも右往左往するギラを見て、しめしめうまく行っていると勘違いした感じがあります。

 しかしギラ以外はもう気が付いているわけで、それぞれが無茶苦茶やり出すわけですね。ここも以前のギラの推測「こういうとき、王様は自分勝手なことをする」が効いてる気がします。つまりギラならみんなが大真面目に勝手なことしてると思い込む。そこはジェラミーの大歓迎するところのはず。

 ヤンマは参戦を渋るジェラミーにキレたふりで決闘裁判を申し込むと、すかさずヒメノはグローディを今すぐ国際指名手配しろとリタに迫る。決闘裁判はリタが立ち会わないといけないからですね。リタが指名手配に手を取られると決闘裁判立ち会いを延期するしかなくなる。リタも心得てまして、指名手配を言下に拒み、ヒメノが勝手にやると言い放つと現行犯逮捕。

 この辺りで鈍い自分もようやく「ああ、これはジェラミーの策で、みんな以心伝心で応じてるのか。しかしギラだけ分かってない」と気が付きました。ちょっと可笑しく感じられるようになりますと、逮捕されたヒメノがリタをもっふんで釣るところが何とも面白い。たぶんリタはもっふんについては半ば本気だから余計に、という感じです。
(劇中劇もっふんの声優が「フォーツカ・フォーチュン」とのことですが、調べてみますともっふんの実際の声優:大塚芳忠(おおつか・ほうちゅう)さんのもじりですか。道理でSNSで話題にされてたわけか。)

 カグラギはカグラギで一人で「ベントラー」と連呼してまして、宇蟲王を呼び寄せて媚びるんだとか言ってますな。リアルではUFO呼び寄せるおまじないでしたっけ、ベントラー。これにリタの拘束を脱したヒメノも加わりますが、グローディを呼び寄せて切り刻むと言い放ってますな。

 自分も途中まで騙されていたくせに、この辺りになりますと「いい加減気がつけよ、ギラ」とやきもきしてしまいます。が、気が付かないからいいらしい。決闘裁判がリタを欠いて(檻の中でもっふん視聴中)喧嘩になり、ヤンマとジェラミーが同時にストレートパンチを放つとき、両者は満面の笑みです。間にギラが飛び込んで来ると確信していたからなんでしょうね。

 しかし、最も騙されているのはダグデド側だったみたいです。ヒルビルなどはギラらの様子を「子供の喧嘩」と評していながら、演技だとは全く疑ってもみない。ダグデドも同様で、既に事は成ったと思い仕上げにかかる。そこが観ているこちらに対するネフィラの真相を明かす最初の一端でして、ダグデドがグローディに「出番だよ」と促してますな。死人操りの出番であればネフィラは、ということですね。

 行動がバラバラの各王に絶望したギラのもとにダグデドが現れ、最初(今話冒頭)に言った通り(王様戦隊はバラバラ)だと告げる。さらにヤンマが危惧した通り、ネフィラが巨大化して襲来。ギラは一人でも戦うと悲壮な決意ですが勝ち目なし。ギラを模して勝ち誇ってみせつつ高笑いのダグデド。

 ですが、ここでどんでん返し来ますか。巨大ネフィラが蜘蛛の糸に絡み取られ、モニターが現れて「ドッキリ成功」と(なんか昔風だなあ ^^;)。かつ、久しぶりの「行間」ですね。ギラの脳裏にさまざまなシーンが駆け巡りつつ、「分からん」と叫ぶのもお約束ですな。まあ分からんと言ってくれるからこそ、ジェラミーが種明かしできるわけですが。

 しかもこの一連の芝居、ダグデドを騙すだけでなく、真の敵がダグデドらであることをチキュー全土に報じるためでもあるわけですね。バグナラクではない、ということでジェラミーとバグナラク国は名誉挽回、全チキューが一丸となって敵に立ち向かう準備が成った。気持ちのいい流れです。

 が、上述しましたように胸に刃が未だ刺さったままですね。ネフィラは倒さなければならない。ジェラミーの気持ちの揺れは表情にあらわれてました。そこを思い切れたのは、ネフィラが一瞬、己を取り戻し「ごめんね、ジェラミー」と言ってくれたからでしょうね。生前の最期の言葉だったらしい。

 カーラスも一瞬己を取り戻して「すまない」と言い残したんでした。グローディはアンデッドにすると脳が腐敗して本能だけで動くと言ってますが、どうもそうではないらしい。魂みたいな部分は残ってる感じですね(もっとも、グローディが操れないアンデッドとカーラスやネフィラのようにある程度は操れるアンデッドで差があるのかも)。

 ジェラミーは「ずっと伝えたかったことがあるんだ。愛してる」と呟いて止めの一撃を放ち、ネフィラは応じるかのように「ありがとう」と言って倒れる。この瞬間ですね、胸に刺さった刃を引き抜く痛みがあるのは。

 厳しい決断でしたが、何とか事態は収まる。が、コケにされたダグデドは「つまらん!」イラつき、オージャー戦士を異世界に飛ばす。その異世界が地球らしい。歴代戦隊が守って来た地ですな。次回「遭遇!キョウリュウ!」では、キングオージャーとキョウリュウジャーが遭遇するようですね。ダグデドはオージャー戦士をアウェイに飛ばしたつもりですが、どうも戦隊としてホームグラウンドであるような。

Re: 10月のスレッド(2023) - Shiny NOVA

2023/10/04 (Wed) 01:18:39

 今週の金曜深夜からゴブリンスレイヤーということで、自分はBS11で視聴予定。
 監督がBASTARDの人なので、そういうつながりで見ることも可能。
 
★ガッチャード

 1話完結のストレスの溜まりにくい展開を見せてくれますな。

 昭和風味の分かりやすいヒーロー物語と、次から次へと新ケミーカードとその組み合わせが出て来て、目まぐるしい能力増加が楽しめるというか、把握できていない。

 ええと、5話で25枚も出て来ているようで、1話平均5枚のカードが出て来ている計算になります。
 このペースだと、春ぐらいには8割ぐらいは集まっているんじゃないだろうか。
 残り20枚ぐらいが強力なレアカードとかで入手が困難とか予想します。

 あと、同じ数字のカードもあるので、単純に10になる組み合わせは、1と9、2と8、3と7、4と6の4種類とは言えなくなりました。
 今回のアントレスラーが、5+5の組み合わせで、あと、カードの属性が、インセクト、ビークル、ジョブ、プラント、アーティファクト、アニマルなどがあって、

インセクト1:ホッパー1
インセクト3:ゲンゲンチョウチョ
インセクト4:バクオンゼミ
インセクト5:アントルーパー
インセクト9:カマンティス

 といった感じに、各属性で9種類ありそう。もし、属性の数が9種類あれば、9×9=81種類で、あと20種類が上級のレアカードとすれば、中盤のドラマの盛り上がりに寄与しそう。

 なお、今のところ最も登場数が多いのが、8種類のビークルで、1番以外は全数字が出そろっている。まあ、ヴァルバラドがいっぱい持っている形なので。
 次点が職業系列のジョブで7種類。未登場は5番と9番。

 今回敵を倒してガッチャしたのは、アニマル8番のゴリラセンセイ。初のアニマルカードなので、今後、アニマル系怪人もいろいろ出るのかな。

 マルガムになったのが、カマキリ、スケボー、毒キノコ、潜水艦、アリ、ゴリラの6種類で、虫2種、乗り物2種、植物1種、動物1種というのが現状。
 侍とか、レスラーとか、職業系は強い自我を持っているから、マルガム化しにくいのかな、とか、あまり悪意とは結びつかない感じですね。

 ケミーカードは今年のコレクションアイテムでもあるので、コレクターによる解析なんかも進んで行きそうですが、どれかの属性をコンプリートすると、特別な変化を遂げるとか、いろいろと秘密が明かされたりするとか、可能性云々を劇中人物同様に楽しみたくも。

 あとは、宝太郎以外の一般人とケミーが絆を構築する話が早くも描かれて、そこに、りんねや蓮華さんらのアカデミーの面々が共感する展開も見せて、
 ヴァルバラドと意見が衝突するドラマが展開。そのヴァルバラドにスポットが当たるのが次回なので、一応、ドラマの縦糸もしっかり織り込まれている感じです。

★キングオージャー

 ネフィラが新登場で重要なセミレギュラーになるかと思いきや、1話であっさり退場する形で、その辺はサプライズ。

 ともあれ、ジェラミーの敢えて汚名を着るドラマ展開も、あっさり解決して、スピーディーな流れに驚きつつ、次回は晴れて地球編に。

 キョウリュウジャーとのコラボで、王様たちがどんなドタバタを繰り広げるか。
 登場するのは、キングの赤だけかと思ってましたが、他のメンバーも出るようで、というか、ダイゴだけがいない? ええと、満を持して、キングは後から出るのか。

 それとも、チキューのキングが地球に来たのと等価交換で、ダイゴだけチキューに行ったという可能性も妄想しつつ、
 まあ、この番組はサプライズが多いので、それを楽しみながら、いろいろ妄想を重ねて、多くの外しと時たま当たるのを堪能しもって、今話はどんなドンデン返しが来るかなあ、と番組終了間際をワクワク身構えている視聴習慣となっております。

 ともあれ、2週に渡っての地球編をコラボ祭りで楽しみたく。
 

Re: 10月のスレッド(2023) - Shiny NOVA

2023/10/07 (Sat) 12:34:10

 定期外ですが、ゴブスレIIが昨夜開始して、想定外の構成ではなかったので、急遽な記事書きです。

★ゴブスレII

 1期では原作の1、2巻を主に描き、劇場版で5巻を採用していたので、今期は原作の3巻と6巻を中心に描くという情報が出ておりました。

 で、まずは3巻から、と想定していたら、第1話を見て、ビックリ。

 少年魔術師メインの話は6巻なんですね。3巻の収穫祭(秋の話)だと思っていたら、2年めの春の話からスタートという形で、そう来たか、と。

 すると、大筋としては先に6巻、後半から3巻という原作のエピソード順から考えると、変則スタイルになるのかな、と思います。
 まさか、3巻を飛ばして、7巻ってことはないよね。
 7巻は、仲間の妖精弓手(ハイエルフ・アーチャー)の故郷であるエルフの森をメイン舞台にしつつ、前置きでちょっとした海での冒険が描かれるという夏ムードな話。

 ともあれ、想定外の構成なので、1話を見ての感想と、物語の方向性を語ってみます。

 まず、劇場版で描かれたのが、ゴブリンの雪山要塞から令嬢剣士というヒロインを救出するという大筋なんですが、
 今回はその後日譚になるので、その話がチラッと語られます。

 令嬢剣士(なおゴブスレの登場人物は固有名詞が設定されていなくて、種族や職業で呼称されております)は、優秀な才能を持った貴族のお嬢さまだったのですが、自分の実力を過信して冒険を始めて、ゴブリンに酷い目に合わされて、その彼女をゴブスレさんのチームが救出するという顛末。
 その結果、令嬢剣士は冒険者ではなく、冒険者を経済的に支援する女商人として再起する展開になるんですが、そういう動向が1話でチラッと描かれております。

 で、1話の実質主人公の少年魔術師ですが、女神官さんの最初の冒険(1期の1話)でゴブリンに無惨に殺されたメガネの赤毛女魔術師さんの弟なんですね。
 優秀だった姉が、たかがゴブリンに殺されたことで無能のレッテルを貼られたりもして、姉の仇とか、家族の汚名を注ぐためという動機でゴブリン憎し、の念に凝り固まってます。

 で、女魔術師の死については、初心者冒険者のパーティーで唯一助かった女神官さんについてもトラウマ級の記憶なんですが(それを回想したのが今回の1話のアバンタイトル)、
 彼女が絶体絶命の危機を、ゴブリン退治に執着する風変わりなベテラン冒険者のゴブスレさんに助けられる話から、物語がスタート。

 今回の2期でも、そこをもう一度掘り下げて、ゴブスレさんのルーツと、女神官さんが改めて自身のトラウマに向き合って、冒険者として成長した姿を描くところからスタートする形だな、と。
 ある意味、仕切り直しにふさわしいエピソードだと改めて納得した次第。

 ここで、改めてパーティーの紹介をしておくと、

●ゴブリンスレイヤー:主人公のベテラン冒険者。
 10年前に故郷の村をゴブリンに襲撃され、姉に地下室に隠されて唯一生き延びた。地下から姉が無惨に殺される様を震えながら見ていることしかできず、彼のゴブリン退治への執着の動機になっている。
 その後、圃人(レーアと読むが、元ネタがホビットの小人族)の忍び老人に助けられて、戦闘技術などを学んだ後、5年前に冒険者ギルドに登録。ゴブリン退治しかしない冒険者として、黙々とソロ活動を続けて、周囲から変人として見られながらも、コツコツ実績と信頼を積み重ねていく。

 なお、冒険者には10等級のランク分けがあって、1位の白金は魔神を倒すような伝説の勇者のみに与えられる。国王とか、水の都の大司教の剣の乙女とかがそのクラス。
 2位の金等級は、王国に認められて士官するに至った冒険者で、近衛隊長とか宮廷魔術師とかのレベル。
 そして在野の冒険者の最上位である3位が、銀等級で、ゴブスレや仲間の妖精弓手、鉱人道士、蜥蜴僧侶はみんな銀等級である。

 女神官だけが初心者(第10位)の白磁等級から始まり、現在9位の黒曜等級に昇格して、2期の初めは8位の鋼鉄等級への昇格が認められるかどうかが問題になっている。
 彼女は、自分の命を救ってくれたゴブリンスレイヤーの助けになろうと、冒険者活動を続けているんだけど、銀等級の仲間に付いて行くだけで、個人としての能力がどうなのかギルドの査定で疑問視されているわけである。

●女神官:女主人公(メインヒロイン)に相当する15才の少女。
 冒険を始めて2年めで、数多くのゴブリン退治冒険を続ける中で、ゴブスレサポーターおよび弟子として成長中。
 原作小説での現状は、ゴブスレがいない状況でも、指揮役として非常に優秀に成長を遂げている。
 アニメ2期では、初心者から脱却して、中級者になりつつある段階。そんな彼女が、初心者の少年魔術師を先輩として指導サポートするストーリー展開になる流れ。

●少年魔術師:6巻初登場のゲスト主人格。
 姉の復讐のために、ゴブリン退治に執着する姿は、ゴブリンスレイヤー自身とかぶる設定で、ゴブスレや女神官それぞれのトラウマを再確認するために設定された感。
 ゴブスレと違うのは、戦士であるゴブスレとの職業の違いと、性格。ゴブスレがゴブリン退治に非常に綿密に準備を重ねる慎重かつ大胆なこだわり派なのに対し(ゴブリン退治しかできない、と自尊感情が極端に低くもある)、
 少年魔術師は、姉に似て高慢で他を見下しがちで、ケンカっ早い面がむき出しになっている。だから、ゴブスレや女神官に対しても、反抗的な態度で接するわけですが、そんな彼がゴブスレを反面教師として学び、「ゴブリン退治に執着しない真っ当な冒険者として成長するドラマ」が描かれる予定。
 なお、今回の1話で圃人の少女がチラッと登場しておりましたが、圃人なのに強い戦士に憧れる彼女(周囲からはバカにされる)とパーティーを組むようになり、原作では無鉄砲な彼女の軍師役、サポート魔術師として旅を続けています。

●妖精弓手:ゴブリンスレイヤーを「オルクボルグ」と呼ぶ緑髪の野伏。パーティーヒロインその2で、基本的にゴブスレの変わった言動にツッコミを入れる役。「そんな奇策ばかりでなく、まともな冒険をしなさい」という主張が目立つ。
 まあ、読者視点でも、ゴブスレのやっていることはゲームマスター泣かせの起死回生策なので、妖精弓手に感情移入したくなる。ゲーマー視点の良心的キャラに見える。
 ゴブリン退治のダンジョンを作ったら、「ダンジョンを崩して、ゴブリンどもを全滅させる」と主張するようなプレイヤーで、「いかにダンジョンを崩すか」という方策を考案して、GMの想定どおりのダンジョン攻略をまともにしてくれないのが、ゴブスレ流ですから、
 まともに冒険しろ、という妖精弓手のツッコミが、ゲーム的には正しい、と。
 でも、まともよりも理にかなったサプライズというのが小説の面白さなわけで。
 ともあれ、今期のドラマではメインキャラになりませんが、ゴブスレへのツッコミ役として、彼の変さを指摘するキャラですな(6巻では、彼女の役回りを少年魔術師がストレートに担当するので、比較的出番が少なし。「そんなのおかしいだろう? 何で、たかだかゴブリン退治にそこまで……」と指摘しつつ、ゴブスレ世界ではゴブスレの言い分こそが是となりがち)

●鉱人道士:ゴブリンスレイヤーを「かみきり丸」と呼ぶドワーフの術師。
 戦士職が定番のドワーフ界にあって、魔法使いのドワーフという新境地を提示したのが、本作のオリジナリティの一つと思ってます。
 エルフとドワーフは仲が悪いという伝統にのっとって、妖精弓手を「金床」(胸が固くてペッタンコなのを揶揄)と呼んで、セクハラ発言を連発する酔っぱらい親父。
 ただ、寡黙で偏屈なゴブスレ氏を気に入っており、妖精弓手のゴブスレへのツッコミをいなす役どころでもある。彼女の矛先が、ゴブスレから鉱人にそれることで、パーティー内の決定的な衝突を回避するドラマ的役割を果たします。
 また、説明をあまりしないゴブスレの策を、合理的だとフォロー解説する役どころでもあり、パーティー内での経験豊富な知恵袋ともなっている。

●蜥蜴僧侶:ゴブスレを「小鬼殺しどの」と呼ぶ、慇懃なリザードマンの僧侶戦士。
 怪力で、ドラゴンを崇拝する東洋風異教のキャラで、冷静沈着な頼りになる人物。妖精弓手と鉱人道士の口論をシュッと一息で止めさせる仲裁役。
 この恐ろしい容貌の巨漢を本気で怒らせると怖いことは、2人とも承知しているので、パーティーの大黒柱的な存在。「軍事知識においては、蜥蜴人の右に出る者はいない」と原作で称されていて、真っ当な戦術リーダー、ゴブスレの参謀格としても重鎮である。
 なお、ゴブリン退治に特化した奇策、いざという時の切り札、執念においては、ゴブスレが一際秀でているので、「常識的な局面では蜥蜴僧侶が機能し、彼の処理できないピンチに、ゴブスレの常識を越えた起死回生の打開策が功を奏する」のが、定番のドラマである。

 あとは、オルクボルグ、かみきり丸の元ネタですが、『ホビットの冒険』ですな。
 トーリンの使った剣の名前が、オルクリスト。エルフ語で「ゴブリン殺し」の意味で、ゴブリン語で「かみつき丸」というのをアレンジしたネーミング。

 あと、アニメではいろいろカットされているのですが、冒険者が語る昔のゴブリン絡みの逸話・伝承が、「その昔、伝説の聖騎士でも最初の冒険で、ゴブリン相手に殺されそうになった」(ロードス)とか、「ゴブリンの王さまを棍棒で叩き殺した圃人がいる」(ホビットの冒険)とか、元ネタオマージュが多い。
 鉱人道士の口癖「鉱人には鉱人の戦い方があるんじゃ」もアニメ版ロードスが元ネタだし、基本はパロディからスタートしたのが本作ですからね。

 あと、オープニングの映像で、一つサプライズが。
 ゴブスレ同様、赤い眼光のサムライ風キャラクターが映っていたんですが、彼は『ゴブスレ外伝2 ダイ・カタナ』の主人公です。
 ゴブスレの時代の過去に、地下迷宮から魔神が出現して、世界の危機に見舞われたことがあったのですが、その際に迷宮(元ネタはウィザードリィ)に潜って、苦闘の末に使命を達成した伝説の冒険者が彼で、その仲間として共に行動したのが少女時代の剣の乙女だったりします。

 え、ダイ・カタナとか、外伝1のイヤーワン(冒険を始めたばかりのゴブスレの物語)のエピソードも、今期は混ぜて来るのかな? とシリーズ構成を気にしてみたり。

 ゴブスレさんが「姉をゴブリンに殺された凄惨な過去を持っている」という事実は、パーティー仲間には語られていなくて、「俺には姉がいた(過去形)」と匂わせる程度でしたから、その辺の経緯は断片的な回想シーンだけだったのを、過去編である外伝で描かれた形です。
 その辺を、アニメが掘り下げて再構成する可能性もあるかな、と。

 あとは、今回、後に回されたと思しき3巻の収穫祭エピソードですが、ラストが「冬になって、また来年もよろしく」的な年末シーンで畳まれるので、2期の最後にそこで締めくくられると、うまく落ち着くかなあ、と思います。

 とにかく、原作ありきのストーリーでも、構成順がアニメではアレンジされているので、その順番自体がサプライズというか、次にどうつながるかが楽しみだな、と1話見て思いました。

 ではでは、長文失礼しました。

PS.ビルドファイターの新作も気にしつつ。まだ未視聴。
 

Re: 10月のスレッド(2023) - K.K

2023/10/09 (Mon) 15:44:50

 定期感想その1です。

●ゴブリンスレイヤーII(第1話:ありふれた春の一日)

 詳しいご解説、ありがとうございます。まず1期と同じく、原作から時系列シャッフルしてのアニメ化だというのが、自分のため理解のポイントになってくれます。イベントの流れという意味でのストーリーとしては、整合性さえ取れていればいいわけですが、そのストーリーを進めるキャラクターの理解は大切となります。

 ゴブスレさんのパーティーメンバーの紹介・解説をして頂いているわけですが、同程度の分量の説明は例えばウィキペディアにありはします。が、ウィキペディアのほうは(他の作品の解説と同じく)原作最新巻/話のところまでの情報をまとめてあるわけで(かつ、たぶんドラマの肝となる部分のネタバレは避けるため大事な情報が抜けていたり)。

 自分が理解しておきたいのは、(1期の知識を前提として)この2期第1話の時点で、各キャラクターがどういう状況(ここまでの経験・経歴等)にあり、他のキャラクターとの関わりがどうなっているかという点ですね。そこが分かりませんと、複数のキャラクターが関わるドラマについての理解が不足し、感動が浅くなってしまいます。

 こちらでご解説頂いている内容がその理解に役立つわけでして。もちろん、これだけの分量があるといえど、長らく続いているゴブリンスレイヤーですから、すっかり分かるとまではいえません。が、ウィキペディア含む他のネット情報を整理しながら読んでみるのには大変役立ちます。特に原作シャッフルがありますんで、そこが全く分かってないと混乱します。

 自分の1期に関する理解は主に感想サイトを追ったもので、2期開始前にABEMA TVで視聴できたのは第1話、そこから飛んで途中から途中までです。例えばゴブスレさんについては、多少分かった程度。当初は牛飼娘さんとギルドの受付嬢さんに理解されているものの、他の大勢からは(一般人最高ランクの)銀等級といえど、奇矯とかゴブリンという弱小魔物としか戦えないと侮られていたりする。

 が、妖精弓手ら(2期開始時点の)現パーティと合流し、地下水路での戦い辺りで深く理解、信用する仲間を得る。そのすぐ後、村へのゴブリン大襲撃を迎え撃つ中核となったことで、ようやくギルドに集う面々からも信頼されるようになる。さらに初めて大勢に素顔を晒して感心もされると。しかしゴブスレさん自身は一向に変化(とか成長とか)する様子なし。どうやら安定不変の仕事人的キャラクターらしい。そこに「痺れる憬れる」よろしく、惚れられやすいみたいですね(^^;。

 劇場版のほうは「ゴブリン相手にしくじるのはこういうパターン」というのを見せてもらった気がします。もっとも、救出された令嬢剣士の短い回想シーンですが。1期第1話ですと初級者パーティが舐めてかかり、ロクな準備もなく巣穴に突入しての惨敗。劇場版のほうは令嬢剣士が策を講じ、準備もしてますが、ゴブリン側にシャーマンがいたためか兵糧攻めを返す策を食らって令嬢剣士側が壊滅。

 その敗北の過程が興味深いですね。令嬢剣士が、こうすればゴブリンがこう出ると読んでの作戦はいいんですが、思うような反応が出ないと令嬢剣士が焦り出す。このときに、手の内を読まれた可能性を考えられればよかったんでしょうけど、むしろたかがゴブリンと強がってしまったのが敗因ですね。自分の失敗を認められないせいで自滅同然。

 相当の技量を持ったパーティが一応の準備をしても、やっぱり初級者パーティと大差ない惨敗をしてしまう。ではどうすればよかったのか、を1期第1話同様、ゴブスレさんが見せてくれるわけですな。準備し、侮らず、相手の情報を探って出方を見て、失敗すればプラン変更する、といったところ。それでも辛勝でしたが、TV本編の地下水路の戦いよりは余裕あったかも。

 ともかくもゴブスレさんの不敗要因は「慎重」となりましょうか。声を演じる梅原裕一郎さんは「慎重勇者」アニメでも主人公(竜宮院聖哉)を演じておられまして、印象が被るものがあります。「慎重勇者」も主人公がタイトル通り慎重でして、しかもどはずれてといってもいいくらい。もっとも、その慎重さの理由は終盤明かされまして、以前の失敗に学び、仲間を守るためだったと判明します。そこがゴブスレさんと重なるものがある気がします。

 今話でもゴブスレさんはアイテム(毒消しなど3種)を大人買い(各6個、計18個)。慎重勇者ですと聖水1000個買おうとして道具屋を困らせるシーンとか度々ありまして、やっぱり印象重なってしまう(^^;。もっとも、ゴブスレさんは仲間の分も買ったわけですが、ポーションは触っただけで分かるよう印の紐を巻いておく周到さ。そういう点は慎重勇者を上回るかも。

 その準備を怠らぬ姿勢と好対照なのが少年魔術師ですね。原作では第6巻の登場なんですか。2期とはいえ第1話だからなのか、不自然な唐突さはありません。この少年魔術師、最初は粋がってるだけのように見えました。が、見ているうちに妙な切迫感があるような気がしてきます。ついには、よりによってゴブリンを倒すと叫び出す。

 最初の視聴中は「何かあるな」とだけ思ったんですが、こちらで1期第1話で壊滅したパーティの女魔法使いの弟と伺って、なるほどとなりました。冒頭で1期第1話のパーティ壊滅シーンをリファインして出したの、この少年魔術師の事情の暗示でしたか。知ってから観なおすと、赤毛や眼鏡などの姉との共通点に気が付きます。プライドが高いのも共通みたいですが、敵討ちしたいためにテンパってる面が強そう(自分は強くないといけないとか)。

 少年魔術師が弟である示唆はまだありまして、ギルドの長椅子で眠っているシーンですね。寝言で「姉さん、まだ寝てていいよ」と。しかしこのシーンは、ゴブスレさんが受付嬢がいなくて灯りだけついているのを不審に思い、少年魔術師をゴブリンと疑って刺しかけるシーンでもありまして、そっちに気を取られて寝言には注意が行きにくい仕掛けになってますな。

 もっとも、寝言を聞き取れてもたぶん忘れるでしょうけど。なにせゴブスレさんのキャラが立つシーンになってますんで。まずギルドですらちょっと不審な点があればゴブリンに警戒する用心深さ。大丈夫と分かれば切り替えが早く、仕事の成果を淡々と報告。それを聞いているだけでも「ゴブリンスレイヤー」たるゆえんが分かる仕掛けでして、始末したゴブリンの数と方法の報告を聞くだけで仕事ぶりがまるで目に見えるかのようです。

 そこからまた用心深さ発揮でして、受付嬢が内容を書きとるのは許しても、傍で聞いていた少年魔術師がメモを取るのは許さない。情報の保管が不確かではゴブリンに内容が漏れて学習される恐れがある、ということらしい。特にこの場合、ゴブリンに殺害される可能性が高いのが危惧すべき点なんだろう(憎悪と戦意が高いが経験と用心深さは少ない≒ゴブリンの格好の餌食)。

 それだけだと怖い人という感じなんですが、そこから態度は変えずに言うことが打って変るのが面白いところです。まず「圃人(レーア)の娘のいた登録したばかりのパーティ」について、受付嬢に尋ねてます。「圃人(レーア)の娘」はたぶん、昼間、ポーションに印をつけているのに興味を示した剣士ですね。危うそうな冒険者を見かけたら気にしているらしい。

 その気配りが少年魔術師にも発揮された模様。単独でゴブリン退治をしたがってる点も気になったのかな。長椅子で寝ているところから宿に泊まれないと踏んで、まず受付嬢に部屋が空いてないか態度で尋ね、満室と分かると下宿先の牧場へ連れて行く。泊めてあげたいんでしょうね(そう言えばいいのに言わない)。ぶっきらぼうで有無を言わせぬ態度ですが、やってることはとても親切。

 2人を迎えた牛飼娘の伯父さんの態度も面白いですね。まず「登録したての冒険者は無頼漢同然」として拒んでみせる。が、少年魔術師がゴロツキ扱いするなとばかりに怒ると、伯父さんは「そういう態度だから信用されん」と厳しくたしなめる。これはおそらく、泊めるつもりがあるからでしょうね。追い返したいなら、少年魔術師の態度はいい口実になります。

 しかし伯父さんが次の手に出る前にゴブスレさんの他人の気持ちを推し量らない面が発動。「俺が借りている納屋なら」と話を進めようとする。伯父さんが「この子に何かあったら責任は取れるのか」と返したところからして、上述の泊めるつもりが読み取れます。心配してるんですよね。しかしゴブスレさん、斜め上へぶった切る(逆袈裟懸け?)。「寝ずの番をします」ですから。

 これは伯父さんも二の句が継げず(観ている自分もフォローが思いつかない ^^;)、少年の納屋泊を認めつつ、ゴブスレさんにも「ちゃんと寝なさい」と。しかし納屋に少年を連れて行ったゴブスレさん、「俺は片目を開けたままでも眠れる」と、伯父さん聞いたら目を白黒しそうですな。気遣いが全てパアです。どうやら掛け値なしの駆け引きなしで言わないと、ゴブスレさんはあさっての方向に行ってしまうらしい。

 しかし少年魔術師も相当のもんでして、すったもんだで宿泊の手配をしてもらい、翌朝は牛飼娘さんが作ってくれた朝ご飯を食い過ぎるほど食っても、まだ突っ張ってますな。いや、もしかすると牛飼娘さんには気を遣ってるから、残さずに食べたのか。ともかくもギルドでは相変わらず態度が悪く、女神官さんに面と向かって罵倒し、周囲の反感買ってますね。

 しかしそれよりも「ゴブリンぐらいなんでもねえ」の啖呵のほうが不吉かも。たぶんゴブスレ世界では死亡フラグ立てちゃうでしょう。が、フラグを折る助け舟来まして、これは女騎士さんでしょうか(人名がないって、どうもキャラクターが覚えにくい)。単独の討伐を避けさせるよう、女神官さんをリーダーとしてゴブリン退治をセッティングすると。

 少年魔術師、なんとか危ない綱渡りから落っこちずに済んだ感じですね。初見ではそこが今話の面白いところだと思い込んでました。しかしよく考えてみると今話ではゴブリンとの戦闘があったわけでもなく(冒頭は回想だし)、理屈でいえば物足りないはず。しかし観終えてみると充実感があります。

 なんでだろうと観なおしてみると、上述しましたようなゴブスレさんの人となりがあれこれ描いてあるからだと気が付いた次第。そこは制作が上手いということと、原作未読で1期も断片的な視聴の自分が知りたいところというのが重なった結果かなと思います。

・投稿直後追記:
 投降した途端、思い出しました。「鉱人には鉱人の戦い方があるんじゃ」の元ネタです。ロードスからだと拝読した時点でははっきり思い出さなかったのですが、敵を目の前にして構えて動かないギムをディードリットが急かしたときの返答ですね。
 それ以外にあったかどうか記憶できてませんが、あそこは見の軽いエルフとパワー型のドワーフの特徴・違いがよく表れたシーンでした。ネットでのギムの紹介では「ドワーフにはドワーフの」を挙げていたりして、やはり名台詞なんでしょうな。

●ガンダムビルドメタバース(第1話:DIVE)

 全3話で各話は24分(TVの30分枠相当)という短い尺で何を期待できるかと思っていたんですが、どうやらビルドシリーズ過去4作の統合ということがあるみたいです。舞台としてはダイバーズシリーズのGBN(ガンプラバトル・ネクサスオンライン)の後継・発展形らしきガンダムメタバースということですね。オンライン接続ということを活かして、主人公はハワイ在住のホウジョウ・リオ。

 リオのリアルでの師匠格がウルツキ・セリアなるプラモ店の女性で、メタバースでの師匠格がマスクレディー。今話ではセリアとマスクレディーが同一人物と判明、そこが次からのドラマの種になるみたい。

 メタバースではリオはマスクレディーの指導でチーム戦に参加(チーム内で分かれてのゲームですか)、BD初作のリクと組んで、アヤメ・モモコンビを撃破と。ただし、その時点ではリクらのアバターを使う別人のチームだとリオは思っており、後で公式マークに気付いて本物だったと驚く仕掛け。視聴者的には「声が同じだから本物だろう」と思う、劇的アイロニーといったところでしょうか。

 リオにわざとそう誤認させたマスクレディーはメイジン・カワグチ、BD初作のサラとも親しいと描かれ、重要人物と匂わされてますな。さらにラストで謎の人物(マスカリージャ)に撃破されて気絶するも、なぜかログアウトせず、リオに正体がセリアと知られる。

 ドラマのスタートとしてはそんなところだと思いますが、過去作の人物が登場してくるところが大事なのかも。まずBFトライからフミナ、続いてBD初作からはリクとサラ登場、さらにモモとアヤメですね。OP/ED曲映像で気づいた限りではBF初作のイオリ・セイやレイジもいます。となると、BF初作・BFトライ・BD初作まではメタバースで統合確定とみてよさそう。

 ちょっと気になるのは、プラフスキー粒子利用でガンプラそのものを動かすBFシリーズとコンピュータ内の体感型ゲームのBDシリーズをどうまとめるかですね。BD初作ではGBN以前のガンプラリアル対戦「GPデュエル(GPD)」があったとされていますが、BFシリーズのプラフスキー粒子のガンプラバトルとの関係ははっきりせず。

 さらに他の惑星でアバターが実体化したBDリライズはどうするんだろうというのも気になりました。後で調べると、BDリライズの主人公クガ・ヒロトの登場は確定らしい。BDリライズもコンピュータ内だけで統合するのは無難に可能でしょうけど、アバター実体化が後半の面白い点でしたから(ガンプラがかなりガンダムに寄り、しかもファンタジー的でもある)、その可能性はメタバースでも入れておいて欲しいところです。

 第1話だけでもあれこれ思う点はありますが、しかし残りたった2話ですか。そこからガンダムビルドシリーズの新作につながる世界観とか提示してくれると期待しておこうと思います。

Re: 10月のスレッド(2023) - Shiny NOVA

2023/10/10 (Tue) 00:29:48

 ガンダムビルドメタバース(GBメタバースと略す)の感想ですが、その前に。

★ゴブスレII

 前回、最初に「想定外の構成ではなかったので」と書き始めましたが、正しくは「想定外の構成だったので」または「想定した構成ではなかったので」と書くべきでした。
 何だか、混ざってしまって、逆の意味になってしまいましたね。訂正ってことで。

 あと、アニメ開始直前に、原作者へのインタビュー記事がネットに上がっていたので、参考までに紹介。

https://originalnews.nico/436336

 さて、1期の構成から考えると、大体、アニメの4話で原作小説の1巻分ぐらいの分量かな、と推測しますので、少年魔術師のエピソードもそれぐらいで完結するだろう、と思ってます。

 で、もしかすると、外伝1のイヤーワンから(ゴブスレ誕生秘話)を挿入する可能性も想定。
 1期のアニメでは、ゴブスレさんの過去が断片的にしか語られていませんでしたから、その辺の掘り下げもこの時期に行われそう。

 中盤辺りに、外伝とか短編集のエピソードを差し挟んできて、後半から3巻の収穫祭エピソードを持って来れば、今期は上手くまとまるかな、なんて考えています。

>ゴブスレ氏のギルド内での評判

 基本的に、変人扱いされていた彼が、1期のラストでは、ギルド内で一目置かれる立場になっているわけですね。

 だけど、6巻、すなわちアニメ2期の最初では「新人冒険者がギルドに集ってくる季節」になったために、
 ゴブスレ先輩の武勇伝をよく知らない連中が、また増えて、再び変人と見なす空気が出て来た、と。

 実際、熟練冒険者が魔法の武器や鎧など上等な装備で身を固めているのに対し、ゴブスレ氏は見た目が貧相で薄汚れた装備、と強調されています。
 まあ、アニメやコミックの絵柄では、美化されていて、ゴブスレ氏の変人ぶりは「いつでも鉄兜を脱がない」という外見でしか判断できないわけですが。
 見た目だけだと、ドラクエの「さまよう鎧」で、不気味な印象を与えるとか。

 あと、これは小説以外では誤解されがちですが、彼の装備は鉄鎧ではなくて、蝋で煮固めた革鎧です。だから、音を鳴らさない。
 剣は、中途半端な長さの剣で、実は戦士ではなく、盗賊的な装備ですな。
 曰く、狭いダンジョン内では長すぎる得物は邪魔になるし、ゴブリン相手には、威力よりも小回りが利くことが大事なので、武器は投げやすいサイズのものを愛用している。

 名剣のようなものには興味がなく、武器は使い捨てを前提としている、と。

 あと「片目を開けて眠れる」のは、ソロで活動していた際に、交代で見張りを立てずに行動していたため。
 そして、冒険の初期には、寸暇を惜しんでゴブリン退治を続けていた時期があって、まともな休息をとらずに頑張って来て、牛飼娘や受付嬢に怒られたこともあったぐらい、無茶をしていた。
 さすがに、無茶をして体を壊すと、それ以上ゴブリンを倒せなくなるので、自分の限界を知るようになった後は、適度な休息もとるようになったけど、イヤーワンのシリーズ(現在3巻まで出ている)では、無理無茶無謀を重ねて、その度にゲストキャラに苦言を呈されて、少しずつ学んでいる最中。

 本編では、「無理や無茶をして戦いに勝てるなら、そうもするが、勝算がないことはしない」と慎重さと大胆さを兼ね備えるように振る舞っている。

 だから、おそらく、アニメだと、少年魔術師の未熟な無鉄砲ぶりに、自分の過去を重ねるような演出も挿入される可能性もあるのかなあ、と思ったり。
 とにかく、原作小説では、視点キャラが女神官で、ゴブスレ氏の内面描写はあまりないので、彼の考えは断片的なセリフとかで推測するのみで、行動と数少ないセリフの描写から女神官やパーティーの仲間の視点を通じてしか、ゴブスレというキャラは読みとれない。

 で、初めてゴブスレの内面が詳しく描写されたのが、イヤーワンなので、それに比べるとアニメはまだ分かりやすく演出されているな、と。

>牧場主

 牛飼娘の伯父さんで、ゴブリン襲撃で両親を失った姪の牛飼娘(たまたま伯父さんのところに遊びに来ていたおかげで、襲撃された村にはいなくて生き延びることができた)の面倒を見ている。

 両親や幼馴染を失った彼女は、傷心のあまり引きこもり状態になってしまい、伯父さんも彼女のことを心配していたけど、何もできずにいた。
 しかし、5年後に牛飼娘の幼馴染の少年が、ゴブリンスレイヤーとして帰って来て、再会したことで、牛飼娘も元気になり、
 姪の心の支えになれば、という理由で、ゴブスレを受け入れている。

 伯父は堅実な一般人なので、冒険者というものをあまり信用していないが、節度と義理人情は適度に解するのと、不器用な振る舞い方で、ゴブスレのことを「過去の悲劇でタガが外れてしまっている(半ば狂っている)」と思っているけど、姪の心情と、ゴブスレの更生、良識を学習し直している最中だと思いながら、接し方の距離を模索している段階。
 一応、家長としての威厳を崩さないように、そして若者たちが羽目を外さないように苦言を呈する形で、ツンデレ的な振る舞いを続けている。
 ゴブスレ氏も、彼への義理は果たすべく、真面目な機械のように(多少ズレた反応を返しつつ)対応している。

 もう少し、牧場主の伯父さんが雄弁になれば、説教親父と化すのだろうけど、真面目で不器用な振る舞い方は時々、気の毒に思える面も。
 ともあれ、素朴な田舎の無骨者だけど善人というキャラで、冒険とは縁のない一般人代表。

 こういう年配の伯父さんキャラが立っている点が、単なるラノベよりも、しっかりした世界観を感じさせてくれたりも。

★GBユニバース

 さて、こちらは、短期集中って感じで、今回は主に「ビルドダイバーズ編」と言ったところでしょうか。
 毎回、1作ずつスポットが当たるのかな。でも、それだと4作は描けないので、セイ&レイジの無印BF編、トライ編、リライズ編のどれが削られるのかを気にしつつ、何とかそれぞれにスポットが当たって欲しいものですな。

 そして、新主人公リオと、師匠女史、そのアンチテーゼっぽいライバル女のドラマが、3話で解決するのか、それとも、あくまで3話はお祭りプロローグ扱いで、そこから本編につながる流れなのかを見極めつつ。

 あと、プラモ製作&改造シーンが描写されている点が、1話めはいい感じでしたな。
 肩関節の構造が甘いからバズーカの射線がぶれがちになる。そこを二重関節に改造するか、パーツの素材を変更すれば、もっときちんと固定できて、狙いも定まるだろう、とか、そういうプラモの構造的な話を聞くと、面白いなあ、と思いました。

 バトルに入ると、どうしてもメカの内部構造よりも、精神面での頑張りとか、派手な特殊ギミックに描写が傾きがちで、もっと地道な改造テクニックの話があると、地に足ついたプラモアニメという感じで、興味深いと感じます。
 まあ、何に描写の焦点を当てるかにもよりますが、第一話でプラモ作りの手法があった点は、ただのヴァーチャルゲームだけじゃない、アナログらしさを感じて、好印象。

 ビルドダイバーのヴァーチャルっぽさも好きですが、無印BFの模型製作の話が、ビルドシリーズの肝だと思っているせいで、そこをシリーズがしっかり踏まえてくれると嬉しくなるな、と。

Re: 10月のスレッド(2023) - K.K

2023/10/10 (Tue) 23:09:31

 定期感想その2です。

●『ゴブリンスレイヤー』作者 蝸牛くもインタビュー

 記事のご紹介、ありがとうございます。大変興味深いものでした。もちろん、メインの興味としてはどうやってゴブリンスレイヤーを作るに至り、どう発展させたかの、特に動機・理由の面ですね。こういう人がそう思ったからこうなったのか、という納得感があります。

 最初に通読して感心したのはそういう点です。こちらで伺った「ゴブスレさんはGM泣かせ(の掟破り)」という点も、作者の蝸牛くもさんが意図して組み込んでいたわけでしたか。そのゴブスレさんが更生する物語を考えていたというのは意外でしたが、知ってみるとなんだか納得。

 もっとも、「ドラゴンスレイヤーがいるならゴブリンスレイヤーみたいなのもいるよね」という作品の基本アイデア自体は取り立てて工夫があるとか、異色といった印象はありません。ゴブスレを知る以前(あるいは登場する以前)から、例えばドラクエで次々と仲間を呼ぶマドハンド(それを利用する経験値稼ぎ技あったり ^^)とか、アイデアの種/きっかけになるものはいろいろ心当たりがあります。

 感心するのは、そういう雑談をしてお終いではない点ですね。普通ですと、ゴブリン殺しの主人公がいたら、という話をしてもせいぜいちょっとこねくり回して面白がったら忘れるもの(あるいはどう駄目かを考えて理屈を言ったら忘れる)。蝸牛くもさんも、いったんは雑談どまりだったんでしょう。だけど、いったん考えたことは忘れずに発展させられないか考える点があるから、作品を世に出せる人になったんでしょうな。

 なぜそうできるようになったかの一端がインタビュー記事で書かれていまして、興味範囲が実に広いですね。かつ、自分の興味範囲に飛び込んできたものはどんどん手繰り寄せる感じです。例えば映画の「コナン・ザ・グレート」が面白かったら、コナンシリーズの原作小説を古本屋巡りしてでも手に入る限り読破するとか。

 それが10代のときだというから驚きです。今は30代とのことですが、40代だと思われてしまうほど造詣(≒知識×考察)が深いのも納得。吾十有五にして学に志すとはこのことでしょうか。ポイントは「学」が、やれと言われたからやるものではなく、面白いからそうしたいとなってる点なんでしょうね。

 異世界ファンタジーも歴史小説もなんて、調べ物だけでも大変と思ってしまいますが、蝸牛くもさんとしては何かを面白がっていて、気が付いたらできるようになっていた、という感じなんでしょうな。面白いと思えるものは覚えようとしなくても記憶に残り、考えようとしなくても頭の中でこねくり回しているもの(そして個々の知識が関連づいた生きた知恵となる)。
(ただし八割がた自然に、でしょうか。何かを面白がるにも基礎がいるもの。その基礎を得る過程は八割がたは面白くないもの。例えばスポーツでも基礎体力なしにやれないわけで。)

 インタビュー記事からは、そんなことを感じました。が、一読してそう思えるのは、ここでのやり取りの経験があるからかもしれません。上述の蝸牛くもさんの特長は、こちらでいろいろ教わっているとそのまま当てはまると思える点多々ですので。例えば、ライダーでも戦隊でも、あるエピソードの背景の解説だけでなく、関連や類似をいろいろ紹介して頂いたりしてます。

 それらがきちんとつながってる点が大事ですね。単純な物知りだと連想の羅列で終わってしまいますが、整理された関係図みたいな感じがするものになっているのは、知識に考察が加わって練られたものになっている証左。

 と申しますと、なんだかおだててるのかとなりそうですが、そうでもないです。上記のように感じ取れるのは、別分野で初歩的ながら、自分にも経験があるからでして。例えば物理学ですと、お決まりのコースで相対論の双子のパラドクスに興味を持ちました。が、数式込みで一応の理解をしても双子のパラドクス止まり。何の応用も利かず、それ以上面白くもなりません。他の特殊相対論のパラドクス(車とガレージとかいろいろある)をいろいろ知ってみても、各々をバラバラに理解するだけ。

 双子のパラドクスとは別の物理に興味が出て紆余曲折あって、結局は数式込みでは初級中の初級の大学初年度向けの物理総合教科書を勉強してみることに。それが一応理解できますと、ちょっと驚きました。初級教科書を超える物理現象・理論でもどんな物理分野のどういう方向性くらいかは分かる。

 すると、ようやく双子のパラドクス、さらに特殊相対論が物理学でどんな位置づけなのか分かりました。そうなってみますと、一応の理解をしたはずの双子のパラドクスだけでも面白さが違ってきます。少なくとも他のパラドクスと全てつながって来ますんで(これとこれは双子のパラドクスと同種、あれは別のものみたいな感じ)。

 自分語りが長くてすみません。ともかくも、そういう実体験からこちらで教わるあれこれが蓄積されたものから出て来ることが分かりますし、それをさらに蝸牛くもさんインタビュー記事からも読み取れて、大いに感心した次第です。「どこへ行くか分かってない者が最も遠くまで行く」という格言を目にしたことがありますが、こういうことなのかもという感じです(面白いと思ったものを次々追っていたら、みたいな感じ)。

●仮面ライダーガッチャード(第6話:超A級☆ネジれスター)

 スパナ回でして、ひたすら持ち上げる展開でした。一応、スパナのしくじりっぽいものは入れてはあります。りんねが今話のゲスト敵(鉛崎ボルト)にさらわれる、さらに空中から落とされる、ヴァルバラド/スパナが空中高く舞い上がった敵(ホークマルガム/鉛崎ボルト)に追い付けないといった点ですね。

 しかし、りんながさらわれる直前にスパナはバーニングネロのカード(番号2)を渡しています。スパナは敵(鉛崎ボルト)の気配を察することができるわけですから、その接近を知りつつ、素知らぬふりでカードを渡していたことになります。バーニングネロはりんなの居場所を割り出すのに役立つわけですし、宝太郎が持つバーニングゴリラ(番号8)とも相性がいい。

 ヴァルバラド/スパナが助けそこなっって落下するりんなを宝太郎/ガッチャードが救ったのも、ガッチャード/宝太郎がヴァルバラド/スパナがホークマルガム/鉛崎ボルトの高度に届くサポートをしたのも、全てスパナの計算尽くのように感じられました。

 そう思ってウィキペディアのスパナの項をを読み直してみますと、「スパナは宝太郎が成長するまで牽引してくれる兄貴分にしよう」と記載があるのに気が付きました。今まで、スパナを宝太郎と敵対的と見做していたもんで気が付かなかったみたいです。

 兄貴分と思ってみますと、今話のスパナが宝太郎にいろいろ教えているんだと納得です。面と向かっては煽って発奮させ、陰では宝太郎が活躍できるよう手配しておくと。宝太郎に教える役目としては、アカデミーの担任のミナトがいるわけですが、付き添うわけではないので、例えばリスクを取るようなことは教えられないでしょうな。

 その点、宝太郎のいる最前線に出向いて来るスパナは思い切ったことを教えられる。いざとなればフォローできるわけですんで。ただしスパナは信念に癖がありそうなので(^^;、あからさまに教える態度を取るわけにいかないんでしょう。宝太郎が感心して「付いて行きます!」みたいになるとマズそうなので。

 ともかく本編。冒頭はスパナの戦いが2つ。1つはラケシスとの争いでして、失恋(なのか結婚詐欺なのか)の憎悪に囚われた女性に付け入ろうとしたラケシスをスパナが撃退。今話ではそれきりですが、これでラケシスとスパナに尾を引く因縁できたかも。

 そこへ今話のゲスト敵登場ですが、後で明かされたことを踏まえますと、超A級錬金術師最終試験でスパナに敗れた鉛崎ボルトですね。既に名前負けしてまして、ボルトならスパナに締められるのは必然、しかも鉛と鋼の強度差(^^;。一応、登場時点で既にボルトはホークマルガムであるわけですが、試験での惨敗と大して変わらず、歯が立たない程度だったようです。

 そこからは宝太郎の兄貴分のスパナと意識して観なおしてみますと、まず定食屋に現れたスパナの態度が面白い。宝太郎の(よせばいいのに ^^;)オリジナル新メニューの朝ご飯を一口食って、不味いと。それなら食わないのかと思いきや、もりもりと完食。

 兄貴分として指導していると思って観てみますと、各品のどこがどうよくないか、それも全て食べてみてどうかを試しているように思えます。かつ、不味いと言葉では言っても完食ですからね。料理人(宝太郎)に対して無言の励ましともなります。その上で、スパナ自ら調理した朝ご飯を宝太郎に試食させると。

 メインのオムライスが紫色ですが、スパナのケミーライザーの色ですな(服装にも紫使われてる)。そういうしゃれっ気演出だけでなく、やはり紫では見た目は美味しくなさそうな点が大事かも。不味そうだと思って食ってみたら美味かった、の落差が出るわけですんで。思い込み抜きで味が分かるわけですな。

 思い返しますと、宝太郎はどうも調理センスがズレてて失敗料理連発してるんですが反省しない。自信過剰ですね。そこをスパナは叩き伏せに行ったように見えます。ただし完食してみせて、お手本も見せるというやり口。宝太郎を絶望はさせずに、むしろ「こん畜生」で立ち上がって来る程度に加減している感じです。

 続いて今話のメインのドラマのボルトの復讐劇。終わってみるとほとんどコントですが、事件発生時点ではりんねがさらわれ人質に取られるピンチです。が、上述しましたようにスパナはバーニングネロをりんねに渡すなど、既に戦いへの備えはできてました。

 後は状況をスパナがそれとなくコントロールしつつ、宝太郎にりんねを追わせ、救出させ、高く(いろんな意味で ^^;)舞い上がったホークマルガムを叩き落すサポートをさせ、止めの一撃もガッチャードに譲った感じです。そして宝太郎は、前半でスパナに笑われたのを忘れたかのように、マルガムから分離したケミー:ホークスターをカードに回収。

 よく考えてみますと、自分(スパナ)はケミー集めて喜んだりしないと宝太郎を小ばかにした真意は『お前(宝太郎)にケミーを回収させてやる』という、教育の一貫だったのかも。宝太郎に「スパナに助けられている」と思わせないためでしょうな。助けられていると感じると依頼心起こしてしまうかもしれませんから。なので、ケミー回収で浮かれる宝太郎が求めた握手もすげなく無視なんでしょう。

 冥黒の三姉妹の暗躍はなしでしたが、ラストで現れて長女アトロポスは「奴らの弱点はよく知っている」と言い、次で何か事を起こす感じですね。しかし次回「さよならサボニードル」の予告ではそれらしい描写は見えず。ケミー:サボニードルと少年の友情物語という感じです。

●王様戦隊キングオージャー(第32話:遭遇!キョウリュウ!)

 このところ、毎話が厳しい何か突きつけて来るドラマ展開でして、自分的に好みではありますが、安心して楽しく観るとはならない、異例の緊張続きでありました。今話はキョウリュウジャーと共演ということもあって、以前の戦隊ものドラマの雰囲気が強くありますね。場所も見慣れた地球(の日本)。東映特撮名所も使われておりますな。

 舞台状況はキョウリュウジャー本編でデーボスに勝利後、宇蟲王ダグデドが新たなデーボスを送り込んだ世界ということですか。だからキャンデリラとラッキューロはデーボス軍から離反したままと。

 キョウリュウジャー本編をネット視聴して、このキャンデリラは終盤まで自分には理解しがたいキャラクターでした。なにせ喜びの感情を司っており、攻める手段も喜ばせること。人類を滅ぼさんとする敵幹部としてはどうも分かりにくい。と思ってましたら、実はデーボスも扱いかねていて、キャンデリラは己の気持ちに従ってデーボス軍を去る。そこを見届けてようやく「なるほど」と納得です。

 今話では2人とも、すっかりキョウリュウジャー側ですな。というより、キョウリュウジャー側に新登場の「プリンス」にかかりっきりの感じでしょうか。何かとプリンスのそばへ来てキャッキャ言ってますし、プリンスの修行にも熱心に付き合ってます。

 もっとも、プリンスが師匠と仰ぐのは立風館ソウジ/キョウリュウグリーンのようですね。プリンスが何者かと問われたソウジ、ちょっと意味深な表情で答えませんでした。未来から来たことだけは明かされますが、新たなキングになるにしてはちょっと幼い感じかも。見た感じは10代で、演じる川名輪太郎さんも10代ですね(2006年生まれ)。

 未来から来た子供が重要人物となりますと、定番(?)としては「戦隊関係者の子孫」でしょうか。今話では回想だけだったキング=桐生ダイゴ/キョウリュウレッドの息子なのかな。既に曽孫は「帰ってきた獣電戦隊キョウリュウジャー 100 YEARS AFTER」(2014)で登場しているようですが、自分は未見でよく分からず。ウィキペディアで見てみますと、キャンデリラが2114年に曽孫を戦隊として取りまとめしているとのこと。

 もしかしたらプリンスはさらにその先の未来から来たのかしらん。それならキャンデリラがまるで母ちゃんみたいにプリンスに付きっ切りなのも頷ける気がします。この前後編の後、プリンスも出演するキョウリュウジャーが作られるのかしらん(まずVシネマかな?)。それはそれで、今エピソードが活かされる面白さが出そうです。
(自分はキングオージャー後半は地球が舞台と思い込んでしまいましたが、こちらで2話分と伺って認識を改めました。言われてみるとチキューを放り出して、主戦場を地球に移すというのはいかにも変なんでしたorz。)

 さらに地球とチキューに何らかの関係ありと、もともと考古学者であるイアン・ヨークランド/キョウリュウブラックの遺跡発掘からジェラミーが気づく。なぜそこまで分かったかは不明ですが、ジェラミーの見立てでは「俺の親父たちは、この星から移り住んだ人間」とのこと。父親ですから6人目の英雄=人間ということですね。もっとも母であるバグナラクももとをただせば人間ということで、みんな地球から来たことになりますな。シュゴッドの由来はまだ分かりませんが、獣電竜が祖先だったりするのかしらん。

(祖先を同じくするとしても、最初から言葉が、それもノブハルの駄洒落まで理解できるほど通じるわけはないんでしょうけど、お約束として許容範囲でしょうな。面白ければ許せるし、異世界転移だと解すれば転移ボーナスとして言語習得が付与されるのはもう通例。)

 などなど、主に設定面で気になることが多々ありますが、目を惹きつけたのはアクションです。自分はOP映像の見方がへたくそで気が尽きませんでしたが、調べてみると坂本浩一監督回でした。今話終盤までは変身できるのはシュゴッドをその身に宿したギラだけでして、キョウリュウジャーもブレイブと獣電竜を奪われ生身で戦うしかない。

 そう言う状況ですから、まず(実はプリンスに活を入れるための)ギラ vs プリンスですね。たぶん要所要所でアクション専門のアクターさんがスタントしていると思いますが、見ていても代役だと分からないようにカメラ写りを工夫しつつ、なかなか激しいアクションが楽しめました。

 さらにプリンスが獣電竜の代わりにシュゴッドの助けを受けて変身できるようになってからの(そこもシュゴッドの祖が獣電竜かもと思わせる点)、変身したレッド2人と生身のキングオージャー&キョウリュウジャー合同チームのバトル。これもトリッキーさを交えてよく動く、見栄えするバトルでした。そこに感心して観なおしてみますと、冒頭のソウジの動きもなかなかのキレですね。一瞬なんで初見では見落としてました。

(どうでもいいことですが、スタント代役立てるならリタは都合がいいですね。何せ顔を半ば以上隠していますから、かなり自由なアクションができるはず。しかし、ヒメノについては、もしかするとのけぞるようにあおむけで剣を突き出すシーンは代役の人だったのかしらん。顔が映っても結構分からんもんかもしれません。)

 ともかくも敵先鋒のデーボ・センキングは倒したものの、大ボス兜武神デーボス登場で再び敵優位に。次回「シューゴー!キングとキョウリュウ!!」では覚醒したプリンスを中核に善戦するも、本気を出した敵に押され、そこにキョウリュウレッド/ダイゴとゴールド/空蝉丸が帰って来て、みたいになるのかな。

 やっぱり今話は不在のキョウリュウジャー2人を次話では観ておきたいところです。キングオージャー側はブレイブと獣電竜奪還を助け、地球とチキューの関連からダグデドを倒すヒントを手土産にチキューに帰る、みたいになれば万々歳。

Re: 10月のスレッド(2023) - Shiny NOVA

2023/10/12 (Thu) 01:58:49

 定例感想ですが、先にニュースをば。

★牙狼の新作発表

https://ameblo.jp/garo-project/entry-12824065321.html
https://garo-project.jp/garo_hagane/

 ということで、来年の1月から牙狼のTVシリーズ新作『ハガネを継ぐ者』の放送が発表されました。

 主役は道外流牙ですので、『闇を照らす者』『牙狼翔』に次ぐ、3作めのTVシリーズになりますな。
 彼の主役編としては、劇場版『神ノ牙』(2018年1月公開)以来ですので、6年ぶりということになります。まあ、コロナ禍とかで撮影できなかったりしていたのでしょうな。

 旧作再放送などで空気を温めて、それから、ようやく新作キターって流れなんでしょうな。
 来月の金狼感謝も、今年は何かイベントをやってくれそうですし、今から期待が募ります。


★ガッチャード

 で、こちらの話ですが、今回は本編の感想ではなく、特撮雑誌『宇宙船』の最新号に掲載された脚本家インタビュー記事からのネタを紹介。

 ええと、今作は東映のプロデューサーが、メインは初となる湊陽祐氏で、彼が自分とキャリアが近い若手脚本家の内田裕基氏と若手タッグを組んで、企画を進めていたら、行き詰まったので、ベテランの長谷川圭一さんに助っ人をお願いしたら、
 結果的に、長谷川さん主導という流れになって、長谷川・内田のダブル脚本家という体制になった、とのこと。

 ずっと、長谷川さんメインで、助っ人に内田さんが呼ばれたと思い込んでいたら、実は逆だったと。
 長谷川さんも、自分はあくまでサブライターのつもりで、5、6話ぐらいの登板だと思いながらアイデア出しなんかをしていたら、いつの間にかメインを任せられて、あれ? って状況になったとか。

 で、内田さんとプロデューサー氏で元々考えていた筋書き原案があって、それを長谷川さんがどう改善したか、というメイキング話が非常に面白かったので、紹介します。

●ケミーを解放したのは、宝太郎だった。

 最初は、こういう設定だったみたいです。ええと、何も知らない主役が、ケミーの封印されていた場所に迷い込んで、ケミーとコミュニケーションをとって、好奇心で解放してしまったら、世界が大混乱。
 責任を感じた彼が、自分のしでかした失態を償うために、仮面ライダーとしてケミー回収の使命を果たすようになった……という展開が初期案でした。

 さすがに、主人公が事件の原因になるのはどうか? ということで、ケミーを解放した敵役の三姉妹を後から設定することになったそうです。
 つまり、初期案だと、彼女たちもいなくて、いわゆる悪役がいない。主人公が混乱を招いた張本人で、彼の自由で好奇心旺盛な無軌道さを強調したお話を意図していた、と。

 でも、やはり倒すべき敵が明確な方が、お話を作りやすいよね、と。
 さらに、宝太郎にそういう影の部分を背負わせるよりも、もっと痛快で楽しい作品にしよう、と軌道修正が図られたとか。

●蓮華先輩と錆丸先輩は、スパナの手下だった。

 宝太郎は、お目付け役のりんねとバディ関係に。
 一方で、宝太郎の浅はかなやらかしを責める、秩序重視のライバル的なチームが、スパナと2人の取り巻きという初期設定。

 つまり、先輩は元々、敵対相手だった、と。
 イメージとしては、タイムボカンシリーズの男女ペアVS敵トリオのケミー争奪合戦みたいな原型があった、と。
 まあ、ドロンボー一味と違って、スパナ率いるトリオは秩序側だし、女性リーダーじゃないので、大分違うわけですが。

 主人公が混乱を引き起こして、それを尻拭いすることになったりんねと、主人公には任せられんと厳しく接する先輩トリオという初期案だったのが、

 長谷川さん曰く、スパナは一匹狼で、部下は持たない方がキャラが立つ、とのことで、
 結果的にスパナの子分になるはずだった先輩2人は、宝太郎たちの協力者になった。おかげで、錬金アカデミーの空気もあまりギスギスしなくて良かったね、と。

●敵役の三姉妹

 最初は存在しなくて、「混沌側の主人公VS秩序側のスパナ一味」という構図だったのが、
 主人公の混沌要素を引き継ぐ役どころになったのが、彼女たち。
 まあ、主人公の敵対相手が3人チームという初期案があったので、そこからの流れで、三姉妹になったようですね。

 これで、主人公が何と戦うか、より分かりやすい勧善懲悪的な関係が明確になった、と。
 元々は、野良ケミーの暴走したマルガムしかいなかったのが、ケミーを悪用する連中と戦うという構図。
 そして、ある意味、彼女たちが主人公の元々持っていたトリックスター、混沌要素を引き継いだことで、逆に原案がそれだと、物語途中で主人公もしくは、パートナーのりんねが闇堕ちする可能性もあり得るかなあ、と思っています。

 何せ、長谷川脚本ですから、光と闇の錯綜は中盤であって然るべき、なんて思ってます。
 主人公のやらかしは、物語の開始ではなく、中盤に持ってくると印象的、というか、令和ライダーの伝統として、必ず主人公サイドの迷走があるわけで。
 最初からやらかして反省してる主人公よりも、途中でやらかしてガーンと自分を見失う主人公の方がドラマになるんじゃないか? と。

 ……といった自分の予想も混ぜてみましたが、長谷川さんが入る前の初期案(若手2人が前例のない、混迷主人公像を構築)を、長谷川さんが視聴者に受け入れられやすいように、分かりやすく改善しつつ、そういう裏事情をこのタイミングで明かすということは、
 初期案を完全に切り捨てたのではなく、今後の展開の叩き台に流用できるように、チラ見せしたのかも、と穿って考えております。

 まあ、大体、そういうのが見えて来るのは、年明け、あるいは年度明けの春かと思っておりますが。


 あと、前回、書いたケミーカードの属性ですが、虫、植物、動物、職業、乗り物、物品の6属性のみのようです。
 すると、6×9の54種類しかないのですが、後から追加属性が登場するのか、それとも上級カードみたいなものが登場するのか、分からないけど、とりあえず54種類そろったタイミングで、新展開になるのかも、と思っています。

 1話平均5枚ほど、となると1クールで54種類ぐらいは集まりそうなので、年末に6属性コンプリートして、そこからの年明け前後に次のステージになりそうですね。

 あと、やはり、自分的に面白いと思った設定は、「ヴァルバラドのスーツは、スパナが自分で作ったハンドメイド品」ということ。
 彼の天才ぶりの証明だと、納得しました。

 自分の変身装備を自分で作っちゃうキャラというのは、ガンプラのビルドファイターみたいなものですから。
 前作のギーツと違って、一気にスパナに感情移入するようになりましたね(笑)。

 一匹狼で、部下を持たない方がキャラが立つ、と脚本家に明言されたスパナですから、明らかに愛されているなあ、と思っております。
 もう、今後は、彼の「笑えないジョーク」「俺の美学に反する」の決め台詞を聞くたびに楽しめそう。

 あと、ボルトの名前は覚えないのに、宝太郎の名前は覚えている辺り、彼なりに認めているのでしょうね。

★キョウリュウジャーwithキングオージャー

 キング不在のキョウリュウジャーに、別世界のキングたちが助っ人に駆けつけてくれたような展開ですな。

 もう、BGMもキョウリュウジャーですし、王様たちの方がゲストキャラのように感じた1話。

>OP映像の見方

 いやあ、自分もキングオージャーのOPは、スタッフ名が読み取れませんよ(苦笑)。

 坂本監督なのは事前情報で知っていたのですが、怪人役の声優さんとかが、今作はしょっちゅう見落とします。

 いつもは割と、おお、ゲスト俳優はこの人か、とか、キングオージャーだと、「おお、今週はゴローゲが出るな」とか思ったりするのでしょうけど、
 キングオージャーのOPは、読み取れない情報が多すぎて、困ります。
 セバスチャンの役者名とか、脇役の名前がちっとも。

 あと、戦隊では基本的に、メインキャラの映像と役者が重なるようにOPが構成されているのですが、キングオージャーはそういう定石を外していますね。

 画面に映っているキャラと、表記テロップが異なるのが、いつも気持ちが悪く感じております。

 ともあれ、ダグデドが他の戦隊の世界まで荒らしているとか、キョウリュウジャーの地球からの移民が王様たちのチキューに到着したとか、一気に世界が広がった感。

 これで来年、ドンブラザーズの世界と王様の世界がつながっても納得できるというものです。

 あと、これは小ネタですが、現在、背景がCG合成という撮影で、グリーンバックという技法が使われているそうです。
 おかげで、緑がバックと色が混じってしまうので、使えないのだとか。

 だから、キングオーとドンブラとゼンカイは、メンバーの中にグリーンがいないのだという話を聞いて、おお、なるほど、と。

 で、久々にキョウリュウグリーンと、あとラッキューロの緑が画面に映って、おおっというネタが。
 キングオーのチキューには、緑の染料が存在せず、カマキリもバッタも緑じゃなくて、
 その分、地球は緑の星なんだなあ、と実感できる映像の話でした。

 なお、戦隊では緑の代わりに黒を使うことも多くて、別に緑がないことに違和感を抱いていなかったのですが、
 そういう事情があることを知って、感心したりも。

 ではでは。
 今回は感想よりも蘊蓄メインでしたが、次回は感想書くぞ、と。

Re: 10月のスレッド(2023) - Shiny NOVA

2023/10/14 (Sat) 08:45:15

 連続になりますが、ゴブリンスレイヤー感想は先に挙げておこうかな、と思います。

★ゴブスレII(2話)

 今回の話について、画面で明示されたもの以外の伏線として、「ゴブスレさんの故郷の村」についての話があります。

 彼が少年時代(10年前)にゴブリンの襲撃にあって、彼の姉を含む村人たちが彼を残して全滅したという経緯がありまして(その中に牛飼娘の両親も混ざっている)、
 その10年前に滅びた村の廃墟の跡に、今回および次回の話の舞台である「街外れの訓練場」が建てられる流れとなっています。

 故郷の村が滅ぼされたという事実は、ゴブスレさんは仲間にも語っていませんので、劇中で知るのは、当事者である牛飼娘と牧場主の伯父さん、そしてゴブスレさんを助けた師匠役の圃人の老爺のみ、と。

 よって、今回の話で、ダンジョンが昔の陵墓で云々と訳知り顔で語っていたのも、事前調査とか物知りとかではなく、自分の幼いときに過ごした村だから、ということになります。

 最後にゴブスレさんが兜を脱いで、何やら自責の呟きを漏らしていたのも、「少年魔術師が、自分と同じように姉を殺された復讐鬼になっている」という事実を目の当たりにして、
 「姉を殺されたこと」および「自分の故郷の村の近くにゴブリンが発生して、悪夢ふたたび」的な気分にさらされたため、となります。

 女神官とは別の形で、トラウマを誘発させられた形ですね。
 彼がゴブリン退治を続けるのは、「昔の無力な自分が何もできずに、姉を見殺しにして生き永らえた」という負い目を持っており、
 復讐であると共に、「ゴブリンを倒さないと、自分と同じ悲劇=故郷や親しい人を失うことが繰り返される」ゆえの情念に基づくもの。

 「勇者が世界を救う間に、ゴブリンは村を滅ぼす。だから、勇者じゃない自分の役目は、村を襲う前にゴブリンを徹底的につぶすことだ」という思想ですね。

 これで、ゴブスレさんおよび女神官さんが、少年魔術師の事情を知ったわけですが、
 内に溜め込んだ気持ちを吐き出したことで、少年魔術師は少しぐらい気持ちが楽になったわけですが、それを受け止めるゴブスレさんと女神官さんのトラウマガーンで続いたわけです。

 で、女神官さんは露骨に落ち込む姿を示して、妖精弓手さんなどにメンタルケアされたりもするのですが、
 ゴブスレさんのケアは……牛飼娘さんの担当ですね。彼の過去を絡めた話は、次回にチラッと語られるかな。

 なお、過去編のイヤーワン1巻は、本編7巻と同時発売だったので、この6巻の話を書きながら、ゴブスレ過去編を形にする構想も当時はあったのだろうな、と考えます。
 だから、アニメでもその発表順番を考慮するなら、少年魔術師のエピソードを終えた後に、イヤーワンの1部を挿入する話につなげるのかな、と。

 ええと、イヤーワンを想起する理由は、OPの始めが、髪の毛を目を隠すようにしてる牛飼娘の姿になっていて、これは両親を失った彼女がゴブスレと再会するまでの引きこもり状態のビジュアル演出かなあ、と思ってます。
 ゴブスレと再会することで、彼女の止まっていた時間も動き出して、「私よりも大変なめにあった彼が生きて頑張っているんだから、自分も前を向かないと」って気持ちで、伸び放題だった髪を切って、今の髪型に、という筋書きですね。

 また、OPの終わりが、金色の小麦畑(秋の収穫祭を想起)でゴブスレの帰りを待っている彼女が、だけどスッと消える思わせぶりな描写。
 まあ、別に本編で彼女がそういう悲劇にさらされることは、今期ではないと思いますが。

 ともあれ、起承転結的には、起で少年魔術師を登場させて、承で未熟な彼の背景を示しつつ、その背景がゴブスレと女神官にも密接につながっていることを明示。
 そこからの転たる次回が、まあ、「冒険初心者のための学校」に相当する訓練場で、教師という立場で振る舞うゴブスレや女神官たち……という疑似学園日常コミカル物っぽい雰囲気ですね。

 少年魔術師は跳ねっ返りの生徒で、そこに圃人少女も交じる。女神官に対しては、少年魔術師は今回の冒険で「1話の暴言を謝ろうとして、謝るタイミングをつかめない」というシーンがあって、
 あと、彼の特性として、未熟な無鉄砲さはあるけど、「ゴブリンに捕まった人を早く助けたい」という感情を発露。で、「ゴブリンを殺すことに執着していた自分」の未来を、ゴブリンスレイヤーの現状に重ねて、そこに憧れるわけではなく、そういう姿を認めないというモノローグを挟むことで、復讐に囚われた心境の変化を表現した感じ。

 ここから彼の動機が、復讐ではなく、「弱い者をサポートする人助け」(ある意味、女神官に感化されたとも言える)に転化するきっかけかな、と思います。

 最終的に、彼はゴブスレの過去を気にかけることもなく、彼の内心も分からないまま、反面教師としてゴブスレと別れて自分の道を目指すわけですが、
 ゴブスレ自身は、少年に過去の自分を被せて見る心情が見え隠れするので、「少年が自分と同じ道を進まずに、真っ当な冒険者として歩み始めたこと」を良かったものとして受け止めるわけで。

 なお、少年魔術師にツッコミ点を入れると、「火球の魔法を1回しか使えない」ので、1体のゴブリンを倒す以上のことはできなかった、と。
 また、火球は本来は複数を範囲に巻き込んで使うべきなのに、たった1体を相手に無駄撃ちしたような形なので、クールさとは程遠い有り様だった、というのが今回ですな。

 他には、トロール相手に、熱と低温で大ダメージって戦術は、原作2巻(1期アニメの中盤)で「あいすくりん(氷菓子)」の製法を学んで、じっさいに試した流れを引き継いだもの。
 この過去の日常シーンのネタを、その後の冒険に活用するゴブスレスタイルは時々見られて、いい伏線消化にもなってるなあ、と改めて感じ入ったり。

 さあ、次回は「ゴブスレさんのゴブリン退治講義」がコミカルに楽しめる回なので、今回の重く終わった空気を引きずらないだろう、と思ってます。
 で、あれだけ「俺にゴブリン退治のやり方を教えろ」と言っていた少年魔術師が、「ゴブスレの講義にやたらと反抗的な態度をとる」のが、原作小説を初読した際、すごく腹立ったのですが(自分は教育業ですので、ゴブスレさんに感情移入して、こんな生徒いたら嫌だなあ、と感じたり)、
 でも、その後のクライマックスで、少年魔術師が女神官さんと共に、ゴブスレさんの講義をしっかり実践活用するように描かれて、

 気持ちの上で反抗するけど、真面目に聞いていないフリをして聞いているとか、何だかんだ言って学習能力は高いとか、結局はツンデレ的な接し方になる形だな、と納得。

 まあ、この辺の講義編を次回は楽しみにするとして。

PS.前回の書き込みミス。国王や剣の乙女は、白金等級ではなく、2位の金等級との設定でした。白金は、魔王を倒した勇者(女の子)のみです。
 この勇者、ゴブスレの物語とは直接関わらない、あくまで背景設定のみのキャラなんですが(小説では、間章という短いシーンで、ゴブスレの冒険の合間に挿入されがち)、
 3巻で、ゴブスレと対面する機会が。

 また、5年前に彼女が冒険に出る前の村が、ゴブリンに襲撃されたシーンがあって、そこで冒険を始めたばかりの未熟なゴブスレさんがクライマックスで、ボロボロになりながらもゴブリンと戦って村を救ったエピソードがイヤーワン1巻のクライマックス。
 で、ゴブスレは勇者の恩人でもあるわけだけど、そういう事情に気づくのは読者だけで、当のゴブスレも、勇者少女も互いにその事実を認識していないという。
 この辺の認識のズレとか、すれ違いもリアルに感じたり、想像の余地がある部分かな、と。

 ではでは。

Re: 10月のスレッド(2023) - K.K

2023/10/14 (Sat) 12:08:08

●ゴブリンスレイヤーII

 第2話の感想がちょっと遅れるかもしれません。もしかすると、ガッチャードやキングオージャーの後になるかも。
(もっとも、自分は感想が即日とか翌日ではできておらず、いつも遅めですが(^^;。)

 今週も自分の深夜限界超えてゴブスレ2をリアルタイム視聴したんですが、合間のCMでびっくり。ABEMA TVで第1期を全話無料公開とのこと(さらにこの2期は最新話1週間無料公開で、万が一の録画失敗でもなんとかなりそう)。

 普通(?)ですと、放映中の分と過去分再放送はそれぞれで観て行けばいいんですが、ゴブスレ第2話を観てみると「これって1期をきちんと視聴したほうが感動とか深いのでは?」と思った次第。
(原作読むべし、というのは現時点では回避しておきます(^^;。2期観終えたら分かりませんが。コミカライズはネットで最新話だけ読めたりするようですね。)

 1期を観ておきたいと思ったは、例えば少年魔術師と亡き姉(女魔法使い)がすっと重なる演出です。姉(女魔法使い)は1期第1話視聴できてますんで分かる部分ではありまし、以降はロクに回想もされてなかったとは思います(学院で敗死をこき下ろされたエピソードとか描写されてないはず)。が、第1話のパーティ壊滅の意味・重みとかは1期を終えてみて分かるものもあるだろうと。

 小ネタではゴブスレパーティの蜥蜴僧侶がソーセージに溶けるチーズかけたものが好物と描かれているところ。確か、1期でゴブスレさんが持ってきたチーズを焼いて食ってハマったはずですね。ですんで今話の飯の描写で「ああ、あれか」と。一緒に飯食って、その様子がどうかというのは、キャラクター関係を感じさせるものでありますので、大事にしておきたく、その所以が描写されている1期はきちんと観ておく価値ありそう。

 あるいは「あいすくりん(氷菓子)」戦法ですね。2期2話では唐突な戦術と思いそうになったんですが、ゴブスレさんの説明に仲間が納得し、少年魔術師はややポカンとしている。自分は少年魔術師の心境になっちゃうわけですが、1期中盤で「あいすくりん(氷菓子)」描写があったとのことで、観ておきさえすれば仲間の納得の線で感情移入できたはず。

 さらに少年魔術師の「ゴブリンを殺すことに執着していた自分」に対する反省から、「そういう姿を認めない」と反発する流れもそうです。1期でゴブスレさん自身が、いかにして今のゴブスレさんになったか語るシーンがあったはず。確か、(目の前で姉が惨殺されるのをどうにもできず)最初は死に物狂いの無我夢中でゴブリンに挑み、失敗して学んで挑戦を繰り返し、やがてやれるようになると面白く感じるようになっていた、でしたか。

 1期を感想サイトで追っていたときには特に何とも思わなかったんですが、今さらながら考えてみますと、どこかで狂気のスイッチが入っちゃった感じですね。少なくとも目的と手段が入れ替わってしまっている。少年魔術師のゴブスレへの反発心発生が、その辺りも嗅ぎ取ってのものだとすると、この後が興味深いかも。この物語がゴブスレさんの更生がテーマだとすると、少年魔術師は「ゴブスレさんがこうなっていたかもしれない姿」あるいは「ゴブスレさんが今後辿る道」みたいに思えてきます。

 少年魔術師は学んで工夫するという点ではゴブスレさんと重なるものがありそう。「真面目に聞いていないフリをして聞いている」って第1話で描写されてましたな。ギルドで受付嬢にゴブスレさんが申告する討伐の模様をメモろうとして怒られるシーン。ゴブリンを弱いと軽視する台詞も吐く少年魔術師ですが、このときは「予習くらいは」という用心も垣間見せてます。

 もちろん、同時にゴブリンに対する憎悪も強く持ってまして、その理由が第2話で明かされるわけですな。ゴブリン討伐に出たものの敗死。弟の少年魔術師の無念は、姉の死亡もありますが、「賢者の学院」での姉の名声が地に落ちた悔しさも大きいらしい。

 その姉に引導を渡したのがゴブスレさんで、1期1話時点では淡々と行ったように見えますが、内心どうだったかがこの2期第2話で示される。弟の少年魔術師とゴブスレさんが重なる部分が大きいこともあるんでしょうね(同時に名声については逆の傾向)。そこは1期をよく知らずに観ても感動できますが、たぶん1期をきちんと観ていればより深く感じるものがあるはずです。

 いかん、「1期観なおしますんで、ちょっと感想遅れます」と報告するつもりが長々と。どうやら自分は相当にゴブスレ(アニメ)にハマっているらしい。

Re: 10月のスレッド(2023) - Shiny NOVA

2023/10/14 (Sat) 22:26:09

 ゴブスレ1期を見るなら、軽いガイドをしたくなります(笑)。

 まず、話数と原作小説への対応ですが、

●1話〜4話:原作1巻

●5話:原作4巻(短編集)の最初の話(新人の下水道探索)およびアニメ独自の仕込み回。

●6話〜9話:原作2巻(水の街編)

●10話:2巻の後日譚と、1巻のクライマックス序章の再構成。

●10.5話:牛飼娘視点の総集編。

●11〜12話:1巻最後のクライマックス。

この中で、ゴブスレさんの過去話に関係するのは、2話(故郷の村がゴブリンの手で壊滅したこと)と8話(圃人の先生からの過酷な修行を懐古)。

 「あいすくりん」についても、8話ですね。

 あと、5話の圃人斥候については、その後の復讐が小説3巻で回収される重要な伏線になりますので、要チェックになりますか。

 自分が特に好きなのは、7話と8話、それとクライマックスの11話と12話ということで、他にはサブタイトル蘊蓄をば。

・3話「思いがけない来客」
 ホビットの映画1作め『思いがけない冒険』、および原作の第1章「思いがけないパーティ」より。ゴブスレさんと女神官の師弟コンビに、異種族トリオが加わって、5人パーティ結成、本格的な冒険の始まりです。

・8話「囁きと祈りと詠唱」
 ウィザードリィの寺院での復活の際に表示されるメッセージ。
 前話で瀕死の重傷を負ったゴブスレさんが、剣の乙女と女神官の奇跡で復活する話、および水の都編クライマックスバトルの仕込み回。
 名前を呼んではいけない目玉怪物のネタが、楽しめる回でもあって、非常に密度の濃い1話ですな。

・9話「往きて還りし」
 これは原作『ホビットの冒険』の副題になってます。ホビットのビルボが冒険の旅に出て帰って来るまでの物語ってことで。

 あとは1話と12話のサブタイトルの関連づけがお見事というか、原作小説の章題になっているのですけどね。

 あとは「思いがけない来客」の次の章が、『指輪物語』由来の「旅の仲間」だったり、TRPGやゲームブックのタイトル由来の章題があったり、アニメでは割愛されているパロディがいろいろですな。
 一方、アニメだと、やはり絵と声と音楽の演出で、ドラマチックさを増していたり、感情移入度が上がりますな。

 原作小説は、一応、感情移入できるドラマはあっても、それ以上に元ネタありパロディの方を楽しんでいる読み方ですので、
 2期のトラウマ発動するようなドラマ面では、アニメの方が純粋に楽しめるなあ、と。

 いずれにせよ、1期にも、2期の伏線がバッチリありますので(訓練施設の計画が進行中とか)、今だとその辺の仕込みに気づくと思われます。
 自分は今、『イヤーワン』1巻の読み直しを始めた段階で、前に読んだときは気付かなかった伏線なんかを堪能中。

 で、読めば読むほど、2期のOP映像の中のイヤーワン要素を感じとれたりも。

 少年魔術師エピソードの次の構成に、何を混ぜて来るかが気になって仕方ない状況ですね。

PS.原作読むべし、とは、あまり思ってませんな。アニメが放送してるタイミングだから、原作のネタを紹介しているわけだし、原作のパロディネタを堪能するには、80年代からのTRPGやゲームブックの知識がそれなりに必要になります。
 アニメはそういうマニアにしか楽しめない部分を削って、ドラマ作りの方に重点を置いているわけで、楽しみ方が違うと思ってます。

 ともあれ、アニメ2期は、ゴブスレおよび、この世界の過去の掘り下げが濃厚になりそう、と感じています。

 最後に、簡単な年表をば。

・10年前:ダイカタナの時代。魔王が出現して、各地で魔物が暴れている。ゴブスレの村がゴブリンに襲撃されて滅びる。
 魔王の軍勢は現国王たちが討伐するものの、各地の村までは守りきれず。魔王の潜む「最も深き迷宮」へは、剣の乙女を含む6人パーティで最下階まで攻略し、死闘の末に撃退成功。

・5年前:イヤーワンの時代。ゴブスレが初心者冒険者として活動開始。牛飼娘と再会したり、新人だった受付嬢がゴブスレと並行して成長する姿が描かれる。

・現在:女神官がゴブスレに救われるところからスタート。アニメ1期は彼女の冒険の1年め、2期は2年めということになる。だから、厳密にはイヤーワンの物語は、アニメ基準だと6年前ということになる。
 小説1巻(アニメ1期)では、10年前に倒された魔王が復活したことで、ゴブリンの活動も活性化し、だけど国王は魔王対策に追われて、ゴブリンは冒険者に任せるしかない、と放置している。
 そして、魔王は突然、出現した勇者に倒される。

 小説2巻以降は、魔王軍の残党なんかが魔王復活のために暗躍していて、それをゴブリン退治の仕事をしていたゴブスレ一党が、よく知らない間に、残党の計画を妨害する形になっている。
 このゴブリンたちは、こんなところで何をしていたんだ? さあ、とにかく、ゴブリンから街や村を守った。それ以上は考えるまでもない……とゴブスレたちが活動している裏で、勇者が残党退治をしているのが、この時期の原作小説のパターンかな、と。
 読者は、勇者の活躍する間章を読みながら、ゴブリンの行動の背景にあったものを推測、読み取る知的な楽しみもあるのですが、アニメではその部分がほぼ割愛されている感。要は、裏設定的な仕込みが非常に多いのが原作小説の特徴にもなっている、と。

 アニメの放送でスポットが当たったときに、原作小説ではこういう伏線があって……というネタ語りがネットで非常にしやすい作品とも言えますが、そこまでしなくても、アニメはアニメだけで十分楽しめる、と思ってます。
 

Re: 10月のスレッド(2023) - K.K

2023/10/17 (Tue) 12:16:08

 定期感想その1です。

●ゴブリンスレイヤー(第1期)

 ネットで1期を視聴してみますと申したその日に詳しいガイド解説、ありがとうございます。実はご投稿頂く前に1期最終話を観終えてましたが、よく分からない点もあり、前々からご解説頂いてます内容と併せて、大変助かりました。

 1期はゴブスレさんはいかなる人物か、周囲の人との関わりはどうなっているかといった点に特に注目して観たんですが、最終話まで観終えたのに、例えば女神官さんについて分からない点が出てしまいした。

 最終話でゴブリンの大群/大軍を撃破しての祝勝の宴で、女神官さんがゴブスレさんに素顔を見せてとねだり、ゴブスレさんが応える。前から素顔を知る牛飼娘さんはともかく、兜姿しか知らない面々は一目見ようと寄って来る。いいシーンですね。

 ですが、待てよと。第8話の「処女同衾の奇跡:リザレクション」で女神官さんは顔どころか素っ裸で相対してたんじゃなかったか。ゴブスレさんの素顔(や傷跡だらけの体)を見てないわけがない。何とか辻褄合うよう解釈するなら、恥ずかしかったので顔を見られなかった、くらいかと思いますが、どうにも不自然。

 はたと思い出しまして、こちらで伺った原作進行をアニメではシャッフルしている点ですね。先月に簡潔に教わってまして、1巻途中から先の巻に移り、そこからゴブリン大群撃破の1巻ラストに戻って来ると。そこは今回のガイド解説がさらに詳細でして、原作では1巻ラストで女神官がゴブスレさんの顔を見てからのリザレクションの儀が、アニメでは先に来ちゃってたわけですね。

 その辺りはゴブスレアニメを(当時はBS視聴設備がなかったため)画像付き感想サイトで追っていたときは意識してなかったんですが、アニメ本編視聴してみますと気が付きます。かつ、こちらでいろいろ伺ってなかったら、「あれ?」がモヤモヤしたまま残るところでした。第2期開始直前に「感想サイトでだいたい分かる、視聴できた第1話と印象一致したし」旨申しましたが、どうも自信過剰だったようですorz。

 ゴブスレさんの装備が皮鎧(を加工したもの)という点などのご教示もお礼申し上げます。第1期アニメでもときどき断片的に言及されているのに気が付きました。気が付いてから2期第2話などを観なおしてみますと、ゴブスレさんが動くときは、ギュッとかキュッという感じの音ですね。

 女神官さんの錫杖(なのかな)ですら金属音ですし、他の戦士の鎧も控えめながら動けばガチャッという感じ。しかし2期2話ラストでゴブスレさんが兜を脱いで地面に投げつけると金属音。そういえば1期では不意に頭を殴られることを警戒する台詞がありまして、後で鉄兜と言及あり。なるほどな感じです。感心するのはそういう効果音とか細かいところまで演出などが設定通りに一貫しているところですね(そのため、上述の女神官さんの態度の矛盾が目立ってしまうことにもなるかも)。

 それにしても原作小説については、TRPGなどの知識・経験を欠いている自分は消化不良を起こしそうですね。お話を伺ってみますと、どうやらアニメのほうが原作小説に入門するのに役立つものという印象を受けました。アニメが原作をシャッフルしているのもそのせいかも。

 例えば原作小説に多々あるらしいTRPGネタなどのマニア向けパロディ、オマージュ等のお楽しみ要素では、自分ら素人向けには(キャラ間などの)雰囲気が作れないとなって、それならイベントの並び方で補おうとしたか。その辺りを意識して、自分用メモの意味もあって、1期各話をちょっと振り返ってみようと思います。


・第1話:ある冒険者たちの結末
 前に申した気がしますが、未視聴時に感想サイトであらましを知って「刺激を強めただけの異世界もの」と勘違いしてしまいました。実際に視聴すると各描写にちゃんと意味がありますね。メインは初心者(白磁等級)パーティの失敗とゴブスレさんの仕事ぶりとの対比。

 ゴブリンを侮る初心者パーティとて用心していないわけではなく、剣士・武闘家・魔法使いでは回復や守備性に難ありと考えて女神官さんを加えてのゴブリン巣穴討伐。しかし知識不足のうえ学ばない。洞窟入口のシャーマンの印を警戒せず、洞窟途中では同じものに気を取られて横穴を見逃す。青年剣士は試しに振った剣が天井に当たっても気にしない。女武闘家は己が攻撃力を過信している。

 危うい状況と思っているのは女神官さんだけで、何とか背後の物音に気が付く。女魔法使いは1本の洞窟を進んできたと思い込んでるから、そもそも後ろを気にしてないし、前衛の2人も同じ。そのためまず背後を突かれて混乱し、壊滅するわけですな。

 その際の女魔法使いの火球は、こちらで伺ったこと(火球は本来は複数を範囲に巻き込んで使うべき)が参考になりました。ゴブリン単体狙い撃ちですが、後のエピソードを踏まえますと、それなら弓矢のほうが速射・連射性などでずっと優位ですな。2期の少年魔術師も同じミスをしている点も興味深い。

 そこでヒーローは遅れて来るとばかりにゴブスレさん登場。という演出だと思ったんですが、実はゴブスレさんとしては通例ではない行動だったというのが次話以降で明かされるため、振り返ってこの第1話がより面白く感じられます。

 ゴブスレさん到着直前の女神官さんの「お漏らし」も、最初は目を引くためだけの演出と思ったんです。が、本編を(この後のエピソードも含め)実際に視聴してみると、ゴブリンの性質を描くために大事なものと分かります。夜行性で灯りのない洞窟などを巣とするため、夜目や聴覚に加え嗅覚も鋭いわけですね。

 だからお漏らしがあるとすぐに臭気に気が付く。ゴブスレさんがゴブリンの血で偽装するのもそのため。ともかくもそこからは初心者パーティ―の敗因をゴブスレさんが解説しつつ、模範となる討伐を見せてくれるわけですね。ゴブリンの夜目は突然の明るい光には弱点ともなり、これは後でも多用される戦術。
(敵(ゴブリン)の武器を奪って使う戦術の有効性も分かりまして、洞窟で振り回すのに適した武器を持っているのは、そこを拠点とするゴブリンなわけですな。)

「奴ら(ゴブリン)は馬鹿だが、間抜けじゃない」の評言通りでもありまして、初心者パーティ―は「間抜けじゃない」ことに気付かず壊滅し、ゴブスレさんは「馬鹿」という面を突いてサクサク討伐していく。例えばゴブリンは待ち伏せ攻撃するくせに、自分が待ち伏せされるとは考えないとか、一手先は考えるが三手先は読めないわけですな。

 速攻で巣穴深部まで攻め入り幼児ゴブリンまで殲滅するも率いるシャーマンは逃げたらしく、後に「渡り」の脅威が示されて意味が分かる仕掛けですね。その後の女神官の独白が大事でして、しかし自分は感想サイト初見ではオチの演出くらいと勘違い。ちゃんと世界観、特にゴブリンの害を提示してますね。しかし、それが当たり前ともされている。

 そこを踏まえると、女格闘家の(身を挺して女神官を逃がしてからの)顛末も理解できますし、女魔法使いの最期も分かる。ただし、そこは弟の出現で2期に関わってきますな。この世界では普通かもしれないけど、ゴブスレさんには普通ではない。また、女神官が「本当にそうなのでしょうか?」と自分の独白に疑問を呈していることから、もしかすると女神官もこの世界の異分子かもしれないと暗示しているようにも思えます。

 いかん、ざっと辿るつもりなのにそうできない、無駄に長いorz。

・第2話:小鬼を殺す者

 感想サイトで追っただけでも「いや、第1話の印象(刺激性だけ)は間違いだぞ」と思い始めたのが、この第2話です。ゴブスレさんの幼馴染にしてヒロインの一角:牛飼娘さん登場でして、終盤(第11話)でいわゆる正ヒロインと分かる仕掛けですが、この時点ではまだまだ。

 同じくヒロイン候補の受付嬢さんも登場ですね。が、ゴブスレさんが気にするのはゴブリンの依頼ばかりでして、ゴブリンスレイヤーと呼ばれる所以を示してますな。同時に自分が受けなかった依頼も気にしてるのがポイント。白磁等級の3人パーティについて「バランスは悪くない」と言い、心配して救援を主張する女神官に取り合わず。

 より脅威度が高そうな「北の山城」を優先するわけですね。この判断は(結果的にかもしれないけど)正しく、その3人パーティは無事帰還してましたな(任務達成の模様)。そこは先の話でして、この場ではゴブスレさん、ぶっきらぼうに女神官さんを突き放す。のですけど、後のエピソードで示されたものを考慮すると、これも相談のつもりなんでしょうな。

 ゴブスレさんの女神官への語りで牛飼娘さんや彼自身の過去もちらっと。ゴブスレさん「だとする」とか仮定の話してますが、明らかに実体験と分かる演出です。牧場主/伯父さんが危惧する「タガが外れた」ことも同じく分かる。

 しかし、とりあえず自分的に大事なのは第1話で壊滅したパーティをよく知っている点ですね。後で女神官から聞いた部分もあるんでしょうけど、おそらくは予め受付嬢に様子を尋ねていたと思われます(3人パーティについて尋ねてたし、2期でも同様の言動・行動がありますし)。

 しかし、パーティ救出も目的だったとして、例外的な行動だったことも、ゴブスレさんが女神官に復習かねて教えてる台詞から分かりますな。「(巣穴に)踏み込む のは、①他に手がない、②時間がない、③確実に皆殺すときだけ」ということですね。高脅威度のシャーマンを仕損じるリスクを承知で、救出を急いだということだったんでしょう(②>③)。

(この第2話で唯一、ちょっと理解に窮するのが牛飼娘の行水カットが挿入されることです。牛飼娘の何らかの嫌悪感を表しているような気もしますが、何についてか分かりません。ギルドでゴブリン討伐の依頼を受けるタイミングの回想のようですから、ゴブリンに対する恐れや憎しみなのか。)

 ゴブスレさんの行動原理をいろいろ示してくれてるんですが、第1話の行動理由が第2話で分かるとか、離れ離れなことが多いようで、気を付けてないと理解しそこないます。

 この第2話でのゴブリン殲滅は女神官が覚えたての「プロテクションの奇跡」を使った火の鏖殺ですが、命を守る技を殺戮に使うことで悩んでます。しかし1期最終決戦では女神官がゴブスレ指示に背いての応用を見せてくれますね。その変化、成長も面白いところ。

・第3話:思いがけない来客

 第2話Cパートの吟遊詩人から情報を得たエルフらが関わって来てのパーティ成立回ですね。冒頭のこの世界の成り立ちの解説で、神々のサイコロ勝負の解説は割と肝で、ベースのTRPGを暗示するとともに、後でゴブスレさんがサイの目に従わないことも示されるのがセット。こちらで伺った話がそれとなく劇中で語られてます。

 冒頭でちらっと登場する新人冒険者コンビも、後で複数回登場するのも面白い点。ゴブスレさんが気に掛ける冒険者は伸びるようですな。たった2人である不利を自覚して、地道に下水道から始めてる点とかがゴブスレさんにはポイント高いのかも。

 しかしメインは種族混成の銀等級3人チームですね。この時点では白磁等級の女神官では周囲とゴブスレさんの間を取り持つのはまだ難しそうですが、種族は違えど銀等級3人がゴブスレさんと組むことで、周囲とのバッファにも仲介にもなっていく。ゴブスレさんは気づいてない感じですが、既に魔女さんと槍使いさんは気持ち的にかなりゴブスレさんに接近したポジションにいるらしいと匂わす演出も最終盤への伏線かも。

 ゴブスレさんの装備について、かなり解説入ってもいますね。さすが鉱人道士、職人性のあるドワーフですから、モノへの関心度高いわけですな。ちゃんと皮鎧(と鎖帷子)と言ってまして、そこは感想サイトレベルでも気づいておくべきでした。ただし、兜が鉄製であると言及するのは、ずっと後ですね。

 ゴブリンの騒乱が多い背景はエルフの妖精弓手から語られまして、魔神王の復活。その辺りは、ときたま描かれ、一見はゴブスレさんと無縁の活躍をしている勇者一行とリンクしますね。陽気な勇者と陰気なゴブスレさんは、ターゲットも対照的で関わりがないように見えます。が、ずっと観ていくと役割は分担で、根っこは同じ気持ちのように思えてくるのも面白いところです。

 しかし、情勢的には単体で強大な魔神王やら上級魔物に国家レベルでは対応があるも、群れで小物のゴブリンは放置で冒険者レベルの対処があるだけ。種族間の対立も一因みたいですね。そのせいなのか、ゴブスレさんが地味に有名らしいことも。エルフの妖精弓手らの話からいろいろ察せられます。

 女神官さんとゴブスレさんのひと悶着も面白いところでして、「俺(ゴブスレ)はこうする/お前はこうしろ/etc」はゴブスレさんの相談だったと。これが第1~2話にフィードバックされまして、「ああ、あれもこれもそうだったの」となります。

 そういやゴブスレさん、相手が「こうする」と意思表示したら「そうか」と認めちゃうこと多いんでした。相手が踏み込んできても拒絶も制止もせず、無感情で受け入れる。そのお陰か、この回ではサクサクとゴブリン討伐パーティ結成。しかし最終盤でゴブスレさんが牛飼娘さんに示した態度が光ることになるわけですが、まだまだ先ですね。

 パーティ成立でいざ出撃となるわけですが、その前の夕食は割と肝のシーンですね。仕事として引き受けたゴブスレさんですが、パーティの面々との気持ち的な接近が感じられます。やっぱり一緒に飯を食うって意味があるらしい。さらに酒盛りですね。そこから、牛飼娘さんが第2話で数日ぶりに帰って来たゴブスレさんに美味い飯を食わせると言った意味も感じ取れそうです(待つという立ち位置を同じくする受付嬢さんとのヒロイン的差異はそこかも)。

・第4話:強き者ども

 この回もOP前に世界の創造解説ありまして、作者が作品を作る過程を示唆するメタ的な、あるいはメイキングみたいなもののように感じられます。が、すぐに続いてゴブリンの血を使う臭い消しでして、目が死んでる女神官さんとエルフの妖精弓手さんの後ろから迫るゴブスレさんが笑えるところ。この後がシビアな展開なわけでして、上手い落差作りになってますね。

 それにしても妖精弓手さんの「十分に熟達した技術は魔法と見分けがつかないものよ」はクラークの3法則の3番目を模したものですね(発達を熟達としただけ)。いろんなところから元ネタ探して来るもんだと感心。割と知名度高いものであるのもポイントなんでしょうな。あまりマイナーでは気づいてクスリとなってくれる人が少なくなります。

 よく見ると血の偽装は女神官さんと妖精弓手さんのみ。ゴブリンがターゲットにするのが女性だからなんでしょうな。2期2話でも少年魔術師にゴブスレさんが自パーティに女性2人いると注意喚起してましたし。じわじわとゴブリンの厄介な点を語って来る感じ。もっとも、臭いの偽装はゴブリン側もでして、進入路からねぐらまで間に汚物溜めですか。ねぐらと反対方向には捕虜。鼻の利く犬とかに追わせてもここで遮られるでしょう。

 が、ゴブスレさんはその辺りは承知していてあえて「鼻で呼吸しろ」と。不快でも手掛かりは逃さないわけですね。ドワーフの鉱人道士さんが床の減り具合から察したねぐらの反対方向に捕虜(孕み袋?)の部屋を置くことも分かっているらしい。確かにゴブリンに対してはプロでして、仕事面ではこの辺りでパーティの信頼を勝ち得ていそう。

 読み通り、捕虜のエルフを発見、救出するわけですが、このエルフは後に再登場するみたいですね。エルフは「殺して」と言い、前の女魔法使いのことがありますから自分(エルフ)のことかと思ったら、ゴブリンへの憎悪でしたか。その願い通り、ゴブスレさん一行はゴブリンを全滅させるわけですが、エルフは先に救出されて結果を知らない。

 しかし後の再会でゴブスレさんが「皆殺し」とエルフに報告するらしい。他人に興味がないようでいて、実は気にしてきっちり覚えているわけですな。ゴブリンスレイヤーに興味が持続できるのって、そういう時間差でじわじわとゴブスレさんの人となりを見せてくれる点にもありそうです。

 エルフ救出後は戦いとなるわけですが、今回はゴブリンを率いる大型のオーガがボス。ですが、ゴブスレさんがゴブリン以外に興味も知識もないことが描かれると。このオーガは「魔神将より軍を預かる」とか大事な背後関係を明かしたりしてくれてるんですが、ゴブスレさんは取り合わない。さすがにそれってマズいのでは、という気がします。もうちょっと聞き出しておくべきでしょうし、ゴブスレさん以外の常識あるパーティメンバーも何してるんだか。

 もっとも、決戦直前に妖精弓手さんが同族(エルフ)への仕打ちで静かに激高してます。これを煽ってしまったのがゴブスレさんで、あまりに素っ気ないから。そこはエルフとは反りが合わないはずのドワーフの鉱人道士さんが怒りを同じくしつつ宥めてますな。まあ、みんな怒ってたわけで。もしゴブスレさんが内心では上述の通りにエルフの恨みを理解し気にかけていることを皆に示せれば雰囲気変わったんでしょうけど、まあゴブスレさんだからなあ。

 戦いのほうは「やれる者でやれることをやるだけだ」と言ってのけただけあって、ゴブスレさんの作戦勝ちでしたな。いったんは吹っ飛ばされて窮地ですが、回復アイテムあるし、仲間がオーガに対処して隙を見せないし。名言の1つ「無茶をして勝てるならするがそれで上手くいくなら苦労はしない」の通りですね。止めはおそらくはゴブリンの巣穴を水没させるために改造した「ゲートのスクロール」を応用の水圧カッター。本来は脱出用アイテムらしい。

 どうやら群れる難敵ゴブリン対処を続けるうちに、単独の強敵は倒しやすいとゴブスレさんは学んだ模様ですね。止めの一撃の直前の「お前なぞよりもゴブリンの方がよほど手強い」は強がりではないんでしょう。しかし過信でもあったことは、この後の地下水路の戦いで判明するわけですね。

 いかん、ざっと辿るつもりがそうできない。あちこち面白くてつい長くなってしまいます。いったん切りまして、次からできるだけ簡潔に要点をまとめるよう試みてみます。

Re: 10月のスレッド(2023) - K.K

2023/10/17 (Tue) 21:26:09

 定期感想その2です。

●ゴブリンスレイヤー(第1期)

・第5話:冒険と日常と

 遺跡のゴブリン/オーガ討伐成功で一時ながら平和になったらしく、日常回ですね。状況の波乱がない分、人物描写などに重きが置かれまして、キャラクター理解が進みます。メインは新米戦士・見習聖女で、対比となる圃人斥候も描かれる。

 しかし女神官さんが初級らしく成長著しいときの初々しさがありまして、10位(白磁)から9位(黒曜)に昇給したことをゴブスレさんに報告。誰よりも先に知って欲しいのがゴブスレさんで、神殿とか後回し。

 同じように素直なのが、前にちょろっと登場した新米戦士・見習聖女コンビですね。己が実力を弁え、受付嬢さんのお勧め通りに下水道で討伐ですが、ジャイアントラットに刺さった剣が抜けず、ジャイアントローチの出現を見て、剣を放棄して撤退。

 この後、剣などの装備が安くはないことが新米戦士・見習聖女と他の冒険者の会話などで示されまして、そういう点もゴブスレさんが敵(ゴブリン)から武器を奪う理由なんだと察せられる仕掛けですね。相談に来た新米戦士にもゴブリンから奪えと勧めてまして、相手が(道具を使わない)ラットやローチと分かると棍棒を勧める。安価(ないしは手作り可能)だが使い出はあり、剣より耐久性がある。

 その新人コンビと関わりができるのは他にもいまして、辺境最強の槍使い&魔女ですね。ヤンチャとおっとりの取っ付きにくい感じですが、どうやら意外なほど面倒見がいいらしい。それも相手をよく理解して適切に導いてますね。槍使いは自分の武器で重すぎるとして渡さず、代わって魔女が剣探しに役立つロウソクを授ける。売ってもいいとアドバイスもしてまして、たぶん売れば剣くらい買えるほどの値打ちあるんじゃないかしらん。

 それにしても、この新米戦士・見習聖女コンビって「教わって伸びる人ってこういうタイプなんだろう」と思えます。まず己の為したことについて正直ですね。冒頭の討伐失敗を誤魔化さずに受付嬢に報告してます。失敗だから報酬なしと言われても、かなり臭うと言われても、反感の欠片も見せず素直に聞く。

 槍使いから武器を渡さないと言われても「ケチ」などと言わず、武器ではなく武器捜しのロウソクを魔女から貰えると嬉しそう。謙虚と感謝を知ってますね。同じ境遇の知り合いも剣を失くして借りていると知ると無理を言わない。ゴブスレさんに相談してはと受付嬢さんに言われると、前にひどいこと言ったからと逡巡する。反省もできるわけですね。

 新米戦士は実はカッコいい大きな剣に憬れがあるようですが、無理に追い求めない。そこは見習聖女との関係がいいことも影響してそうですね。ちょっと逸りがちな新米戦士を見習い聖女がうまく気遣いしている感じがあり、新米戦士の素直さはそちらにも発揮されている模様。

 そのお陰で無事に剣を取り戻せてめでたしめでたしですが、そこが際立つのは対極的な圃人斥候が描かれたお陰もありそうです。一応の武功ありということで昇級審査受けるも嘘がバレる(嘘発見魔法なんてあったのか)。先行偵察に出て見付けた宝箱を仲間と山分けせず、独り占めしちゃった。

 そのことは謝罪し弁済を約束するなどすればよかったんでしょうけど、逆の行動に出ちゃったのが問題大きそう。おおむね新米戦士&見習い聖女の正反対ですね。圃人斥候、ついに逆ギレで受付嬢さんに襲い掛かりますが、ゴブスレさんに返り討ちにされる。と思ったら、圃人斥候が見たイメージですか。手練れではあるようですね。

 同時にゴブスレさんの実力も示してますね。それにもしかするとゴブスレさんの圃人斥候に対する最終判定も暗示しているのかも。ウィキペディアを見てみますと、この圃人斥候は再登場し、ゴブスレさんを奇襲しようとするも、返り討ちで死亡するらしい。そこまでいくと、新米戦士&見習い聖女の逆というより、限りなくゴブリンに近い者という感じがします(アニメ2期で描かれるのかなあ)。

 最後に魔神王討伐した「六人の英雄」の1人、「剣の乙女」からゴブスレさんに手紙が届くわけですが、この時点では「剣の乙女」にあんな複雑な事情が潜んでいたとは思いも寄らずです。最初は単に「次のイベント発生か」くらいに思ってました。ラストのサイコロで「神の与える試練か」と気が付くべきだったのかな。

・第6話:水の街の小鬼殺し

 冒頭は勇者一行の討伐シーンでして、あまりにも雰囲気が違うもんで別のアニメと間違えたかと思うほどです(^^;。でも、おそらくはこの世界の表裏ということなんでしょうね。

 それはともかく、ゴブスレさんはお呼ばれのゴブリン退治。仲間には「来るのか来ないのか好きにしろ」。ですが、ここまでストーリー追ってますと、仲間が一緒に行かないわけないのはよく分かります。仲間からいろいろ禁じ手言い渡されたゴブスレさんが素直に従うのもよく分かる(し、後で抜け道突いて来るのも同様 ^^;)。

 その辺りは感想サイトで追っていたときは気づかず、アニメ本編視聴していると実感できます。つまりゴブスレさんの人となりが飲み込めてきたわけで、さらに面白く感じハマり具合が深くなってると、今さらながら気づきもする次第。

 さっそく剣の乙女に面会ですが、至高神の大司教にして金等級2位、魔神王討伐実績と凄い人物ですな。でもゴブスレさんは「で、ゴブリンはどこだ」と物怖じせず単刀直入。剣の乙女も構わず被害状況の説明があるわけですが、後の展開を踏まえますと、この時点で既にゴブスレさんは事態の真相を一部なりとも察していたわけですね。ゴブリンに関わることでゴブスレさんは騙せないらしい。

 地下水路にゴブリンが巣食ってるんだろうということですが、例によって名だたる冒険者には相手にされず、国も動かないということでゴブスレさんですか。二つ返事で地下に赴くわけですが、剣の乙女が女神官さんに「恐ろしくはないのですか」と声をかけたのは、事態の真相の伏線だったのかも。

 そこからは中盤最大の決戦ですね。いつもの血の臭いの偽装を使ってませんが、地下水路だからでしょうか。水が流れて臭いも流されるし、水漏れなのか天井から雨みたいに降って来るし。そこはこの後の勝利を導く灯りでの誘導と関わるところ。臭いに頼れなければ光や音。しかし音は水の音で邪魔されそうですから、残るは光。

 緒戦はゴブスレパーティ優勢ですが、敵ゴブリンは船で反撃してくる。が、間抜けじゃないがバカなわけでして、重い鎧着こんでるせいで船から落とせば水に沈む。海賊とか知らないんでしょうな。かつ、ゴブスレさんの皮鎧選択はこういう事態にも備えていそう(たぶん水に浮く)。

 が、ハプニング発生でして巨大沼竜出現。ゴブリン側援兵かと思ったんですが(よく巨大種控えてたし)、しかし手あたり次第食らってる感じで、ゴブリン水軍も沼竜で壊滅。ゴブリンを沼竜の尻尾のホーリーライトに引き付ける戦術でしたか。冒険者は暗がりで灯りを使うという「一つ覚え」を逆手に取ったわけで、「馬鹿だが間抜けじゃない」を熟知しての作戦勝ち、それもハプニングをも利用ですな。

 しかしゴブスレさん、勝ちに奢らず、むしろ沼竜がゴブリンにも敵であったことなどから事態が単純ではないと推測、仲間にも語って聞かせる。そこは用心深くてよいのですが、敵の脅威が上回っていたことはこの後の激戦で思い知ることになると。

・第7話:死へ進め

 冒頭は入浴シーンでして、女神官さんと剣の乙女。最初はいわゆるサービスシーンと思ったんですが、後のエピソードを踏まえますと意味深なものがありますね。せっかくサッパリする風呂なのに、女神官さんはなぜか第1話の初心者パーティ壊滅を思い出してます。

 そこへ剣の乙女も入って来るわけですが、女神官さんは体の傷跡に気が付く(言われるまで観ていて気が付きませんでした、髪が長くてボリュームあるもんで)。剣の乙女によれば「後ろから頭をガツンって。10年以上も前」のものということですね。目隠しも風呂でもつけてまして、どうやら大司教の装いとかじゃなく、何かあると思えてきます。

 が、魔神王と戦ったんだからいろいろ怪我もあっただろうと、この時点では思ってしまう仕掛けですね。しかしすぐにその勘違いをひっくり返す描写が来まして、女神官さん「あの人(剣の乙女)知ってるんだ、ゴブリンのことを」と独白。情報として中途半端かもしれませんが、珍しく核心について遅効性ではないほのめかし。この点は余程に大事、そこを踏まえて観てねということなんでしょう。

 しかし討伐は続く。前話の沼竜に続き、新たに不審な点が出まして、地下水路(下水道)がある割にジャイアントラットの討伐依頼がない。ただ、この街に慣れた冒険者などだといるはずがないと言うし、前話の討伐でも誰も臭いとか言ってませんでした。自分などは最初、地下水路って上水道なのかと勘違いしてまして、「まあ、鼠がいない場合もあるんじゃない?」とか思ってました。

 異常を察知しつつも再び地下水路突入ですが、いわゆる「炭鉱のカナリア」で備えるわけですね。毒気を警戒してのことですが、ゴブスレ世界のカナリアはリアルと逆らしい。リアルでは常にさえずるカナリアが黙したら危ないとされるけど、ゴブスレ世界では騒ぎ出したら危ないらしい。これは演出的な要請かも。毒を感知するまでずーっとピーチク鳴いてたらうるさくて仕方ないわけで。

 しかし、これにゴブリン側も備えていたらしい。ゴブスレパーティが捕虜を見つけて突入してみると閉じ込められてしまい、そこで毒が噴出。カナリアが騒いでも逃げ場がない。捕虜は既に白骨死体でして、長い髪で誤魔化していただけ。が、この長い髪が後で起死回生になるわけですな。しかし、今は毒対策でして、炭の吸着力を使った簡易防毒マスクでしのぐ。いろいろ備えてますね。

 ただし実際には十分な効果を出せば吸気抵抗が大きく、息するのが大変なはず。だからゴブスレさんは「多少は防ぐ」と言い、薬草の併用も勧めてるんでしょうね。毒気の噴出さえ止まれば濃度は下がるでしょうし(部屋といってもたぶん隙間だらけ)、そうなれば毒消しなど回復アイテムが有効に使える。

 さらに恐るべきは穴を塞ぐ手段まで用意していること。石灰と火山灰のようですからローマン・コンクリートかな。ゴブスレ世界にあってもおかしくないよう、よく考えてある設定と感心します。が、やっぱりそれを用意していることがビックリかな。粘土とかじゃないんだ、ということで。さらにその先も読んでまして、穴を塞げば行き場を失った毒気は敵側に返る。換気する手を使わなかったのはそのためらしい。

 が、依然として多勢に無勢でしかもゴブリンチャンピオンまでいる。戦闘を見た感じではオーガのような攻撃魔法や回復力こそないものの、パワーは上回る感じですね。ゴブリンパーティ側もプロテクションも併用で全力の迎撃ですが、要のゴブスレさんがチャンピオンに吹っ飛ばされまして危機に。オーガの一撃よりずっと重そう。

 これだけの準備を上級者がしていても、やられるときは第1話の初心者パーティと変わらない惨劇に至るようですね。が、第5話ラストで示されたサイコロの目にゴブスレさんが怒るかの如くで復活。最初はゴブスレさんに隠された能力とかあるのかと思いましたが、どうやらそうではなく「ど根性」らしい。

 体力は残ってない。だから死体の長髪を細めで使っての背後からの首絞めで、ここでも「馬鹿だが」の単純さを使う戦法。背後に飛びついての締めですから、チャンピオンとしては後ろに倒れ込んで押しつぶせば楽勝のはずです。でも引っ張られるから逃れようと体を前に倒す。

 ゴブスレさんは単に後ろに体重かけているだけでいい。しかし絞め殺す体力は残ってない。そこで声をかけての目つぶしですね。倒し切れないと踏んで、苦痛と恐怖を与えて去らせる算段。チャンピオンが逃げ去れば、雑兵ゴブリンは動揺する。そこを「次はお前か!」と威圧すれば、チャンピオンを追って逃げ去ってくれる。

 かろうじて生き残った格好ですが、ゴブスレさんと女神官さんは重傷。またもサイコロ描写がありまして、これは神の思惑通りに再び寄ったのか、それともという雰囲気があります。

・第8話:囁きと祈りと詠唱

 冒頭は最初、何してるんだか分かりませんでした。人間の子どもが異種族の老人にいじめられているようでもあるし、命がけの禅問答しているようでもあります。ようやく「前話でゴブスレさんが吹っ飛ばされてから覚醒するまでにしていた声だ」と気付き、調べてみると圃人の「先生」で、姉を失ったゴブスレさんに修行を施した人物でしたか。
(ただし「口プロレス好きで和マンチキン」の人物とのことですが意味が分からず、さらに調べても理解がおぼろげorz。)

 まあ「身体だけでなく心もえぐる修行を克服したゴブスレさん」と理解しておけばいいんでしょう。実は冒頭はゴブスレさんの悪夢(?)でして、実際はベッドの上。前の感想で申しました矛盾が発生してしまう「処女同衾の奇跡:リザレクション」ですね。前話で女神官さんも重傷だと思ったんですが、どうやら意外に軽かったらしく、救命される側ではなくする側ですか。

 最終話との描写の矛盾と申しましたが、このシーンでは一応、ゴブスレさんと女神官さんは面と向かわないようにはしてますね。ゴブスレさんが先に起き、後で女神官さんが目覚めるときにはゴブスレさんは背を向けてるなど。でも、前夜に準備に入った時点で顔は見てるだろうとしか思えません。

 それはともかく女神官さんが目覚める前に剣の乙女が入って来まして、己が過去を語り出す。おおむね、前話で女神官さんが察した通りなんでしょうな。しかし女神官さんが目を覚ましたことで途中でうやむや。さらに残りのパーティメンバーがなだれ込んでくる。

 妖精弓手さんはゴブスレさんを意識する様子があったと思いますが、何か割り切った模様で、わざとらしくですがゴブスレさんに女神官さんを意識するよう仕向けてますね。ヒロインとしては自ら一歩下がった格好ですが、女神官さんを立てるというより、剣の乙女の動きと競合しないような作劇上の工夫なのかも。

 そこからは皆で食事で、またゴブスレさんと女神官さん2人に。剣の乙女の告白半ばで暗い緊張感をパーティのガヤガヤでいったん陽気に持って行ったことで落ち着いた雰囲気になってるようです。雰囲気変化の運びが上手いということなんでしょうな。

 そこからゴブスレさんに褒めてもらった鎖帷子を大事にする女神官さんの様子、からかわれそうになる女神官さんをさりげなく守るゴブスレさん、そこからアイスクリンといい雰囲気出してますね。そのお陰なのか、ゴブスレさんが語る幼いときの様子(奇妙なことを信じ込んで恐れる)も、なんとなく聞く気になります。姉が存命だった頃のことのようですから、生来の奇妙なところがあるということですな。

 それにしてもゴブスレさんが自分語りとは珍しい。妖精弓手さんの働きかけが遅効性で効いてきたかなと思ったところで、槍使い&魔女登場で、頼まれたという小麦粉持ってくる。ゴブリン退治用とのことですが、食事→アイスクリンという流れのせいで粉塵爆発用とは気が付きにくい、演出上の仕掛けですね。

 が、討伐シーンに入りますと、ゴブスレさんが「火は邪魔」と言い出してまして、そろそろ「ああ、もしかして」となる流れ。こういうの、自分的には割と大事だったりしまして、描写で「こうだ」と言われる/見せられるより、自分で「こうかも」と思ったことのほうが受け入れやすく、感動もしやすくなります。

 そこはその直後のシーンでも発生しまして、大目玉のモンスターですね。女神官さんの台詞「名前を呼んではいけない、そういう類の怪物」で、「あ!」と思い、ちょっと笑いました。もっともこちらでのBASTARD感想で伺ってなかったら自力では分からないことで、D&Dのビホルダー版権問題ですね。何か言われるリスクがあっても、ビホルダーを登場させたいし、ぼかしてもビホルダーと分かって欲しい作者は少なくないということでしょうか。

 攻防に長けつつも弱点もある点などもオリジナルを模しているらしい「大目玉」ですが、粉塵爆発の一撃で倒されちゃうのか。これで成功しなかったら単調なヒット&アウェイの繰り返し戦術しかないらしい。そこも版権意識してのことなのかな。ビホルダーを出したい意欲と咎められるのを恐れる気持ちが垣間見えるようです(^^;。

 大目玉を倒し、ゴブリンが使ったらしい大鏡に辿り着いて続く。この鏡が転移の鏡だと次回で分かり、背後に誰かいると示唆するものみたいですね。

 いかん、すみません、簡潔にできませんorz。書き始める前は「こことあそこだけ言及すれば」と思うんですが、いざ書いてみると次々と「あっそうか、これはあれから来るそれだから」とか情報が頭に流れ込んで来る感じでして。

 途中ですがまたもいったん投稿しまして、次で何とか1期最終話まで感想書こうと思います。

Re: 10月のスレッド(2023) - Shiny NOVA

2023/10/18 (Wed) 01:40:08

 思いの外に、ゴブスレにハマって頂いているようで、同じくハマっている自分としては、嬉しくなってます。

 こちらは、原作6巻を昨日、再読しまして、アニメが割愛した部分と、次回予告で自分が思い違いをしていた部分を発見しましたので、そこを紹介&3話放送前に訂正しておきたいと思います。

★アニメ1話

 ゴブスレさんのパーティーが「ゴブリン討伐」で忙しかったシーン。
 アニメではボロボロになった一行が、帰ってきたところを描写していましたが、原作小説では第一章で、実際にゴブリン討伐しているシーンを描写しています。
 転移の巻き物による水攻めを描写していて、妖精弓手がキャーキャー悲鳴を上げて、後から文句を言うシーンとセット。

妖精弓手「水は禁止って言ったじゃない!?」
ゴブスレ「今回は10ヶ所を回らないといけないからな。こんなところで時間をかけている場合じゃない」

 なお、水中呼吸の指輪は、こういうのを想定して、持ち歩いているそうで。

 で、5人パーティーになったから、報酬は5等分しないといけなくなったが、その分、10件を同時に受注すれば、1件を受注していた時の倍のペースで稼げる。
 1人だと、1日1件しか回れなかったが、5人だと10件回れるようになった。仲間ができたことで制約も大きくなったが、それ以上に得たものが大きいそうで、ゴブスレさんが「仲間への責任とありがたさを痛感するシーン」です。

 一方、その直後に、少年魔術師と受付嬢の会話シーンがあって、単独でゴブリン退治に行きたいという彼に、受付嬢は「ちょうどゴブリン退治の仕事は全部受諾されてしまいました」と断り、
 あと、「1人でゴブリン退治は危険なので、パーティーを組めば?」という提案に、「オレの眼鏡にかなう冒険者なんていねえ」と生意気を言う彼。

 他に笑ったのが、

少年魔術師「オレはゴブリンを退治したいんだ!」
ゴブスレ「パーティーは?」
受付嬢「いないみたいです」
ゴブスレ「バカげている」
受付嬢(あなたがそれを言いますか?)と苦笑して、内心ツッコミの心情が、小説では明示。

 そして、牧場主とのやり取りですが、

牧場主「この子に何かあったら、責任はとれるのか?」

 アニメの場面では、てっきり少年魔術師のことを心配している親切な伯父さんの印象でしたが、
 原作では「この子=姪の牛飼娘」で、要するに「見ず知らずの年頃の少年を泊めて、可愛い姪御にちょっかいを掛けられたら、どうするんだ?」というのが彼の本音。少年魔術師のことを信用せずに、警戒しているのですな。
 まあ、登録したての冒険者など、そこらの無頼漢と変わらないと思ってますからね。本音では泊めたくない。

 で、ゴブスレさんが「寝ずの番をします」と言ったことで、いろいろと複雑な気持ち。
 この辺は、心情描写の明示できる小説の方が、描きやすい部分かな、と。

★アニメ2話

 割愛されたのは、ゴブスレ一行よりも先に陵墓のダンジョンに入って、帰って来なかったパーティーの冒険。

 アニメでは、一人生き残った女侍祭(アコライト)の救出のみでしたが、原作では彼女と他の4人の仲間が、いかに探索し、そして崩壊したかのエピソードが詳細に描かれていて、
 簡単に言うなら、正面にトロールが出現して、前衛の注意がそこに引き付けられている間に、背後からゴブリンたちが奇襲を仕掛けてきて、後衛の魔術師が殺され、そこから瓦解するパーティーって流れ。

 魔術師の護衛をするように忍びが待機していたのですが、トロール相手に前衛2人じゃキツいってことで、トロールの背後に回り込んで、奇襲攻撃を仕掛けた瞬間に、冒険者側も奇襲攻撃を受けた形。

 そういう部分(ゴブスレ一行には関係ない背景描写)をアニメで削ったのは納得です。

 あと、一人生き残った女侍祭が、大工道具の鋸で指を切断されて、という拷問描写は、アニメではまだマイルドな描かれ方かな、と(人体欠損描写はなし)。

★3話予告

 以下は、自分の記憶違いの修復です。

>ゴブスレさんのゴブリン退治講義

 6巻ではありませんでした。後の巻との記憶が混ざっていたようです。

 それと、訓練所ですが、6巻ではまだ建物が完成してなくて、屋外での武器訓練の場所(学校でいう運動場)だけが仕上がっていて、重戦士や槍使いなどのベテラン冒険者が新人たちに稽古を付けてやってる場面が描かれておりました。
 総じて、ギルドの冒険者全体の交流回みたいな感じです。

 で、ゴブスレさんは「投石紐(スリング)」の扱いを、受付嬢に頼まれて新人さんたちにレクチャーしています。
 後衛のプリーストが前衛支援をできるよう、最も投擲の得意な彼が見込まれたんですね。

 その経緯が、収穫祭のときに射的の屋台で、ゴブスレさんが投げ上手の技を披露していた流れがあって……というのが原作ですが、収穫祭イベントが後回しになったアニメでは、その辺の経緯が飛ばされそう。

 で、少年魔術師を気にかけるゴブスレさんが、自分じゃ彼の指導はできないから、と判断して、鉱人道士に魔法の指導を頼む経緯があったりするのですが、

 他にも女神官が「私の知ってる魔法使いさんの言葉」を少年魔術師に伝えるんですね。
 「将来はドラゴン退治をしたい」って、女魔術師のセリフなんですが、
 それが亡き姉の言葉だと知らない少年は「そんな夢みたいな話。無理だよ」とバカにしようとする。
 だけど、女神官は「夢なんだから、夢みたいな話でいいんです」と微笑んで応じる。

 ゴブリンに殺されたことで踏みにじられた夢であっても、夢の価値が減るものじゃないって話に流れる。

 あとはゴブスレさん絡みで、重戦士と槍使いの男3人の飲み会のシーンがあって、3人3様の夢を語ったり、良いシーンだったのを読み直して思い出しました。

・重戦士:将来は王になりたいと思っていたけど、自分には学が足りないから無理だ。バカが王になると、民に迷惑をかける。
 で、ゴブスレさんが「勉強すればいいだろう? 地頭は悪くなさそうだから」と言うと、「勉強に時間を割くと、今のパーティーに迷惑をかける。夢のために今の現実を捨てることはできない」と苦笑い。

・槍使い:強くなって、女にモテて、世の中の役に立って、感謝されたい。
 重戦士「お前、モテてるのか?」
 槍使い「モテてるんだよ!」
 ゴブスレ「そうは見えん」
 槍使い「うっせえ! それより、ゴブリンスレイヤー、お前のガキの頃の夢は、どうなんだ?」
 ゴブスレ「……そうだな……俺は、冒険者になりたかった」
 槍使い「なってんじゃねえか、もう」
 ゴブスレ「いや、難しい。簡単にはいかん」

 ということで、それぞれの夢語りが、3話のテーマになるんじゃないか、と思います。
 ただ、アニメだと、動きのある訓練の風景とかも描かれるわけですし、何を採用して、何を割愛されるかが気になるところ。

 もしかすると、男3人の飲み会シーンは、別の回に回されるかもしれません。
 これとは別に、短編集の4巻の一エピソードで、男3人の戦士で、塔の上の邪悪な魔法使いを退治しに行く話があって、男戦士3人の珍道中が結構、面白くて好きだったり。
 今期の中盤に採用されて欲しいなあ。

>少年魔術師と圃人剣士

 次回に交流エピソードがあるはず。
 で、圃人の彼女の旅に、彼が付いて行くのだと思い込んでいたら、逆だった。将来はゴブリンスレイヤーではなく、ドラゴンスレイヤーになってゴブスレを越えてやる、と宣言して一人旅に出ることになった彼に、圃人剣士の少女が「魔法使いの一人旅は危険だから」と付いて行くことになった流れ。

 後の巻の再登場した際の印象混じりで語ると、意外と最初はそうではなかった、ということもあって、改めて読み直しての再発見が楽しめたりも。

 次に、K.Kさんへのレスをば。

>口プロレス好きの和マンチキン

 どちらもTRPG用語ですね。意味は逆なんですが、結局は「俺ツエー」を表現するスタイル。

 口プロレスは、ルールシステムを使わずに、言葉だけで理屈立てて、自分が勝ったことにする手法。

GM「敵はザコだから簡単に倒せるよ(3ラウンドぐらい殴れば戦闘終了かな)」
プレイヤー「簡単に倒せるザコか。じゃあ、サイコロを振る必要もないな。ドカバキグシャ。はい、勝った。次行こ、次」
GM「おい。せめてサイコロを振って戦えよ」
プレイヤー「いや、ザコ戦で時間を割くよりも、ボス戦を楽しみたいんだ、こっちは」

 他には、

GM「はい、落とし穴に落ちて10点ダメージです」
プレイヤー「いや、落ちる前に、背負い袋を下に落として、中に入ってる着替えとか敷き布をクッション代わりにする。これでダメージが減るはずだ」
GM「仕方ないな。ダメージを2点減らしていいよ」
プレイヤー「さらに、壁を蹴って、三角蹴りの要領で、少しでも落下スピードを和らげる。もう2点減るよな」
GM「いや、いくら何でも、そんな器用なことはできないだろう?」
プレイヤー「できるんだな、それが」
GM「それほど言うなら仕方ない。サイコロを振って器用度以下を出せば、できるということで」

 こんな感じで、少しでも自分が有利に立つように、ゲームマスターにあれこれ要求を押しつけるプレイスタイルを、口プロレスまたは口相撲と言います。
 まあ、素直にダメージ10点を受けずに、GMに勢いで説得して(しばしば押しつけるように)自分有利を追求する、悪く言えば屁理屈屋。

 一方、和マンチキンは、ルールをしっかり読み込んで、ルールの穴を突く形で、自分が有利に立ち回ることに情念を燃やすプレイスタイル。
 あるいはゲームマスターの裁定を逆に利用して、自分が強くなることを追求したりもします。

 例えば、宝箱に毒針が仕掛けられていたら、その毒針を回収して、何か仕掛けを考えることも平気でします。
 よく、ゴブスレさんが、「強い武器を装備して、それがゴブリンに奪われたら大変だ」って言ってますが、これはどちらかと言えば、GMがプレイヤーに対して、時々思うことですね。

 大体、毒持ちのモンスターを出すと、しばしば毒を回収して、自分たちが使おうとするケースがあったり。

>ビホルダーと粉塵爆発

 基本的に、ビホルダーには魔法が通じないのが常識なんですね。だから、BASTARDに出て来るのは、ビホルダーに似て異なる鈴木何ちゃら(笑)。

 で、ビホルダーを倒せるのは、物理で殴ることなんですけど、昔のD&Dって魔法のダメージに比べて、物理攻撃ではダメージがあまり伸びなかった。
 例えば、そこそこ強い戦士の剣が5〜12(平均8.5点)のダメージを出す一方で、魔法使いのファイヤーボールは覚えたばかりでも6〜36(平均21点)のダメージを複数に与えられて、火力は明らかに魔法の方が上だったのが昔のD&Dでした。

 そんな中に「魔法の通用しないビホルダー」が出て来ると、こいつはどうやって倒せばいいのか、とマンチキンはあれこれ考えます。
 剣に毒を塗ろうとか、魔法が使えなくても、油に火を付けて、燃やせばいいんじゃないかとか、そういう奇策セコ技をいろいろ考えて、ゴブスレの粉塵爆発に、「そうか、その手があったか」と手を叩いて喜ぶオールドゲーマーがそれなりにいた、とか。

 なお、昨今のD&Dは、戦士の与えるダメージが自前で結構増やせますので、昔ほどビホルダー退治に苦労しなくなったと思います。
 いや、実プレイをしていないから、机上の空論なんですけど。

 また、コンピューターゲームのとあるビホルダーは、正面にしか魔法消去空間が発動しないので、うまくサイドに回り込んで、攻撃呪文を当てて、敵がこちらを振り返ると、通路を逃げて正面から対峙しないようにしながら、3Dダンジョンを走り回って、ヒット&ランを繰り返していたような記憶があります。

 あと、敵を倒すと一部の敵は肉とか食料に変わる。で、そんな食料を投げて、ぶつけても敵にダメージを与えられるので、武器ではなく、肉をひたすら投げながら相手を倒すと、その相手も肉に変わるという攻略方法を楽しんでいました(笑)。
 接近戦だと、相手の反撃を受けるので、遠くから肉とか投げている方が安全に戦えるという、こういうのもマンチキンになるのかな。

 ええと、ゲームの名前はダンジョンマスターとか、アイ・オブ・ビホルダーとか言って、90年代に流行ってました。

PS.マンチキンさんが大好きなのが、今だとカードゲームのコンボですね。こういう組み合わせだと、相手を完封できるとか、対戦格闘ゲームだとハメ技に近い。自分が絶対に勝てる状態の構築ってのが、マンチキンの至上命題なわけで。
 一方の口プロレスは、ルールのしっかりしているゲームだと成立しませんから、コンピューターゲームじゃ発生しませんが、オンラインゲームの交渉場面だと、情やノリに訴えて自分が得をする、あるいは論破されにくい屁理屈なんかがそれに該当する?
 まあ、多少、概念を広げ過ぎているかも。あくまで自分解釈も混じってるってことで。

Re: 10月のスレッド(2023) - K.K

2023/10/18 (Wed) 22:26:59

 定期感想その3です。

 グダグダと無駄に長くゴブスレ1期の感想を書いてるもんですから、もしや「現在進行中のものを先に」とか言われるかもと思っておりました。が、なんとかご容赦頂ける範囲だったようでほっとしております。

 それどころか、ちょっと分かりかねた点のご解説まで頂きまして、恐縮であり感謝です。特に「口プロレス好きの和マンチキン」ですね。TRPGでのプレイ傾向などのざっとした解説はネットで目にはしたんですが、具体的ではない。GMとの会話例を示して頂いて、ようやく見えて来る感じがあります。

 ゴブスレ2期放映分のご教示については、この後に第2話感想で活かそうと思いますが、「伯父さん/牧場主」についてだけは先に。「この子に何かあったら」の「この子」は牛飼娘さんを指してたんですか。少年魔術師を気遣っていると感動したもんですから、真相を知るとガッカリしそうなんですが、どうもそうではない。

 なんでだろうと考えてみると「姪っ子(牛飼娘さん)を心配してのことなら、それはそれで納得」みたいになってるようです。そこは、もし自分が1期を感想サイトだけで理解してたら起きない感覚だったはずです。今だから申しますが「面倒臭そうなヒロイン」みたいに思ってた部分がありますんで(^^;。

 1期を実際に視聴して牛飼娘さんに感情移入が発生し(特に第11話でのゴブスレさんとのやり取り)、確かに正ヒロインと思えたからこその、2期1話の「この子」の勘違いを正してもガッカリせずに納得かなと思います。

●ゴブリンスレイヤー(第1期)

・第9話:往きて、還りし

 前話で大目玉を倒して辿り着いた大鏡ですが、こちらを映すことなくどこか不明の景色が見え、ゴブリン集団が何かしている。船もあり、どうも道具を使って何か作っているようにも見えますね。奪って使うだけから進歩しているとなると脅威です。

 ゴブスレさん一行も当然危惧しまして、背後にゴブリンではない黒幕がいると睨んでますな。ゴブリン集落で技術を教え、大鏡(ゲート/転移の鏡)で地下水路とのルートを作り、大目玉を護衛につけ、ゴブリンに何かさせようとしている。それが何かは後半の謎解き(?)パートで分かる仕掛け。

 しかし今はゴブリン討伐。なにせ船を沈め、一時撤退に追い込んだとはいえ、ゴブリンチャンピオンも配下のゴブリンも健在。大鏡がゲートであるなら、物資を補充して援兵も呼んだ可能性もあります。派手な粉塵爆発でこちらの再侵攻はもう敵に知られている。

 対するゴブスレパーティですが、不安材料あり。特にエルフの妖精弓手さんですね。弓を引くための大事な右手が震えています。連戦の疲れかと思ったんですが、この後の戦いぶりを見るにそうでもないらしい。となると、前戦のピンチから来る不安~恐怖か(妖精弓手さん自身のみのこととは限らず、仲間の身も案じてのことかも)。

 ゴブスレさんも最初は戸惑いがあった模様ですが、「先生」の禅問答を思い出し「俺のポケットには何がある?」と自問自答して何か得たらしい。不安そうな女神官に「安心しろ。問題にもならない」といつもの調子なのは、気休めではなく何か策が成ったからでしょう。自軍戦力の確認をしてますが、ポイントを絞って指示を出してるようです。

 鏡の間奪還のため攻め寄せる敵勢はチャンピオンを核とする数と力押しですね。もう毒の仕掛けとかはないらしい(鏡の間は大目玉に任せきりだったんでしょうな)。ゴブスレ側ミッションは大鏡奪取(か破壊)、できればゴブリン殲滅も。

 状況は進退の難しい閉鎖空間での戦いで、前戦と酷似。今回は大鏡奪取がありますんで、さらに不利か。と思ったんですが、大鏡が勝利の鍵だったとは。途中までは大鏡を外すために蜥蜴僧侶さん、さらに女神官さんを戦力から割かねばならない不利があったんですが、外れてしまいさえすれば盾になるわけか。

 鉱人道士さんの石弾/ストーンブラストを敵勢頭上から降らせるぞと見せておいて、女神官さんの聖光/ホーリーライトで目くらましし、石弾を天井へ撃って崩落させ、瓦礫で押しつぶして壊滅。ゴブスレパーティは大鏡で難を逃れる。これが単なる盾なら押しつぶされるんでしょうけど、ゲートだから通過してくれるのがミソですね。もしかすると、その先のゴブリン集落にいくばくかのダメージ与えたかしらん(鉱人道士さんは「向こうの奴らが可哀そうだのう」と察してますね)。

 地上に大穴開きまして、無茶だ旨ゴブスレさんは言われてしまうわけですが「町の下なら下でまた別の手を考えた」と。街はずれと分かっていての戦術、となると地下水路地図で(地上との対応を)把握してたんでしょうな。そこを含めての最初の「俺のポケット」だったわけか。

 しかし変なこだわりは見せまして、妖精弓手さんに「火も水も毒も爆発もなしだぞ」と追加分含めて約束守ったことを念押し。これは自慢したのかな? 妖精弓手さんの返答は足蹴りで穴へ突き落とすもの。このやり取り、もしかしてゴブスレさんが戦い前の妖精弓手さんの手の震えに気が付いていたからかも。それでゴブスレさんまず声をかけたのが妖精弓手さん(他のメンバーへは声をかけられての返答)。

 ただし、ゴブリン退治で培った先読みが災いしてか、相手(妖精弓手さん)の応答も先読みしたせいで、変な問答になっちゃったみたい。普通ならまず「大丈夫か?」でしょう。しかし大丈夫じゃなくても妖精弓手さんなら「大丈夫」と言うはず(女神官さんだと愚痴るかもですが、既に「ビックリしました」の台詞で妖精弓手さんを驚かすほどの余裕ぶり)。

 そこで直前の戦いを思い出しても大丈夫か探りを入れるわけですが、妖精弓手さん相手ですから約束した内容通りだと具体性を持たせて問いかけ、様子を見ようとしたんじゃないかしらん。そこを妖精弓手さんも察して、普通なら背中をポンと叩いて何か言うところなんでしょうけど、リアクション大きくして足蹴り。もっとも、それはゴブスレさんの想定外だったのか、後で愚痴めいた返しをするわけですね。

 妖精弓手さんの足蹴りはいろいろ想像できて笑えるところであるんですが、次の謎解きパートで剣の乙女の重い告白との落差を作ってますな。もっとも、ゴブスレさんが剣の乙女に「全部知っていたのだろう?」と単刀直入の後、「知り得る立場にある者には全員聞くつもり」と言ったのはちょっと笑っちゃったんですが。

 もちろん、その台詞単独では可笑しくもないんですけど、ジョジョ「ダイヤモンドは砕けない」の億泰思い出しまして。船員そっくりに化けた敵と船員本人を見るや、偽物のほうを迷わず殴り倒す。「どうして分かった!」と問われると、「どっちも殴り倒すつもりだったんだよ、俺バカだから」と。

 そういや、ゴブスレさんも決して知力に秀でてるわけではないんでしたっけ。しかし、積み重ねた経験と修行は嘘をつかない。ゴブリンに関わることならトリックや誤魔化しは利かないわけですね。まず、女を殺して腹を裂いて放り出すなんてゴブリンはやらない。殺すつもりだとしてもまず捕らえる。

 地下水路には、普通はいてもおかしくないジャイアントラット(やジャイアントローチなど)がいない。ラットらを排除する何者かがいる。地下水路の地図が古く不正確なままなのは、その何者かは外部や新参の者ではないから。地下水路には沼竜/アリゲイタなる巨大種がいて、ゴブリンのみに攻撃的であった。

 しかし沼竜/アリゲイタにさほどの知性は感じられない。となると操る者がいる。となれば、女性殺害をゴブリンの仕業と言い立てる理由があり、沼竜/アリゲイタを操る術を持つ者。ということで、ゴブスレさんは真っ先に剣の乙女に問いただしたようですね。確かではないが黒幕の可能性が最も高いということで。

 これで剣の乙女はあっさり告白。ドンピシャで詰め寄られては剣の乙女といえど、これ以上誤魔化せないと観念するでしょうし、同時に誰かに聞いて欲しかったという気持ちも強かったためみたいですね。女神官さんが察し、ゴブスレさんが既に半ば聞いた話が「やはりゴブリンか」というものでしたんで。目もそのとき焼かれて半ば視力を失ったため(逃亡防止?)、サングラス代わりの目隠しであるらしい。

 剣の乙女はゴブリンが地下水路に入り込んだ理由も分かってまして、自身も加わって討伐した魔神王の残党の仕業ということですね。未だ敵討ち狙ってるようですが、剣の乙女が未だゴブリンを恐れることを知ってのことかな。沼竜/アリゲイタはラットなどは駆除できても水路からあまり離れられない。多少ゴブリンを狩れたとしても、大鏡の向こうのゴブリン集落はどうしようもない。

 魔神王に抗した剣の乙女といえど、ゴブリン見てすくむんではどうしようもないわけですね。しかも、地下にゴブリンがいると思うと常に恐怖がある。しかし名だたる冒険者はゴブリン討伐などしてくれず、国も軍などを動かすわけもない。魔神王残党による被害をゴブリンの仕業と言い立てても誰も動かないが、しかしゴブスレさんなら、ということでしたか。

 剣の乙女は原作小説では入浴などで体温上昇すると傷跡が見える設定で、コミック版では沼竜/アリゲイタと感覚共有しているためとなっているとのこと。そのためゴブリンが沼竜を傷つけると、剣の乙女にも傷が浮かび上がると。原作小説でも感覚は共有とのこと。原作小説やコミック版のほうが直接的には今回の剣の乙女の行動を納得しやすい感じです。ゴブリンに傷つけられる感覚を強制的に受けさせ続けられるわけですんで。

 一方、アニメ版では感覚共有には触れないため、剣の乙女の悩みの深さを感じられる運びになっている気がします。また、原作小説では街の冒険者が剣の乙女の依頼に応じて地下水路のゴブリン討伐に向かうも全滅、というくだりがあるとのこと。全滅の原因は平和ボケとのことで、これはこれで剣の乙女に自責の念が生じるかも。己が使徒が守護しているために冒険者が油断した面があるでしょうから。

 どうも自分は剣の乙女に興味を強く持ってしまってるんですが、それはゴブスレさんとの会話シーンの最後で剣の乙女の態度(というより内面かな)の激変が感じられるからなんですね。問い詰められた剣の乙女が真相を告白している時点までは、ちょっと言い過ぎかもしれませんが「邪悪」な印象。苦しみから逃れるためというのは理解できますが、助けを求めるというよりはゴブスレさんを利用しようとする気配を感じます。

 おそらく女神官さんが最初の討伐で自身はぎりぎりゴブリンから逃れたものの、他のパーティの面々、特に女武闘家が目の前で何をされ、その後どうなったかを知っているんでしょうね。そこで剣の乙女自身も同じような目に遭ったと匂わしておく。

 浮かび上がる傷跡を見せるために場所は風呂、かつ女神官さんが気づくまで待つ。問われると「10年前に後ろからガツン」とだけ言い、後は察するはずとの計算。まんまとその通りになりました。前に申したことですが、他人から「こうだ」と説明されるより、自分で「こういうことのはず」と思ったほうが印象が強く、深くなります。

 といっても女神官さんを取り込んでも仕方ないわけで、「将を射んと欲すれば、まず馬を射よ」ですね。ターゲットはゴブスレさん。ゴブスレさんに近い女神官さんに同情させておけば、ゴブスレさんを篭絡するのがやりやすいという計算でしょう。

 その直前には「処女同衾の奇跡:リザレクション」ですね。このときから既に「馬」が女神官さんと見抜いていたらしい(妖精弓手さんも見た女神官さんの狼狽で分かったのかも ^^;)。なので、女神官さんが目覚める前に剣の乙女はいったんベッドから離れておく(「馬」を「将」に意識させるため)。しかしゴブスレさんが目を覚ます頃合いに再度入室し、同情を買う話をする。そこから男女の愛情に持っていければ、剣の乙女のプランは成る。

 これ、例えば槍使いさんなら一発で落ちてるでしょうな(魔女さんが阻止しない限り)。でもゴブスレさんなわけで。それでも剣の乙女、最後に詰め寄られたときにはせめて同情を買おう、利で誘おうと試みてますが、いずれも効果なし。そこでようやく剣の乙女が変わり始めるのが、自分的に「おや?」と注目したところです。

 剣の乙女はゴブスレさんを(少なくとも性急に)取り込むのを諦め、質問し始めてます。ゴブスレさんをよく理解せずに動かそうとした愚を自覚したんでしょうね。「小鬼を退治して何か変わりました?」は軽いジャブなんでしょうけど、ゴブスレさんの答は重い右ストレートパンチといったところ。「俺(ゴブスレさん)はそれ(姉の最期)を見ていた。最初から最後まで」→「だからお前(剣の乙女)の気持ちは分からない」ですもんね。

 ゴブスレさんの話は辻褄合ってないんですが(「だから」がつながってなく、まるで「先生」との禅問答)、それだけに取りつく島がなく、突如として壁に突き当たったかのようです。助けないと言明さえする。嘘は罰しないが苦しみから助けてもやらん、という無関心でしょうか。しかし、木枯し紋次郎のようなゴブスレさんがそれだけなはずはなく。

 絶望した剣の乙女が言葉を失いますと、ゴブスレさん「だがゴブリンが出たなら俺を呼べ。ゴブリンは俺が殺してやる」。これは響く言葉ですが、まだ核心を突いてはいない。だから剣の乙女は尋ねるわけですね、「夢の中でも?」と。

 説明するのは野暮ですが、夢は気持ちや心といったところですね。そこに巣食うゴブリンこそが剣の乙女の苦痛。言い換えれば、剣の乙女は己が悲惨な記憶と戦っていたわけで。記憶と戦っているのは、おそらくゴブスレさんも同じでしょうね。

 それゆえ「夢の中」という、一見は無茶振りにも「ああ」と二つ返事なんでしょう。その返事自体が救いになりますし、野暮な具体化をすれば「ゴブリンを思い出したら、ゴブスレさんを思い出せ」となりましょうか。これで希望が見えたからこその、剣の乙女さんの初めての落涙でしょうか。10年ぶりにホッとしたんでしょうね。

 かくして外も内も剣の乙女さんは救われる。そうなってようやく憑き物は落ち、苦痛から逃れるための駆け引きも止み、シンプルに「お慕い申し上げております」と言えるようになったようです。もっとも、ゴブスレさんはさっさと去っちゃってますが、まだいたら言えなかったかも。

 何とか解決しまして、帰りは馬車でワイワイガヤガヤですか。前話で女神官さんが提案してゴブスレさんが言下に却下の兜の羽飾り、こっそり付けられててちょっと笑います。女神官さんがようやく「鉄兜(を被っているから云々)」と言い、自分はここでようやく劇中での鉄兜設定の言及に気が付きました。もっと前にあったかもしれませんが気づけてない。

 ゴブスレさんも緩んでまして、帰ったら牛乳の氷菓子作ると言い出してますな。むっつりしていても実は気に入ってたのか、アイスクリン。そういや、製法は詳しく聞き出してましたな。さらに妖精弓手さんにわざわざ食うかどうか尋ねておいて、「失敗しても蹴るなよ」とちくちく仕返し。まあ大丈夫そうですね、妖精弓手さん。剣の乙女との対面シーンは感動的ながら緊張するものでしたんで、こうして雰囲気和らげて終えてくれるのは助かります。

 この第9話の感想、長くもなりましたが、書いてみるとどっと疲れた感じ。相当に集中しただけでなく、第6話からのあれこれがボンと爆発するかのような印象を受けたせいです。考えてみるとそれもそのはずで、ここは原作第2巻と伺ってますから。本来は第1巻で積み上げたキャラクターの印象で、第2巻を楽しむはず。

 そこをシャッフルで飛ばしての水の街編で、しかも唐突な登場と言動とも思える剣の乙女に違和感がありません。上述の通り、自然に強く感動しちゃったわけで。シャッフル処理の上手さにより、単行本半分くらいの分量の情報が飛び込んで来る感じなんでしょうね。ですんで、その情報処理を一気にやると疲れもするのは当然だったかも。

 今回で最終回まで感想言うつもりがたどり着けずです。明日以降に最後までの感想を書きあげようと思います。

Re: 10月のスレッド(2023) - K.K

2023/10/20 (Fri) 14:13:37

 定期感想その4です。

 今晩はゴブスレ2期第3話があるわけでして、ついに追いつかれたような気がして少々焦っております(^^;。

●ゴブリンスレイヤー(第1期)

・第10話:まどろみの中で

 ゴブリンの脅威は小休止で、おおむね平和な回ですね。ただし冒頭はちょっと不安な感じで、ラストは具体的な脅威の兆しが描かれまして、安心感はあまりない。

 冒頭はゴブスレさんの語りに被せて、勇者パーティの魔神王討伐が描かれる。勇者はもとより、冒険者にもなれなかったと自覚するゴブスレさんと、自他とも認める勇者の対比でしょうか。しかし動機というか根っこは同じと感じる部分もありますね。

 ゴブスレさんは幼少時「姉を置いて行きさえすれば」冒険者になれると思っていたわけですが、置いて行くことができなくなった。だから冒険者になれなくなったと思ってるんでしょう。それで復讐者になった、といったところか。

 牛飼娘さんや姉の回想では、ゴブスレさんとて子供の頃は普通に子供らしかったことが分かりますね。伯父さんの牧場経由で街に行く牛飼娘さんに不機嫌になって揉めるゴブスレさん。姉は「羨ましかったのね」と解したようですが、どうも一緒に行けないのがゴブスレさんとしては嫌だったように見えます。

 つまり、子供の頃に既に牛飼娘さんに惹かれるものがある(とゴブスレさんはおぼろげながら自覚している)。一時的にいないだけでもモヤモヤするような、ですね。姉に対してはもっと強いんでしょうけど、いなくなるとは考えもしないから、不安や不満が生じない。姉の最後のシチューの味を覚えていないのは、また食べられると安心しきってたからじゃなかろうか。

 しかしもう姉はいなくて、今は牛飼娘さんだけがいる。伯父さんの話によれば、冒頭に描かれた勇者のシーンはゴブスレさんが思い浮かべたイメージではなく、この世界の現実みたいですね。魔神王は討伐された。自分はちょっと勘違いしてまして、前話の剣の乙女さんの話から魔神王打倒済みだと思ってました。勇者に討伐された「黒幕」が魔神王を指すと勘違いしてしまいまして。魔神王の手先だったようです。

 ともかくも一段と平和になったのは間違いない。が、ゴブスレさんの見るところではゴブリンに関しては変わってないらしいですね。そうは言っても、ゴブスレさんが珍しく鎧も兜も脱いでます。修理が必要だったことは分かりますが、代わりの防具なしですから、やっぱり一時でも平和ではあるんでしょう。

 ギルドではちょっと面白いニアミスありまして、素顔のゴブスレさんと槍使いさんが遭遇して会話するも、槍使いさんは相手が誰だか気づかず。受付嬢さんは声で『あれ?』という様子あり。魔女さんは明らかに気が付いてまして、「(ゴブリンの)依頼はないわよ」と。これちょっと余計なお世話になってしまいまして、ゴブスレさんがそれならと帰っちゃったもんで、受付嬢さんは素顔のゴブスレさんと対面できず。かわいそ(^^;。

 そこからゴブスレさんは武器屋で装備一式受け取りまして、いつもの姿。こっちでしかゴブスレさんと認識されないんですから、徹底して武装したままなのが分かりますね。ここでは武器屋の「老爺」が「ゴブリン相手に伝説の魔剣を嬉々として振り回す奴はただの『マンチキン』よ」と言ってまして、こちらで伺った「和マンチキン」のご解説が役立ちました。和ではなく洋(原典)のほうみたいですね。

 外では重戦士&女騎士が新人に稽古つけてまして、この2人も面倒見よさそうですね。新米戦士・見習聖女もたゆまず頑張ってる。この様子は微笑ましいながら、魔神王が倒れても平和とはいえないことも示してますか。

 1期本編では分からず、ウィキペディアで知ったんですが、女騎士は重戦士に片思いらしい。同様に魔女さんは槍使いさんに。しかしこの世界では恋愛に障害多いようで気の毒です。ゴブスレさんに踏み込めない面々もいますが、ちょっと別の理由かも(^^;。

 その一角の女神官さんが武装のゴブスレさんとギルドで再会ですが、「声を掛けてくれればいいのに」→「特に用はない」と無神経でガッカリさせる。が、「肩の具合はどうだ?」と気にかけて、女神官さんの顔がパッと明るく。無自覚の女たらしめ(^^;。

 が、女神官さんもうかつでして、ゴブスレさん見てパッと顔が明るくなって駆け寄って来た受付嬢さんの目の前で「危うく死んでしまうところ」と言ってしまい、受付嬢さんをパニックに。が、ゴブスレさんはそこまで心配される理由に気付きそうもない。鈍感野郎め(^^;。しかし受付嬢さんの「治療」の一言で女神官さんはリザレクション思い出して赤面。これもニアミスでして、受付嬢さんが知ったらどうなるか、ちょと怖いかも(^^;。
(同時に「女神官さんがゴブスレさんの素顔知らない問題」も思い出したりする。)

 そこから牛飼娘さん、ゴブスレパーティの面々もやって来て、受付嬢さんも加わっての飯ですね。ゴブスレさん、一緒に飯食うほどの仲間がずいぶん増えたなあ。2期では次の第3話で出て来るはずの、こちらで伺った訓練場の話もここで受付嬢さんから出てますね。冒険者引退後の仕事という面もあるとのこと。

 飯は一緒に食ったゴブスレさんですが、大勢の夜の酒盛りには加わらず。この辺り、距離感を表してる感じです。このときゴブスレさんが誰と一緒かといえば牛飼娘さんなわけですね。この辺りから牛飼娘さんのヒロイン性が急に浮上してくる感じで、それが第11話ではっきり出て来るようです。

 牛飼娘さん、昼の訓練場の話を聞いて、ゴブスレさんの行く末について思うところが出て来たらしい。もっとも「先のこと」と切り出したのはゴブスレさん。ただしゴブスレさんの考える「先」のスパンは短そうで、せいぜい思うようにゴブリン討伐できる間でしょうか。

 一方、牛飼娘さんの考える「先」はゴブスレさんが老いて衰え、安らかに世を去るまででしょうね(たぶん、ぼんやりと添い遂げるイメージがあるんだろう)。ただし、そこまで行けるかどうかは不安もある。

 ゴブスレさんにとって牛飼娘さんが特別らしいことも匂わされまして、引っ張られるままに膝へ倒れこんじゃうところですね。無警戒・無防備のされるがまま。「何をする」とは言わず、「油で汚れるぞ」と心配する。これに近いのは、水の街から帰る馬車で、兜に羽を飾った女神官さんでしょうか。ゴブスレさん、起きていたみたいですから。しかし距離感は圧倒的に違いますな。

 冒頭がちょっと不穏でしたが、今話は平和に締めくくるかと思ったら、そうは問屋が卸さないのがこの物語でして、ゴブスレさんが大量の足跡を発見で続く。

・第10.5話:冒険記録用紙

 ネット再放映では割愛されてました。10話までの総集編とはいえ残念無念。特にこちらで牛飼娘さん視点と伺ってますので。上述の通り、自分は牛飼娘さんに注目し始めているタイミングでして、次の第11話も踏まえますと、観られないのは実に惜しい。

・第11話:冒険者の饗宴

 第10話ラストで大量の足跡を見つけたゴブスレさん、真っ直ぐ牧場に向かい、牛飼娘さんに単刀直入に一言「逃げろ」。これは相談ではないんでしょうね。たぶん頼み、あるいは願いでしょう。しかし簡潔に核心すぎて伝わらず、ちょっと問答になり、それが進むにつれ状況が絶望的なのが明らかになる。

 もっとも、それで慌ててしまったのが観ている自分でして、ゴブスレさんの台詞「100を超す群れが」を、群れの数が100以上と勘違いしまして。「群れ1つに平均20体いるとすれば総勢2千」とか思ってしまいました。どうやら攻め寄せる総勢が100以上だと気づいたのは、後のギルドのやり取り辺りです。

 しかし、そういう勘違いがしたことで牛飼娘さんが光るように思えましたんで、損はなかったかも(^^;。牛飼い娘さん、不可避の結果に怯えつつも「私は逃げない」とキッパリ。理由は「残る気なんだもん 君(ゴブスレさん)が」であり、「君(ゴブスレさん)が帰って来られるところ」のため。カッコいいですねえ、照れ隠しなのか「家畜とか牛とか羊とか」と無駄に言い訳するところも含めて。

 それにしても今回はゴブスレさんが珍しく粘りました。いつもは「そうか」だけですもんね。その理由は第10話の姉の言葉「女の子は守ってあげなくちゃ」にあるらしい。姉が亡くなってしまい、もう訂正の利かない教えになってるんでしょうね。かつ、「女の子=牛飼娘さん」ただ1人でもあるらしい。女神官さんや妖精弓手さんなら危険な討伐を共にするわけで、この後のギルドでは受付嬢さんに逃げろとは言わないですから。

 牧場を出ようとするゴブスレさん、伯父さんと遭遇。たぶん伯父さん、家に入ろうとして牛飼娘さん/姪っ子の声に気付き、全て聞いて外で待つことにしたんでしょうな。そこはゴブスレさんも気づいているはず。でないと、2人の会話が成り立たない。

 伯父さんの言いたいのは「(牛飼娘さんを)泣かせるな」ですが、ツッコむとすれば「もう泣いてる」でしょうか。しかし、真意は「死ぬな」でしょうな。ゴブスレさんが死ぬと、牛飼娘さんは一生泣き続けるぞ、と。しかしこの時点では勝算なきゴブスレさんは「努力します」としか言えず、そこを察した伯父さん「そういうところが嫌いなんだ」と何やらツンデレ(^^;。

 なかなかカッコいいやり取りでありますが、この時点での2人の牛飼娘さんに対する思惑は不明。伯父さんは牛飼娘さんを引っ張ってでも避難させないのか。ゴブスレさんは伯父さんが牛飼娘さんを逃がすと期待しているのか。それとも情勢が確かに絶望的と判明するまでは様子見の待ちなのか。この後、ゴブスレさん側の事態が予想外の好転で快勝となったため、その辺りははっきりせず、今もちょっとモヤモヤします。

 ただ、伯父さんの言葉があったお陰で、牛飼娘さんが我が身よりゴブスレさんが大事なことだけは分かります。「君(ゴブスレさん)が帰って来られるところ」と言った意味もより深く理解できます。生き残れたとしてもゴブリンから「心が死ぬ」ような仕打ちを受けるより、ゴブスレさんを失う絶望のほうが強烈なわけですね。剣の乙女さんのときと同様、牛飼娘さんが何を恐れているかを感じると感動が深くなります。

 伯父さんと別れたゴブスレさんはギルドで協力を依頼する。ゴブリンの群れとだけ聞いて皆は侮りますが、ロードがいるから100匹以上と聞くとざわめき、恐れる風あり。ゴブスレさん、牛飼い娘さんに言ったことの繰り返しで、洞窟ならともかく開けた場所では手が足りないと、珍しく頭を下げて頼む。

 序盤では洞窟(や遺跡)が危なく、やむを得ないときのみ踏み込むとゴブスレさんは言っていたはずで、この最終盤での「洞窟の中ならともかく」というのはちょっと矛盾しそうではあります。が、単純には「点では線を止められない」ということでしょうし、数理化した理論ではランチェスターの法則に基づくともいえそうです。

 ランチェスターの法則では平野部の戦闘では2乗則ですね。双方の兵数をそれぞれ2乗して引き算してルートを取る。ゴブリン100体だとして、迎撃側が14人で全滅するまで戦って、ようやくゴブリン1体仕留められる。割に合いません。聞くところによると軍隊は2割損耗で統率を失うとのことで、迎撃側60人全滅でようやくゴブリン20体。仮に迎撃側1人がゴブリン10体相当の強さとしても、6人パーティ全滅が必要。

 一方、洞窟だとすると隘路の衝突となり、ランチェスターの法則では1乗則。単純な引き算となります。ゴブスレさんの「洞窟の中なら」の自信の一端はそこなんでしょうね。通常戦闘なら並みのゴブリンを遥かに上回る上、トラップなどの戦術面でも優位ですから、まず2割(20体)損耗させるくらいの自信はあるんでしょう。それでボス格を引きずり出して潰せば、というのは地下水路での戦いでも実証済み。

 しかし平野部に侵攻してくる、統率に秀でたロード麾下のゴブリン100体。牛飼娘さんやゴブスレさんは実見して脅威度が分かっているし、そこまで正確には知らずともギルドの冒険者の面々もおおよそは察する。恐れる風だったり、他人任せにしたくなるのも仕方ない。

 が、ここでヒーローが立ち上がる。槍使いさんですな。いつの間にかバディになってたみたいな雰囲気です。心意気に感ず、じゃないのがむしろカッコいい。依頼を出せ、ですね。これは、もしかすると受付嬢さん(たぶん、この時点ではオロオロしてそう)に聞かせる狙いもあったのかも。深読みできない妖精弓手さんはムカッと来てますが、ゴブスレさんの思い切りが上回ってた。

 なにせ「俺(ゴブスレさん)の持つもの全てが報酬」ですもんね。「能力、時間」もですから、奴隷になってもよいくらいの申し出。ただし「命」も差し出すが、命じられても死なないよと相変わらず分かりにくい(^^;。しかし伯父さんの真意をしっかり受け止めていることが分かる言葉でもありまして、「俺(ゴブスレさん)が死ぬと泣くかもしれん者がいる」からと。

 槍使いさんも『しょうがない奴だなあ』という感じで、おそらくはゴブスレさんの機先を制して申し出るつもりだった「後で1杯奢れ」で引き受ける。さすがに雰囲気変わり始めまして、ゴブスレパーティの面々も参戦表明でさらにいいムードへ。妖精弓手さんが先に飛び出していたら、ぶち壊しだったかも。蜥蜴僧侶さんらが引き留めてくれたのはナイス判断でした。

 槍使いさんが行くなら魔女さんも行くということで6人。しかし魔女さんは7人めと思ってるようで、女神官さん参戦確定と踏んでるんでしょうな。ここで受付嬢さんからギルドとして依頼、ゴブリン1体につき金貨1枚。おそらくは槍使いさんの最初の言を聞いてすぐ、上司の「支部長」に頼み込んだんでしょう。

(魔女さんの台詞でちょっと分からないものがありまして「インフラマラエ」。点火の呪文らしいんですが、なぜ唱えたんだか。一説にはタバコに火をつけて一服して喋るはずが、先に煙をふーっと吹き出してしまう進行ミスだとか。でもせっかくの燃えるシーンなので「みんなの気持ちに火が付いた」という意味と解しておこうかと思います。)

 この金貨1枚というの、第10話での酒飲み勝負に女騎士が金貨3枚賭け、重戦士が豪気と評していることから、およその価値が察せられます。巣穴からさまよい出て来たくらいの少数のゴブリン相手だと破格の褒賞かもしれませんが、ロードに率いられた、街を滅ぼすレベルの集団相手では割に合わないといったところかと。

 しかし重戦士は即座に応じる。女騎士によれば故郷をゴブリンから救ってくれたのがゴブスレさんということがあるかららしい。重戦士が行くんなら女騎士も行く。稽古つけてもらった新人も続々ついて行く。流れが完全に変わりまして、このギルドの冒険者総出撃。ここはこの物語にしては珍しく燃える展開です。

 かくして迎撃戦開始ですが、ロード率いるゴブリン軍が「肉の盾」を使い、機動のライダー隊なども投入するも、全て迎撃側が対応しての速戦即決のほぼ完勝。あっけないほどですが、後でゴブスレさんの入念な作戦指示あってのことと描かれる。野戦でもゴブリンの出方は手に取るように読めるみたいですね。そうだからこそ、冒頭では(単独~自パーティでは)勝てないと観念していたんでしょう。

 ゴブリン軍はチャンピオン2体主軸のボブゴブリン隊も押し出して来ますが、これは時間稼ぎの殿軍だったらしい。開けた場所で槍も大剣も自在に使え、銀等級の使い手がいるため全く力負けしないですもんね。ロードは既に負けたとみて逃げ出すも、ゴブリンを熟知するゴブスレさんが逃がすはずもなし。

・第12話:ある冒険者の結末

 平野部の戦いはゴブリンチャンピオンが暴れているとはいえ、もう掃討戦といったところ。味方側に犠牲は出るものの、負ける気配はなし。問題は森へ逃げ込んだゴブリンロードですね。ゴブリンにしては珍しくよどみなくしゃべっているようですが、思考内容を表すための演出らしい。後で女神官に命乞いするときはたどたどしかったですから。

 ロードは想定外の惨敗に混乱しつつも、巣穴に戻ればすぐに数を増やして再起できると考えており、第1話を思い起こすものがありますね。増えるのが早いし、(渡りの)特殊・上位ゴブリンを討ち漏らせば厄介。そこはゴブスレさんが心得てないはずがなく、逃走ルート上で待ち構えてた。

 主力が出撃して守備が薄い巣穴を先に潰して来たようで、そこへロードが逃げ帰るとすればこのルートと踏んでのことなんでしょうな。しかし、その疲れがあるのか、チャンピオンより戦闘力が低そうなロード相手に苦戦。と思ったんですが、剣を刺して折り、地に伏すのは戦術だったかも。後で打ち合わせ済みと判明する、女神官さんの聖壁/プロテクション挟み撃ち攻撃が続きますから。これで圧し潰しつつ、刀身もさらに刺さる。

 勝てないと踏んだロード、涙を流して「ごめんなさい」で同情を買おうとしますが、もはや第1話で子ゴブリン殺しに躊躇いを覚えた女神官さんではない。アニメ本編では描かれてないですが、ゴブリンを見逃すとどうなるか、数多と見て来たようですね。ロードを真っ直ぐにらみつけたまま、決して手を緩めない。

 ゴブスレさんも立ち上がって「俺はゴブリンスレイヤーだ」と言い放ち、喉笛をかき切って止め。女神官さん、ゴブスレさんが危ない戦法を取ると見て、プロテクションの枚数減らしてヒールに備えてたんですか。ロードの力が上回ればプロテクションを追加するつもりだったんでしょうな。応用を利かせられるようになったのは成長ですが、以前は躊躇いを見せた奇跡の攻撃目的使用を今は迷わないのは、いい方向なのかどうか判断が難しいところです(調べてみると、いずれ地母神に叱られる使い方するらしい)。

 ちょっと前後の状況が不明なのが牧場の伯父さんと牛飼娘さんです。伯父さんは外の戦闘の様子を遠目で眺めているようで、視線からすると2階かな。周囲も見渡せるけれと、いざとなったら逃げられない位置です。牛飼娘さんは鳥籠持ってまして、カナリアですね。2人とも落ち着いた感じで、前話で見せた不安感はないようです。

 この時点でゴブスレさんは既に必勝の策を立てるはずですから、牛飼娘さんにもその連絡は行ってるのかも。必ず勝てるものの、味方側は範囲効果の麻痺を使い、敵もガス系を使わないとも限りませんから、それらが行きにくい高さの2階で、念のためカナリアで警戒しておけ、といった感じで。

 ゴブスレさんが牧場に帰ってきますと、家にはもう1人いますね。第5話で出て来た少女巫術師でしょうか。剣をラットに取られた新米戦士が相談したものの、自分もスラッグに短剣溶かされたとぼやいた少年斥候の相棒ですね。

 もしかしてゴブスレさん、牧場が最も安全になるよう、防衛・迎撃プランを立てたのかしらん。牛飼娘さんがゴブスレさんが帰る場所だと言ったんで、場所的に最優先にしたのかも。それで戦闘向きではない少女巫術師もそこに退避とか。

 もっとも、真逆かもしれません。人の多い街を避けて戦いやすい開けた場所が牧場なんで、主力を誘い込んで殲滅するプランだったかもしれない。だから味方側主力も戦闘直後は牧場にいるし、後衛向き(で非力そうな)の少女巫術師は(万一の場合は野戦病院ともなる)屋内退避だったのかも。

 いずれにしても必勝の策あってのことでしょうな。などと考えてますと、突如としてシーンは勇者に移りまして、魔神王と別系統の脅威らしい邪教団に対処しているらしい。が、お祭りに気を取られていて、話が自然とゴブスレさんのことに。世界を救う勇者と村々を救うゴブスレさんという役割分担をはっきり意識しているみたいですね。

 そのゴブスレさんは前は避けた宴に参加。まあ自ら助けを請うた戦いの祝勝ですしね。女神官さんがゴブスレさんに素顔を見せてとねだる問題の(?)シーンがあるわけですが、その前に牛飼娘がゴブスレさんに言ったことがちょっと気になります。

 疲れてゴブスレさんに寄りかかって居眠りの女神官さんを見つつ、ゴブスレさんに「女の子なんだからあんまり無理させちゃダメだよ」。自分はゴブスレさんの認識が「女の子=牛飼娘さん」のみではないかという気がしており、かつ牛飼娘さんのゴブスレさんへの影響力が多大という気もします(いずれも第11話からですが)。

 その牛飼娘さんが釘を刺したわけですから、もしかしてゴブスレさんの認識が「(守るべき)女の子={牛飼娘さん, 女神官さん}」に変わったんではないかと。1期はこの第12話で完ですんでその辺りは分かりませんが、2期でゴブスレさんの女神官さんへの態度はちょっと気にしておきたくなります。

 この会話でもう1つ、前話でゴブスレさんが言った「先のこと」が出て来る点が興味深い。牛飼娘さんは冒険者引退後のことまで考えているのに対し、ゴブスレさんは「俺は多分、冒険者になりたいのだと思う」。復讐者であって未だ冒険者でないと自覚する点は深いですが、見ている先のスパンはやっぱり短いですね。

 これを「そっか、なれるよ」とすっと受け止めた牛飼娘さんは、ヒロインというより母ちゃん的かな。以前はもしかするとそういうところも「めんどくさい」と感じた気がしますが、今となっては好感度高いですね。
(ゴブスレさんが冒険者ではないことを察しているのは妖精弓手さんもですが、やっていることが冒険とはいえないという外面的なことに留まるようです。)

 しかし女神官さんは目が覚め、牛飼娘さんは(妙に気を利かせて ^^;)席を外し、金貨1枚から話が膨らむ点にちょっと注目しました。女神官さんに問われるままにゴブスレさんは答えつつ、「俺は変なのらしいからな」から自分(ゴブスレさん)について語ってます。牛飼娘さんの「(女神官さんも)女の子なんだから」も作用してるのかも。

 もっとも「ゴブスレさんが助けを求めて応じてもらえるのは、運か好意か」だけですけども。ゴブスレさんは運だというも、女神官さんは繰り返し好意だと言う。ゴブスレさん「そうか」としか言わないものの、だんだん折れて来る感じ。兜を脱いでみると皆が集まってきたこともあってか、最後は「そうだといいな」でちょっと口元ほころんでます。

 ゴブスレさんが牛飼娘さんに言った「冒険者になりたい」は(妖精弓手さんも察するように)八割がた外面的なことでしょう。「そう(好意を持たれる)だといいな」は逆に八割がたが内面かと思います(好意を持たれてみると嬉しかった、みたいな)。女神官さんの言葉がゴブスレさんの理ではなく情に刺さったわけで、これに比肩できるのは牛飼娘さんくらいかなと思います。

 自分的には問題の素顔晒しシーン時系列ですが、一応は女神官さんが「あの時は目をつむってましたから、恥ずかしくて」と言ってはいます。が、やっぱり納得できないかなあ。第8話の妖精弓手さんの証言では、女神官さんが「ゴブリンスレイヤーさんって泣き出して大変だった」とのこと。それほど心配し治癒担当でもありますから、兜脱がせて表情や顔色を確かめないとは考えにくい。

 そうは思っても、この素顔晒しシーンに女神官さんの反応含めて感動なのは、上述の2人のやり取りからくみ取れる気持ちの通じ合いが表現されているからかなと思います。そこが際立つように、以前に知らずにゴブスレさんの素顔を見たはずの槍使いさんは「どっかで見たような」くらいしか思い出せてないと、いい対比があるのも巧い具合です。

 女神官さんが繰り返し言った「運じゃない」はED後にナレーションでフォローされてまして、ゴブスレさんは「決して神々にサイコロを振らせようとはしません」と言ってます。だから「冒険者の結末は神々だって分からない」とも言っていて、これは第10話でゴブスレさんのみならず牛飼娘さんも考えていたことに通じる気がします(その時点での牛飼娘さんの結論も、誰にも分からないというもの)。

 全編通じて観てみまして、実に面白いです。無料視聴がある間に、最低でももう一周しておきたい。ですが、2期もしっかり追わねば。今晩の第3話のためには、まず第2話の感想をしっかりやっておかないと。ですが、ちょっと休憩しないと無理そうかもですので、いったんここで切ります。

Re: 10月のスレッド(2023) - Shiny NOVA

2023/10/21 (Sat) 00:31:01

 ゴブスレ1期感想おつかれさまでした。

 今夜の放送を楽しみにしつつ、ガッチャード他は、来週に2話分まとめてでもいいかなあ、なんて思ったり。
 ちょうど、ライダーは前編後編回だったし。

 感想について、いくつかコメントを。

>魔神王が倒された時期

 原作小説は1巻ですが、アニメだと、6話の頭ですね。

 10話の描写は、魔神王討伐後の都での祝祭パレード。そこに時間差がある、という形。

 もちろん、アニメは1巻のクライマックス前に、2巻が挟まって来るために、勇者の魔神王討伐→2巻→都での祝祭という段取りになっていた、と。
 ここで2巻を抜くと、上手くつながる。

 あと、魔神王を倒した後は、魔神王をまた復活させようと企む邪教団が勇者の敵みたいですね(2巻)。

 その後、3巻でゴブスレさんと遭遇した後、異世界で百手巨人(ヘカトンケイレス)と戦う一方、ゴブスレさんは百手巨人を召喚しようとしてる闇人=ダークエルフ(ゴブリンを配下に従えている)と戦うクライマックス。
 つまり、世界は違っても、ゴブスレさんと勇者が間接的に同じ相手と戦う形です。

 で、その後、勇者はしばらく異世界巡りを続けて、6巻でようやく帰って来た形ですが、アニメでは3巻と6巻の順番が変わると、勇者の動きがどうなるのか気になる部分です。

 本来なら、3巻で異世界に旅立ち、6巻で帰還という順番なのに。
 まあ、勇者の6巻での帰還を割愛すれば問題ないか。

>ゴブスレの素顔

 1巻クライマックスより先に2巻が挿入されたので、先に女神官がゴブスレさんの素顔を見ているのでは? 問題ですね。

 これについては、「夜だから部屋も暗くて、はっきり見えなかった」「瀕死のゴブスレの世話をしたのは主に剣の乙女で、兜や鎧を脱がせたのも、おそらく彼女」「女神官も重傷だったので、剣の乙女の癒しの呪文を受けた際は、おそらく意識も朦朧としてた」などですね。

 もちろん、リザレクションに必要なのは、処女という設定なのですが、剣の乙女はゴブリンのせいで「術は習得していても、彼女一人では使えないという肉体状態」なので、女神官の同衾が必要不可欠だった、と。
 女神官自身はリザレクションが使えないので、その場に寝ているだけだったとも思いますし、もしかすると、彼女を脱がせたのも、剣の乙女なのかもしれない。あくまで治療のために。

 いずれにせよ、女神官は翌朝、起きた際に、自分が裸であることも驚いていたようですし、そういうセッティングは全て剣の乙女が手配していたのだと考えると、
 夜の暗がりの中で、ゴブスレ氏の顔をはっきりとは見ていないとも考えられます。

 でも、アニメでは「以前にはっきり見ていないからコこそ、改めて素顔を見たくなった」と解釈できますな。

 あと、受付嬢はゴブスレさんの素顔を知ってます。
 初めて冒険者登録した際は、まだ兜をかぶっていませんでしたから。
 武器屋の親父と同程度には知っている、と。

>牧場の伯父さんと、少年魔術師

 6巻では、「この子」と言いながら、牛飼娘に視線を向けているんですが、2期アニメの1話を見返すと、そういう演出がされていないので(目線はゴブスレと少年魔術師に向けられたまま)、アニメの絵面や会話のトーンからは分からないですね。

 もしかすると、アニメのコンテ段階から、この子=牛飼娘とは伝わっていないのかもしれない。

 とりあえず、原作小説→コミカライズ→アニメ演出という段取りみたいなので、間のコミックがどう描写されているか次第ですが、原作とは違う意図でアニメーターも演出した可能性はある、と思います。

 なお、原作では少年魔術師が本当に世間知らずのお坊ちゃんで、わらのベッドで寝ることに抵抗を示したり(ずっと学園の寮の高級なベッドで優雅な暮らしをしていたらしい)、冒険者としては体力不足でそこから鍛え直さないと、と言われたり、
 都会の学園出の魔法使いは、書物の知識でゴブリンは弱いという勉強はしていても(これは姉も同じ)、実戦で魔法の効率的な使い方を会得していなかったり、
 そこをいろいろと指摘されて、井の中の蛙だったことを認識する流れですな。

 あと、姉も弟も高慢だったから、学園でも孤立しがちだったと推察されますし、少年の方は学園の教師に対しても「口うるさいだけで、大したことない」とバカにしている反抗期丸出し。
 で、原作では鉱人道士にげんこつ交じりの指導を受けて、やっと素直に人の教えを聞く構えができるほど。
 ある意味、しつけの段階から始まるわけですな。さて、今夜のアニメはどうなるか。

>金貨1枚の価値

 これはTRPGの世界観(原作者監修あり)ですが、冒険者にとっての基本貨幣は銀貨なんですね。銀貨10枚で金貨1枚、銀貨100枚で大金貨1枚というレートになっていて、
 ポーション1本が銀貨10枚。2期アニメ1話では、ポーション3本に仲間が硬貨3枚を払っていましたから、金貨1枚の価値がポーション1本で問題ない演出でしたね。

 あと、ゴブリン1体を倒して得られるお金は、銀貨1、2枚とゲーム内のデータで設定されていますので、金貨1枚だと、5〜10倍のボーナスということになります。

 また、白磁等級の冒険者がギルドの依頼でもらえる報酬の相場が、1人銀貨10枚。つまり、金貨1枚は初心者の冒険1回分ですね。

 で、ルールブックに載ってる最初の冒険シナリオは、ゴブリンが大体10体前後なので、普通は仲間といっしょにゴブリンを10匹倒して、金貨1枚ってところを、1匹倒して1枚とはボーナスタイムだと納得。

 なお、武器の値段は棍棒が銀貨6枚で、ブロードソードが銀貨30枚。
 ゲームの初期状態では、銀貨100枚で買い物することになっていますので、ゴブスレ世界の冒険者は割と貧乏生活が長く続く感じ。

 あと、銀等級の冒険者の仕事の相場は、銀貨180枚ですが、ゴブリン退治は多く見積もっても銀貨20枚が相場みたいですな。
 なお、1個の洞窟で、ゴブリンが20とか30もいると、初心者じゃクリア困難なのが普通で、ゲーム経験者だと、そんな洞窟を1日で10個も回るゴブスレパーティーの奮戦ぶりに呆れるかなあ、と。

 一般的な冒険者の感想としては、「ゴブリン退治ばかり、よくも飽きずに続けていられるな」ってのが見事に正論ですし。

 では、今夜はこれぐらいで。
 

Re: 10月のスレッド(2023) - Shiny NOVA

2023/10/21 (Sat) 12:17:28

 定例感想……と言っていいのかな。ゴブスレは短期集中で一気に挙げているので、これは定例ではない、と思ったりも(苦笑)。

 まあ、アニメIIの3話感想を先に。

★ゴブスレII(3話)

 先日、予告的に書いた部分が全てアニメで描かれていて、むしろネタバレし過ぎた、と思ってます。

 つまり、小説で自分がいいなあ、と思った箇所、ポイントだと感じた部分が、アニメの制作スタッフも割愛せずに描写してくれたことで、感じ入っているわけで、
 よくぞ、こちらの見たいものを汲みとってくれたなあ、と放送を見ながら、思った次第。

 それだけに「感想はもう書いてしまっている」状態ですが、アニメが割愛した要素に触れておきます。

●剣の乙女と令嬢剣士

 間章にして、5巻の後日譚になります。
 令嬢剣士がゴブスレ一行に救われたのは、剣の乙女が依頼してくれたからで、そのことへの感謝を述べつつ、令嬢剣士がゴブリン聖騎士から受けた邪神の呪いを解呪しているシーンです。

 剣の乙女の力をもってしても、一発解呪とはならず、令嬢剣士は定期的に剣の乙女のところへ通っているみたいですね。
 重傷を負った人が病院に通院しているようなものか。

 そして、令嬢剣士が提供した資金が、ゴブスレたちのいる辺境の町の訓練場の建設に用立てられていることの確認。
 訓練場の設置は、原作1巻の頃から伏線的に言われていたのだけど、6巻になるまでは資金不足で計画が具体的には進んでいなかった。
 だけど、令嬢剣士の協力で、ようやく軌道に乗ったという背景ですね。

 なお、冒険者ギルドの設定ですが、10年前のダイカタナの時代には、そんなものはありませんでした。
 その時は世界観がウィザードリィなので、深い迷宮のある街の酒場に、志や野心を持った冒険者たちが自然発生的に集まり、延々と迷宮探索を続けていた、と。
 で、その中の一人が現国王であり、他の一人が剣の乙女です。そして、現国王は王子の肩書きを隠して一介の冒険者として探索を続けていたのですが、父親の先代国王が魔王の手下の吸血鬼に殺されてしまったとの話を聞いて、そちらを成敗しないといけなくなって、迷宮探索はダイカタナの主人公パーティー(剣の乙女含む)に託して、自らは吸血鬼討伐と国王としてできること(地上の魔王軍への対処)に専念した、と。

 国王曰く、自分が魔王を倒したかったんだが、立場上、それができなかったわけで、でも自分が冒険者だった経験から、「公の役所としての冒険者ギルドの設置」を全国展開した、と。
 つまり、ゴブスレ世界の冒険者ギルドは「国営の職業斡旋所」なんですね。で、5年経ったイヤーワンの時代には、冒険者の資格が公式に認められるようになっている、と。

 国王は、軍隊ではできない雑多な仕事は冒険者ギルドに外注的に任せるという姿勢をとっています。
 最低限の運営費だけは国家予算から払っていますが、施設の拡充などは、別のパトロンが必要になるとか、ですね。

 また、話を剣の乙女に戻すと、令嬢剣士に対して、ゴブスレのことをどう思うか、と尋ねています。いわゆる、恋の鞘当てになりますか。
 そして、「ゴブリンから命を救ってもらった恩人で、感謝している。恋愛感情は持っていない。むしろ、女神官や妖精弓手に対する友情の方が大事」という言質を引き出したことで、ホッと胸を撫で下ろしたり。

 剣の乙女の恋心については、ゴブリンのせいで心が壊れてしまって以来、そういう感情を持てずにいたのが、遅まきながらゴブスレさんが自分のトラウマを払ってくれたことで、壊れた心が修復されたために、恋愛感情がぶり返して、こじらせている状態です。
 なお、ダイカタナの侍主人公が、剣の乙女のおそらく感謝と初恋の対象なのだと思いますが、彼は女戦士と引っ付きましたので(今はどこにいるのか不明)、その面影をゴブスレさんに投影している可能性もあります。
 2期のオープニングで、赤目の侍の映像がゴブスレさんに切り替わる演出が(まるで転生したかのようにも見えるけど、本来は無関係なはず)魔王退治の英雄と、そうではないゴブスレさんの対比にもなって、アニメ独自の解釈が面白いな、と。

●鉱人道士の呪文講義

 アニメでは要点だけ、ちらっと描写されていましたが、「ゴブリンスレイヤーが彼に少年の指導を依頼する場面」が割愛されていました。

 少年の使う術は真言呪文で、いわゆる古代語魔術。
 鉱人道士の使う術は精霊術で、系統が違うんですね。

 あと女神官の使う奇跡も、神さまの種類によって呪文が違う。「いと慈悲深き地母神よ」で始まるのが彼女の呪文で、同じ呪文でも剣の乙女が信奉する至高神だと、祈りの言葉が違う。
 TRPGですと、5つ設定されてある基本神(戦女神、地母神、至高神、交易神、知識神)のそれぞれで、呪文ごとに詠唱の文句が設定されていて、原作者がこの辺りの設定を非常に凝っているのが分かります。
 TRPGのルールブックそのものが、作者が執筆の参考にできるワールドガイドになるように仕上げたそうで、相当に細かい。

 あとは蜥蜴僧侶の使う祖竜術があって、ゲーム用に設定された呪文の数が、

・真言:50種
・神の奇跡:30種
・祖竜術:20種
・精霊術:26種

 あって(基本ルール)、小説やアニメで使われているのは、その一部ですね。

 で、少年魔術師の火球呪文ですが、
 カリブンクルス(火石)・クレスクント(膨張)・ヤクタ(投射)の3つの真言から成る呪文です。

 なお、令嬢剣士の使う稲妻は、
 トニトルス(雷電)・オリエンス(発生)・ヤクタ(投射)の組み合わせで、
 呪文言語の設定も一通り行われていますね。

 で、この3つの言語要素を解析して、応用すれば、「お前の持ってる呪文は、火球だけじゃない。もっと頭を柔らかくしろ」というのが鉱人道士のアドバイスなんですな。

 で、少年魔術師が次回、クレスクント・クレスクント・クレスクントと即興で呪文を紡ぎ、ゴブリンの群れに対処する伏線になってます。
 学園では教わっていない呪文の使い方(基本ルールブックにも載ってない)をすることで、少年の冒険者としての資質が目覚める流れ。

 なお、魔女さんの使うインフラマラエは、別の呪文の構成要素になっています。
 火矢(ファイアボルト)が、サジタ(矢)・インフラマラエ(点火)・ラディウス(射出)なんですが、単体攻撃だとこちらが有効。

 また、インフラマラエは武器に火炎を付与するエンチャント・ファイアにも使えて、
 アルマ(武器)・インフラマラエ(点火)・オッフェーロ(付与)ですな。

 この辺の呪文言語の解析が、面白くもあるのですが(適度にラテン語とかを混ぜている)、
 魔女さんは、真言の一部だけを切りとって使って(消耗を抑えて)、日常的に使ってる。
 そんな使い方をしたら、教授に怒られる……なんて少年魔術師は言っていますが、
 魔法使いの仕事は、「呪文を唱えることではなくて、使うこと」と鉱人道士が謎かけのように言うわけですな。

 まあ、知っている呪文をただ唱えるだけでなく、使い方を吟味して、どう使うかなどの応用力を広げて考えることになるのかな。

 数学の公式に当てはめるだけでなく、公式を変形したり、複数の公式を組み合わせて、新しく使える形にすることを研鑽するとか。
 たぶん、学園の教師が少年魔術師に教えて来なかった実践形式の作法を考えさせる流れですな。

 後は、やはり体力ですな。
 少年魔術師はおそらく、教師に「ゴブリンを倒せる強力な呪文を教えてくれ」と言って、呪文言語の応用的使用法などに到達する前に、とにかく強力な呪文だけを身につけて、勉強半ばに飛び出してきた。
 で、この世界で、優秀な魔術師は初期状態で呪文が1日2回使える。

 ルール的には、サイコロ2個振って、2〜6なら0回(呪文の才能なし)、7〜9なら1回(呪文使いの標準)、10〜11なら2回(優秀)、12なら3回(天才)となって、
 最初から2回使える女神官や、最初の冒険の女魔術師は優秀な類。そして、1回しか使えない少年は凡才ということになるわけですが、「ゴブリンの群れはファイアボール一発で吹っ飛ぶから、大したことない」と学園で習ったんでしょうな。

 でも、その群れをうまくファイアボールの効果範囲に集めるようなやり方は教えてもらっていないし、戦士との連携が必要なんてことも知らない。まあ、魔法使いの学園で、戦士との連携を学ぶ機会は、学生レベルではなさそうだし。
 あくまで魔法の言語的解析とか研究者としての作法を中心に教育されてきたのでしょうから。

●ゴブスレさんと妖精弓手の2人プレイ

 アニメではセリフだけで割愛されていましたが、2人でゴブリン退治しているシーンが原作では描かれていて、

 鉱人道士には少年魔術師への指導を、蜥蜴僧侶には女神官のアシストを任せて、手空きが2人だけという状況設定です。
 ゴブスレさんがゴブリン退治をするのはいつものことなんですが、妖精弓手は「お金を無駄遣いして、ちょうど簡単な仕事を探していた」という状況。

ゴブスレ「矢に限らず、資源(リソース)の管理は重要だぞ」
妖精弓手「だから、お金って嫌いよ。使うとなくなるもの」
ゴブスレ「そうか」
妖精弓手「生えて来ないし」
ゴブスレ「そうだろう」
妖精弓手「納得いかないわ」
ゴブスレ「そうか」

 妖精の森では自然に生えてくるものを活かした自給自足の文化だったもので、妖精弓手さんはお金の使い方が荒いという設定が4巻(短編集)で描かれて、割と自堕落なところがあります。
 女神官さんに対しては、しっかり者のお姉さんぶっているように見せていますが、故郷の森では一番年下の道楽娘みたいに思われていて、彼女もまた姉持ちの末っ子。
 で、その姉が故郷の森の王子の婚約者という設定が7巻で描かれて、原作6巻は彼女の背景の伏線にもなっていたのですが、アニメではバッサリと省略されてしまいましたね。

 あと、妖精弓手さんの使っている矢は、エルフの魔法で生成されていて、種を地面に埋めると生えて来ます。店で買っているわけでなく、自前の魔術みたいな技術で作っているという設定。
 だから、矢は生えて来るけど、お金は生えて来ないという愚痴になるわけで。

 で、妖精弓手と2人でゴブリン退治をしている中で、ゴブリンがまたおかしな動きをしていることを察するシーンになるわけですな。
 そこから6巻のクライマックスへの流れです。

★4話の予告と、その後の予想(希望)

 前回の予告は、ネタバレ要素が予想以上に多かったと思うので、少し反省。
 いや、自分が書いた(割愛されているかもしれない)お気に入りシーンがしっかり、ほぼ全て採用されていたおかげで嬉しかった反面、ネタバレし過ぎた形になってしまったので。

 そこで今回は、原作6巻の残りの章題だけ挙げておきます。

5章「町外れの訓練場」に続いて
6章「各々の戦い」
間章「行って帰ってきた勇者の話」
7章「そして冒険へ」

 次回は6巻のクライマックスバトルなので、アニメのサブタイトルは「各々の戦い」かな、と思っていたら、後日譚の「そして冒険へ」を採用されたので、
 6巻の最後(少年魔術師の旅立ちと、相変わらずゴブリン退治のゴブスレさんの日常)を描いて幕ですな。

 一応、この巻の終わりは、ゴブスレさんが「自分は夢を果たせず、義務=使命的なゴブリン退治を続けるしかないけど、それで人々の生活を守れて、若者たちの夢を応援できるなら、そういう人生も悪くないかもしれん」と、自分の過去を振り切りながら、現実を追認する心境の変化に到達する流れですね。

 なお、ゴブスレさん自身は、後にゴブリン退治のついでに、ドラゴン退治を果たすエピソードがあるわけですが(隣国の砂漠に行ったら、やはりゴブリンと出会って、いつもの通りに暴れていたら、そこにドラゴンもいて、本当の冒険キターと妖精弓手が悲鳴を上げながら命懸けのアドベンチャー)、アニメ化するのは4期か5期になるかなあ、と。
 そこまで話が続けばいいですね。

 ともあれ、自分としては「そして冒険へ」の次のサブタイトルが気になってます。
 希望は「イヤーワン」か「只人男戦士3人の冒険」ですな。

 前者はゴブスレさんのルーツになって、後者はゴブスレさんが珍しくゴブリン退治をせずに、重戦士が依頼された冒険に付き合う話。

 重戦士が邪悪な魔術師の塔を攻略する依頼を任されたんだけど、相棒の女騎士は体調を崩して参加できず。
 また、他の仲間も経験不足で強敵相手には心許ない。

 そこで「腕が立ち、かつ魔法が使える仲間、また斥候仕事ができる仲間」がいないか、と受付嬢に尋ねたら、
 「魔法なら俺も使えます」と槍使いが受付嬢にアピールして、
 さらに受付嬢が「ゴブリンスレイヤーを推薦」してくれる。

 あの人なら、ソロで鍵開けや罠外しなども自前でこなしていたと聞きますし、と。

 そんなわけで、重戦士、槍使い、ゴブスレの3人で悪い魔法使いを退治する短編エピソードが面白いわけで。
 今回の飲み会シーンを見たら、そこに話をつなげてもいいんじゃないかなあ、と。

 なお、この3人の冒険譚は、もう一つの短編集にも収録されていて、いつもと違ったマンチキンな冒険が非常に面白いです。
 ゴブスレさんが、ゴブリン退治以外の冒険をしている、というだけでレアですしね。

PS.さて、次はビルドメタバースの2話と3話も消化しないと。

Re: 10月のスレッド(2023) - Shiny NOVA

2023/10/21 (Sat) 22:24:31

 連続書き込み失礼します。
 ゴブスレ熱が暴走気味ですので(苦笑)。

 昨夜書いた「>魔神王が倒された時期」の項目が、アニメと原作の情報が入り混じって、間違えておりましたので、手直しします。

 ええと、自分は1期アニメを6月ぐらいに見直した記憶があって、それと秋に原作小説を読み直したりして、予習していたわけですが、
 勇者に関しては、思い込みミスをしておりました。

 6話と10話を今日、再チェックしますと、

 6話で勇者登場(邪教団と戦って、その噂が話題になる)し、10話で勇者が魔神王を倒した、となっているのがアニメでは正解でした。

 ただ、6話は小説2巻で、10話が1巻と2巻を再構成していたため、勇者の動きが原作とも違う経緯を辿っていましたね。なまじ、原作を知っているからこそ、こんがらがる話だったな、と。

 先に、10話と考えると、国の脅威になっていた魔神王(10年前に倒されていた巨悪が復活)して大変だったのが、突如として現れた少女(聖剣に選ばれた村娘)が女侍および女賢者の3人組で、魔王を撃退。
 国王は、彼女を10番めの白金等級と認定し、勇者の名が知られるのは、それからなんですね。

 で、小説の2巻に相当する6話で、勇者が魔王復活を目論む邪教団と戦う話。

 つまり、アニメでは「勇者登場(6話)→魔王撃退(10話)」という流れで、原作では「魔王撃退した後で国から勇者に正式に認定される→勇者の噂で世間が持ちきり→でも、国も勇者も剣の乙女の懸念(ゴブリン)は退治してくれない→だからこそのゴブスレさん」という展開です。

 なお、アニメでは分かりづらいですが、水の都の地下に転移の鏡を仕掛けて、ゴブリンを侵入させて、大目玉を配置したのも、実は邪教団の仕業というのが原作の展開でした。(だけど、ゴブスレさんも、邪教団を壊滅させた勇者も気づいていない)

 あと、これも割愛されていますが、小説2巻では、第一章で「ゴブスレさんが1巻のクライマックスで妖精弓手と約束した冒険に付き合っていた」のですが、そこでもゴブリンが(やはり)登場していて、
 「何だか妙に装備がいいゴブリンの集落」に違和感を覚えるゴブスレさんたち、という伏線が張られていました。

 で、勇者の間章で種明かしが行われていたのですが、「邪教団がゴブリンの集落に装備を与えて、転移の鏡を利用して、水の都の地下水路から攻める計画を立てていた」わけですね。
 で、連中はゴブリンにカモフラージュして、水の都の人々を生贄にして魔神王を復活させようと企てていたのですが、
 勇者が邪教団の黒幕を倒し、尖兵のゴブリンたちはゴブスレさんたちが(そうと知らずに)倒していたというリンクが明かされる、と。

 つまり、ゴブスレさんは「俺は世界を守らない」と言いながら、間接的に勇者の戦いに関与していたことになります。
 でも、アニメでは勇者視点のエピソードが大きくカットされているので(ほとんど背景で顔見せしてるだけ)、2巻のややこしいプロットも大分、単純にシェイプアップされた構成。

 何で、大目玉が転移の鏡を守っていたのか、転移の鏡を仕掛けていたのが誰なのかは謎のまま、話が終わっています。
 それを知っているのが勇者一行で、だけど彼女たちのことは、その活躍が辺境の噂話になっているってだけの描かれ方ですから。

 たぶん、物語構成が一番ややこしかったのが、原作2巻だったと思います。
 一読しただけじゃ、自分も構成が良く分からず、アニメを見てから大筋を確認して、アニメ化されていない(削られた)部分に絞って読み直して、初めて背後情報が読み解けたほど。

 なお、初読のときは、2巻の黒幕が「剣の乙女」だと勘違いして、彼女が街の人たちにゴブリンの恐怖を知らしめるために、転移の鏡を設置した、と勘違いしておりました(爆)。
 勇者の倒した邪教団が、ゴブスレさんのゴブリン退治に関与していたことに初読では気づかなかったんですね。

 ともあれ、2巻の最初に「やたらと装備のいいゴブリン」が登場していて、それから地下水路を探索して、大目玉を倒す。そして、鏡を使って転移すると、そこは見覚えのあるゴブリンの集落。
 ああ、最初のゴブリンは、水の都の地下とつながっていたのか! と一つの謎は解けるのですが、では、誰がゴブリンに上等な装備を与えたのか? という謎が、ゴブスレさんたちの視点では解けないまま。

 一方、勇者たちも邪教団が水の都を滅ぼす計画を明かしても、「あそこには剣の乙女がいるから大丈夫」と楽観的で、それに計画の大元を倒せば問題ない、という大雑把な処理の仕方。
 やはり、劇中で誰も事件の全貌を知らない物語を知るのは、神視点で複数シーンを俯瞰して読める読者のみ、と。
 それでも読み解くのに時間が掛かって、今もアニメとの関連づけで、少し混乱している自分です。

 分かったと思ったら、誰かの感想書き込みで、自分の勘違いに気が付いたりもして、そこからもう一度、再読もしくは再鑑賞しながら、細かい部分の穴を埋めていく作業を楽しんでいる、この1週間ほどでした。


PS.あと、もう一つの間違いに気づきまして、

 最初の女魔術師が使っていたのは、火球ではなくて、単体攻撃の火矢でした。
 つまり、弟くんと同じミス(範囲呪文を単体に無駄撃ちした)ではありません。

 彼女のミスは、背後の警戒を怠ったことと、1体のゴブリンを火矢で倒した後、すぐに前衛の2人の近くに後退しなかったことですな。
 2発目の火矢を放とうとした際、ゴブリンの接近を許してしまい、発動具の杖を奪われて、呪文を残したまま倒されるという顛末。

PS2.「今夜は音を立てずにゴブリンを殺す8つの方法を……」ゴブリンスレイヤーが新米たちに向けてそう説いた時、悲鳴があがった(6巻292ページより)

 こういう感じでIIの3話が終了。
 自分としては、8つの方法を全部聞きたいところですが、ゴブリンの襲撃でセリフが中断されましたからなあ。

1つ.呪文で眠らせる。
2つ.静寂の呪文。
3つ.喉元に短剣を投げつけて、悲鳴を出せなくする。
4つ.頭部に石をぶつけて気絶させる。

 残り4つは何だろう? まあ、そんなことを最後に気にしての、今週の感想終わりでした。

 ではでは。
 

Re: 10月のスレッド(2023) - K.K

2023/10/22 (Sun) 14:43:54

 定期感想その5です。

 以下をえっちらおっちら書いているうちにご投稿をいろいろ頂いたのですが、反応できておりません。特に最後のですね(内容的にも、そうだったのかと思うものの、時系列とかなかなかややこしい)。お詫びしますとともに、次に活かしたいと申し上げる次第です。

 それでも1期第1話の女魔法使いさんについては、今、この場で。
 少年魔術師が陵墓跡で使ったのが範囲攻撃の火球/ファイアボール(呪文:カリブンクルス・クレスクント・ヤクタ)で、姉の女魔法使いさんのは単体攻撃の火矢/ファイアボルト(呪文:サジタ・インフラマラエ・ラディウス)だったんですか。

 観なおしてみて、呪文が上述の通りであり、女魔法使いさんは呪文のみならず「ファイアボルト」と唱えているのを確認しました(インフラマラエは第1話でもう出てたと、今気が付いた)。

 魔法選択・使用ミスがあるとすれば2期第2話の少年魔術師だけであり、女魔法使いさんは焦りながらも意識して戦術選択していたわけですね。不当に評価したことを反省し、女魔法使いさんにお詫びしようと思います。

 なお、ゴブスレ熱が暴走気味なのは自分も同じでして(^^;、そうでなければ例えば1期の感想があんな風にはなりませんし、以下も長々ですし、たぶん2期観終えたらさらに思うところがいろいろ出るはずです。

――――――――――――――――――――――――――――――

 ついにゴブスレ2は第2話感想書く前に第3話視聴で追い越されましたorz。ガッチャード、キングオージャーも同じく次話が放映されました。仰るように2話分まとめてのほうがよさそう、と申しますか、それ以外やりようがないと観念するしか(^^;。

 さらには10分×6話の「境界戦機 極鋼ノ装鬼」が完結、全3話の「ガンダムビルドメタバース」も第1話以降をゆるゆる放映かと思い込んでたら2・3話は同日一挙でした。これらはどの程度触れておこうか(あるいはスルーか)、思案中です。

●ゴブリンスレイヤーI

 自分がだらだら長く書いた感想へのご教示、ありがとうございます。過不足や勘違い等をご指摘頂けるということは、あれをきちんと漏らさず読んで頂けばこそですので、恐縮です。

・魔神王

 まず自分には魔神王からしてややこしい。剣の乙女らに打倒された魔王、復活した魔王~勇者に再び倒された魔王がいますんで。そこがアニメでは原作シャッフルとなっているわけで、理解するに二重苦となっていたようです。さらに自分は邪教団が魔神王と別系統と思い込んでまして、三重苦。剣の乙女を狙った魔神王の手先と邪教団は同系統ということですか。

 原作1巻途中から4巻へ行き、2巻に行って、1巻クライマックスに戻るようにアニメは再構成。第6~9話で自分が混乱した理由がようやく分かりました。剣の乙女を狙ったのが「魔神王の手先? いや魔神王は剣の乙女らに倒されたから残党? いや復活してたんだっけ。いやまた倒されてしまってる? じゃあゴブリン仕向けたん誰や!?」みたいな感じだったような(これでもご教示受けて整理しています ^^;)。

・勇者

 さらに勇者一行がお祭り行こう、いや邪教団でしょとか言うのが第12話。しかし第10話では大物を前に、コイツ倒してお祭り行くと言い、そのお祭りらしきシーンもあったんで混乱(お祭りじゃなく祝勝会だったわけか)。さらに遡って、第6話冒頭の勇者が名乗りを上げた相手は何やら邪教っぽい。

 ゴブスレさんと勇者が表裏みたいと感じ取りはしたものの、時期や行動の対応がどうにも分かりづらい。しかも勇者が対処する魔神王と邪教団も全く別物と勘違いしてたりしまして、いろいろバラバラに並んでるような印象にしかならない。

 今回のご解説を以前からのご教示と併せて自分でも整理して考えて、何とか上記の混乱を抑えられました。しかし2期は第6巻からスタートということで、ゴブスレさんと勇者が両面作戦で、闇人/ダークエルフ&百手巨人/ヘカトンケイレス(ヘカトンケイルの複数形らしい)を討つ第3巻を跨いじゃってるわけですか。そこは自分の混乱要因になりそうですが、今回は予習できましたんで何とかなりそうです。

・ゴブスレさんの素顔

 素顔の前にリザレクションの儀。自分は剣の乙女の告白「もう清らかとはいえませんが」はあるものの、ゴブリン被害ゆえに奇跡発動条件に支障はないのかと思ってました。女神官さんが加わったのはゴブスレさんの負傷の程度が重すぎて、2人がかりの奇跡パワーが必要だったのかなと。かつ、ゴブスレさんを取り込みたい剣の乙女さんの策の一環。

 ですが、剣の乙女さんは本当にリザレクション行使不能になってたわけですか。かつ、女神官さんは(もし教えてもらっても即座には)できず(そういや使える術増やすにも経験積んで徐々でしたな)、しかしパワーだけは持ってるので、あのような変則的なリザレクションになったわけでしたか。

 そこを踏まえますと、女神官さんがアニメ1期最終回までゴブスレさんの顔を知らなかった理由、仰るようなものも有力な気がしてきます。ただリザレクションの翌朝に、目覚めた女神官がびっくりしていたのは、自分には先にベッドを出ていたゴブスレさんについてだったような気がしました。自分(女神官さん)が一糸まとわぬ姿なことは分かっていた感じ。

 なので、女神官さんは『先に起きて服を着ておくつもりが、寝過ごしてゴブスレさんに見られたあっ!』と慌てたのかなと。それが口に出て「み、見ましたか!」になったような気がしました。これに対するゴブスレさんの返答が今考えてもひどい(^^;。見たけど怪我はないから気にしてないみたいな。もっとも、それでちょっとガッカリな風の女神官さんも女神官さんであります。

 それはともかく(^^;、素顔問題は女神官さんがどっち見てたか頼りの解釈です。2期1話ではこちらでご教示頂いた、伯父さんの目線問題(少年魔術師か牛飼娘さんか)がありまして、アニメ描写を全面的に信頼するのは危ういのかも。文章作品なら必要に応じて内心をはっきり描写してくれるんでしょうけど(「馬鹿げてる」に対する受付嬢さんの内心ツッコミとか)、いかんせん絵での表現なので想像するかありません。

・受付嬢さん

 第1期(ないしは物語開始)時点でゴブスレさんの素顔知ってたんですか。第10話のニアミスでは「(せっかくの素顔見るチャンス逃して)かわいそ」と思ったのは早とちりでしたorz。受付嬢さんのゴブスレさんへの好意は、ゴブスレさんの言動・行動だけを見ていて、想像も加わって次第に高まったと思っていたんですが、もっと具体的に知っていたわけでしたか。

 知っているから、ニアミス時に声に気付いても駆け寄らなかったのかな。いや確かにゴブスレさんと思わなかったんでしょうな。兜がないと声がこもりませんし。最終話ではゴブスレさんが兜を外したと気づくと、「貴重ですよ」と言って間近まで寄って興味津々の様子。

「初めて冒険者登録した際」はずいぶん以前でしょうから(5年前、ゴブスレさん15歳時点?)、今はどんな顔つきになったか気になったんでしょう。目を輝かせて見つめ、最後にニッコリ笑ってましたから納得し、満足なんでしょうな。できれば感想聞かせて欲しかったところです。

・通貨

 この世界の基本は銀貨だったんですか。銀貨10枚=金貨1枚、金貨10枚=大金貨1枚と分かりやすいのは助かります(もっとも大金貨はアニメではまだ誰も使ってなかったかな?)。銀等級の仕事相場が180銀貨=18金貨となれば、女騎士さんが酒飲み比べに賭けた金貨3枚(銀等級成功報酬の17%、白磁だと3回分)が豪気と評されるのもうなずけるところです。

 ポーションが金貨1枚=銀貨10枚で、それが白磁等級のミッション報酬1人分となれば、圃人剣士がポーションに好奇心あったのも分かる気がします。印付けてることだけでなく、白磁等級には高いから、あまり見ないものだったんでしょう(もっとも瓶が圃人には大きすぎるようでしたが ^^;)。

 しかし、日本円換算で銀貨1枚いくらだろうと考えてみますと、自分では結論が出ません。銀貨1枚=千円~5千円くらいかなと思いますが、それ以上には絞れず。モノの種類ごとの貴重度が現代日本とは違うでしょうから、単純に比較するのは不可能なのかも。

 だいぶ以前(確かFC版ドラクエ3の頃)、ドラクエ世界の「ゴールド」が日本円でいくらなのか、宿屋の値段で推測し、それを以て武器・防具などのアイテムの相場を考察している記事を読んだことがあります。何の気なしに「へえ、なるほど」くらいに思ってましたが、考察は結構大変だったんだろうと今になって思います。

 しかしゴブスレ作者:蝸牛くもさんはいろんなモノや仕事の相場を想定して通過や価格を設定してるんでしょうな。よく知らずに観ていても違和感とかないのは、たぶんそこをしっかり考えてあるんだろう。そういう設定は地味で目立たたないけど、手間がかかりそうです。

●ゴブリンスレイヤーII

 OP映像に出て来る、和風の鎧のキャラクターがダイ・カタナの「君」ですか。自分は最初「どうしたらそんな取り違えできるんだ?」くらいの勘違いしてまして、イヤーワンの「若い戦士」が鎧の戦士だと思い込んでしまいました。

 しかしイヤーワンの「若い戦士」は1期第11話で「アイツと同じ日に冒険者になった」と言っていたキャラクターであり、5年前ですね。ダイ・カタナの「君」は剣の乙女らが魔神王討伐した10年前の人物。全然違う。

 自分でも笑っちゃうような勘違いです。が、「君」が2期OP映像に出ている。第3話ではこちらで伺った見どころをほぼその通り突っ込んできた(面白いのを目白押しだと気分が盛り上がりです)。次の第4話のタイトルは、一気に原作の第7章へ。こうなりますと、「2期前半でそこまで進めるということは、後半はイヤーワン~ダイ・カタナと進めてくれるの?」と期待します。

 もともと自分はネタバレすら歓迎ですし、今回ですと上記の通り、お話を伺ったお陰でワクワクが生じております。ですんで、思った通り(あるいはいつもさじ加減通り)にご感想を頂けるとありがたいと存じます。

・第2話:赤毛の少年魔術師

 第1話で夜にギルドに帰還したゴブスレパーティの面々がいつになく汚れてて「あれ?」と思ったんですが、多数の依頼を一度にこなし、かつ1期で禁じ手と申し渡された水攻め使ったからでしたか。汚れて疲れてても(女神官さん、おんぶされてるし)、負傷がないらしいのはそのせいだったんですか。そういや冒頭で「依頼自体の数が多い」って台詞、確かにありましたな。

 帰還直後のギルド内のシーンでは受付嬢さんの苦笑の意味が『あなたがそれを言いますか?』だったと分かると納得です。ゴブスレさんの即座の断言「馬鹿げてる」が少年魔術師に聞こえるので困ったのを誤魔化す笑いなのかと思ったんですが、1期の受付嬢さんの印象からはちょっと外れます(無茶とか無理言う人には割と厳しいし)。あれはゴブスレさんに苦笑してたのか。

 この第2話については、原作では女侍祭/アコライト含む先行パーティの壊滅が割愛されてたんですか。お話を伺ってみると、1期を観て感じた「ゴブリンにしてやられるのはこのパターン」のようで、経緯が目に見えるかのようです。

 1期第1話だとそのパターンでの壊滅がはっきり描かれ、救援に来たゴブスレさんの解説しながらの戦闘で、ゴブリン討伐がいかに難しいか分かるわけですね。ゴブスレ初心者の自分としては、今話でも先行パーティは描いて欲しかったと思う次第。部屋と扉がいくつもある陵墓をアジトにしたゴブリンの戦術に対し、失敗例を見ておけば、ゴブスレさんの戦術(扉を塞ぐ対応とか)の優秀性が分かったんじゃないかと思います。

 ともかく本編。遺跡(陵墓)を占拠してアジトとしたゴブリン討伐ですね。ゴブリンは工具を盗むとか、何か厄介なことをやってるらしい。討伐隊は前話の女騎士さんのはからいでリーダーは女神官さん。みんなが面白がって「頭目」と呼んでて、女神官さんは照れつつもちょっと嬉しそうかな?

 そして陵墓突入前には例の「血の洗礼」ですが、後のシーンも踏まえますと、少年魔術師だけに施したらしい。ゴブリンが狙って来る女性メンバーは血を使ってない模様。少年魔術師が最も危ういと見てのことなんでしょうね。この判断が女神官さんによるものなら、なかなか大したもんです。

 そこからは危惧した通りの少年魔術師の悪い面と、予想外にいい面の両方が描かれまして興味深いものがあります。パーティはまず奇襲の恐れがある扉を塞いでいきまして、これはいつものゴブスレさんらしい戦術で、女神官さんがしっかり学び取っているらしいことが窺えます。逸る少年魔術師の魔法行使をきっちり抑えもしてまして、ちゃんと「頭目」してます。

 いったんゴブリンの気配が消え、そこから少年魔術師が先走ってしまうわけですね。

①向こう側が不明の扉を開ける
 トラップが驚愕させるアラーム目的だったから助かったけど、本来なら死亡(1回め)。
②悲鳴を聞きつけて1人で駆け出す
 待ち伏せとか考えない無謀で本来なら死亡(2回め)。
 ただし人命救助のため体が動いた点は評価できる。
③人質のアコライト発見して、そばのゴブリン1体に火炎魔法
 焦って火炎を単体目標に使用したのは1期第1話の女魔法使い(姉)の失敗に同じ、ではなく劣るものなんでしたな。
 案の定、それを合図にトロル出現&攻撃で本来なら死亡(3回め)。
 ただし人命救助に必死な点は同上。
④トロルに続いてゴブリンの群れ襲来
 捕虜におびき寄せられる罠にかかった典型的な負けパターンでして、本来なら死亡(4回め)。
⑤「来るな、罠だ!」と叫ぶ
 ここだけは少年魔術師に見込みありで高評価したい。
 自らが危うく、人質も気にしているけれど、「助けてくれ」とか「こっちだ」と叫べば、パーティも巻き込むと判断しての英断。
⑥「生きてるか」と問われて自分(少年魔術師)のことと勘違い
 仲間の救援でホッとすると、もう駄目。さっきまで必死だった捕虜救出を忘れてる。
 的確な受け答えできないのはパーティ壊滅の原因(5回めの死亡にカウントしとこう)。
⑦自パーティに女性2名いるのを忘れてる
 敵(ゴブリン)が狙う恐れが高いターゲット・自パーティの弱点を忘れてる。
 自分だけゴブリンの血を塗られた意味も分かってなくての戦術ミス。
⑧捕虜の戒めを解くに必死で椅子ごと運ぶ知恵が出ない
 捕虜と共に逃げ遅れる原因。仲間の力・助けを考えてない。本来なら死亡(6回め)。
⑨退避で行き止まりに遭遇して不満を言う
 自分が原因なのを忘れてるし、困難において知恵を出す気がない他人任せ(ほぼ死亡フラグに近い)。

 もっともこの辺りになりますと、頭目:女神官さんも「え、あ、あの、えっと」状態でして、少年魔術師を責めるのは酷かもしれません。事前の打ち合わせ通り、ゴブスレさん指揮に切り替わる。こうなると1期第1話同様、手本を見せるが如きの戦いになりますね。まず「火はこう使うんだ」と言わんばかりの範囲使用。トロルに大打撃を与え、他のゴブリン半数を巻き込めたらしい。

 その音を聞きつけた妖精弓手さんに「ボワアッて音聞こえたんだけど」と咎められてまして、禁じ手だった水没攻撃を再開したのを知っていると、ちょっと笑えます。が、すぐにトロルが頭に火がついたまま追って来る。

⑩「水が欲しい。術で出せるか?」と問われて「意味ねえ」とそっぽ
 これは次話で鉱人道士さんが戒め、こちらでも伺ったことにも通じるかと。
 基礎を軽視するから応用が利かず、応用ができないから地水火風の意味や組み合わせの妙も分からない。

 そこで鉱人道士さんが術で水を出し、ゴブスレさんが「あいすくりん」製法で学んだ手法を使って冷凍攻撃。上手く効きましたが、ゴブスレさんの考えた理屈とはちょっと違うダメージかな。確かに石(やガラスなど)なら硬いですから急激な温度変化で割れますが、生物のような柔らかさがあればそうはならないかと。

⑪内心『今回のことは俺のうかつもある、未熟もある、責任もある』と反省
 一応は評価しますが、やっぱり「もある」は頂けないかな。
 そうじゃなくて「のせい」でしょ、とツッコみたくなります。

 続く独白はちょっと複雑ですね。トロルとゴブリンで態度が違うゴブスレさんに『この男のことだけは認めたくねえ』と毒づいてます。自分(少年魔術師)こそ「ゴブリンぶっ殺せれば」と散々言ってたのを忘れたかのようですが、その先にあるものを見た気がして怖くなったのかも。

 これをゴブスレさんで考えてみますと、どこかで少年魔術師のこの恐れの、引き返し不能の分岐点があったはず。今はそこを通過しちゃってるように見えますが、1期最後の「冒険者になりたかったのだと思う」や、この後の少年魔術師の出自を知っての衝撃、次話での酒盛り後の談義などから考えますと、もしかすると引き返す可能性を残している気もします。そこがたぶん、少年魔術師の行く末から察せられるんじゃないかと、現時点では期待しておこうと思います。

 ともかくも女侍祭/アコライトだけは救出できまして、アニメ版では回復可能な負傷で済んだ。原作では指を切り落とされちゃうんですか、それも盗んだ工具で。そこは描いておくべきだった気がします。TVでは直接描写できないなら、酒場の会話で触れておくだけでもいい。でないと「人前に出てこないゴブリンだけがいいゴブリンだ」(それ以外は子ゴブリンに至るまで殲滅)や、「学習し知恵をつける」脅威(今回なら工具)が薄れます。
(昔話をマイルドにする弊害に通じるかも。太宰治も言及していますね。「猿に鼻を引っ掻かれてひっくり返るような鬼を成敗する」のはためらわれるみたいな。)

 ともかく無事済んだと緩んだ途端、少年魔術師が今話最大級の衝撃を与える。姉:女魔法使いの死についてですね。上述のアコライトの悲惨さを描くべきと言った舌の根も乾かぬうちですが、この少年魔術師の告白は、(先行パーティ5人のうちたった1人ながら)アコライトが助かってよかったという雰囲気あってこその衝撃になっているようです。
(それ以外にも、ベテランの余裕でこなせたこともあって少年魔術師を責めることもなく、女神官さんのリーダーもほぼ成功とかもある。)

 少年魔術師の姉がゴブリンに殺された、という事実の告白ですね。少年魔術師は姉の死とともに名誉を失ったのが無念で、助かったアコライトとてそうなる悔し紛れに言ってみただけですが、その死亡状況からゴブスレさんと女神官さんだけは分かる。1期第1話の女魔法使いですね。ゴブスレさんがやむなく引導を渡して去ったが、その弟が少年魔術師だった。「姉」という点で重なるものがあるゴブスレさんには特に重い。

 女神官さんはさっと血の気が引くほどの表情変化ですが、ゴブスレさんは兜で分からない。声はいつもの調子で「部屋を借りてやってくれ」ですが、「部屋に」と言ってから言い直しで、自分(ゴブスレさん)は連れ帰れないし、同室もできないということですね。

 そのまま酒場を出ると槍使いさん(と魔女さん)に出くわし、これはさすがと言うべきなんでしょう、槍使いさんは何かあったと察してます。これが次話で酒に誘った理由の1つなのかも。しかし、手で顔を覆いたくて兜脱ぐとは思わんかったでしょうね(吐いてもいますが、それだけなら兜脱がなくてもできるはず)。

 ただ、自分にはゴブスレさんの悩みが深いと感じられるものの、それが何なのかまでは測りかねます。何かを為した、あるいは為そうとしたけれど、何も為せていないと気づいたようなんですが、その「何か」とは何なのか。次話でも出てこないようですから、今期のテーマに関わるようなことなのかしらん。

・第3話:町外れの訓練場

 先に申しましたように、こちらで伺った内容がきっちり盛り込まれてまして、「これが聞いてたあれか」と初見なのに目が滑らずに感心しながら観られました。聞いていたときには分からなかったんですが、「少年魔術師と圃人剣士」の「交流エピソード」は感心を突き抜けて感動まで行きました。

 少年魔術師については前話でおおよそが分かるくらい見せてもらいまして、今話時点では見どころはあるとは思いつつも、ちょっと株が下がった感じ。それと対照的に、今話でよく見せてもらった圃人剣士の印象が爆上がりです。そのため少年魔術師が圃人剣士をちょっと気にし始めたのがなんだか嬉しくて。

 圃人剣士は第1話前半ではポーションに印付けてるの珍しがって寄って来てましたな。その時点ではどうやら好奇心が強いくらいの印象。その後、夜遅くにギルドに帰り着いたゴブスレさんが「圃人/レーアの娘のいた登録したてのパーティ」の安否尋ねてまして、「おや、ゴブスレさんが気にかけてる」と、観ているこちらもちょっと気になり始めました。

 そのときはパーティ所属だったわけですが、今話冒頭では女騎士さんに1人で稽古をつけてもらっていて、パーティ仲間が出てこない。あれと思ってたら、パーティは事情あって平和に解散したらしい(訓練場の昼食時の会話より)。これなら、こちらで伺った展開(冒険の旅に出る少年魔術師を心配した圃人剣士がついて行く)がスムーズに行きそうです。

 しかしそれは先の話でして、まずは訓練場編。圃人剣士は女騎士さんに稽古をつけてもらってますが、やっぱり体格差すごい。盾で受けるとはいえガンガン打ち込まれたらしんどいでしょうが、嫌がるとか逃げる感じは全くなし。実際「手がジンジンするんですけど」「まだ白磁なのに」とかの不服すら、ハキハキ元気良い。

 この圃人剣士さん、思ったことが口に出るタイプみたいです。かつ、他人の勧めや助言は素直に即座に受け入れる。他人とも打ち解けやすいようで、午前の訓練終わると少年魔術師と並んで横たわって休んでます(このときも「スリングにすればよかった」と愚痴ですが、その気がないのはすぐ分かる)。

 その隣で新米戦士が見習聖女に膝枕してもらってるので目立ちませんが、並んで横たわるって、特別な印象が生じます。特に顔を見合わせたときですね。リアルの事例では赤の他人の芸能人男女が横たわって顔を見合わせる写真をSNSにアップしたところ、「これはヤバいよ」と指摘が相次いだことがあります。その芸能人2人も言われてみればと気付き、写真削除。2人とも善人で知られていたのでそこまででしたが、そうでなければ不倫とか言われて炎上してたかも。

 それはともかく、偶然に並んで横たわったことで少年魔術師が圃人剣士さんを意識することに。胸で異性と意識したからだけではないようです。立っているときは身長差がありますが、横たわるシーンでは顔の位置が揃ってます(圃人剣士さんの足は少年魔術師の膝の位置)。少年魔術師としては初めて、圃人剣士さんが対等に組める相手として意識に上ったんじゃなかろうか。

 もっとも誰にでも打ち解けるらしい圃人剣士さんは特に気にしてないようですが。食べたら吐きそうと言いつつ、午後持たないと言われると、途端に食べる気起こす(少年魔術師が理屈並べて食べると言い出してからなのが今後を暗示かな?)。食べ出したら美味しそうにパクパクと嬉しそうですな。よく食べる子は良い子です。

 圃人剣士さん、この後もよく食べてまして、女神官さんから感心されてましたな。1日に5~6回は食べるとのことで、設定的には食べるのが大好きなトールキンのホビットを意識してるのかな。現実でも恒温動物なら体が小さいほど食事回数は増やす必要があるそうです。

 身体体積(体重に比例)に対し、放熱が起こる表面積の比率は体が小さいほど大きい。なので、体重1kg当たりの体温維持に必要な食事量(カロリー)は大きくなる。が、胃の容量は身体体積に比例。そのため食事回数を増やすしかないとのこと。ハチドリなどだと、起きている時間のほとんどを食料探し&摂取に費やしてるんだとか。

 トールキンのホビット設定に合理性があるわけですが、子供のように小さいホビットではなく、背だけが低いドワーフが力持ちというのも合理性があるらしい。筋トレ、特にビルダーによく知られている経験則が「筋肉1kg当たりの努力一定の法則」でして、身長にかかわらず筋肉を1kg増やす労力は同じ。

 そのため身長の高低ある2人が目いっぱい努力すると同じ期間で例えば10kgの筋肉を増やせる。が、身長が低いほうが骨の長さは短く、それに付随する筋肉も短いため、筋断面積がより増える。筋力は筋断面積比例なので、低身長のほうがより力持ちになる。となり、高身長のエルフは非力気味、低身長のドワーフが力持ちなのは現実を反映していそう、となります。

 すみません、道草が過ぎました。圃人剣士さんに戻りまして、食事1回分で持ちこたえられる時間が短い不利を承知し、さらに「大したことないよ? 圃人だし、装備もよくないし、ただの戦士だし」と過不足なく謙虚。しかし「幸運/縁がある」と褒められると、素直に納得もする。

 それでも女神官さんと組むだけでは力不足と正確に認識し、他の助力を得ようとするにやぶさかではないのは謙虚さゆえ。さっそく頼みに行く行動力もある。当てがあるとのことですが、そう言えるだけの、性分ゆえの人望があることが察せられます。

 圃人剣士さん、これなら生き残るし、伸びるだろうと思えますが、対照的に少年魔術師はどうもグダグダしてますな。本人の魔法の自信の割には、教えてみた槍使いさんの評価は微妙。どうも過信、慢心気味らしい。そこは鉱人道士に教わるときにも垣間見えまして、例えば「呪文を唱えることじゃねえぞ、呪文を使うことだぜ」の教えが通じてない。

 その教えを自分なりに言い換えてみますと、「教わったことを教わった通りにやっても上っ面。ちょっと状況とか変わると分からなくなる。知ったら理解して掘り下げないと、得た知識を使えるようにならない」。孔子なら「学びて思わざれば則ち罔し」でしょうか。陵墓跡での行動は、その対の「思ひて学ばざれば則ち殆し」になっていた気がします。

 そこは女魔法使いさんのことで苦しい女神官さんのほのめかし(ドラゴン倒したいと言っていた)に、少年魔術師が裏があるとは全く思ってもみない点に現れてるかも。もっとも、この時点ではまだ少年魔術師が真相を知らない方が幸せかもしれず、だから「夢ですもん。夢みたいな話でいい」と女神官さんも当たり障りなく締めくくったんでしょう。

 今話のもう1つのドラマは、男3人の飲み会ですね。前話のゴブスレさんの様子を気にしたのか、槍使いさんが訓練場で声をかけてのもの。ギルドの酒場ではないのは、重戦士の見立てでは槍使いさんが「照れくさい」からですが、冒険者に知られたくない話になるかもしれないと予想してのことじゃないかしらん(だから魔女さんや女騎士さんも一緒してない)。

 どうでもいい余談になりますが、酒場の描写見て「店内で荷車引いてる?」と勘違いでビックリしてしまいました(^^;。重戦士さんの台詞(お尻云々)で気が付いてみると、ケンタウロスタイプの獣人でしたか。ネットでは「これこそウマ娘」との評もあるみたいです(が、自分は観てなくてよく分からない)。

 他愛もない話でゴブスレさんの様子がいつも通りと槍使いさんは安心したのか、ほどほどに飲んだところで外での立ち話へ。いや、ゴブスレさんが適当に切り上げたかな。牛飼娘さんに「友達に迷惑かけたりしないようにね」と釘さされてましたから(あるいは、牛飼娘さんのプレゼントと思しき、花模様の刺繍の財布の中身の都合か?)。

 立ち話の最初でちょっと笑いまして、槍使いさん「出たよ」→ゴブスレさん「ゴブリンか」です。もっとも、これはラストで始った怖いことを暗示するものだったかも。そこからの話の内容自体はおおむねこちらで伺った通りなんですが、やはりプロの声優さんが演じてくれるお陰で気持ちがこちらに入ってきます。

 3人はそれぞれ表面的には異なる悩みを持ってますね。こちらで伺った通りでして、重戦士さんは王になりたいが、現パーティへの責務や好意と両立できない。槍使いさんは子供っぽいとも言える「美女と最強」ですが、いわゆる「幸せの青い鳥」かも。一番近くにいる魔女さんをどう思ってるんだか。

 しかし一番子供っぽい台詞がゴブスレさんから飛び出してくるとは。「冒険者になりたかった」は観ているこちらには既出ですが、「姫を助け、竜と戦い、世界を救い」は初耳です。子どもの頃の望みとはいえ、ゴブスレさんがそんなこと口にするのかと衝撃的なほど。しかし、槍使いさんも重戦士さんも驚かず、むしろ引き継いで語るほど分かるものがあるらしい。

 どうやら結局は(重戦士さんの言う)「夢と責務と能力」のジレンマらしい。ただし責務を能力に応じて果たしていくうち、納得も生じ、案外悪くないと思えても来る。が、やっぱり「夢」だよなと。しかし今から夢を追えるかと考えると難しい。が、「やりたいことをやらせてやりたいものだ」と後進には夢をかなえさせたいということで、訓練場編につながりますな。それがこの3人の「今の現実的な夢」となりましょうか。

 シーンは翌日の牧場となりまして、訓練場が何の跡地に建てられつつあるか、牛飼娘さんから語られる。こちらで伺った通り、ゴブスレさん(と牛飼娘さん)の故郷がゴブリンに壊滅させられた、その跡地ですね。牛飼娘さんは自分の気持ちを語っているようでいて、どうやらゴブスレさんの気持ちを確かめつつ、「変われ/思い切れ」と励まそうとしているようです。

 が、ゴブスレさんは一言「まだ無理だな」。ゴブリンがいる限りはどうしようもないらしい。男3人の飲み会では平静を取り戻した風でしたが、少年魔術師が自分(ゴブスレさん)が引導渡した女魔法使いの弟と知り、「何か一つでも成し遂げられたとでも思っていたのか」と悔いたことも影響してるんだろう。

 そこは牛飼娘さんも同じらしく、ゴブスレさんに何も成し遂げられてないと改めて思い知ったのか、明るく送り出した直後に一人で頭を抱え込んでしまってます。と思ったんですが、さらに考えてみるとゴブスレさんの「まだ無理だな」は牛飼娘さんの心中を言い当てたものかもしれません。考えるほどにいろいろ解せて、どうも意味深なシーンです。

 が、事態が急変。1人の村人が心当たりがない盛り土に近づくと、実はゴブリンのトンネル。出て来たゴブリン1体は倒したものの、近くに伏せていた3体に奇襲され、たぶんこの村人は知らせに行くこともできず殺害されたらしい。

 が、かろうじて叫び声はあげまして、訓練場のゴブスレさんが気づき「ゴブリンか」。今度はギャグではなくシリアスですね。この第3話の雰囲気は、日常と稽古を描いてラストで急変した1期第10話を思い出すものがあります。今回は大規模侵攻ではなくゲリラ戦術なのかな。

 ラストで説明が中断された「音を立てずにゴブリンを殺す8つの方法」ですが、自分も気になります。4つは判明してるわけですか。ゴブリンの侵攻に対してゴブスレさんが実演してくれるといいなあと思ったりしてます。

Re: 10月のスレッド(2023) - Shiny NOVA

2023/10/22 (Sun) 23:22:00

 K.Kさんのゴブスレ書き込みに触発されて、また、いろいろ書き込みたい欲求に駆られていますが、それは4話感想に回します。
 さすがに、他の感想に気を散らさないと、食傷気味になるかもしれませんので。

 ただ、1点、自分のミスがまた発覚しましたので、そこだけ手直しをば。

>女神官さんの初期呪文

 回復呪文のヒールと、聖なる光ホーリーライトの2つを授かっていたのですが、呪文の使用回数は2回ではなく、3回でした。

 つまり、彼女の呪文の資質は、単に優秀なだけでなく、天才レベルだったんですね。

 なお、ゴブスレ世界の呪文の使用回数は、クラシックD&Dに準拠していて、現在のRPGに比べて少なめ、となってます。

 で、女神官は謙虚なので、「自分は3回しか呪文が使えない」と思っているのに対し、
 女魔術師さんは「2回も火矢を使える」と自信満々な内心が描写されていて、
 おそらくは周囲の環境の差かな、と。

 地母神の神殿では、やはり彼女よりも経験を積んだ癒し手さんがいて、その人たちに比べて、自分はまだまだと思っていたんでしょうが、
 女魔術師の学園では、「最初から2回も呪文が使えて凄い」と教師たちから言われていたのかも。ただ、彼女の背景(どうして冒険者の道を目指したのか)が描かれていないので、推測するしかないのですが。

 なお、勇者は最初から呪文を5、6回使えて(本人はそれが当たり前だと思っている)、この世界では非常に規格外の存在であることが分かります。
 それと、勇者の描写は、原作小説とアニメでもいろいろと違っていることが改めて分かって(順番のズレだけでなく)、アニメでだいぶ改変されているようです(もしかすると、アニメ以前にコミックでの描かれ方で改変されたのかも)。

 それと、もう二点。2話の方についてのコメント。

>3話の女侍祭さんの指について

 原作では、「切断された指も拾って行く」ことで、後で「地母神の神殿で、癒しの呪文で接合も成功」しております。

女神官「手指が何とかつながったので、静養が終わり次第、今後を考えるそうです」
妖精弓手「そう、良かった……って言うのも変だけど。生きてれば次があるもんね」
少年魔術師「生きてたって、どうにもなんねえよ。ゴブリンに負けたんだぜ? 馬鹿にされるじゃん。決まってらぁ」

 まあ、手指の切断については、呪文によって再起可能な怪我に留まったので、アニメではわざわざ描写する必要がなかったのだとは思いますが、
 それよりも、彼女のパーティーの前衛の蜥蜴人戦士が仲の良い彼氏みたいな描かれ方(種族違いなのに)だったので、その彼が彼女を守るために目の前でトロールに惨殺されてしまったことの方がショックが大きいかも。

>トロールとあいすくりん戦術

 トロールというモンスターは、「再生能力が高いけど、火による傷は再生困難」(D&D設定)というのと、「強い光で石化する」(ホビットの冒険設定)がありまして、
 ゴブスレでは、両方を採用している感じですね。

 ゴブスレさんは意識していなかったですが、女神官のホーリーライトもトロールの肉体に深刻な影響を与えて、単に目が眩む以上に動きが鈍り、その上で硬化した肉体を、熱と氷で岩が砕けるように破壊された、と。
 この辺は小説で地の文で説明されているのが、アニメだと「キャラのセリフと、映像演出だけしか判断材料がない」ので、ゴブスレさんにとっても予想以上に有効だったことについては、説明しにくいと思います。

 ここでは、トロールの肉体組成が、ただの肉ではなくて、岩状の外皮だから通常の武器攻撃も通用しにくいうえで、
 トロールのことをよく知らないゴブスレさんが、実に的確な戦術を駆使していたことも僥倖というか、モブと違って作者に愛されているとか、ゲームならプレイヤーがマンチキンだからなのか、まあ、いろいろですね。

GM「魔物知識判定に成功すれば、敵のデータを見てもいいよ」
ゴブスレ「ゴブリン以外のデータは分からない。だけど、トロールは火に弱いというのがプレイヤー知識なので、すかさず油を取り出して、火をつける。これで倒せるはず」
GM「結構なダメージを与えたけど、トロールのHPは高いからね。怯みはしたものの、死にはしない」
ゴブスレ「思いの外にタフみたいだな。よし、トロールは光にも弱いはず。女神官と合流して、ホーリーライトを使ってもらおう」
GM「いや、トロールが光に弱いなんて、ゴブスレさんが知っているはずがないだろう」
ゴブスレ「そうだな。ならば……ええと、他のゴブリンもトロールと一緒に後を追ってくるだろう? だったら、ゴブリンたちに有効な光なら、トロールにも有効かもしれないと判断して、とにかくトロール……いや、何だか分からないデカいのと、ゴブリンを共に巻き込んで、女神官に光を使ってもらう。あとは石化させて、熱と氷で膨張させれば、砕け散るはず」
GM「熱はともかく、氷なんてないだろう?」
ゴブスレ「だったら水でもいい。誰か、魔法で水を出せないか? 熱膨張した岩を急に冷やすと砕けるわけで」
GM「何で、そんなことをゴブスレさんが知ってるんだよ?」
ゴブスレ「前の冒険で、氷菓子を食べていたし、雪山登山も経験したことがある。だから、熱とか氷については勉強していたんだ。ゴブリン退治に役立つと思ってな」
GM「このマンチキンめ! いいよ、それでいいし」

少年魔術師「こんなプレイでいいのかよ、これ?」

 ……と、いかんいかん。
 ゴブスレじゃなくて、ビルドメタバースのことを書くはずだったのに(苦笑)。

★ビルドメタバース(2話と3話)

 2話のタイトルが「リライズ」で、3話が「トライ&ビルド」。
 あと1話が「ダイブ」で、これまでのビルドシリーズ4作を類推するサブタイトル。

 ただ、実際には2話が「リライズ&トライ」の主人公が登場して、3話で無印BFのセイ&レイジの再会が描かれて、旧作コラボ祭りとしては、豪勢な話になりました。

 うん、祭りとしては悪くない。

 でも、新主人公のリオと、師匠と、彼女のライバル(妹?)のバトルドラマとしては、ダイジェスト過ぎて、キャラおよび機体の魅力が薄かったな、と。

 まず、リオが初心者同然のビルダーおよびファイターだったのが、あっさりと才能を開花して、師匠を抜いちゃったというか、
 師匠が、メンタル弱くて、ライバルに気を使いすぎて本気で戦えないモードに入って、それでますますライバルを「強いのに逃げてばかりで許せない」とこじらせモードにしてしまい、
 師匠の代役として、弟子のリオが両者の関係修復に一役買うというドラマ展開。

 で、1話めでは、模型の改造テクニックに焦点を当てた話作りだったのが、
 2話では、師匠の裏事情の解説と、弟子の自発的トレーニング、それをサポートする旧作キャラとの絆を描写し、
 3話では、2陣営に分かれた集団戦で、いろいろなキャラが入り混じったお祭り展開を描きつつ、師匠のライバルとの決着と、ガンプラバトルは楽しいという結論に強引につなげる。

 で、主人公と機体のラーガンダムが、ギミック的にもあまり面白い機体ではなくて、リオのビルダー技術がどれだけ凄いのか、よく分からない描かれ方。
 旧作主人公たちは、いい機体だ、と褒めるけど、視聴者的には「こういう改造が施されているのか、凄い」とは思わない。あまりにもベーシックな機体なもので、旧作主人公機に比べて、あまりにも特徴がなさすぎる。

 で、ファイター面についても、最終決戦で、突然、祖父の「武士道精神の教え」で覚醒して、メンタル面の悟りが機体操作テクニックの急成長になった感じで、感情移入とは程遠いやっつけ仕事になってしまったなあ。

 せめて、師匠との共闘とか、師匠と一緒に編み出した技とか、師匠との絆での勝利を見たかったのに、
 勝利の鍵が「師匠とは関係ない劇中ドラマではポッと出の祖父の教え」だったせいで、
 メインドラマはあくまで形式的なもので、そこに感じ入る要素は少なかったな、と。

 では、何がこの作品のポイントかと言うと、メタバースという仮想空間が「何故か異世界アリオンからもアクセス可能」ってことで、初代主人公のセイ&レイジのタッグが再結成という点。

 レイジの「何だかよく分からないが、つながった」という説明も、雑なことこの上ありませんが、元々、レイジ自身がそういうキャラなので、今回に関しては、それで問題なし。
 もしも、この設定で続編があるのなら、きっとニルス君とか、他の頭のいいキャラが出てきて、解説を付け加えてくれるでしょう。

 とにかく、「何だかよく分からないけど、時代を超えて、4つの物語世界が、新たなリオ君のガンプラバトルの世界につながったお祭り」を楽しめばいい、という程度の作品。

 例えば、無印BFの世界と、トライの世界は同じ世界線にあるんだけど、セイやレイジ、それにチナちゃんとか年をとってないんですよね。
 トライの時代には、みんな大人になってるはずなのに、今回、登場した彼らは少年少女時代のまま。
 それとも、アバターだから昔のままなのか? 現実は大人になってる?

 何にせよ、ビルドファイターの世界と、ビルドダイバーの世界のつながりもよく分からないし、どこで多元宇宙的な世界観になったかの説明も一切なしで、
 単に雑なクロスオーバー祭りを楽しめばいいだけの作品。

 考察そのものがあまり意味を為さないので、作品そのものに感心する余地が一切なく、
 ただ、頭空っぽにして、懐かしいキャラの再登場と、新機体にワクワクすればいいぐらい。

 ただ、世界観的に笑ったのが、メイジン・カワグチは相変わらず3代めなのに、女性キャラのレディ・カワグチの方は代交替が激しいらしく、すでに8代めだったか。
 要するに、3代めは圧倒的に強くて、名人位をずっと維持し続けているのに、
 女性名人は引退が早いというか、名人になっても、ガンプラバトルをずっと続けるほど酔狂ではなくて、あっさり後継に後を譲りがちなのか、このホビーに対する男女の名人位への執着の差が出ているようにも見えます。

 ところで、女性のレディ・カワグチが男性プレイヤーに負けた場合は、称号がどうなるかも気にしつつ、
 女性枠は男性枠とは別に設けられているのかな。模型作りやガンプラバトルの技量には、一般的なスポーツほどの肉体的な男女差はないと思うけど、社会ジェンダー的な格差やメンタル面での差はあるのかも、と思ったり。

 もちろん、3代めのタイトル維持期間の長さが異常なだけで、普通は名人タイトルは、2〜3年維持できればいい方とか(それぞれの生活環境の変化もあるだろうし)、
 3代めカワグチという変人を基準に、ジェンダーの違いを云々しても意味がない可能性もあるかも。

 まあ、何にせよ、歴代主人公や重要キャラが相変わらずだったということが分かれば、それでいいな、と。

 久々にラルさんを見て、懐かしんだり。

 欲を言えば、レイジとカミキ・セカイを対面させたかったとか(セカイの師匠がレイジでは? 説とか放送中にはあったし)、
 レイジの嫁のアイラとか、娘との絡みも見たかったり、クロスオーバー物としても、まだまだ見たい物がいろいろあって、食い足りない感覚が強し、と。

 どちらかと言えば、否定的な作品感想ですが、それはメインドラマ部分がややこしい話をしているのに、尺が短すぎて、感情移入する間もなく終わった、という点ですな。
 日系ハワイアン・ボーイと、クールな師匠お姉さんの絡みが、本当に少なくて、師匠超えのドラマとか、ライバル対決があっという間に、旧作キャラの波に流されてしまって、ゆっくり堪能できなかったな、と。

 あとは、やはり主人公機には、スーパーなメカギミックが欲しかった。
 師匠の機体と師弟合体とか、それじゃなくても、師匠の機体の武器を受け継いでの2刀流とか、歴代主人公のパーツが飛んできて、スーパービルドメタ合体とか、何か一つ特筆するものがあればなあ。

 結局、物足りないで感想が終わってしまいました(苦笑)。

PS.境界戦機については、特に食指が動かず、ですが、何か面白いネタがあれば、承りたく。なければ、別にいいかな。
 

Re: 10月のスレッド(2023) - K.K

2023/10/24 (Tue) 22:41:45

 定期感想その6です。

 ゴブスレの情報を拝読でつい反応したくなるんですが、グッとこらえまして。1期全視聴&感想とかでさすがに時間取りすぎ、日常の用事もいろいろ後回しにしたツケがちょっと来ておりまして(^^;。次のゴブスレ感想まで先延ばしして申し上げたく。

 境界戦機は改めて考えてみようとして、しかしストーリーもメカもなんだかよく思い出せず。1話10分を隔週で6話というのが、自分にとってはネックだったかもしれません。たぶん書けることがない。

 ビルドメタバースは過去4作をこうまとめますという構想を、歴代主人公顔見世サービスで紹介してくれたのかなと。こちらで拝読したことに被らないことが書けるかどうか、現時点でちょっと分かりません。ニチアサ2週分の感想書いて落ち着いたら、ちょっと考えてみようと思います。もしかすると次のゴブスレ感想時になるかも。

●仮面ライダーガッチャード
・第7話:さよならサボニードル

 最初ちょっと混乱しまして、「針」絡みです。メインゲストの小学生:砂山理玖が連れて来たサボニードルはサボテンモチーフで針(棘)がある。これは蓮華がカードに封印するものの、理玖を襲撃してきたマルガムは針攻撃を使う。その状況をアカデミーで聞いた錆丸は、敵が何者か推測してスパナに告げようとするところでシーンが切り替わる。

 冒頭を思い出してみると、理玖の父親(賢二)はサボニードルを「捨てて来なさい」と言ったわけで、普通はサボテンの鉢植えくらい文句言わないはず。犬や猫など動物拾って来たときみたいなわけですが、サボニードルはケミー。となると、父親は以前からケミーを知る立場の人間? 教会のラケシスに会いに行ったのは信者だから?

 これはもしかすると宝太郎と蓮華が揉め、スパナとミナトが論争した「ケミーが善良な人間/心に取りつくのはレアケース」なのかなと思いました。少年:理玖をサボニードルが裏切り、さあどうするかみたいなドラマなのかと。

 しかし全然違いまして、上述のような狙いの演出・ドラマではなかったらしい。最初の襲撃で、サボニードルのカードはガッチャードが持ってて使ってました。字幕を出してみると敵は「ドラゴンフライマルガム」と出てました。裏事情は制作は狙っておらず、自分が勝手に妄想してややこしく考えてしまっただけ(^^;。

 やはりまだ1クールめということで、ガッチャードを楽しく紹介する演出が続いているみたいですね。ただし2クールめ以降への布石らしいものも見せてくれてまして、スパナが探る敵(冥黒の三姉妹)の目的が単純ではないらしいこと、その冥黒の三姉妹の長女アトロポスは「フラスコの中の憎悪は」と意味深そうなことを言って、りんねに接触してくるなどがありますな。

 しかしそこまででして、前後編のドラマは少年 理玖とサボニードルの友愛。今話では(おそらくはいったん仲良くなった)サボニードルを理玖は捨てようとし、それは教育熱心な父親(賢二)の言いつけらしい。宝太郎らを頼ってきたのは、面倒見てくれそうだと頼ってきたわけで、未だ気持ちはサボニードルに向いていることが分かります。しかし口ではサボニードルを友達でないと言い、カード内のサボニードルをガッカリさせてしまう。

 一方、父親のほうは教育熱心が過ぎて生じた闇をラケシスに突かれ、マルガムとなってしまうと。そしてまだサボニードルを理玖が手放さず、それを宝太郎が手助けしていると思い込んで襲って来るわけですね。いったんはガッチャード/宝太郎はサボニードルの力を借りて迎撃するも、なぜかサボニードルが突如離脱してしまってピンチとなり、続く。

・第8話:グレイトなきずな

 前話ラストのバトルの続きで、ガッチャードは他のカードでピンチを脱し、理玖を連れて何とか逃げ去る。ようやく理玖が本心見せまして、「サボ助は!?」と心配して大騒ぎ。出会いから今までのことも語ってくれる。やっぱり友達ということですね。棘を持っていたお蔭ですぐに探し出せて仲直り。前の戦いでは理玖に「友達ではない」と言われたショックがサボ助にあり、逃げ出したらしい。

 しかしサボニードル排除で凝り固まった父親(賢二)/ドラゴンフライマルガムも追ってきて、ロクな話もできずに再びバトルへ。ラケシス(坂巻有紗)も援護に現れ、クローバーマルガムで参戦と。しかしスパナ/ヴァルバラドも駆けつけ、既に調べた敵ドラゴンフライ対応に適するカードをガッチャードに渡し、自分(ヴァルバラド)はラケシス/クローバーマルガムの抑えに。

 さすがにこれだけ準備があるお陰で、ドラゴンフライマルガムを撃破してグレイトンボを封印、ラケシスも討ち漏らしではありますが撤退には追い込む。父親(賢二)は文字通り「憑き物が落ちた」ようでして、行き過ぎを反省して息子(理玖)に詫びる。理玖のケミーに関する記憶は消去されたようですが、サボ助が理玖に残した花はそのまま。いずれ宝太郎の願いが叶ったら、再会することもあるんだろう。

 冥黒の三姉妹のアトロポスのほうは、りんねに父親存命と匂わせて動揺させ、さらに一般人を操ってみせての恫喝。りんねが反発しますと、アトロポスはあっけなく去ってしまい、狙いは見えずですね。拠点の教会に戻り、敗戦でいささか悔し気なラケシスを宥めて、計画は進行しつつあるみたいなこと言ってますな。

 どうなるんだろうと思いますが、次回「ダッシュで京都!修学旅行!」は東映太秦村編のようですね。ドラマの展開控えめでお祭り性が高いと見ていいのかも。

●王様戦隊キングオージャー

 OPで監督などの名前がNOVAさんでも読み取りにくいと伺い、それなら自分は見落とすはずだと納得。いや読み取れた方がいいんですが、慣れた人でも読み取りにくく、かつ今までとは異なる変則的な表示だとなりますと、制作が意図して意識させないようにしてるのかな。もしそうだとして、狙いは分かりかねますorz。

・第33話:シューゴー!キングとキョウリュウ!!

 キョウリュウジャーとのコラボだと思ってましたら、マクロスでもあったようです(^^;。コーカサスカブト城が超巨大ロボと既に判明してますが、今話では巨大宇宙船でもあると示されました。ロボット兼宇宙船、しかも歌が勝利の鍵。いずれ戦隊とマクロスがコラボ、ということはありそうもないですから、偶然の一致なんでしょうね。

 今回も坂本浩一監督回でして、前話から引き続きアクションを楽しめますね。くるっと回る動きが主体のようで、それをカメラが移動しつつ、意図的に揺らしながら追って行く感じ。その場で一緒に戦っている仲間視点のようでして、観ていて自分がその場にいるような感覚が生じます。

 ともかく本編。前話ラストからの続きでバトルはかろうじて戦隊側の勝利という感じですが、いかんせん変身できるのがギラとプリンスだけで、巨大メカも欠いてます。そのまま押し切ることはできず、むしろかろうじて撤退できたといったところか。

 キョウリュウジャー拠点に帰り着いても、避難民らの表情は暗い。ブレイブや獣電竜を欠く戦力もさることながら、「地球のメロディ」を失っているのが最大のネックらしい。そういやキョウリュウジャー本編では勝利の要でしたな。キャンデリラによれば、音楽自体、長らく忘れているとのこと。

 絶望的になるのも仕方ないですが、何とか笑うことくらいはということで、リタの久しぶりのにらめっこはちょっと笑った。どんな顔でやってるか、たぶん永遠に見せてはもらえないんでしょうな。しかしソウジは負傷、獣電竜解放に向かったアミィはあと少しのところで見つかってしまい、捕まってしまう。

 一方、チキューではちょっとおかしなことが起こりまして、今話ではいい方向に働いてはいるんですが、次話を踏まえますと不気味でもあります。スズメが「ラクレス様」の導きだとして、コーカサスカブト城を宇宙船としてシュゴッドと共に発進させてます。これがいいタイミングで地球に到達するものの、なぜ場所が分かったのとか、この時点ではいろいろ謎。

 しかしともかくは地球での動き。アミィは変身できる戦力のプリンス&ギラが救出し、これで獣電竜も確保。アミィへのギラの挨拶「初めまして、邪悪の王です」はちょっと笑った。

 しかしギラ&プリンス不在の隙を突いて、デーボス軍はキョウリュウジャー側拠点を急襲、両戦隊戦士は生身で迎え撃つしかない。が、ヒメノが思うところあってピアノを弾きますと、これが「地球のメロディ」(でありキョウリュウジャーテーマソング)。これでキョウリュウジャーにブレイブの力が戻り、キングオージャーにはキングコーカサス城の宇宙船と共に飛来したシュゴッドにより力が戻る。

 プリンスらはまずアミィが見つけた獣電竜の場の守将デーボスを撃破、直ちに拠点での迎撃戦に加わり、主将のデーボスを配下諸共撃破、デーボスは巨大化するも、キングオージャー&キョウリュウジンのタッグで撃破。「地球のメロディ」以降は一気呵成という感じでした。

 戦い終わっての両戦隊の別れでプリンスが初めて名前を明かしまして「桐生ダイゴロウ」。これはキョウリュウジャーの面々のみならず、観ているこちらは「ははーん、さては」ということですな。キョウリュウジャー劇場版では曽孫(3世代め)登場とのことですが、このTVコラボ版では次世代でしたか。

・第34話:シュゴ仮面の逆襲

 地球から無事に帰還ですが、ギラらは7日しか経ってないと思ったら、チキューでは半年経過。ヤンマ解説で久しぶりにフィクションで「相対性理論」の名前を聞きました。以前はウラシマ効果だの双子のパラドクスなどを使う相対性理論解説番組あったりしましたが、途絶えて久しい感じですね。

 今話でも理論名のみの言及ですが、ちょっと自分で計算してみました。ギラらが地球に飛ばされたのはゲートみたいなものを通ってですんで、チキューでも地球でも同じ一瞬だったんでしょう。キングコーカサス城が宇宙船として地球に向かう際は、いわゆるワープ演出ありましたんで、これも両星で同じ一瞬としておきます。

 帰還時のみ通常航行(ほぼ全行程を等速直線運動と仮定)だとしますと、光速度の99.95%で0.5光年を飛べばいいようです。チキューと地球の距離は最大で0.5光年。現実の地球(太陽系)からは、そんな近くに恒星系はありませんので、キングオージャー(とキョウリュウジャー)世界ではかなり星が密にあるとなりそうです。

 いきなり脱線しました、すみません。ギラらがチキュー近傍までたどり着くと、無数の迎撃機が待ち構えてたわけですね(マクロスFのバジュラ思い出したりする)。これを突破し、なんとか元のキングコーカサス城として着陸。これを仮面の男が眺めていまして、あとでシュゴ仮面と呼ばれ、その後すぐに仮面を脱いでラクレスと分かるわけですね。

 正体明かすのを全く引っ張らず、意外なほどあっさり素顔を見せたのにはちょっと戸惑いました。サブタイトルにも「シュゴ仮面」と入れるほどですから、(「ははーん、さてはラクレスだな」と思わせつつも)「コイツの正体は?」のドラマをやってくれるものと思ってました。

 しかし、シュゴッダム国民にラクレスと知られず、謎の「シュゴ仮面」として、半年間君臨していたということが、今後のドラマ展開で大事なのかもしれません。王妃ないしは婚約者であるスズメの思惑や動きにも関係しそうです。

 それは先のことでして、今はギラらが「王の帰還」として意気揚々と街に出て見ると、石を投げられる。なんだと思ったら、ゴローゲが「半年間も何してた」と詰り始める。すっかり太り、デカいおにぎり2つ食いながらでして、「強い者につくゴローゲだから、この状況は」と察するものありです。

 案の定、宇蟲王ダグデドが出て来る。半年の時間を稼ぎ、チキューを平定(?)してしまっていたわけですな。ギラらが帰還するのを狙って「王様狩り」ゲームを始める。(元)王様を狩れば王族扱いで贅沢三昧が報酬となり、ほとんどの国民が王を追いまわし始める。

 と言っても、王は/オージャー戦士ですから簡単にしてやられるはずはなく、しかし王たる自覚ありますんで、追って来る国民を叩き伏せることもできない。やむを得ず逃げるわけですが、ギラはコガネに手招きされて児童養護園へ。欲に囚われず正気を保ってる者もいるわけですね。残念ながらあれほどギラと親しかったブーンはンコソパ製のゲームに夢中でギラを見もしませんが。

 バグナラク国も欲望に侵食されてまして、キンバエジームがサナギムを率いて王様狩りに参加してくる。しかし王様戦隊側も地球のキョウリュウジャーからヤンマが学んで作ったキングガブリカリバー、さらに地球からついて来てくれていたミニティラが負傷したゴッドクワガタ/クワゴンの代わりとなり、とりあえずキンバエジームは撃破。
(やたらダンスを取り入れる点も含めて考えると、キョウリュウジャーはまた出てきてくれそうな気がします。)

 しかしキンバエジームは前座とも言えまして、今話の本命は着陸したキングコーカサス城をすぐさま乗っ取った仮面の男ですね。その前にまずスズメがギラらの相手をする。そこまででギラはシュゴッダムが豊かならば、玉座についた仮面の男=シュゴ仮面が王でもいいと考えたようですが、とんでもないことが起こっていたと。

 チキューは平定されたものの、シュゴッダム以外にはダグデド配下の宇蟲五道化が支配者として送り込まれ、収奪してシュゴッダムに物資を送り込んでたわけですね。つまり、各国はシュゴッダムの植民地みたいになって搾り取られ、シュゴッダムのみが栄えている。イシャバーナの国宝をゴローゲが身に着けていたのも、そのせいでしたか。

 シュゴッダムの現支配者のシュゴ仮面とは何者か、となって、あっさりと仮面を外して正体がラクレスと明かされる。ダグデドのもとでチキューどころか宇宙まで統一したいらしい。決闘して崖下に転落したのはずいぶん前ですね。ダグデドに与するまで、どこで何してたんだろう。傀儡とされてもなおバグナラクに屈するのを拒んだ気概はまだあるんだろうか。

 シュゴ仮面=ラクレスを慕うスズメの動向も謎ですね。キングコーカサス城を宇宙船として送り出す際は「ラクレス様」の啓示と言っており、おそらくはその後にラクレスがシュゴ仮面として出てきてスズメを取り込んだと思われます。そのスズメは(シュゴ仮面の正体を知りつつ)ラクレスに代えてギラに忠誠を誓ったはずのドゥーガに何らかの圧力をかけて従わせている。

 スズメは前半のバグナラクとの闘争の時期は、(ラクレスへの個人的な感情はさておき)兄のカグラギと肝胆相照らして祖国トウフのために尽力し、周囲をたばかってました。ドゥーガは不本意さを隠し切れてませんし、次回予告を見ますとシオカラはあくまでも総長ヤンマについて行く姿勢らしい。スズメは本心ではどうなのか気になります。

 次回「泣くなスカポンタヌキ」ではいったんシュゴッダムは棚上げらしく、舞台はンコソパに移るようですね。宇蟲五道化支配下の各国を取り戻していき、シュゴッダムに帰って来ると言う段取りになるのかしらん。キングオージャーではなんだか各国巡りが恒例となっている気がします(^^;。

 余談ですが前話に引き続き、ギラの台詞でちょっと気に入るものありです。今話は「鬼で結構、悪魔で上等」です。なぜこれがツボなのか分かりませんが、自分でも一度言ってみたい気がします(が、そんな啖呵切る場面が自分に生じるとは思えない ^^;)。

Re: 10月のスレッド(2023) - Shiny NOVA

2023/10/26 (Thu) 01:02:03

 ビルドメタバース、3話のサブタイトルを「トライ&ビルド」と書きましたが、正しくは「トライ&ファイト」でした。

 間違いを直した上で、特撮感想。

★ガッチャード

 ビークルケミーが9種コンプリートしたのに続き、今度はインセクトケミーが7種まで集まりました。現在リーチが掛かっているのはジョブケミーですな。
 並べてみると、

1.ホッパー1
2.ピカホタル
3.ゲンゲンチョウチョ
4.バクオンゼミ
5.アントルーパー
6.グレイトンボ
7.
8.
9.カマンティス
 
1.オドリッパ(踊り子+ストリッパー)
2.ドッキリマジーン(マジシャン)
3.ドクターコゾー(医者)
4.パイレッツ(海賊)
5.レスラーG(プロレスラー)
6.サスケマル(忍者)
7.バレットバーン(ガンマン)
8.アッパレブシドー(侍)
9.

 ビークルはコンプリートしても何も起こらないので、今後どうなるか、ですが、
 8話で35枚。6属性9ナンバーの54種までは残り19枚なので、年末までには十分集まると踏んでいます。

 こういうのはビンゴゲームと同じで、空いている穴が埋まるのが結構楽しみに思えます。
 番号が付いているカードだと、仮面ライダー剣のトランプが面白かったなあ、とか。

 で、本編ですが、サボニードル前後編は、企画始めからのメインライターである内田裕基さんの単独初脚本回。
 それだけに、ちょっとした転機になるのかと思いながら見ていたら、今作初の前後編でした。これまでは昭和の昔ながらの単純で分かりやすい1話完結ものでしたので、ドラマがじっくり展開するのかとか、敵の動きが活性化するのかとか、いろいろ思っていると、

 冥黒の三姉妹の長女アトロポスがいよいよ動き始めて、りんねにちょっかいをかけ始めましたな。
 ラケシスがスパナと因縁を結んだり、武闘派クロトーは宝太郎と対立する流れかな。

 敵の計画にも縦糸が見え始めて、事件解決とカード集め以外の大筋が描かれ始めるかな、と。

 でも、次回は映画村編か。これも前後編になるのかどうか。

★キングオージャー

 キョウリュウジャー編で城が宇宙船になって、これからは宇宙が舞台に……と思ったら、敵の物量が圧倒的で、かろうじて母星に着陸成功。

 だけど、地球からの帰還に半年もかかって、チキューはすでに征服されていたのか。
 オーレンジャーの終盤にも同じような展開があったなあ、と思い出しつつ、敵に占拠された地球でレジスタンスの末の逆転劇がありました。

 本作はこれからじっくり叛逆の王たちの物語を描くのだと思いつつ、その前に立ちはだかるのがシュゴ仮面、いや、ラクレス?
 いきなり正体を明かす? と思いきや、自分はこのラクレスが偽者である可能性を疑っております。

 ラクレスがやはり悪い奴と思って、4ヶ国巡りをしてからシュゴッダムに帰って来たものの、強大な敵の力にピンチのキングオージャー。
 しかし、そこに颯爽と真のラクレスが出現し、ギラたちのピンチを救う。
「バカな。ラクレスが2人?」と驚くヤンマたち。
「いや、私は一人だ。それを証明してやろう」とか言って、ラクレスが偽者を圧倒的なパワーで大ダメージを与える。

 そうして、ラクレスが味方に加入する辺りでクリスマス決戦に突入すると、自分が喜びます(笑)。
 現時点では、思いつきの願望交じりの妄想予想ですが、ラクレスが加入するには、そうするしかなさそうなので、さもないとラクレスを敵のまま倒さないといけない話になってしまう。

 偽ラクレスを倒して、禊を晴らす本物ラクレスなら、話は盛り上がりそう、と思い込んでおります。
 果たして、どうなることやら。

Re: 10月のスレッド(2023) - Shiny NOVA

2023/10/28 (Sat) 11:23:52

 週末ゴブスレ感想です。

★ゴブスレII(アニメ4話)

 想定どおり原作小説の「各々の戦い」と「そして冒険へ」を上手くまとめて、間章の「異世界から勇者が帰還する話」は割愛。

 少年魔術師が「クレスクント(成長、膨張)」の3回唱えで、自分の声を大音声に高めて、周囲のゴブリンに音波攻撃というか、気絶させたり怯えさせて撤退に追い込む形。

 その一方、地下では蜥蜴僧侶が「竜吼(ドラゴンロアー)」の魔法で、ゴブリンの群れを怯えさせて撤退させるという、結果的に同じことをしていたのですな。

 で、原作との違いは、ほぼないのですが、尺の都合で最後のシーンだけ。
 少年魔術師と圃人剣士が旅立つのを見送ったゴブスレさん。そのシーンで牛飼娘は登場していません。
 見送った後、牧場への帰り道で牛飼娘が出迎えて、最後のやり取りになる原作エンディングを、上手く一つのシーンにまとめて、2人の新人の旅立ちを彼女もゴブスレさんといっしょに見送る形に改変されました。

 で、ここでの感想としては、「ゴブリンスレイヤーが劇中で初めて笑った」のが印象的、ということですね。
 彼は10年前のゴブリン襲撃で心が壊れて以来、機械のように淡々とした情緒表現しかできなかったのが(それでも内面の感情を読みとって、理解してくれるヒロイン役が多いので、彼の内面の人柄は描写されている)、ここで初めて、彼の情緒が癒やされる(自分の過去の似姿である少年魔術師が自分の昔の夢である冒険者への道を歩み始めたことで)というシーンですな。

★5話予告

 こちらが想定外でした。
 ええと、自分が想定していたのは、原作3巻の収穫祭が後に回されて、そこに至る前に、過去編やら短編集のエピソードを中盤に持ってくる、というものでした。

 しかし、次回のサブタイトル「かみきり丸、南の川へ」は、原作7巻の第2章なんですね。
 自分の反応は「え、7巻やるの?」です。
 コミックで連載中の話を同じタイミングでやるとは思わなかったし、7巻をやると、同時に8巻もやらないといけなくなる。と言うのも、7巻の最後で「女神官が呪文の使い方で、地母神さまの不興を買う」→8巻の試練を経て「地母神さまに許される」というつながりになっているからです。

 7巻は妖精弓手の姉が結婚するということで、彼女の故郷の森から招待状が送られてくる。
 そこでゴブスレさんたちの一行が、エルフの森へ向かうんですが、その旅に受付嬢と牛飼娘も同行する流れになるんですね。目的が、いつものゴブリン退治でも、冒険でもなくて、友人の姉の結婚式への招待ですから、妖精弓手が仲の良い女友達を誘う形。
 なお、日常生活で妖精弓手が受付嬢や牛飼娘と仲良く付き合うようになった経緯は、短編集の4巻で描かれています。「冒険者の訓練教育用のRPG風ボードゲーム」を受付嬢がギルドの備品倉庫から取り出してきて、試しに遊んでみようと女の子同士のゲーム会を行うエピソードがあって(頑張ったけど、世界は救えませんでしたってオチ。でも、面白かったので、またやろうって展開)、
 女の子の友だちがほとんどいなかった牛飼娘(彼女もゴブリン襲撃で両親と故郷を失ってから引きこもり生活になってたので)が、ゴブスレさんとの縁が広がって、友人の輪が広がるエピソードですね。
 ゴブスレさんの前では明るく振る舞っている彼女が、一人では寂しがり屋の引っ込み思案で悩みがちなのを、変わりたいって思っているという内面が描かれて、いつもと違う日常編ってことで。

 そうしたガールズトーク的な経緯があっての、「妖精弓手が仲良しの女友だちを故郷に招待する」って流れですね。
 まあ、過程が思いきり飛ばされていますが、普段はそれぞれの仕事ばかりの受付嬢と牛飼娘が余暇を楽しんでおいで、といつもの街や牧場の外に出向く巻でもあります。

 で、肝心のゴブスレさんが「いや、俺はゴブリン退治をしないと」と拒みそうになったのを、
 女神官が「だけど友だちの身内の慶事に付き合うことも大切ですよ」とたしなめたり、
 受付嬢が「これはエルフとの外交につながるギルドからの依頼です。道中でゴブリンが出るかもしれないので、ゴブリンスレイヤーさんには私の護衛をしてもらわないと」と上手く納得させる。
 何だかんだ言って、受付嬢はゴブスレさんの仕事に関した扱い方が慣れているわけで。

 で、道中、水の街に寄ることにもなって、剣の乙女との再会劇。
 剣の乙女が初めて牛飼娘の存在を知って、一方的な対抗意識を燃やす内面も。
 その際、剣の乙女にまつわるエピソードが、次の8巻の伏線にもなったり。

 ともかく、7巻→8巻の流れに入るなら、自分の想定した(理想的と思い込んでいた)構成が崩れてしまうので、「えっ、ええっ!?」て気分でもあるのですが(何よりも3巻の収穫祭エピソードが完全に飛ばされてしまうことが残念)、
 現実をしっかり受け止めて、楽しめるところを見つけるのが大事と割り切ることに。

 その上で、「こういう想定をしていたのにな」という気持ちも込めての前回までのレスをば。

>貨幣価値・追記

 金貨の価値がどれくらいか、ですが「金貨1、2枚があれば、1ヶ月は暮らせる」という記述もありますね。
 あと、農村では銅貨が基本貨幣として流通(銅貨10枚で銀貨)。街では銀貨が基準で、金貨が高額貨幣になりますか。
 大金貨については、一般には流通していないみたいで、王侯貴族や大商人レベルでの取り引きに使われるみたいです。

 冒険者にとっては、銀貨と金貨をよく見かけますが、白磁の相場の銀貨10枚も、農村の人たちが銅貨100枚を集めて……と思えば、決してバカにできるものではないものの、自給自足でない冒険者の装備や宿泊代などを考えると心許ない、と。

>花柄の財布

 アニメ3話でゴブスレさんが似つかわしくないデザインの財布を出して、もしかすると牛飼娘のプレゼント? という声も聞かれましたが、これ、実はお姉さんの形見なんです。

 原作6巻では描写されていなくて、過去編外伝のイヤーワンで描かれていたのをここで出して来たのは、アニメの今後の展開の伏線なのかな? と昨夜までは想像していたのですが、
 次が7巻なら、それはないな、と。

 いや、まあ、妖精弓手の姉の結婚ということで、ゴブスレさんが自分の姉のことを回想するシーンもありながら、「お前の姉が幸せそうで良かった」と言うシーンがあったりも。

 ともあれ、イヤーワンをアニメでやらないなら、ただの匂わせ演出なのかもしれないですが、そういうのに翻弄されているのが自分の今の視聴体験です。

>音をたてずにゴブリンを殺す8つの方法

 原作では、解説されていません。

 自分が挙げた4つは、これまでの物語から自分が想像した「こんな感じだろう」って事例列挙ですね。
 少し紛らわしい書き方でした。

 それにしても、ゴブスレさん、自分の方法論を思いつきで説明するのではなく、前もって「8つ」と数を押さえていたとは、しっかり予習していたんだな、と感じました。

>8巻

 7巻が来るなら、8巻も来るのだろう、と推察しながら、その内容を触れてみる。
 7巻のエルフの森に次いで、8巻は「剣の乙女のお供として、いよいよ王都へ向かう話」です。

 そこで王の妹が、女神官とそっくりの少女ということになって、冒険者に憧れる王妹ちゃんが、女神官の装備を拝借して、城を抜け出したら、悪徳貴族と手を結んだ邪教団に拉致されて、魔神王復活のための生贄にされそうになる。

 国王は自ら妹を助けに行こうとしたがるんですが、私事のために公務を疎かにしようとする国王を糾弾しようとするのが、悪徳貴族連中の目論見なので、剣の乙女の助言で「冒険者のゴブスレ一行に王妹救出を依頼する」流れに。
 そんなわけで、8巻はかなり大規模な話になるため、アニメ2期のクライマックスにもなっても納得はできる。

 そして、この冒険の舞台が、10年前のダイカタナの舞台となった「死の迷宮」の跡地。
 当時は地下10階まであったウィザードリィ風ダンジョンでしたが、4階から下が崩壊し、ゴブスレさんたちの時代では地下4階までしか残っていない。
 迷宮の地図は、すでに攻略済みの剣の乙女から提供されているので、ゴブスレ一行は難なく「伝説のダンジョン」に踏み込むわけですが、案の定、そこはゴブリンどもが巣食っているわけで。

 エルフの森といい、死の迷宮といい、向かうところはどこでもゴブリンと遭遇して、「やはりゴブリンか」となってしまうのが、もはや定番ギャグにも思えるのですが、
 物語規模が、「辺境の町から、大規模な都会の水の街」だった1期から、「雪山の要塞」だった劇場版を経て、「辺境の街から、エルフの森へ、そして王都と、魔神王が巣食っていた深淵ダンジョンの跡地」へと展開するのがアニメ2期? という感じになって来ました。

 8巻をやるなら、2期OPのダイカタナパーティーの描写も納得というものです。

>ダイカタナ

 剣の乙女を含む侍リーダーの戦いは、最初に「イヤーワン」の冒頭で描かれました。
 ゴブスレさんの村がゴブリンの襲撃で壊滅したのと同じ時期に、世界では魔神王が猛威を奮い、今の冒険者上がりの国王が魔王軍を地上で食い止めている間に、6英雄が迷宮の底で魔神王を討伐していたという歴史が序章でチラ見せされる。

 で、ゴブスレ8巻で、その王と剣の乙女の過去の冒険が回想的に語られた後、
 そのエピソードを一つの作品化したのが外伝2のダイカタナということになります。

 原作の刊行順だと、6巻→7巻とイヤーワン→8巻→ダイカタナとなるわけで、
 アニメ2期が、イヤーワンやダイカタナをチラ見せしつつ、6、7、8と順当に進めるなら、こちらの想定よりも、物語を急テンポで展開するんだなあって感想です。

 まあ、3巻の収穫祭エピソードが完全に割愛されてしまう流れで残念に思う気持ちもありますが(1期でいろいろ伏線をまいていたのに)、3巻がなければ後が困るということでもないので、まあいいかな、と。

>3巻

 派手なバトルやサスペンスは終盤で、どちらかと言えば、キャラ同士の日常交流回の趣きが強い。
 とりわけ、受付嬢と牛飼娘の非冒険者ヒロインが掘り下げられて、冒険に出てない冒険者たちの街での生活が丁寧に描写されている。

 そんな中で、ヒロインたちとのお祭りデートに誘われながら、上手くスケジュール調整をする一方で、街をゴブリンが襲撃した際に備えて、黙々と準備に励むゴブスレさんの地道な作業が最後に功を奏する流れになる。

 後から回想的でも、ダイジェストでもいいから、フォローされないかなあ、と思ってる今朝でした。

Re: 10月のスレッド(2023) - K.K

2023/10/29 (Sun) 22:54:45

 定期感想その1です。

 予約録画してましたら、次の金曜(11/3)に「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」TV放映があるのに気が付きました。調べるとその次の金曜(11/10)に「ノー・ウェイ・ホーム」放映ですね。

 このシリーズ初作「ホームカミング」TV放映が2019年7月だったはずで、ずいぶん久しぶりです。TV視聴してから調べると、EDロール後の次へつながる大事なシーンがカットされていたとのことで、今回の第2・3作目はどうなるか、ちょっと不安です。

●ゴブリンスレイヤーI

 無料視聴があるうちにと2回め視聴を進めておりまして、自分の見落としに気が付いたり、こちらで伺ったことを踏まえると興味深かったり、より緊迫感を感じたりです。

 見落としでは第1話早々にありまして、初見ではゴブスレさんがシャーマンを取り逃がし、「しぶとい」と愚痴ったのだと思っておりました。が、もう一度観てみると、きちんと倒してたのに気が付きました。投げ槍でいったん倒したように見えたものの、ゴブスレさんが近づくと起き上がって襲う。そこを指しての「しぶとい」だったようです。

 あるいは水の街の地下水路で天井崩落戦術を使ったとき。初見ではゴブスレさんが位置を最初から街はずれと把握していたと思ったんですが、観なおすとマッパーの蜥蜴僧侶さんに街との位置を確認してました。その他にもちらほら「あれ、間違って覚えてた」がありまして、やはり自分は一度ではちゃんと把握できないようですorz。

 こちらで伺ったものが再視聴で役立ったのは、例えば地下水路でいったんゴブスレさんが重傷を負う辛勝の戦いのとき。魔法回数について伺ってみると、特に女神官さんの行動がよく分かったりします。3回というのは第1回で女神官さん自身が言っていたわけですが、自分は気にしてなかったようです。

 3回を踏まえてみますと、防御や目くらましで使い切ってしまい、チャンピオンに吹っ飛ばされたゴブスレさんをどうしようもできなくなったことが分かり、絶望感が伝わってきます。さらにその直後にチャンピオンに掴まれてからの無力感もですね。それがあるからこその根性復活のゴブスレさんが嬉しかったんだろうし、戦闘直後に倒れたゴブスレさんに取り乱す気持ちもよく分かる。

 それにしても魔法最大3回って確率1/36でしか発生しない、なかなかの素質ということだったんですか。第1回で女神官さんが「たった」と謙遜しているんで(なのか自信のなさか?)、自分はなんとなく大したことないと感じ取ってしまったようです。

 さらに、こちらでも伺い、1期第1話の女魔法使い関連で調べて確認し、2期の訓練でも描写された、魔法の呪文についても多少分かったことで、さらに面白く思えるシーンが思い出されたりします。呪文が3つの言葉から成っている点ですね。魔女さんは魔法を浪費するようで節約しているらしいんですが、それは例えばタバコに火をつけるに「インフラマラエ」しか唱えないからみたいです。

 3語で使う魔法のうち1語しか唱えないのが節約になってるみたいですね。そして3語の組み合わせは学校で習った通りとは限らず(たぶん、それが威力最大であるにすぎない)、その場に応じて唱える言葉を選んでよい、というのは2期第2話感想のほうで。

 通貨に銅貨もあると聞いてみますと、第2話でギルドに依頼に来た村人が出した報酬が少額であるのも分かりました。銅貨10枚、銀貨4枚、それと四角っぽいものが2つ。四角も銀貨相当と仮定すると銀貨7枚ですね。にこやかに対応した受付嬢さんが、後で同僚さんに問われて、指で『とても少ない』と示したのはそういうことだったかと納得です。同時に村が貧しいらしいことも分かります。

 そのシーンは自分の見落としにもつながってまして、「貴族令嬢」のパーティです。第2話ラストで女神官さんが「先に潜った人たち」と触れてたの、初見では気にしてませんでした。ゴブスレさんが襲撃する直前のゴブリンの様子も気にしてなかったんですが、そこにちらっと先行の貴族令嬢パーティの末路が映ってたんでしたか。

 初見時では自分はウィキペディアの読み違えで「貴族令嬢」と(劇場版登場の)「令嬢剣士」がごっちゃになってまして、それも気づかなかった原因の1つ。勘違いを正して第2話を観てみますと、依頼に来た村人が「小鬼は女を襲って手籠めにして食っちまう」と心配していたのが村で起こった事件で、貴族令嬢パーティはその救出に向かったようですね。

 バランスよさそうなパーティで、皆が熟練者。準備も整え、ゴブリンの夜行性を考慮して昼に討伐決行。しかし壊滅。それが女神官さんの言う「先に潜った人たち」でしたか。貴族令嬢のボロボロの亡骸は川に捨てられ、それを見て村人がギルドに依頼に来たらしい。「村が貧しいらしい」と申したのは、それほどの状況ですから村の金をかき集めたはずですが、それが銀貨7枚相当しかないと思えるので。

 興味深いのは小説での地の文では貴族令嬢パーティが「ひとえに運が悪かった」とされているらしいこと。ゴブスレさんの評では「想像力がなかった」ですね。「運」をサイコロと考えてみると、サイコロを振らせないのが想像力となりそうで、アニメ版で貴族令嬢パーティの顛末をもう少し触れてくれたら、ゴブスレさんについてもっと理解が深まったかもです。

●ゴブリンスレイヤーII(第4話:そして冒険へ)

 自分的には、ゴブスレさんが声出した笑ったのが最大のインパクトです。もし2期から観始めてたら驚かなかったかもしれませんが、1期第1話から通しで「ああ/そうか/etc」のゴブスレさんをずっと見たわけで。もっとも第2話で兜脱いで感情を見せたということはありますが、あれは観る前は想像ができなくても観れば納得するものでした。まさか笑うとは。

 それはさておき(^^;、この2期についてもいろいろご教示頂きまして、助かっております。いつも、ありがとうございます。今回は特に「花柄の財布」ですね。姉の形見でしたか。姉を大事に思っていると同時に、その財布を肌身離さないならば姉の死が棘の如く刺さり続けているということもありそう。そこがゴブスレさんを訓練場へ送り出してから、一人で頭を抱える牛飼い娘さんと被ったりする気もしてきます(が、今話で部分的に解決したものもありそう)。

 ともかく本編。第1話からのあれこれがゴブリン襲来を機に一気に解決する、スピーディな展開でした。ゴブリンの襲来は夕刻(ゴブリンの早朝)、いつの間にか掘り進めていたトンネルを通ってですね。推測では巣穴からの1つのトンネルからいくつも分岐させ、訓練場や村を複数個所から襲撃できる作りらしい。

 前話で示された、訓練場はゴブスレさんや牛飼娘さんが以前は住んでいた、ゴブリンに壊滅させられた村の跡地というのが、この後で戦術面としても、ゴブスレさんらの気持ちにも影響してくるのが興味深いところです。

 ゴブスレさん側としてはまず敵情視察ですが、訓練場では既に何人も犠牲者が出ている。その様子がゴブスレさんには一瞬、10年前に襲われた村と被るわけですね。が、女神官さんが駆けつけてきますと、ゴブスレさんはいつも通りに戦力確認。こちらで伺った、実は女神官さんは上級の「奇跡3回」ですな。

 ゴブスレさんは密かに復讐心もあるのか、それともいつも通りなのかの「ゴブリンどもは皆殺しだ」ですが、味方側には他にも大事なミッションがあるわけですね。味方側戦力が続々集結しまして作戦会議、訓練中の新人冒険者をどう守るかという話が出る。

 闘技場の新人はゴブスレさんの指揮に少年魔術師がきちんと応じて、防備体制に入ってる。重戦士が稽古つけてた新人も同じくらしい。状況が分かれば集結が有利と見て、足の速い妖精弓手さんがその2隊伝令に。

 これでゴブリンのトンネルから逆襲に転じよう、となるわけですが、女神官さんが急成長ぶりを見せまして、ゴブリンが新人狙い、言い換えれば弱い奴を襲うはずだと気づく。マズいことに夜戦訓練の新人は事態に気付いていない。その救出に、女神官さんが闘技場の新人隊を率いて向かおう、となるわけですな。女神官さんの(銀等級に守られているばかりではないという)実績にもつながる。

 衆議一決となりまして、2方面作戦開始。まず夜戦訓練の新人へはゴブリンに先手を取られる。稽古つけてた上級が誰かは分かりませんが、先に帰ったらしく、新人たちだけで夜道の帰途。そこをまず背後からゴブリンが遅い、しかも木のうえには多数のゴブリンが手頃な岩を抱えて待ち構えての落石攻撃。

 どうやら背後を突いて怯えさせ、負傷者を抱えて逃げ去るところを上から仕留める狙いらしい。逃げる際は装備を捨てると踏んでいたようで、まさにその通りに重い兜を脱いで走ろうとした戦士の頭部に岩が当たってしまう。

 戦術的にも数的にもゴブリン優勢で新人らは絶体絶命ですが、そこで待ってましたのヒーロー登場ですね。女神官さんの聖光/ホーリーライトでゴブリンの目をくらませておいての、新米戦士&圃人剣士の斬り込みでゴブリンの攻勢を止め、さらに少年魔術師や見習聖女も後ろに控える。

 見習聖女は負傷者への対応などテキパキですが、少年魔術師はじっと動かず、戦況を分析している模様。いったんは停止した敵ですが、いかんせん多勢に無勢、特に平野での戦いですから不利は明らか。敗れれば、第2話のアコライトのような犠牲者が出るし、おそらく姉とてそうだった。

 しかし第2話と違い、焦りや怒りに任せて動くことなく、敵が分散しているゆえ得意のファイアボールで対処不能と判断する少年魔術師、成長してますな。面白いのは、ここで少年魔術師が負けまいと思う相手がゴブスレさんであること。反発しているようで見習っていると見ていいんでしょう。鉱人道士さんの教え(魔法は使うもの)も、頭の中でこなれて来たらしい。

 さらに「枝と木の皮を組み合わせれば火を」など、周りにあるものも使えというのがヒントとなったらしい。ファイアボールの呪文「カリブンクルス・クレスクント・ヤクタ」のうち、クレスクント(膨らませる)を3回唱えておいての大声。音響爆弾、あるいは拡声器魔法といったところですね(これ、警報とか伝達にも使えるかも)。もしかすると、投石器の訓練も発想に寄与したかな?(投石器さえあれば、石はそこら中に落ちてる)

 これは聴覚も鋭いゴブリンには効きまして、一部は気絶させ、残りは驚愕して逃走にかかる。ただ、この技はこの後に蜥蜴僧侶さんがトンネルで使った竜吼/ドラゴンズロアーと同種であり、こちらでも伺った「結果的に同じこと」というものですね。いわば「車輪の再発明」ですが、この場合は必須で有用なもの。

 ゴブリンの逃走に少年魔術師はカッとしかけますが、女神官さんの撤退指示でハッと我に返る。圃人剣士さんが「さっきの何?」と好奇心満々で聞きに来たのも影響してるかも(姉:女魔法使いは才幹を評価されると嬉しいらしい)。

 少年魔術師の戦場到着からここまでを見るに、上述の貴族令嬢がゴブスレさん視点では持たなかったという「想像力」を持つに至ったようです。少年魔術師の姉:女魔法使いにもおそらくは欠けていたもの。悟りとも言えまして、パッと視界が開けるような感じでしょうね。

 ただし、教わったらすぐにできるようなことではなく、以前からの積み重ねあってでしょう。第1話時点でもギルドでゴブスレさんが受付嬢さんに報告する内容をメモろうとしてましたし、普段からの不断の努力があったはず。守破離で申せば、もともと学院で学んだ素養があり(守)、姉:女魔法使いの仇討ちで広く世に交わって学び(破)、ゴブスレさんを追って鉱人道士さんに学び、ついに免許皆伝レベルで戦えるようになった。

 そうして得たもの(離)が面白い。ゴブスレさんを追ったのは『ゴブリンを皆殺しにできたら気持ちが』だったはずが、「俺はゴブリンスレイヤーじゃねえ」と自覚するわけですね。直接的には、目の前にいる新人を助けて街に戻るのが優先ミッションと意識できたからですが、根っこには別のものがあったからかも。

 少年魔術師の当初の目的は(姉の命と名誉を奪った)ゴブリンを討つことですけど、本人も明確に意識しない願いはもしかすると『姉(女魔法使い)を助けたかった』かもしれない。ただ、離れた場所の姉を助けるなんて不可能ですんで、意識はしてなかったんでしょう。

 そこは実は、ゴブスレさんが自分の姉に対しても、女魔法使いについても、できればそうしたかったことと被ります。少年魔術師と異なるのは、いずれも目の前の出来事である点ですね。ゴブスレさんは剣の乙女さんの真意告白に対して、「俺は全て見ていた」→「だからお前(剣の乙女さん)の気持ちは分からない」とちょっと謎めいた返答をしています。

 あれって、もしかすると「分からない」は「考えようとすると感情が拒絶する」だったのかも。既に心臓近くまで届いている刃なんで、それ以上刺すと(心が)死ぬ、みたいな。ゴブリンをひたすら憎んで殺戮していれば、刃は止まり、痛みも和らぐのかもしれない。しかし、自ら引導渡した女魔法使いの弟が現れ、胸に刺さったままの刃を押してしまったのかなと。

 しかし、惨劇の現場から遠く、全てを間近で見たわけではない少年魔術師はゴブスレさんほどには至ってない。当初からゴブリンだけしか見ないゴブスレさんに違和感を覚え(遺跡跡の討伐時)、この防衛戦に勝って自覚したのは自分(少年魔術師)はゴブリンスレイヤーではないということ。そこはラストの別れの憎まれ口にも表れてましたな。

 それはともかく、ゴブスレさんらトンネル迎撃隊。さすが銀等級揃いであり、1期ラストでは共に戦った仲間でありまして、サクサクと進めてますな。敵の頭目はシャーマンで、ロードほどの数を従えてないらしい点も幸いしたかも。

 しかし1期第1話のシャーマンよりは利口のようで、既にある横穴から背後を突くのではなく、ぎりぎりまで掘り進めた横穴を破っての奇襲を用いてますな。が、歴戦の手練れには通用しない。余裕で迎え撃ち、少年魔術師のとっさの考案の大声の完成形のロアーや光を使って退かせ、一か所にまとめる。その上が池であることを知るゴブスレさんは、鉱人道士さんに頼んで天井を破壊、水を引き入れる。それを凍らせて膨張させて坑道を崩して殲滅ですか。その後、巣穴を叩き潰せば完了。

 新人を護衛しての地上戦は、敵からホブゴブリンですが、神とて実体あらば斬れると豪語する重戦士さんの敵ではない。まあ、1期では女騎士さんの援護ありとはいえ、チャンピオンを一刀両断でしたから、さもありなん。

 自分は前話時点で1期ラストの迎撃戦くらいの難事になるかとひやひやしてたんですが、意外にあっさり。もっとも、槍使いさんなどは終始平服で鎧を着る暇はなかったらしい。女神官さんの積極的な行動もあって、テキパキやれたからの、この結果であるようです。ちょっともたついたら危なかった。

 巣穴の討伐もすぐ済んだらしく、翌朝にはすっかり平和になってるようですね。女神官さんは独力での活躍が認められて鋼鉄等級へ昇格。妖精弓手さんがえらく喜んでくれてまして、この2人は前夜の集結時にも抱き合って無事を喜ぶとか、大変仲が良いですな。こちらで妖精弓手さんが受付嬢さんや牛飼娘さんと仲良くなるのは4巻のボードゲームからとのことですが、女神官さんとは何度も死線を潜り抜けてきました。同性でもあるんで、この仲良さは当然か。

 最後は自分的には最大のインパクトある、ゴブスレさんに別れを告げる少年魔術師のシーン。戦いで何かを悟ったらしい少年魔術師、自分が偽りの動機に突き動かされていたとほのめかしてます。姉:女魔法使いがゴブリンにやられてしまったことより、それを侮った相手への憎さ、悔しさで突っ走ってしまっていたらしい。

 その偽りの動機を引っぺがして、姉を殺したゴブリンへの憎悪も嘘だと引っぺがし、たぶん根っこにある『俺(少年魔術師)は(エリート魔法使いという肩書ではない)姉さんが好き』に辿り着いたんでしょうな。

 その「姉さん」の言葉ではなく、その仲間の「青年剣士」の言葉ではありますが、「目指すはドラゴンスレイヤー」に少年魔術師は辿り着いたようで、「俺はドラゴンスレイヤーになってやる」と、ゴブスレさんを真っ直ぐ見据え、しかし屈託なく告げてますな。たぶん、これでゴブスレさんはおおよそ察するものがあったんでしょう。自分が引導渡した女魔法使いの、その後がここにあると思いもしたはず。

 しかしゴブスレさんが「そうか」と言うや、乱入者登場で圃人剣士さんですな。「じゃあ、私もついてってあげよう!」と嬉しそうに言い、後は押しの一手で同行(つまり2人パーティ成立)。少年魔術師は大成長したとはいえ、まだまだ不安はあります。圃人剣士さんも頼もしいとは言えません。が、コンビを組むとなると、なぜか安心感あります。

 2人のやり取りも少年魔術師が一方的に押されてクスクス来るものがありますが、そこで最初に申しました衝撃のゴブスレさんの「アハハハ」。その後告げた「もし忍びと名乗る圃人に会ったなら」の声も聞いたことがないほど明るい。しかし「忍びの圃人」って、ゴブスレさん幼少時のあの禅問答の人で間違いないですが、頼って大丈夫なのかな。ウィキペディアによると、この2人はその後、「忍びの圃人」に修行つけてもらうらしい。

 考えてみますと、ゴブスレさんの「アハハハ」は、第2話の兜を放り投げての「成し遂げられたとでも思っていたのか、バカめ」≒『姉(女魔法使い)を終わらせたら、その弟(少年魔術師)がゴブリンに』と対なのかもしれません。「アハハハ」=『そうか、成し遂げてたのか』みたいな感じですね。何を成し遂げたかと申せば、ゴブリンから救えた、となりましょうか。あるいは、ゴブスレさんの背中ではなく姉(女魔法使い)の背中を少年魔術師は追ってくれた、とか。

 ともかくも少年魔術師&圃人剣士さんが去りますと、牛飼娘さんが出て来る。これはアニメオリジナルのシーン組み換えということでしたか。原作では牧場への帰り道で牛飼娘さんが出迎えてのこととなりますと、ほぼ確実に「アハハハ」は聞いてないはずですね。アニメの描写だと、あの笑い声を牛飼娘さんが聞いたかどうか微妙です。

 そこは牛飼娘さんの「なんか嬉しそうだね」という台詞に影響します。聞こえてたんなら、続く台詞の「君のこと分からないわけがないのですよ」までは知っててとぼけてることになります。その直後の「いいことあったんだ」だけは、ゴブスレさんを察してのこととなります。

 それはそれで悪くないと思いますが、笑ったことを知らずに兜の下で嬉し気なゴブスレさんを察する牛飼娘さんのほうが趣深い気もします。しかし、ゴブスレさんを訓練場へ送り出してから一人で頭を抱え込んだ牛飼娘さんに、ハッキリ「アハハハ」を聞いてもらいたい気もします。どうなればいいか、難しいところです。

 次回「かみきり丸、南の川へ」は7巻途中へ進んじゃうわけですか。OP映像に剣の乙女が出て来る点は一致ですが、和風兜の戦士(ダイ・カタナの「君」)のほうはどうなるんだろう。7巻やれば8巻必須となりますと、10年前は回想とかのアニメオリジナル入ったりするのかな。自力では予想できませんが、こちらで予め伺っておけるのは助かります。たぶん目が滑らずに観られると思いますんで。

Re: 10月のスレッド(2023) - K.K

2023/10/31 (Tue) 15:48:49

 定期感想その2です。

 こちらの話題で申せばゴーカイジャーの鎧/シルバー役が特殊詐欺の受け子容疑で逮捕というネットでの速報がありました。関連報道として事務所が契約解除等もありましたが、現時点で事件の詳細は目にしておらず、戸惑っております(普段の素行がどうのとか、過去のSNS投降がどうのとか、事件以外の情報が多く出されてまして、自分の知りたいことに辿り着けてないのかもしれない)。

●仮面ライダーガッチャード(第9話:ダッシュで京都!修学旅行!)

 ニチアサは来週はお休みとのことで、録画予約画面で調べてみますと駅伝でしたか。そういやこの時期はそれがあったなと思い出しました。高校野球もそうですが、以前は不平たらたらでしたが、コロナ以降はイベントが開催できることを祝いたい次第です。

 それはともかく、集まったケミーのリストを示して頂いてみますと、アイテムのコンプリート状況で分かるものもあるんだと感心しました。自分でもと思ったんですが、録画は(2週以上前のは)残してないし、公式サイトのあらすじでは全て書いてあるか不安だし。

 が、ウィキペディアがあるんでした。表にまとめてくれてますが初登場の話数順で、そのままでは知りたいことがすっと見えません。そこでエクセルにコピー&ペーストしてみるとうまく行き、属性やレベルナンバーでソートできます。

 やってみはしましたが、こちらでご教示頂いたことの再確認程度ですね。プラントケミーはなぜか2のが3つあるなと不思議に思いましたが、それ以上は自分では推測とかできず。それでも今話では敵側から「レベルナンバー10」という話が出てますんで(仮面ライダーWEBで以前匂わしてたもの?)、ケミーの整理をご教示頂けたのは、滑り込みで間に合ったわけで、ありがたいと感謝する次第です。

 ともかく本編。ライダー恒例の東映太秦映画村ロケですね。巨大化バトルシーンも含めると、京都ご当地編ともなりましょうか。ライダー側の巨大化は、前に申した気がしますが、自分的にはあまり歓迎してないんですが、今話では「そうか、デカくなれば観光スポットからの視点で観る楽しみがあるのか」と感心できました。

 ドラマとしては、UFO含むオカルトネタからの加治木の年上の人への恋愛編でしょうか。次話のタイトルに「悲恋」の文字も見えますし。加治木の一目ぼれのようでいて、オカルト雑誌投稿では互いに知っていたというものですね。

 が、まずは修学旅行で京都へ、ということから。目的地の京都では神社からUFOっぽい光が目撃されたり、何か異変が起こっている。一方、前話からの引き続きなのか、スパナとラケシスの因縁の確認みたいなバトルも発生してますね。こちらは冥黒の三姉妹が複数のケミーを取り込んだマルガムになれることとか、ヴァルバラドにも同等の能力があることを紹介する狙いがあるみたいです。

 それにしても、ヴァルバラドの今話の飛行能力(ゲキオコプター)からしますと、第6話でヴァルバラドがホークマルガムに追い付けなかったの、宝太郎にサポートさせるため、わざと手を抜いていたとみてよさそうです。

 拠点に戻ったラケシスとアトロポスの会話で「レベルナンバー10」の言及があり、それを狙って京都に向かったのがクロトー。いいアクションしてくれてガタイもよく、自分的には敵側では最推し幹部です(^^;。

 これで修学旅行の宝太郎らとクロトーが遭遇することになるわけですね。宝太郎は高校の修学旅行だからと生真面目にカードは置いて来ちゃったとのこと。これで後でピンチとなるわけですが、幸いにもホッパー1だけはこっそり付いて来てくれたので、かろうじてしのげることになるわけですね。

 しかしメインのドラマは加治木。(宝太郎と対照的に)修学旅行にまで持ってきたオカルト雑誌「超常惑星」をきっかけに女性(姫野聖)から声を掛けられ、7年前には同じ雑誌投稿常連だったことで急速に親しくなる。当時、中1と小4ということで4歳差といったところですね(ダイ大ではレオナとダイと同じ年齢と、急に思い出したり)。現在は20歳と16歳のはず。いったん別れますが、姫野聖は東映太秦のお化け屋敷でお化け役をやっており、そこで加治木と再会することになると。

 一方、クロトーはケミーに憑依させる悪意の人間2人を発見、護送車で運ばれる犯罪者らしい。片方は「矢吹」でナイフちらつかせるところからみて傷害罪か下手すると殺人。もう一方は「フードの男」で「燃やす」の台詞から放火犯と思われます。この「フードの男」がどうやら姫野聖と関係ある人物らしい、というのが次話への引きですね。

 しかし今話のメインゲスト敵は矢吹でして、クロトーによりケミー(ジャングルジャン)を憑依させられジャングルマルガムに。フードの男はそのまま立ち去り、クロトーが彼をどうしたかは不明。

 加治木のほうは当初の目的(UFO)を放り出し、大雑把に「東映太秦村」と聞いただけの姫野聖を探し回ると。ここまでするとなると、やっぱり一目ぼれしたかな? が、お化け屋敷に入ったお陰で仕事中の姫野聖に見つけてもらえまして、渡月橋で会う約束を取り付ける。こういう偶然がありますと「赤い糸があるのかな?」という気がしますが、後で見事に裏切られるわけですな。

 が、そこで引率のミナトからクロトー襲来の報がもたらされ、置いて来たケミーを蓮華らに届けてもらうことに(バイクで急行してますが、何とか間に合ったということはスピードが桁違いなのか、錬金アカデミーが京都に近いのか ^^;)。

 しかしまだ騒ぎは起きず、加治木はいい感じで姫野聖とデート。ですが、姫野聖が語る「兄」がおそらくは問題ですね。「兄」がフードの男なのか。姫野聖に発信者が(観ているこちらには)よく分からないメール「久しぶり、聖。今どこにいる?」が入り、急に慌てた様子の姫野聖は加治木をほっぽってどこかへ駆け去る。

 おそらくはその直後にミナトがクロトーを発見、交戦状態に。まずは、昭和ライダーとかと逆にミナトが戦闘員(忍者風)を放ち、クロトーが迎え撃つアクションですね。そこから一騎打ち、そこへ宝太郎らが駆けつける。クロトーは宝太郎らへは矢吹/ジャングルマルガムを差し向け、ジャングルマルガムはいきなりの巨大化。

 新撰組コスプレのりんねは手持ちのレンキングロボとヤミバットを宝太郎に渡し、ガッチャードも巨大化して迎撃(しつつ観光スポット見せると ^^;)。巨大戦ではエネルギー切れで決着つかず、変身が解けた宝太郎のピンチですが、ここで蓮華が間に合ってスチームライナーを渡し、ついて来てくれてたホッパー1と合わせて再変身、仕切り直して次話へ。

 一方、姫野聖をこっそりつけた加治木が見たものが問題ですね。姫野聖はメールで呼び出したと思しき「フードの男」を見ると駆け寄って抱き着く。フードは外して素顔見えてますから、そういう面識らしい。これは姫野聖の兄なのか、あるいは別のボーイフレンドなのか。手錠は片手にかかったままなので、護送車から逃げた「フードの男」であるのは間違いない。

 ちょっと分からないのが2つ。1つめは、どうやってメールを送ったのかということ。護送車から逃げた犯人がスマホとか持っているとは思えません。2つめは、場所を言ってないメールなのに、なぜ真っ直ぐにフードの男のもとへ向かえたのかということ。その辺りはフードの男の正体も含め、次話で明らかになると期待しておきます。

 次回「炎の京都!〜悲恋・ケミー雷電事件〜」では、公式サイト予告文では「聖(木下彩音)に彼氏がいた」となってまして、フードの男は兄ではないらしい。が、「加治木がそう思った」だけかもしれず、何ともいえないところかも。護送車から逃走した人物かどうかとかマルガムなのかとかも、予告文ではあいまいです。ともかく次話を観ないと分からない、ということみたいです。

●王様戦隊キングオージャー(第35話:泣くなスカポンタヌキ)

 こちらでシュゴ仮面の正体ラクレスは実は偽物ではないかという説を伺い、ちょっと考えてから「あっ!」となりました。驚いた主な理由は自分の考えの抜けですorz。宇蟲五道化はその名の通り5人でして、彼らに支配された国も5つ。しかし、シュゴッダムを簒奪したのがラクレスならば、五道化は1人余ってしまう。ということは、と考えるべきなんでした。もっとも、新たに国家認定されたバグナラク国はどうなってるんだということはありますが、ジェラミーの様子から考えて、占領は免れたとみるべきなんでしょう。

 今話ではっきり奪還とされたのは、ヒメノのイシャバーナ国とリタのゴッカン国ですね。奪い返す描写すらない。ヤンマのンコソパ国は今話で一応の決着、カグラギのトウフ国は次話以降となりそう。イシャバーナとゴッカンは敵(宇蟲五道化)にとって、占領を続けるメリットがなかったからかも。イシャバーナの医療は滅亡を望むダグデドには必要ない。財宝を奪えば用済み。ゴッカンの司法も同じく不要で、財物すらない(押収したもっふんくらい?)。

 一方、農業国トウフの食料は敵が拠点とするシュゴッダムの維持には役立つ。工業国ンコソパの技術力は軍事に関わるんで邪魔ということで、今話描かれた「テッペンパソコン潰して、国も滅ぼす」作戦になってるんでしょう。ただし、ンコソパは前に描かれましたように各国へのエネルギー供給も担ってますんで、ンコソパを崩壊させれば、他も一気に潰しにかかかる算段なのかも。

 ともかく本編ですが、冒頭は前話の続きでコーカサスカブト城から。仮面を外したラクレスに怒るギラですがジェラミーが抑えて撤退。ドゥーガがこれを追うと言って去りますが、捕らえるためではなかったようですね。そこへダグデド登場でして、迎えるラクレスが恭しい。ギラへは宇宙を統べるとか言ってましたが、ダグデドへはチキューに滅んでもらう云々。滅亡のほうが本音のようです。

 一方、ギラらは無事にですが、えらく寒そうなジェラミーの居城へ(そういえば、前にゴッカンの地下にかくまわれたんでしたっけ)。ジェラミーは逸るギラに「お前さんが最後の切り札」と宥めてますが、ラクレスが偽物と密かに気づいての撤退なら面白そうです。そこへドゥーガも追ってきて、窮状を訴える。

 さらにヤンマもやって来るわけですが、顔が腫れている。その直前、ヤンマはンコソパを取り戻しに乗り込んだわけですが、既にヒルビルに側近含めて国民が洗脳されてしまっていた。だもんで殴られて逃げ出して来たわけですね。どの王も国民に手を出さないことは前に描かれてましたが、ヤンマの場合は王になる以前からそうだったことが今話で描かれまして、自分の感動要因の1つです。

 それはともかく、ドゥーガの話からンコソパが真っ先に陥落し、その原因は国民の9割が常用するヘッドホンであることが判明。ヒルビルの洗脳は「耳元でささやく」ことが発動条件だから。しかし、その術にかかった経験があるシオカラだけは用心して耳栓で逃れたわけですね。

 この危機においても、何か韜晦する様子のカグラギにヤンマはいきり立ち、自国を奪還したヒメノは非協力的、リタは逃亡した囚人の捕縛に忙しい。なんだか悪く旧に復してバラバラですな。やむを得ずヤンマは独力で行動開始し、上述の通り、幸いにも連絡が取れたシオカラだけは洗脳を免れて強い味方に。敵の狙いも分かり、ンコソパの根幹を担う「テッペンコンピューター」。

 そこでシオカラの過去にちょこっと触れる回想でして、以前は偽札作りの組織にいたらしい。ンコソパがまだジャンクの山の荒廃した数年前の話ですね。当時のヤンマは既に「テッペンコンピュータ」を作り上げてまして(でもプロトタイプかも)、偽札鑑定機を開発して偽札の横行にストップをかけたらしい。

 シオカラはヤンマの妨害に来たわけですが、ヤンマの志が偽札防止に留まらず、通貨改革(電子マネー化ですな)まで及んでおり、その根っこが「テクノロジーの進化は力では止められない」の信念と知ると動揺、後で逆に惚れこんじゃったと。そこで偽札組織を裏切り、仲間共々ヤンマと行動を共にするようになったわけか。その際、偽札組織の上役を殴り、全て被って仲間とヤンマを逃がそうとしたこと、ヤンマの性分と相通じるものがありそうです。

 とりあえず回想はそこまでで、シーンはギラらと共に再びンコソパに乗り込むヤンマ。再び洗脳された仲間が迎え撃ちに出て来るも、テッペンコンピュータ持参の今度はヘッドホンを逆用、ハッキングで何らかの衝撃を与えて全身失神させてしまう。が、この行為はヒルビルに「これが中枢のテッペンコンピューター」と知らせてしまうものでもあるわけですね。つまりヤンマは不退転の決意でこの殴り込みに賭けている。

 が、不用意にヒルビルに斬り込んだカグラギが洗脳の術にかかる。と思ったら、術は効かないんですか。「己すら裏切る男」だからだそうですが、ちょっと強引かも(^^;。しかしなんか納得はする。ここは序盤のヤンマとの対立ともちょっと絡むような気がします。なにせヤンマがすぐにカグラギの意図に気が付いてましたから。
(その辺りは以前、ジェラミーが芝居しながら警告した「敵はこちらを見て笑っている」に通じるかも。)

 こうなると形勢逆転でして、ヒルビルはサナギムを繰り出すものの(依然としてバグナラクの一部を従えているらしい)、距離を取った銃撃戦術で得意の洗脳を封じられ劣勢。しかし間の悪いことに、ヒルビル出撃の不在を突いて城内潜入のシオカラと、いったん退いたヒルビルが遭遇してしまう。追ってきたヤンマを見たシオカラが耳栓を外してしまい、ヒルビルに「ヤンマのボロパソコンをぶっ壊して」と洗脳されてしまうわけですね。

 そこからが数年前の回想と合わせての、自分のツボのベタで熱血な友情ドラマです。人によっては暑苦しいと感じるんでしょうけど、自分はこういう泥臭いのに弱い。シオカラ、ヤンマに殴り掛かりますが、他の仲間と違って寸前で拳が止まる。

 そこから過去回想と行き来しつつですね。過去ではヤンマでなく偽札組織のボスを殴り倒してる。現在はヤンマを殴る代わりに、前に出て来た嘘つくとひどい目に遭う嘘発見器を自ら被る。「そのボロいパソコン、ぶっ壊してやる」等々、ヒルビルの「お願い」に従うと宣言するたび、電撃で嘘判定。自分ならこれを「シオカラの魂は屈せず」と言いそうですが、ヤンマによれば「シオカラのドタマは勝ったんだよ」とのこと。うん、そのほうがしっくりきますな。

 数年前の回想では、シオカラはヤンマと他の仲間を救うべく、身を挺して後始末をする気だったようですが、ヤンマが連れて逃げた(たぶん組織からの報復への対処もしたんだろう)。シオカラは今度こそ、己が命を皆の盾にする覚悟。ボロボロになりながらもヒルビルに啖呵切っておいてからの、ヤンマへの「テッペン行けよ」は、ヤンマの「おう」とだけの返答含め、実にカッコいい。

 しかし、ヤンマの「おう」の意味はテッペンコンピューターの一刀両断でしたか。これでヒルビルの「お願い」は成立、シオカラは洗脳(違反の死)から解放。ギラがヤンマの機先を制しての「謝るなよ」、ヤンマも一言「恩に着る」も実にいいですねえ。傍で盛んに揶揄するヒルビルが完全に浮いてます。試合に勝って、勝負に負けたとはこのことか。

 ヤンマは気を失ったシオカラを連れて城外ですが、どうやら荒廃してしまっている模様。以前から城外はここまで破壊されていたのか、テッペンコンピューター喪失を機に一斉攻撃を受けたのか、経緯はちょっと分からない。が、ンコソパが豊かな工業国としては滅んだのは間違いない。意識を取り戻したシオカラ、ややあってヤンマがテッペンコンピューターを自ら破壊したことを思い出したようです。

 シオカラは当然、己の覚悟はもとより、事の軽重を弁えない(と思える)ヤンマに激怒しますが、ヤンマは慌てる風もない。以前は「ゼロから1を」と言い、今は「いつの間にか贅沢者になっちまってたのかもな」と。「ごめん、ありがとう」を繰り返すシオカラに、今話タイトル通りの「泣くなスカポンタヌキ」と言い、「ゼロから始めんだよ」と。ンコソパの状況含め、数年前の出会い通りとあっては、シオカラが号泣するのも自然ですね。

 ヤンマが言う「贅沢者」ですけど、直接的には工業で栄えたンコソパを指すんでしょうね。少なくともシオカラはそれを宝と思い、誇りでもあったはず。おそらくヤンマも半ばそうだったんでしょう。残り半分はテッペンコンピューター。それがあればいつでも何でもできる。荒廃してもやり直せる。何せ数年前には作り上げており、それ1つで王となり国を栄えさせた。

 が、そのテッペンコンピューターですらヤンマがジャンクから作ったもののはずですね。ジャンクなんて昔からそこら中にあるし、今も大量に出てしまった。なら、ヤンマの「ドタマ」さえあれば、テッペンコンピューター作るところからやり直せる。然るにテッペンコンピューターを頼りに思ってしまった。それがヤンマの「贅沢者」(あるいは1)でしょうか。

 それを一刀両断したときには、初心に立ち返り、「全ては己の中にある」との覚悟も出来てたんでしょうね。そう腹括ったのは、あの「おう」と返したタイミングかな?

 と書くと、ヤンマがえらく凄くて、同じようにできないのは情けないみたいになりそうですが、そうではありません。ヤンマがゼロから始める覚悟ができるのはエンジニアだから。クリエイター(理系ですと科学者など)ではそうはいきません。クリエイターは常に未知(未だ存在しないもの)から何かを引き出します。無から有を作ると言い換えても可でしょう。

 一方、エンジニアは実用の領域で働くものであり、既知のものを組み合わせて作ります。未知はいじりません。例えば、飛ぶかどうか分からない飛行機作って、「乗れ」なんて言えないわけで。(組み合わせは多種多様とはいえ)分かってるものばかり扱うからこそ、それから作ったものは捨てていい。なぜなら分かってるからまた作れる。自信やプライドは100%、自分(のドタマ)に置いといていい。

 一方、クリエイターはそうもいきません。未知が相手ですから、何をやるかも結果も不安定です。時として凄い結果を出しますが、次も同じレベルの結果を出せと言われても無理です。例えば、ノーベル賞受賞の物理学者に、もう一度ノーベル賞級の発見をしろと言ってもできやしないのは、過去のノーベル賞受賞者が証明するところです。本人だってそうしたいんだけど、できない。結果、自分の外≒自分の成した最高のことにプライド(の半ば)を置くことになります。

 もし「テッペンコンピューター」がクリエイターの作品だとしたら、ヤンマは今話のようにはできなかったはずです。あくまでもエンジニアが作ったものだから「神に遭うては神を切り」で捨てることが可能でした。そこは、荒廃したンコソパに絶望しなくてもいいと思える点でもありますな。何もかも数年前と同じなんですから、(敵さえ何とかできれば)数年を経ずして再興できるはずです。

 前半最後のバグナラクとの決戦から宇蟲五道化襲来の後半序盤はシビアな身を切る辛さのドラマ展開、キョウリュウジャーコラボの地球編は久しぶりのスーパー戦隊作風、そしてまた作風変えてきての、シビアながら燃えるドラマと変化が楽しい。

 次回「ヒメノのお見合い大作戦」ではヒメノの見合い話だそうで、早々に国を奪還した余裕の為せるところなのかな。どうもまたもや作風が転換しそうな気もします。

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